JP2009280155A - 空調用エアダクト - Google Patents

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宏 池田
Rika Takahashi
里佳 高橋
Katsuji Nishimura
勝治 西村
Kensuke Mizobuchi
健介 溝渕
Hirohito Kumada
浩仁 熊田
Nobuhiko Ogata
伸彦 緒方
Kenichi Nakamura
健一 中村
Osamu Kodachi
修 小太刀
Masanobu Yanagihara
昌伸 柳原
Mayumi Odano
まゆみ 小田野
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Abstract

【課題】発泡シートにより筒状に形成された空調用エアダクトであって、十分な吸音特性を有し、そのためエアコンユニットのファンによる騒音、および送風に伴う流体音がダクト内を伝播し、自動車の乗員間の会話が困難となって乗員に不快感を与えることを防止することができる空調用エアダクトを提供する。
【解決手段】空調用エアダクト10を形成する発泡シート12、14として、内側の連続気泡層20と外側の独立気泡層24とが一体化した2層構造を有するものを用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車の空調用エアコンユニットなどに接続される空調用エアダクト(通風管)に関する。
自動車では、室内の空調のため、エアコンユニットで適当な温度に調整した空気をエアダクトを用いて室内に導いている。従来、このエアダクトには、金属や硬質プラスチックの成型品あるいはそれらの複合品が使用されていたが、自動車内の比較的狭い空間に上記エアダクトを通すため、エアダクトの断熱が不十分となり、エアコンユニットからの空気がエアダクトを通過する間に空気の温度が変化してしまうという問題があった。そこで、上記問題を解決するため、発泡体により形成された断熱性の高いエアダクトが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
上述した発泡体により形成されたエアダクトは、乗用車などの自動車内装部材であるインストルメントパネル、フロアーコンソール、天井等の裏側に設置され、エアコンユニットと空気噴出口とを接続して暖気あるいは冷気を室内に送り込む役割を果たす。このエアダクトは、所望の形状を長期間保持するのに必要な剛性を有する発泡シートから形成され、自動車内装部材の裏面に配置、固定される。
しかし、上記の発泡シートにより形成されたエアダクトは、吸音特性が不十分であるため、エアコンユニットのファンによる騒音、および送風に伴う流体音がダクト内を伝播し、その結果自動車の乗員間の会話が困難となって乗員に不快感を与えるという問題があった。
これに対し、吸音特性を向上させたエアダクトとして、特許文献3〜5のエアダクトが提案されている。特許文献3のエアダクトは、ダクトに必要な形状が付与されるとともに、その形状を保持し得る剛性を備えた外層シートと、この外層シートの内面に全面的に貼着されて吸音・断熱機能を果たす内層シートとから構成されたものである。特許文献4のエアダクトは、真空成形型に吸音・断熱機能を有する内層シートを被せ、熱可塑性樹脂からなる外層シートを加熱状態で内層シートの外面に接着剤を介して被せた後に、真空成形型を真空吸引することで、内層シートおよび外層シートに空気案内ダクトにおける半体の形状を付与し、この真空成形により得られた2つの半体を各内層シートが向き合うよう当接させて、その長手方向に当接し合う鍔部を接合したものである。特許文献5のエアダクトは、所要厚の発泡樹脂シート材からエアダクトを長手方向に分割した際の半体として成形され、長手方向へ対応的に相互に接合することで内部に空気流通路を画成し、両端縁部に空気流入口および空気流出口を備える第1基材および第2基材と、前記第1基材および第2基材の長手方向に沿設され、両基材の長手方向の曲げ変形および撓み変形を抑制して強度向上を図り得る形状保持部材とから構成されたものである。
特開平10−181334号公報 EP 0445592 A2 特開2001−180250号公報 特開2001−213136公報 特開2001−39146号公報
しかし、前述した特許文献3〜5のエアダクトは、十分に満足すべき吸音特性を有さないものであった。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたもので、発泡シートにより筒状に形成された空調用エアダクトであって、十分な吸音特性を有し、そのためエアコンユニットのファンによる騒音、および送風に伴う流体音がダクト内を伝播し、自動車の乗員間の会話が困難となって乗員に不快感を与えることを防止することができる空調用エアダクトを提供することを目的する。
本発明者らは、前記目的を達成するために種々検討を行った結果、前述したエアダクトは、両面にスキン層を有する独立気泡構造の発泡シートにより形成されているため、エアコンユニットのファンによる騒音、および送風に伴う流体音がダクト内を伝播すること、これに対し発泡シートの内側を連続気泡層とした場合、エアコンユニットのファンによる騒音、および送風に伴う流体音がダクト内を伝播する間に減衰するため、エアダクトの吸音性が向上し、これにより自動車の乗員間の会話が困難となって乗員に不快感を与える問題を解消できること、さらに発泡シートの外側を独立気泡層とした場合、エアダクトの断熱性および剛性を確保できることを見出した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、発泡シートにより筒状に形成された空調用エアダクトにおいて、前記発泡シートは、内側の連続気泡層と外側の独立気泡層とが一体化した2層構造を有することを特徴とする空調用エアダクトを提供する。
ここでいう連続気泡層とは、内部に気泡が存在し、気泡同士の壁に小さな孔が開いて、気泡同士が繋がって層状に存在しているものである。独立気泡層とは、内部に気泡が存在し、気泡同士が壁で仕切られていて、気泡同士が繋がっておらず、層状に存在しているものである。
本発明において、上記連続気泡層は内表面にスキン層を持たず、気泡が露出していることが好ましく、これによりエアダクトの吸音性を確実に向上させることができる。また、上記独立気泡層は外表面にスキン層を持つことが好ましく、これによりエアダクトの断熱性および剛性を確実に確保することができる。ここでいうスキン層とは、表面に沿って気泡を持たず層状に存在しているものである。
本発明において、連続気泡層:独立気泡層の厚みの比は、4:1〜1:4とすることが適当である。連続気泡層が薄すぎるとエアダクトの吸音性が不十分になることがあり、独立気泡層が薄すぎるとエアダクトの断熱性および剛性が不十分になることがある。
本発明において、上述した2層構造の発泡シートを作製する手段に限定はないが、下記(A)または(B)の手段を好適に採用することができる。
(A)両外層に独立気泡層、両外層間の中間層に連続気泡層を有する3層構造の発泡シートの中間層をその厚み方向に直交する方向に沿って切断する手段。
(B)独立気泡構造を有する発泡シートの厚み方向の一部を片面側から冷凍した後、この発泡シートを圧縮することにより、冷凍した部分の独立気泡を破泡してこの部分を連続気泡層にする手段。
以下、本発明につきさらに詳しく説明する。本発明の空調用エアダクト(以下、単に「エアダクト」と言うこともある)を形成する発泡シートの材質としては、特に限定されるものではないが、前述した2層構造を有する発泡ポリエチレンシートや発泡ポリプロピレンシート、特に架橋発泡ポリエチレンシートや架橋発泡ポリプロピレンシート等の発泡ポリオレフィンシートを好適に用いることができる。また、上記架橋発泡ポリオレフィンシートとしては、例えば、化学架橋方式により製造されたものでもよく、電子線架橋方式により製造されたものでもよい。
本発明のエアダクトにおいて、発泡シートの連続気泡層および独立気泡層の発泡倍率は、5〜40倍、特に8〜20倍であることが好ましい。発泡倍率が5倍未満であると、エアダクトの特徴である軽量化効果が損なわれるほか、熱伝導率が高くなり、断熱効果の低下によって結露が発生しやすくなる。一方、発泡倍率が40倍を超えると、軽量化や断熱効果は上昇するが、剛性が低下し、自動車への実装に対しての信頼性が低下することがある。
本発明のエアダクトにおいて、発泡シートの連続気泡および独立気泡の気泡径は、0.2〜2.0mm、特に0.7〜1.2mmであることが好ましい。気泡径が0.2mm未満であると、気泡壁が薄くなるとともに、剛性の低下と表面層の表皮強度の低下が生じ、ダクト成型時に2枚のシートが接触しやすくなり、接触した場合に表皮が材破してしまう問題が起こることがある。一方、気泡径が2.0mmを超えると、断熱特性が損なわれ、結露を誘発させることがある。
本発明のエアダクトの製造方法は特に限定はないが、下記(1)〜(4)の工程からなる、圧力および熱の適用下に依然として変形の可能な熱可塑性または弾性プラスチックフォームから中空体を製造する方法を採用することができる。
(1)プラスチックフォームからなる1個または2個以上の部分を、プラスチックフォームの軟化温度よりも高い温度に加温後、割り型に入れる。
(2)割り型を閉じることにより、上記部分をそれらのへりに沿って互いに接合させて、それらの部分の間の中間空間を少なくともかなりの程度まで密閉する。
(3)加圧下の流体を上記部分の間の中間空間へ導入することにより、それらの部分を割り型の壁に押し付け、形を整える。
(4)上記部分が冷却された後、成型物を脱型する。
上述した方法においては、前記割り型を閉じることによって、前記部分をそれらのへりに沿って互いに融着させることができる。また、前記部分として、実質的に平らなプレート状プラスチックフォームを使用することができる。さらに、割り型に入れるときの前記部分の温度を130〜200℃、好ましくは150〜170℃とすることができる。
本発明のエアダクトを製造する場合、発泡シートとして、加工前の密度が30〜250kg/m、加工前の厚さが3〜15mmの発泡シートを使用することが好ましい。
本発明の空調用エアダクトは、十分な吸音特性を有し、そのためエアコンユニットのファンによる騒音、および送風に伴う流体音がダクト内を伝播し、自動車の乗員間の会話が困難となって乗員に不快感を与えることを防止することができ、静穏性に優れているとともに、十分な断熱性および剛性を有する。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。図1は本発明に係るエアダクトの一実施形態を示す断面図、図2は同エアダクトの発泡シートの拡大断面図である。
本例のエアダクト10は、2枚の発泡ポリオレフィンシート12、14を、前述した特許文献2の方法により接合して筒状に形成したものである。この発泡ポリオレフィンシート12、14は、図2に示すように、内表面にスキン層を持たない内側の連続気泡層20と、外表面にスキン層22を持つ外側の独立気泡層24とが一体化した2層構造を有するものである。連続気泡層20:独立気泡層24の厚みの比は、1:1である。発泡ポリオレフィンシート12、14のへりの部分16、18は互いに融着されている。なお、エアダクトを1枚の発泡ポリオレフィンシートから成型する場合は、融着箇所は1箇所となる。
上述した2層構造の発泡ポリオレフィンシート12、14は、例えば、下記(A)または(B)の手段により得ることができる。
(A)図3に示すように、3層の流路構造を有する多層ダイ30を備えた押出発泡機を用いて、両外層に外表面にスキン層32を持つ独立気泡層34が形成され、両外層間の中間層に連続気泡層36が形成された3層構造の発泡シート38を連続的に押出発泡した後、この発泡シート38の中間層36を刃物40によりその厚み方向に直交する方向に沿って切断する手段。
(B)図4に示すように、両外表面にスキン層50を持つ独立気泡構造の発泡シート52を成型し、この発泡シート52の厚み方向の一部54を片面側から液体窒素56などを用いて冷凍した後、上下のロール58、58間に上記発泡シート52を通してこの発泡シート52を圧縮することにより、冷凍した部分54の独立気泡を破泡してこの部分を連続気泡層60にするとともに、それ以外の部分に独立気泡層62を残存させる手段。
本発明に係るエアダクトの一実施形態を示す断面図である。 図1のエアダクトの発泡シートの拡大断面図である。 本発明に用いる発泡シートの製造工程の一例を示す説明図である。 本発明に用いる発泡シートの製造工程の一例を示す説明図である。
符号の説明
10 エアダクト
12、14 発泡ポリオレフィンシート
16、18 へりの部分
20 連続気泡層
22 スキン層
24 独立気泡層

Claims (4)

  1. 発泡シートにより筒状に形成された空調用エアダクトにおいて、前記発泡シートは、内側の連続気泡層と外側の独立気泡層とが一体化した2層構造を有することを特徴とする空調用エアダクト。
  2. 前記連続気泡層は内表面に気泡が露出しており、前記独立気泡層は外表面にスキン層を持つことを特徴とする請求項1に記載の空調用エアダクト。
  3. 前記発泡シートは、両外層に独立気泡層、両外層間の中間層に連続気泡層を有する3層構造の発泡シートの中間層をその厚み方向に直交する方向に沿って切断することにより作製されていることで、独立気泡層と連続気泡層とが一体化した2層構造を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の空調用エアダクト。
  4. 前記発泡シートは、独立気泡構造を有する発泡シートの厚み方向の一部を片面側から冷凍した後、この発泡シートを圧縮することにより、冷凍した部分の独立気泡を破泡してこの部分を連続気泡層にすることにより作製されていることで、独立気泡層と連続気泡層とが一体化した2層構造を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の空調用エアダクト。
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