JP6610957B2 - R−t−b系焼結磁石の製造方法 - Google Patents
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R1−T1−X(R1は希土類元素のうち少なくとも一種でありNdを必ず含み、27mass%以上35mass%以下であり、T1はFeまたはFeとMであり、MはAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Agから選択される一種以上であり、XはBでありBの一部をCで置換することができ、[T1]/[X]のmol比が13.0以上である)系合金焼結体を準備する工程と、
R2−Zn(R2は希土類元素のうち少なくとも一種であり必ずPrをR2全体の50mol%以上含み、R2は60mol%以上85mol%以下であり、Znは15mol%以上40mol%以下であり、Zn全体の50mol%以下をCuで置換することができる)系合金を準備する工程と、
前記R1−T1−X系合金焼結体の表面の少なくとも一部に、前記R2−Zn系合金の少なくとも一部を接触させ、真空又は不活性ガス雰囲気中、450℃以上800℃以下の温度で熱処理をする工程と、を含む。
ある実施形態において、前記R2−Zn系合金は重希土類元素を含有していない。
ある実施形態において、前記R2−Zn系合金中のR2がPrのみからなる(不可避的不純物を含む)。
ある実施形態において、前記R1−T1−X系合金焼結体における[T1]/[X]のmol比は13.0以上15.0以下である。
ある実施形態において、前記R1−T1−X系合金焼結体における[T1]/[X]のmol比は14.0以上である。
ある実施形態において、R1−T1−X系合金焼結体中の重希土類元素は1mass%以下である。
ある実施形態において、前記R1−T1−X系合金焼結体を準備する工程は、原料合金を3μm以上10μm以下に粉砕した後、磁界中で成形し、焼結を行うことを含む。
ある実施形態において、前記熱処理をする工程において、R1−T1−X系合金焼結体中のR12T114X相とR2−Zn系合金中から生成した液相とが反応することにより、焼結磁石内部の少なくとも一部にR6T13Zn相を生成させる。
特許文献1及び2に記載されている方法では、拡散を受ける母材(特許文献1における成型体、特許文献2における焼結磁石)の組成はいずれも主相の化学量論組成であるR2T14BよりもTがプアーでBがリッチな組成であり、Cに関しても何ら考慮されていない。さらに、拡散源としてPrとZnの両方を含む合金を使用すること及び本発明の特定組成に対してPrとZnの両方を含む合金を拡散させることによる効果(厚い二粒子粒界を焼結体の内部まで容易に形成することができる)について記載も示唆もない。
R−T−B系焼結磁石は、原料合金の粉末粒子が焼結によって結合した構造を有しており、主としてR2T14B化合物からなる主相と、この主相の粒界部分に位置する粒界相とから構成されている。
図1Aは、R−T−B系焼結磁石の主相と粒界相を示す模式図であり、図1Bは図1Aの破線矩形領域内を更に拡大した模式図である。図1Aには、一例として長さ5μmの矢印が大きさを示す基準の長さとして参考のために記載されている。図1Aおよび図1Bに示されるように、R−T−B系焼結磁石は、主としてR2T14B化合物からなる主相12と、主相12の粒界部分に位置する粒界相14とから構成されている。また、粒界相14は、図1Bに示されるように、2つのR2T14B化合物粒子(グレイン)が隣接する二粒子粒界相14aと、3つのR2T14B化合物粒子が隣接する粒界三重点14bとを含む。
主相12であるR2T14B化合物は高い飽和磁化と異方性磁界を持つ強磁性材料である。したがって、R−T−B系焼結磁石では、主相12であるR2T14B化合物の存在比率を高めることによってBrを向上させることができる。R2T14B化合物の存在比率を高めるためには、原料合金中のR量、T量、B量を、R2T14B化合物の化学量論比(R量:T量:B量=2:14:1)に近づければよい。R2T14B化合物を形成するためのB量またはR量が化学量論比を下回ると、一般的には、粒界相14にFe相またはR2T17相等の異方性磁界の小さな強磁性体が生成し、HcJが急激に低下する。
以下、本開示の限定的ではない例示的な実施形態を説明する。
R1−T1−X系合金焼結体(以下、単に「焼結体」という場合がある)を準備する工程において、焼結体の組成は、R1は希土類元素のうち少なくとも一種でありNdを必ず含み、27mass%以上35mass%以下であり、T1はFeまたはFeとMであり、MはGa、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Zr、Nb、Mo、Agから選択される一種以上であり、XはBでありBの一部をCで置換することができ、[T1]/[X]のmol比が13.0以上、好ましくは13.6以上であり、更に好ましくは14.0以上である。
R2−Zn系合金を準備する工程において、R2−Zn系合金の組成は、R2は希土類元素のうち少なくとも一種であり必ずPrをR2全体の50mol%以上含み、R2は60mol%以上85mol%以下であり、Znは15mol%以上40mol%以下であり、Zn全体の50mol%以下をCuで置換することができる。R2は70mol%以上85mol%以下であることが好ましく、70mol%以上85mol%以下であることがさらに好ましい。より高い保磁力を得ることが出来るからである。
前記によって準備したR1−T1−X系合金焼結体の表面の少なくとも一部に、前記によって準備したR2−Zn系合金の少なくとも一部を接触させ、真空または不活性ガス雰囲気中、450℃以上800℃以下の温度で熱処理する。これにより、R2−Zn系合金から液相が生成し、その液相が焼結体中の粒界を経由して焼結体表面から内部に拡散導入されて、主相であるR12T114X相の結晶粒間にZnを含む厚い二粒子粒界を焼結体の内部まで容易に形成することができ、主相結晶粒間の磁気的な結合が大幅に弱められる。そのため、重希土類元素を用いずとも非常に高い保磁力を有するR−T−B系焼結磁石が得られる。熱処理する温度は、好ましくは、480℃以上560℃以下である。より高い保磁力を有することができる。
[R1−T1−X系合金焼結体の準備]
Ndメタル、Prメタル、フェロボロン合金、フェロカーボン合金、電解鉄を用いて(メタルはいずれも純度99%以上)、焼結体がおよそ表1に示す符号1−Aから1−Iの組成(AlとSiとMnを除く)となるように配合し、それらの原料を溶解してストリップキャスト法により鋳造し、厚さ0.2〜0.4mmのフレーク状の原料合金を得た。得られたフレーク状の原料合金を水素粉砕した後、550℃まで真空中で加熱後冷却する脱水素処理を施し粗粉砕粉を得た。次に、得られた粗粉砕粉に、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を粗粉砕粉100mass%に対して0.04mass%添加、混合した後、気流式粉砕機(ジェットミル装置)を用いて、窒素気流中で乾式粉砕し、粉砕粒径D50が4μmの微粉砕粉(合金粉末)を得た。なお、粉砕粒径D50は、気流分散法によるレーザー回折法で得られた体積中心値(体積基準メジアン径)である。焼結体におけるC量を調整するために、得られた微粉砕粉の一部にカーボンブラックを添加した。
Prメタル、Znメタルを用いて(メタルはいずれも純度99%以上)、合金がおよそ表2に示す符号1−aの組成になるように配合し、それらの原料を溶解して、単ロール超急冷法(メルトスピニング法)により、リボンまたはフレーク状の合金を得た。得られた合金を乳鉢を用いてアルゴン雰囲気中で粉砕した後、目開き425μmの篩を通過させ、R2−Zn系合金を準備した。得られたR2−Zn系合金の組成を表2に示す。
表1の符号1−Aから1−IのR1−T1−X系合金焼結体を切断、切削加工し、11.0mm×5.0mm×4.4mm(配向方向)の直方体とした。次に、図2に示すように、ニオブ箔により作製した処理容器3中に、主にR1−T1−X系合金焼結体1の配向方向(図中の矢印方向)と垂直な面がR2−Zn系合金2と接触するように、表2に示す符号1−aのR2−Zn系合金を、符号1−Aから1−IのR1−T1−X系合金焼結体のそれぞれの上下に配置した。
得られたサンプルを、BHトレーサーにより保磁力(HcJ)を測定した。測定結果を表3に示す。表3の通り、R1−T1−X系合金焼結体における[T1]/[X]のmol比を13.0以上としたときに高いHcJが得られた。特に14.0以上では1600kA/mを超える極めて高いHcJが得られた。
焼結体がおよそ表4に示す符号2−Aの組成(AlとSiとMnを除く)となるように配合する以外は実験例1と同様の方法でR1−T1−X系合金焼結体を複数個作製した。得られた焼結体の成分、ガス分析(C(炭素量))の結果を表4に示す。
焼結体がおよそ表7に示す符号3−Aの組成(AlとSiとMnを除く)となるように配合する以外は実験例1と同様の方法でR1−T1−X系合金焼結体を作製した。得られた焼結体の成分、ガス分析(C(炭素量))の結果を表7に示す。
2 R2−Zn系合金
3 処理容器
Claims (8)
- R−T−B(Rは希土類元素のうち少なくとも一種でありNdを必ず含み、Tは遷移金属元素のうち少なくとも一種でありFeを必ず含み、Bの一部をCで置換することができる)系焼結磁石の製造方法であって、
R1−T1−X(R1は希土類元素のうち少なくとも一種でありNdを必ず含み、27mass%以上35mass%以下であり、T1はFeまたはFeとMであり、MはAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Agから選択される一種以上であり、XはBでありBの一部をCで置換することができ、[T1]/[X]のmol比が13.0以上である)系合金焼結体を準備する工程と、
R2−Zn(R2は希土類元素のうち少なくとも一種であり必ずPrをR2全体の50mol%以上含み、R2は60mol%以上85mol%以下であり、Znは15mol%以上40mol%以下であり、Zn全体の50mol%以下をCuで置換することができる)系合金を準備する工程と、
前記R1−T1−X系合金焼結体の表面の少なくとも一部に、前記R2−Zn系合金の少なくとも一部を接触させ、真空又は不活性ガス雰囲気中、450℃以上800℃以下の温度で熱処理をする工程と、
を含むR−T−B系焼結磁石の製造方法。 - 前記R2−Zn系合金は重希土類元素を含有していない請求項1に記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
- 前記R2−Zn系合金中のR2がPrのみからなる(不可避的不純物を含む)請求項1又は2に記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
- 前記R1−T1−X系合金焼結体における[T1]/[X]のmol比は13.0以上15.0以下である、請求項1から3のいずれかに記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
- 前記R1−T1−X系合金焼結体における[T1]/[X]のmol比は14.0以上である、請求項1から4のいずれかに記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
- 前記R1−T1−X系合金焼結体中の重希土類元素は1mass%以下である請求項1から5のいずれかに記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
- 前記R1−T1−X系合金焼結体を準備する工程は、原料合金を3μm以上10μm以下に粉砕した後、磁界中で成形し、焼結を行うことを含む、請求項1から6のいずれかに記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
- 前記熱処理をする工程において、R1−T1−X系合金焼結体中のR12T114X相とR2−Zn系合金中から生成した液相とが反応することにより、焼結磁石内部の少なくとも一部にR6T13Zn相を生成させる請求項1から7のいずれかに記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
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