JP2014124151A - 釣り餌及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷凍保存しなくても長期間保存ができ、さし餌としてもまき餌としても機能する釣果の高い釣餌とすることである。
【解決手段】水分調整されたあみえびと、米粉からなるつなぎ材とを混合する粉状物混合工程と、所定量の食塩及び砂糖を添加する調味材混合工程と、これらを混合して練ることでさし餌として釣り針に保持可能で、かつ水中でまき餌として拡散可能な粘度を付与させる混練工程とを備えた釣り餌の製造方法により製造した釣り餌3は、釣り針4にさし餌として装着した釣り餌3は、適度に水中で生餌1やつなぎ2が分散して、もまき餌としても機能する。
【選択図】図1

Description

本発明は、釣り餌及びその製造方法に係り、詳しくは、保存性が良く取扱いが容易で、それでいて多様な使い方ができ、釣果が期待できる釣り餌及びその製造方法に関する。
従来より釣り餌には、釣り針に仕掛けるさし餌(刺餌)とは別に集魚を目的とするまき餌(撒餌、こませ、寄せ餌)も用いられている。例えばアジ・サバ・イワシなどの回遊性の海水魚の釣りには、小型の甲殻類(いわゆる「エビ綱」に属するもの。)、とくに対象魚の食いの良さや価格面からプランクトンであるオキアミ類が撒き餌として多用されている。このオキアミ類の中では、コストや流通量の面から南氷洋などで捕獲されるナンキョクオキアミの利用が最も多いが、とりわけ日本の三陸沖で捕獲されるツノナシオキアミ(以下本願では、「アミエビ」という。)は、全長が10〜15mmで、まき餌として好適とされている。オキアミ類はエビと似ているが、水分量がおよそ80%と非常に水分が多いこと、組織が軟弱なこと、鰓が外部に露出していることや、自己消化酵素が強いことなどから外気に触れると急速に変色や軟化を生じる。そのため、漁獲されたアミエビは、漁獲後海水と共に冷凍パンで急速冷凍され、ブロックの状態で供給されている。釣り人は、釣り具店や遊漁船でこのブロックを適宜分割したものを購入し、分割されたブロックを予め時間を見計らって解凍して釣りに用いていた。
このように解凍したアミエビは、解凍の方法によっては大量のドリップを生じるが、従来はこのドリップが集魚効果に重要であると思われていた。しかしながらこのドリップは大気に触れることで酸化したり、さらに温度が上昇すると急速に自己消化酵素(プロテアーゼ)が活性化して体液や組織が分解されたりする。このドリップや組織が分解されると腐敗しなくとも不快な臭気成分を持った揮発性の物質が生成される。
特にアミエビの臭気はオキアミより強くアミエビを触った釣り人の手に生臭いにおいが染み付いてしまうことはしかたがないことと思われていた。また、気温の高い夏季においてはチロシナーゼの活性が高まり早期に胸部から黒変し、見掛けが悪くなるだけでなく対象魚の食いも低下する。さらに自己消化や酸化が進むと、釣り場などで腐敗して激しい悪臭を発生してしまう。
そこで、本願の発明者は、冷凍のアミエビを予め解凍し、自然に水を切った後に全質量の20%〜40%の水分を脱水して主要部とし、その後1尾ずつを分離させながら、うるち米を粉砕した米粉を分離材としてまぶし、アミエビのそれぞれが分離可能な状態で再冷凍されたことを特徴とするまき餌用の釣り餌を提案した(特許文献1)。
従来、まき餌としてオキアミ類、とりわけアミエビをまき餌に使った場合に、集魚効果は餌の水中でのにおいにあるとして、まき餌のにおい成分は多ければ多いほどよいと釣り人に信じられていた。そのため、当然にアミエビを構成する体液は決して減らしてはならないと考えられ、このアミエビを脱水するという工程は当業者の常識に反するものであった。
しかしながらこの発明は、発明者がこの常識を疑い、ある程度までは水分(体液)を減らしても集魚効果は低下せず釣果は変わらないと考え、発明者自らがこれを実証して本発明に至ったものである。従来何よりも大切と思われていたドリップを、脱水して捨てるという発想は、まさに逆転の発想である。また、脱水したドリップはリサイクルが可能で、海や生活排水として排出する量を少なくし、釣り場での環境への影響を少なくできる点も見逃せない。
このような構成であるので、分離材により解凍せず冷凍の状態でも容易に釣餌としての大きさを保ったまま分離でき、必要な時に必要な分量だけ解凍すればよく、もともと水分が少ないのでドリップが出にくく、またドリップが分離剤により吸収されるため、臭いの発生や環境の汚損が少ないという効果があった。
また、簡単にバラバラに1尾ずつ分離することができるので、さし餌として、釣り針に刺して用いることもできた。
特開2008-271860号公報
しかしながら、その保存は依然として冷凍を前提としており、移動のためなどに長時間保存するには、冷凍の状態を保つことが望まれた。
発明が解決しようとする課題は、冷凍保存しなくても、腐敗したり、悪臭が発生したり、ドリップが生じたりしにくく、長期間保存ができる釣餌とすることである。
さらに、長期間保存しても、黒変したり、自己消化酵素により身崩れし難い釣餌とすることである。
さらに、望ましくは保存性が良好であるだけでなく、適度なまとまりをもち、まき餌を兼ねたさし餌として使用でき、良好な釣果が期待できる釣餌とすることである。
さらに望ましくは、さし餌として用いたときに、水中での溶解度もまき餌として好適になるように調整可能とすることができる釣餌とすることにある。
上記課題を解決するため本願が開示する第1の発明は、対象魚の餌としての所定の大きさとした生餌の水分を調整する水分調整工程と、当該水分調整された生餌と、植物由来の粉状物からなるつなぎ材とを混合する粉状物混合工程と、
微生物の増殖を抑制するために水分活性を低下させる調味材を添加する調味材混合工程と、前記生餌とつなぎ材と調味材とを混合して練ることでさし餌として釣り針に保持可能で、かつ水中でまき餌として拡散可能な粘度を付与させる混練工程とを備えたことを特徴とする釣り餌の製造方法である。
この製造方法は、望ましくは前記生餌はエビ綱に属するオキアミ類若しくはエビ類からなり、前記調味材が少なくとも生餌とつなぎ材の合計質量の10〜50w%の食塩を含む。
さらに望ましくは、前記生餌は、冷凍のアミエビ若しくはオキアミを解凍して、脱水することで水分調整を行う。
また望ましくは、前記つなぎ材は、うるち米を粉砕した米粉である。
また、前記調味材は、食塩と共に、若しくは食塩なしで生餌とつなぎ材の合計質量の30%以下の粉糖を含んでもよい。
特に、前記調味材は食塩が生餌とつなぎ材の合計質量の10〜20w%で、粉糖が5〜15%の組み合わせの範囲であり、かつ食塩と砂糖の合計が生餌とつなぎ材の合計質量の15〜25w%の範囲であることがより好ましい。
そして、上記のような釣り餌の製造方法により製造した釣り餌を包装したもの、あるいは成形した釣り餌である。
また、この釣り餌は増粘材、着色料、保存料などを含んでもよい。
本願に係る釣り餌及びその製造方法によれば、保存性が良く取扱いが容易で、それでいて多様な使い方ができ、釣果が期待できる釣り餌とすることができる。
本発明の1実施形態の釣り餌製造工程を示す工程図である。 本発明の他の実施形態の他の釣り餌製造工程を示す工程図である。 本発明の1実施形態の釣り餌を釣り針に付けた状態を示す図である。 釣り針に付けた釣り餌が、まき餌として分散する状態を示す図である。
以下、本発明を具体化した釣餌の一実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。
(原材料1)
本実施形態の釣り餌は、その原材料としてツノナシオキアミの個体単体で構成している。ツノナシオキアミ(学名Euphausia pacifica、甲殻綱エビ亜綱エビ下綱(いわゆる「エビ綱」)ホンエビ上目オキアミ目ツノナシオキアミ、和名では「アミエビ」、「アカアミ」「イサダ」とも称される。以下本願では、「アミエビ」という。)は、全長が10〜15mmで、房掛け(釣り針に複数刺して房状にする)としてさし餌とする場合もあるが、一般にはまき餌(こませ・寄せ餌)として用いられ、集魚効果の高い餌として認識されている。本種は三陸沖、常磐沖が漁獲地で、岩手沖では、2月下旬に漁が始まり、徐々に南下、4月下旬には常磐沖に達して終了する。漁獲高は年間3〜5万トンである。漁獲されると、ほとんどが5キロのブロックになり冷凍され養殖の飼料や釣りなどのまき餌とされる。現地では、「いさだ」と呼ばれて食用にもされる。
(原材料の構成)
第1の実施形態では、10〜15mmのアミエビの大きさが、若干大きいため、本体の形状が崩れる程度に攪拌されて使用されるが、これに限らず、個体の小さなものはそのままで、個体の大きなものは同程度に切り刻まれたり、擂りおろされてミンチされる。これは、固めればさし餌としても用いることができ、水中で溶解すればまき餌として用いることができるように、目的の大きさ・形状に再形成されるからである。いずれを選択するかは、対象魚の魚種、大型魚か小型魚か、固有の生態等を考慮して決定される。
(*原材料別例)
ここで、本実施形態の釣り餌の原材料ものは、アミエビに限定されるものではない。例えば、原材料としては、一般にいわゆるエビ綱に属する次のようなものが挙げられる。オキアミ系としては、ナンキョクオキアミが挙げられる。また、エビ系としては、シラサエビ(モエビ)、ブツエビ(沼エビ)が挙げられる。
また、これとは別になま餌として用いられる蚕のさなぎ、ゴカイ、イソメの類、イワシやキビナゴ、イカ、貝類の魚肉が挙げられる。これら原料となるものは、生きたまま、或いは冷凍、冷蔵されたものが用いられる。基本的には、筋肉中のたんぱく質から生じる分解物により個々の生体をまとめるため、動物由来が好ましく植物由来のものは適さない。
また、複数の原材料が混ぜ合わされて用いられることもある。本実施形態では、冷凍保存が必要なまき餌が主な対象で、生き餌、生餌が対象となるが、適宜それ以外のものが配合されることを排除するものではない。
一般に、生き餌、生餌はそのままの水分で餌として用いられるが、本発明では、冷凍時に原材料から分離した水分により腐敗しないように原材料の水分が調整されている。或いは最終的に水分が不足してさし餌として固まらないような場合は水分を付加調整してもよい。
(つなぎ2の構成)
本実施形態の釣り餌は、上述のように水分が調整された原材料が粉状物からなるつなぎ2と攪拌混合される。原材料はつなぎ2により緩く一体化される。
本実施形態のつなぎ2は、米粉からなり、この米粉は精白したうるち米を生のまま挽いて粉にしたものである。
ところで「うるち米(粳米)」は、普通の米飯に用いられる米をいい、餅や強飯に用いられる米をもち米(糯米)という。一般に調理後のうるち米は粘り気が少なく、もち米は粘り気が多い。これは、主成分のデンプンの違いによる。うるち米のデンプンは直鎖成分のアミロース約20%と分枝鎖成分のアミロペクチン約80%から成るのに対し、もち米のデンプンはアミロースをほとんど含まずアミロペクチンが大部分である。本実施形態では、加熱しないため、うるち米を粉砕した米粉でも粘りが少なく、アミエビ1尾ずつを分離させるため、好ましく適用できる。
なお、うるち米を加工した粉は、目の粗いものを新粉(しんこ)・並新粉、細かいものを上新粉、更に細かいものを上用粉(じょうようこ)というが、網下米とかくず米などの規格外の米粉も利用は可能である。第1の実施形態では、つなぎとして多少水分を含んでも凝固しやすく、かつ水中で比較的ほぐれやすい比較的目の粗いものが好ましい。
(つなぎの目的)
このつなぎ2の目的は、第1の目的としては、原材料1の結着及び崩壊のコントロールを目的としたものである。つまり、生餌がバラバラで固まらず、さし餌として釣り針に付けることができないような場合は、原材料をまとめる機能がある。その一方で、生餌に食塩等を付加することで粘性が生まれ、貼り付いて固まってしまうと、さし餌として釣り針につけた場合に水中で崩壊しにくくなり、まき餌として機能しない。そのため、適度に水中で崩壊してまき餌として機能させることも目的である。つまり、水中でまき餌として、適度なタイミングで適度の量が、適度な大きさに崩壊して水中に広がることが望ましい。これは対象魚に対して、視覚に訴えることができる。このため、つなぎとして機能する範囲で、粒の粗いものが好ましい。
このつなぎ2はさらに、他の目的として、つなぎ2自体に集魚効果を持たせることである。崩壊した原材料はもちろん、崩壊したつなぎ2のうるち米も対象魚によってはそれ自体餌と認識されるくらいの集魚力があり、同様につなぎ自体による匂いや味により対象魚の臭覚・味覚により集魚効果を高めるものである。そのため、単に粘性のあるものではなく、うるち米が好ましいものである。この集魚効果を低下させない範囲で、他の材料を混合することもできる。もちろん、対象魚種により、好まれる材料なども利用できる。
さらに、別の目的として水中で煙幕のように水を濁らせ、外的から身を隠し、安心できる環境を提供して索餌行為をしやすくして集魚効果を高めることである。この場合は、ある程度水が白濁するものが好ましいといえる。
加えて、さし餌として、水中で対象魚の視覚に訴える赤色や黄色などに着色ができるものも好ましい。
(つなぎの別例)
以上の目的を勘案するに、つなぎとして適当な物としては、うるち米以外にも、もち米などの米類が挙げられる。また、小麦粉、きなこをはじめとする大豆を粉砕した粉、大麦、押し麦その他穀類を粉砕した粉も使用できる。また、トウモロコシの澱粉質からなるコーンスターチやその他芋類からとった澱粉質からなる片栗粉も使用できる。なお、小麦粉は、水を加え混練するとグルテンが架橋構造を構成して粘りが生じるため、つなぎと水への溶解度のバランスを勘案して混練するか、そのまま用いる。また、強力粉か薄力粉かの選択も同様である。
さらに、オカラ、ヌカ、パン粉等もつなぎとして用いられる。
いずれを選択するかは、対象魚や使用する環境などにより当業者が適宜選択できるものである。
(調味材の構成)
本実施形態では、調味材の例として、食塩と砂糖を用いている。
(食塩の構成)
本実施形態では、調味材として、日本たばこ産業株式会社製の食塩(精製塩)を用いている。塩化ナトリウム(NaCl)を含めば海水由来や岩塩由来のものでもよい。
(食塩添加の目的)
食塩は、水分活性を低下させ、微生物の活動を抑制することで釣り餌の保存性を高める目的がある。
また、食塩は、アミエビ等の魚介類の有する自己消化酵素の作用を抑制若しくは失活させる作用がある。
さらに、食塩はたんぱく質を溶解して粘りを生じさせてつなぎを良くする、アミエビの筋肉を食塩を加えてすり潰しこねることでアクチンなどの塩溶性タンパク質が溶け出しアクトミオシンなどを形成する。こねることでこのアクトミオシンの網目が形成されゲル状となり、粘りが発生する。
また、無色無臭のたんぱく質を加塩分解してアミノ酸を生成して、匂い成分やうまみ成分を生成する効果がある。
また、その一方で、たんぱく質を凝固させ、品質を安定させドリップの発生を抑制する。
(食塩の量)
従来は、魚類は体内の塩分調節をして浸透圧を調整しているため、生き餌に比較して塩分が多すぎると、対象魚の食いが悪いと信じられていた。
一方、塩分量が少ないと餌の水分活性を抑えることができないため、常温で保存することはできない。
しかしながら、本発明者はそのような常識を疑い、塩分の多い餌で釣りを試みたところ予想外に食いが良いことを自ら見出した。本発明者はこの未知の知見に基づき本発明に至ったものである。
具体的には、例えば、塩蔵品である塩辛は、通常塩分が2〜5w%で、保存性を高めることができる。アミエビの塩蔵品である塩辛も存在するが、アミエビの場合自己消化酵素が強く、また特に頭部の黒変が進みやすいため、塩分を20w%程度添加するが、それでも水分が多く発酵が進行する。加工食品としては発酵は好ましいものの釣りえさとしては不都合である。このときの水分活性は、0.85程度で、通常の微生物の繁殖は十分に抑制できる。
<実験1>
そこで、本発明者は、次のような食塩についての実験を行った。
後述するような製造方法で、脱水したアミエビ10kg、米粉10kgに、アミエビと米粉の総質量の食塩0%から50%までを表に示すように添加して、攪拌・混練し、平均気温気温12.5°C、平均湿度70%の条件下で、無風の大気に開放した状態で48時間放置して、その変化を見た。
その結果を、身崩れ、異臭などの有無、目視による変色により判断した。
保存に関しては、×:変質した。△:やや変質したが48時間では問題なし。○:ほとんど変化なし。◎:変質は認められない。で評価した。
黒変については、×:黒く変色した。△:黒っぽく変色した。○:部分的に黒くなった。◎:まったく変色しなかった。で評価した。
その結果、0w%(食塩を加えないもの)は、脱水をしても保存性に問題があり、また目視でもはっきり黒変した。
5w%では、保存性はかなり向上するものの黒変は抑えることができなかった。
10w%では、通常の脱水をしない場合に比べて水分量はほぼ50%になっているので、アミエビの塩辛と同等の塩分で保存性はほとんど問題が無かったが、酵素の失活まではできず、黒っぽく変色した。アミエビでなければ、この程度の塩分でも常温保存は可能である。
15w%では、保存性はまったく問題が無かったが、わずかにところどころ黒変が見られた。
20w%以上食塩を添加すると、保存性も黒変もまったく問題が無かった。
以上の結果から、食塩を10w%添加することで、短時間であれば常温で使用できる。或いは、冷蔵することで保存できる。また、食塩を15w%添加すれば、常温で保存できるだけでなく、釣り餌として使用できる程度には、短時間ならば黒変を抑制できる。さらに、食塩を15w%添加すれば、常温で釣り餌として保存できる。さらに望ましくは、食塩を20%添加すれば、長期に亘り品質及び色彩が保存ができる。なお、25w%、30w%、50w%としても、釣り餌としては十分に食いに問題はなく、釣果も上がることが確認できた。
なお、飽和食塩水が、26.4%(20°C)であることから、過剰に食塩を添加すれば、局所的な食塩濃度の低下なども十分に抑制でき、より保存性を高めることができるものである。
なお、黒変したアミエビは、釣り餌として使用した場合食いが悪くなることが発明者の知見から分かっている。そのため、食塩を通常使わない程度の量を添加して黒変を防止している。つまり、これまでの常識に逆らって、多量の食塩を添加したほうが、総合的に釣果が上がるということである。
(砂糖の構成)
実施形態における「砂糖」は、ショ糖(白糖)を粉末化した「粉糖」である。原料は、サトウキビから生産された白糖である。
(砂糖添加の目的)
粉糖を添加する目的は、粘着性を高め、さし餌とするときのまとまりを向上させるつなぎとすることがその目的の1つである。
他の目的としては、食塩と同様に水分活性を抑えて、保存性を向上させるものである。
また、同時に酵素の失活、特に黒変の防止に顕著な効果があることを本発明者は見出した。
砂糖には食塩に比べて吸湿性があるため、釣り餌の水分を保持して粘り気を出し練り餌のようにさし餌として使用する場合のまとまりをよくするという効果がある。但し、吸湿性が強く出すぎると、手で扱うときにべたべたした感触で、手指に付着しやすく扱いづらくなるという欠点が生じる。
なお、本発明ではサトウキビ由来の砂糖に限定せず、甜菜糖、果糖、ブドウ糖、水あめなど、上記目的を達成できるものが使用できる。
<実験2>
そこで、本発明者は、次のような砂糖についての実験を行った。
後述するような製造方法で、脱水したアミエビ10kg、米粉10kgに粉糖20%から30%までを表に示すように添加して、攪拌・混練し、平均気温気温12.5°C、平均湿度70%の条件下で、無風の大気に開放した状態で48時間放置して、その変化を見た。
その結果を、身崩れ、異臭などの有無、目視による変色、粘着性の程度を判断した。
保存に関しては、×:変質した。△:やや変質したが48時間では問題なし。○:ほとんど変化なし。◎:変質は認められない。で評価した。
黒変については、×:黒く変色した。△:黒っぽく変色した。○:部分的に黒くなった。◎:まったく変色しなかった。で評価した。
粘着性に関しては、○:粘着性少ない。◎:適度な粘着性あり。△:粘着性が過剰で使用しづらい。で評価した。なお、△の場合でも、釣り餌としては十分に使用可能である。
実験の結果、0〜10w%粉糖を添加した場合、変質を抑えることができなかった。粘着性も大きくはなかった。
15w%粉糖を添加した場合は、黒変の抑制には一定の効果が見られたが、保存性を十分には確保できなかった。また、全体にしっとりとして、さし餌としてまとめやすくなった。
20w%粉糖を添加した場合、食塩なしでもある程度変質を抑えることができた。黒変については、まったく黒変がなく、あざやかな赤色を保っていた。
25w%添加したものは、さらに保存性が向上し、黒変もなく、粘着性も好ましい程度であった。
30w%添加すると、保存性、黒変については好ましい結果であった。粘着性も高まるが、却って餌を扱う場合に手にべとつき感が残るので、過剰な粘着性であるといえる。
なお、以上の実験は粉糖のみを添加した結果であり、保存性や黒変などは、食塩とともに添加した場合には、相互に補完しあうので、黒変を押さえ、さし餌としてのまとまりを良くするために使用可能である。但し、砂糖は食塩に比べて高価であるため、安価な食塩とともに使用するのが好ましいといえる。
なお粉糖を添加した場合の対象魚の食いについては、大きな変化はなかった。
(食塩と砂糖の併用)
次に、食塩と砂糖を併用した場合について説明する。上述のとおり、食塩は保存性を高め、黒変を防止する効果が高い。一方、砂糖は、保存性を高める効果は同量であれば食塩よりも低いが、黒変を効果的に防止することができた。また、砂糖には食塩に比べて吸湿性があるため、釣り餌の水分を保持して、練り餌のようにさし餌として使用する場合のまとまりをよくするという効果がある。また吸湿性が強く出すぎると、手で扱うときにべたべたした感触で、手指に付着しやすくなるという欠点が生じる。
<実験3>
そこで、本発明者は、次のような実験を行った。ここでも、後述するような製造方法で脱水したアミエビ10kg、米粉10kgに、食塩10・15・20w%と、粉糖5・10・15w%とを表3〜5に示すように添加して、攪拌・混練し、平均気温気温12.5°C、平均湿度70%の条件下で、無風の大気に開放した状態で48時間放置して、その変化を見た。
その結果を、身崩れ、異臭などの有無、目視による変色、べとつきの程度を判断した。
黒変については、×:黒く変色した。△:黒っぽく変色した。○:部分的に黒くなった。◎:まったく変色しなかった。で評価した。
粘着性に関しては、○:粘着性少ない。◎:適度な粘着性あり。△:粘着性が過剰で使用しづらい。で評価した。
食塩10w%に粉糖を5〜15w%添加した場合には、いずれも黒変は完全に抑制できた。さらに、粉糖5〜15w%の場合は、粘着性も適度であった。
<実験4>
また、食塩15w%に粉糖5〜15w%添加した場合には、いずれも黒変は完全に抑制できた。さらに、粉糖5〜10w%の場合は、粘着性も適度であったが、粉糖15W%添加した場合は、粘着性が過剰となり手指などに付着しやすく、使用しづらいものとなった。
<実験5>
また、食塩20w%に粉糖5〜15w%添加した場合には、いずれも黒変は完全に抑制できた。さらに、粉糖5w%の場合は、粘着性も適度であったが、粉糖10〜15W%添加した場合は、粘着性が過剰となり手指などに付着しやすく、使用しづらいものとなった。
以上実験3〜5によると、食塩単独若しくは砂糖単独よりも食塩と砂糖の併用は、それぞれの効果が補完し合い、好ましい結果となった。
特に好ましくは、調味材の食塩が生餌とつなぎ材の合計質量の10〜20w%の範囲であり、粉糖が5〜15%の組み合わせの範囲である。かつ食塩と砂糖の合計質量が生餌とつなぎ材の合計質量の15〜25w%の範囲であるとき、保存性が良好で、黒変を効果的に抑制しつつ、適度なまとまりを持ちながら、過剰なべとつきのない釣り餌とすることができた。
(添加増粘材)
最終的な釣り餌の状態に合わせて、例えば、ゲル化剤として、冷やすと固まる性質のゼラチン(動物の皮や骨)、寒天(テングサ)、カラギーナン、ペクチンなどを添加してもよい。特に、水溶性のものは、水中で解けて、さし餌の崩壊を促進する。
(添加調味材)
原材料1はもちろん、上述のつなぎ材2自体にも、集魚効果は認められるが、さらに集魚効果を高めるため、第1の実施形態の釣り餌では、対象魚の好む物質を調味材を添加してもよい。調味材としては、グルタミン酸、コハク酸、イノシン酸などのアミノ酸、イワシ、キビナゴなどの魚粉、魚介類・畜肉類を茹でたり蒸したりしたときの液体を煮熟し乾燥させた粉などが挙げられる。養魚飼料用油脂(フィードオイル)なども好適に使用できる。
とくに、オキアミ・アミエビの脱水時の液体を煮熟して濃縮した液体や、さらに乾燥させた粉末などは、リサイクルや環境への保全の点から好ましい。全体を乾燥させてすりつぶした乾燥オキアミ、乾燥アミエビ粉末も好ましい調味材である。なお、本願では調味材と称しているが、対象魚の嗅覚への刺激など化学的な集魚効果を示すものを広く含むことはいうまでもない。
(添加着色料)
第1の実施形態では、撒き餌として分散されたときに、対象魚を視覚的に刺激するため、着色料により着色している。着色は、原材料1自体に練りこんで着色してもよいし、最終的に小さく成形した後で表面に付着させて着色してもよい。着色料としては、鮮明な色を出し、退色しにくいタール系色素からなる合成着色料のほか、エビやカニの殻由来のカロテノイド(carotenoid)も好適に使用できる。さらに、紅花の赤色やクチナシの実の黄色などの植物由来の天然の着色料も広く使用できる。
(添加保存料)
ソルビン酸、ソルビン酸カリウムなどをカビ、酵母、細菌の増殖を抑えるために加えてもよい。また、しらこたん白抽出物(サケ科サケの精巣から抽出したプロタミンやヒストンという特殊なタンパク質を含む。)は、ネト(微生物が増えることによって生じるネバネバ)の発生を遅くする効果がある。
○ 製造工程
図1に沿って釣り餌製造工程1について説明する。
(解凍工程S1)
まず、2kgブロックの冷凍アミエビを冷蔵庫内で自然解凍する。或いは、密封包装のまま冷水にて流水解凍をする。或いは、高周波で急速解凍する。いずれにしても、品質の変化がない範囲でバラバラになる程度まで解凍する。
(水切り工程S2)
続いて、水切り工程S2では、排水の良い場所にそのまま載置して、水が切れるまで放置する。そして、水が切れたら質量を計量する。
(脱水工程S3)
次の脱水工程S3では、水切りの終わったアミエビ10kgを目の細かい(アミエビが飛び出さない程度)のメッシュの袋に入れ、遠心脱水機を用いて、脱水する。このときあまり1回の処理量、回転速度などを調整しながら加速度が掛りすぎないように脱水して、アミエビの個体が破壊されないように留意する。食品製造用の大型の遠心分離機でもよいが、少量であれば家庭用の洗濯機を用い、洗濯用のネットを利用することも可能である。なお、圧搾による脱水はアミエビの殻や組織が破壊されるため、好ましくない。この脱水では、水切り工程S2後に計量した質量の20%〜50%の水分を排出する。20%以上としたのは、これ以上少ない脱水量であると、つなぎ材2では吸収できないため、釣り餌が固まらないおそれがある。また、脱水量が50%を超えると、体液が排出され過ぎて撒き餌としての集魚効果が低下するおそれがあるからである。なお、本実施形態のアミエビでは、比較的水分を保持しにくいので、他の撒き餌に比べると脱水量が多いが、原材料により脱水量が異なることはいうまでもない。この例では、7kgになるまで、言い換えれば排水が質量3kg排出されたら脱水工程S3を終了する。なお、この水切り工程S2と脱水工程S3が、本発明の水分調整工程に対応する。
(米粉混合工程S4)
脱水後のアミエビの総質量10kgを量り取り、同重量の米粉(うるち米)10kgを、脱水後のアミエビに手で簡単に混ぜる。このときアミエビの形状が崩れない状態で、バラバラになるようにほぐしながら混合する。この工程が本発明の粉状物混合工程に対応する。
(攪拌工程S5)
米粉混合工程で、概ね均一に混合された原材料をミキサー(例えばここでは、みそ羽根の付いた市販の餅つき機を用いている。この「みそ羽根」とは、家庭内での味噌の製造を目的に、臼の内部に収容した蒸した大豆を攪拌しながら臼の内側に押し付けて擂り潰すものである。食品加工業で使用する擂潰機のようには完全には潰れない。)にて、アミエビとうるち米が均等に分散するように10〜20秒程度混ぜる。ここで出来上がったものをこの説明では「素材A」という。
(砂糖混合工程S6)
素材Aの総質量を量り、その質量の5w%の粉糖を加え、手で簡単に混ぜる。この工程は本発明の調味材混合工程に対応する。
(攪拌工程S7)
粉糖が混合された原材料をミキサーにて均等に分散するように10〜20秒程度混ぜる。
(食塩混合工程S8)
素材Aの総質量の10〜50w%の食塩、ここでは20w%の食塩を加え、手で簡単に混ぜる。この工程は本発明の調味材混合工程に対応する。
(混練工程S9)
ミキサーでアミエビの本体の形状が崩れるくらいまで(目視)混ぜる。
擂り潰すことで、アミエビの殻が破壊され、筋肉が露出して食塩と交じり合う。このときアミエビの筋肉から漏出したアクチンなどの溶塩たんぱく質が食塩により溶けてアクチミオシンとなって漸時粘度が上昇する。この状態で、好ましい粘度が生じたら、完了とする。
図3は、本実施形態の釣り餌を釣り針に付けた状態を示している。ここに、模式的に示すように、アミエビは完全に摺り潰してしまうと、まき餌として、視覚的な効果が低下するので、アミエビの一部が確認できる程度まで混練すれば十分である。
(包装工程S10)
以上のように製造した釣り餌は、包装容器に詰めて、乾燥防止のために包装する。使用するときには、容器から適宜所要量を取り出して使用する。
図2に従って、釣り餌製造工程2を説明する。
実施例2の釣り餌製造工程2は、実施例1の釣り餌製造工程1と基本的に同じ流れてあり、同一の工程は実施例1での説明に替えて省略する。
実施例2では、原料はアミエビに替えて、例えばスルメイカを原材料とする場合について説明する。
(生餌切断工程S31)
ここでは、原料となる冷凍のスルメイカを小さくカッターで切断する。大きさは、例えば2〜3mmのさいころ状とする。ここでは、内臓は使用しないものとする。
(水分調整工程S32)
スルメイカは、脱水の必要がない。逆に、つなぎ材との混合のために、水分を補給してもよい。
米粉混合工程S33、攪拌工程S34、砂糖混合工程S35、攪拌工程S36、食塩混合工程S37は、実施例1の米粉混合工程S4、攪拌工程S5、砂糖混合工程S6、攪拌工程S7、食塩混合工程S8と同一工程であるので説明は省略する。
(着色工程S38)
調味材を添加した素材Aに対して、前述の着色剤を混ぜ込んで着色をする。原材料がスルメイカと米粉の場合は、色彩が白色となり釣果が低下するので、赤色や黄色に着色する。この色は、さし餌ばかりかまき餌として機能する場合にも効果がある。
(混練工程S39)
ミキサーでスルメイカと米粉を混練する。切り刻んだスルメイカの筋肉と食塩とが交じり合う。このときスルメイカの筋肉からもアクチンなどの溶塩たんぱく質が食塩により溶けて漏出し、アクトミオシンとなって漸時粘度が上昇する。この状態で、好ましい粘度が生じたら、完了とする。
(増粘材添加工程S40)
ここでは、混練工程S39などで十分な粘度が得られず、さし餌として固まらないような場合に、例えば増粘材として、ゼラチンなどを添加して粘度を上げる。また鶏卵の卵白や、加熱した米粉なども粘度調整に利用できる。内容により混練工程39の前後のいずれかで行う。
(圧縮成形工程S41)
十分な粘度が得られた釣り餌は、圧縮することで崩れにくくなる。そのためには、
圧縮工程として適当な大きさ、例えば直径10cm、厚さ3cm程度に成形した刺し餌を、所定の圧力、例えば圧力100kPa程度でプレス機などで圧力を掛け、円板状に押し固め、厚さ2cm程度とする。これを、切断工程として2×2cmに切ってサイコロ状に形成する。
或いは、ミンチチョッパーで、釣り餌を混ぜながら圧縮してもよい。ミンチチョッパーは、畜肉からひき肉を製造するもので、ローラコンベアのような螺旋により肉を送り出すローラと、送り出された肉を切り刻む回転カッターと、多数の穴が穿設された円盤状のプレートであって、細かく切断された肉をローラの送出力で多数の穴から押し出すプレートとを備えている。このミンチチョッパーは原材料をローラコンベアで圧縮しながら送り出し、回転カッターで切断しつつ混練し、プレートに押し当てて圧縮する。圧縮された原材料は、プレートの穴から押し出される。これを所定の長さで円柱状に切断する。
(包装工程S42)
以上のような工程で製造されたサイコロ状若しくは円柱状の釣り餌を、開閉自在の密封容器に包装する。使用時には、適宜所望の大きさで使用する。
○ 実施形態の作用、効果
(1) 図3に示すように、本実施形態の釣り餌3は、釣り針4にさし餌として装着することができ、そのままでも釣り餌として機能する。
図4に示すように、さらに水中では、この釣り餌のアミエビなどの生餌1、米粉などのつなぎ2が次第に崩壊して水中に分散されてまき餌として機能する。釣り針4にも釣り餌3が残り、まき餌として分散された釣り餌の集魚効果により近接した対象魚に対して、釣り針4に残存した釣り餌3はさし餌として機能する。
(2) 実施形態の製造方法で製造した釣り餌は、食塩等の調味材を添加してミキサーで混錬するため、アミエビやイカなどの動物の筋肉から溶塩性のたんぱく質が溶出し、「粘り」が発生してつなぎとして作用する。このため、適度なまとまりと適度な水中での崩壊のバランスがよく、さし餌としてもまき餌としても機能する。
(3) 製造された釣り餌は、水分活性が十分に低いので、この状態で冷凍することなく保存が可能である。
(4) 特に、アミエビやオキアミのようなチロシナーゼを含む生物は、著しい頭部の黒変が起き易いが、調味材の作用で十分に黒変が抑制されている。特に、調味材として食塩と砂糖の相乗効果で、黒変を防止して高い釣果を保証する。
(5) 混練された状態では、生餌とつなぎ材には、細かい空間が存在する。この細かい空間は、その後の押し固め方で変化する。
そのため、指先などで押し固めると、間隙が無くなり密着性が強くなり、釣り針に図3に示すように付けるだけでも水中でも溶解しにくく崩壊しにくくなる。このような状態で、釣り針につけると、長時間水中でも溶けにくく、さし餌として機能する。
実施例1の場合、しっかりと練るように指先で押し固めると、5分間水中にあってもほとんど形が崩れない。従って、深い棚での釣りも可能である。一方、指先で柔らかく押し固めると、5分程度で、40%くらいが溶解して崩壊した。
一方、指先で強く押し固めず、釣り針につけると、間隙に水が浸入して水中で分解しやすくなり、時間の経過とともに、水中に溶けて拡散する。つまり、さし餌として機能するとともに、直ちにまき餌としても機能する。これは、押し固め方だけで、容易に変化させることができることを意味する。
(6) 本願に係る釣り餌は、つなぎ材としての米粉が溶けるとともに、アミエビなどの生餌の体液や、食塩によりたんぱく質が分解して生成されたアミノ酸などの匂い成分が水中に拡散して、集魚効果を発揮させる。もちろん、添加された匂い成分なども効果を増強する。
(7) 水中で溶けて拡散するときに、米粉は周囲を白濁させる。このように白濁することで、対象魚が底生魚や回遊魚を問わず、索餌時に煙幕のように外敵からの視界をさえぎるため、警戒心が弱まり、多様な魚種に対して釣果が向上する。
(8) 特に、黄色や赤色など、対象魚が好む色に着色してあれば、対象魚が視覚的な集魚効果が発揮される。
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 原材料となる生餌は、食いの良さからアミエビが好ましいが、対象魚の種類、入手できる原材料、価格の変動などにより適宜変更できる。
その場合は、その保存性、変色の容易さ、含有する水分量の差、生き・生・冷凍などの差を考慮して、つなぎ材、調味材の選択がなされる。
実施形態では、つなぎ材は、生餌に対して米粉が質量比1:1であったが、その比率やつなぎ材の変更は適宜なされる。
また、調味材は、実施形態では、食塩20w%、砂糖5w%であったが、食塩の量は、食塩単独であれば、10w%〜50w%の範囲で変更できる。好ましくは、保存性の点から15w%〜35w%である。また、アミエビの黒変を十分に抑制するには、20w%〜50w%が好ましい。なおアジなどの食いの良さからは食塩が35w%以下が好ましい。
一方、調味材に砂糖を単独で用いた場合は、保存性の面から25w%以上が望ましい。黒変の防止から見ると20w%でもよい。釣り餌のまとまりから考えると20w%が望ましいが、30w%を超えると粘着性感が強くなり、ユーザの使用感が悪くなる。
次に、実施例1のように、食塩20w%と砂糖5w%の場合は、釣り餌のまとまりもよく、保存性も問題なく、黒変も無かった。そして、釣果も期待通りの食いを得た。つまり、いずれも他方を補完するものであり、食塩の保存性と砂糖の黒変の抑制力が相俟って、少ない量で効果を発揮する。
実験3〜5で明らかなように、食塩10〜20W%と、砂糖5〜15%の組み合わせの範囲であれば、いずれの組み合わせでもバランスの取れた効果を発揮する。
特に好ましくは、食塩と砂糖の合計が15〜25W%の範囲が、砂糖の粘着度が過剰とならず好ましい範囲である。
従って、この実施形態に記載の釣り餌の製造方法によれば、保存性が良く取扱いが容易で、それでいて多様な使い方ができ、釣果が期待できる釣り餌を製造することができる。
1…生餌(原材料)、2…つなぎ(つなぎ材・米粉)、3…釣り餌、4…釣り針
本発明は、釣り餌及びその製造方法に係り、詳しくは、冷凍のアミエビ若しくはオキアミ由来の保存性が良く取扱いが容易で、それでいて多様な使い方ができ、釣果が期待できる釣り餌及びその製造方法に関する。
上記課題を解決するため本願が開示する第1の発明は、対象魚の生餌としての冷凍のアミエビ若しくはオキアミを解凍して水分を調整する水分調整工程と、当該水分調整された生餌と、植物由来の粉状物からなるつなぎ材とを混合する粉状物混合工程と、
微生物の増殖を抑制するために水分活性を低下させる調味材を添加する調味材混合工程と、前記生餌とつなぎ材と調味材とを混合して殻を破壊する程度に練ることでさし餌として釣り針に保持可能で、かつ水中でまき餌として拡散可能な粘度を付与させる混練工程とを備えたことを特徴とする釣り餌の製造方法である。
この製造方法は、前記調味材が少なくとも生餌とつなぎ材の合計質量の20w%を超え、かつ50w%を超えない食塩を含む。
ましくは、前記つなぎ材は、うるち米を粉砕した米粉である。
た、前記調味材は食塩が生餌とつなぎ材の合計質量の10〜20w%で、砂糖が5〜15w%の組み合わせの範囲であり、かつ食塩と砂糖の合計が生餌とつなぎ材の合計質量の15〜25w%の範囲であることがより好ましい。

Claims (7)

  1. 対象魚の餌としての所定の大きさとした生餌の水分を調整する水分調整工程と、
    当該水分調整された生餌と、植物由来の粉状物からなるつなぎ材とを混合する粉状物混合工程と、
    微生物の増殖を抑制するために水分活性を低下させる調味材を添加する調味材混合工程と、
    前記生餌とつなぎ材と調味材とを混合して練ることでさし餌として釣り針に保持可能で、かつ水中でまき餌として拡散可能な粘度を付与させる混練工程と
    を備えたことを特徴とする釣り餌の製造方法。
  2. 前記生餌はエビ綱に属するオキアミ類若しくはエビ類からなり、
    前記調味材が少なくとも生餌とつなぎ材の合計質量の10〜50w%の食塩を含むことを特徴とする請求項1に記載の釣り餌の製造方法。
  3. 前記生餌は、冷凍のアミエビ若しくはオキアミを解凍して、脱水することで水分調整を行うことを特徴とする請求項2に記載の釣り餌の製造方法。
  4. 前記つなぎ材は、うるち米を粉砕した米粉であることを特徴とした請求項1又は請求項2に記載の釣り餌の製造方法。
  5. 前記調味材は、生餌とつなぎ材の合計質量の30w%以下の粉糖を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の釣り餌の製造方法。
  6. 請求項2に記載の釣り餌の製造方法により製造した釣り餌。
  7. 前記調味材は、食塩が生餌とつなぎ材の合計質量の10〜20w%の範囲であり、粉糖が5〜15%の組み合わせの範囲であり、
    かつ食塩と砂糖の合計質量が生餌とつなぎ材の合計質量の15〜25w%の範囲であることを特徴とする請求項6に記載の釣り餌。
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