JP2014150119A - R−t−b系焼結磁石の製造方法 - Google Patents

R−t−b系焼結磁石の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温において、より高い固有保磁力HcJを発現することができるR−T−B系焼結磁石の製造方法を提供する。
【解決手段】1)Ndを含む希土類元素と、FeとBを含み、R14Bで表される金属間化合物を主相とする焼結体を形成し、2)Dy、Tbの少なくとも一方を含む重希土類元素と該焼結体とを加熱し、該重希土類元素を拡散させて前記金属間化合物の結晶粒の外殻部に該重希土類元素を濃化させ、3)その後に、PrとAlを含む供給源と、該重希土類元素を拡散させた焼結体とを加熱し、該焼結体にPrとAlを拡散させ、該焼結体の表層部において、前記結晶粒の粒界多重点に存在する金属相の希土類元素に占めるPrの質量比率が75%以下であり且つ前記金属相に隣接する前記結晶粒の希土類元素に占めるPrの質量比率よりも20%ポイント以上高くし、さらに、該焼結体に含有されるAlの質量比率を0.01〜0.05%ポイント増加させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、R−T−B系焼結磁石(希土類系焼結磁石)の製造方法、とりわけ希土類元素としてネオジムを含むR−T−B系焼結磁石の製造方法に関する。
14B型化合物を主相とし、主相結晶粒の結晶粒界にRリッチ相(希土類元素リッチ相)を有するR−T−B系焼結磁石(Rは希土類元素(イットリウム(Y)を含む概念)の少なくとも1種でネオジム(Nd)を必ず含み、Tは鉄(Fe)または鉄とコバルト(Co)、Bはボロンを意味する)は、高い残留磁束密度B(以下、単に「B」という場合がある)と高い固有保磁力HcJ(以下、単に「HcJ」という場合がある)とを有し、これまでに知られている各種磁石の中でも最も高い磁気エネルギー積を示すという利点に加えて、比較的安価であるという利点も有している。
このため、ハードディスクドライブのボイスコイルモータ、ハイブリッド自動車用モータ、電気自動車用モータ等の各種モータならびに家電製品等など多種多様な用途に用いられている。
例えばハイブリッド自動車用モータ、電気自動車用モータ等の各種モータ等に用いる場合、例えば140℃〜180℃のような高温下に曝される。
R−T−B系焼結磁石は、高温になるとHcJが低下し、不可逆熱減磁が起こるという問題がある。
このため、例えば特許文献1〜3に示すようにR−T−B系焼結磁石の表面から内部に重希土類元素(以下、重希土類元素のことを「RH」という場合がある)であるジスプロシウム(Dy)またはテルビウム(Tb)を拡散させて主相結晶粒の粒界近傍(主相結晶粒の外殻部)にジスプロシウム(Dy)またはテルビウム(Tb)を濃化させて高温でも高いHcJを得る方法が採られている。
また、特許文献4〜6は、ジスプロシウム(Dy)またはテルビウム(Tb)のようなRH以外に、プラセオジム(Pr)のような軽希土類元素を表面から内部に拡散させることが記載されており、特許文献6には、プラセオジム(Pr)とともにAlを拡散させることが記載されている。
WO2007/102391号公報 WO2011/007758号公報 WO2006/043348号公報 特開2005−11973号公報 特開2007−287875号公報 特開2008−263179号公報
特許文献1〜3に記載の方法によりHcJを向上させることができる。しかし、多くの用途でよりいっそうの小型化・軽量化と高効率化が求められており、さらに高温においてより高いHcJを有するR−T−B系焼結磁石が強く求められている。
一方、特許文献4〜6が開示する方法については、従来、Nd原子の一部をPr原子に置換することにより、室温ではHcJ向上の効果があると想像されるが、高温(140℃〜180℃)でのHcJ向上の効果はほとんどないと考えられていた。
これは、例えばRFe14BのRがPrの場合とNdの場合とで異方性磁界(この値が大きいほどHcJが大きくなる)の温度依存性を比べた実験結果(例えば、J.Appl.Phys.,Vol.59,No.3,p.873(1986)に示されるグラフ)からも理解できる。すなわち、室温(300K)ではRがPrの場合の方が、RがNdの場合より高い異方性磁界の値を示すが、例えば160℃(433K)のような高温では、RがNdの場合の方が、RがPrの場合より高い異方性磁界の値を示している。
このため、高温におけるHcJを向上させることを目的にPrを添加することは好ましくないと考えられていた。
従って、表面から内部にDyまたはTbを拡散させて主相結晶粒の粒界近傍にDyまたはTbを濃化させる方法が、R−T−B系焼結磁石において高温でより高いHcJを確保できる実用的な数少ない方法であった。そして、高温において、この方法で得られるHcJと比べて、より高いHcJを有するR−T−B系焼結磁石を用いたいとの要求は益々高くなっていた。
そこで、本発明は、高温において、より高い固有保磁力HcJを発現することができるR−T−B系焼結磁石の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の態様1は、1)ネオジム(Nd)を含む希土類元素と、鉄(Fe)と、ホウ素(B)とを含み、下記一般式で表される金属間化合物を主相とする焼結体を形成する工程と、2)ジスプロシウム(Dy)およびテルビウム(Tb)の少なくとも一方を含む重希土類元素供給源と、前記焼結体とを容器内に配置し、該重希土類元素供給源と該焼結体とを加熱し、該重希土類元素供給源から該焼結体にジスプロシウム(Dy)およびテルビウム(Tb)の少なくとも一方を拡散させることにより、前記金属間化合物の結晶粒の外殻部にジスプロシウム(Dy)およびテルビウム(Tb)の少なくとも一方を濃化させる工程と、3)前記工程2)の後に、プラセオジム(Pr)とアルミニウム(Al)を含むPr−Al供給源と、ジスプロシウム(Dy)およびテルビウム(Tb)の少なくとも一方を拡散させた焼結体とを容器内に配置し、該Pr−Al供給源と該焼結体とを加熱し、該Pr−Al供給源から該焼結体にプラセオジム(Pr)とアルミニウム(Al)を拡散させることにより、該焼結体の表層部の少なくとも一部において、前記結晶粒の粒界多重点に存在する金属相が含有する希土類元素に占めるプラセオジム(Pr)の質量比率が75%以下であり且つ前記金属相に隣接する前記結晶粒が含有する希土類元素に占めるプラセオジム(Pr)の質量比率よりも20パーセントポイント以上高くし、さらに、該焼結体に含有されるアルミニウム(Al)の質量比率を0.01パーセントポイント〜0.05パーセントポイント増加させる工程と、を含むことを特徴とするR−T−B系焼結磁石の製造方法である。
一般式:R14
(ここで、Rはネオジム(Nd)が質量比で50%以上である1種類以上の希土類元素であり、Tは鉄(Fe)または鉄(Fe)とコバルト(Co)。)
本発明の態様2は、前記工程3)において、前記焼結体の表層部の全体に亘り、前記結晶粒の粒界多重点に存在する金属相が含有する希土類元素に占めるプラセオジム(Pr)の質量比率が75%以下であり、かつ前記金属相に隣接する前記結晶粒が含有する希土類元素に占めるプラセオジム(Pr)の質量比率よりも20パーセントポイント以上高くすることを特徴とする態様1に記載の製造方法である。
本発明の態様3は、前記表層部において前記金属相が含有する希土類元素に占めるプラセオジム(Pr)の質量比率が60%以下である態様1または2に記載の製造方法である。
本発明の態様4は、前記工程3)において、前記焼結体に含有されるプラセオジム(Pr)の質量比率を0.4パーセントポイント〜1.5パーセントポイント増加させることを特徴とする態様1または2に記載の製造方法である。
本発明の態様5は、前記工程3)において、前記焼結体に含有されるアルミニウム(Al)の質量比率を0.01パーセントポイント〜0.03パーセントポイント増加させることを特徴とする態様1〜4のいずれ一項に記載の製造方法である。
本発明の態様6は、前記工程3)において、前記Pr−Al供給源と前記焼結体とを600℃〜850℃に加熱することを特徴とする態様1〜5のいずれか一項に記載の製造方法である。
本発明の態様7は、前記工程3)において、前記Pr−Al供給源と前記焼結体とを600℃〜760℃に加熱することを特徴とする態様6に記載の製造方法である。
本発明の態様8は、前記Pr−Al供給源は、アルミニウム(Al)が2〜6質量%のPr−Al合金であることを特徴とする態様1〜7のいずれか一項に記載の製造方法である。
本発明の態様9は、前記工程2)において、ジスプロシウム(Dy)を含む重希土類元素供給源と、前記焼結体とを容器内に配置し、該重希土類元素供給源と該焼結体とを加熱し、該重希土類元素供給源から該焼結体にジスプロシウム(Dy)を拡散させることにより、前記金属間化合物の結晶粒の外殻部にジスプロシウム(Dy)を濃化させることを特徴とする態様1〜8のいずれか一項に記載の製造方法である。
本発明により、高温でより高いHcJを発現するR−T−B系焼結磁石およびその製造方法を提供することができる。
図1(a)は、重希土類元素拡散処理を行った後の焼結体の透過電子顕微鏡観察結果(DF−STEM像)であり、図1(b)は、図1(a)に示した領域のTEM−EDXによるDyの元素マッピング像である。 図2は実施例に係る試料No.2のR−T−B系焼結磁石の表層部のDF−STEM像である。 図3は、図2と同じ視野における、Feおよび酸素(O)、Nd、Prの元素マッピング像である。 図4は、図2に示した粒界多重点における金属相と酸化物相を示したDF−STEM像である。 図5は、図2における金属相内のA点およびA点を含む金属相に隣接する結晶粒内のB点を示したDF−STEM像である。
本発明者らは鋭意検討した結果、希土類元素と、鉄(Fe)と、ホウ素(B)とを含み、下記(1)式で表される金属間化合物を主相とする焼結体に対し、高温で高いHcJを得るために従来から行われている手法、すなわち、主相の結晶粒(以下、単に「結晶粒」という場合、および「主相結晶粒」という場合がある。)の外殻部にジスプロシウム(Dy)およびテルビウム(Tb)の少なくとも一方を濃化させることを目的に、焼結体の表面から内部にジスプロシウム(Dy)およびテルビウム(Tb)の少なくとも一方を拡散させることに加えて、プラセオジム(Pr)とアルミニウム(Al)を以下に詳細を示すように拡散させることにより、例えば140℃のような高温において、より高いHcJを発現するR−T−B系焼結磁石を得ることができることを見出した。

一般式: R14B (1)
本発明においては、Prを焼結体の表層部の少なくとも一部分において、主相結晶粒の粒界多重点に存在する金属相が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率が、75%以下であり、且つ当該金属相に隣接する前記結晶粒が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率よりも20パーセントポイント以上高くし、さらに、R−T−B系焼結磁石に含有されるAlの質量比率を、重希土類元素拡散処理後のAlの質量比率に対して0.01パーセントポイント〜0.05パーセントポイント増加するように拡散させることが重要である。
すなわち、重希土類元素であるDyおよび/またはTbを焼結体の表面から拡散させ、主相結晶粒の外殻部にこれら重希土類元素を濃化させるという従来から知られていた手段に加えて、従来は、高温で高いHcJ向上効果を得ることは困難と考えられていたPrをAlとともに、Dyおよび/またはTbを拡散した後の焼結体の表面から粒界拡散させ、粒界多重点の金属相(以下、単に「金属相」という場合がある。)にPrを適切な濃度範囲で含有させ、さらに焼結体に含有されるAlの質量比率を適切な範囲に増加させることにより、高温でのHcJをさらに向上できることを見出したものである。
本願発明者らは、更に、DyおよびTbの少なくとも一方の拡散と、PrとAlの拡散について、まず、DyおよびTbの少なくとも一方を拡散させる工程を実施した後、PrとAlを拡散させるための工程を実施することで、DyおよびTbの少なくとも一方と、PrとAlとをそれぞれ上記の所望の状態に確実に拡散できることを見出したのである。
重希土類元素であるDyおよび/またはTbを原料配向時に添加して焼結体を作製すると、同焼結体の主相結晶粒が含有するNd等の軽希土類元素がDyおよび/またはTbにより置換されるため、室温および例えば140℃のような高温において、異方性磁界が向上する。しかし、焼結に用いる粉末を得るための合金材を溶製する段階でDyおよび/またはTbを添加すると焼結時の加熱により結晶粒内部にまでDyおよび/またはTbが比較的に均一に拡散存在してしまうことから、結晶粒の外殻部にDyおよびTbの少なくとも一方を十分に濃化させることができず、得られた焼結体は高温で高いHcJを有することができない。
そこで、焼結体の表面からDyおよび/またはTbを拡散させて、結晶粒の外殻部にDyおよびTbの少なくとも一方を濃化させる。
これにより高温で高いHcJが得られると共に、残留磁束密度Bの低下を確実に抑制できる。
なお、本明細書において、「結晶粒の外殻部」とは、結晶粒の表層部および該結晶粒に隣接した結晶粒界の両方を含む概念である。従って、例えば、Dyが結晶粒の外殻部に濃化するとは、結晶粒の表層部および該結晶粒に隣接した結晶粒界の少なくとも一方においてDyが濃化している(結晶粒の中央部に比べて濃度が高くなっている)ことを意味する。このような結晶粒の外殻部での濃化は、例えば、透過電子顕微鏡およびエネルギー分散型X線分光法(TEM−EDX)を用いることにより測定可能である。TEM−EDXによりDyおよびTbの元素マッピング像を得た場合、DyおよびTbの濃化が結晶粒の表層部および該結晶粒に隣接した結晶粒界の両方のいずれで生じているかが分からない場合があるが、このような場合であっても「結晶粒の外殻部で濃化している」に該当する。
なお、本発明は、このような、DyおよびTbの濃化に加えて、粒界多重点に存在する金属相が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率が、75%以下であり且つ前記金属相に隣接する前記結晶粒が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率よりも20パーセントポイント以上高いことを特徴としているが、この特徴についてもTEM−EDX(例えば、金属相についてはその中心部を点分析)により確認することができる。
さらに、本発明は、重希土類元素を拡散した焼結体におけるAlの質量比率を0.01パーセントポイント〜0.05パーセントポイント増加させることも特徴としているが、この特徴については、Alの拡散処理前後のサンプルについてICP発光分光分析または線分析等を行うことにより確認することができる。
本発明のR−T−B系焼結磁石の主相は、一般式:R14Bで表される金属間化合物である。一般に、焼結磁石などの磁性材料においては、主要構成相でその磁性材料の特性(物性、磁気特性など)を決定づけている化合物が「主相」と定義される。本発明における主相、すなわち、一般式:R14Bで表される金属間化合物も、主要構成相で本発明のR−T−B系焼結磁石の物性、磁気特性などの基本部分を決定づけている。また、本明細書において「主相結晶粒」とは、前記主相から構成される結晶粒のことである。主相結晶粒は、R−T−B系焼結磁石の断面観察において、面積比で50%以上、好ましくは70%以上存在している。面積比は、R−T−B系焼結磁石の代表的な部分(または特異でない部分)の断面において、面積0.05mm以上の部分において測定し求める。
上述のように、従来は、Ndを主な希土類元素とする焼結体においてPrを添加すると、高温で高いHcJを得ることは困難と考えられていた。焼結体の表面からPrとAlを粒界拡散させ、焼結体の表層部における粒界の金属相にPrを適切な濃度範囲で含有させ、さらに焼結体に含有されるAlの質量比率を適切な範囲に増加させることで、高温でのHcJが向上するという本発明は従来の常識を覆すものである。
焼結体の表面からPrとAlを粒界拡散させた本発明に係るR−T−B系焼結磁石が高温で高いHcJを有するメカニズムについては、未だ不明な点もある。現在までに得られている知見を基に本願発明者らが考えるメカニズムについて以下に説明する。以下のメカニズムについての説明は本発明の技術的範囲を制限することを目的とするものではないことに留意されたい。
Ndを主な希土類元素とする焼結体において、その磁化方向と反対方向の外部磁界を受けて磁化が反転する場合、磁化の反転は主相結晶粒内で起こる。磁化反転の過程で、ある主相結晶粒内で磁化が反転し、それが隣接する主相結晶粒に伝搬していくことが磁石全体の磁化反転の一要因となる。つまり、主相結晶粒間の磁気的結合がHcJを決定する一因となる。そして、このような隣接する主相結晶粒への伝搬を、Prを所定量含有する金属相が結晶粒界に存在することおよびAlを結晶粒界に所定量含有することにより抑制させることができると考えられる。その結果、焼結体全体のHcJを高めることができると考えられる。
ここで、PrやAlは粒界多重点の金属相だけでなく二粒子粒界(2つの主相結晶粒の間の粒界)にも配置され、Rリッチ(希土類リッチ)相全体に影響を及ぼしていると考えられる。しかし、幅が極めて狭く部位によって一定でない二粒子粒界あるいはその近傍に存在するPrおよびAlの濃度を精度よく測定することは、容易ではない。
幸いなことにPrについては、二粒子粒界よりも幅の広い粒界多重点であれば、部位によるばらつきが少なくTEM−EDX等により濃度を十分に高い精度で測定できる。従って、粒界多重点(特に金属相)において希土類元素に占めるPrの質量比を測定することで粒界のRリッチ(希土類リッチ)相におけるPrの挙動を反映した特性を得ることができると考える。また、Alについては、表面から拡散させると拡散量が少ないうちは粒界拡散が支配的であることもあり焼結体全体でのAlの増加量(拡散量)を測定することで、粒界のRリッチ(希土類リッチ)相等におけるAlの挙動を反映した特性を得ることができると考える。
このようにPrとAlとを拡散させることは、高温でのHcJの向上に有効である一方で、結晶粒界にPrやAlの濃度が高い濃化領域を形成するように過度のPrやAlを焼結体表面から内部に拡散させると、その一部は結晶粒界に留まることができずに主相結晶粒内に入り、主相結晶粒の表面近傍にPrやAlの濃度が高い領域を広範囲に亘り形成すると考えられる。そして、上述したように高温においては、RFe14B化合物のRがNdの場合の方が、RがPrの場合より高い異方性磁界の値を示している(HcJが高い)ことからも判るように、主相結晶粒の表面近傍にPrの濃度が高い領域が広範囲に亘り形成されると高温でのHcJの向上が認められないという広く知られた事象が現れると考えられる。さらに、Alが主相結晶粒内へ多く導入されることにより、Bの低下を招き、さらに高温におけるHcJの向上効果をほとんど得ることができなくなると考えられる。
そのため、焼結体表面から焼結体内部に拡散させたPrとAlの量、とりわけ結晶粒界に拡散させたPrとAlの量が適正な範囲にある場合のみ、結晶粒界に濃化したPrやAlの効果を引き出すことができると考えられる。すなわち、焼結体の表層部において、主相結晶粒の粒界多重点における金属相が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率が75%以下(好ましくは20%〜60%)であり、且つ当該金属相に隣接する主相結晶粒が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率よりも20パーセントポイント以上高くになるように拡散させたPrの量が適正な範囲であり、さらに、前記焼結体に含有されるAlの質量比率を0.01パーセントポイント〜0.05パーセントポイント(好ましくは、0.01パーセントポイント〜0.03パーセントポイント)増加させたAlの量が適切な範囲となる。 また、当該金属相に隣接する主相結晶粒が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率よりも20パーセントポイント以上高いことから、金属相が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率は実質的に(Prを含有しない焼結体へ拡散処理した場合で)20%以上である。
焼結体の表層部において、主相結晶粒の粒界多重点における金属相が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率が当該金属相に隣接する主相結晶粒が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率と比べて20パーセントポイント未満しか高くないと、結晶粒界に十分な量のPrを濃化させることができず十分な効果が得られない。一方、前記表層部の粒界多重点における金属相が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率が75%を超えると、結晶粒界に十分な量のPrが濃化するが、主相結晶粒内(とりわけ主相結晶粒の表面近傍)にPrの高濃度領域が広範囲に亘り形成され、結晶粒界に濃化したPrによる高温でのHcJ向上の効果は、主相結晶粒の表面近傍におけるPrの高濃度領域により損なわれる。その結果、高温でのHcJ向上効果が低下してしまう。
さらに、焼結体に含有されるAlの質量比率の増加量が0.01パーセントポイント未満であると、結晶粒界に十分な量のAlを濃化することができず十分な効果が得られない。一方、0.05パーセントポイントを超えて増加させると結晶粒内へのAlの導入量が多くなり、高温でのHcJ向上効果が低下し、さらにBが低下してしまう恐れがある。
なお、本明細書における用語「表層部」は、文字「層」を含んでいるが、層状となった組織を有することを規定するものではなく(層状の組織を必須とするものではなく)、断面において、表面およびその近傍を意味する(「表面部」または「表面近傍部」と言い換えることができる)。得ようとするR−T−B系焼結磁石の寸法および詳細を後述するPr拡散処理の条件や拡散処理後の磁石研削量等にもよるが、多くの場合、本発明のR−T−B系焼結磁石は表面から100μmの間に、より確実に上述した特徴を有する本発明に係る「R−T−B系焼結磁石の表層部」を形成する傾向がある。尚、本発明の焼結磁石の組織は、表面からの距離に大きく依存するものではなく、ほぼ均一な組織を得ることが可能である。しかし、表層部よりも中央部(深部)の方が若干ではあるがPrの濃度が低い傾向にあり、また、主たる用途となるモーター用磁石等では、表層部の保磁力が重要であることから、本発明においては表層部を代表する組織とした。
以下に本発明に係るR−T−B系焼結磁石の製造方法およびそれによって得られるR−T−B系焼結磁石の詳細を説明する。
1.製造方法
以下に詳述するように本発明に係る製造方法では、焼結体に、その表面からDyおよびTbの少なくとも一方を拡散させる重希土類元素拡散処理と、その表面からPrとAlを拡散させるPr−Al拡散処理とを実施する。本明細書では、焼結体に重希土類元素拡散処理およびPr−Al拡散処理のいずれか一方を行った状態でも「焼結体」と呼ぶ場合があり(「××処理を行った焼結体」と言う場合もある)、焼結体に重希土類元素拡散処理とPr−Al拡散処理の両方を行った状態を「磁石」と呼ぶ場合がある(「焼結磁石」または「R−T−B系焼結磁石」という場合もある。)。
1−1.焼結体の作製
(1)焼結体の組成
焼結体は、Ndを含む希土類元素と、Feと、Bとを含む焼結体として知られている任意の組成であってよい。以下に好ましい焼結体の組成を示す。
Rは、希土類元素であり、Ndが必須であって、Rのうち質量比で50%以上をNdとする。Nd以外の希土類元素を含んでよい。
焼結体全体でNdと他の希土類元素を合計して25質量%以上35質量%以下含有することが好ましい。25質量%未満では焼結ができない場合があり、35質量%を超えるとBが著しく低下する場合があるためである。
また、拡散処理を行う前の焼結体の段階で、DyおよびTbのような重希土類元素を多く含むと、最終的に得られたR−T−B系焼結磁石のBが低下することから、重希土類元素は合計でR−T−B系焼結磁石全体で10質量%以下であることが好ましい。
Nd以外の希土類元素は、例えば、ミッシュメタルおよび/またはジジム合金(Nd−Pr合金)を用いることにより含まれることが多い。例えば、ジジム合金を用いると、焼結体はPrを含む。この場合、焼結体がPrを含んだ状態で後述する拡散処理を行うこととなる。
Tは、鉄を含み、質量比率でその50%以下をCoで置換してもよい。Coは温度特性の向上、耐食性の向上に有効である。
Tの含有量は、Rとボロン(B)あるいはRとBと後述するM元素との残部を占めてよい。
ボロン(B)の含有量についても公知の含有量で差し支えなく、例えば、0.9質量%〜1.2質量%が好ましい範囲である。0.9質量%未満では高いHcJが得られない場合があり、1.2質量%を超えるとBが低下する場合がある。なお、Bの一部はC(炭素)で置換することができる。Cによる置換は磁石の耐食性を向上させることができる場合がある。B+Cとした場合(BとCの両方含む場合)の合計含有量は、Cの置換原子数をBの原子数で換算し、上記のB濃度の範囲内に設定されることが好ましい。
上記元素に加え、室温でのHcJ向上のためにM元素を添加することができる。M元素は、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、In、Sn、Hf、TaおよびWからなる群から選択される一種以上である。M元素の添加量は2.0質量%以下が好ましい。また、不可避的不純物も許容することができる。
R−T−B系焼結磁石用原料合金の製造方法を例示する。
(2)溶解・粉砕
最終的に必要な組成となるように事前に調整した金属を溶解し、鋳型にいれるインゴット鋳造法により合金インゴットを得ることができる。
また、溶湯を単ロール、双ロール、回転ディスクまたは回転円筒鋳型等に接触させて急冷し、インゴット法で作られた合金よりも薄い凝固合金を作製するストリップキャスト法または遠心鋳造法に代表される急冷法により合金フレークを製造することができる。
本発明においては、インゴット法と急冷法のどちらの方法により製造された材料も使用可能であるが、急冷法により製造されるものが好ましい。
急冷法によって作製したR−T−B系焼結磁石用原料合金(急冷合金)の厚さは、通常0.01mm〜3mmの範囲にあり、フレーク形状である。合金溶湯は冷却ロールの接触した面(ロール接触面)から凝固し始め、ロール接触面から厚さ方向に結晶が柱状に成長してゆく。急冷合金は、従来のインゴット鋳造法(金型鋳造法)によって作製された合金(インゴット合金)に比較して、短時間で凝固されているため、組織が微細化され、結晶粒径が小さい。急冷合金を水素粉砕することで、水素粉砕粉(粗粉砕粉)のサイズを例えば1.0mm以下とすることができる。
このようにして得た粗粉砕粉をジェットミル等により微粉砕することで、例えば気流分散式レーザー解析法によるD50粒径で3〜7μmの合金粉末を得ることができる。
得られた合金粉末は、乾燥したまま回収してもよく、また油等の分散媒中に分散させてスラリーとして回収してもよい。
また、粗粉砕粉、ジェットミル粉砕中及びジェットミル粉砕後の微粉砕粉に助剤として公知の潤滑剤を使用してもよい。
(3)プレス成形
得られた合金粉末を用いて磁界中プレス成形を行い、成形体を得る。磁界中プレス成形は、磁界を印加した金型のキャビティー内に乾燥した合金粉末を挿入しプレスする乾式法、および金型のキャビティー内にスラリーを注入し、スラリーの分散媒を排出しながらプレスする湿式法を含む既知の任意の方法を用いてよい。
なお、湿式法により得た成形体は、焼結を行う前に成形体中に残存する分散媒(油等)を除去する脱油処理を施すことが好ましい。脱油処理は、好ましくは50〜500℃、より好ましくは50〜250℃でかつ圧力13.3Pa(10−1Torr)以下の条件で30分以上保持して行う。成形体に残留する分散媒を充分に除去することができるからである。
(4)焼結
成形体を焼結することにより焼結体を得る。
成形体の焼結は、公知の焼結体の製造方法と同様の方法を用いることができる。なお、焼結時の雰囲気による酸化を防止するために、雰囲気ガスは、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスにより置換しておくことが好ましい。
焼結体は、Ndを含む希土類元素と、Feと、Bとを含み、下記(1)式で表される金属間化合物を主相とする。
そして、主相結晶粒は、焼結体の断面観察において、50%(体積比または断面の面積比)以上、好ましくは70%(体積比または断面の面積比)以上存在している。
14B (1)
ここで、RはNdを質量比で50%以上含有する1種類以上の希土類元素であり(すなわち、R全体の50質量%以上がNd)、TはFeまたはFeとCoである。
1−2.拡散処理
次に、焼結体にDyおよびTbの少なくとも一方を拡散させる重希土類元素拡散処理と、焼結体にPrとAlを拡散させるPr−Al拡散処理を行う。なお、焼結体を研削等の機械加工をした後に拡散処理を行ってもよい。
以下に、重希土類元素拡散処理とPr−Al拡散処理の詳細を示す。
なお、以下に示すように、重希土類元素拡散処理を行った後、Pr−Al拡散処理を行う。これにより、DyおよびTbの少なくとも一方とPrとAlをより容易に所望の状態に拡散できるからである。
1−2−1.重希土類元素拡散処理
DyおよびTbの少なくとも一方を焼結体の表面から拡散し、主相結晶粒の外殻部にDyおよびTbの少なくとも一方を濃化できる既知の任意の方法を用いてよい。多くの既知の拡散方法は、同じ処理室内に、DyおよびTbの少なくとも一方を含有する重希土類元素供給源と焼結体とを配置し、重希土類元素供給源および焼結体を加熱することにより重希土類元素拡散処理を行っている。このような処理として、特許文献1〜6に記載されている拡散処理および本願の実施例に示す金属粉末を焼結体表面に散布する方法を例示できる。
これらのうち、特許文献1〜3に記載されている方法を焼結体表面に散布する方法の詳細を以下に示す。
なお、このような重希土類元素拡散処理を行うことで、当然ながら焼結体全体でもDyおよびTbの少なくとも一方の含有量は増加する。焼結体全体としてDyおよびTbの少なくとも一方の含有量がどの程度増加するかは、焼結体の体積等の要因によって異なる。しかし、例えば、縦、横および高さのうちの最小寸法が10mm以下の一般的な形態の焼結体であれば、本発明に係る拡散処理を行うことにより、多くの場合、焼結体全体でDyおよびTbの少なくとも一方の含有量が質量比率で0.1パーセントポイント〜2.0パーセントポイント増加する。さらに重希土類元素拡散処理の後に追加で熱処理(以下、「追加熱処理」と記載する場合がある。)を施すことが好ましい。なお、本発明における追加の熱処理とは、焼結体への重希土類元素の供給を行わずに拡散のみを行う処理のことをいう。重希土類元素をさらに焼結体内部へ拡散させることができるからである。処理温度は、800℃以上950℃以下で行うことが好ましい。
以下に拡散処理の詳細を説明する。
(1)特許文献1に記載の方法
特許文献1に記載の方法は、焼結体と、DyおよびTbの少なくとも一方を含有する重希土類元素供給源とをNb製またはMo製の網等の耐熱材料からなるメッシュ部材を介して離間して配置し、焼結体と重希土類元素供給源とを所定温度に加熱することにより、前記重希土類元素供給源からDyおよびTbの少なくとも一方を焼結体の表面に供給しつつ、焼結体の内部に拡散させる方法である。焼結体の加熱温度と重希土類元素供給源の加熱温度は実質的に同じである。
特許文献1に記載の方法を用いる場合、重希土類元素供給源は、例えば、Dyメタル、Dy−Fe合金、Tbメタル、TbFe合金などから選択される1つ以上である。重希土類元素供給源の形状は、例えば、板状、ブロック状、球状など任意であり、大きさも特に限定されない。
焼結体および重希土類元素供給源を加熱する温度は、それぞれ、850℃以上1000℃以下が好ましい。また、処理容器内の雰囲気ガスの圧力は、10−5Pa以上500Pa以下が好ましい。なお、本明細書における「雰囲気ガス」とは、真空または不活性ガスを含むものとする。また、「不活性ガス」とは、例えば、アルゴン(Ar)などの希ガスであるが、焼結体、重希土類元素供給源と化学的に反応しないガス(例えば、窒素ガス)は、「不活性ガス」に含まれ得る。
(2)特許文献2に記載の方法
特許文献2に記載された方法は、焼結体と重希土類元素供給源とを相対的に移動可能かつ近接または接触可能に処理容器内に挿入し、焼結体と重希土類元素供給源とを処理容器内にて連続的または断続的に移動させながら、焼結体および重希土類元素供給源を加熱することにより、重希土類元素供給源からDyおよびTbの少なくとも一方を焼結体に拡散する方法である。焼結体の加熱温度と重希土類元素供給源の加熱温度は実質的に同じである。
特許文献2に記載された方法を用いる場合、重希土類元素供給源は、DyおよびTbの少なくとも一方を含む合金であることが好ましい。例えば、Dy−Fe合金、Tb−Fe合金などである。重希土類元素供給源の形状は、球状、楕円球状、円柱状などの表面に曲面が形成されている形状が好ましい。重希土類元素供給源は、粒子状であってもよいが、粒径が200μm以上であることが好ましい。粒径が200μm未満であると、焼結体との溶着が生じやすくい傾向があるためである。
焼結体と重希土類元素供給源を加熱する温度は、500℃以上850℃以下が好ましい。また、処理容器内の雰囲気ガスの圧力は、大気圧以下で実施でき、100kPa以下で行うのが好ましく、例えば10−3Pa以上10Pa以下の範囲内に設定することができる。
(3)特許文献3に記載の方法
特許文献3に記載された方法は、重希土類元素供給源を焼結体表面に存在させた状態で焼結温度よりも低い温度で加熱することで、前記重希土類元素供給源からDyおよびTbの少なくとも一方を焼結体に拡散させる方法である。
特許文献3に記載された方法を用いる場合、重希土類元素供給源は、Dy−Fe、Dy−Fe−Hなどが好ましい。さらに、本発明の効果を損なわない限りにおいて酸化物、フッ化物、酸フッ化物を含有させてもよい。重希土類元素供給源は、粒子状であることが好ましく、その平均粒径は、100μm以下、好ましくは10μm以下である。
重希土類元素供給源を焼結体表面に存在させる方法としては、例えば、粒子状の重希土類元素供給源をそのまま焼結体表面に吹き付ける方法、同供給源を溶媒に溶解した溶液を焼結体表面に塗布する方法、同供給源を分散媒に分散させたスラリーを焼結体表面に塗布する方法等があげられる。スラリーに用いる分散媒としては、例えばアルコール、アルデヒド、エタノール、ケトン等が挙げられる。
焼結体と重希土類元素供給源を加熱する温度は、焼結温度以下であり、具体的には、800℃以上1000℃以下が好ましい。焼結温度より高い温度であると、重希土類元素が結晶粒内へ拡散したり、焼結体の組織が変質し、高い磁気特性が得られない場合があるため、1000℃以下が好ましい。加熱する温度の下限は適宜選定され得るが、温度が低すぎると処理時間が長くなり、量産性が悪化する。そのため、800℃以上が好ましい。また、処理容器内の雰囲気ガスの圧力は、大気圧以下であることが好ましい。
1−2−2.Pr−Al拡散処理
次に、重希土類元素拡散処理を行った焼結体にPr−Al拡散処理を施す。前記焼結体の表面から内部にPrとAlを供給し、前記焼結体の表層部において、粒界多重点における金属相が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率を、当該金属相に隣接する結晶粒が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率より20パーセントポイント以上高くし、かつ前記表層部における金属相が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率を75%以下にする。さらに、焼結体に含有されるAlの質量比率を0.01パーセントポイント〜0.05パーセントポイント増加させる。
また、好ましくは焼焼結体の表層部における金属相が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率を20%〜60%にし、焼結体に含有されるAlの質量比率を0.01パーセントポイント〜0.03パーセントポイント増加させる。高温におけるHcJ向上効果をより一層高くできるからである。
Pr−Al拡散処理は、Pr−Al供給源から焼結体にPrとAlを拡散させることができれば、拡散処理の方法は問わない。
このようなPr−Al拡散処理を行うことで、当然ながら焼結体全体でもPrの含有量は増加する。焼結体全体としてPr含有量がどの程度増加するかは、焼結体の体積等の要因によって異なる。しかし、例えば、縦、横および高さのうちの最小寸法が6mm以下の一般的な形態の焼結体であれば、本発明に係る拡散処理を行うことにより、多くの場合、焼結体全体でPr含有量が質量比率で0.4パーセントポイント〜1.5パーセントポイント増加する。
以下に拡散処理の詳細を説明する。
(1)Pr−Al供給源
Pr−Al供給源として、PrとAlを含む固体、スラリー等、任意の形態のPr−Al供給源を用いてよい。
好ましいPr−Al供給源は、PrとAlを含む合金である。合金を用いる場合、Pr含有量が30質量%以上、Al含有量が、2〜10質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは、Al含有量は、2〜6質量%以下である。
Pr−Al供給源の形状、サイズは拡散処理方法によって適宜選定すればよく、薄膜、粉末または板状等のバルク状などでもよい。
(2)拡散処理方法
Pr−Al拡散処理は、Pr−Al供給源と焼結体とを接触させてPr−Al供給源から焼結体にPrやAlを粒界拡散させる方法が好ましい。
Pr−Al供給源は、上述のように任意の形状を有してよいが、好ましくは球状や粒子状(粉末状)である。Pr−Al供給源と焼結体との接触面積を増やすことができるからである。粒子状の場合、好ましい粒子径は100μm以下、より好ましくは10μm以下である。より確実に接触面積を増やすことができるからである。ただし、微粒子の場合は、酸化し易いため、酸化を抑制する分散媒などを用いることが好ましい。
粒子状のPr−Al供給源を用いる場合、Pr−Al供給源をそのまま焼結体表面に散布または吹き付けることによりPr−Al供給源と焼結体とを接触させてもよく、またPr−Al供給源を分散媒中に分散させたスラリーを焼結体表面に塗布した後、分散媒を蒸発させてPr−Al供給源と焼結体とを接触させてもよい。なお、分散媒として、アルコール(エタノール等)、アルデヒドおよびケトンを例示できる。
Pr−Al供給源と焼結体は、600℃〜850℃、好ましくは600℃〜760℃に加熱する。850℃より高い温度に加熱すると重希土類元素拡散処理で得られた組織に悪影響を及ぼす恐れがあり、一方、温度が600℃未満だとPrとAlが十分に粒界拡散せず、本発明に係る表層部を形成しない場合があるからである。
Pr−Al拡散処理の際に焼結体を加熱する温度は、例えば特許文献1や3の場合のように重希土類元素拡散処理の際に焼結体を加熱する温度が高い場合、重希土類元素拡散処理の際に焼結体を加熱する温度よりも低い方が好ましい。後のPr−Al拡散処理の際の加熱温度が高いと、所望の状態に拡散されたDyおよびTbの少なくとも一方が、主相結晶粒内への拡散が進行するなどして、所望の状態を維持できなくなる恐れがある。この場合、Pr−Al拡散処理の際に焼結体を加熱する温度は、重希土類元素拡散処理の際に焼結体を加熱する温度より50℃〜350℃低いことがより好ましい
また、処理容器内(本発明における容器とは、容器が炉であってもよいし、炉の中に容器を入れてもよい。)の雰囲気ガスの圧力(すなわち拡散処理を行う雰囲気ガスの圧力)は、不活性ガス雰囲気(例えば、アルゴン(Ar)などの希ガス)ならば特に問わず、真空圧でも大気圧以上でもよい。
なお、焼結体の表層部において、粒界多重点に存在する金属相が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率を当該金属相に隣接する結晶粒が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率より20パーセントポイント以上高くし、前記表層部の粒界多重点に存在する金属相が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率を75%以下にし、さらに、焼結体に含有されるAlの質量比率を0.01パーセントポイント〜0.05パーセントポイント増加させるためには、焼結体の大きさおよび用いるPr−Al供給源の種類等に応じて、処理時の加熱温度、Pr−Al供給源の量、粒子径(Pr−Al供給源が粒子状の場合)、処理時間等の各種条件を調整してよい。これらのなかでも、処理時の加熱温度、Pr−Al供給源の量または処理時間を調整することにより比較的容易にPrおよびAlの導入量(増加量)を制御できる。
念のために言及するが、本明細書において、「20パーセントポイント以上高い」とは、パーセント(質量%)で示される含有量において、その数値が20以上大きいことを意味する。例えば、対象物Aの希土類元素中のPrの含有量が10質量%である場合、対象物BのPrの含有量が対象物Aより20パーセントポイント以上高いとは、対象物Bの希土類元素中のPrの含有量が30質量%以上であることを意味する。
焼結体をPr−Al供給源から離間させて容器内に配置する方法を用いる場合、すなわち、一旦PrとAlの蒸気(気相)を形成し、この気相が焼結体表面に達し、焼結体表面から内部にPrとAlを拡散させる場合は、Prが気化しにくいため、Pr−Al供給源を高真空中(10−3〜10−4Pa)で1100℃〜1200℃に加熱することが好ましい。この場合においても、焼結体の温度は上述した理由により、600℃〜850℃、より好ましくは600℃〜760℃に保持することが好ましいため、焼結体とPr−Al供給源とを別々の温度で制御することが好ましい。
結晶粒界の多重点(粒界多重点)は、いわゆるRリッチ相(希土類元素リッチ相)となっており、希土類元素を含有する金属相を有している。粒界多重点は、例えばR−T−B系焼結磁石の断面を透過電子顕微鏡(TEM)で観察することで3個以上の結晶粒に囲まれた領域として観察できる。そして、この粒界多重点に位置する金属相が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率および金属相と隣接する結晶粒が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率は、例えば透過電子顕微鏡およびエネルギー分散型X線分光法(TEM−EDX)を用いて組成分析を行うことで求めることができる。
なお、原料としてジジム合金(主にNdとPrの混合物)を用いて得た焼結体は、例えば5〜7質量%程度のPrを含有している。そして、拡散処理を行う前でも、結晶粒内よりも粒界多重点を含む結晶粒界の方が、含有する希土類元素に占めるPrの質量比率が高くなる傾向がある。しかし、それでも結晶粒の粒界多重点に位置する金属相が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率と金属相と隣接する当該結晶粒が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率との差は20パーセントポイントよりも遙かに小さい。
以上に示した拡散処理を行うことにより、通常は、得られたR−T−B系焼結磁石の表面全体(または表面直下部全体)に本発明に係る表層部、すなわち、結晶粒の粒界多重点における金属相が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率が当該金属相に隣接する結晶粒が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率より20パーセントポイント以上高く、かつ当該金属相が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率が75%以下である表層部を形成できる。
しかし、本発明はこれに限定されるものでなく、例えば、焼結体の一部をマスクすることにより、および/または焼結体の一部を冷却し他の部分より温度を低くする等により、得られたR−T−B系焼結磁石の表面の一部分(または表面直下部の一部)にのみ本発明に係る表層部を形成する実施形態も含む。
例えば、R−T−B系焼結磁石の表面の全体ではなく、一部分(または表面直下部の一部)のみにおいて結晶粒の粒界多重点における金属相が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率が当該金属相に隣接する結晶粒が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率より20パーセントポイント以上高く、金属相が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率が75%以下である実施形態も本発明に含まれる。
また、Coを含有する焼結磁石では、Coを含む金属相も存在するが、本発明の効果は、Coを含まない金属相において規定したPr濃度範囲で得られるものである。
重希土類元素拡散処理後やPr−Al拡散処理後の焼結磁石の表面は、粗面化される場合がある。またこれら拡散処理時に重希土類元素やPrなどと相互拡散したNdなどが焼結磁石表面に染み出し、固化して酸化し易い状態になっていることが多い。このような場合、表面を切削、研磨等の機械加工(面出し加工)を行うことが好ましい。
(3)熱処理
Pr−Al拡散処理を行った後の焼結磁石は、磁気特性を向上させることを目的とした熱処理を行うのが好ましい。熱処理温度、熱処理時間などの熱処理条件は、焼結体の焼結後の熱処理条件として公知の条件(例えば、500℃で3時間)を採用することができる。なお、最終的な磁石寸法の調整を研削などの機械加工等により行ってもよい。この場合、熱処理の前に行っても、後に行ってもよい。
2.得られたR−T−B系焼結磁石の特徴
上述の製造方法により得たR−T−B系焼結磁石は、いくつかの特徴を示す。
上述の重希土類元素拡散処理を行った結果、最終的に得られるR−T−B系焼結磁石では、結晶粒の外殻部にDyおよびTbの少なくとも一方が濃化している。ここで「濃化」とは、他に比して濃度の高い部位が存在していることを意味し、DyおよびTbの少なくとも一方の濃度が高い領域(例えば結晶粒の中央部と比べて)が結晶粒の外殻部(結晶粒の外殻部の少なくとも一部)に存在する。
重希土類元素拡散処理では、上述のように焼結体の表面からDyおよびTbの少なくとも一方を拡散させることから、拡散処理の条件にもよるが、このような濃化部は、得られたR−T−B系焼結磁石の中央部と比べ、表層部の方により多く存在する傾向がある。
さらに、重希土類元素拡散処理後にPrとAlを焼結体の表面から内部に拡散させたことにより、得られたR−T−B系焼結磁石は表層部の方が中央部よりPrの濃度が若干高くなる傾向がある。しかしAlは、表層部と中央部の濃度差がほとんどない。例えば厚さ5mmの焼結体に対し、厚さ方向に両面から本発明の所定範囲でPr−Al拡散処理した場合の表層部と中央部におけるAlの濃度差はほとんど確認することができない。すなわち、焼結体全体において拡散処理によりAlの質量比率が0.01パーセントポイント〜0.05パーセントポイント増加すれば焼結体の多くの領域(焼結体の全てではないが、焼結体の大部分)において0.01パーセントポイント〜0.05パーセントポイントの範囲で増加させることになるため、得られたR−T−B系焼結磁石は本願の効果を奏することになる。
Pr−Al拡散処理前の焼結体について、例えば、R(希土類元素)がジジム合金により供給された場合、もともと結晶粒が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率は20%程度である。
そして、拡散処理では、Prは焼結体の表面から主として粒界に拡散し、結晶粒内にはあまり拡散しない。すなわち、Pr拡散処理前の焼結体がPrを実質的に含有しない場合と同様に、Prを焼結体の表面から内部に拡散させることにより、焼結体の表層部において、結晶粒の粒界多重点における金属相が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率を当該結晶粒に隣接する結晶粒が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率より20パーセトポイント以上高く、表層部における金属相が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率が75%以下となる。
一方、このような場合においても前記金属相と隣接する結晶粒が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率は、20%程度と拡散処理の前とほとんど変わらない。
実施例1
ストリップキャスト法により、厚さ0.3〜0.4mmの鋳片を作製し、これを水素粉砕により大きさ約500μm以下の粉末に粗粉砕した後、ジェットミルによる微粉砕を行い、粉末の平均粒径(D50)が4.9μmの微粉末を作製した。
得られた微粉末を油中に回収してスラリー化し、このスラリーから湿式法により成形体を作製した。具体的には、印加磁界中で粉末粒子を磁界配向した状態で圧縮成形を行った。そして、脱油処理を行った後、真空炉により1010℃で4時間の条件で焼結した。
焼結体の組成は、Nd:28.8質量%、Pr:0.14質量%、Dy:1.5質量%、B:0.97質量%、Co:2.0質量%、Cu:0.10質量%、Al:0.23質量%、Ga:0.06質量%、Fe:残部であった。この焼結体を研削加工して、厚さ4.0×幅15.0×長さ23.0(単位はmm)の焼結体を得た。
得られた焼結体に重希土類元素(Dy)拡散処理を行った。重希土類元素(Dy)拡散処理は、重希土類元素供給源として厚さが3mm、面積が35mm×150mmのDyメタルを2枚準備し、処理容器内において、前記焼結体の15mm×23mmの両面(15mm×23mmの2つの面)それぞれに前記Dyメタルを離間して対向配置するようにMo製の網を介して積層した状態で加熱することで行なった。0.05Paの圧力下、880℃で5時間の加熱により焼結体の表面全体にDyの蒸気を供給して拡散処理を行った後、Arガスを流気して大気圧に保持することによりDyの供給が行なわれない状態にして880℃で5時間の熱処理を施した。このような重希土類元素(Dy)拡散処理を行なった焼結体を複数個用意した。
図1(a)は、重希土類元素拡散処理を行った後の焼結体の透過電子顕微鏡観察結果(DF−STEM像)であり、6つの結晶粒が含まれる。図1(b)は、図1(a)に示した領域のTEM−EDXによるDyの元素マッピング像である。ここで、明るい色の領域ほどDyが多く存在することを表している。なお、図1(b)に示す元素マッピングについては、定性的な濃度をより詳細に理解できるように、色により濃度の違いを識別できる元素マッピングの原図を物件提出書として本願と同時に提出している。必要に応じてこの原図も参照されたい。図1(b)から明らかなようにDyが結晶粒の外殻部に濃化している。
次にPrメタルとAlメタルとを高周波溶解炉で溶解した後(溶湯を得た後)、ロール表面速度が20m/秒で回転する銅製の水冷ロールに前記溶湯を接触させ急冷凝固合金薄帯を作製した。次いで、この急冷凝固合金薄帯をボールミルで粉砕し、Pr−Al合金の粉末からなるPr−Al供給源を得た。なお、得られた合金粉末のうち、篩い目で100μm以下のものをPr−Al供給源として使用した。
そして、前記焼結体の15.0mm×23.0mmの面にバインダーとなるヒドロキシプロピルセルロース2%水溶液を塗布した上からPr−Al合金粉末を散布し、温風乾燥させることで焼結体の表面にPrとAlの供給源を付着させた。これを両面(前記焼結体の15.0mm×23.0mmの2つ面について)行なった後、処理容器内に載置しAr雰囲気中で加熱し、Pr−Al拡散を行った。Pr−Al拡散処理の条件(供給源(供給源の組成)および散布量合計、加熱温度・時間)を表1に示す。なお、散布量合計とは、いずれの試料も同じ分量のPr−Al合金粉末を片面ずつ塗布した合計の量で(2つ面の散布量)ある。例えば試料No.3は、散布量合計が120mgであるが、この場合は、片面60mgずつ散布している。
Figure 2014150119
ここで、試料No.1は、重希土類元素(Dy)拡散処理後にPr−Al拡散処理を行なっていない試料であり、試料No.14は、Pr−Al供給源を用いず(すなわち、Pr−Al拡散処理せず)Pr−Al拡散処理と同等の熱履歴を与えた試料であり、試料No.12は、Pr−Al合金粉末の代わりにPrメタル粉末を用いた試料である。
次に、得られた焼結磁石に対し磁気特性の向上を目的として行う熱処理を500℃で3時間施した後、長さ方向の中央部から切り出し加工を行い、さらに厚さおよび幅をそれぞれ片側0.2mmづつ(両側で0.4mm)研削して厚さ3.6mm×幅14.6mm×長さ7.0mmの焼結磁石を得た。これらの焼結磁石について、ICP発光分光分析を行った。試料No.1および試料No.14の組成は、いずれもNd:28.4質量%、Pr:0.14質量%、Dy:2.0質量%、B:0.97質量%、Co:2.0質量%、Cu:0.10質量%、Al:0.23質量%、Ga:0.06質量%、Fe:残部であった。焼結体に含まれる酸素、窒素濃度を酸素、窒素用ガス分析装置で、炭素濃度を炭素用ガス分析装置でそれぞれ測定した。測定結果は、酸素:800ppm、窒素:300ppm、炭素:900ppmであった。
その他の試料についてもICP発光分光分析を行い、Pr増加量およびAl増加量を求めた。ここで、Pr増加量とは、Pr−Al拡散処理により増加したPrの量であり、Pr−Al拡散処理後のPr含有量から、重希土類元素拡散処理後の焼結体のPrの含有量(0.14質量%)を引くことにより求めることができる。同様に、Al増加量とは、Pr−Al拡散処理により増加したAlの量であり、Pr−Al拡散処理後のAl含有量から、重希土類元素拡散処理後の焼結体のAlの含有量(0.23質量%)を引くことにより求めることができる。
Pr−Al拡散処理後のR−T−B系焼結磁石のPr増加量、Al増加量を表1に示す。なお、総希土類量(Nd+Dy+Pr質量%)は、30.5質量%〜30.7質量%の範囲内であり、磁気特性に影響するほどの差異はなかった。
Pr−Al拡散処理後のサンプル(R−T−B系焼結磁石)のTEM観察を行った結果を示す。図2は試料No.2のR−T−B系焼結磁石の表層部(表面から深さ100μm)のDF−STEM像を示す。図2は、2つの結晶粒20と粒界多重点10を示している。さらに図2の視野における、Feおよび酸素(O)、Nd、Prの元素マッピング像を図3に示す。ここで、明るい色の領域ほど各元素が多く存在することを表している。図3において、粒界多重点は、ほとんどFeが存在しない、いわゆる希土類リッチ相である。図3から明らかなように、粒界多重点には酸素(O)が多く存在する酸化物相と、酸素(O)の存在量がほとんどない金属相(図2における粒界多重点から酸化物相を除いた部分)が存在する。さらに図3のPrマッピング像から明らかなように、Prは、粒界多重点の金属相に濃化しているが一部酸化物相にも存在する(Prマッピング像における最も明るい色の領域)。すなわち、図4に示すように粒界多重点には、金属相12と酸化物相14が存在する。なお、Alについては、導入量が微量なため、はっきりと濃化している場所を確認することは困難であるが、上述のICP発光分光分析から明らかなように、Alを拡散処理により焼結体へ導入しているため、Alも粒界および粒界多重点に濃化していると考えられる。
以上、TEM観察の結果で示したように、R−T−B系焼結磁石には、粒界多重点が存在し、さらに粒界多重点には、金属相と酸化物相が存在し、これらを識別できる。
次に、図5に示すように金属相内のA点およびA点を含む金属相に隣接する結晶粒内のB点においてTEM−EDXにより定量分析を行い、金属相が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率と、金属相に隣接する結晶粒における、希土類元素に占めるPrの質量比率を求めた。ここで、金属相は、粒界多重点においてCoを含む金属相と含まない金属相の存在が確認されたが、Coを含まない金属相を測定した。測定した試料の定量分析を行った結果を表2に示す。
Figure 2014150119
表2に示すように、Pr−Al拡散処理によりPrを導入させた試料No.2〜13は、Pr増加量が大きくなる程、金属相が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率が上昇する傾向がある。(4%〜79%)。一方、試料No.1、14は、Pr−Al拡散処理を行っていないため、どちらもPrが検出されなかった。また、Pr−Al拡散処理を低い温度で行なった試料No.13は、Prが金属相に僅かしか存在しなかった。
得られた焼結磁石の磁気特性測定結果を表4に示す。表4における「HcJ(140℃)」、「B(140℃)」は高温BHトレーサーにより140℃におけるHcJおよびBを測定した値である。
さらに比較のため、溶解法により、R−T−B系磁石用原料合金のフレークを作製する際の溶解時にPrやAlを多く添加したサンプルを作製し、上述の実施例サンプルと同じ方法により焼結体を作製した後、上述した実施例サンプルと同じ条件で重希土類元素拡散処理および磁気特性の向上を目的とする熱処理を行い同寸法に加工した。得られた焼結磁石の組成を表3に、磁気特性測定結果を表4に示す。
Figure 2014150119
Figure 2014150119
表4に示すように、Pr−Al拡散処理することにより、表層部における金属相が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率が75%以下であり、且つ前記金属相に隣接する前記結晶粒が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率よりも20パーセントポイント以上高くし、さらに、Al含有量を質量比率で0.01パーセントポイント〜0.05パーセントポイント増加させた、本発明サンプルである試料No.2〜8は、140℃のような高温におけるHcJがいずれも700kA/m以上となり、重希土類元素拡散処理を行った後Pr−Al拡散処理をしていないサンプル(試料No.1および試料No.14)と比べて、Bの低下なく、高いHcJ向上効果を得ることができた。これらの本発明に係る試料の中でもNo.8試料は、金属相が含有するPr量が比較的多いため、試料No.2〜6よりも140℃におけるHcJ向上効果がやや小さくなっている。また、重希土類元素拡散を施した処理温度に接近した800℃よりも高い温度まで加熱してPr−Al拡散処理を施したNo.7(850℃)の試料は、PrおよびAl増加量、金属相におけるPr含有量ともに本発明の範囲内適正であるにもかかわらず、140℃におけるHcJ向上効果がやや小さくなっている。これはPr−Al拡散処理は600℃〜760℃が好ましいことを示している。
試料No.9は、金属相が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率が75%以下であり、且つ前記金属相に隣接する前記結晶粒が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率よりも20パーセントポイント以上高いが、Pr−Al拡散処理によるAl含有量の増加が質量比率で0.05パーセントポイントを超えて(0.07パーセントポイント増加)いるため、Pr−Al拡散処理をしていないサンプル(試料No.1)に比べ140℃におけるHcJ向上効果は、本発明に係る試料ほど大きくない。さらに、試料No.9は、Bの低下が認められる。また、試料No.10は、焼結体に含有されるAlの質量比率を0.01パーセントポイント〜0.05パーセントポイントの範囲で増加させているが、金属相が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率が75%を超えているため、Pr−Al拡散処理をしていないサンプル(試料No.1)に比べ140℃におけるHcJ向上効果は、本発明に係る試料ほど得られていない。
試料No.11は、金属相が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率が該金属相に隣接する希土類元素に占めるPrの質量比率よりも20パーセントポイント未満高いだけであるため、Pr−Al拡散処理をしていないサンプル(試料No.1)に比べ140℃におけるHcJ向上効果は、本発明に係る試料ほど得られていない。さらに、Pr−Al粉末の代わりにPrメタル粉末を用いて拡散処理を行なった試料No.12、およびPr−Al拡散処理を行っても金属相が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率が4質量%と少なく、かつAl含有量の増加が認められなかった試料No.13は、Pr−Al拡散処理をしていないサンプル(試料No.1)に比べ140℃におけるHcJ向上効果は、本発明に係る試料ほど得られていない。
また、Pr−Al供給源を用いず(すなわち、Pr−Al拡散処理を行わず)Pr−Al拡散処理と同等の熱履歴を与えた試料No.14は、試料No.1に比べ、140℃におけるHcJが低下している。
さらに、溶解時にPrやAlを添加した試料No.15〜20は、Pr−Al拡散処理をしていないサンプル(試料No.1)に比べ140℃におけるHcJ向上効果は、本発明に係る試料ほど得られていない。また、溶解時のPrの添加量が多い試料No.16やAlの添加量が多い試料No.18、19は、140℃におけるBが低下している。
以上のように、本発明のR−T−B系焼結磁石の製造方法は、重希土類元素拡散処理後に、Pr−Al拡散処理することにより、表層部における金属相が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率が75%以下であり、且つ前記金属相に隣接する前記結晶粒が含有する希土類元素に占めるPrの質量比率よりも20パーセントポイント以上高くし、さらに、前記焼結体に含有されるAlの質量比率を0.01パーセントポイント〜0.05パーセントポイント増加させることにより本発明のように140℃のような高温における高いHcJ向上効果を得ることができる。これに対し、PrおよびAlのいずれかでも本願の上記所定範囲から外れた試料No.9〜13や、PrおよびAlを拡散処理でなくR−T−B系磁石用原料合金のフレークを作製する際の溶解時に添加した試料No.15〜20は、本発明の試料と異なり、140℃のような高温における高いHcJ向上効果を得ることができない。
実施例2
実施例1と同じ組成かつ寸法の厚さ4.0mm×幅15.0mm×長さ23.0mmの焼結体を準備した。そして、前記焼結体の15.0mm×23.0mmの面にバインダーとなるヒドロキシプロピルセルロース2%水溶液を塗布した上から試料No.21用にDyメタル粉末を、試料No.22用にDy−Pr−Al合金粉末を、それぞれ散布し、温風乾燥させることで焼結体の表面に供給源を付着させた。これを両面行なった後、処理容器内に載置しAr雰囲気中で加熱し、Dy拡散処理(重希土類元素拡散処理)およびDy−Pr−Al拡散処理(重希土類拡散処理とPr−Al拡散処理を同時に行うことに相当)を行った。これらの焼結体および焼結磁石へ磁気特性の向上を目的として行う熱処理を500℃で3時間施した。得られた焼結磁石に対して、実施例1と同様の加工を行い、3.6mm×幅14.6mm×長さ7.0mmに仕上げた後、ICP発光分光分析を行った。これらの拡散処理条件(供給源および散布量合計、加熱温度・時間)、Pr増加量、Al増加量の結果を表5に示す。なお、試料No.21、22の焼結磁石に含まれるDy量は、2.0質量%であった。
さらに、試料No.23として、試料No.21(Dy拡散処理した焼結体)にPr−Al合金粉末を塗布し、Pr−Al拡散処理を行なった。なお、散布量合計とは、いずれの試料も2つの面のそれぞれに同じ分量の拡散源の合金粉末を塗布した合計の量である。例えば試料No.21は、供給源の合金粉末の散布量合計が100mgであるが、この場合は、片面それぞれに50mgずつ散布している。さらに、得られた焼結磁石の磁気特性測定結果を表6に示す。表6における「HcJ(140℃)」、「B(140℃)」は高温BHトレーサーによる140℃におけるHcJおよびBを測定した値である。
Figure 2014150119
Figure 2014150119
表6に示すように、本発明に係る試料No.23は、Pr−Al拡散処理していないサンプル(試料No.21)と比べ、140℃における高いHcJ向上効果を得ることができた。これに対し、DyとPr−Alを同時に拡散させた試料No.22は、Pr−Al拡散処理をしていないサンプル(試料No.21)と比べ140℃におけるHcJ向上効果は、本発明に係る試料ほど得られていない。これは、Pr−Al拡散処理をDy拡散処理と同時に行うことで、PrおよびAlが粒界に十分に濃化することなく結晶粒内へ導入されたためと考えられる。
10 粒界多重点
12 金属相
14 酸化物相
20 結晶粒

Claims (9)

  1. 1)ネオジム(Nd)を含む希土類元素と、鉄(Fe)と、ホウ素(B)とを含み、下記一般式で表される金属間化合物を主相とする焼結体を形成する工程と、
    2)ジスプロシウム(Dy)およびテルビウム(Tb)の少なくとも一方を含む重希土類元素供給源と、前記焼結体とを容器内に配置し、該重希土類元素供給源と該焼結体とを加熱し、該重希土類元素供給源から該焼結体にジスプロシウム(Dy)およびテルビウム(Tb)の少なくとも一方を拡散させることにより、前記金属間化合物の結晶粒の外殻部にジスプロシウム(Dy)およびテルビウム(Tb)の少なくとも一方を濃化させる工程と、
    3)前記工程2)の後に、プラセオジム(Pr)とアルミニウム(Al)を含むPr−Al供給源と、ジスプロシウム(Dy)およびテルビウム(Tb)の少なくとも一方を拡散させた焼結体とを容器内に配置し、該Pr−Al供給源と該焼結体とを加熱し、該Pr−Al供給源から該焼結体にプラセオジム(Pr)とアルミニウム(Al)を拡散させることにより、該焼結体の表層部の少なくとも一部において、前記結晶粒の粒界多重点に存在する金属相が含有する希土類元素に占めるプラセオジム(Pr)の質量比率が75%以下であり且つ前記金属相に隣接する前記結晶粒が含有する希土類元素に占めるプラセオジム(Pr)の質量比率よりも20パーセントポイント以上高くし、さらに、該焼結体に含有されるアルミニウム(Al)の質量比率を0.01パーセントポイント〜0.05パーセントポイント増加させる工程と、
    を含むことを特徴とするR−T−B系焼結磁石の製造方法。

    一般式:R14
    (ここで、Rはネオジム(Nd)が質量比で50%以上である1種類以上の希土類元素であり、Tは鉄(Fe)または鉄(Fe)とコバルト(Co)。)
  2. 前記工程3)において、前記焼結体の表層部の全体に亘り、前記結晶粒の粒界多重点に存在する金属相が含有する希土類元素に占めるプラセオジム(Pr)の質量比率が75%以下であり、かつ前記金属相に隣接する前記結晶粒が含有する希土類元素に占めるプラセオジム(Pr)の質量比率よりも20パーセントポイント以上高くすることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記表層部において前記金属相が含有する希土類元素に占めるプラセオジム(Pr)の質量比率が60%以下である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記工程3)において、前記焼結体に含有されるプラセオジム(Pr)の質量比率を0.4パーセントポイント〜1.5パーセントポイント増加させることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
  5. 前記工程3)において、前記焼結体に含有されるアルミニウム(Al)の質量比率を0.01パーセントポイント〜0.03パーセントポイント増加させることを特徴とする請求項1〜4のいずれ一項に記載の製造方法。
  6. 前記工程3)において、前記Pr−Al供給源と前記焼結体とを600℃〜850℃に加熱することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記工程3)において、前記Pr−Al供給源と前記焼結体とを600℃〜760℃に加熱することを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記Pr−Al供給源は、アルミニウム(Al)が2〜6質量%のPr−Al合金であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 前記工程2)において、ジスプロシウム(Dy)を含む重希土類元素供給源と、前記焼結体とを容器内に配置し、該重希土類元素供給源と該焼結体とを加熱し、該重希土類元素供給源から該焼結体にジスプロシウム(Dy)を拡散させることにより、前記金属間化合物の結晶粒の外殻部にジスプロシウム(Dy)を濃化させることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
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