JP2021153148A - R−t−b系焼結磁石の製造方法及び拡散用合金 - Google Patents

R−t−b系焼結磁石の製造方法及び拡散用合金 Download PDF

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Abstract

【課題】拡散用合金の酸化や水酸化にともなう実効的な重希土類元素の損失を抑制し、高いBr及び高いHcJを有するR−T−B系焼結磁石の製造方法及び拡散用合金を提供する。【解決手段】R1−T−B系焼結磁石素材を準備する工程と、R2−Y(イットリウム)—M2拡散用合金を準備する工程と、前記R1−T−B系焼結磁石素材表面の少なくとも一部に、前記R2−Y—M2拡散用合金の少なくとも一部を接触させ、真空又は不活性ガス雰囲気中、700℃以上950℃以下の温度で熱処理を実施する拡散工程と、を含み、前記R2−Y−M2拡散用合金中のR2が75質量%以上98質量%以下であり、M2が1質量%以上25質量%以下であり、O(酸素:不可避不純物を含む)が0.2質量%以上1.0質量%以下であり、Yが0.4質量%以上0.6質量%以下である【選択図】図2

Description

本発明はR−T−B系焼結磁石の製造方法及び拡散用合金に関する。
R−T−B系焼結磁石(Rは希土類元素のうち少なくとも一種であり、NdおよびPrの少なくとも一方を必ず含む。TはFe又はFeとCoであり、Bは硼素である)は永久磁石の中で最も高性能な磁石として知られており、ハードディスクドライブのボイスコイルモータ(VCM)、電気自動車用(EV、HV、PHVなど)モータ、産業機器用モータなどの各種モータや家電製品などに使用されている。
R−T−B系焼結磁石は、主としてR14B化合物からなる主相と、この主相の粒界部分に位置する粒界相とから構成されている。主相であるR14B化合物は高い飽和磁化と異方性磁界を持つ強磁性材料であり、R−T−B系焼結磁石の特性の根幹をなしている。
R−T−B系焼結磁石は、高温で保磁力HcJ(以下、単に「保磁力」又は「HcJ」という場合がある)が低下するため不可逆熱減磁が起こるという問題がある。そのため、特に電気自動車用モータに使用されるR−T−B系焼結磁石では、高温下でも高いHcJを有する、すなわち室温においてより高いHcJを有することが要求されている。
国際公開第2007/102391号 国際公開第2016/133071号 国際公開第2018/143230号 特開2019−169695号
14B型化合物相中の軽希土類元素RLであるNdを重希土類元素(主にDy、Tb)で置換すると、HcJが向上することが知られている。しかし、R−T−B系焼結磁石において、軽希土類元素(主にNd、Pr)を重希土類元素で置換すると、HcJが向上する一方、R14B型化合物相の飽和磁化が低下するために残留磁束密度B(以下、単に「残留磁束密度」又は「B」という場合がある)が低下してしまうという問題がある。
特許文献1には、R−T−B系合金の焼結磁石の表面にDy等の重希土類元素を供給しつつ、重希土類元素を焼結磁石の内部に拡散させることが記載されている。特許文献1に記載の方法は、R−T−B系焼結磁石の表面から内部にDyを拡散させてHcJ向上に効果的な主相結晶粒の外殻部にのみDyを濃化させることにより、Bの低下を抑制しつつ、高いHcJを得ることができる。
しかし、特にDyなどの重希土類元素は、資源存在量が少ないうえ、産出地が限定されているなどの理由から、供給が安定しておらず、価格が大きく変動するなどの問題を有している。そのため、近年、重希土類元素をできるだけ使用することなく、HcJを向上させることが求められている。
例えば、特許文献2には、通常よりもB量が低い(R14B化合物の化学量論比を下回る)R−T−B系焼結体の表面に特定組成のR−Ga−Cu合金を接触させて450℃以上600℃以下の温度で熱処理を行うことにより、R−T−B系焼結磁石中の粒界相の組成および厚さを制御してHcJを向上させることが記載されている。
また、例えば、特許文献3には、特定組成のR1−T−B系焼結磁石素材(R1は希土類元素のうち少なくとも一種であり、Nd及びPrの少なくとも一方を必ず含む)、とR2−Ga合金(R2は、希土類元素のうち少なくとも二種であり、Tb及びDyの少なくとも一方、並びに、Pr及びNdの少なくとも一方を必ず含む)を準備し、焼結磁石素材表面の少なくとも一部にR2−Ga合金の少なくとも一部を接触させ、特定の温度で第一の熱処理を実施する拡散工程と、特定の温度で、第二の熱処理を実施する工程を適用することにより、重希土類元素の使用量を低減しつつ、更に高いBと高いHcJを有するR−T−B系焼結磁石を提供できることが示されている。また、特許文献4には、拡散プロセスにおける焼結体表面への金属溜り抑制のために、拡散合金の表面にR―OH相を形成する提案がなされている。
しかし、特許文献3に記載の拡散源用合金(R2−Ga合金)を用いた場合、拡散用合金が酸化や水酸化し、実効的な(焼結磁石素材に導入可能な)重希土類元素量が低下する場合があった。さらに特許文献4に記載の拡散合金を用いた場合も拡散合金の水酸化により実効的な重希土類元素量が低下する場合があった。また、近年、特に電気自動車用モータなどにおいて更に重希土類元素を出来るだけ使用することなく高いBと高いHcJを得ることが求められている。
本開示の実施形態は、拡散用合金の酸化や水酸化にともなう実効的な(焼結磁石素材に導入可能な)重希土類元素の損失を抑制し、高いB及び高いHcJを有するR−T−B系焼結磁石の製造方法及び拡散用合金を提供する。
本開示のR−T−B系焼結磁石の製造方法は、例示的な実施形態において、R1:27.5質量%以上35.0質量%以下(R1は希土類元素のうち少なくとも一種であり、Nd及びPrの少なくとも一方を必ず含む)、 B:0.80質量%以上0.99質量%以下、 Ga:0質量%以上0.8質量%以下、 M1:0質量%以上2.0質量%以下、(M1はCu、Al、Nb、Zrの少なくとも一種)、 T:60質量%以上(TはFe又はFeとCoであり、T全体に対するFeの含有量が85質量%以上である)、を含有するR1−T−B系焼結磁石素材を準備する工程と、R2−Y(イットリウム)―M2拡散用合金(R2は希土類元素(ただしYを除く)のうち少なくとも二種であり、Tb及びDyの少なくとも一方、並びに、Pr及びNdの少なくとも一方を必ず含み、M2は、Cu及びGaの少なくとも一方を必ず含む)を準備する工程と、前記R1−T−B系焼結磁石素材表面の少なくとも一部に、前記R2−Y―M2拡散用合金の少なくとも一部を接触させ、真空又は不活性ガス雰囲気中、700℃以上950℃以下の温度で熱処理を実施する拡散工程と、を含み、前記R2−Y−M2拡散用合金中のR2が75質量%以上98質量%以下であり、M2が1質量%以上25質量%以下であり、O(酸素:不可避不純物を含む)が0.2質量%以上1.0質量%以下であり、Yが0.4質量%以上0.6質量%以下である。
ある実施形態において、前記拡散工程後に、450℃以上750℃以下の温度、かつ拡散工程の熱処理温度よりも低い温度で熱処理を実施する低温熱処理工程を含む。
ある実施形態において、前記拡散工程後のR−T−B系焼結磁石表面を研削加工し、研削加工後のR−T−B系焼結磁石に対して、450℃以上750℃以下の温度、かつ拡散工程の熱処理温度よりも低い温度で熱処理を実施する低温熱処理工程を実施する。
ある実施形態において、前記R1−T−B系焼結磁石素材は下記式(1)を満足する、[T]/55.85>14×[B]/10.8 (1)
([T]は質量%で示すTの含有量であり、[B]は質量%で示すBの含有量である。
ある実施形態において、前記R2−Y―M2拡散用合金のR2はPrを必ず含み、Prの含有量は、R2全体の50質量%以上である。
ある実施形態において、前記R2−Y−M2拡散用合金におけるTb及びDyの少なくとも一方の含有量は、合計でR2全体の1質量%以上20質量%以下である。
ある実施形態において、前記R2−Y−M2系拡散用合金のM2はCu及びGaの両方を含む。
本開示のR2−Y−M2拡散用合金は、例示的な実施形態において、R2(希土類元素のうち少なくとも二種であり、Tb及びDyの少なくとも一方、並びに、Pr及びNdの少なくとも一方を必ず含む)、Y、M2(Cu及びGaの少なくとも一方を必ず含む)およびO(酸素)を必ず含み、R2が75質量%以上98質量%以下であり、M2量が1質量%以上25質量%以下であり、Yが0.4質量%以上0.6質量%以下であり、O(酸素:不可避不純物を含む)が0.2質量%以上1.0質量%以下であり、平均粒度が10μm以上500μm以下の粉末である。
ある実施形態において、前記R2は、Prと、Tb及びDyの少なくとも一方とからなる。
本開示の実施形態によると、特定量のYを含むR2−Y―M2拡散用合金をR1−T−B系焼結磁石素材に接触させて特定の温度で熱処理することで、拡散用合金の酸化や水酸化にともなう実効的な重希土類元素(DyやTb)の損失を抑制し、高いB及び高いHcJを有するR−T−B系焼結磁石を得ることができる。
R−T−B系焼結磁石の一部を拡大して模式的に示す断面図である。 図2Aの破線矩形領域内を更に拡大して模式的に示す断面図である。 本開示によるR−T−B系焼結磁石の製造方法における工程の例を示すフローチャートである。
まず、本開示によるR−T−B系焼結磁石の基本構造について説明をする。R−T−B系焼結磁石は、原料合金の粉末粒子が焼結によって結合した構造を有しており、主としてR14B化合物からなる主相と、この主相の粒界部分に位置する粒界相とから構成されている。
図1Aは、R−T−B系焼結磁石の一部を拡大して模式的に示す断面図であり、図1Bは図1Aの破線矩形領域内を更に拡大して模式的に示す断面図である。図1Aには、一例として長さ5μmの矢印が大きさを示す基準の長さとして参考のために記載されている。図1A及び図1Bに示されるように、R−T−B系焼結磁石は、主としてR14B化合物からなる主相12と、主相12の粒界部分に位置する粒界相14とから構成されている。また、粒界相14は、図1Bに示されるように、2つのR14B化合物粒子(グレイン)が隣接する二粒子粒界相14aと、3つのR14B化合物粒子が隣接する粒界三重点14bとを含む。典型的な主相結晶粒径は磁石断面の円相当径の平均値で2μm以上10μm以下である。主相12であるR14B化合物は高い飽和磁化と異方性磁界を持つ強磁性材料である。
したがって、R−T−B系焼結磁石では、主相12であるR14B化合物の存在比率を高めることによってBを向上させることができる。R14B化合物の存在比率を高めるためには、原料合金中のR量、T量、B量を、R14B化合物の化学量論比(R量:T量:B量=2:14:1)に近づければよい。
本発明者らは、検討の結果、特許文献3に記載されているR2−Ga合金のような希土類系の合金を用いる場合、希土類元素が活性であることから、合金作製時や焼結磁石素材塗布後の熱処理時に、合金が雰囲気中のO(酸素)と不可避的に反応し、希土類元素の一部が酸化物や水酸化物となる。そして、このとき形成される希土類酸化物や水酸化物は、DyやTbなどの重希土類がNdやPrなどの軽希土類よりも優先的に取り込まれてしまい、その結果、R1−T−B焼結磁石素材内部に拡散導入する実効的な重希土類量が低下してしまう場合があることがわかった。また、特許文献4も同様に、拡散源の表面に形成されるR−OH層により、R1−T−B焼結磁石素材内部に拡散導入する実効的な重希土類量が低下してしまう場合があることがわかった。
本発明者らはさらに検討の結果、拡散合金にYを特定の狭い範囲で含有させることにより、形成される希土類酸化物や水酸化物にDyやTbなどの重希土類よりもYを優先的に取り込ませることができ、更に、R−T−B系焼結磁石へYが導入されることによる磁気特性の低下を抑制できることを見出した。これにより拡散用合金の酸化や水酸化にともなう実効的な重希土類元素の損失を抑制することができ、高いB及び高いHcJを有するR−T−B系焼結磁石の製造方法及び拡散用合金を提供することができる。
本開示によるR−T−B系焼結磁石の製造方法は、図2に示すように、R1−T−B系焼結磁石素材を準備する工程S10とR2−Y−M2拡散用合金を準備する工程S20とを含む。R1−T−B系焼結磁石素材を準備する工程S10とR2−Y−M2拡散用合金を準備する工程S20との順序は任意である。
本開示によるR−T−B系焼結磁石の製造方法は、図2に示すように、更に、R1−T−B系焼結磁石素材表面の少なくとも一部に前記R2−Y―M2拡散用合金の少なくとも一部を接触させ、真空又は不活性ガス雰囲気中、700℃以上950℃以下の温度で熱処理を実施する拡散工程S30を含む。また、好ましくは、前記拡散工程後に、450℃以上750℃以下の温度、かつ拡散工程の熱処理温度よりも低い温度で熱処理を実施する低温熱処理工程S40を含む。また、更に好ましくは、拡散工程S30と、低温熱処理工程S40との間に、R−T−B系焼結磁石表面を加工する研削工程を含む。すなわち、前記拡散工程後のR−T−B系焼結磁石表面を研削加工し、研削加工後のR−T−B系焼結磁石に対して前記低温熱処理工程を実施する。
(R1−T−B系焼結磁石素材とR−T−B系焼結磁石)
本開示において、拡散工程前及び拡散工程中のR−T−B系焼結磁石を「R1−T−B系焼結磁石素材」と称し、拡散工程後のR−T−B系焼結磁石を単に「R−T−B系焼結磁石」と称する。
(R−T−Ga相)
R−T−Ga相とは、R、T及びGaを含む化合物であり、その典型例は、R13Ga化合物である。また、R13Ga化合物は、LaCo11Ga型結晶構造を有する。R13Ga化合物は、R13−δGa1+δ化合物の状態にある場合があり得る。R−T−B系焼結磁石中にCu、Al及びSiが含有される場合、R−T−Ga相はR13−δ(Ga1−x−y−zCuAlSi1+δであり得る。
[R1−T−B系焼結磁石素材を準備する工程]
R1−T−B系焼結磁石素材の組成
(R1)
R1の含有量は27.5質量%以上35.0質量%以下である。R1は希土類元素のうち少なくとも一種であり、Nd及びPrの少なくとも一方を必ず含む。R1が27.5質量%未満では焼結過程で液相が十分に生成せず、焼結体を充分に緻密化することが困難になる。一方、Rが35.0質量%を超えると焼結時に粒成長が起こりHcJが低下する。R1は28質量%以上33質量%以下であることが好ましく、29質量%以上33質量%以下であることがさらに好ましい。
(B)
Bの含有量は、0.80質量%以上0.99質量%以下である。Bの含有量が0.80質量%未満であるとBが低下する可能性があり、0.99質量%を超えるとHcJが低下する可能性がある。また、Bの一部はCで置換できる。
(Ga)
R1−T−B系焼結磁石素材におけるGaの含有量は、0質量%以上0.8質量%以下である。Gaの含有量が0.8質量%を超えると、主相中にGaが含有することで主相の磁化が低下し、高いBを得ることができない可能性がある。好ましくはGaの含有量は、0.5質量%以下である。より高いBを得ることができる。
(M1)
M1の含有量は、0質量%以上2.0質量%以下である。M1はCu、Al、Nb、Zrの少なくとも一種であり、0質量%であっても本開示の効果を奏することができるが、Cu、Al、Nb、Zrの合計で2.0質量%以下含有することができる。Cu、Alを含有することによりHcJを向上させることができる。Cu、Alは積極的に添加してもよいし、使用原料や合金粉末の製造過程において不可避的に導入されるものを活用してもよい(不純物としてCu、Alを含有する原料を使用してもよい)。また、Nb、Zrを含有することにより焼結時における結晶粒の異常粒成長を抑制することができる。M1は好ましくは、Cuを必ず含み、Cuを0.05質量%以上0.30質量%以下含有する。Cuを0.05質量%以上0.30質量%以下含有することにより、よりHcJを向上させることができるからである。
(T)
Tの含有量は、60質量%以上である。Tの含有量が60質量%未満であると大幅にB及びHcJが低下する可能性がある。TはFe又はFeとCoであり、T全体に対するFeの含有量が85質量%以上である。Feの含有量が85質量%未満であると、BおよびHcJが低下する可能性がある。ここで、「T全体に対するFeの含有量が85質量%以上」とは、例えばR1−T−B系焼結磁石素材におけるTの含有量が75質量%である場合、R1−T−B系焼結磁石素材の63.7質量%以上がFeであることを言う。好ましくはT全体に対するFeの含有量は90質量%以上である。より高いBと高いHcJを得ることができるからである。また、Feの一部をCoで置換することができる。但し、Coの置換量が、質量比でT全体の10%を超えるとBが低下するため好ましくない。さらに、本開示のR1−T−B系焼結磁石素材は、上記元素の他にAg、Zn、In、Sn、Ti、Ni、Hf、Ta、W、Ge、Mo、V、Y、La、Ce、Sm、Ca、Mg、Cr、H、F、P、S、Cl、O、N、C等を含有してもよい。含有量は、Ni、Ag、Zn、In、Sn、およびTiはそれぞれ0.5mass%以下、Hf、Ta、W、Ge、Mo、V、Y、La、Ce、Sm、Ca、Mg、Crはそれぞれ0.2mass%以下、H、F、P、S、Clは500ppm以下、Oは6000ppm以下、Nは1000ppm以下、Cは1500ppm以下が好ましい。これらの元素の合計の含有量は、R1−T−B系焼結磁石素材全体の5質量%以下が好ましい。これらの元素の合計の含有量がR1−T−B系焼結素材全体の5質量%を超えると高いBと高いHcJを得ることができない可能性がある。
(式(1))
[T]/55.85>14×[B]/10.8 (1)
ここで、[T]はTの含有量(質量%)、[B]はBの含有量(質量%)である。
好ましくは、R1−T−B系焼結磁石素材の組成が式(1)を満足する。式(1)を満足することにより、最終的に得られるR−T−B系焼結磁石の粒界にR−T−Ga相が生成されて高いHcJを得ることができる。式(1)を満足することで、Bの含有量が一般的なR−T−B系焼結磁石よりも少なくなる。一般的なR−T−B系焼結磁石は、主相であるR14B相以外にFe相やR17相が生成しないよう[T]/55.85(Feの原子量)が14×[B]/10.8(Bの原子量)よりも少ない組成となっている([T]は質量%で示すTの含有量であり、[B]は質量%で示すBの含有量である)。本開示の好ましい実施形態におけるR1−T−B系焼結磁石素材は、一般的なR−T−B系焼結磁石と異なり、[T]/55.85(Feの原子量)が14×[B]/10.8(Bの原子量)よりも多くなるように不等式(1)で規定する。なお、本開示のR1−T−B系焼結磁石素材におけるTはFeが主成分であるためFeの原子量を用いた。
R1−T−B系焼結磁石素材は、Nd−Fe−B系焼結磁石に代表される一般的なR−T−B系焼結磁石の製造方法を用いて準備することができる。一例を挙げると、ストリップキャスト法等で作製された原料合金を、ジェットミルなどを用い2μm以上10μm以下に粉砕した後、磁界中で成形し、900℃以上1100℃以下の温度で焼結することにより準備することができる。
原料合金の粉砕粒径(気流分散式レーザー回折法による測定で得られる体積中心値=D50)が2μm未満では粉砕粉を作製するのが非常に困難であり、生産効率が大幅に低下するため好ましくない。一方、粉砕粒径が10μmを超えると最終的に得られるR−T−B系焼結磁石の結晶粒径が大きくなり過ぎ、高いHcJを得ることが困難となるため好ましくない。R1−T−B系焼結磁石素材は、前記の各条件を満たしていれば、一種類の原料合金(単一原料合金)から作製してもよいし、二種類以上の原料合金を用いてそれらを混合する方法(ブレンド法)によって作製してもよい。
[R2−Y(イットリウム)―M2拡散用合金を準備する工程]
R2−Y−M2拡散用合金の組成
R2−Y−M2拡散用合金におけるR2は希土類元素(但しYを除く)のうち少なくとも二種であり、Tb及びDyの少なくとも一方、並びに、Pr及びNdの少なくとも一方を必ず含む。R2は、R2−Y−M2拡散用合金全体の75〜98質量%である。R2の含有量が75質量%未満であると、R2の含有量が少なすぎて、最終的に得られたR−T−B系焼結磁石のHcJが低下する可能性があり、98質量%を超えると、Y及びM2の含有量が低下して、最終的に得られたR−T−B系焼結磁石のHcJが低下する可能性がある。より高いBと高いHcJを得るために、好ましくは、前記R2−Y―M2拡散用合金のR2はPrを必ず含み、Prの含有量は、R2全体の50質量%以上であり、R2−Y−M2拡散用合金におけるTb及びDyの少なくとも一方の含有量は、合計でR2全体の1質量%以上20質量%以下である。また、好ましくは、R2は、Prと、Tb及びDyの少なくとも一方とからなる。
本開示におけるもっとも特徴的な点の一つとして、拡散用合金にY(イットリウム)を0.4質量%以上0.6質量%以下含有する。Yを特定の狭い範囲で含有させることにより、拡散用合金が酸化することで形成される希土類酸化物や水酸化物にDyやTbなどの重希土類よりもYを優先的に取り込ませることができ、更に、R−T−B系焼結磁石へYが導入されることによる磁気特性の低下を抑制できる。これにより、拡散用合金の酸化や水酸化にともなう実効的な重希土類元素(DyやTb)の損失を抑制し、高いB及び高いHcJを有するR−T−B系焼結磁石を得ることができる。Yの含有量が0.4質量%未満であると、拡散用合金の酸化や水酸化にともなう実効的な重希土類元素(DyやTb)の損失を抑制することができず、HcJが低下する可能性があり、0.6質量%を超えると、R−T−B系焼結磁石に含有するYによりBやHcJが低下する可能性がある。
R2−Y−M2拡散用合金におけるM2はCu及びGaの少なくとも一方を必ず含む。M2は、R2−Y−M2拡散用合金全体の1質量%〜25質量%である。M2の含有量が1質量%未満であると、HcJが低下する可能性があり、25質量%を超えるとBが低下する可能性がある。より高いHcJを得るために、好ましくは、前記R2−Y−M2系拡散用合金のM2はCu及びGaの両方を含む。
R2−Y−M2拡散用合金は、O(酸素:不可避不純物を含む)を含有し、Oの含有量は0.2質量%以上1.0質量%以下である。Oの含有量が0.2質量%未満であると、YとOとの酸化物や水酸化物が形成されにくくなり、R−T−B系焼結磁石におけるYの含有量が増加してHcJが低下する可能性があり、1.0質量%超では、R1−T−B系焼結磁石におけるOの含有量が増加してB及びHcJが低下する可能性がある。
R2−Y−M2拡散用合金は、平均粒径が10μm以上500μm以下の粉末である。平均粒径が10μm未満であると、拡散用合金の酸化や水酸化が進行しすぎて、B及びHcJが低下する可能性があり、500μmを超えるとR1−T−B系焼結磁石素材への拡散が不十分となり、高いHcJが得られない可能性がある。好ましくは、R2−Y−M2拡散用合金の平均粒径は100μm以上300μm以下である。
本開示における平均粒度はJIS Z 8801の標準ふるいによって分級することによって調整すればよい。また、本開示における平均粒度は、JISZ8801に記載の標準ふるいによる分級の他、その粒度に応じて、例えば顕微鏡観察、市販の粒度分布測定装置(例えば、マイクロトラック・ベル社製レーザー回折・散乱式 粒子径分布測定装置等)等によって測定することができる。
R2−Y−M2拡散用合金は、一般的なR−T−B系焼結磁石の製造方法において採用されている原料合金の作製方法、例えば、金型鋳造法やストリップキャスト法や単ロール超急冷法(メルトスピニング法)やアトマイズ法などを用いて準備することができる。また、R2−Y−M2拡散用合金は、前記によって得られた合金をピンミルなどの公知の粉砕手段によって粉砕されたものであってもよい。
特許文献4に記載されているように、R2−T−M2拡散用合金の粉末粒子表面に平均厚さが0.5μm以上3μm以下のR−OH層を形成させてもよい。R−OH層を形成させることにより、拡散後にR−T−B系焼結磁石表面に金属溜りが発生することを抑えることができる。また粉末を燃えにくくして取り扱いを容易にすることが可能となる。R−OH層は、たとえば、R2−T−M2拡散用合金を温度20℃以上150℃以下、相対湿度60%以上100%以下の雰囲気にさらすことにより形成させることができる。
[拡散工程]
前記R1−T−B系焼結磁石素材表面の少なくとも一部に、前記R2−Y―M2拡散用合金の少なくとも一部を接触させ、真空又は不活性ガス雰囲気中、700℃以上950℃以下の温度で熱処理を実施する。これにより、R2−Y−M2拡散用合金からR2、Y及びM2を含む液相が生成し、その液相がR1−T−B系焼結磁石素材中の粒界を経由して焼結素材表面から内部に拡散導入される。熱処理温度が700℃未満であると、R2、Y及びM2を含む液相量が少なすぎて高いHcJを得ることが出来ない可能性があり、950℃を超えるとHcJが低下する可能性がある。また、好ましくは、拡散工程は、700℃以上950℃以下の温度で熱処理が実施されたR1−T−B系焼結磁石素材を前記熱処理を実施した温度から5℃/分以上の冷却速度で300℃まで冷却する工程を含む。より高いHcJを得ることができる。さらに好ましくは、300℃までの冷却速度は15℃/分以上である。
拡散工程は、R1−T−B系焼結磁石素材表面に、R2−Y−M2拡散用合金を配置し、公知の熱処理装置を用いて行うことができる。例えば、R1−T−B系焼結磁石素材表面をR2−Y−M2拡散用合金の粉末層で覆い熱処理を行うことができる。例えば、R2−Y−M2拡散用合金を分散媒中に分散させたスラリーをR1−T−B系焼結磁石素材表面に塗布した後、分散媒を蒸発させR2−Y−M2拡散用合金とR1−T−B系焼結磁石素材とを接触させてもよい。なお、分散媒として、アルコール(エタノール等)、アルデヒド及びケトンを例示できる。また、RHは、R2−Y−M2拡散用合金からだけでなく、R2−Y−M2拡散用合金と共にRHのフッ化物、酸化物、酸フッ化物等をR1−T−B系焼結磁石表面に配置することにより重希土類元素を導入してもよい。すなわち、R2(Dy及びTbの少なくとも一方、並びに、Nd及びPrの少なくとも一方)とYとM2を同時に拡散させることができればその方法は特に問わない。重希土類元素のフッ化物、酸化物、酸フッ化物としては、例えば、TbF、DyF、Tb、Dy、TbOF、DyOFが挙げられる。
またR2−Y−M2拡散用合金は、R2−Y−M2拡散用合金の少なくとも一部がR1−T−B系焼結磁石素材の少なくとも一部に接触していれば、その配置位置は特に問わない。
[低温熱処理工程]
好ましくは、前記拡散工程後に、450℃以上750℃以下の温度、かつ拡散工程の熱処理温度よりも低い温度で熱処理を実施する低温熱処理工程を行う。これにより、さらに高いHcJを得ることが出来る。450℃未満及び750℃を超える場合は、高いHcJを得ることができない可能性がある。また、さらに好ましくは、拡散工程後のR−T−B系焼結磁石表面を研削加工し、研削加工後のR−T−B系焼結磁石に対して低温熱処理工程を実施する。これは、拡散工程と低温熱処理工程との間に、R−T−B系焼結磁石表面を加工する研削工程を行うことによって実施し得る。拡散工程後のR−T−B系焼結磁石の磁石表面には、Yを含む酸化物及び水酸化物が存在している。磁石表面を研削することにより、Yを含む酸化物及び水酸化物を磁石から取り除くことができ、より確実にR−T−B系焼結磁石へYが導入されることによる磁気特性の低下を抑制できる。
本開示の実施形態を実施例によりさらに詳細に説明するが、実施例に限定されるものではない。
表1に示すねらい組成となるようにR1−T−B系焼結磁石素材を作製した。各元素を秤量してストリップキャスト法により鋳造し、厚み0.2〜0.4mmのフレーク状の合金を得た。得られたフレーク状の合金を水素粉砕した後、550℃まで真空中で加熱後冷却する脱水素処理を施して粗粉砕粉を得た。次に、得られた粗粉砕粉に、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を粗粉砕粉100mass%に対して0.04mass%添加、混合した後、気流式粉砕機(ジェットミル装置)を用いて、窒素気流中で乾式粉砕し、合金微粉末を得た。得られた微粉末の粒径を気流分散法によるレーザー回折法で測定した結果、D50(体積基準メジアン径)は4.6μmであった。得られた合金微粉末を有機系分散媒および離型剤と混合しスラリーを作製した。作製したスラリーを磁界中で成形して成形体を得た、成形時の磁界は1.3MA/mで、加圧力は5MPaとした。なお、成形装置には、磁界印加方向と加圧方向とが直交する、いわゆる直角磁界成形装置(横磁界成形装置)を用いた。得られた成形体を、200Paに制御した減圧アルゴン中で、1040℃×4時間の条件で焼結し、R1−T−B系焼結磁石素材を得た。得られたR1−T−B系焼結磁石素材の一部を乳鉢で粉砕し、425μmメッシュおよび75μmメッシュを用いて分級した。粒径75〜425μmの粉砕粉を用いて、ICP発光分光分析法にてNd、Fe、Pr、B、Al、Cu、Ga、Tb、Mn、Siの成分分析を、燃焼・赤外線吸収法にて炭素量の分析をおこなった。また、粒径425μm以上の粉砕粉を用いて、不活性ガス溶融・熱伝導法にて酸素量・窒素量の分析をおこなった。R1−T−B系焼結磁石素材の組成を表1に示す。
Figure 2021153148
表2に示すNo.A1〜A4を作製した。純度が99%以上のPr、Tb、Y、Ga、Cuの原料を、溶解時の希土類元素の蒸発を加味し、試料No.A1〜A4の合金組成がねらい値になるように秤量した。その後、液体超急冷装置(メルトスピニング装置)の石英出湯管内で十分に溶解して合金の溶湯を形成した後、20m/sのロール周速度で回転するCu製のロール上に溶湯を出湯した。このようにして作製したリボン状の合金を窒素流気チャンバー中で粉砕した。粉砕して得られた合金粉末を300μmメッシュおよび106μmメッシュを用いて分級した。得られた粒径106〜300μmの合金粉末を試料A1〜A4とした(すなわち、試料A1〜A4の平均粒度は本開示の範囲内(10μm以上500μm以下)である)。試料A1〜A4をICP(誘導結合プラズマ)発光分光分析法にてNd、Pr、Dy、Al、Cu、Ga、Tb、Y、Siの成分分析をおこなった。試料A1〜A4の組成を表2に示す。
Figure 2021153148
作製した試料A1〜A4を温度80℃、湿度90%の雰囲気にさらすことにより、R2−T−M2拡散用合金の粉末粒子表面にR−OH層を形成させる処理(特許文献4に記載の処理)をおこない、拡散用合金B1〜B4を得た。拡散用合金B1〜B4の一部を用いて、燃焼・赤外線吸収法にて炭素量の分析および不活性ガス溶融・熱伝導法にて酸素量・窒素量の分析をおこなった。拡散用合金の酸素量、窒素量、炭素量を表3に示す。
Figure 2021153148
R1−T−B系焼結磁石素材を切断、切削加工し、4.4mm×10mm×11mmの直方体とした。成形時の磁界印加方向の長さが4.4mm、成形時の圧力印加方向の長さが10mmとなるように切削加工した。切削加工後の焼結磁石素材の10mm×11mmの面(2面)に粘着剤として5%PVA(ポリビニルアルコール)水溶液を塗布したのち、焼結磁石素材100mass%に対して1面につき1mass%(2面で計2mass%)の拡散用合金B1〜B4をそれぞれ付着させた。そして、真空熱処理炉を用いて200Paに制御した減圧アルゴン中で、900℃×10時間の熱処理をおこなった。熱処理後の試料の拡散用合金が付着している2面を研削して4mm×10mm×11mmの直方体に加工したのち、それぞれ切断加工して4mm×4mm×4mmの立方体試料No.1〜4をそれぞれ2個ずつ作製した。これら4mm角試料のうちそれぞれ1個はB−HトレーサによってB、HcJおよびH(J(磁化の強さ)−H(磁界の強さ)曲線の第2象限において、Jが0.9Bの値になる位置のH軸の読み値)の測定をおこなった。また、それぞれ残りの1個はICP発光分光分析法にてFe、Nd、Pr、B、Al、Cu、Ga、Tb、Y、Mn、Si、の成分を、試料を全量溶解することで分析した。また、この成分分析結果と拡散用合金の塗布量をもとに、拡散用合金に含まれる各元素の導入率を計算した。Tbの導入率(%)が高いほど、拡散用合金の実効的な重希土類元素の損失が抑制されていることを示している。表4に、用いた拡散用合金、4mm角試料のICP分析結果、導入率、磁気特性(B、HcJ、H)の結果を示す。
Figure 2021153148
拡散用合金中のY量が比較的少ないNo.1や2に比べて、拡散用合金中のY量が比較的多いNo.3や4の方が4mm角試料中のTb量が高く、Tbの導入率が高い結果となった。また、No.4の試料のみ4mm角試料中に検出下限以上のYが検出された。HcJやHは拡散源No.B3を用いたNo.3の試料が最も高い結果となった。拡散用合金中のY量が多くなると、拡散用合金中の酸化物相に分配されるTb量が減少し、焼結磁石素材に拡散するTb量が増加すると考えられる。ただ、拡散用合金中のY量が多すぎるとYが焼結磁石素材に拡散し過ぎてしまい、主相の磁気物性を低下させる。No.3の試料はこの両者がうまくバランスした結果、高いHcJやHが得られたと考えられる。
磁気特性測定後の4mm角試料No.1〜4を熱処理した。4mm角試料をNb箔で包んだのち、真空熱処理炉を用いて200Paに制御した減圧アルゴン中で、500℃×3時間の熱処理をおこなうことで、No.5〜8の試料を得た。そして、B−Hトレーサを用いて試料No.5〜8のBおよびHcJの測定をおこなった。表5に熱処理前の試料No.1〜4の磁気特性(B、HcJ、H)の結果を示す。
Figure 2021153148
500℃×3時間の熱処理をおこなっていないときと同様に、拡散用合金No.B3を用いた試料No.7が最もHcJやHが高い結果となった。HcJやHは900℃×10時間処理後の試料No.1〜4よりも500℃×3時間の熱処理をおこなった試料No.5〜8の方が全体的に高い。これは、500℃×3時間の熱処理により、主相粒の二粒子粒界の拡張や二粒子粒界相の低磁化化などで、主相粒間の磁気的分断が進んだことによると考えらえる。ただ、500℃×3時間の熱処理の有無ではHcJやHの大小関係が変わらないのは、ベースとなる主相の異方性磁界の大小関係によるものと考えられる。そして、主相のTb置換による異方性向上とY置換による異方性低下の兼ね合いで、拡散源No.B3を用いたときに最も主相の異方性磁界が高くなったと考えられる。

Claims (10)

  1. R1:27.5質量%以上35.0質量%以下(R1は希土類元素のうち少なくとも一種であり、Nd及びPrの少なくとも一方を必ず含む)、
    B:0.80質量%以上0.99質量%以下、
    Ga:0質量%以上0.8質量%以下、
    M1:0質量%以上2.0質量%以下、(M1はCu、Al、Nb、Zrの少なくとも一種)、
    T:60質量%以上(TはFe又はFeとCoであり、T全体に対するFeの含有量が85質量%以上である)、
    を含有するR1−T−B系焼結磁石素材を準備する工程と、
    R2−Y(イットリウム)―M2拡散用合金(R2は希土類元素(ただしYを除く)のうち少なくとも二種であり、Tb及びDyの少なくとも一方、並びに、Pr及びNdの少なくとも一方を必ず含み、M2は、Cu及びGaの少なくとも一方を必ず含む)を準備する工程と、
    前記R1−T−B系焼結磁石素材表面の少なくとも一部に、前記R2−Y―M2拡散用合金の少なくとも一部を接触させ、真空又は不活性ガス雰囲気中、700℃以上950℃以下の温度で熱処理を実施する拡散工程と、を含み、
    前記R2−Y−M2拡散用合金中のR2が75質量%以上98質量%以下であり、M2が1質量%以上25質量%以下であり、O(酸素:不可避不純物を含む)が0.2質量%以上1.0質量%以下であり、Yが0.4質量%以上0.6質量%以下である、R−T−B系焼結磁石の製造方法。
  2. 前記拡散工程後に、450℃以上750℃以下の温度、かつ拡散工程の熱処理温度よりも低い温度で熱処理を実施する低温熱処理工程を含む、請求項1に記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
  3. 前記拡散工程後のR−T−B系焼結磁石表面を研削加工し、研削加工後のR−T−B系焼結磁石に対して、450℃以上750℃以下の温度、かつ拡散工程の熱処理温度よりも低い温度で熱処理を実施する低温熱処理工程を実施する、請求項1又は2に記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
  4. 前記R1−T−B系焼結磁石素材は下記式(1)を満足する、
    [T]/55.85>14×[B]/10.8 (1)
    ([T]は質量%で示すTの含有量であり、[B]は質量%で示すBの含有量である)、請求項1から3のいずれかに記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
  5. 前記R2−Y―M2拡散用合金のR2はPrを必ず含み、Prの含有量は、R2全体の50質量%以上である、請求項1から4のいずれかに記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
  6. 前記R2−Y−M2拡散用合金におけるTb及びDyの少なくとも一方の含有量は、合計でR2全体の1質量%以上20質量%以下である、請求項1から5のいずれかに記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
  7. 前記R2−Y−M2系拡散用合金のM2はCu及びGaの両方を含む、請求項1から6のいずれかに記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
  8. R2(希土類元素のうち少なくとも二種であり、Tb及びDyの少なくとも一方、並びに、Pr及びNdの少なくとも一方を必ず含む)、Y、M2(Cu及びGaの少なくとも一方を必ず含む)およびO(酸素)を必ず含み、R2が75質量%以上98質量%以下であり、M2量が1質量%以上25質量%以下であり、Yが0.4質量%以上0.6質量%以下であり、O(酸素:不可避不純物を含む)が0.2質量%以上1.0質量%以下であり、平均粒度が10μm以上500μm以下の粉末である、R2−Y−M2拡散用合金。
  9. 前記R2は、Prと、Tb及びDyの少なくとも一方とからなる、請求項7に記載のR2−Y−M2拡散用合金。
  10. Tb及びDyの少なくとも一方の含有量は、合計でR2全体の1質量%以上20質量%以下である、請求項7または8に記載のR2−Y−M2拡散用合金。


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