JP2014148456A - マクロ多孔性モノリスとその製造方法およびその応用 - Google Patents

マクロ多孔性モノリスとその製造方法およびその応用 Download PDF

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Abstract

【課題】階層的な多孔構造を有するマクロ多孔性モノリスであって、従来に無い構成のマクロ多孔性モノリスとその製造方法の提供。
【解決手段】加水分解性の官能基を有するケイ素化合物を含む溶液系において、ゾル−ゲル法による前記化合物の加水分解及び重合並びに前記系の相分離を進行させて、前記化合物の重合体に富む、細孔が形成された骨格相と、前記系の溶媒に富む溶液相とから構成され、双方の相の共連続構造を有するゲルを形成し;これを乾燥することにより;骨格相を骨格とし細孔をメソ孔とし、溶液相をマクロ孔として、メソ孔及びマクロ孔の階層的な多孔構造を有するマクロ多孔性モノリスを得る。ここで、ケイ素化合物は、分子内にSi−H結合を有する水素化ケイ素化合物である。得られたマクロ多孔性モノリスの骨格の表面及びメソ孔の内部には、Si−H結合に基づく水素サイトが分布している。
【選択図】図1

Description

本発明は、マクロ多孔性モノリス、より具体的には骨格およびマクロ孔の共連続構造を
有するとともに、メソ孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有するマクロ多孔性モノリ
スと、その製造方法に関する。
シリカなどの無機材料から構成された、細孔を有する多孔性モノリスが知られている。
当該モノリスは、クロマトグラフィー用分離カラム、酵素担体、触媒担体などに広く使用
されている。このような多孔性モノリスの製造には、一般に、溶液系における液相反応で
あるゾル−ゲル法が用いられる。ゾル−ゲル法とは、分散媒に分散させた、加水分解性の
官能基を有する無機低分子化合物を出発物質として、ゾル−ゲル反応、すなわち当該化合
物の加水分解および重合(重縮合)により、典型的には酸化物の凝集体または重合体を得
る方法を示す。出発物質である無機低分子化合物は、例えば、テトラアルコキシシランに
代表される金属アルコキシドおよび加水分解性の官能基を有する金属塩である。従来の一
般的な多孔性モノリスは、メソ孔(直径が50nm未満の細孔)のみを有する。このよう
な多孔性モノリスは、各種の用途に望まれる特性を必ずしも満たしているとはいえない。
特許文献1には、これとは異なり、孔径の大きな貫通孔と、貫通孔の壁面に形成された
より小さな孔径を有する細孔とを有し、当該貫通孔と骨格とが共連続構造を示す多孔性モ
ノリスが開示されている。このような階層的な多孔構造を有する多孔性モノリスによれば
、例えば、高い分離能を維持しながらも圧力損失が小さいクロマトグラフィー用分離カラ
ムが実現するなど、メソ孔のみを有する多孔性モノリスによっては実現が困難な、多孔性
モノリスとして各種の用途に望まれる特性が実現する。階層的な多孔構造を有する多孔性
モノリスは、例えば、相分離過程を併用したゾル−ゲル反応の進行によって得ることがで
きる。
非特許文献1,2には、多孔性モノリスではないがメソ孔を有する微粒子であって、当
該微粒子中にSi−H結合が存在する微粒子が開示されている。また、非特許文献2には
、当該微粒子によって、銀(I)の塩を還元してメソ孔中に銀のナノ粒子を形成できたこ
とが記載されている。
特開平6−265534号公報 特開平7−41374号公報
Z. Y. Xie et al., [Periodic mesoporous hydridosilica−−synthesis of an [impossible] material and its thermal transformation into brightly photoluminescent periodic mesoporous nanocrystal silicon−silica composite], Journal of American Chemical Society, 2011, 133, pp. 5094−5102 O. Dag et al., [Spatially confined redox chemistry in periodic mesoporous hydridosilica−nanosilver grown in reducing nanopores], Journal of American Chemical Society, 2011, 133, pp. 17454−17462
本発明は、階層的な多孔構造を有するマクロ多孔性モノリスであって、従来に無い構成
のマクロ多孔性モノリスとその製造方法の提供を目的とする。
本発明のマクロ多孔性モノリスの製造方法(第1の製造方法)では、加水分解性の官能
基を有するケイ素化合物を含む溶液系において、ゾル−ゲル法による前記ケイ素化合物の
加水分解および重合ならびに前記系の相分離を進行させることにより、前記ケイ素化合物
の重合体に富む、表面に開口を有する細孔が形成された骨格相と、前記系の溶媒に富む溶
液相とから構成されるとともに、前記骨格相および溶液相の共連続構造を有するゲルを形
成し;前記形成したゲルを乾燥して;前記骨格相を骨格とし、前記細孔を前記骨格の表面
に開口を有するメソ孔とし、前記溶液相をマクロ孔とする、前記メソ孔およびマクロ孔の
階層的な多孔構造を有するマクロ多孔性モノリスを得る。ここで、当該方法では、前記ケ
イ素化合物が、分子内に少なくとも1つのSi−H結合を有する水素化ケイ素化合物であ
り、前記モノリスとして、前記骨格の表面および前記メソ孔の内部に、前記Si−H結合
に基づく水素サイトが分布したマクロ多孔性モノリスを得る。
本発明のマクロ多孔性モノリス(第1のマクロ多孔性モノリス)は、ヒドリドシリカに
より構成された骨格と、前記骨格との共連続構造を示すマクロ孔とを有し、前記骨格に当
該骨格の表面に開口を有するメソ孔が形成されていることで、前記メソ孔およびマクロ孔
の階層的な多孔構造を有し、前記骨格の表面および前記メソ孔の内部にSi−H結合に基
づく水素サイトが分布したマクロ多孔性モノリスである。
別の側面からみた本発明のマクロ多孔性モノリスの製造方法(第2の製造方法)では、
ヒドリドシリカにより構成された骨格と、前記骨格との共連続構造を示すマクロ孔とを有
し、前記骨格に当該骨格の表面に開口を有するメソ孔が形成されていることで、前記メソ
孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有し、前記骨格の表面および前記メソ孔の内部に
Si−H結合に基づく水素サイトが分布したマクロ多孔性モノリスを、標準電極電位が水
素よりも正に大きい金属の塩を含む溶液に接触させることにより、前記マクロ多孔性モノ
リスにおける前記水素サイトにおいて前記金属を還元し、当該金属から構成されたナノ粒
子を形成して、少なくとも前記メソ孔の内部に前記ナノ粒子が配置されたマクロ多孔性モ
ノリスを得る。
別の側面から見た本発明のマクロ多孔性モノリス(第2のマクロ多孔性モノリス)は、
ヒドリドシリカまたはシリカゲルにより構成された骨格と、前記骨格との共連続構造を示
すマクロ孔とを有し、前記骨格に当該骨格の表面に開口を有するメソ孔が形成されている
ことで、前記メソ孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有し、少なくとも前記メソ孔の
内部に、標準電極電位が水素よりも正に大きい金属から構成されたナノ粒子が配置された
モノリスである。
本発明によれば、階層的な多孔構造を有するマクロ多孔性モノリスであって、従来に無
い構成のマクロ多孔性モノリスとその製造方法を提供できる。
図1の(a)〜(e)は、実施例1において作製した多孔性モノリスの構造を示す走査型電子顕微鏡(SEM)観察像である。図1の(f)は、実施例1において作製した第1のマクロ多孔性モノリスの外観を示す像である。 図2は、実施例1において作製した第1のマクロ多孔性モノリスに対する水銀圧入法による細孔分布測定結果を示す図である。 図3は、実施例1において作製した第1のマクロ多孔性モノリスに対する窒素ガス吸着法による細孔分布測定結果を示す図である。 図4Aは、実施例1において作製した第1のマクロ多孔性モノリスに対するフーリエ変換赤外分光(FT−IR)の測定結果を示す図である。 図4Bは、実施例1において作製した第1のマクロ多孔性モノリスに対するラマン分光の測定結果を示す図である。 図4Cは、実施例1において作製した第1のマクロ多孔性モノリスに対する熱重量−示差熱分析(TG−DTA)の測定結果を示す図である。 図4Dは、実施例1において作製した第1のマクロ多孔性モノリスに対する固体29Si CP/MAS NMR測定の結果を示す図である。 図5Aは、実施例2において、第1のマクロ多孔性モノリスを硝酸銀水溶液に浸漬して銀イオンを還元した後の当該モノリスに対するFT−IRの測定結果を、浸漬前の当該モノリスに対するFT−IR測定結果と併せて示す図である。 図5Bは、実施例2において、第1のマクロ多孔性モノリスを塩化金酸四水和物水溶液に浸漬して金イオンを還元した後の当該モノリスに対するFT−IRの測定結果を、浸漬前の当該モノリスに対するFT−IR測定結果と併せて示す図である。 図5Cは、実施例2において、第1のマクロ多孔性モノリスを硝酸パラジウム水溶液に浸漬してパラジウムイオンを還元した後の当該モノリスに対するFT−IRの測定結果を、浸漬前の当該モノリスに対するFT−IR測定結果と併せて示す図である。 図5Dは、実施例2において、第1のマクロ多孔性モノリスを塩化白金酸六水和物水溶液に浸漬して白金イオンを還元した後の当該モノリスに対するFT−IRの測定結果を、浸漬前の当該モノリスに対するFT−IR測定結果と併せて示す図である。 図6Aは、実施例2において、第1のマクロ多孔性モノリスを金属塩の水溶液に浸漬して金属イオンを還元した後の当該モノリスに対する広角X線回折(XRD)の測定結果を示す図である。 図6Bは、実施例2において、第1のマクロ多孔性モノリスを硝酸銀水溶液に浸漬して銀イオンを還元した後の当該モノリスに対するXRDの測定結果(還元する銀イオンの当量違い)を示す図である。 図6Cは、実施例2において、第1のマクロ多孔性モノリスを塩化金酸水溶液に浸漬して金イオンを還元した後の当該モノリスに対するXRDの測定結果(還元する金イオンの当量違い)を示す図である。 図6Dは、実施例2において、第1のマクロ多孔性モノリスを硝酸パラジウム水溶液に浸漬してパラジウムイオンを還元した後の当該モノリスに対するXRDの測定結果(還元するパラジウムイオンの当量違い)を示す図である。 図6Eは、実施例2において、第1のマクロ多孔性モノリスを塩化白金酸水溶液に浸漬して白金イオンを還元した後の当該モノリスに対するXRDの測定結果(還元する白金イオンの当量違い)を示す図である。 図7は、実施例2において、第1のマクロ多孔性モノリスを金属塩の水溶液に浸漬することにより、還元されて当該モノリスに析出した金属ナノ粒子の平均粒径(金属の種類違い)を示す図である。 図8の(a)〜(d)は、実施例2において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する高角度散乱暗視野(走査透過電子顕微鏡)像(HAADF−STEM像)を示す図である。 図9は、実施例2において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのSEM像を示す図である。 図10は、実施例2において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する窒素ガス吸着法による窒素ガス吸着量を示す図である。 図11は、実施例2において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する窒素ガス吸着法による細孔分布測定結果を示す図である。 図12は、実施例3において、金属塩を含む溶液に第1のマクロ多孔性モノリスを浸漬させた際の当該溶液およびモノリスの色調の変化を示す図である。 図13は、実施例3において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する広角X線回折(XRD)の測定結果を示す図である。 図14は、実施例3において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対するX線光電子分光(XPS)の測定結果を示す図である。 図15は、実施例3において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する29Si固体NMRの測定結果を示す図である。 図16は、実施例3において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのSEM観察像を示す図である。 図17は、実施例3において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのHAADF−STEM像を示す図である。 図18は、実施例3において作製した第2のマクロ多孔性モノリスにおける金属ナノ粒子の粒径分布を示す図である。 図19は、実施例3において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す図である。 図20は、実施例3において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対するXRDの測定結果を示す図である。 図21は、実施例3において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対するXRDの測定結果を示す図である。 図22は、実施例4において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対するXRDの測定結果を示す図である。 図23Aは、実施例4において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのHAADF−STEM像を示す図である。 図23Bは、実施例4において作製した第2のマクロ多孔性モノリスにおける金属ナノ粒子の粒径分布を示す図である。 図24Aは、実施例4において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのHAADF−STEM像を示す図である。 図24Bは、実施例4において作製した第2のマクロ多孔性モノリスにおける金属ナノ粒子の粒径分布を示す図である。 図24Cは、実施例4において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す図である。 図24Dは、実施例4において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのSEM観察像を示す図である。 図25Aは、実施例4において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのHAADF−STEM像を示す図である。 図25Bは、実施例4において作製した第2のマクロ多孔性モノリスにおける金属ナノ粒子の粒径分布を示す図である。 図26は、実施例5において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対するXRDの測定結果を示す図である。 図27Aは、実施例5において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのHAADF−STEM観察像を示す図である。 図27Bは、実施例5において作製した第2のマクロ多孔性モノリスにおける金属ナノ粒子の粒径分布を示す図である。 図28は、実施例5において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す図である。 図29は、実施例5において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、XPSの測定結果を示す図である。 図30は、実施例5において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのSEM観察像を示す図である。 図31は、実施例5において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対するXRDの測定結果を示す図である。 図32Aは、実施例5において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのHAADF−STEM観察像を示す図である。 図32Bは、実施例5において作製した第2のマクロ多孔性モノリスにおける金属ナノ粒子の粒径分布を示す図である。 図33は、実施例5において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す図である。 図34は、実施例5において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのSEM観察像を示す図である。 図35は、実施例5において作製した第2のマクロ多孔性モノリスにおける金属ナノ粒子の平均粒径を示す図である。 図36は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対するXRDの測定結果を示す図である。 図37Aは、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのHAADF−STEM観察像を示す図である。 図37Bは、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスにおける金属ナノ粒子の粒径分布を示す図である。 図38は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す図である。 図39は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、XPSの測定結果を示す図である。 図40は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのSEM観察像を示す図である。 図41は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対するXRDの測定結果を示す図である。 図42Aは、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのHAADF−STEM観察像を示す図である。 図42Bは、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスにおける金属ナノ粒子の粒径分布を示す図である。 図43は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す図である。 図44は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、XPSの測定結果を示す図である。 図45は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのSEM観察像を示す図である。 図46は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対するXRDの測定結果を示す図である。 図47Aは、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのHAADF−STEM観察像を示す図である。 図47Bは、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスにおける金属ナノ粒子の粒径分布を示す図である。 図48は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す図である。 図49は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、XPSの測定結果を示す図である。 図50は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのSEM観察像を示す図である。 図51は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対するXRDの測定結果を示す図である。 図52Aは、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのHAADF−STEM観察像を示す図である。 図52Bは、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスにおける金属ナノ粒子の粒径分布を示す図である。 図53は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す図である。 図54は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、XPSの測定結果を示す図である。 図55は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのSEM観察像を示す図である。 図56は、実施例7において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対するXRDの測定結果を示す図である。 図57は、実施例7において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのHAADF−STEM観察像を示す図である。 図58は、実施例7において作製した第2のマクロ多孔性モノリスにおける金属ナノ粒子の粒径分布を示す図である。 図59は、実施例7において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す図である。 図60は、実施例7において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、XPSの測定結果を示す図である。 図61は、実施例7において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのSEM観察像を示す図である。 図62は、実施例7において作製した第2のマクロ多孔性モノリスにおける金属ナノ粒子の平均粒径を示す図である。 図63は、実施例8で実施した4−ニトロフェノールの還元反応の一例における、当該反応の進行に伴う紫外線吸収分光の変化を示す図である。 図64は、実施例8で作製した流体反応システムと、当該システムを用いた4−ニトロフェノールの4−アミノフェノールへの還元反応とを示す図である。
本開示の第1態様は、ヒドリドシリカにより構成された骨格と、前記骨格との共連続構
造を示すマクロ孔とを有し;前記骨格に当該骨格の表面に開口を有するメソ孔が形成され
ていることで、前記メソ孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有し;前記骨格の表面お
よび前記メソ孔の内部に、Si−H結合に基づく水素サイトが分布したマクロ多孔性モノ
リスを提供する。
第2態様は、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物を含む溶液系において、ゾル−
ゲル法による前記ケイ素化合物の加水分解および重合ならびに前記系の相分離を進行させ
ることにより、前記ケイ素化合物の重合体に富む、表面に開口を有する細孔が形成された
骨格相と、前記系の溶媒に富む溶液相とから構成されるとともに、前記骨格相および溶液
相の共連続構造を有するゲルを形成し;前記形成したゲルを乾燥して;前記骨格相を骨格
とし、前記細孔を前記骨格の表面に開口を有するメソ孔とし、前記溶液相をマクロ孔とす
る、前記メソ孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有するマクロ多孔性モノリスを得る
方法であって、前記ケイ素化合物が、分子内に少なくとも1つのSi−H結合を有する水
素化ケイ素化合物であり、前記モノリスとして、前記骨格の表面および前記メソ孔の内部
に、前記Si−H結合に基づく水素サイトが分布したモノリスを得る、マクロ多孔性モノ
リスの製造方法を提供する。
第3態様は、第2態様に加え、前記水素化ケイ素化合物がトリアルコキシシランである
、マクロ多孔性モノリスの製造方法を提供する。
第4態様は、第2または第3態様に加え、前記トリアルコキシシランが有するアルコキ
シ基が、メトキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基から選ばれる少なくとも1種である
、マクロ多孔性モノリスの製造方法を提供する。
第5態様は、第2から第4態様のいずれかに加え、前記溶液系が弱酸性であるとともに
アルコールを含む、マクロ多孔性モノリスの製造方法を提供する。
第6態様は、ヒドリドシリカまたはシリカゲルにより構成された骨格と、前記骨格との
共連続構造を示すマクロ孔とを有し、前記骨格に当該骨格の表面に開口を有するメソ孔が
形成されていることで、前記メソ孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有し、少なくと
も前記メソ孔の内部に、標準電極電位が水素よりも正に大きい金属から構成されたナノ粒
子が配置されたマクロ多孔性モノリスを提供する。
第7態様は、ヒドリドシリカにより構成された骨格と、前記骨格との共連続構造を示す
マクロ孔とを有し、前記骨格に当該骨格の表面に開口を有するメソ孔が形成されているこ
とで、前記メソ孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有し、前記骨格の表面および前記
メソ孔の内部に、Si−H結合に基づく水素サイトが分布したマクロ多孔性モノリスを、
標準電極電位が水素よりも正に大きい金属の塩を含む溶液に接触させることにより、前記
マクロ多孔性モノリスにおける前記水素サイトにおいて前記金属を還元し、当該金属から
構成されたナノ粒子を形成して、少なくとも前記メソ孔の内部に前記ナノ粒子が配置され
たマクロ多孔性モノリスを得る、マクロ多孔性モノリスの製造方法を提供する。
第8態様は、第7態様に加え、前記Si−H結合に基づく水素サイトが分布したマクロ
多孔性モノリスを、第2から第5態様のいずれかの製造方法により形成する、マクロ多孔
性モノリスの製造方法を提供する。
第9態様は、第7または第8態様に加え、前記金属が、白金、パラジウム、金、銀、銅
、ルテニウム、ロジウムおよび水銀から選ばれる少なくとも1種である、マクロ多孔性モ
ノリスの製造方法を提供する。
第10態様は、第7または第8態様に加え、前記金属が、白金、パラジウム、金、銀、
銅、ルテニウム、ロジウムおよび水銀から選ばれる少なくとも2種であり、前記ナノ粒子
が、前記少なくとも2種の金属の合金または固溶体から構成された粒子である、マクロ多
孔性モノリスの製造方法を提供する。
本明細書において「マクロ孔」とは、IUPACによる提唱に従い、孔径(細孔径)が
50nm以上の細孔を意味し、「メソ孔」とはマクロ孔とミクロ孔(孔径が2nm未満の
細孔)との中間、すなわち孔径が2nm以上50nm未満の範囲にある細孔を意味する。
細孔の孔径および平均孔径は、予想される当該孔径および平均孔径の大きさに基づいて選
択される一般的な細孔分布測定、例えば、マクロ孔について水銀圧入法による細孔分布測
定、メソ孔について窒素ガス吸着法による細孔分布測定により、求めることができる。
[第1の製造方法および第1のマクロ多孔性モノリス]
第1の製造方法は、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物を含む溶液系において、
ゾル−ゲル法による当該ケイ素化合物の加水分解および重合(重縮合)ならびに当該溶液
系の相分離を進行させることにより、骨格相と溶液相とから構成されるゲルを形成する工
程(ゲル化工程)を含む。ゲル化工程において形成するゲルの骨格相は、上記ケイ素化合
物の重合体(加水分解物の重縮合体)に富んでいる。骨格相には、その表面に開口を有す
る細孔(ゲルの乾燥後にメソ孔となる細孔)が形成されている。ただし、当該細孔の全て
が骨格相の表面に開口を有するとは限らない。これは、乾燥後のメソ孔においても同様で
ある。溶液相は上記溶液系の溶媒に富んでおり、溶液相における上記重合体の濃度は骨格
相における濃度に比べて相対的に低い。相分離過程を経て生じた骨格相および溶液相は、
それぞれ連続した3次元の網目構造を有するとともに互いに絡み合っており、すなわち、
ゲル化工程において形成するゲルは骨格相および溶液相の共連続構造を有している。
第1の製造方法は、ゲル化工程において形成したゲルを乾燥する工程(乾燥工程)をさ
らに含む。乾燥工程を経て、第1のマクロ多孔性モノリス(第1のモノリス)が得られる
。乾燥工程では、ゲルの骨格相から第1のモノリスの骨格が、溶液相から第1のモノリス
のマクロ孔が、それぞれ形成される。第1のモノリスでは、ゲルの骨格相および溶液相の
構造に対応して、骨格およびマクロ孔はそれぞれ連続した3次元の網目構造を有するとと
もに互いに絡み合っており、すなわち、第1のモノリスは骨格およびマクロ孔の共連続構
造を有する。これにより第1のモノリスは、複数の重合体粒子の確率的な凝集および結着
により形成された多孔質体に比べて骨格の構造がより均一となり、強度などの機械的特性
に優れる。
これに加えて第1のモノリスは、骨格の表面に開口を有するメソ孔を有する。メソ孔は
、ゲルの骨格相に存在していた細孔から乾燥工程を経て形成される。骨格の表面に開口を
有するとはマクロ孔の壁面に開口を有することであり、すなわち、第1のモノリスは孔径
が異なるマクロ孔およびメソ孔の階層的な多孔構造を有する。本明細書では、骨格および
マクロ孔の共連続構造を有するとともに、このようなメソ孔およびマクロ孔の階層的な多
孔構造を有するモノリスを、マクロ多孔性モノリスという。階層的な多孔構造により、例
えば、孔径の大きなマクロ孔により圧力損失の上昇を抑制しながらも、孔径の小さなメソ
孔により高い比表面積、すなわち高い分離能が確保されたクロマトグラフィー用分離カラ
ムが実現するなど、多孔性モノリスとして各種の用途に望まれる特性が実現する。
第1の製造方法では、ケイ素化合物として、加水分解性の官能基を有するとともに分子
内に少なくとも1つのSi−H結合を有する水素化ケイ素化合物(シリルヒドリド化合物
)を使用する。そして、第1のモノリスとして、骨格の表面およびメソ孔の内部にSi−
H結合に基づく水素サイトが分布した(Si−H基が分布した)モノリスを得る。第1の
モノリスに分布するSi−H基は、第1の製造方法の出発物質である水素化ケイ素化合物
に由来する。Si−H基は還元活性、特に種々の有機反応に応用可能な還元活性、を有し
ており、第1の製造方法により、当該還元活性を利用できる様々な用途に使用可能な第1
のマクロ多孔性モノリスが得られる。
このようなマクロ多孔性モノリスは、例えば、加水分解性の官能基を有するケイ素化合
物の加水分解および重合により形成した微粒子を凝集および結着させることによっては得
ることができない。微粒子の結着によって、メソ孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を
有するモノリスを製造することはできないか、あるいは非常に困難である。そして、仮に
Si−H結合に基づく水素サイトが分布した、ケイ素化合物の加水分解物の重縮合体から
なる微粒子を準備し、当該微粒子を凝集および結着させたとしても、そもそもケイ素酸化
物を主たる成分とする当該重縮合体の結着に必要な高熱によってSi−H基が容易に分解
するため、得られた結着体ではSi−H基が全て失われる結果となる。
第1のマクロ多孔性モノリスは、相分離過程を併用するゾル−ゲル法を採用した第1の
製造方法により初めて実現する。なお、第1のマクロ多孔性モノリスの骨格は、その表面
およびメソ孔の内部にSi−H結合に基づく水素サイトが分布した、上記水素化ケイ素化
合物の加水分解物の重縮合体であるヒドリドシリカ(水素化シリカ)から構成される。ヒ
ドリドシリカは、通常のシリカゲルとはシロキサン結合(Si−O−Si結合)からなる
3次元的な結合を有する点で共通するが上記水素サイト(Si−H基)が分布している点
で異なっている。ヒドリドシリカが有するSi−H基が酸化または分解されるとSi−O
H基またはSi−O−Si結合となり、ヒドリドシリカは通常のシリカゲルとなる。
換言すれば、第1のマクロ多孔性モノリスは、ヒドリドシリカにより構成された骨格と
当該骨格との共連続構造を示すマクロ孔とを有し、骨格に当該骨格の表面に開口を有する
メソ孔が形成されていることでメソ孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有し、骨格の
表面およびメソ孔の内部にSi−H結合に基づく水素サイトが分布したマクロ多孔性モノ
リスである。
第1のマクロ多孔性モノリスにおける骨格の表面およびメソ孔の内部に分布した水素サ
イトの分布密度は、例えば、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物として水素化ケイ
素化合物とSi−H結合を有さないケイ素化合物(例えばケイ素アルコキシド)とを含む
溶液系とし、当該溶液系における両化合物の混合比率を変化させることにより制御するこ
とができる。また、第1のマクロ多孔性モノリスを形成した後、当該モノリスが有する水
素サイトの一部を他の官能基に転換することによっても制御可能である。転換の一例は、
亜鉛化合物を触媒とする、Si−H基とアルコールR−OHとの反応の進行であり、この
場合、Si−H基がSi−OR基に転換され、第1のマクロ多孔性モノリスにおけるSi
−H基の分布密度が低下する。
水素化ケイ素化合物は、その分子内に少なくとも1つのSi−H結合を有する限り限定
されない。水素化ケイ素化合物は、好ましくは1つのSi−H結合を有する化合物である
。後者の場合、Si原子との残る3つの結合が、Si原子と加水分解性の官能基との結合
であることが好ましい。
水素化ケイ素化合物は加水分解性の官能基を有する。当該官能基は、アルコキシ基、エ
チレングリコキシ基およびグリセロキシ基から選ばれる少なくとも1種が好ましく、加水
分解速度の観点から、アルコキシ基がより好ましい。アルコキシ基は、例えば、メトキシ
基、エトキシ基およびプロポキシ基から選ばれる少なくとも1種であり、水素化ケイ素化
合物の加水分解について十分な速度が得られることから、メトキシ基およびエトキシ基か
ら選ばれる少なくとも1種がより好ましい。水素化ケイ素化合物が、2以上の加水分解性
の官能基を有する場合、ゾル−ゲル反応の制御の容易さから、全ての官能基が同一の種類
であることが好ましい。
水素化ケイ素化合物は、好ましくは、分子内に1つのSi−H結合と、加水分解性の官
能基として3つのアルコキシ基とを有するトリアルコキシシラン(SiH(OR):R
はアルキル基)である。水素化ケイ素化合物がトリアルコキシシランである場合、シロキ
サン結合による3次元ネットワークから構成され、表面およびメソ孔内に上記水素サイト
が分布した骨格の形成がより確実となる。トリアルコキシシランが有するアルコキシ基は
、メトキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基から選ばれる少なくとも1種が好ましく、
水素化ケイ素化合物の加水分解について十分な速度が得られることから、メトキシ基およ
びエトキシ基から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。ゾル−ゲル反応の制御の容易
さの観点からは、トリアルコキシシランが有する3つのアルコキシ基が同一であることが
好ましい。
水素化ケイ素化合物は、例えば、トリメトキシシラン(SiH(OCH)または
トリエトキシシラン(SiH(OCHCH)である。
ゲル化工程におけるゲルの形成は、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物として、
分子内に少なくとも1つのSi−H結合を有する水素化ケイ素化合物を使用することを除
き、従来のマクロ多孔性モノリスの製造における相分離過程を併用したゾル−ゲル法に基
づくゲル化工程(従来のゲル化工程)と同様に実施することができる。
例えば、相分離過程を伴うゾル−ゲル反応に供する溶液系は、水素化ケイ素化合物と当
該化合物の溶媒(分散媒)以外の材料を含むことができる。当該材料は、従来のゲル化工
程において溶液系に含まれる材料であればよく、例えば、骨格相の細孔の形成に寄与する
鋳型成分、相分離誘起剤、ならびにケイ素化合物の加水分解および重縮合を促進または抑
制する材料である。また、上述のように当該溶液系は、加水分解性の官能基を有するケイ
素化合物として、Si−H結合を有さないケイ素化合物(例えばケイ素アルコキシド)を
含んでいてもよい。このケイ素化合物は、水素化ケイ素化合物とともに、ゾル−ゲル法に
よる加水分解および重縮合、溶液系の相分離ならびに乾燥を経て、第1のモノリスの骨格
を形成する。このケイ素化合物の含有により、例えば、第1のマクロ多孔性モノリスにお
ける骨格の表面およびメソ孔の内部に分布した水素サイトの分布密度を制御できる。
鋳型成分は必ずしも必須ではないが、骨格相の細孔(ひいてはマクロ多孔性モノリスに
おける骨格のメソ孔)の形成を確実にするために、溶液系に加えることが好ましい。鋳型
成分は、例えば、両親媒性化合物である。両親媒性化合物は、例えば、カチオン性界面活
性剤、非イオン性界面活性剤、ならびに親水部および疎水部を有するブロック共重合体で
ある。カチオン性界面活性剤は、四級アンモニウム塩などの親水部と主にアルキル基から
なる疎水部とを有する界面活性剤が好ましい。両親媒性化合物の具体例は、ハロゲン化ア
ルキルアンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、エチレンオキシド−プロピ
レンオキシド−エチレンオキシドブロック共重合体である。両親媒性化合物は、溶液系の
溶媒に均一に溶解するものが好ましい。
鋳型成分の添加量は、溶液系に加える場合、例えば、溶液系中のケイ素原子0.016
7モル(無水シリカ換算重量として1.0g)に対して0.5〜5.0gであり、1.0
〜3.0gが好ましく、1.5〜2.5gがより好ましい。
相分離誘起剤は、相分離過程を伴ったゾル−ゲル反応を誘起できる成分である限り限定
されず、ポリエチレンオキシド(PEO)のように溶液系の溶媒に溶解する高分子化合物
が好ましい。相分離誘起剤には、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ナトリ
ウム塩、ポリアリルアミン塩酸塩の他、鋳型成分として上述した材料も使用できる(逆に
、PEOは鋳型成分としても機能する)。
相分離誘起剤の添加量は、例えば、溶液中のケイ素1モルに対して、単量体として0.
01〜1.0モルであり、0.05〜0.7モルが好ましく、0.1〜0.4モルがより
好ましい。
ケイ素化合物の加水分解および重縮合を促進する材料は、例えば、酸である。酸は、例
えば、塩酸、硫酸、硝酸などの鉱酸、および酢酸、クエン酸などの有機酸である。酸は、
塩酸、硫酸、硝酸が好ましい。
ケイ素化合物の加水分解および重縮合を抑制する材料は、例えば、アルコールである。
アルコールは、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールである。水素化ケイ素化
合物が加水分解性の官能基としてアルコキシ基を有する場合、当該アルコキシ基を構成す
るアルキルの部分と同じアルキル基を有するアルコール(ペアレントアルコール:例えば
、水素化ケイ素化合物がメトキシ基を有する場合にはメタノール)が好ましい。これによ
り、反応系がシンプルとなり、ゾル−ゲル反応の制御性が増加する。
溶液系の溶媒は、典型的には水である。水の量は、例えば、溶液中のケイ素に対してモ
ル比(水/ケイ素)で2.0〜40.0であり、3.0〜20.0が好ましく、5.0〜
10.0がより好ましい。過剰な水は、ゲルの形成を阻害する。
相分離過程を伴うゾル−ゲル反応は、従来のマクロ多孔性モノリスの製造におけるゲル
化工程と同様に、これらの材料の混合による溶液系の完成により進行する。ただし、第1
の製造方法では、ゲル化工程において、水素化ケイ素化合物が有するSi−H結合が失わ
れることを抑制する(Si−H基の分解を抑制する)ために、相分離過程を伴うゾル−ゲ
ル反応を「マイルドな」条件で進行させることが好ましい。
マイルドな条件のために、例えば、溶液系を弱酸性とすることが好ましい。そのために
は、例えば、溶液系に加える酸の量を、典型的には水(およびアルコール)からなる全溶
媒を基準として2.0mM〜500mMとすることが好ましく、5.0mM〜200mM
とすることがより好ましく、10mM〜50mMとすることがさらに好ましい(ここで、
M=モル/Lである)。
マイルドな条件のために、例えば、溶液系にアルコールを加えることが好ましく、アル
コールの添加量は、例えば、溶液中のケイ素に対してモル比(アルコール/ケイ素)で0
.5〜20.0であり、1.0〜10.0が好ましく、2.0〜5.0がより好ましい。
上述したように、アルコールはペアレントアルコールが好ましい。
最も好ましくは、溶液系が弱酸性であるとともにアルコールを含むことである。
第1の製造方法において、ゲル化工程において形成されたゲルは、その後乾燥されて第
1のマクロ多孔性モノリスとなる。乾燥工程は、従来のマクロ多孔性モノリスの製造にお
けるゲル化工程後の乾燥工程と同様に実施することができる。ただし、加熱を併用して乾
燥工程を実施する場合には、Si−H基が分解する高温がゲルに加わることをできるだけ
避けることが好ましい。
第1のマクロ多孔性モノリスは、上述した特徴以外にも、例えば、以下の特徴を有する
(1)マクロ孔の孔径の均一性が高い。相分離過程を経てマクロ孔が形成されるため、
孔径の均一性が高いマクロ孔を有する。なお、マクロ多孔性モノリスに液体を浸透させる
場合には、マクロ孔の平均孔径は1μm以上が好ましい。第2のマクロ多孔性モノリスに
おいても同様である。
(2)高い比表面積を有する。骨格に形成された無数のメソ孔により、高い比表面積を
示す。比表面積は、例えば、600m/g以上とすることができ、製造条件によっては
、800m/g以上となる。なお、メソ孔の中心孔径は、2〜10nmが好ましい。第
2のマクロ多孔性モノリスにおいても同様である。
(3)Si−H結合に基づく水素サイトの分布(Si−H基の分布)により、モノリス
内に進入した物質を還元させる還元反応を進行させることができる。この場合、水素サイ
トは還元サイトとして機能する。ただし、還元反応は、還元前の当該物質の標準電極電位
が水素よりも正に大きい場合に限られる。第1のマクロ多孔性モノリスは、例えば、有機
化合物の還元反応あるいは金属化合物(金、銀、銅、白金、パラジウム、ルテニウム、ロ
ジウム、水銀、レニウム、ゲルマニウム、タリウムなどの金属の化合物)の還元反応に用
いることができる。
(4)骨格の表面(マクロ孔の壁面)だけではなくメソ孔の内部にまで上記水素サイト
が分布している。これにより、安定かつ確実な還元反応を実現できるとともに、モノリス
の単位重量あたり多くの物質を還元できる。また、第2の製造方法および第2のマクロ多
孔性モノリスの説明に示すように、メソ孔の内部に還元後の物質を配置することが可能と
なり、この点は、例えば、モノリスを触媒担体として使用する際に大きなメリットとなる
(5)Si−H結合(Si−H基)を有する物質は、低分子化合物の状態では、その爆
発または燃焼の危険性から使用には細心の注意を要する。これは、当該低分子化合物への
接触により物質を還元させる還元反応を進行させる場合も同様である。一方、第1のマク
ロ多孔性モノリスでは、低分子化合物とは異なり、これらの危険性を回避できる。この点
は、産業上非常に有利である。
第1のマクロ多孔性モノリスが得られる限り、第1の製造方法は、ゲル化工程および乾
燥工程以外の任意の工程を含むことができる。
第1のマクロ多孔性モノリスは、上述した第1の製造方法以外の方法により製造しても
構わない。
第1のマクロ多孔性モノリスの用途は限定されず、例えば、Si−H基への任意の官能
基修飾による分離媒体、還元反応を伴う触媒分子・酵素分子の固定による触媒担体、還元
を伴う微量有害物質の安定化と回収、などに幅広く使用できる。
[第2の製造方法および第2のマクロ多孔性モノリス]
第2の製造方法では、第1のマクロ多孔性モノリスを、標準電極電位Eが水素よりも
正に大きい金属の塩を含む溶液に接触させることにより、第1のマクロ多孔性モノリスに
おける上記水素サイトにおいて当該金属を還元し、当該金属から構成されたナノ粒子を形
成する(還元工程)。そして、この還元工程により、少なくともメソ孔の内部に当該金属
から構成されたナノ粒子が配置されたマクロ多孔性モノリス(第2のマクロ多孔性モノリ
ス)を得る。なお、ナノ粒子とは、粒子の縦・横・高さのいずれかの次元の長さが250
nm以下1nm(1nmは、化合物の分子1個あるいは単位格子のサイズに近い)以上、
好ましくは100nm以下1nm以上の粒子を意味する。上記いずれかの次元の長さが1
nm未満の粒子はクラスターと、250nmを超える粒子は微粒子と、一般的に呼称され
る。
金属は、還元前の状態で(溶液中の典型的にはイオンの状態で)標準電極電位Eが水
素よりも正に大きい金属である。金属は、例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、
金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、水銀(
Hg)、レニウム(Re)、ゲルマニウム(Ge)およびタリウム(Tl)から選ばれる
少なくとも1種であり、白金、パラジウム、金、銀、銅、ルテニウム、ロジウムおよび水
銀から選ばれる少なくとも1種であってもよい。ただし、水銀は常温常圧下で液体である
ため、水銀について固体のナノ粒子を得るためには、低融点の溶媒に水銀塩を溶解させる
とともに第1のマクロ多孔性モノリスを水銀の融点(−38.9℃)以下に冷却する必要
がある。なお、例えば25℃の水中におけるEは、水素:0V、白金(Pt2+):+
1.19V([PtClとしては+0.74V)、パラジウム(Pd2+):+0
.92V、金(Au3+):+1.52V([AuClとしては+1.00V)、
銀(Ag):+0.80V、銅(Cu2+):+0.34V、ルテニウム(Ru2+
:+0.80V、ロジウム(Rh3+):+0.76V、水銀(Hg2+):+0.85
V、レニウム(Re3+):+0.30V、ゲルマニウム(Ge4+):+0.12V、
タリウム(Tl3+):+0.72Vである。
第2の製造方法では、第1のマクロ多孔性モノリスの骨格の表面およびメソ孔の内部に
分布したSi−H結合に基づく水素サイトを利用して金属の還元反応を進行させ、当該サ
イトが存在していた部分に当該金属から構成されたナノ粒子(金属ナノ粒子)を析出させ
る。なお、「少なくともメソ孔の内部に」としたのは、マクロ多孔性モノリスにおける骨
格の表面(マクロ孔の壁面)に配置されたナノ粒子は、第2のマクロ多孔性モノリスの製
造後の処理または使用の状態によっては多少なりとも流出する可能性があるためである。
金属を還元した直後の状態では、第2のマクロ多孔性モノリスにおける骨格の表面にも当
該ナノ粒子が配置されている。もちろん、第2のマクロ多孔性モノリスの形成後の処理ま
たは使用によっても当該ナノ粒子が流出せず、メソ孔の内部と併せて第2のマクロ多孔性
モノリスにおける骨格の表面にも、還元された当該金属ナノ粒子が配置されうる。
金属を還元させたSi−H基は、Si−OH基またはSi−O−Si結合となる。換言
すれば、第2のマクロ多孔性モノリスは、ヒドリドシリカまたはシリカゲルにより構成さ
れた骨格と当該骨格との共連続構造を示すマクロ孔とを有し、骨格に当該骨格の表面に開
口を有するメソ孔が形成されていることでメソ孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有
し、少なくともメソ孔の内部に、標準電極電位が水素よりも正に大きい金属から構成され
たナノ粒子が配置されたマクロ多孔性モノリスである。
メソ孔の内部にまで金属ナノ粒子が配置されたマクロ多孔性モノリスは、従来の方法で
は製造することができない。例えば、マクロ多孔性モノリスを従来の方法により製造し、
これに金属ナノ粒子を含む溶液を流したとしても、モノリスの骨格の表面にこそナノ粒子
が担持される可能性はあるが、メソ孔の内部にまでナノ粒子が進入することはない。
これに加えて、第2のマクロ多孔性モノリスでは、メソ孔の内部で金属イオンの還元反
応が進行し、その場で金属ナノ粒子が生成する。このため、メソ孔の壁面の形状に沿った
金属ナノ粒子が形成され、その形状の不均一さが一種のアンカーとなって、メソ孔からの
ナノ粒子の脱落が抑制される。この点は、第2のマクロ多孔性モノリスを、例えば触媒担
体などに使用する場合などに産業上の大きな利点となる。
さらに、第1のマクロ多孔性モノリスについてSi−H基の分布(還元サイトの分布)
の均一性を高くできることに基づき、第2のマクロ多孔性モノリスでは、当該第2のモノ
リスにおける金属ナノ粒子の高い分布の均一性を確保できる。そして、金属の還元反応が
Si−H基という非常に微細なサイトで進行することから、形成した金属ナノ粒子の組成
の高い均一性を確保することも可能である。
還元工程における金属の還元反応は、電気化学的な量論比に従って進行する。したがっ
て、第1のマクロ多孔性モノリスに分布している水素サイトの量が同じ場合、例えば、白
金、パラジウム、金および銀では、一価の電荷のやり取りのみで単体にまで還元される銀
のナノ粒子が最も多く析出する。
一方、第1のマクロ多孔性モノリスに分布していた水素サイトの当量よりも、還元させ
る金属イオンの当量が少ない場合は、還元工程後も、水素サイトが第2のマクロ多孔性モ
ノリスに残留することになる。残留した水素サイト(Si−H基)は、水の存在下におけ
る熱の印加によってSi−OH基に変化させることができる。すなわち、第2のマクロ多
孔性モノリスの骨格は、Si−H基が残留したヒドリドシリカであってもよく、Si−H
基を失った通常のシリカゲルであってもよい。
還元工程は、Si−H基の高い反応性に基づき、還元したい金属の塩を含む溶液に第1
のマクロ多孔性モノリスを接触させるだけで自発的に進行させることができる。このとき
、2種以上の金属の塩を含む溶液を用いると、それぞれの金属のナノ粒子および/または
当該2種以上の金属の合金もしくは固溶体のナノ粒子が析出し、第2のマクロ多孔性モノ
リス内に配置される。いずれの粒子が析出するかは、還元する金属イオンの量、および第
1のマクロ多孔性モノリスにおける水素サイトの分布密度によって変化する。還元する金
属イオンの量に比べて水素サイトが十分大きな分布密度を有している場合はそれぞれの金
属のナノ粒子が析出しやすく、そうでない場合は、合金または固溶体のナノ粒子が析出し
やすい。また、溶液が水を含む場合、金属の還元反応に水が関係することから、当該溶液
に含まれる水の量も、いずれの粒子が析出するかに影響を与える。溶液の溶媒に占める水
の割合が大きいと、還元反応速度が上昇し、それぞれの金属のナノ粒子が個別に析出しや
すい。一方、水の割合が小さいと還元反応速度が低下し、合金または固溶体のナノ粒子が
析出しやすくなる。
合金または固溶体のナノ粒子が析出する場合、一度に還元される金属種の数に上限はな
く、溶液中に存在する金属種の数に応じて、2元、3元あるいは4元系など多元系の合金
ナノ粒子または固溶体ナノ粒子を析出させることができる。例えば、第2の製造方法では
、金属が白金、パラジウム、金、銀、銅、ルテニウム、ロジウムおよび水銀から選ばれる
少なくとも2種であり、ナノ粒子が当該少なくとも2種の金属の合金または固溶体であっ
てもよい。2元系の例は、Au−Pd系、Au−Pt系、Pd−Rh系、Pt−Rh系で
ある。Au−Pd系のナノ粒子は、例えば、過酸化水素の直接合成、アルコールおよびポ
リオールの酸化、フェノールおよびトルエンの酸化の触媒、チオフェンの脱硫などに使用
できる。Au−Pt系のナノ粒子は、例えば、ポリオールおよびCOの酸化の触媒などに
使用できる。もちろん、これらナノ粒子の用途は、上記例に限定されない。3元系の例は
、Au−Pd−Pt系、Au−Pd−Rh系、Au−Pt−Rh系、Pd−Pt−Rh系
である。4元系の例は、Au−Pd−Pt−Rh系である。
還元工程は、例えば、還元したい金属の塩を含む溶液に第1のマクロ多孔性モノリスを
浸漬して行う。還元工程後は、例えば、浸漬したマクロ多孔性モノリスを溶液から取り出
し、乾燥して、第2のマクロ多孔性モノリスを得ることができる。
溶液は、例えば、水を主たる溶媒の成分とする水溶液である。ここで、主たる溶媒の成
分とは、溶媒を構成する成分のうち最も含有量(例えば重量)が大きな成分をいう。第1
のマクロ多孔性モノリスを接触させる溶液は、水のみを溶媒とする水溶液であってもよい
し、本発明の効果が得られる限り、水と水に混和する溶媒(例えば極性溶媒)との混合物
を溶媒とする水溶液であってもよい。水に混和する溶媒は、例えば、メタノール、エタノ
ール、プロパノール、エチレングリコールなどのジオール類、グリセリンなどのトリオー
ル類、アセトン、酸アミド類(ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチ
ルホルムアミド(DMF)、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチル
アセトアミドなど)、環状エーテル類(プロピレンオキシド、トリメチレンオキシド、テ
トラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなど)、スルホキシドまたはスルホン(ジメチル
スルホキシド(DMSO)、ジメチルスルホンなど)、アルコキシアルコール類(エトキ
シエタノール、メトキシメタノールなど)である。また、本発明の効果が得られる限り、
第1のマクロ多孔性モノリスを接触させる溶液は、水を含むが主たる溶媒の成分としない
、あるいは吸湿や金属塩の結晶水などに由来する微量の水を除いて実質的に水を含まない
溶液であってもよい。当該溶液の溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、エチレングリコールなどのジオール類、グリセリンなどのトリオール類およびアセト
ンから選ばれる1種または2種以上を含み、あるいは上記1種の溶媒または2種以上の溶
媒の混合物からなる。溶液または水溶液は、本発明の効果が得られる限り、水、上述した
各溶媒および金属塩以外の材料を含むことができる。
第2の製造方法に使用する第1のマクロ多孔性モノリスは、例えば、第1の製造方法に
より形成した第1のマクロ多孔性モノリスである。すなわち、第1のマクロ多孔性モノリ
スを上述した第1の製造方法により形成してもよい。この場合、第1のマクロ多孔性モノ
リスは、ケイ素化合物から第2のマクロ多孔性モノリスを製造する際の中間体となる。
第2のマクロ多孔性モノリスが得られる限り、第2の製造方法は、還元工程以外の任意
の工程を含むことができる。
第2のマクロ多孔性モノリスは、上述した第2の製造方法以外の方法により製造しても
構わない。
第2のマクロ多孔性モノリスの用途は特に限定されない。当該用途は、例えば、モノリ
ス内に配置されている金属ナノ粒子を触媒として利用する用途(モノリスとしては、当該
触媒の担体としての用途)である。具体例としては、第2のマクロ多孔性モノリスを有機
合成、例えばパラジウムナノ粒子によって効率よく触媒される、鈴木・宮浦カップリング
反応または溝呂木・ヘック反応、の触媒に利用する用途がある。有機合成の触媒に利用す
る場合、モノリスであることから、反応系からの回収が容易であるという利点も得られる
。さらに、第2のマクロ多孔性モノリスでは、多くの触媒担体で見られる「ヒドロキシル
基、チオール基、アミノ基などの配位子(リガンド、リンカー)によるナノ粒子の支持」
を行う必要が必ずしもないため、ナノ粒子による従来にない高い活性やナノ粒子の流出の
抑制が期待される。
また、第2のモノリスがマクロ孔−メソ孔の階層多孔構造を有することにより、マクロ
孔による高い流体透過性と、メソ孔に配置された金属ナノ粒子による高い活性(例えば触
媒活性)とに基づく、高効率かつ高性能な流体反応システム(flow reactio
n system)の構築なども期待される。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に
限定されない。
(実施例1:第1のマクロ多孔性モノリスの作製)
表1に示す量のポリエチレングリコール(PEO)(シグマアルドリッチ製、分子量3
5000)を、体積比1:1で混合した濃度50mMの硝酸(岸田化学製、濃度65%)
2.5mLおよびメタノール(岸田化学製)2.5mLの混合物に溶解させた。次に、得
られた混合物を室温で30分間攪拌した後、得られた溶液に、トリメトキシシラン(HT
MS)(東京化成工業製、>90%)2.1mL(16.5mmol)を加えた。次に、
この混合物を2分間攪拌した後、攪拌を停止し、室温で放置した。放置後、15分以内に
ゲル化が始まった。次に、得られたゲルを室温で2日間熟成させ、メタノールで洗浄した
後、40℃で2日間乾燥させて、多孔性モノリスを得た。なお、HTMS、メタノール、
水および硝酸の混合比(モル比)は、1:3.7:8.4:7.6×10−3であった。


作製した各多孔性モノリスの構造を走査型電子顕微鏡(SEM)(JEOL製、JSM
−6060S)を用いて観察した。PEOを加えなかったHY0では透明なゲルが得られ
、マクロ孔が観察されなかった(図1の(a))。一方、PEOの添加量を増すにつれて
得られたゲルの透明性が低下し、マクロ孔が形成されることが確認された(図1の(a)
〜(e))。そして、サンプルHY150およびHY210では、骨格との共連続構造を
有するマクロ孔の形成が明確に確認され(図1の(c)、(d))、第1のマクロ多孔性
モノリスの作製が確認された。図1の(f)に、HY210モノリスの外観を示す。図1
の(f)には、HY210モノリスと当該モノリスのサイズの指標となる定規とが示され
ており、図中、上方の物品が円柱状のHY210モノリスである。HY150およびHY
210の外観は白色であった。
次に、HY150およびHY210に存在するマクロ孔の特性を水銀細孔分布測定装置
(カンタクローム製、Pore Master 60−GT)を用いて評価した。各サン
プルは、測定の前に200℃で6時間加熱して脱気(degas)した。評価結果を図2
に示す。図2に示すように、両モノリスにおけるマクロ孔の孔径はシャープな分布を示し
た。すなわち、マクロ孔の孔径の均一性が高い第1のマクロ多孔性モノリスが得られてい
た。HY150モノリスにおけるマクロ孔の孔径分布のピークは3.3μm、HY210
モノリスにおけるマクロ孔の孔径分布のピークは1.2μmであった。なお、HY150
とHY210とでは、HY210の方がPEOの添加量が大きいが、HY150に比べて
HY210ではマクロ孔の孔径が減少する一方で、細孔容積が増大した。
次に、HY150およびHY210に存在するメソ孔およびマクロ孔の特性を、窒素ガ
ス吸着法による細孔分布測定(日本ベル製、BELSORP−miniII)により解析
した。各サンプルは、測定の前に200℃で6時間加熱して脱気(degas)した。評
価結果を図3に示す。図3に示すようにHY150およびHY210の吸着−脱着等温線
はタイプIVの特性を示し、メソ孔の存在が確認された。また、HY150およびHY2
10ともに、吸着ブランチを用いて得たBJH細孔サイズ分布曲線に示すように10nm
未満の小さいメソ孔を主たる要因とする高いBET表面積が確認された(HY150が6
30m/g、HY210が800m/g)。HY210モノリスでは、最も多くを占
めるメソ孔の直径(中心孔径)が3.2nmであったが、HY150モノリスでは2nm
であった。
次に、HY210に対して分光学的な特性評価を行い、その分子レベルの構造とSi−
H結合の存在とを評価した。HY210に対するフーリエ変換赤外分光(FT−IR)測
定は、フーリエ変換赤外分光光度計(島津製作所製、IRAffinity−1)により
臭化カリウムを混合した標準試料を用いて行った。また、ラマン分光測定は、共焦点ラマ
ン分光測定装置(HORIBA製、Xplora)を用いて行った。図4Aおよび図4B
に示すように、FT−IRおよびラマンのいずれにおいても、波数2250cm−1にシ
ャープなSi−H伸縮振動が確認された。また、FT−IRにおいて、波数1000〜1
250cm−1に強いSi−O−Siの振動と、波数800〜925cm−1にO−Si
−Hの振動が確認された。波数930cm−1にあるSi−OHによる吸収はごく小さく
無視できるレベルであるため、HTMSのSi−H結合が、作製したマクロ多孔性モノリ
スにそのまま残されていることが確認された。PEOは、波数1750cm−1付近のエ
ーテル単位による広いピークによって、モノリス中に残っていることが確認された。これ
に加えて、FT−IRスペクトルのピークを精査することによって、得られたモノリスの
骨格の構造についてさらなる知見を得ることができた。具体的には、それぞれ波数115
0cm−1および波数875cm−1に現れているSi−O−SiおよびH−Si−Oの
振動は環構造によるものであり、1070cm−1および830cm−1のSi−O−S
iおよびH−Si−Oの振動はランダムネットワークに対応していた。したがって、FT
−IRの結果から、HY210モノリスの骨格は主にSi−H基が保たれたランダムネッ
トワークおよび環構造から構成されていることがわかった。
次に、HY210の熱安定性を評価するために、その熱重量−示差熱分析(TG−DT
A)を実施した。分析は、リガク製、ThermoPlusTG8120を用いて、エア
ーを100mL/分で常時供給しながら昇温速度5℃/分で実施した。図4Cに示すよう
にTGおよびDTA曲線によれば、150℃から200℃で大きく重量が減少し、350
℃から500℃で重量が増加することがわかった。重量減少は、モノリス中のPEOの燃
焼に対応すると考えられる。重量増加は、Si−H基のSi−O−Si結合およびSi−
OH基への熱酸化によると考えられる。TG−DTA分析によれば、HY210モノリス
内に存在するSi−H基は、350℃まで熱に安定であることがわかった。
次に、HY210モノリス内に存在するSi−H基の量を固体29Si CP/MAS
NMR測定により評価した。固体29Si CP/MAS NMR測定は、OPENC
ORE NMR(299.52MHzforH、コンタクトタイム10ms、5mmプ
ローブ使用(5kHz))により行った。なお、CP(交差分極)法がスペクトルに影響
を及ぼさないことを、CP法無しで得たスペクトルとの比較により別途確認した。NMR
スペクトル上の「T」シグナルは、HSiX(XはOSi、OCHまたはOH)のS
iに対応する。Si−Hの加水分解が生じた場合は、SiX単位によって「Q」シグナ
ルが登場する。図4Dに示すように、得られたNMRスペクトルでは、TピークがT
ピークよりもずっと大きく(ピーク面積にして94.5%のT、5.5%のT)、こ
れはHY210モノリスにおいてHTMSの高程度の重縮合がなされていることを示す。
これに加えて、Qシグナルは全く観察されず、HY210においてHTMSに由来するS
i−H基の保存がなされていることが確認された。
(実施例2:第2のマクロ多孔性モノリスの作製)
実施例2では、単一の金属から構成されたナノ粒子が配置された第2のマクロ多孔性モ
ノリスを作製した。
上記作製した第1のマクロ多孔性モノリスのうち、HY210の一部(0.20g以上
)を蒸留水20mLに浸漬し、室温で3時間放置して、水をマクロ孔内に拡散させた。次
に、モノリスを浸漬させている水に、金属塩を水に溶解させた水溶液を表2に示す量加え
、室温でさらに3時間放置した。金属塩の水溶液を混合した後、水素の発生と、析出する
金属の種類に応じたモノリスの色調の変化(白色から、赤褐色(金)、黒褐色(銀)など
)がすぐに確認された。混合して3時間が経過した時点で、水素の発生は停止した。上澄
み液を除去し、モノリスを20mLのメタノールで3回洗浄した後、40℃で2時間乾燥
させて、第2のマクロ多孔性モノリスを得た。表2の「試料名」の欄には、金属塩を構成
する金属の種類、および当該金属とHY210とのモル比(金属/HY210)を示す。
銀(Ag)の塩には硝酸銀(シグマアルドリッチ製)を、金(Au)の塩には塩化金酸四
水和物(岸田化学製)を、パラジウム(Pd)の塩には硝酸パラジウム(和光純薬工業製
)を、白金(Pt)の塩には塩化白金酸六水和物(東京化成工業製)を、それぞれ使用し
た。


Si−H基が有する還元性ならびに水素の発生およびモノリスの色調の変化から、水溶
液中に含まれる金属イオンが還元され、当該金属の析出が推定された。また、当該析出し
た粒子が、Si−H基のSi−OHまたはSi−O−Si結合へのさらなる酸化の触媒と
なることが推定された。Si−H基の酸化は、以下の反応式(1)に従うと考えられる。
式(1)におけるMn+は、Ag、Pd2+、Au3+またはPt4+である。
[数1]
nO1.5Si−H + Mn+ + nH
→ nO1.5Si−OH + M(0) + n/2H + nH (1

式(1)によれば、金属の還元後、モノリスに残留するSi−H基の量は反応した金属
塩の量に反比例する。このことが、異なる量のAgNOを還元した後におけるHY21
0モノリスに対するFT−IRの測定結果から確認された(図5A参照)。また、その他
の金属塩に対しても同様の結果が得られた(Auについて図5B、Pdについて図5Cお
よびPtについて図5Dを参照)。具体的には、加えたAgの量(モノリスによって還
元させたAgの量)をAg1/100からAg1/10に増やした場合、Si−Hおよ
びO−Si−H振動の強度が低下し、Si−OH振動の強度が増加した。これは、Si−
H基がSi−O結合に酸化されたことを示す。
次に、AgNO、HAuCl、Pd(NOまたはHPtClを還元した
後の各モノリスに対して広角X線回折測定を実施したところ、析出した粒子に対応するブ
ラッグ回折のピークが確認された(図6A参照)。また、回折ピーク強度は、使用した金
属塩の量に比例していた。すなわち、使用した金属塩の量が増加するにしたがって、モノ
リス内への粒子の配置量が増大することが確認された(Agについて図6B、Auについ
て図6C、Pdについて図6D、Ptについて図6Eを参照)。広角X線回折測定は、粉
末X線回折装置(リガク製、RINT UltimaIII)により、入射ビームとして
CuKα線(波長λ=0.154nm)を用いて行った。
広角X線回折の測定結果からシェラ―の式を用いて算出した粒子サイズ(粒径)は、A
g、Au、PdおよびPtの全ての場合において、ナノメーターの範囲であった(以下の
表3を参照)。すなわち、第1のマクロ多孔性モノリスにこれら金属の塩が溶解した水溶
液を接触させることにより、当該金属の還元反応を進行させ、当該モノリス内に当該貴金
属のナノ粒子を析出できることが確認された。上記4種類の金属のなかでは、Agおよび
Auのナノ粒子の粒径が比較的大きく、これにPd、さらにPtのナノ粒子の粒径が続い
た。表3に示すように、シェラーの式から算出したナノ粒子の粒径は、モノリスを浸漬さ
せた水溶液における金属塩の濃度に依存するのではなく、金属の種類に依存していること
がわかった。当該金属のカチオンの標準電極電位の値が析出したナノ粒子の粒径に比例し
、当該カチオンの電荷(酸化数n)がナノ粒子の粒径に反比例していた。なお、水中での
Si−HからSi−Oへの酸化は−1.23Vで起こる。これは上記各金属のイオンの
標準電極電位(E)の値よりも十分に小さいが、一連の反応に水素イオンの還元過程が
含まれることから、実質的に、標準電極電位が正の値をとる金属種のみの還元が可能とな
る。価数の大きい金属イオンは、ヒドリドシリカの細孔表面に分布したSi−H基と複数
回相互作用しなければ、中性原子への還元が完了しない。したがって同程度の濃度でヒド
リドシリカ細孔表面に接触した場合でも、価数の低い金属ほど速やかに還元されて比較的
大きい粒子サイズに成長する。一方、価数の高い金属は単位時間あたりの粒子成長が抑制
されて比較的小さい粒子サイズとなる。このため、金属塩における比E/nが大きくな
るほど、析出したナノ粒子の平均粒径も大きくなった(図7参照)。


次に、析出したナノ粒子のサイズおよびモノリス内における当該粒子の空間的な分布を
、高角度散乱暗視野(走査透過電子顕微鏡)法(HAADF−STEM)により評価した
。具体的には、塊状のサンプルを乳鉢ですりつぶした後、粉末状としたサンプルをCuグ
リッドにセットして実施した。高解像度TEM(JEOL製、JEM−2100F)は、
球面収差補正装置(CEOS製)を備えたSTEMユニットを用いて200kVで走査し
た。これにより、直径にして0.1nmの像が得られる。HAADF−STEMイメージ
ングの間、プローブの収束角を25mradとし、環状暗視野検出器の内角を52mra
dを超える状態とした。
HAADF−STEMの観察結果を図8に示す。図8の(a)はサンプルAg1/10
、(b)はサンプルAu1/10、(c)はサンプルPd1/10、(d)はサンプルP
1/10である。HAADF−STEMにおいて、得られた像のコントラストは、おお
まかに述べて原子番号Zの二乗に比例する。したがって、図8に示すHAADF−STE
M像では、分散した金属のナノ粒子(Z=47のAg、Z=79のAu、Z=46のPd
、Z=78のPtのナノ粒子)が、Z=1のH、Z=8のOおよびZ=14のSiから主
として構成されるモノリスに比べて明るく見えている。図8に示すように、ナノ粒子はモ
ノリス骨格の表面(マクロ孔の壁面)だけではなく、骨格の内部にも分散していた。図8
において「骨格内」と示されているものがこれに相当する。金属塩の溶液がメソ孔を介し
て骨格の内部にまで拡散し、そこで還元されて、ナノ粒子が析出したと考えられる。
また、骨格内部における粒子の成長には空間的な制限があるため、骨格の表面に存在す
るナノ粒子に比べて骨格内部に存在するナノ粒子は小さな粒径およびよりいびつな形状を
有することが確認された。また、表3に示すように、サンプルAg1/10、Au1/1
、Pd1/10およびPt1/10では、幅広いナノ粒子の粒径が実現していることが
わかった。ただし、Ag1/10では1nmから200nm、Au1/10では5nmか
ら150nmであったが、Pd1/10では5nmから50nm、Pt1/10では1n
mから50nmと、金属の種類によってナノ粒子の粒子径が分布する幅がやや変化した。
これは、シェラーの式により算出した粒径の結果と一致する。
金属塩を還元した後、乾燥させた第2のマクロ多孔性モノリスにはクラックが見られな
かった。図9に示すように、当該モノリスは、金属塩を還元する前のモノリス(第1のマ
クロ多孔性モノリス)であるHY210モノリスのマクロ孔/骨格共連続構造を保ってい
た。このことから、第1および第2のマクロ多孔性モノリスともに、Si−H結合に基づ
く還元反応を実施する際の高い構造安定性を有することが確認された。なお、図9の(a
)はサンプルAg1/10、(b)はサンプルAu1/10、(c)はサンプルPd1/
10、(d)はサンプルPt1/10である。
還元によって析出した金属のナノ粒子はモノリス骨格の表面および内部に固定されてお
り、水、メタノール、エタノールおよびヘキサンをそれぞれ用いてモノリスを洗浄しても
、金属粒子がモノリスから流出することはなかった。したがって、第2のマクロ多孔性モ
ノリスは金属ナノ粒子の担体として使用できることが確認された。また、金属ナノ粒子を
析出させたモノリスに対して、上述した方法で窒素ガス吸着法による細孔分布測定を行っ
たところ、以下の表4に示すように、第1のマクロ多孔性モノリスの状態における高い比
表面積を維持していた。また、当該モノリスの吸着−脱着等温線は、図10および図11
に示すように第1のマクロ多孔性モノリスであったときと同じく、タイプIVの特性を示
しており、メソ孔がそのまま存在していることが確認された。サンプルAg1/100
らAg1/10になるに従って、すなわち加えるAgの量が増加するに従って、得られ
た第2のマクロ多孔性モノリスにおける比表面積の若干の低下が確認されたが、これは、
HY210モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が、増加したAgナノ粒子によりブロ
ックされたことによると考えられる。


(実施例3:第2のマクロ多孔性モノリスの作製)
実施例3では、2種類の金属塩(HAuClおよびHPtCl)を含む溶液を用
い、AuおよびPtから構成されたナノ粒子(Au−Ptの二元系ナノ粒子)が配置され
た第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。これ以降の実施例において作製した第2のモ
ノリスに対する各種の評価および測定は、特に記載がない限り、実施例2と同様に実施し
た。
最初に、実施例1と同様にして、HY210相当の第1のマクロ多孔性モノリスを作製
した。ただし、用いた各材料の量を実施例1の5倍とし、熟成は室温で24時間の実施と
した。HTMS、メタノール、水および硝酸の混合比は、実施例1と同じである。作製し
た第1のマクロ多孔性モノリスの形状は、直径5.5mm、長さ225mmの円柱状であ
った。
次に、作製した第1のマクロ多孔性モノリスの一部(53mg、1mmol相当)を、
以下の表5に示す量の水、アセトン、塩化金酸四水和物(HAuCl)水溶液および塩
化白金酸六水和物(HPtCl)水溶液の混合溶液に浸漬し、室温(実施例3−1,
3−2)または50℃(実施例3−3)で、3時間(実施例3−1)、12時間(実施例
3−2)または36時間(実施例3−3)放置した。各実施例における放置時間は、モノ
リスを浸漬する前の混合溶液における金属イオンに基づく着色が、目視において消失する
までとした。
表5の「金属塩溶液」は、濃度0.1MのHAuCl水溶液と濃度0.1MのH
tCl水溶液とを体積で等量混合した(体積比1:1で混合した)溶液である。いずれ
の実施例においても、浸漬後、水素の発生がすぐに確認された。上記時間の浸漬後、溶液
を除去し、モノリスを20mLのメタノールで3回洗浄した後、40℃で2時間乾燥させ
て、第2のマクロ多孔性モノリスを得た。浸漬前に白色であったモノリスの色は、浸漬後
、黒色に変化し、モノリスを浸漬する前の混合溶液に見られた黄色の着色は、モノリスの
浸漬によって消失し、溶液は透明になった(図12参照。図12には、実施例3−3にお
けるモノリスおよび混合溶液の色調の変化を示す)。

Si−H基が有する還元性ならびに水素の発生およびモノリスの色調の変化から、水溶
液中に含まれる金属イオンが還元され、当該金属の析出が推定された。実施例3−1〜3
−3で作製したモノリスに対して実施した広角X線回折測定の結果を図13に示す。図1
3は、紙面の左側から、それぞれAuおよびPtの(111)面、(200)面および(
220)面の回折を示す。
図13に示すように、金属塩溶液の溶媒に占める水の割合が多い実施例3−1では、A
uおよびPtのそれぞれの回折ピークが確認され、Auのナノ粒子およびPtのナノ粒子
の各々が個別に析出していることが確認された。一方、実施例3−2から3−3へと、溶
媒に占める水の割合が減少するにつれてAuおよびPtの個別の回折ピークが減少し、代
わってAu−Pt合金のピークが増大する、すなわち、Au−Pt合金のナノ粒子が析出
していることが確認された。特に、実施例3−3では、AuおよびPtの個別の回折ピー
クは確認されず、Au−Pt合金(AuPt合金)の回折ピークのみが確認された。
これは、以下の式(2)に示すように、第1のモノリスのSi−H基の酸化反応および
溶液中の金属の還元反応に水が関係しているため、溶媒における水の割合が多い実施例3
−1では当該反応の進行速度が速く、合金が形成される前に各金属のナノ粒子の形成が完
了するためと考えられる。一方、溶媒における水の割合が小さい実施例3−3では、温度
50℃ながらも36時間という他の実施例よりも長い浸漬に示されているように当該反応
の進行速度が遅く、各金属のナノ粒子が形成する前にAuとPtとの合金が形成される反
応ステージが存在できると考えられる。
[数2]
x++M y++(x+y)H−SiO1.5+(x+y)HO → M(0
)+M(0)+(x+y)HO−SiO1.5+(x+y)/2H+(x+y)H
(2)
式(2)におけるM x+およびM y+は金属イオン(実施例3では、Au3+およ
びPt4+)である。
実施例3−3で作製した第2のモノリスに対するX線光電子分光(XPS)の測定結果
を図14に示す。XPS測定は、XPS測定装置(アルバックファイ製、MT−5500
)により、MgKα線(1253.6eV)を用いて行った。測定のコアレベルは、28
4.6eVにセットした炭素(C)1sコアレベルピークの第1成分を参照して較正した
。図14に示すように、モノリス中にAuおよびPtの存在が確認された。
実施例3−3で作製した第2のモノリスに対する29Si固体NMRの結果を図15に
示す。図15に示すように、第1のモノリス中のSi−H基の酸化により、SiX単位
(XはOSi、OCHまたはOH)に基づくQおよびQシグナルが確認された。第
1のモノリスに対する29Si固体NMRの結果(図4Dを参照)との対比により、第1
のモノリスに存在していたSi−H基のうち28モル%が酸化されたことが確認された。
この酸化量は、還元された金属塩の量に対応していた。
実施例3−3で作製した第2のモノリスに対するSEM観察像を、金属塩の水溶液に浸
漬する前の第1のモノリスに対するSEM観察像とともに図16に示す。図16の左側の
像が浸漬前の第1のモノリスのSEM観察像、図16の右側の像が浸漬後の第2のモノリ
スのSEM観察像である。図16に示すように、浸漬の前後(ナノ粒子の析出の前後)に
おいて、マクロ多孔性モノリスの構造は維持されていた。
実施例3−3で作製した第2のモノリスに対するHAADF−STEM観察像を図17
に示す。図17の「f」と付された像に示すように、金属のナノ粒子が作製したモノリス
中に分散して分布していることが確認された。また、エネルギー分散X線分光分析(ED
S)検出器を併用することにより、HAADF−STEM像上におけるSi、Auおよび
Ptの各原子の分布を評価した。図17の「g」「h」および「i」と付された像に、そ
れぞれ、上記「f」の像の点線内の領域におけるSi、AuおよびPtの各原子の分布を
示す。「g」にSi原子、「h」にAu原子、「i」にPt原子の分布が示される。これ
らの像に示すように、モノリスの骨格が存在する位置に相当するSi原子の分布に接する
ように、Au原子およびPt原子が同じ位置に分布していた。すなわち、Au−Pt合金
のナノ粒子がモノリス中に分散して分布していることが、より明確に確認された。
図18に、図17のHAADF−STEM観察像から求めたAu−Pt合金ナノ粒子の
粒径分布を示す。ナノ粒子の粒径は、1nmから27nmまで分布しており、5nm以下
の分布が最も多く、平均粒径は5.5nmであった。
実施例3−3で作製した第2のモノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布測定
結果を図19に示す。図19の吸着−脱着等温線に示すように、当該モノリスは、第1の
マクロ多孔性モノリスと同様にタイプIVの特性を示しており、メソ孔が存在しているこ
とが確認された。当該モノリスのBET比表面積は380m/gであった。還元前のモ
ノリス(HY210)のBET比表面積に比べて小さいが、これは、ナノ粒子の析出によ
って、モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が当該粒子によりブロックされたためと考
えられる。
次に、金属塩溶液に含まれるHAuClおよびHPtClの絶対量を変化させて
、実施例3−3と同様に第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。具体的に、濃度0.1
MのHAuCl水溶液と濃度0.1MのHPtCl水溶液とを、混合溶液中に含ま
れる金属イオンの全量が使用した第1のマクロ多孔性モノリスの量(1mmol)の0.
5モル%(すなわち絶対量は5μmol)となるように、体積で等量混合した(体積比1
:1で混合した)金属塩溶液を用いて作製したモノリス(実施例3−4)と、上記各水溶
液を、溶液中に含まれる金属イオンの全量が使用した第1のマクロ多孔性モノリスの量(
1mmol)の4.0モル%(すなわち絶対量は40μmol)となるように、体積で等
量混合した金属塩溶液を用いて作製したモノリス(実施例3−5)とを作製した。これら
モノリスに対する広角X線回折測定の結果を図20に示す。図20に示すように、第1の
マクロ多孔性モノリスを浸漬させる溶液における金属塩の絶対量が高くなるほど、X線回
折のピーク強度が増加する、すなわち、多くの金属ナノ粒子が析出することが確認された
。また、図20に示すように、析出したナノ粒子は、Au−Pt合金(AuPt)の
回折ピークを示した。
次に、以下の表6に示すように、金属塩溶液の組成を変化させた(HAuCl溶液と
PtCl溶液との混合比を変化させた)以外は実施例3−3と同様にして、第2の
マクロ多孔性モノリスを作製した。広角X線回折測定により、作製したモノリスに析出し
たナノ粒子の組成を評価したところ(図21参照)、それぞれ表6に示す組成を有してい
た。すなわち、第1のマクロ多孔性モノリスを浸漬する溶液における金属塩の組成により
、モノリスに析出するナノ粒子の組成を制御できることが確認された。具体的に、表6に
示す実施例では、AuPtからAuPtに至るまでの組成を有するナノ粒子が配
置された第2のマクロ多孔性モノリスを作製することができた。


(実施例4:第2のマクロ多孔性モノリスの作製)
実施例4では、2種類の金属塩(HAuClおよびPdCl)を含む溶液を用い、
AuおよびPdから構成されたナノ粒子(Au−Pdの二元系ナノ粒子)が配置された第
2のマクロ多孔性モノリスを作製した。PdClは、東京化成工業製を用いた。
具体的には、金属塩としてHAuClとPdClとを用い、以下の表7に示すよう
に金属塩溶液の組成を変化させた(HAuCl溶液とPdCl溶液との混合比を変化
させた)以外は実施例3−3と同様にして、第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。広
角X線回折測定により、作製したモノリスに析出したナノ粒子の組成を評価したところ(
図22参照)、それぞれ表7に示す組成を有していた。具体的に、表7に示す実施例では
、AuPdからAuPdに至るまでの組成を有するナノ粒子が配置された第2の
マクロ多孔性モノリスを作製することができた。


図23Aに、実施例4−2で作製した第2のモノリスに対するHAADF−STEM観
察像を示す。図23Aの上段左側および上段右側の像に示すように、作製したモノリスに
おいて、金属ナノ粒子が当該モノリス中に分散して分布していることが確認された。上段
右側の像は、左側の像の一部を拡大した像である。また、EDS検出器を併用することに
より、HAADF−STEM像上におけるAuおよびPdの各原子の分布を評価した。図
23Aの下段に、その左側から、上段右側の像の点線内の領域における、AuおよびPd
の各原子の分布を示す。これらの像に示すように、モノリスの骨格が存在する位置に相当
するSi原子の分布に接するように、Au原子およびPd原子が同じ位置に分布していた
。すなわち、Au−Pd合金(AuPd合金)のナノ粒子がモノリス中に分散して分
布していることが、より明確に確認された。
図23Bに、図23AのHAADF−STEM観察像から求めたAu−Pd合金ナノ粒
子の粒径分布を示す。この粒径分布より求めた平均粒径は25nmであった。
図24Aに、実施例4−4で作製した第2のモノリスに対するHAADF−STEM観
察像を示す。図24Aの「a」と付された像に示すように、作製したモノリスにおいて、
金属ナノ粒子が当該モノリス中に分散して分布していることが確認された。また、EDS
検出器を併用することにより、HAADF−STEM像上におけるSi、AuおよびPd
の各原子の分布を評価した。図24Aの「b」「c」および「d」と付された像に、それ
ぞれ、「a」の像の点線内の領域におけるSi、AuおよびPdの各原子の分布を示す。
これらの像に示すように、モノリスの骨格が存在する位置に相当するSi原子の分布に接
するように、Au原子およびPd原子が同じ位置に分布していた。すなわち、Au−Pd
合金(AuPd合金)のナノ粒子がモノリス中に分散して分布していることが、より
明確に確認された。
図24Bに、図24AのHAADF−STEM観察像から求めたAu−Pd合金ナノ粒
子の粒径分布を示す。この粒径分布より求めた平均粒径は11.5nmであった。
図24Cに、実施例4−4で作製した第2のモノリスに対する、窒素ガス吸着法による
細孔分布の測定結果(吸着−脱着等温線)を示す。当該吸着−脱着等温線に示すように、
当該モノリスは、第1のマクロ多孔性モノリスと同様にタイプIVの特性を示しており、
メソ孔が存在していることが確認された。当該モノリスのBET比表面積は410m
gであった。この値は、還元前のモノリス(HY210)のBET比表面積に比べて小さ
いが、これは、ナノ粒子の析出によって、モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が当該
粒子によりブロックされたためと考えられる。
図24Dに、実施例4−4で作製した第2のモノリスのSEM観察像を示す。作製した
第2のモノリスにおいて、第1のモノリスの多孔構造が維持されるとともに、大きなサイ
ズを有する粒子が当該構造に存在しないことが確認された。
図25Aに、実施例4−6で作製した第2のモノリスに対するHAADF−STEM観
察像を示す。図中、右側の像は、左側の像の一部を拡大した像である。図25Aに示すよ
うに、作製したモノリスにおいて、金属ナノ粒子(XRDの結果によれば、AuPd
合金ナノ粒子)が当該モノリス中に分散して分布していることが確認された。
図25Bに、図25AのHAADF−STEM観察像から求めたAu−Pd合金ナノ粒
子の粒径分布を示す。この粒径分布より求めた平均粒径は6.9nmであった。
図23B、図24Bおよび図25Bに示す粒径分布から、合金ナノ粒子におけるPdの
組成比が大きくなるにしたがって、当該粒子の粒径が小さくなる傾向にあることが確認さ
れた。これは単独の金属粒子を析出させる際に、Au粒子に比べてPd粒子の粒径の方が
小さくなる傾向に対応していた。
(実施例5:第2のマクロ多孔性モノリスの作製)
実施例5では、2種類の金属塩(RhClおよびPdCl、ならびにRhCl
よびHPtCl)を含む溶液を用い、RhおよびPdから構成されたナノ粒子(Rh
−Pdの二元系ナノ粒子)が配置された第2のマクロ多孔性モノリスと、RhおよびPt
から構成されたナノ粒子(Rh−Ptの二元系ナノ粒子)が配置された第2のマクロ多孔
性モノリスとを作製した。RhClは、東京化成工業製を用いた。
最初に、金属塩としてPdClとRhClとを用い、以下の表8に示すように金属
塩溶液の組成を変化させた(PdCl溶液とRhCl溶液との混合比を変化させた)
以外は実施例3−3と同様にして、第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。広角X線回
折測定により、作製したモノリスに析出したナノ粒子の組成を評価したところ(図26参
照)、それぞれ表8に示す組成を有していた。具体的に、表8に示す実施例では、Pd
RhからPdRhに至るまでの組成を有するナノ粒子が配置された第2のマクロ多
孔性モノリスを作製することができた。

図27Aに、実施例5−4で作製した第2のモノリスに対するHAADF−STEM観
察像を示す。図中、「h」と付された像は、「g」と付された像の一部を拡大した像であ
る。図27Aに示すように、作製したモノリスにおいて、金属ナノ粒子(XRDの結果に
よれば、PdRh合金ナノ粒子)が当該モノリス中に分散して分布していることが確
認された。
図27Bに、図27AのHAADF−STEM観察像から求めたPd−Rh合金ナノ粒
子の粒径分布を示す。この粒径分布より求めたPdRh合金ナノ粒子の平均粒径は5
.5nmであった。
図28に、実施例5−4で作製した第2のモノリスに対する、窒素ガス吸着法による細
孔分布の測定結果を示す。図28の吸着−脱着等温線に示すように、当該モノリスは、第
1のマクロ多孔性モノリスと同様にタイプIVの特性を示しており、メソ孔が存在してい
ることが確認された。当該モノリスのBET比表面積は440m/gであった。この値
は、還元前のモノリス(HY210)のBET比表面積に比べて小さいが、これは、ナノ
粒子の析出によって、モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が当該粒子によりブロック
されたためと考えられる。
図29に、実施例5−4で作製した第2のモノリスに対するXPSスペクトルの測定結
果を示す。当該スペクトルに示すように、モノリス中にPdおよびRhの存在が確認され
た。
図30に、実施例5−4で作製した第2のモノリスのSEM観察像を示す。SEM観察
像からは、作製した第2のモノリスにおいて、第1のモノリスの多孔構造が維持されると
ともに、大きなサイズを有する粒子が当該構造に存在しないことが確認された。
次に、金属塩としてHPtClとRhClとを用い、以下の表9に示すように金属
塩溶液の組成を変化させた(HPtCl溶液とRhCl溶液との混合比を変化させ
た)以外は実施例3−3と同様にして、第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。広角X
線回折測定により、作製したモノリスに析出したナノ粒子の組成を評価したところ(図3
1参照)、それぞれ表9に示す組成を有していた。具体的に、表9に示す実施例では、P
RhからPtRhに至るまでの組成を有するナノ粒子が配置された第2のマク
ロ多孔性モノリスを作製することができた。

図32Aに、実施例5−11で作製した第2のモノリスに対するHAADF−STEM
観察像を示す。図中、「f」と付された像は、「e」と付された像の一部を拡大した像で
ある。図32Aに示すように、作製したモノリスにおいて、金属ナノ粒子(XRDの結果
によれば、PtRh合金ナノ粒子)が当該モノリス中に分散して分布していることが
確認された。
図32Bに、図32AのHAADF−STEM観察像から求めたPt−Rh合金ナノ粒
子の粒径分布を示す。この粒径分布より求めたPtRh合金ナノ粒子の平均粒径は4
.2nmであった。
図33に、実施例5−11で作製した第2のモノリスに対する、窒素ガス吸着法による
細孔分布の測定結果を示す。図33の吸着−脱着等温線に示すように、当該モノリスは、
第1のマクロ多孔性モノリスと同様にタイプIVの特性を示しており、メソ孔が存在して
いることが確認された。当該モノリスのBET比表面積は410m/gであった。この
値は、還元前のモノリス(HY210)のBET比表面積に比べて小さいが、これは、ナ
ノ粒子の析出によって、モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が当該粒子によりブロッ
クされたためと考えられる。
図34に、実施例5−11で作製した第2のモノリスのSEM観察像を示す。SEM観
察像からは、作製した第2のモノリスにおいて、第1のモノリスの多孔構造が維持される
とともに、大きなサイズを有する粒子が当該構造に存在しないことが確認された。
図35に、実施例3−3(AuPt)、実施例4−4(AuPd)、実施例5
−4(PdRh)および実施例5−11(PtRh)で作製した第2のモノリス
における各合金ナノ粒子の平均粒径を示す。図35に示すように、金属塩における比E
/nの合計が大きくなるほど、析出したナノ粒子の平均粒径が大きくなった。
(実施例6:第2のマクロ多孔性モノリスの作製)
実施例6では、3種類の金属塩(HAuCl、PdCl、HPtClおよびR
hClから選ばれる3つ)を含む溶液を用い、Au、PdおよびPtから構成されたナ
ノ粒子(Au−Pd−Ptの三元系ナノ粒子)、Au、PdおよびRhから構成されたナ
ノ粒子(Au−Pd−Rhの三元系ナノ粒子)、Au、PtおよびRhから構成されたナ
ノ粒子(Au−Pt−Rhの三元系ナノ粒子)またはPd、PtおよびRhから構成され
たナノ粒子(Pd−Pt−Rhの三元系ナノ粒子)が配置された第2のマクロ多孔性モノ
リスを作製した。
最初に、金属塩としてHAuCl、PdClおよびHPtClを用い、以下の
表10に示す金属塩溶液の組成とした以外は実施例3−3と同様にして、第2のマクロ多
孔性モノリスを作製した。広角X線回折測定により、作製したモノリスに析出したナノ粒
子の組成を評価したところ(図36参照)、AuPdPtの組成を有していた。図
36には、Au単独、Pt単独およびPd単独のX線回折プロファイルを併せて示す。こ
れらプロファイルの対比により、Au−Pd−Pt合金の形成に伴い格子サイズが変化す
ることが確認された。図36の右側のプロファイルは、左側のプロファイルの一部を拡大
したものである。


図37Aに、実施例6−1で作製した第2のモノリスに対するHAADF−STEM観
察像を示す。図37Aの「a」と付された像および「b」と付された像に示すように、作
製したモノリスにおいて、金属ナノ粒子が当該モノリス中に分散して分布していることが
確認された。図中、「b」と付された像は、「a」と付された像の一部を拡大した像であ
る。また、EDS検出器を併用することにより、HAADF−STEM像上におけるSi
、Au、PdおよびPtの各原子の分布を評価した。図37Aの「c」「d」「e」およ
び「f」と付された像に、それぞれ、「b」の像の点線内の領域におけるSi、Au、P
dおよびPtの各原子の分布を示す。これらの像に示すように、モノリスの骨格が存在す
る位置に相当するSi原子の分布に接するように、Au原子、Pd原子およびPt原子が
同じ位置に分布していた。すなわち、Au−Pd−Pt合金(AuPdPt合金)
のナノ粒子がモノリス中に分散して分布していることが、より明確に確認された。
図37Bに、図37AのHAADF−STEM観察像から求めたAu−Pd−Pt合金
ナノ粒子の粒径分布を示す。この粒径分布から求めた平均粒径は13nmであった。
図38に、実施例6−1で作製した第2のモノリスに対する、窒素ガス吸着法による細
孔分布の測定結果を示す。図38の吸着−脱着等温線に示すように、当該モノリスは、第
1のマクロ多孔性モノリスと同様にタイプIVの特性を有しており、メソ孔が存在してい
ることが確認された。当該モノリスのBET比表面積は450m/gであった。この値
は、還元前のモノリス(HY210)のBET比表面積に比べて小さいが、これは、ナノ
粒子の析出によって、モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が当該粒子によりブロック
されたためと考えられる。
図39に、実施例6−1で作製した第2のモノリスに対するXPSスペクトルの測定結
果を示す。当該スペクトルに示すように、モノリス中にAu、PdおよびPtの存在が確
認された。
図40に、実施例6−1で作製した第2のモノリスのSEM観察像を示す。SEM観察
像からは、作製した第2のモノリスにおいて、第1のモノリスの多孔構造が維持されると
ともに、大きなサイズを有する粒子が当該構造に存在しないことが確認された。
次に、金属塩としてHAuCl、PdClおよびRhClを用い、以下の表11
に示す金属塩溶液の組成とした以外は実施例3−3と同様にして、第2のマクロ多孔性モ
ノリスを作製した。広角X線回折測定により、作製したモノリスに析出したナノ粒子の組
成を評価したところ(図41参照)、AuPdRhの組成を有していた。図41に
は、Au単独、Rh単独およびPd単独のX線回折プロファイルを併せて示す。これらプ
ロファイルの対比により、Au−Pd−Rh合金の形成に伴い格子サイズが変化すること
が確認された。図41の右側のプロファイルは、左側のプロファイルの一部を拡大したも
のである。


図42Aに、実施例6−2で作製した第2のモノリスに対するHAADF−STEM観
察像を示す。図中、「h」と付された右側の像は、「g」と付された左側の像の一部を拡
大した像である。図42Aに示すように、作製したモノリスにおいて、金属ナノ粒子(X
RDの結果によれば、AuPdRh合金ナノ粒子)が当該モノリス中に分散して分
布していることが確認された。
図42Bに、図42AのHAADF−STEM観察像から求めたAuPdRh
金ナノ粒子の粒径分布を示す。この粒径分布より求めたAuPdRh合金ナノ粒子
の平均粒径は236nmであった。
図43に、実施例6−2で作製した第2のモノリスに対する、窒素ガス吸着法による細
孔分布の測定結果を示す。図43の吸着−脱着等温線に示すように、当該モノリスは、第
1のマクロ多孔性モノリスと同様にタイプIVの特性を有しており、メソ孔が存在してい
ることが確認された。当該モノリスのBET比表面積は315m/gであった。この値
は、還元前のモノリス(HY210)のBET比表面積に比べて小さいが、これは、ナノ
粒子の析出によって、モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が当該粒子によりブロック
されたためと考えられる。
図44に、実施例6−2で作製した第2のモノリスに対するXPSスペクトルの測定結
果を示す。当該スペクトルに示すように、モノリス中にAu、PdおよびRhの存在が確
認された。
図45に、実施例6−2で作製した第2のモノリスのSEM観察像を示す。SEM観察
像からは、作製した第2のモノリスにおいて、第1のモノリスの多孔構造が維持されると
ともに、大きなサイズを有する粒子が当該構造に存在しないことが確認された。
次に、金属塩としてHAuCl、HPtClおよびRhClを用い、以下の表
12に示す金属塩溶液の組成とした以外は実施例3−3と同様にして、第2のマクロ多孔
性モノリスを作製した。広角X線回折測定により、作製したモノリスに析出したナノ粒子
の組成を評価したところ(図46参照)、AuPtRhの組成を有していた。図4
6には、Au単独、Rh単独およびPt単独のX線回折プロファイルを併せて示す。これ
らプロファイルの対比により、Au−Pt−Rh合金の形成に伴い格子サイズが変化する
ことが確認された。なお、図46の右側のプロファイルは、左側のプロファイルの一部を
拡大したものである。


図47Aに、実施例6−3で作製した第2のモノリスに対するHAADF−STEM観
察像を示す。図中、「j」と付された右側の像は、「i」と付された左側の像の一部を拡
大した像である。図47Aに示すように、作製したモノリスにおいて、金属ナノ粒子(X
RDの結果によれば、AuPtRh合金ナノ粒子)が当該モノリス中に分散して分
布していることが確認された。
図47Bに、図47AのHAADF−STEM観察像から求めたAuPtRh
金ナノ粒子の粒径分布を示す。この粒径分布より求めたAuPtRh合金ナノ粒子
の平均粒径は、5.5nmであった。
図48に、実施例6−3で作製した第2のモノリスに対する、窒素ガス吸着法による細
孔分布の測定結果を示す。図48の吸着−脱着等温線に示すように、当該モノリスは、第
1のマクロ多孔性モノリスと同様にタイプIVの特性を有しており、メソ孔が存在してい
ることが確認された。当該モノリスのBET比表面積は350m/gであった。この値
は、還元前のモノリス(HY210)のBET比表面積に比べて小さいが、これは、ナノ
粒子の析出によって、モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が当該粒子によりブロック
されたためと考えられる。
図49に、実施例6−3で作製した第2のモノリスに対するXPSスペクトルの測定結
果を示す。当該スペクトルに示すように、モノリス中にAu、PtおよびRhの存在が確
認された。
図50に、実施例6−3で作製した第2のモノリスのSEM観察像を示す。SEM観察
像からは、作製した第2のモノリスにおいて、第1のモノリスの多孔構造が維持されると
ともに、大きなサイズを有する粒子が当該構造に存在しないことが確認された。
次に、金属塩としてPdCl、HPtClおよびRhClを用い、以下の表1
3に示す金属塩溶液の組成とした以外は実施例3−3と同様にして、第2のマクロ多孔性
モノリスを作製した。広角X線回折測定により、作製したモノリスに析出したナノ粒子の
組成を評価したところ(図51参照)、PdPtRhの組成を有していた。図51
には、Pd単独、Pt単独およびRh単独のX線回折プロファイルを併せて示す。これら
プロファイルの対比により、Pd−Pt−Rh合金の形成に伴い格子サイズが変化するこ
とが確認された。図51の右側のプロファイルは、左側のプロファイルの一部を拡大した
ものである。


図52Aに、実施例6−4で作製した第2のモノリスに対するHAADF−STEM観
察像を示す。図中、「l」と付された右側の像は、「k」と付された左側の像の一部を拡
大した像である。図52Aに示すように、作製したモノリスにおいて、金属ナノ粒子(X
RDの結果によれば、PdPtRh合金ナノ粒子)が当該モノリス中に分散して分
布していることが確認された。
図52Bに、図52AのHAADF−STEM観察像から求めたPdPtRh
金ナノ粒子の粒径分布を示す。この粒径分布より求めたPdPtRh合金ナノ粒子
の平均粒径は、7.5nmであった。
図53に、実施例6−4で作製した第2のモノリスに対する、窒素ガス吸着法による細
孔分布測定結果を示す。図53の吸着−脱着等温線に示すように、当該モノリスは、第1
のマクロ多孔性モノリスと同様にタイプIVの特性を有しており、メソ孔が存在している
ことが確認された。当該モノリスのBET比表面積は480m/gであった。この値は
、還元前のモノリス(HY210)のBET比表面積に比べて小さいが、これは、ナノ粒
子の析出によって、モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が当該粒子によりブロックさ
れたためと考えられる。
図54に、実施例6−4で作製した第2のモノリスに対するXPSスペクトルの測定結
果を示す。当該スペクトルに示すように、モノリス中にPd、PtおよびRhの存在が確
認された。
図55に、実施例6−4で作製した第2のモノリスのSEM観察像を示す。SEM観察
像からは、作製した第2のモノリスにおいて、第1のモノリスの多孔構造が維持されると
ともに、大きなサイズを有する粒子が当該構造に存在しないことが確認された。
(実施例7:第2のマクロ多孔性モノリスの作製)
実施例7では、4種類の金属塩(HAuCl、HPtCl、PdClおよびR
hCl)を含む溶液を用い、Au、Pt、PdおよびRhから構成されたナノ粒子(A
u−Pt−Pd−Rhの四元系ナノ粒子)が配置された第2のマクロ多孔性モノリスを作
製した。
具体的には、金属塩としてHAuCl、PdCl、HPtClおよびRhCl
を用い、以下の表14に示す金属塩溶液の組成とした以外は実施例3−3と同様にして
、第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。広角X線回折測定により、作製したモノリス
に析出したナノ粒子の組成を評価したところ(図56参照)、AuPdPtRh
の組成を有していた。図56には、Au単独、Pd単独、Pt単独およびRh単独のX線
回折プロファイルを併せて示す。これらプロファイルの対比により、Au−Pd−Pt−
Rh合金の形成に伴い格子サイズが変化することが確認された。図56の右側のプロファ
イルは、左側のプロファイルの一部を拡大したものである。

図57に、実施例7で作製した第2のモノリスに対するHAADF−STEM観察像を
示す。図57の「m」と付された像に示すように、作製したモノリスにおいて、金属ナノ
粒子が当該モノリス中に分散して分布していることが確認された。また、EDS検出器を
併用することにより、HAADF−STEM像上におけるSi、Au、Pd、Ptおよび
Rhの各原子の分布を評価した。図57の「n」「o」「p」「q」および「r」と付さ
れた像に、それぞれ、「m」の像の点線内の領域におけるSi、Au、Pd、Ptおよび
Rhの各原子の分布を示す。これらの像に示すように、モノリスの骨格が存在する位置に
相当するSi原子の分布に接するように、Au原子、Pd原子、Pt原子およびRh原子
が同じ位置に分布していた。すなわち、Au−Pd−Pt−Rh合金(AuPdPt
Rh合金)のナノ粒子がモノリス中に分散して分布していることが、より明確に確認
された。
図58に、図57のHAADF−STEMの観察像から求めたAu−Pd−Pt−Rh
合金ナノ粒子の粒径分布を示す。当該分布から求めたAu−Pd−Pt−Rh合金ナノ粒
子の平均粒径は245nmであった。
図59に、実施例7で作製した第2のモノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分
布の測定結果を示す。図59の吸着−脱着等温線に示すように、当該モノリスは、第1の
マクロ多孔性モノリスと同様にタイプIVの特性を有しており、メソ孔が存在しているこ
とが確認された。当該モノリスのBET比表面積は280m/gであった。この値は、
還元前のモノリス(HY210)のBET比表面積に比べて小さいが、これは、ナノ粒子
の析出によって、モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が当該粒子によりブロックされ
たためと考えられる。
図60に、実施例7で作製した第2のモノリスに対するXPSスペクトルの測定結果を
示す。当該スペクトルに示すように、モノリス中にAu、Pd、PtおよびRhの存在が
確認された。
図61に、実施例7で作製した第2のモノリスのSEM観察像を示す。SEM観察像か
らは、作製した第2のモノリスにおいて、第1のモノリスの多孔構造が維持されるととも
に、大きなサイズを有する粒子が当該構造に存在しないことが確認された。
図62に、実施例6−1〜6−4および7で作製した第2のモノリスにおける各合金ナ
ノ粒子の平均粒径を示す。図62に示すように、金属塩における比E/nの合計が大き
くなるほど、析出したナノ粒子の平均粒径が大きくなった。
(実施例8:第2のマクロ多孔性モノリスを触媒に用いた還元反応の実施)
実施例8では、第2のマクロ多孔性モノリスに配置された金属ナノ粒子を触媒に、水素
化ホウ素ナトリウム(NaBH)を還元剤に用いて、4−ニトロフェノールの4−アミ
ノフェノールへの液相還元を室温で実施した。
具体的には、以下のように行った。最初に、実施例2〜7において作製した、以下の表
15に示す組成の金属ナノ粒子が配置された第2のマクロ多孔性モノリス0.2〜0.5
mg(モノリスに対して所定のモル数の金属ナノ粒子が配置された量を選択)を準備し、
これをイオン交換水およびメタノールの混合溶液(体積比1:1)5mLに浸漬した。次
に、当該溶液に0.5mL(0.5モル相当)のNaBHおよび0.25mL(0.1
モル相当)の4−ニトロフェノールを加え、モノリスによる4−ニトロフェノールの還元
を実施した。4−ニトロフェノールが還元される程度は、一定時間毎に0.1mLの溶液
を抜き取り、それを2mLの蒸留水に薄めたものを紫外線吸収分光(UV)測定すること
により評価した。UV吸収スペクトルにおいて、NaBHの存在下では、4−ニトロフ
ェノールの吸収ピークが400nm付近に、4−アミノフェノールの吸収ピークが300
nm付近にそれぞれ観察される。その変化の一例を図63に示す。図63に示す例は、A
Pt合金ナノ粒子が0.92モル配置された第2のマクロ多孔性モノリスを用いた
例である。図63に示すように、NaBHおよび4−ニトロフェノールの添加の後、時
間の経過とともに、波長400nm付近の吸収が減少しながら300nm付近の吸収が増
加している。この吸収の変化から、時間の経過に伴う4−ニトロフェノールの濃度の減少
率、すなわち、還元反応の反応定数κを求めることができ、例えば、図63に示す例のκ
は2.615/時間であり、金属ナノ粒子がAu粒子である場合のκは0.353/時間
、金属ナノ粒子がPt粒子である場合のκは0.564/時間であった。二元系合金から
構成されるAuPtナノ粒子の方が、Auナノ粒子およびPtナノ粒子に比べて、反
応定数が大きくなった。図63に示されている波長400nm付近の吸収ピークは、上か
ら、0時間後、0.166時間後、0.333時間後、0.500時間後、0.667時
間後、0.833時間後、1.000時間後、1.166時間後である。波長300nm
付近の吸収ピークは、下から、0時間後、0.166時間後、0.333時間後、0.5
00時間後、0.667時間後、0.833時間後、1.000時間後、1.166時間
後である。
第2のモノリスについて、触媒となる金属ナノ粒子1モルに対する、1時間の間に還元
された反応分子(4−ニトロフェノール)のモル数の比(TOF)の値を表15に示す。
TOFの値は、最も反応効率が高くなると考えられる、各モノリスに対して4モルの金属
ナノ粒子が配置された場合について求めた。実施例1で作製したHY210を用いて同様
の還元反応を試みた場合のTOF値も併せて表15に示す。



表15に示すTOF値から判断されるように、金属ナノ粒子が配置されたいずれの第2の
マクロ多孔性モノリスにおいても、当該ナノ粒子を触媒として、4−ニトロフェノールの
還元反応を進行させることができた。特に触媒としての能力が高いナノ粒子は、Pd
、PdRh、PtRhおよびPtRhの各二元系合金のナノ粒子であっ
た。
次に、PdRh合金ナノ粒子が配置された第2のマクロ多孔性モノリスを用いて、
連続的に4−ニトロフェノールおよびNaBHを含む溶液を当該モノリスに流しながら
、当該モノリスにおいて4−ニトロフェノールの還元反応を進行させることが可能な反応
器(流体反応システム)を作製した(図64参照)。この反応器の具体的な作製方法を、
以下に示す。
最初に、実施例5−7と同様に、長さ22mm、直径5mmの円柱形(重量53mg)
であって、0.04mmolのPdRh合金ナノ粒子が配置された第2のマクロ多孔
性モノリスを作製した。次に、これを、同じ直径を有する一対の円柱形のシリカモノリス
で挟持し、円筒形のカラム(樹脂製)に挿入した。シリカモノリスは、Kei Mori
sato et al., Journal of Chromatography A
, 1216 (2009) pp.7384−7387に記載の製法により作製したモ
ノリスであり、当該モノリスには金属ナノ粒子が配置されておらず、マクロ孔およびメソ
孔の階層的な多孔構造を有している。
このようにして作製した反応器を、当該反応器内を流れる流体の流速を制御できるよう
に、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)のポンプに接続した。そして、別途準備し
ておいた50mmolの4−ニトロフェノールおよび0.2mmolのNaBHを含む
水/メタノール混合溶液(媒体である水とメタノールの混合比は体積比にして1:1)を
、室温にて、この反応器に流した。反応器から流出した溶液に対してUV吸収分光測定を
実施し、4−ニトロフェノールの4−アミノフェノールへの還元反応率を評価したところ
、流速0.2mL/分のときに98%、流速1.0mL/分のときに78%の還元反応率
が達成された。
(モノリスの応用)
上記の金属を含有するモノリス(第2のマクロ多孔性モノリス)の応用を以下に示す。
以下では第2のマクロ多孔性モノリスを例として用いているが、具体的に特定していない
。しかし、含まれる金属元素が同じものなら同様の結果が得られる。
<水素化反応への応用>
トランス桂皮酸メチル(50 mg, 0.308 mmol)の酢酸エチル溶液に対し
て、上記のPdを内部に導入された第2のマクロ多孔性モノリスPd−silica(5
mol%, 0.015 mmol)を加えた。これを水素(1 atm)雰囲気下24
時間撹拌した後、Pd−silicaをろ過しメタノールで洗浄、得られた溶液から溶媒
を留去することで目的の生成物である1−フェニルプロピオン酸メチルを90%の収率で
得た(式3)。H NMR (400 MHz) : 7.23 (t, 7.2 H
z), 7.15−7.25 (m, 3H), 3.67 (s, 3H), 2.9
5 (t, J = 8.0 Hz, 2H), δ 2.64 (t, J = 8.
0 Hz, 2H)を測定して評価した。
上記金属含有モノリスは、広く有機化合物の水素化反応への触媒として使用できる。
同じ原理で、有機化合物の脱水素化反応の触媒としても利用できる。
<クロスカップリング反応>
(1)溝呂木−Heck反応1(基本)
上記のPdを内部に導入された第2のマクロ多孔性モノリスPd−silicaを溝呂木
−Heck反応に用いた結果を示す。式4のアリールハイドロ化合物(2 mmol)と
アルケン(3mmol)とを、上記Pdを内部に導入された第2のマクロ多孔性モノリス
Pd−silica(5mol%, 0.015 mmol)とK2CO3,4mol、
DML5ml中で反応させた(式4)。反応後、Pd−silicaをろ過しメタノール
で洗浄、得られた溶液から溶媒を留去することで目的の生成物を100%の収率で得た。
繰り返しの結果を表16にしめす。高い収率が得られた。
(2)溝呂木−Heck反応2(ハロゲンの種類の変更)
上記のPdを内部に導入された第2のマクロ多孔性モノリスPd−silicaを溝呂木
−Heck反応に用いた結果を表17示す。式5のアリールハイドロ化合物(2 mmo
l)とアクリレート(3mmol)とを、上記Pdを内部に導入された第2のマクロ多孔
性モノリスPd−silica(0.02mol%, 0.015 mmol)とK2C
O3,4mol、DML5ml中で反応させた(式5)。反応後、Pd−silicaを
ろ過しメタノールで洗浄、得られた溶液から溶媒を留去することで目的の生成物を得た。
表のbは収率、cは、nブチルアクリレートが使用された。dは、アリールハライド1m
molとアクリレート1.5mmolが、140℃で第2のマクロ多孔性モノリスPd−
silica(2 mol%)で反応された。ハロゲンの種類を変化させても高い収率が
得られた。
(3)溝呂木−Heck反応3(触媒濃度変化)
第2のマクロ多孔性モノリスPd−silicaの濃度を変化させた。上記のPdを内部
に導入された第2のマクロ多孔性モノリスPd−silicaを溝呂木−Heck反応に
用いた結果を表18示す。式6のアリールハイドロ化合物(2 mmol)とアクリレー
ト(3mmol)とを、上記Pdを内部に導入された第2のマクロ多孔性モノリスPd−
silicaとK2CO3,4mol、DML5ml中で反応させた(式6)。反応後、
Pd−silicaをろ過しメタノールで洗浄、得られた溶液から溶媒を留去することで
目的の生成物を得た。
(4)溝呂木−Heck反応3基質の検討
以下、基質(原料有機化合物)を変化させて実施した。
(a)
ヨードベンゼン (404 mg, 2 mmol)に、炭酸カリウム (553 mg
, 4 mmol)、第2のマクロ多孔性モノリスPd(Si−H) nanopart
icle(1 mol%)の混合物にDMF(5 mL)、アクリル酸ブチル(0.42
6 ml, 3 mmol) を加え、130 Cで2時間撹拌した。反応混合物は室
温に戻し、蒸留水を加え、水層をEtOで抽出した。集めた有機層はMgSOで乾燥
させた後、ろ過・濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物は、short column(H
exane/EtOAc = 10/1)により精製し、生成物1を得た(412 mg
, 100%)。H NMR(CDCl) δ 7.69(d, J = 16.4
Hz, 1H) , δ 7.50−7.57(m, 2H), δ 7.36−7.
43(m, 3H), δ 6.45(d, J = 16 Hz, 1H), δ 4
.21(t, J = 6.4 Hz, 2H), δ 1.65−1.75(m, 2
H), δ 1.38−1.50(m, 2H), δ 0.97(t, J = 7.
2 Hz, 3H).
(b)
4−ヨードトルエン (436 mg, 2 mmol)に、炭酸カリウム (553
mg, 4 mmol)、第2のマクロ多孔性モノリスPd(Si−H) nanopa
rticle(1 mol%)の混合物にDMF(5 mL)、アクリル酸ブチル(0.
426 ml, 3 mmol) を加え、130 Cで2時間撹拌した。反応混合物
は室温に戻し、蒸留水を加え、水層をCHClで抽出した。集めた有機層はMgSO
で乾燥させた後、ろ過・濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物は、short colu
mn(Hexane/EtOAc = 10/1)により精製し、生成物2を得た(43
4 mg, 98%)。H NMR(CDCl) δ 7.66(d, J = 1
6 Hz, 1H) , δ 7.43(d, J = 8.4 Hz, 2H), δ
7.19(d, J = 8 Hz, 2H), δ 6.40(d, J = 16
Hz, 1H), δ 4.20(t, J = 6.4 Hz, 2H), δ 2
.37(s, 3H), δ 1.64−1.74(m, 2H), δ 1.38−1
.50(m, 2H), δ 0.97(t, J = 7.2 Hz, 3H).
(c)
3−ヨードトルエン (436 mg, 2 mmol)に、炭酸カリウム (553
mg, 4 mmol)、第2のマクロ多孔性モノリスPd(Si−H) nanopa
rticle(1 mol%)の混合物にDMF(5 mL)、アクリル酸ブチル(0.
426 ml, 3 mmol) を加え、130 Cで2時間撹拌した。反応混合物
は室温に戻し、蒸留水を加え、水層をCHClで抽出した。集めた有機層はMgSO
で乾燥させた後、ろ過・濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物は、short colu
mn(Hexane/EtOAc = 10/1)により精製し、生成物3を得た(42
7 mg, 98%)。H NMR(CDCl) δ 7.65(d, J = 1
6 Hz, 1H) , δ 7.16−7.38(m, 4H), δ 6.43(d
, J = 15.6 Hz, 1H), δ 4.21(t, J = 6.8 Hz
, 2H), δ 2.37(s, 3H), δ 1.65−1.75(m, 2H)
, δ 1.38−1.50(m, 2H), δ 0.97(t, J = 7.2
Hz, 3H).
(d)
4−ヨードアニソール (468 mg, 2 mmol)に、炭酸カリウム (553
mg, 4 mmol)、第2のマクロ多孔性モノリスPd(Si−H) nanop
article(1 mol%)の混合物にDMF(5 mL)、アクリル酸ブチル(0
.426 ml, 3 mmol) を加え、130 Cで1.5時間撹拌した。反応
混合物は室温に戻し、蒸留水を加え、水層をCHClで抽出した。集めた有機層はM
gSOで乾燥させた後、ろ過・濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物は、short c
olumn(Hexane/EtOAc = 10/1)により精製し、生成物4を得た
(460 mg, 98%)。H NMR(CDCl) δ 7.64(d, J
= 16 Hz, 1H) , δ7.48(d, J = 7.2 Hz, 2H),
δ6.91(d, J = 6.8 Hz, 2H), δ 6.31(m, J =
16 Hz, 1H), δ 4.20(t, J = 6.8 Hz, 2H),
δ 3.84(s, 3H), δ 1.64−1.74(m, 2H), δ 1.3
8−1.50(m, 2H), δ 0.97(t, J = 7.6 Hz, 3H)

(e)
3−ヨードアニソール (468 mg, 2 mmol)に、炭酸カリウム (553
mg, 4 mmol)、第2のマクロ多孔性モノリスPd(Si−H) nanop
article(1 mol%)の混合物にDMF(5 mL)、アクリル酸ブチル(0
.426 ml, 3 mmol) を加え、130 Cで3.5時間撹拌した。反応
混合物は室温に戻し、蒸留水を加え、水層をEtOで抽出した。集めた有機層はMgS
で乾燥させた後、ろ過・濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物は、short col
umn(Hexane/EtOAc = 10/1)により精製し、生成物5を得た(4
70 mg, 100%)。H NMR(CDCl) δ 7.65(d, J =
16 Hz, 1H) , δ7.30(t, J = 8.4 Hz, 1H),
δ7.12(d, J = 7.6 Hz, 1H), δ 7.05(s, 1H),
δ 6.94(d, J = 8 Hz, 1H), δ 6.43(d, J =
16 Hz, 1H), δ 4.21(t, J = 6.8 Hz, 2H), δ
3.83(s, 3H), δ 1.65−1.75(m, 2H), δ 1.38
−1.50(m, 2H), δ 0.97(t, J = 7.2 Hz, 3H).
(f)
4−ヨードアニリン (438 mg, 2 mmol)に、炭酸カリウム (553
mg, 4 mmol)、第2のマクロ多孔性モノリスPd(Si−H) nanopa
rticle(1 mol%)の混合物にDMF(5 mL)、アクリル酸ブチル(0.
426 ml, 3 mmol) を加え、130 Cで2時間撹拌した。反応混合物
は室温に戻し、蒸留水を加え、水層をCHClで抽出した。集めた有機層はMgSO
で乾燥させた後、ろ過・濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物は、short colu
mn(Hexane/EtOAc = 5/1)により精製し、生成物6を得た(430
mg, 98%)。H NMR(CDCl) δ 7.59(d, J = 16
Hz, 1H) , δ 7.35(m, J = 8.8 Hz, 2H), δ 6
.65(d, J = 8 Hz, 2H), δ 6.24(m, J = 15.6
Hz, 1H), δ 4.18(t, J = 7.2 Hz, 2H), δ 3
.94(br, 2H), δ 1.62−1.72(m, 2H), δ 1.38−
1.49(m, 2H), δ 0.96(t, J = 7.2 Hz, 3H).
(g)
4−ヨードニトロベンゼン (498 mg, 2 mmol)に、炭酸カリウム (5
53 mg, 4 mmol)、第2のマクロ多孔性モノリスPd(Si−H) nan
oparticle(1 mol%)の混合物にDMF(5 mL)、アクリル酸ブチル
(0.426 ml, 3 mmol) を加え、130 Cで3時間撹拌した。反応
混合物は室温に戻し、蒸留水を加え、水層をCHClで抽出した。集めた有機層はM
gSOで乾燥させた後、ろ過・濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物は、short c
olumn(Hexane/EtOAc = 5/1)により精製し、生成物7を得た(
459 mg, 92%)。H NMR(CDCl) δ 8.25(d, J =
8.8 Hz, 1H) , δ 7.75−7.65(m, 3H), δ 6.5
7(m, J = 16.4 Hz, 1H), δ 4.24 (t, J = 6.
8 Hz, 2H), δ 1.65−1.75(m, 2H), δ 1.38−1.
50(m, 2H), δ 0.98(t, J = 7.2 Hz, 3H).
(h)
4−ヨードアセトフェノン (492 mg, 2 mmol)に、炭酸カリウム (5
53 mg, 4 mmol)、第2のマクロ多孔性モノリスPd(Si−H) nan
oparticle(1 mol%)の混合物にDMF(5 mL)、アクリル酸ブチル
(0.426 ml, 3 mmol) を加え、130 Cで3時間撹拌した。反応
混合物は室温に戻し、蒸留水を加え、水層をCHClで抽出した。集めた有機層はM
gSOで乾燥させた後、ろ過・濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物は、short c
olumn(Hexane/EtOAc = 5/1)により精製し、生成物8を得た(
485 mg, 98%)。H NMR(CDCl) δ 7.97(d, J =
8.4 Hz, 2H), δ 7.70(d, J = 8.4 Hz, 1H),
δ 7.61(d, J = 8 Hz, 2H), δ 6.53(d, J =
16 Hz, 1H), δ 4.23(t, J = 6.8 Hz, 2H), δ
2.61(s, 2H), δ 1.65−1.75(m, 2H), δ 1.38
−1.50(m, 2H), δ 0.97(t, J = 7.2 Hz, 3H).
(i)
3−ヨードベンゾトリフルオリド (544 mg, 2 mmol)に、炭酸カリウム
(553 mg, 4 mmol)、第2のマクロ多孔性モノリスPd(Si−H)
nanoparticle(1 mol%)の混合物にDMF(5 mL)、アクリル酸
ブチル(0.426 ml, 3 mmol) を加え、130 Cで2時間撹拌した
。反応混合物は室温に戻し、蒸留水を加え、水層をEtOで抽出した。集めた有機層は
MgSOで乾燥させた後、ろ過・濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物は、short
column(Hexane/EtOAc = 10/1)により精製し、生成物9を得
た(517 mg, 95%)。H NMR(CDCl) δ 7.77(s, 1
H), δ 7.73−7.65(m, 2H), δ 7.63(d, J = 8
Hz, 1H), δ 7.52(t, J = 8 Hz, 1H), δ 6.51
(t, J = 16 Hz, 1H), δ 4.23(t, J = 6.4 Hz
, 2H), δ 1.65−1.75(m, 2H), δ 1.38−1.50(m
, 2H), δ 0.97(t, J = 7.6 Hz, 3H).
(j)
1−ブロモ−4−ヨードベンゼン(566mg, 2 mmol)に、炭酸カリウム (
553 mg, 4 mmol)、第2のマクロ多孔性モノリスPd(Si−H) na
noparticle(1 mol%)の混合物にDMF(5 mL)、アクリル酸ブチ
ル(0.31 ml, 2.2 mmol) を加え、130 Cで3時間撹拌した。
反応混合物は室温に戻し、蒸留水を加え、水層をCHClで抽出した。集めた有機層
はMgSOで乾燥させた後、ろ過・濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物は、short
column(Hexane/EtOAc = 10/1)により精製し、生成物10
を得た(510 mg, 90%)。H NMR(CDCl) δ 7.61(d,
J = 16 Hz, 1H), δ 7.52(d, J = 8.4 Hz, 1
H), δ 7.39(d, J = 8.4 Hz, 1H), δ 6.43(m,
J = 16 Hz, 1H), δ 4.21(t, J = 6.8 Hz, 2
H), δ 1.64−1.74(m, 2H), δ 1.37−1.49(m, 2
H), δ 0.97(t, J = 7.6 Hz, 3H).
(k)
4−ヨード安息香酸エチル(552 mg, 2 mmol)に、炭酸カリウム (55
3 mg, 4 mmol)、第2のマクロ多孔性モノリスPd(Si−H) nano
particle(1 mol%)の混合物にDMF(5 mL)、アクリル酸ブチル(
0.426 ml, 3 mmol) を加え、130 Cで2時間撹拌した。反応混
合物は室温に戻し、蒸留水を加え、水層をEtOで抽出した。集めた有機層はMgSO
で乾燥させた後、ろ過・濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物は、short colu
mn(Hexane/EtOAc = 5/1)により精製し、生成物11を得た(53
5 mg, 97%)。H NMR(CDCl) δ 8.06(d, J = 8
Hz, 1H), 7.70(d, J = 16 Hz, 1H), 7.58(d
, J = 8 Hz, 1H), δ 6.52(m, J = 16 Hz, 1H
), 4.39(d, J = 6.8 Hz, 2H), δ 4.23(t, J
= 6.8 Hz, 2H), δ 1.65−1.75(m, 2H), δ 1.3
8−1.50(m, 5H), δ 0.97(t, J = 7.6 Hz, 3H)

(l)
4−ブロモニトロベンゼン (404 mg, 2 mmol)に、炭酸カリウム (5
53 mg, 4 mmol)、第2のマクロ多孔性モノリスPd(Si−H) nan
oparticle(2 mol%)の混合物にDMF(5 mL)、アクリル酸ブチル
(0.426 ml, 3 mmol) を加え、140 Cで14時間撹拌した。反
応混合物は室温に戻し、蒸留水を加え、水層をEtOで抽出した。集めた有機層はMg
SOで乾燥させた後、ろ過・濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物は、short co
lumn(Hexane/EtOAc = 10/1)により精製し、生成物7を得た(
424 mg, 80%)。
基質を変化させて高い収率が得られた。広く溝呂木―HECK反応に利用できる。
(5)溝呂木−Heck反応4、触媒の再利用法
(m)
4−ヨードトルエン (436 mg, 2 mmol)に、炭酸カリウム (553m
g, 4 mmol)、第2のマクロ多孔性モノリスPd(Si−H) nanopar
ticle(1 mol%)の混合物にDMF(5 mL)、アクリル酸ブチル(0.4
26 ml, 3 mmol) を加え、130 Cで2時間撹拌した。反応混合物は
室温に戻し、蒸留水を加え、水層をCHClで抽出した。集めた有機層はMgSO
で乾燥させた後、ろ過・濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物は、short colum
n(Hexane/EtOAc = 10/1)により精製し、生成物2を得た(424
mg, 98%)。Pd触媒は、アセトンで3回洗浄し、次の反応に使用した。数回以
上、同じ収率で繰り返し使用できた。
(6)溝呂木−ヘック反応5、触媒量の検討
(n)
4−ヨードトルエン (1090 mg, 5 mmol)に、炭酸カリウム (138
3 mg, 10 mmol)、第2のマクロ多孔性モノリスPd(Si−H) nan
oparticle(0.02 mol%)の混合物にDMF(5mL)、アクリル酸ブ
チル(1.066 ml, 7.5 mmol) を加え、130 Cで6時間撹拌し
た。反応混合物は室温に戻し、蒸留水を加え、水層をCHClで抽出した。集めた有
機層はMgSOで乾燥させた後、ろ過・濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物は、sho
rt column(Hexane/EtOAc = 10/1)により精製し、生成物
2を得た(1100 mg, 100%)。
第2のマクロ多孔性モノリスPd(Si−H) nanoparticleを、上記例
では、0.2mol%であったが、0.02 mol%としても、高い収率を得た。
(7)鈴木−宮浦クロスカップリング反応
窒素雰囲気下、4−ヨードトルエン (218 mg, 1 mmol)に、フェニルボ
ロン酸(183 mg, 1.5 mmol) 、炭酸カリウム (276 mg, 2
mmol)、第2のマクロ多孔性モノリスPd(Si−H) ナノ粒子(4 mol%
)を加え、その混合物をDMF(10 mL)溶媒下、100 Cで21時間撹拌した
。反応混合物は室温に戻し蒸留水を加え、水層をCHClで抽出した。集めた有機層
は、MgSOで乾燥させた後、ろ過・濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物は、短いカラ
ム(Hexane)により精製し、生成物12を得た(155 mg, 92%)。
NMR(CDCl) δ 7.23−7.62(m, 9H), δ 2.40(s
, 3H).
第2のマクロ多孔性モノリスは、鈴木−宮浦クロスカップリング反応の触媒へも応用で
きる。さらに、上記の結果から、第2のマクロ多孔性モノリスは、金属触媒として、有機
合成に使用できる。水素化、カップリング、脱水素化などに、触媒として利用できる。P
d以外の金属Cu,Ni,Ag,Au、Ptの場合でも触媒として同様に使用できる。具
体的に有機合成とは、ヒドロシリル化、選択酸化、カップリング、水素化脱ハロゲン脱水
素脱ベンジル、水素化分解、アニリン・フェノールの水素化、ヘテロ環の水素化、芳香環
の水素化、ニトロの水素化、ニトリル・エステルの水素化、酸・エステルの水素化、還元
アルキル化・アミノ化、アルデヒド・ケトンの水素化、アセチレンの水素化、オレフィン
の水素化、酸素挿入反応、ジヒドロキシル化、有機金属反応、マイケル付加、脱水素、水
素化、シクロプロパン化、脱カルボニル化、ヒドロホルミル化、カルボニル化、ヒドロシ
リル化、クロスカップリング、ブッフワルト・ハートウィック反応、薗頭反応、鈴木反応
などである。
<排ガス除去装置への応用>
プラチナ(白金)、パラジウム 、ロジウム を付着された上記モノリス(第2のマクロ
多孔性モノリス)である多孔性シリカ連続体を、排気ガス除去装置の金属触媒に用いた。
つまり、炭化水素は水と二酸化炭素 に、一酸化炭素は二酸化炭素に、窒素酸化物は窒素
に、それぞれ酸化 もしくは還元 させる。効率よく酸化・還元をするためには、ガソリン
と空気が完全燃焼し、かつ、酸素の余らない理論空燃比 であることが必要であり、この
ため排ガス中の酸素濃度を酸素センサー等により絶えず測定して、この情報を元に燃料噴
射量等をコントロールする必要がある。金属触媒上では極めて複雑な反応過程を経て、N
、CO、HCがN、CO、HOに分解される。
ガソリン自動車のエンジンからは窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、ガソリ
ンの未燃焼成分である炭化水素(HC)が生成されるが、これらを無害な二酸化炭素、水
、窒素、酸素などに変換する役割をもっているのが、この金属触媒である。
金属触媒にはプラチナ(白金)、ロジウム、パナジウムなどの貴金属を1つまたはマル
チで、多孔性シリカ連続体(第2のマクロ多孔質モノリス)に含めた。
従来型の金属触媒は、アルミナなどの比表面積の大きいセラミックスの表面に貴金属が
ナノメートルサイズで分散されたものである。ところが高温の排気ガスにさらされる中で
、貴金属が化学的に安定なセラミックス表面を移動し、貴金属粒子同士がぶつかり、成長
する(大きくなる)ことによって、触媒の全表面積が減少するのが劣化の原因であった。
従来では、この貴金属粒成長による活性劣化分を補うために貴金属を大量に投入が必要で
あった。
しかし、この多孔性シリカ連続体では、金属と多孔性シリカ連続体との結合が強く、排
ガスにより金属が移動することがなく、劣化が従来より少ない。また、従来のセラミック
スハニカム(ハチの巣)の多孔質体に、この発明の貴金属を付着された多孔性シリカ連続
体を埋め込んで用いてもよい。セラミックを使用せず、単独で、この第2のマクロ多孔質
モノリスを使用してもよい。
(1)実施例9:上記のパラジウムが担持された第2のマイクロ多孔性モノリスを調製し
た。得られた多孔質12gに、アルミナ粉末4gを混合した。この混合粉末に冷間等方圧
プレス機により約1トンの荷重を加え、約1mmの体積を持つペレットを成形し、実施
例9のサンプルとした。
実施例9について、なお、アルミナの平均粒径は50μm、BET比表面積は370m
/gであった。
(2)比較例1:実施例9に係る製造プロセスの中で、多孔性シリカ連続体の代わりに、
Au粉を硝酸パラジウムを浸し乾燥させた粉末を用いた。即ち、粉末12gに、アルミナ
粉末4gを混合した。この混合粉末を上記実施例9に係る製造プロセスと同様にペレット
状に成形し、比較例1のサンプルとした。比較例1について、触媒全体を100質量%と
したときのアルミナの質量含有率は25質量%である。
(3)耐久試験:実施例9及び比較例1に係る合計2種類の排ガス浄化用触媒について、
環状反応炉を用いて耐久試験を実施した。耐久試験は上記排ガス浄化用触媒を1100℃
で保持しながら一酸化炭素(CO)1容量%のガス(バランスガスは窒素)と、酸素(O
)5容量%のガス(バランスガスは窒素)を5分間サイクルで5時間、交互に繰り返し
流すことにより行った。
(4)触媒性能評価試験:耐久試験後の実施例9及び比較例1に係る排ガス浄化用触媒に
ついて、それぞれ1.0gを秤量し評価装置に配置した。その後、700℃において、N
O、O2、CO、C3H6、CO2、H2、H2O=0.32:0.41:0.64:0
.36:14.4:0.21:3(残り空気)に示す組成のガスをガス流量20L/mi
nの条件で流通させ、排ガス浄化用触媒の入口と出口におけるNOx濃度を測定すること
によりNOx浄化率を算出した。実施例9に係る排ガス浄化用触媒は、比較例1に係る排
ガス浄化用触媒と比較し、NOx浄化率が向上した。
<燃料電池の触媒としての例>
上記第2のマクロ多孔質モノリスの白金Ptを付着されたものを、燃料電池の金属触媒
として応用した。
(1)比較例2として、白金(Pt)及びコバルト(Co)の混合モル比が1:1となる
量で、白金酸溶液(HPtCl、Aldrich)及び硝酸コバルト(Co(NO
、Aldrich)を蒸溜水に溶かして、触媒担体としてケッチェンブラックを白金
、コバルト及びケッチェンブラックの合計質量に対して50質量%で分散させた後、照射
方法で触媒を製造した。この時に使用された照射源は、陽子ビームを使用して、45Me
V、5uAのエネルギーで溶液に10分間照射した。この触媒を100℃で1時間乾燥さ
せた後、水素及び窒素の混合気体(水素10体積%、窒素90体積%)存在下で150℃
で1時間熱処理して、燃料電池用触媒(PtCo1.5)を製造した。この時に製造さ
れた触媒の粒子の平均粒径は2.7nmであり、触媒の構造は面心立方構造であり、格子
定数はa=3.910Åであった。
(2)実施例10として、第2のマクロ多孔質モノリスでPtを含むものを比較例2の白
金、コバルトの代わりにもちい、その他同じ条件で燃料電池用触媒を製造した。
実施例10と比較例2とを、それぞれ別々に、水及びイソプロピルアルコールを10:
80の体積比で混合した溶媒に入れた後、ナフィオン溶液(Nafion 1100EW
、Dupont社製)25質量部を入れて混合して、超音波を印加して均一に攪拌して、
触媒層形成組成物を製造した。
(3)電池作製:テフロン(登録商標)処理されたカーボン紙基材(カソード/アノード
=SGL31BC/10DA;SGL carbon group製品)に前記製造され
た触媒層形成用組成物をスプレーコーティングして、カソード電極を製造した。PtRu
ブラック触媒(HiSPEC6000、Johnson Matthey社製)を使用し
て、前記と同様な方法でスプレーコーティングして、アノード電極を製造した。この時、
アノード電極用には6mg/cmのローディング量で触媒層をコーティングし、カソー
ド電極用には4mg/cmのローディング量で触媒層をコーティングして、電極を製造
した。
次に、商業用高分子電解質膜(ドュポン社製;Nafion 115 Membran
e)の両面に上記電極を積層して、膜/電極接合体を製造した。前記製造された膜/電極
接合体をガスケット(gasket)の間に挿入した後、一定の形状の気体流路チャンネ
ル及び冷却チャンネルが形成された2つのセパレータに挿入して、銅エンド(end)プ
レートの間で圧着して、半電池を製造した。
この例では、触媒担体として、カーボン紙基材を用いたが、用いずに、第2のマクロ多
孔質モノリスをカソード電極表面に塗布してもよい。PtRuブラック触媒を使用せず、
第2のマクロ多孔質モノリスを前記と同様な方法でスプレーコーティングして、アノード
電極を製造してもよい。
第2のマクロ多孔質モノリスは、貴金属を、シリカを保持体としているので、カーボン
紙基材を除ける。また、シリカを保持体としているので、熱的、化学的に安定で、従来の
比較例より長時間安定である。
(4)電池の性能の評価: 実施例10及び比較例2で製造された半電池を硫酸溶液下
で駆動して、電池特性を評価した。電圧と電流の関係を測定した。実施例10の場合、比
較例2と比較して、同一電圧、例えば0.900Vで電流値が高いことが確認でき、これ
から燃料電池の性能がはるかに優れていることが分かる。
以上で、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されず、特
許請求の範囲、発明の詳細な説明、及び添付した図面の範囲内で多様に変形して実施する
ことができ、これも本発明の範囲に属する。
従来の燃料電池の金属触媒は、ナノレベルの金属が凝集して、大きなクラスターを形成
し、非表面積と触媒活性を大幅に低下していた。
本実施の形態では、金属付着第2のマイクロ多孔性モノリスであるシリカ連続体を、燃
料電池の触媒として用いる。水素、水酸基、酸素、水素イオン、水酸化イオンとの反応に
対して、シリカは安定であり、触媒の活性化が落ちない。
従来より効率が向上し、かつ、長期間の安定性が生じる。金属同士の凝集が起こりにく
く、活性化効率が高く、安定して第2のマイクロ多孔性モノリスに付着し、長期間の使用
に耐えうる。
さらに、第2のマイクロ多孔性モノリスである多孔性シリカ連続体の細孔の中に金属を
付着させたので、従来の金属凝集がなく、金属使用量が10分の1から、100分の1に
なる。
以上、実施例に即して本発明を説明するが本実施の形態はこれらの実施例になんら制約
されるものではない。また、上記実施の形態は、矛盾がない範囲で組み合わせができる。
なお、燃料電池は、各種構造があるが、固体高分子型、リン酸型など触媒を用いるもの
なら、上記を応用できる。
<空気清浄の触媒としての例>
第2のマクロ多孔質モノリスのPtを有するものを、空気清浄装置の触媒へ応用できる
。常温で、一酸化炭素を二酸化炭素へ変換できる。従来のアルミナに保持されたPd触媒
では、100〜150℃以上の温度が必要であったが、この第2のマクロ多孔質モノリス
のPt含有物では常温で、一酸化炭素を二酸化炭素へ変換できた。空気清浄装置で、空気
をこの触媒を通すだけで、処理できる。工場の排ガスの処理にも使用できる。一酸化炭素
だけでなく、トリメチルアミンやホルムアルデヒドも酸化分解で処理できる。
アルカリ金属の導入:前記第2のマクロ多孔質モノリスの作製と同様に、アルカリ金属
を導入するため、アルカリ金属塩にモノリスを浸して、モノリスにアルカリ金属を導入で
きる。
この物質は、排ガスの触媒に使用できる。つまり、従来のPtを使用しなくともアルカ
リ金属の使用で触媒が実現する。高価なPtを使用しなくとも、アルカリ金属で代用でき
る場合がある。
また、さらに必要に応じ別の金属を導入できる。上記も含め、Pd、Pt、Co、Cr
、Mn、Cu、Ce、Ge、V、Ni、Mo、Ti、Th、Al、Ru、Ag、Au、Z
n、Feの金属を導入できる。
それぞれの金属に応じた触媒としての用途に応用できる。
全体を通して、各例は、阻害要因がない限り、相互に組み合わせることができる。
(第3のマクロ多孔性モノリス)
以下、第2のマクロ多孔性モノリスと同様、前で説明した第1のマクロ多孔性モノリス
に各種色素材を固定したセンサーの応用、ガス検出装置を示す。色素材は有機系元素であ
り、標準電極電位が水素に近い、上記金属元素ほどではないが、マクロ多孔性モノリスに
固定される。
センサー材料の導入:第1のマクロ多孔質モノリスに、ガスで反応する物質を導入し、
第3のマクロ多孔質モノリスを作製し、第3のマクロ多孔質モノリスにガスを通し、その
色変化でそのガスを検出する。
<アンモニア検出用のガスセンサ>
アンモニアを検出する場合、色素材料は、デジルトリメチルアンモニウム、または、ロ
ーダミン系色素である。ローダミンは、通常固体化により発光性を失うが、第3のマクロ
多孔性モノリス中に保持させることで、発光性を失わない。このローダミン系色素は、水
溶液中でpHの増加に伴い、強い発光性陽イオンから無発光性のラクトン型へ分子内環化
反応により変化する。この分子内環化反応を多孔性シリカ連続体中で誘発することで色変
化をさせる。結果、塩基性ガスを色変化で検出できる。たとえば、アンモニアガスと触れ
ると、pHがあがり、発光が消える。ただし、水分が必要である。よって、グリセリンな
どで、ガスセンサから水分が蒸発しないようにするか、以下の第3のマクロ多孔性モノリ
ス中に水分保持のための材料、例えば、ランダム型アルキレンオキシド誘導体やソルビト
ールを導入することができる。
<第3のマクロ多孔性モノリスの調製>
ローダミン含む水溶液へマクロ多孔性モノリスを浸し、攪拌後、第3のマクロ多孔性モ
ノリスを取り出す方法。
上記で作製された第3のマクロ多孔性モノリスがガスセンサである。アルコールにより
変色する。この色素は水分が必要であるので、上記のように、グリセリンなどで覆い乾燥
しないようにするか、水分保持剤を層間に導入するか、定期的に水分を供給する仕組みが
必要である。
第3のマクロ多孔性モノリスは、流体を通過させる能力が高く、小さな圧で流体を通過
させることができる。この結果、ガスセンサ中の色素材料とガスの反応が短時間(数秒)
で起こり、色素材料で発色が起こり、ガスを検出できる。発色を検出するので、微量でも
検出できる。以下の実施の形態でも同様の効果がある。
<ホルムアルデヒド検出用ガスセンサ>
上記の例との違いは、色素材料を変更したことである。色素としては、4−アミノヒド
ラジン−5メルカプト−1,2,4−トリアゾール(AHMT)を用いた。AHMTのH
Cl水溶液とKOH水溶液の1:1混合液に対して、上記の方法で、色素材料を添加した
このセンサをホルムアルデヒドガスに暴露した時の変色を540nmのLEDで照射し
,その反射光をフォトダイオードで検出した。フィルタ着色強度は0.04−1ppmの
HCHO濃度範囲で試料採取時間と共に増加した。3minの試料採取時間で0.04p
pmのホルムアルデヒドの検出限界が達成できた。この方法はSBSを引き起こす他のア
ルデヒドおよび揮発性有機化合物には応答しなかった。WHO標準規制値(0.08pp
m)のホルムアルデヒドを3min以内の試料採取時間で検出可能であった。このセンサ
は迅速に,選択的に,簡単にホルムアルデヒドガスの検出が可能で,現場での検出に適し
ている。このセンサは、ガスセンサとして使用できる。
<ホルムアルデヒド:FA、検出用ガスセンサ>
上記例との違いは色素材料である。色素材料として、以下を用いる。つまり、酵素の1
つであるFA脱水素酵素(formaldehydedehydrogenase:FA
LDH)は、FA(ホルムアルデヒド)と、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチ
ド(NAD+)とから、ギ酸と還元型のNADHを生成する。反応生成物であるNADH
は340nmの紫外線が照射されると、491nmの蛍光を発する特性が有る。その蛍光
強度を調べて、FAを定量できる。
ホルムアルデヒド脱水素酵素1mg(東洋紡(株)製、Formaldehyde D
ehydrogenase)と、アルブミン2mg(和光純薬工業(株)社製)と、ニコ
チン酸アミドアデニンジヌクレオチド2.4mg(和光純薬工業(株)社製)とを2ml
のリン酸緩衝液(pH7.5、50mM)に十分溶解させた。
上記同様、得られた溶液に、第1のマイクロ多孔性モノリスを入れ、色素材料を添加し
、第3のマイクロ多孔性モノリスからなるガスセンサ104を作製した。
開発したセンサの性能評価:FAガスに対するこのセンサ特性を評価したところ、FA
ガスを流入すると、NADHの蛍光強度の増加と安定が確認され、センサの外観写真清浄
空気を流入すると、蛍光強度の減少が観察された。本センサのFAガスに対する定量特性
を調べたところ、厚生労働省の室内濃度指針値である80ppbを含む30.0ppb〜
17800ppbの広いダイナミックレンジが得られた。また、本センサの他のガスに対
する影響を調べたところ、FAガスに対する高い選択性が確認できた。
本発明で測定(定性分析および定量分析を含む)の対象となるホルムアルデヒドを含む
被検体(サンプル)には特に制限はなく、大気中、溶液中、または固体中に含まれるホル
ムアルデヒドを広く含むものである。また、かかるサンプルに含まれるホルムアルデヒド
の濃度についても特に制限はなく、適当な前処理(希釈、濃縮等)、測定条件の最適化を
行うことにより、広い範囲の濃度で測定することが可能となる。
本実施形態にかかるガスセンサは、その基本構成として、第1のマクロ多孔性モノリス
に、ホルムアルデヒド脱水素酵素を吸着させ、さらに前記酵素を架橋して固定して作製し
た第3のマイクロ多孔性モノリスを利用するものである。さらに、高感度、簡便に測定可
能とするために、発色反応系と組み合わせて作製するものである。
本実施形態において使用可能なホルムアルデヒド脱水素酵素についても特に制限はない。
かかる酵素の選択については該酵素の特性(基質種類、濃度、温度、pH、安定性、立体
特異性、選択性等)を考慮して選択することが可能である。また、酵素は、公知若しくは
市販品(例えばTOYOBOから市販されているホルムアルデヒド脱水酵素。酵素純度は
5.42U/mg)として入手可能であり、必要ならば大量培養により、また適当な手段
により精製した後使用することが可能である。さらに、入手した酵素は従来公知の方法に
より純度、活性等を測定することが可能である。
また、本実施の形態においては、該酵素とともに、適当な蛋白質を共存させることが好
ましく、例えば、アルブミンが挙げられる。かかる共存蛋白質は該酵素とともに吸着され
、かつ以下説明する架橋剤により架橋され、担体上でより安定な構造を維持することを可
能とするものである。
また、本実施の形態において発色系との組み合わせによるホルムアルデヒドの検出のた
めに種々の公知の発色系成分を加えることが可能である。かかる発色波長に従い検出波長
を選択することが可能である。特に本実施の形態においてはPMS(フェナジン=メトス
ルファート)−NTB(ニトロブルーテトラゾリウム)を含むものが好ましい。かかる場
合、生成するDiformazan(ジホルマザン)の570nm吸光度を測定すること
によりホルムアルデヒドを簡便に検出することが可能となる。
また、さらに本実施の形態は、酵素反応を促進するためにトリトンーXを成分として含
むものである。
また、本実施の形態においては、ホルムアルデヒド脱水素酵素、アルブミン、およびニ
コチン酸アミドアデニンジヌクレオチドを多孔性シリカ連続体膜に吸着させて、さらに適
当な架橋剤により架橋反応を施すことを特徴とする。かかる架橋剤により、前記ホルムア
ルデヒド脱水素酵素、共存するアルブミン、若しくはニコチン酸アミドアデニンジヌクレ
オチドの少なくとも一部がグルタルアルデヒドで架橋される。架橋剤としては、公知の種
々の架橋剤が使用可能であるが、本実施の形態においては特にグルタルアルデヒドが好ま
しい。
さらに、架橋の仕方についても、密閉容器中でグルタルアルデヒド(原液)を気化させ
て担体上の酵素を架橋させる方法(1〜3時間程度)や、グルタルアルデヒド溶液(約2
〜5%、数分)による方法が可能である。架橋の程度は架橋反応時間を制御することによ
り適宜選択することが可能である。
別の例:本実施の形態で使用可能な測定方法は、該酵素とホルムアルデヒドとの反応によ
り生じる化学的変化による発色変化を検出できる方法であれば特に制限はなく、公知の種
々の手段が選択可能である。該反応により得られるNADH自体に基づく反応、若しくは
それと組み合わせた化学反応による方法が挙げられる。かかる発色系との組み合わせた例
を以下に示す。
[数22]
HCHO+NAD+HO ―>HCOOH+NADH+HNADH+PMS ―>N
AD+PMS(還元型)
2PMS(還元型)+NTB ―>2PMS+Diformaszan
・・・(22)
ここで、ホルムアルデヒドが反応するに際し、NADがNADHに還元される。また、N
ADHが、PMS−NTBとの組み合わせによりジホルマザン(570nm)を検出する
このジホルマザンの検出方法によるホルムアルデヒドの検出限度は、酵素量、酵素反応
時間、他成分量等により異なるが、最適化することは容易である。たとえば、粗酵素の状
態では酵素量が0.2U/mlでは0.05ppmまでであるが、2U/mlでは0.0
01ppmまで測定可能である。
また、1サンプルごとの測定であるのか、または、特定時間積算して測定するのかでも
、酵素の量、他成分の量等、適宜最適化することが可能である。
このセンサは、ガスセンサとして使用できる。
<ホルマリン検出用ガスセンサ>
硫酸ヒドロキシルアミン1.0グラムを100ミリリットルの精製水に溶解して第1の
液を調製する。硫酸に対して呈色反応を示す水素イオン濃度指示薬メタニールイエロー0
.02グラム、グリセリン15ミリリットルをメタノールで全量100ミリリットルとな
るように溶解して第2の液を調整する。第1、及び第2の液を混合することにより、発色
液を調製する。この発色液に第1のマクロ多孔性モノリスを浸す。その後、40°C程度
で有機溶媒を自然乾燥させる。これにより、第3のマクロ多孔性モノリス1平方メートル
当たり、硫酸ヒドロキシルアミン0.35グラム、メタニールイエロー0.15グラム、
及びグリセリン21グラムが展開されたガスセンサができあがる。
被検ガスがガスセンサを通過する過程で、ガスセンサ上のグリセリンが保持している水
分が、ホルマリンを取り込み、元から存在する硫酸ヒドロキシルアミンが2HCHO +
(NHOH)SO →2HC=NOH+HSO+2HOなる反応によ
り硫酸を発生する。この硫酸は、第3のマクロ多孔性モノリスに存在するメタニールイエ
ローと反応して、その濃度、つまりホルマリンの濃度に比例してメタニールイエロを呈色
反応させてガスセンサ上に反応痕を生じさせる。このようにして所定のサンプリング時間
、例えば40秒程度が経過した時点で、吸引を停止して反応痕の光学的濃度の測定工程に
移る。LED光源からの光は、ガスセンサ表面に形成された反応痕の光学的濃度に応じて
吸収を受けるので、測定開始前の光学的濃度、つまりガスセンサのバックグランド濃度と
の光学的濃度差を求めることによりガスセンサを通過したホルマリンの濃度を知ることが
できる。
このガスセンサをガス検出装置にセットして、ホルマリンの濃度を、1000ppm、
2000ppm、3000ppmと変えながら反応痕の光学的濃度を測定したところ、濃
度3000ppm程度まで高い直線性でもって検出することができた。またサンプリング
時間を40秒から60秒に延長すると、同一のホルマリン濃度に対する光学的濃度が高く
なった。
ところで、上述の実施例では担体にグリセリンを含有させているが、濃度1000pp
m以上のホルマリンを検出対象とする場合には、グリセリンの有無に関りなく同一感度を
示した。このことからグリセリンは、特に低濃度のホルマリンを検出する場合には有効な
添加剤であることが確認できた。
なお、この実施例においてはホルマリンと反応して酸を生じる物質として硫酸ヒドロキ
シルアミンを用いたが、ホルマリンにより分解されて水素イオン濃度指示薬であるメタニ
ールイエロに反応痕を生じさせる酸を生じる他のヒドロキシルアミンの強酸塩として、塩
酸ヒドロキシルアミンがあり、これを用いても同様の作用を奏することが確認された。ま
た、ヒドロキシルアミンの強酸塩とホルマリンとの反応により生じる酸に対して呈色反応
を示す水素イオン濃度指示薬としては、メタニールイエローの他に、アリザリンイエロー
、ベンジルイエロー、及びメチルイエロー等が存在し、これらを用いても同様の作用効果
を奏することが確認された。
ところで、メタニールイエロは、水素イオン濃度pH1.2乃至pH2.3に変色域を
有する水素イオン濃度指示薬であるから、空気中に存在する炭酸ガスや、フッ化水素等の
弱酸性ガスや、アルカリ性ガスであるアンモニア、さらにはアルコール等の有機溶媒に対
しては全く反応しないから、ホルマリンを高い選択性で検出することができるばかりでな
く、空気中の炭酸ガス等の弱酸性ガスにも反応しないから、長期保存性を有することにな
る。
なお、サンプリング時間を3分程度に延長すると、数ppm程度の低い濃度のホルマリ
ンを検出することができる。
なお、上記センサーはいずれも、ガス検出装置にセットでき、ガス検出装置へ応用でき
る。
以下実施例、実施の形態に即して本発明を説明したが、本発明はこれらの実施例になん
ら制約されるものではない。また、上記実施の形態は、矛盾がない範囲で組み合わせがで
きる。
本発明のマクロ多孔性モノリスおよび本発明の製造方法により得たマクロ多孔性モノリ
スは、従来のマクロ多孔性モノリスと同様の用途、例えば、クロマトグラフィー用分離カ
ラム、酵素担体、触媒担体などに使用することができる。
本発明は、その意図および本質的な特徴から逸脱しない限り、他の実施形態に適用しう
る。この明細書に開示されている実施形態は、あらゆる点で説明的なものであってこれに
限定されない。本発明の範囲は、上記説明ではなく添付したクレームによって示されてお
り、クレームと均等な意味および範囲にあるすべての変更はそれに含まれる。

Claims (15)

  1. ヒドリドシリカにより構成された骨格と、前記骨格との共連続構造を示すマクロ孔とを
    有し、
    前記骨格に当該骨格の表面に開口を有するメソ孔が形成されていることで、前記メソ孔
    およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有し、
    前記骨格の表面および前記メソ孔の内部に、Si−H結合に基づく水素サイトが分布し
    たマクロ多孔性モノリス。
  2. 加水分解性の官能基を有するケイ素化合物を含む溶液系において、ゾル−ゲル法による
    前記ケイ素化合物の加水分解および重合ならびに前記系の相分離を進行させることにより
    、前記ケイ素化合物の重合体に富む、表面に開口を有する細孔が形成された骨格相と、前
    記系の溶媒に富む溶液相とから構成されるとともに、前記骨格相および溶液相の共連続構
    造を有するゲルを形成し、
    前記形成したゲルを乾燥して、前記骨格相を骨格とし、前記細孔を前記骨格の表面に開
    口を有するメソ孔とし、前記溶液相をマクロ孔とする、前記メソ孔およびマクロ孔の階層
    的な多孔構造を有するマクロ多孔性モノリスを得る方法であって、
    前記ケイ素化合物が、分子内に少なくとも1つのSi−H結合を有する水素化ケイ素化
    合物であり、
    前記モノリスとして、前記骨格の表面および前記メソ孔の内部に、前記Si−H結合に
    基づく水素サイトが分布したモノリスを得る、マクロ多孔性モノリスの製造方法。
  3. 前記水素化ケイ素化合物がトリアルコキシシランである請求項2に記載のマクロ多孔性
    モノリスの製造方法。
  4. 前記トリアルコキシシランが有するアルコキシ基が、メトキシ基、エトキシ基およびプ
    ロポキシ基から選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載のマクロ多孔性モノリスの
    製造方法。
  5. 前記溶液系が弱酸性であるとともにアルコールを含む請求項2に記載のマクロ多孔性モ
    ノリスの製造方法。
  6. ヒドリドシリカまたはシリカゲルにより構成された骨格と、前記骨格との共連続構造を
    示すマクロ孔とを有し、
    前記骨格に当該骨格の表面に開口を有するメソ孔が形成されていることで、前記メソ孔
    およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有し、
    少なくとも前記メソ孔の内部に、標準電極電位が水素よりも正に大きい金属またはニッ
    ケルから構成されたナノ粒子が配置されたマクロ多孔性モノリス。
  7. 請求項6記載のマクロ多孔性モノリスを、燃料電池の触媒に用いた燃料電池。
  8. 請求項6記載のマクロ多孔性モノリスを、クロスカップリング反応の触媒に用いたクロ
    スカップリング方法。
  9. 請求項6記載のマクロ多孔性モノリスを、排ガス除去装置の触媒に用いた排ガス除去装
    置。
  10. ヒドリドシリカまたはシリカゲルにより構成された骨格と、前記骨格との共連続構造を
    示すマクロ孔とを有し、
    前記骨格に当該骨格の表面に開口を有するメソ孔が形成されていることで、前記メソ孔
    およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有し、
    少なくとも前記メソ孔の内部に、特定ガスにより色が変化する化合物が配置されたマク
    ロ多孔性モノリス。
  11. 請求項10のマクロ多孔性モノリスを用いたガス検出装置。
  12. ヒドリドシリカにより構成された骨格と、前記骨格との共連続構造を示すマクロ孔とを
    有し、前記骨格に当該骨格の表面に開口を有するメソ孔が形成されていることで、前記メ
    ソ孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有し、前記骨格の表面および前記メソ孔の内部
    に、Si−H結合に基づく水素サイトが分布したマクロ多孔性モノリスを、
    標準電極電位が水素よりも正に大きい金属の塩を含む溶液に接触させることにより、前
    記マクロ多孔性モノリスにおける前記水素サイトにおいて前記金属を還元し、当該金属か
    ら構成されたナノ粒子を形成して、
    少なくとも前記メソ孔の内部に前記ナノ粒子が配置されたマクロ多孔性モノリスを得る
    、マクロ多孔性モノリスの製造方法。
  13. 前記Si−H結合に基づく水素サイトが分布したマクロ多孔性モノリスを、請求項2に
    記載のマクロ多孔性モノリスの製造方法により形成する請求項12に記載のマクロ多孔性
    モノリスの製造方法。
  14. 前記金属が、白金、パラジウム、金、銀、銅、ルテニウム、ロジウムおよび水銀から選
    ばれる少なくとも1種である請求項12に記載のマクロ多孔性モノリスの製造方法。
  15. 前記金属が、白金、パラジウム、金、銀、銅、ルテニウム、ロジウムおよび水銀から選
    ばれる少なくとも2種であり、
    前記ナノ粒子が、前記少なくとも2種の金属の合金または固溶体から構成された粒子で
    ある請求項12に記載のマクロ多孔性モノリスの製造方法。
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