JP2009058139A - 耐食性に優れたアルミニウム製熱交換器用部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】ろう付け性が良好で、かつ耐食性に優れ、長期に亘って良好な熱交換性能を発揮することができる熱交換器用の部材を提供する。
【解決手段】最大粒径30μm以下のSi粉末をZnを含有しないフッ化物系フラックスとともに塗布したチューブとフィンとを備え、前記チューブがろう付け後電位においてフィンよりも50mV以上貴である材質からなる。最大粒径30μm以下のSi粉末を用いてろう付することでろう付時のチューブの局部溶融が生じることなく良好にろう付けでき、チューブがフィンより50mV以上貴であることでフィンの犠牲陽極効果によって十分に防食され、Znをほとんど含有しないフィレットが形成され、該フィレットがZn含有フィンに比べ貴であるためフィンによって防食され、長時間使用でも熱交換性能を損なうことがない。
【選択図】図1
【解決手段】最大粒径30μm以下のSi粉末をZnを含有しないフッ化物系フラックスとともに塗布したチューブとフィンとを備え、前記チューブがろう付け後電位においてフィンよりも50mV以上貴である材質からなる。最大粒径30μm以下のSi粉末を用いてろう付することでろう付時のチューブの局部溶融が生じることなく良好にろう付けでき、チューブがフィンより50mV以上貴であることでフィンの犠牲陽極効果によって十分に防食され、Znをほとんど含有しないフィレットが形成され、該フィレットがZn含有フィンに比べ貴であるためフィンによって防食され、長時間使用でも熱交換性能を損なうことがない。
【選択図】図1
Description
この発明は、自動車のエアコンコンデンサなどに好適なアルミニウム製熱交換器の製造に供される、耐食性に優れたアルミニウム製熱交換器用部材に関するものである。
ろう付によって製造されるアルミニウム製熱交換器では、これまでAl製の芯材にAl−Si合金ろう材をクラッドしたブレージングシートが広く使用されてきているが、これを用いなくともSi粉末をフラックスとバインダとの混合物の形でチューブ(押出管など)の表面に塗布したものを使用することによって安価に製品が製造できるようになっている。しかも、この製品において亜鉛を含むフラックスを用いることによって、ろう付時の加熱でチューブ表面から内部に亜鉛が拡散するため、表面で亜鉛濃度が高く内部で低くなるため、チューブには表面で電位が低く、内部で高い電位勾配が形成される。このため、本来、アルミニウム合金は孔食が生じやすいにも拘わらず、腐食が生じても全面腐食となり、従来問題となっていた孔食発生によるチューブの冷媒漏れや強度低下を抑制することができる(例えば特許文献1参照)。
特開2004−330233号公報
しかし、上記方法では確かにチューブの耐食性は良好であるものの、ろう付時にフラックス中の亜鉛成分がフィンとチューブの接合部であるフィレット中に他の部分より多く濃縮されるため、この部分の電位が最も卑となり、フィレットが腐食し易くなる。そしてフィレットが腐食しつくされるとチューブはフィンとの接触が絶たれ、チューブからフィンへの熱伝導が著しく低下するため、比較的早く熱交換性能が低下する。 また、この種のろう付では、ろう付時にSi粉末が周囲のアルミニウムと合金化してAl−Si合金ろうを形成するため、チューブの局部溶融による凹みが生じ、極端な場合にはろう付時にチューブに貫通孔が生じることがある。また、チューブに凹みが生じると製品の使用時にここを起点に腐食が生じやすくなることもある。
このようなことから、なんら問題なくろう付でき、フィレットの耐食性も良好で、かつチューブの腐食も抑えられ、優れた熱交換性能を維持したまま、長期間の使用に耐え得る熱交換器が望まれている。
このようなことから、なんら問題なくろう付でき、フィレットの耐食性も良好で、かつチューブの腐食も抑えられ、優れた熱交換性能を維持したまま、長期間の使用に耐え得る熱交換器が望まれている。
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、ろう付け性が良好で、かつ耐食性に優れ、長期に亘って良好な熱交換性能を発揮することができる熱交換器用部材を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の耐食性に優れたアルミニウム製熱交換器用部材のうち、第1の本発明は、最大粒径30μm以下のSi粉末をZnを含有しないフッ化物系フラックスとともに塗布したチューブとフィンとを備え、前記チューブがろう付け後電位においてフィンよりも50mV以上貴である材質からなることを特徴とする。
第2の本発明の耐食性に優れたアルミニウム製熱交換器用部材は、前記第1の本発明において、前記のZnを含有しないフッ化物系フラックスがKAlF4、K3AlF6、K2SiF6の1種または2種以上からなることを特徴とする。
第3の本発明の耐食性に優れたアルミニウム製熱交換器用部材は、前記第1または第2の本発明において、前記Si粉末の平均粒径が1〜5μm未満であることを特徴とする。
第4の本発明の耐食性に優れたアルミニウム製熱交換器用部材は、前記第1〜第3の本発明のいずれかにおいて、前記チューブが、質量%で、Cu:0.05〜0.50、Mn:0.05〜1.50%、Si:0.10〜1.0%、Ti:0.05〜0.25%、Cr:0.05〜0.30%、Fe:0.20〜0.50%のうち1種または2種以上含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする。
第5の本発明の耐食性に優れたアルミニウム製熱交換器用部材は、前記第1〜第4の本発明のいずれかにおいて、前記フィンが、質量%で、Mn:0.8〜1.50%、Zn:0.3〜5.0%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする。
第6の本発明の耐食性に優れたアルミニウム製熱交換器用部材は、前記第1〜第4の本発明のいずれかにおいて、前記フィンの組成に、さらに質量%で、Zr:0.01〜0.20%、Ti:0.01〜0.20%、Cr:0.01〜0.20%、Fe:0.20〜0.50%、Si:0.10〜1.0%のうち1種または2種以上を含有することを特徴とする。
発明者らは、当該熱交換器では最大粒径30μm以下のSi粉末を用いてろう付することによってろう付時のチューブの局部溶融が生じることがないこと、Znを含有しないAl−Si合金ろうで表面を覆われたチューブでもフィンより50mV以上貴であるとフィンの犠牲陽極効果によって十分に防食されること、Znをほとんど含有しないフィレットはZn含有フィンに比べ貴であるため、この部位もフィンによって防食され、実環境での長時間の使用後でも熱交換性能を損なうことはないことを見出した。
上記本発明は、以上のような知見に基づいてなされたもので、Si粉末ろうを表面に塗布した押出チューブを用いてチューブとフィンがろう付される熱交換器の製造に際し、上記粉末ろうおよびフラックス等の成分にZnを含有しない塗布物を使用し、かつ、チューブ合金の電位をフィンのそれより50mV以上貴な組合せからなるものとしている。
本発明においてSi粉末はより微細なものを用い、これを均一に塗布することによって、ろう付時の加熱によってチューブ表面全体に薄いAl−Si合金溶融ろうが形成され、チューブの局部溶融がほとんど生じることがないため、チューブ表面上に凹みが生じることがなく、チューブの強度が十分保たれ、凹み発生による製品の耐食性劣化も抑えることができる。粒径が30μmを超えると上記局部溶融による貫通孔が生じるようになる。
上記観点からSi粉末の平均粒径は5μm未満が望ましい。5μm以上では局部溶融による凹みが生じるためである。また、1μm未満であるとAl−Si合金溶融ろうの形成が十分でなく、ろう付け性が著しく低下するの理由によりSi粉末の平均粒径は1μm以上が望ましい。
上記観点からSi粉末の平均粒径は5μm未満が望ましい。5μm以上では局部溶融による凹みが生じるためである。また、1μm未満であるとAl−Si合金溶融ろうの形成が十分でなく、ろう付け性が著しく低下するの理由によりSi粉末の平均粒径は1μm以上が望ましい。
また、フラックス中に亜鉛が含有されていないので、チューブ表面に形成されたろうが流動してフィンとの接触部に形成されるフィレット中に多量の亜鉛が含有されることはない。したがって、この部分がフィンよりも卑になることがなく、フィレットの耐食性も健全になる。よって、フィレットの早期腐食による熱交換性能の低下も生じることがない。
一般に、チューブ表面に塗布された亜鉛成分がろう付時の加熱で内部に拡散することによって形成される、表面が低く内部に入るに連れて高くなる電位分布のもとでは、チューブの孔食は発生せず全面腐食となるため、腐食寿命が著しく伸びることは良く知られている。本発明のチューブにはこのような電位勾配が形成されていないものの、フィンの電位がチューブのそれよりも十分に低くなっているために、フィンの犠牲防食効果によってチューブの孔食発生は抑制できる。
一般に、チューブ表面に塗布された亜鉛成分がろう付時の加熱で内部に拡散することによって形成される、表面が低く内部に入るに連れて高くなる電位分布のもとでは、チューブの孔食は発生せず全面腐食となるため、腐食寿命が著しく伸びることは良く知られている。本発明のチューブにはこのような電位勾配が形成されていないものの、フィンの電位がチューブのそれよりも十分に低くなっているために、フィンの犠牲防食効果によってチューブの孔食発生は抑制できる。
チューブの耐食性は上記のようにフィンの特性に大きく依存する。フィンとの電位差が小さい場合にはフィンの犠牲陽極効果が十分遠くまで発揮できなく、例えば、フィンとの接合部のない、チューブのヘッダー近傍部で孔食が生じることがある。この電位差を50mV以上にすることによって通常の製品のチューブは全てにわたって防食できる。
上記チューブとフィンとの接合は、フッ化物系フラックスの酸化皮膜除去効果の助けで溶融Al−Si合金ろうが流動することによって可能となる。溶融Al−Si合金ろうは、Si粉末とマトリックスのAl成分とが溶融して生成される。
フラックスとしては、通常はフッ化カリウム系フラックス(KAlF4+K3AlF6)で十分であり、この技術が広く利用されているが、Si粉末が微細になるとフッ化カリウム系のフラックスでは上記効果が必ずしも強力ではないため、ろう付炉雰囲気の酸素濃度を例えば、10ppm以下のように、かなり下げないと十分な接合が得られないことがある。このような場合には、K2SiF6をフラックスの一部、または全部として用いることによって数百ppmの酸素濃度雰囲気でも十分満足できる接合が可能である。
上記チューブとフィンとの接合は、フッ化物系フラックスの酸化皮膜除去効果の助けで溶融Al−Si合金ろうが流動することによって可能となる。溶融Al−Si合金ろうは、Si粉末とマトリックスのAl成分とが溶融して生成される。
フラックスとしては、通常はフッ化カリウム系フラックス(KAlF4+K3AlF6)で十分であり、この技術が広く利用されているが、Si粉末が微細になるとフッ化カリウム系のフラックスでは上記効果が必ずしも強力ではないため、ろう付炉雰囲気の酸素濃度を例えば、10ppm以下のように、かなり下げないと十分な接合が得られないことがある。このような場合には、K2SiF6をフラックスの一部、または全部として用いることによって数百ppmの酸素濃度雰囲気でも十分満足できる接合が可能である。
上記観点から、本熱交換器用部材に含まれるチューブの材質は、耐食性に優れると共に、できるだけ電気化学的に貴な合金であることが望ましい。Cu、Mn、Si、Ti、Cr、Feなどの合金元素はこのような特性を付与するために含有される。好適な含有量は、Cu:0.05〜0.50、Mn:0.05〜1.50%、Si:0.10〜1.0%、Ti:0.05〜0.25%、Cr:0.05〜0.30%、Fe:0.20〜0.50%である。なお、これらの元素には材料強度を向上させる効果も付与できる。それぞれ、上限を超える量の含有ではさらに優れた特性を付与できないばかりでなく、材料の加工性などを劣化させる。一方、下限未満では狙いの特性を付与できない。
同様に、本熱交換器用部材に含まれるフィンの材質は、耐食性に優れると共に、できるだけ電気化学的に卑な合金であり、ろう付時の加熱で容易に変形しない高温強度に優れ、かつ、製品として室温強度にも優れた合金であることが必要とされる。
Znは耐食性の低下を最少に抑え、電位を有効に卑にすることができるために含有される。一方、Mn、Zr、Ti、Cr、Fe、Siの合金元素はいずれも高温と室温強度向上のために含有される。好適な含有量は、Mn:0.8〜1.50%、Zn:0.3〜5.0%、Zr:0.01〜0.20%、Ti:0.01〜0.20%、Cr:0.01〜0.20%、Fe:0.20〜0.50%、Si:0.10〜1.0%である。それぞれ上限を超える量の含有ではさらに優れた特性を付与できないばかりでなく、材料の加工性などを劣化させる。一方、下限未満では狙いの特性を付与できない。
Znは耐食性の低下を最少に抑え、電位を有効に卑にすることができるために含有される。一方、Mn、Zr、Ti、Cr、Fe、Siの合金元素はいずれも高温と室温強度向上のために含有される。好適な含有量は、Mn:0.8〜1.50%、Zn:0.3〜5.0%、Zr:0.01〜0.20%、Ti:0.01〜0.20%、Cr:0.01〜0.20%、Fe:0.20〜0.50%、Si:0.10〜1.0%である。それぞれ上限を超える量の含有ではさらに優れた特性を付与できないばかりでなく、材料の加工性などを劣化させる。一方、下限未満では狙いの特性を付与できない。
以上説明したように、本発明の耐食性に優れたアルミニウム製熱交換器用部材によれば、最大粒径30μm以下のSi粉末をZnを含有しないフッ化物系フラックスとともに塗布したチューブとフィンとを備え、前記チューブがろう付け後電位においてフィンよりも50mV以上貴である材質からなるので、ろう付けに際し、良好なろう付け性が得られ、ろう付け後においては優れた耐食性を発揮し、腐食に伴う経時的な熱交換性能の劣化を回避することができる。
以下に、本発明の一実施形態を説明する。
熱交換器用チューブには、好適にはCu:0.05〜0.50、Mn:0.05〜1.50%、Si:0.10〜1.0%、Ti:0.05〜0.25%、Cr:0.05〜0.30%、Fe:0.20〜0.50%のうち1種または2種以上含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有するAl合金を用いる。該Al合金を常法により溶製し、通常は押出加工を経てチューブ2とされる。この実施形態では、チューブ2は、多穴管構造とされ、内部に、複数の通路2aが形成されている。
熱交換器用チューブには、好適にはCu:0.05〜0.50、Mn:0.05〜1.50%、Si:0.10〜1.0%、Ti:0.05〜0.25%、Cr:0.05〜0.30%、Fe:0.20〜0.50%のうち1種または2種以上含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有するAl合金を用いる。該Al合金を常法により溶製し、通常は押出加工を経てチューブ2とされる。この実施形態では、チューブ2は、多穴管構造とされ、内部に、複数の通路2aが形成されている。
また、熱交換器用フィンには、好適には、Mn:0.8〜1.50%、Zn:0.3〜5.0%を含有し、必要に応じてさらにZr:0.01〜0.20%、Ti:0.01〜0.20%、Cr:0.01〜0.20%、Fe:0.20〜0.50%、Si:0.10〜1.0%のうち1種または2種以上を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有するAl合金を用いる。該Al合金を常法により溶製し、圧延工程などを経て波形形状のフィン3とされる。なお、チューブ2およびフィン3の製造方法は、本発明としては特に限定をされるものではなく、既知の製法を適宜採用することができる。
上記チューブ2には、Si粉末ろう材とZnを含有しないフッ化物フラックスと、必要に応じてバインダ、溶剤を加えた塗布物が塗布される。上記Si粉末は、最大粒径が30μm以下であり、好適には平均粒径が1〜5μm未満のものが用いられる。フッ化物フラックスには、KAlF4、K3AlF6、K2SiF6の1種または2種以上を用いることができ、好適には、K2SiF6の単体またはこれを含むフラックスが用いられる。なお、フラックスのサイズは、本発明としては特に限定をされないが、平均10μm以下が望ましい。これは、10μmを超えるとろう付け時に製品中央部の縮みが発生し、ろう付け後にフィンの剥がれが生じることの理由による。また、バインダには、既知のものを用いることができ、好適にはアクリル系樹脂が用いられる。これら材料と水、アルコールなどの適宜材料の溶剤を混合して塗布物とする。これら材料の混合比も本発明としては特に限定をされるものではないが、好適には、Si粉末:フラックス:バインダ:アルコール=2〜4:7〜15:1〜3:13〜25の混合比とする。
上記塗布物は、適宜の方法によりチューブ表面に塗布される。塗布物の塗布方法は特に限定をされるものではなく、スプレー法、シャワー法、フローコーター法、ロールコータ法、刷毛塗り法、浸漬法などを適宜採用することができる。
なお、塗布物の塗布量は、Si粉末相当で1〜5g/m2の範囲が望ましい。これは、下限未満では、形成される溶融ろうの量が不足して、接合強度が十分でなく、上限を超えると、チューブの溶融量が増加してチューブの肉厚が減少し、好ましくない。
なお、塗布物の塗布量は、Si粉末相当で1〜5g/m2の範囲が望ましい。これは、下限未満では、形成される溶融ろうの量が不足して、接合強度が十分でなく、上限を超えると、チューブの溶融量が増加してチューブの肉厚が減少し、好ましくない。
上記チューブ2とフィン3とは、必要に応じてヘッダープレート4などとともに互いに組み付けられて熱交換器用部材1が構成されて、ろう付けに供される。ろう付けに際しては、不活性雰囲気などの適当な雰囲気で適温に加熱して、ろう材を溶解させる。この際の加熱温度としては580〜620℃が例示される。また、加熱保持時間としては1〜10分が挙げられる。ただし、これら温度および加熱時間は例示であり、本発明としては特定の条件に限定されるものではない。
ろう付に際しては、チューブのマトリックスの一部がろうとなって、部材同士が良好にろう付される。
ろう付に際しては、チューブのマトリックスの一部がろうとなって、部材同士が良好にろう付される。
上記ろう付けに際し、フラックスは、被ろう付け材の表面酸化皮膜を除去し、ろう付け加熱中の酸化を防止し、さらにろうの広がり、ぬれを促進してろう付け性を向上させる。
上記ろう付けに際しては、Si粉末によるチューブの局部溶解もなく、良好なろう付けがなされ、チューブとフィンとの間に適度なフィレットが形成される。さらにろう付けされた熱交換器は、チューブの電位がフィンよりも50mV以上貴になっており、チューブの腐食が効果的に防止される。また、フィレットにはろう材やフラックスからのZn供給がなく、フィレットが優先的に腐食されることがないので、経時的な熱交換効率の低下が防止される。
上記ろう付けに際しては、Si粉末によるチューブの局部溶解もなく、良好なろう付けがなされ、チューブとフィンとの間に適度なフィレットが形成される。さらにろう付けされた熱交換器は、チューブの電位がフィンよりも50mV以上貴になっており、チューブの腐食が効果的に防止される。また、フィレットにはろう材やフラックスからのZn供給がなく、フィレットが優先的に腐食されることがないので、経時的な熱交換効率の低下が防止される。
表1に化学組成(残部Alおよび不可避不純物)を示すチューブ用合金1〜4と比較合金、表2に化学組成(残部Alおよび不可避不純物)を示すフィン用合金1〜3と比較合金を、それぞれ常法により溶製した。表中の電位は、ろう付け後に測定される電位である。チューブ用合金は均質化熱処理後、熱間押出で図1に示すような肉厚0.25mmの扁平多穴管とした。一方、フィン用合金は均質化処理後、熱間圧延と冷間圧延にて0.07mm厚さの板とした。
次に、チューブには平均粒径2.5μm、最大粒径30μmのSi粉末とフッ化物系フラックスをアクリル系樹脂とイソプロピルアルコールとの混合物としてロール塗布し、乾燥させた。Si粉末塗布量は3.0g/m2とし、フラックスの種類および塗布量は表3に示すとおりとした。図2および表3に示すようにチューブ2とコルゲート加工したフィン3を組合せて供試材としてミニコアを組立て、窒素ガス雰囲気の炉中で600℃、3分保持のろう付を行った。上記ろう付けにおいて、いずれのコアも接合は良好であった。
これら種々の材料組合せから成るコアをSWAAT20日間の腐食試験に供した。試験後にチューブに生じた腐食の深さを測定し、その結果を表3に示した。チューブの腐食は本発明のコアでは、いずれもフィンの接合のない両端部で発生したのに対し、比較コアでは位置に依らず腐食が発生していた。なお、いずれのコアでも、チューブとフィンの接合部フィレットの腐食は軽微であった。
表3に示すように、本発明のコアでは、いずれもチューブの電位がフィンより充分貴であることによってチューブの腐食の程度はわずかであるのに対し、比較コアでは電位差が僅かであったり、電位関係が逆であることによって、腐食が激しいことが明らかである。
以上のように、本発明の部材によって製造された熱交換器ではチューブの耐食性が極めて良好で、長期間の使用後にもガス漏れなどの問題を生じることがないばかりでなく、製品の耐圧強度や熱交換性能も維持できるなど、実用上、有益である。
以上のように、本発明の部材によって製造された熱交換器ではチューブの耐食性が極めて良好で、長期間の使用後にもガス漏れなどの問題を生じることがないばかりでなく、製品の耐圧強度や熱交換性能も維持できるなど、実用上、有益である。
1 熱交換器用部材
2 チューブ
3 フィン
2 チューブ
3 フィン
Claims (6)
- 最大粒径30μm以下のSi粉末をZnを含有しないフッ化物系フラックスとともに塗布したチューブとフィンとを備え、前記チューブがろう付け後電位においてフィンよりも50mV以上貴である材質からなることを特徴とする耐食性に優れたアルミニウム製熱交換器用部材。
- 前記のZnを含有しないフッ化物系フラックスがKAlF4、K3AlF6、K2SiF6の1種または2種以上からなることを特徴とする耐食性に優れた請求項1記載のアルミニウム製熱交換器用部材。
- 前記Si粉末の平均粒径が1〜5μm未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の耐食性に優れたアルミニウム製熱交換器用部材。
- 前記チューブが、質量%で、Cu:0.05〜0.50、Mn:0.05〜1.50%、Si:0.10〜1.0%、Ti:0.05〜0.25%、Cr:0.05〜0.30%、Fe:0.20〜0.50%のうち1種または2種以上含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐食性に優れたアルミニウム製熱交換器部材。
- 前記フィンが、質量%で、Mn:0.8〜1.50%、Zn:0.3〜5.0%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐食性に優れたアルミニウム製熱交換器部材。
- 前記フィンの組成に、さらに質量%で、Zr:0.01〜0.20%、Ti:0.01〜0.20%、Cr:0.01〜0.20%、Fe:0.20〜0.50%、Si:0.10〜1.0%のうち1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の耐食性に優れたアルミニウム製熱交換器部材。
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