JP2014156937A - アルミニウム製熱交換器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミニウム製熱交換チューブ3は、質量%で、Feが0.05〜0.20%、Siが0.10%以下、Cuが0.15〜0.32%、Mnが0.08〜0.15%、Zrが0.02〜0.05%、Tiが0.06〜0.15%、Vが0.05%以下、Crが0.03%以下、を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有する。アルミニウム製コルゲートフィン4は、心材4aの両面に皮材4bがクラッドされたブレージングシートからなり、心材はZnが1.3〜2.2%を含有し、皮材はZnが0.7〜1.3%を含有し、それぞれ残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有する。
【選択図】 図4
Description
この発明における微細な熱媒体流路3aを有する薄肉小型の押出扁平管からなる熱交換チューブ3は、耐久性や工業的な見地からの生産性が課題となる。一般的に押出扁平管としてJIS A 1000系の純アルミ材やJIS A 3000系のAl−Mn系材料が使用されるが、純アルミ材では耐腐食性の見地から課題があり、一方Al−Mn系材料では薄肉で小型の押出性という点では生産性に課題がある。そこで、この発明では、押出性及び合金自身の耐腐食性の点から優れた合金が使用される。以下その特性を説明する。なお、以下の元素の添加量はいずれも質量%である。
Feは、純アルミニウム合金の強度を向上させる作用と共に、鋳造時の割れ防止、鋳造組織の微細化効果を有している。この作用は0.05%以上の含有により発揮されるが、0.20%を超えるほどに多く含有させるとAl−Fe化合物を鋳造時に結晶粒界に生じさせ、耐孔食腐食、耐粒界腐食に悪影響を及ぼす虞があると共に、押出時にムシレ、割れなどのために押出性を悪くする虞があるため、Feの上限値は0.20%とした。
SiはAl母材から混入する不可避的不純物であるが、加工性に悪影響を及ぼすAl−Fe−Si化合物の生成を抑えるため、そして、過剰Si粒子はピット状の腐食の起点となるとともに、添加元素のMn、Zrなどと化合物を生成し、それらの効果を減少させるため、その上限値は0.10%とした。
CuはAl地の深い孔食を抑制するために有効な元素である。0.15%以上の含有で効果が認められる。しかし、その含有量が多くなると粒界にAl−Cu化合物CuAl2を形成して均質化処理では粒界偏析を完全に消失できず、粒界腐食を促進する。また押出圧力増加のため、Cu含有量は、0.15〜0.32%とした。
Mnは耐食性および強度、特に高温強度を向上させる作用を有している。これらの作用は、0.030%以上の含有により発現するが、Alマトリックスの電位を改良し、腐食伝播を安定して抑制するためには0.08%以上のMn添加が好ましく、更には、高温での強度を高めるため、ろう付時の大幅な軟化は生じず構造体の剛性を維持できる大きな役割がある。一方、高温強度が高いために、押出時の加工圧力が大きくなって押出性を低下させる。また結晶粒界に沿ってAl−Mn系の金属間化合物Al6Mnが形成され、耐粒界腐食に悪影響を及ぼす虞がある。したがって、Mn含有量は0.15%を上限とした。
Zrは微量添加においても、材料の高温強度をMnなどとの複合効果で増大し、単独で
は0.02%以上でその効果があり、0.05%を超えると他の元素との化合物形成に影響し、効果を減少すると共に、薄肉材の押出時に押出圧力を増大する。また、0.02〜0.05%Zr添加はマトリックスを貴にし、孔食腐食とともに粒界腐食を減少する効果もある。
Tiは鋳造組織を微細化し、そのTi元素の分布状態は押出材の粒界腐食を抑制する作用を有している。この作用は0.06%以上の含有で効果的に発現する。しかし、その含有量が多くなると粗大な金属間化合物TiAl3を生成して押出性を悪化させると共に、Ti分布の不均一性を増加させるため、その上限は0.15%とした。
鋳造時に晶出したVおよびV化合物が押出により層状に分散して粒界腐食の進展を防止する作用を有しているので、必要に応じて含有させる。しかし、その含有量が多くなると押出性を悪化させるので、その上限は0.05%とした。TiとVの複合添加により粒界腐食を抑制する効果が大きくなるが、TiとVの含有量が多くなりすぎると押出性を悪化させるので、TiとVの合計量の上限は0.15%とした。
Crは押出組織の粗大化を抑制する作用を有している。この作用は0.03%以下の含有により効果的に発現するが、多量に含有すると押出性を悪化させるので、その上限は0.03%とした。
フィン4は、心材4aとろう材である皮材4bが両面にクラッドされているブレージングシートであり、工業的見地及びコスト面を考慮し、汎用性がある規格合金が使用されることが望ましい。
アルミニウム製品のろう付け方法として、上述したように、フラックスを使用しない真空ろう付け法とフラックスを用いる炉中ろう付け法が広く実用化されている。何れもアルミニウムろう付けにおいて必須であるアルミニウム表面の酸化皮膜を除去する方法の違いによるが、真空ろう付け法の場合は、真空度が約1×10-2Pa以下の雰囲気でのろう付け加熱に伴い、構成材料の一部に添加されるMg元素が蒸発することで、表面の酸化皮膜は破壊され、接合が可能となる。
熱交換チューブについて、表2に示す化学組成を有する各種アルミニウム合金(発明合金1〜17,比較合金18〜25)について、押出性、強度を検証した。
次に、熱交換チューブの検証で総合評価が○のチューブ材と、ブレージングシートを加工したコルゲートフィン及びヘッダーパイプを組付けてろう付し、図1に示すような熱交換器を作製し、塩水噴霧試験(JIS -Z2371)で耐食性の評価をした。表2に各種熱交換器の構成と評価結果を示す。
・コアサイズ:300H×400Lmm
・熱交換チューブ:13.85W×1.93Hmm
・コルゲートフィン:ブレージングシート、7.9H×14Wmm、厚さ0.85mm
・フラックス:ノコロックフラックス(フルオロアルミン酸カリウム系フラックス)
塗布量 約5g/台
・ろう付:N2ガス雰囲気メッシュベルト式連続ろう付炉
ろう付温度600℃
ろう付性については、フィンと熱交換チューブの接合が全接合面の98%以上を○、98%未満を×とした。
2a,2b ヘッダーパイプ
3 熱交換チューブ
4 コルゲートフィン
4a 心材
4b 皮材(ろう材)
4c フィレット(接合部)
Claims (3)
- 複数の熱媒体流路を有するアルミニウム製押出形材からなる扁平状熱交換チューブと、アルミニウム製コルゲートフィンが並列状に複数配置され、上記扁平状熱交換チューブの両端が、対峙する一対のアルミニウム製ヘッダーパイプに連通接続され、フッ化物系フラックスで一体ろう付けされてなるアルミニウム製熱交換器であって、
上記扁平状熱交換チューブは、Feが0.05〜0.20質量%、Siが0.10質量%以下、Cuが0.15〜0.32質量%、Mnが0.08〜0.15質量%、Zrが0.02〜0.05質量%、Tiが0.06〜0.15質量%、Vが0.05質量%以下、Crが0.03質量%以下、を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有し、上記コルゲートフィンは、心材と、該心材の両面に皮材がクラッドされたブレージングシートからなり、心材はZnが1.3〜2.2質量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有し、皮材はZnが0.7〜1.3質量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有する、ことを特徴とするアルミニウム製熱交換器。 - 請求項1記載のアルミニウム製熱交換器において、
上記扁平状熱交換チューブの表面には、防食を目的とするZnが塗布されていない、ことを特徴とするアルミニウム製熱交換器。 - 請求項1又は2に記載のアルミニウム製熱交換器において、
上記フッ化物系フラックスが非腐食性のフルオロアルミン酸カリウム系フラックスである、ことを特徴とするアルミニウム製熱交換器。
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