JP2005207728A - 熱交換器及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高耐食性の熱交換器を製造することができ、かつ良好なろう付け接合を実現できる熱交換器の製造方法を提供する。
【解決手段】 この発明の製造方法は、アルミニウム製チューブ芯材の表面にAl−Si系合金からなるろう材を溶射して溶射層を形成せしめてチューブ2を製作する工程と、前記チューブ2の表面に、亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスを含有したフラックス組成物を塗布する工程と、前記チューブ2にフィン3を組み付ける工程と、前記組み付け状態で加熱することによりチューブ2とフィン3とをろう付け接合する工程とを包含することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 この発明の製造方法は、アルミニウム製チューブ芯材の表面にAl−Si系合金からなるろう材を溶射して溶射層を形成せしめてチューブ2を製作する工程と、前記チューブ2の表面に、亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスを含有したフラックス組成物を塗布する工程と、前記チューブ2にフィン3を組み付ける工程と、前記組み付け状態で加熱することによりチューブ2とフィン3とをろう付け接合する工程とを包含することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
この発明は、耐食性に優れた熱交換器及びその製造方法に関する。
なお、この明細書において、「アルミニウム」の語は、アルミニウム及びその合金を含む意味で用いる。また、この明細書において、「Al」の表記は、アルミニウム(金属単体)を意味する。
アルミニウム製熱交換器としては、複数本の扁平チューブが相互間にフィンを介在させた状態で厚さ方向に積層され、これらチューブの両端に中空ヘッダーが連通接続された構成のものが公知であり、扁平チューブとフィンとはろう付けにより接合一体化されている。このようなアルミニウム製熱交換器は、このまま使用を続けているとチューブに孔食が発生して、これがチューブ内面にまで達して貫通し、熱交換器としての機能が損なわれてしまうことから、チューブの表面に亜鉛を含有したろう材(Al−Si−Zn系合金ろう材)を溶射することによってチューブ表面にZnを拡散せしめて犠牲防食することが従来より行われていた(特許文献1、2参照)。
しかるに、上記従来技術では、Al−Si−Zn系合金ろう材を溶射した際にろう材が高温になることから融点の低いZnが蒸散するという現象が生じ、このために溶射によるZnの付着量のばらつきが大きいという問題があった。
一方、平坦なチューブ(ろう材が溶射されていないもの)に亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスを塗布することによって、チューブ表面にZnを拡散せしめて犠牲防食する方法が知られているが、この方法ではフラックスが炉内で脱落するためにZnを均一に付着させることができなかった。そこで、チューブの表面に亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックス及びアクリル系樹脂からなる混合溶液を塗布した後、このチューブに、ろう材が被覆されたフィンを組み付け、加熱することによってこれらをろう付接合して熱交換器を製造する方法が提案されている(特許文献3、4参照)。この方法によれば、フラックスが炉内で脱落することを防止することができる。
特開昭59−10467号公報(特許請求の範囲、第2頁左下欄)
特開平1−107961号公報(特許請求の範囲)
特表2003−514671号公報(特許請求の範囲)
特開2003−225760号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、上記特許文献3、4に記載の技術では、次のような問題があった。即ち、アクリル系樹脂は高い粘着性を有しており、アクリル系樹脂は完全に蒸発する温度が400℃以上の高温であるために、加熱によるろう付けの際にアクリル系樹脂が十分に蒸発せずにチューブ表面に残存してろう付けが阻害されることが生じやすいという問題があった。
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、チューブ表面に所望量のZnを付着させることができると共にZnを安定して薄く均一に拡散させることができて高耐食性の熱交換器を製造することができ、かつ良好なろう付け接合を実現できる熱交換器の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
[1]アルミニウム製チューブ芯材の表面にAl−Si系合金からなるろう材を溶射して溶射層を形成せしめてチューブを製作する工程と、前記チューブの表面に、亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスを含有したフラックス組成物を塗布する工程と、前記チューブにフィンを組み付ける工程と、前記組み付け状態で加熱することによりチューブとフィンとをろう付け接合する工程とを包含することを特徴とする熱交換器の製造方法。
[2]アルミニウム製チューブ芯材の表面にAl−Si系合金からなるろう材を溶射して溶射層を形成せしめてチューブを製作する工程と、前記チューブの表面に、昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で90質量%以上が蒸発する性状を有した樹脂からなるバインダー材及び亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスを含有したフラックス組成物を塗布する工程と、前記チューブにフィンを組み付ける工程と、前記組み付け状態で加熱することによりチューブとフィンとをろう付け接合する工程とを包含することを特徴とする熱交換器の製造方法。
[3]前記樹脂としてブチル系樹脂を用いる前項2に記載の熱交換器の製造方法。
[4]アルミニウム製チューブ芯材の表面にAl−Si系合金からなるろう材を溶射して溶射層を形成せしめてチューブを製作する工程と、前記チューブの表面に、昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で90質量%以上が蒸発する性状を有したポリエチレンオキサイドからなるバインダー材及び亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスを含有したフラックス組成物を塗布する工程と、前記チューブにフィンを組み付ける工程と、前記組み付け状態で加熱することによりチューブとフィンとをろう付け接合する工程とを包含することを特徴とする熱交換器の製造方法。
[5]前記ポリエチレンオキサイドの分子量が10000〜1500000である前項4に記載の熱交換器の製造方法。
[6]アルミニウム製チューブ芯材の表面にAl−Si系合金からなるろう材を溶射して溶射層を形成せしめてチューブを製作する工程と、前記チューブの表面に、昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で90質量%以上が蒸発する性状を有したパラフィンからなるバインダー材及び亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスを含有したフラックス組成物を塗布する工程と、前記チューブにフィンを組み付ける工程と、前記組み付け状態で加熱することによりチューブとフィンとをろう付け接合する工程とを包含することを特徴とする熱交換器の製造方法。
[7]前記パラフィンの分子量が200〜600である前項6に記載の熱交換器の製造方法。
[8]前記パラフィンとして、パラフィンワックス、イソパラフィン及びシクロパラフィンからなる群より選ばれる1種または2種以上のパラフィンを用いる前項6に記載の熱交換器の製造方法。
[9]前記フラックス組成物における混合質量比をバインダー材/亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスを含有してなるフラックス成分=20/80〜80/20の範囲に設定する前項2〜8のいずれか1項に記載の熱交換器の製造方法。
[10]前記亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスとしてKZnF3 を用いる前項1〜9のいずれか1項に記載の熱交換器の製造方法。
[11]前記亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスを5〜20g/m2 塗布する前項1〜10のいずれか1項に記載の熱交換器の製造方法。
[12]前記Al−Si系合金ろう材として、Si:6〜15質量%を含有し、残部Al及び不可避不純物よりなる合金ろう材を用いる前項1〜11のいずれか1項に記載の熱交換器の製造方法。
[13]前記Al−Si系合金ろう材として、Si:6〜15質量%を含有し、さらにCu:0.3〜0.6質量%、Mn:0.3〜1.5質量%のうち少なくともいずれか一方を含有し、残部Al及び不可避不純物よりなる合金ろう材を用いる前項1〜11のいずれか1項に記載の熱交換器の製造方法。
[14]前記Al−Si系合金ろう材として、Si:6〜15質量%を含有し、さらにCu:0.35〜0.55質量%、Mn:0.4〜1.0質量%のうち少なくともいずれか一方を含有し、残部Al及び不可避不純物よりなる合金ろう材を用いる前項1〜11のいずれか1項に記載の熱交換器の製造方法。
[15]前記フィンとして、ろう材がクラッドされていないフィンを用いる前項1〜14のいずれか1項に記載の熱交換器の製造方法。
[16]前記チューブとして、押出により成形された扁平チューブを用いる前項1〜15のいずれか1項に記載の熱交換器の製造方法。
[17]前記加熱温度を550〜620℃の範囲に設定してろう付け接合する前項1〜16のいずれか1項に記載の熱交換器の製造方法。
[18]前項1〜17のいずれか1項に記載の製造方法により製造された熱交換器。
[1]の発明では、チューブの表面に、亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスを塗布するので、ろう付け時の加熱によってこのフラックス中のZnがチューブ表面のAlと置換され、これによりチューブ表面に亜鉛拡散層が形成される。この時、Znを安定して薄く均一に拡散させることができるので、即ちチューブにおけるZn拡散深さは小さくなるので、得られた熱交換器は耐食性に優れている。また、Al−Si系合金からなるろう材が溶射されたチューブの表面には微細な凹凸や孔が存在しており、従ってチューブに塗布された前記亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスは、これら微細な凹凸や孔に捕捉される(アンカー効果)ので、チューブ表面に付着したフラックスの脱落が生じ難くなる。
[2]の発明では、チューブの表面に、亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスを塗布するので、ろう付け時の加熱によってこのフラックス中のZnがチューブ表面のAlと置換され、これによりチューブ表面に亜鉛拡散層が形成される。この時、Znを安定して薄く均一に拡散させることができるので、即ちチューブにおけるZn拡散深さは小さくなるので、得られた熱交換器は耐食性に優れている。また、この亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスと共に樹脂を塗布するので、チューブ表面に付着したフラックスがろう付炉内等で脱落することを効果的に防止することができる。かつ、Al−Si系合金からなるろう材が溶射されたチューブの表面には微細な凹凸や孔が存在しており、従ってチューブに塗布された前記亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスは、これら微細な凹凸や孔に捕捉される(アンカー効果)ので、チューブ表面に付着したフラックスの脱落を十分に防止することができる。これにより、所望量のZnをチューブ表面に付着させることができる(Zn付着量のばらつきがない)。更に、前記樹脂として、昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で90質量%以上が蒸発する性状を有した樹脂を用いているから、ろう付け温度ではその殆どが蒸発しており、従ってろう付けが阻害されることがなくて良好なろう付け接合を実現できる。本構成では、チューブ表面の溶射層によるアンカー効果の存在によって、高い粘着性を有さず比較的低い温度で蒸発する樹脂(昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で90質量%以上が蒸発する性状を有した樹脂)の使用が可能となったものであり、この点が技術的に特に重要である。
[3]の発明では、樹脂としてブチル系樹脂を用いるので、チューブ表面の黒色化を効果的に防止することができる利点がある。
[4]の発明では、チューブの表面に、亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスを塗布するので、ろう付け時の加熱によってこのフラックス中のZnがチューブ表面のAlと置換され、これによりチューブ表面に亜鉛拡散層が形成される。この時、Znを安定して薄く均一に拡散させることができるので、即ちチューブにおけるZn拡散深さは小さくなるので、得られた熱交換器は耐食性に優れている。また、この亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスと共にポリエチレンオキサイドを塗布するので、チューブ表面に付着したフラックスがろう付炉内等で脱落することを効果的に防止することができる。かつ、Al−Si系合金からなるろう材が溶射されたチューブの表面には微細な凹凸や孔が存在しており、従ってチューブに塗布された前記亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスは、これら微細な凹凸や孔に捕捉される(アンカー効果)ので、チューブ表面に付着したフラックスの脱落を十分に防止することができる。これにより、所望量のZnをチューブ表面に付着させることができる(Zn付着量のばらつきがない)。更に、前記ポリエチレンオキサイドとして、昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で90質量%以上が蒸発する性状を有したポリエチレンオキサイドを用いているから、ろう付け温度ではその殆どが蒸発しており、従ってろう付けが阻害されることがなくて良好なろう付け接合を実現できる。加えて、ポリエチレンオキサイドを塗布するので、チューブ表面の黒色化を効果的に防止することができる。本構成では、チューブ表面の溶射層によるアンカー効果の存在によって、高い粘着性を有さず比較的低い温度で蒸発するポリエチレンオキサイド(昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で90質量%以上が蒸発する性状を有したポリエチレンオキサイド)の使用が可能となったものであり、この点が技術的に特に重要である。
[5]の発明では、分子量10000〜1500000のポリエチレンオキサイドを用いるので、ろう付け温度ではポリエチレンオキサイドが確実に蒸発するものとなり、従ってろう付けが阻害されることが全くなくて良好なろう付け接合を確実に実現できる。
[6]の発明では、チューブの表面に、亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスを塗布するので、ろう付け時の加熱によってこのフラックス中のZnがチューブ表面のAlと置換され、これによりチューブ表面に亜鉛拡散層が形成される。この時、Znを安定して薄く均一に拡散させることができるので、即ちチューブにおけるZn拡散深さは小さくなるので、得られた熱交換器は耐食性に優れている。また、この亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスと共にパラフィンを塗布するので、チューブ表面に付着したフラックスがろう付炉内等で脱落することを効果的に防止することができる。かつ、Al−Si系合金からなるろう材が溶射されたチューブの表面には微細な凹凸や孔が存在しており、従ってチューブに塗布された前記亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスは、これら微細な凹凸や孔に捕捉される(アンカー効果)ので、チューブ表面に付着したフラックスの脱落を十分に防止することができる。これにより、所望量のZnをチューブ表面に付着させることができる(Zn付着量のばらつきがない)。更に、前記パラフィンとして、昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で90質量%以上が蒸発する性状を有したパラフィンを用いているから、ろう付け温度ではその殆どが蒸発しており、従ってろう付けが阻害されることがなくて良好なろう付け接合を実現できる。加えて、パラフィンを塗布するので、チューブ表面の黒色化を効果的に防止することができる。本構成では、チューブ表面の溶射層によるアンカー効果の存在によって、高い粘着性を有さず比較的低い温度で蒸発するパラフィン(昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で90質量%以上が蒸発する性状を有したパラフィン)の使用が可能となったものであり、この点が技術的に特に重要である。
[7]の発明では、分子量200〜600のパラフィンを用いるので、ろう付け温度ではパラフィンが確実に蒸発するものとなり、従ってろう付けが阻害されることが全くなくて良好なろう付け接合を確実に実現できる。
[8]の発明では、パラフィンとして、パラフィンワックス、イソパラフィン及びシクロパラフィンからなる群より選ばれる1種または2種以上のパラフィンを用いるので、ろう付け温度ではパラフィンが確実に蒸発するものとなり、従ってろう付けが阻害されることが全くなくて良好なろう付け接合を確実に実現できる。
[9]の発明では、チューブ表面に付着したフラックスの脱落を確実に防止することができる。
[10]の発明では、フラックスとしてKZnF3 を用いており、ろう付け時の加熱によりこのフラックス中のZnがチューブ表面のAlと置換される一方、置換されて生成したKAlF4 はフラックスとして優れた効果を発揮するので、さらに良好なろう付け接合を確実に実現することができる。
[11]の発明では、フラックスを5〜20g/m2 塗布するので、耐食性をさらに向上できると共に、フィン剥がれの発生も防止することができる。
[12]の発明では、エロージョンを発生させることなく良好なろう付け接合を行うことができる。
[13]の発明では、チューブの腐食深さを低減することができるので、チューブの薄肉化の要請にも十分に対応できる。
[14]の発明では、チューブの腐食深さをさらに低減することができる。
[15]の発明では、生産効率が向上するので、高品質の熱交換器を低コストで製造できる。
[16]の発明では、生産効率が向上するので、高品質の熱交換器を低コストで製造できる。
[17]の発明では、ろう付け時の加熱温度を前記特定範囲に設定しているので、Znの拡散を十分に行わしめることができると共に、良好なろう付け接合を効率よく行うことができる。
[18]の発明では、高耐食性であると共に優れたろう付け接合強度を有した熱交換器が提供される。
図1は、この発明の一実施形態に係る熱交換器を示す正面図である。この熱交換器(1)は、自動車用カーエアコンにおける冷凍サイクルのコンデンサとして用いられるものであって、マルチフロータイプの熱交換器を構成するものである。
即ち、この熱交換器(1)は、平行に配置された垂直方向に沿う左右一対の中空ヘッダー(4)(4)間に、熱交換管路としての水平方向に沿う多数本の扁平なチューブ(2)が、各両端を両中空ヘッダー(4)(4)に連通接続した状態で並列に配置されると共に、これらチューブ(2)の各間及び最外側のチューブの外側にコルゲートフィン(3)が配置され、更に最外側のコルゲートフィン(3)の外側にサイドプレート(10)が配置されている。
前記チューブ(2)は、図2に示すように、アルミニウムの中空押出材からなり、長さ方向に連続して延びる仕切壁(2a)によって内部が複数本の冷媒流路(2b)に区分けされている。このチューブ(2)は、チューブ芯材(6)の表面にAl−Si系合金からなるろう材が溶射されてろう材溶射層(7)が形成されたものからなり、チューブ芯材(6)の表面には、ろう付けに用いるフラックス中のZnがチューブ芯材(6)表面のAlと置換されることで形成された亜鉛拡散層が形成されている。また、コルゲートフィン(3)は、ろう材がクラッドされていないフィンにより構成されている。そして、チューブ(2)とフィン(3)とが交互に積層されて組み付けられた状態でろう材によりろう付け接合されている。
この発明に係る熱交換器(1)の製造方法について説明する。まず、アルミニウム製チューブ芯材(6)の表面にAl−Si系合金からなるろう材を溶射してろう材溶射層(7)を形成せしめてチューブ(2)を製作する。
前記Al−Si系合金ろう材としては、特に限定されるものではないが、Si:6〜15質量%を含有し、さらにCu:0.3〜0.6質量%、Mn:0.3〜1.5質量%のうち少なくともいずれか一方を含有し、残部Al及び不可避不純物よりなる合金ろう材を用いるのが好ましい。Siの添加はろう付けするために必須であるが、Siの含有率が6質量%未満ではろう付け接合力が低下するので好ましくないし、Siの含有率が15質量%を超えるとエロージョンが発生してチューブを浸食することが懸念されるので好ましくない。特に好ましいSi含有率は6〜12.5質量%である。また、Cu及び/又はMnの添加により、フィレットの電位を上昇させることができ、腐食深さを低減せしめることが可能となる。Cuの含有率が0.3質量%未満では前記腐食深さ低減効果が殆ど得られないので好ましくないし、Cuの含有率が0.6質量%を超えると粒界腐食が発生しやすくチューブの耐食性が低下するので好ましくない。特に好ましいCu含有率は0.35〜0.55質量%である。また、Mnの含有率が0.3質量%未満では前記腐食深さ低減効果が殆ど得られないので好ましくないし、Mnの含有率が1.5質量%を超えると粗大な金属間化合物を生成しやすくなりろう付け接合性が低下するので好ましくない。特に好ましいMn含有率は0.4〜1.0質量%である。
前記Al−Si系合金ろう材には、Feは0.6質量%以下であれば含有可能であり、またIn、Sn、Ni、Ti、Cr等の金属元素もろう付け接合性に影響を及ぼさない範囲であれば含有しても良く、更にZnもチューブにおけるZn拡散層の厚さを著しく厚くして耐食性に影響を及ぼすようなことのない範囲であれば含有しても良い。
前記溶射の手法としては、特に限定されるものではないが、例えば従来から使用されているアーク溶射機を用いる手法等が挙げられる。溶射条件も特に限定されないが、形成される溶射層(7)の酸化を防止するために窒素雰囲気等の非酸化性雰囲気で溶射を行うのが好ましい。また、溶射は、溶射ガンをチューブに対して走査させつつ行うようにしても良いし、コイル状のアルミニウム材を繰り出しながらこれに固定溶射ガンで溶射するようにしても良い。或いはまた、チューブを押出機から押出しつつ、その直後に連続的に溶射するようにしても良く、この場合には生産効率を向上できる。また、溶射層は、チューブの片面のみに形成しても良いし、上下両面に形成しても良い。
次に、前記チューブ(2)の表面に、亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスを含むフラックス組成物を塗布する。このフラックス組成物としては、下記フラックス組成物A、フラックス組成物Bまたはフラックス組成物Cのいずれかを用いるのが好ましい。「フラックス組成物A」は、昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で90質量%以上が蒸発する性状を有した樹脂からなるバインダー材及び亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスを含有したフラックス組成物である。「フラックス組成物B」は、昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で90質量%以上が蒸発する性状を有したポリエチレンオキサイドからなるバインダー材及び亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスを含有したフラックス組成物である。「フラックス組成物C」は、昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で90質量%以上が蒸発する性状を有したパラフィンからなるバインダー材及び亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスを含有したフラックス組成物である。前記示差熱分析における分析開始温度は25℃に設定するものとし、示差熱分析の際のバインダー材量は20mgとする。
なお、前記フラックス組成物Aには、この発明の効果を阻害しない範囲であれば、前記特定の樹脂(昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で90質量%以上が蒸発する性状を有した樹脂)以外の他のバインダー材を混合せしめることもできる。同様に、前記フラックス組成物Bには、この発明の効果を阻害しない範囲であれば、前記特定のポリエチレンオキサイド(昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で90質量%以上が蒸発する性状を有したポリエチレンオキサイド)以外の他のバインダー材を混合せしめることもできる。また同様に、前記フラックス組成物Cには、この発明の効果を阻害しない範囲であれば、前記特定のパラフィン(昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で90質量%以上が蒸発する性状を有したパラフィン)以外の他のバインダー材を混合せしめることもできる。
前記亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスとしては、特に限定されるものではないが、例えばKZnF3 、ZnF2 等を例示できる。これらの中でも、KZnF3 を用いるのが好ましく、この場合にはこのフラックス中のZnがチューブ表面のAlと置換される一方、置換されて生成したKAlF4 はフラックスとして優れた効果を発揮するので、良好なろう付け接合を確実に実現できる利点がある。
前記フラックス組成物を塗布する手法としては、特に限定されるものではないが、例えばフラックス組成物をそのままスプレー塗布する手法、フラックス組成物を水に懸濁させてスプレー塗布する手法、フラックス組成物を帯電させてチューブに塗布する手法等が挙げられ、またバインダー材を用いる場合には、前記例示した手法に加えて、フラックス組成物をロールコートする手法等が挙げられる。なお、前記フラックス組成物には、この発明の効果を阻害しない範囲であれば、他の非腐食性フラックス(亜鉛置換反応を示さない非腐食性フラックス)を混合せしめても良い。
前記亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスの塗布量は、通常2〜30g/m2 であるが、中でも5〜20g/m2 の範囲に設定するのが好ましい。5g/m2 未満ではチューブに孔食が発生することが懸念されるので好ましくないし、20g/m2 を超えるとフィンにZnが濃縮されてフィン剥がれが生じる可能性があるので好ましくない。
前記昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で90質量%以上が蒸発する性状を有した樹脂としては、例えばブチル系樹脂等を例示できる。このような樹脂を、前記亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスと共に塗布することによって、チューブ表面に付着したフラックスがろう付炉内等で脱落することを効果的に防止できる。また、前記樹脂は、昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で90質量%以上が蒸発する性状を有しているから、ろう付け温度ではその殆どが蒸発しており、従ってろう付けが阻害されることがなくて良好なろう付け接合を行うことができる。中でも、ブチル系樹脂を用いるのが好ましく、この場合にはチューブ表面の黒色化を効果的に防止できる利点がある。前記ブチル系樹脂としては、例えばポリブテン、ポリイソブテン等を例示できる。
前記昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で90質量%以上が蒸発する性状を有したポリエチレンオキサイドとしては、例えば分子量50000のポリエチレンオキサイド、分子量1000000のポリエチレンオキサイド等を例示できる。このようなポリエチレンオキサイドを、前記亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスと共に塗布することによって、チューブ表面に付着したフラックスがろう付炉内等で脱落することを効果的に防止できる。また、前記ポリエチレンオキサイドは、昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で90質量%以上が蒸発する性状を有しているから、ろう付け温度ではその殆どが蒸発しており、従ってろう付けが阻害されることがなくて良好なろう付け接合を行うことができる。更に、ポリエチレンオキサイドをバインダー材に用いることで、チューブ表面の黒色化を防止できる。
前記ポリエチレンオキサイド(PEO)としては、分子量10000〜1500000のものを用いるのが好ましく、この場合には蒸発温度が低い上に蒸発が短時間で終了するので、ろう付け温度においてポリエチレンオキサイドが確実に蒸発するものとなり、従ってこのポリエチレンオキサイドによってろう付けが阻害されることが全くなく、十分にろう付け接合することができる。中でも、前記ポリエチレンオキサイド(PEO)としては、分子量100000〜1000000のものを用いるのがより好ましい。
前記昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で90質量%以上が蒸発する性状を有したパラフィンとしては、例えばパラフィンワックス、イソパラフィン、シクロパラフィン等を例示できる。このようなパラフィンを、前記亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスと共に塗布することによって、チューブ表面に付着したフラックスがろう付炉内等で脱落することを効果的に防止できる。また、前記パラフィンは、昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で90質量%以上が蒸発する性状を有しているから、ろう付け温度ではその殆どが蒸発しており、従ってろう付けが阻害されることがなくて良好なろう付け接合を行うことができる。更に、パラフィンをバインダー材に用いることで、チューブ表面の黒色化を防止することができる。
前記パラフィンとしては、分子量200〜600のパラフィンを用いるのが好ましく、この場合には蒸発温度が低い上に蒸発が短時間で終了するので、ろう付け温度においてパラフィンが確実に蒸発するものとなり、従ってこのパラフィンによってろう付けが阻害されることが全くなく、十分にろう付け接合することができる。中でも、前記パラフィンとしては、分子量250〜400のパラフィンを用いるのが特に好ましい。
前記フラックス組成物において、含有成分の混合質量比は、バインダー材/亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスを含有してなるフラックス成分=20/80〜80/20の範囲に設定するのが好ましい。バインダー材の含有比率が上記下限値より小さくなると、チューブ表面に付着したフラックスの脱落防止の確実性が低下するので好ましくないし、非腐食性フラックスを含有してなるフラックス成分の含有比率が上記下限値より小さくなると、チューブ表面へのZnの供給が十分に行われなくなって耐食性が低下するので好ましくない。中でも、前記フラックス組成物における混合質量比は、バインダー材/亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスを含有してなるフラックス成分=40/60〜60/40の範囲に設定するのがより好ましい。
次に、前記フラックス組成物が塗布されたチューブ(2)にフィン(3)を組み付ける。フィン(3)としては、ろう材がクラッドされていないフィンを用いる。ろう材(7)はチューブ(2)表面に設けられているので、ろう材がクラッドされたフィンを用いる必要は特にないからである。しかして、前記組み付け状態で炉中において所定温度で加熱することによりチューブ(2)とフィン(3)とをろう付け接合する。この時、他の熱交換器構成部材、例えばヘッダー(4)(4)、サイドプレート(10)(10)等も一緒に仮組みし、熱交換器全体を同時にろう付けして製作することが推奨される。こうして図1に示すような構成の熱交換器(1)を製造することができる。しかして、前記ろう付け時の加熱による温度上昇の過程で、フラックス中のZnがチューブ表面のAlと置換され(置換反応が進行し)、こうしてチューブ表面に亜鉛拡散層が形成される。この時、Znを安定して薄く均一に拡散させることができてチューブにおけるZn拡散深さは小さいので、チューブの耐食性を十分に確保することができる。
前記ろう付け接合の際の加熱温度は、550〜620℃の範囲に設定するのが好ましい。加熱温度が前記下限値より小さくなると、チューブ表面におけるZnの拡散が不十分となって犠牲防食作用が低下するので好ましくないし、一方加熱温度が前記上限値より大きくなると、ろう材がエロージョンするので好ましくない。中でも、前記ろう付け接合の際の加熱温度は、590〜610℃の範囲に設定するのが特に好ましい。
なお、上記実施形態では、チューブの表面にフラックス組成物を塗布した後に、該チューブにフィンを組み付けるようにしているが、チューブにフィンを組み付けた後にこの組付体に対してフラックス組成物を塗布するようにしても良い。
次に、この発明の具体的実施例について説明する。
<実施例1>
押出機より連続的に押し出されるアルミニウム製の扁平チューブの表裏の平坦面に、その押出直後の位置においてその上下に配置された溶射ガン(アーク溶射機)からAl−Si系合金(Si含有率6質量%、残部Al)からなるろう材を溶射してチューブを得た。上記押出扁平チューブは、アルミニウム合金(Cu含有率0.4質量%、Mn含有率0.2質量%、残部Al)を用い、温度450℃の条件で、チューブ幅:16mm、チューブ厚み(高さ):3mm、肉厚:0.5mm、中空部個数:4個の扁平チューブに押出成形した。
押出機より連続的に押し出されるアルミニウム製の扁平チューブの表裏の平坦面に、その押出直後の位置においてその上下に配置された溶射ガン(アーク溶射機)からAl−Si系合金(Si含有率6質量%、残部Al)からなるろう材を溶射してチューブを得た。上記押出扁平チューブは、アルミニウム合金(Cu含有率0.4質量%、Mn含有率0.2質量%、残部Al)を用い、温度450℃の条件で、チューブ幅:16mm、チューブ厚み(高さ):3mm、肉厚:0.5mm、中空部個数:4個の扁平チューブに押出成形した。
前記扁平チューブ(2)の表面に、KZnF3 /パラフィン=50/50(質量比)からなるフラックス組成物(パラフィン中にKZnF3 粉が分散されたもの)を塗布した。この時KZnF3 塗布量が10g/m2 となるように塗布した。
前記パラフィンとしては、パラフィンワックス(分子量300)を用いた。このパラフィンは、開始温度を25℃に設定して昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で98質量%が蒸発する性状を有していた。
次に、上記扁平チューブ(2)と、コルゲートフィン(ろう材がクラッドされていないもの)(3)とを交互に積層して(図2参照)熱交換器のコア部を組み付ける(仮組みする)と共に、ヘッダー(4)(4)、サイドプレート(10)(10)等も一緒に仮組みして組付体を得た。
次に、前記組付体を窒素雰囲気の炉中で600℃で10分間加熱してろう付けを行い、図1に示すような熱交換器を製作した。
<実施例2〜40>
各種条件(ろう材の組成、フラックス組成物の組成、KZnF3 塗布量)を表1〜4に示す条件に設定した以外は、実施例1と同様にして熱交換器を製作した。
各種条件(ろう材の組成、フラックス組成物の組成、KZnF3 塗布量)を表1〜4に示す条件に設定した以外は、実施例1と同様にして熱交換器を製作した。
なお、イソパラフィンは、開始温度を25℃に設定して昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で95質量%が蒸発する性状を有していた。また、シクロパラフィンは、開始温度を25℃に設定して昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で95質量%が蒸発する性状を有していた。
また、ブチル系樹脂としては、ポリブテンを用いた。このブチル系樹脂は、開始温度を25℃に設定して昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で95質量%が蒸発する性状を有していた。
また、ポリエチレンオキサイド(PEO)としては、分子量300000のポリエチレンオキサイド、分子量400000のポリエチレンオキサイド、分子量500000のポリエチレンオキサイド、分子量600000のポリエチレンオキサイド、分子量750000のポリエチレンオキサイドを用いた。これらポリエチレンオキサイドは、開始温度を25℃に設定して昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で98質量%が蒸発する性状を有していた。
<比較例1>
押出機より連続的に押し出されるアルミニウム製の扁平チューブの表裏の平坦面に、その押出直後の位置においてその上下に配置された溶射ガン(アーク溶射機)からZn含有Al合金ろう材(Si含有率7.5質量%、Zn含有率4質量%、Cu含有率0.4質量%、Al含有率88.1質量%)を溶射してチューブを得た。上記押出扁平チューブは、アルミニウム合金(Cu含有量0.4質量%、Mn含有率0.2質量%、残部Al)を用い、温度450℃の条件で、チューブ幅:16mm、チューブ厚み(高さ):3mm、肉厚:0.5mm、中空部個数:4個の扁平チューブに押出成形した。
押出機より連続的に押し出されるアルミニウム製の扁平チューブの表裏の平坦面に、その押出直後の位置においてその上下に配置された溶射ガン(アーク溶射機)からZn含有Al合金ろう材(Si含有率7.5質量%、Zn含有率4質量%、Cu含有率0.4質量%、Al含有率88.1質量%)を溶射してチューブを得た。上記押出扁平チューブは、アルミニウム合金(Cu含有量0.4質量%、Mn含有率0.2質量%、残部Al)を用い、温度450℃の条件で、チューブ幅:16mm、チューブ厚み(高さ):3mm、肉厚:0.5mm、中空部個数:4個の扁平チューブに押出成形した。
次に、上記扁平チューブ(2)と、コルゲートフィン(ろう材がクラッドされていないもの)(3)とを交互に積層して(図2参照)熱交換器のコア部を組み付ける(仮組みする)と共に、ヘッダー(4)(4)、サイドプレート(10)(10)等も一緒に仮組みして組付体を得た。
前記組付体に、KAlF3 (亜鉛置換反応を示さない非腐食性フラックス)を塗布した。この時、KAlF3 フラックスの塗布量が10g/m2 となるように塗布した。次に、前記組付体を窒素雰囲気の炉中で600℃で10分間加熱してろう付けを行い、熱交換器を製作した。
上記のようにして得られた各熱交換器について、「耐食性」および「フィン剥がれの有無(ろう付け接合性)」を調べた。これらの結果を表に示す。なお、各項目の評価方法は次のとおりである。
<腐食試験1>
ASTM D1141によるSWAAT試験を960時間行い、チューブに孔食が全く認められず優れた耐食性を備えているものを「◎」、チューブに孔食が僅かに認められたものの腐食深さが非常に浅くて良好な耐食性を備えているものを「○」、チューブに孔食が認められたもののチューブ内部にまで貫通するに至らなかったものを「△」、孔食がチューブ内部まで貫通したものを「×」とした。
ASTM D1141によるSWAAT試験を960時間行い、チューブに孔食が全く認められず優れた耐食性を備えているものを「◎」、チューブに孔食が僅かに認められたものの腐食深さが非常に浅くて良好な耐食性を備えているものを「○」、チューブに孔食が認められたもののチューブ内部にまで貫通するに至らなかったものを「△」、孔食がチューブ内部まで貫通したものを「×」とした。
<腐食試験2>
5%NaCl中性液による塩水噴霧・乾燥・湿潤を1サイクルとするCCT試験を180日間行った。その結果、チューブに孔食が全く認められず優れた耐食性を備えているものを「◎」、チューブに孔食が僅かに認められたものの腐食深さが非常に浅くて良好な耐食性を備えているものを「○」、チューブに孔食が認められたもののチューブ内部にまで貫通するに至らなかったものを「△」、孔食がチューブ内部まで貫通したものを「×」とした。なお、CCT試験については、(塩水噴霧1時間・乾燥2時間・湿潤21時間)を1サイクルとしてこれを180サイクル行った。
5%NaCl中性液による塩水噴霧・乾燥・湿潤を1サイクルとするCCT試験を180日間行った。その結果、チューブに孔食が全く認められず優れた耐食性を備えているものを「◎」、チューブに孔食が僅かに認められたものの腐食深さが非常に浅くて良好な耐食性を備えているものを「○」、チューブに孔食が認められたもののチューブ内部にまで貫通するに至らなかったものを「△」、孔食がチューブ内部まで貫通したものを「×」とした。なお、CCT試験については、(塩水噴霧1時間・乾燥2時間・湿潤21時間)を1サイクルとしてこれを180サイクル行った。
<フィン剥がれの有無>
SWAAT試験を960時間行った後に、フィン剥がれ(フィンのチューブからの離脱)の有無を調べ、ろう付け接合性を評価した。
SWAAT試験を960時間行った後に、フィン剥がれ(フィンのチューブからの離脱)の有無を調べ、ろう付け接合性を評価した。
表から明らかなように、この発明の製造方法で製造された実施例1〜40の熱交換器は、耐食性に優れていた。また、これらの熱交換器は、SWAAT試験を960時間行ってもフィン剥がれがなく、良好状態にろう付け接合が行われていた。
これに対し、本発明の規定範囲を逸脱する比較例1では、耐食性に劣っていた。
1…熱交換器
2…チューブ
3…フィン
4…中空ヘッダー
6…チューブ芯材
7…溶射層
2…チューブ
3…フィン
4…中空ヘッダー
6…チューブ芯材
7…溶射層
Claims (18)
- アルミニウム製チューブ芯材の表面にAl−Si系合金からなるろう材を溶射して溶射層を形成せしめてチューブを製作する工程と、
前記チューブの表面に、亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスを含有したフラックス組成物を塗布する工程と、
前記チューブにフィンを組み付ける工程と、
前記組み付け状態で加熱することによりチューブとフィンとをろう付け接合する工程とを包含することを特徴とする熱交換器の製造方法。 - アルミニウム製チューブ芯材の表面にAl−Si系合金からなるろう材を溶射して溶射層を形成せしめてチューブを製作する工程と、
前記チューブの表面に、昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で90質量%以上が蒸発する性状を有した樹脂からなるバインダー材及び亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスを含有したフラックス組成物を塗布する工程と、
前記チューブにフィンを組み付ける工程と、
前記組み付け状態で加熱することによりチューブとフィンとをろう付け接合する工程とを包含することを特徴とする熱交換器の製造方法。 - 前記樹脂としてブチル系樹脂を用いる請求項2に記載の熱交換器の製造方法。
- アルミニウム製チューブ芯材の表面にAl−Si系合金からなるろう材を溶射して溶射層を形成せしめてチューブを製作する工程と、
前記チューブの表面に、昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で90質量%以上が蒸発する性状を有したポリエチレンオキサイドからなるバインダー材及び亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスを含有したフラックス組成物を塗布する工程と、
前記チューブにフィンを組み付ける工程と、
前記組み付け状態で加熱することによりチューブとフィンとをろう付け接合する工程とを包含することを特徴とする熱交換器の製造方法。 - 前記ポリエチレンオキサイドの分子量が10000〜1500000である請求項4に記載の熱交換器の製造方法。
- アルミニウム製チューブ芯材の表面にAl−Si系合金からなるろう材を溶射して溶射層を形成せしめてチューブを製作する工程と、
前記チューブの表面に、昇温速度20℃/分の条件で示差熱分析を行った際に350℃の温度で90質量%以上が蒸発する性状を有したパラフィンからなるバインダー材及び亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスを含有したフラックス組成物を塗布する工程と、
前記チューブにフィンを組み付ける工程と、
前記組み付け状態で加熱することによりチューブとフィンとをろう付け接合する工程とを包含することを特徴とする熱交換器の製造方法。 - 前記パラフィンの分子量が200〜600である請求項6に記載の熱交換器の製造方法。
- 前記パラフィンとして、パラフィンワックス、イソパラフィン及びシクロパラフィンからなる群より選ばれる1種または2種以上のパラフィンを用いる請求項6に記載の熱交換器の製造方法。
- 前記フラックス組成物における混合質量比をバインダー材/亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスを含有してなるフラックス成分=20/80〜80/20の範囲に設定する請求項2〜8のいずれか1項に記載の熱交換器の製造方法。
- 前記亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスとしてKZnF3 を用いる請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱交換器の製造方法。
- 前記亜鉛置換反応を示す非腐食性フラックスを5〜20g/m2 塗布する請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱交換器の製造方法。
- 前記Al−Si系合金ろう材として、Si:6〜15質量%を含有し、残部Al及び不可避不純物よりなる合金ろう材を用いる請求項1〜11のいずれか1項に記載の熱交換器の製造方法。
- 前記Al−Si系合金ろう材として、Si:6〜15質量%を含有し、さらにCu:0.3〜0.6質量%、Mn:0.3〜1.5質量%のうち少なくともいずれか一方を含有し、残部Al及び不可避不純物よりなる合金ろう材を用いる請求項1〜11のいずれか1項に記載の熱交換器の製造方法。
- 前記Al−Si系合金ろう材として、Si:6〜15質量%を含有し、さらにCu:0.35〜0.55質量%、Mn:0.4〜1.0質量%のうち少なくともいずれか一方を含有し、残部Al及び不可避不純物よりなる合金ろう材を用いる請求項1〜11のいずれか1項に記載の熱交換器の製造方法。
- 前記フィンとして、ろう材がクラッドされていないフィンを用いる請求項1〜14のいずれか1項に記載の熱交換器の製造方法。
- 前記チューブとして、押出により成形された扁平チューブを用いる請求項1〜15のいずれか1項に記載の熱交換器の製造方法。
- 前記加熱温度を550〜620℃の範囲に設定してろう付け接合する請求項1〜16のいずれか1項に記載の熱交換器の製造方法。
- 請求項1〜17のいずれか1項に記載の製造方法により製造された熱交換器。
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2004
- 2004-12-22 JP JP2004370422A patent/JP2005207728A/ja active Pending
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