JP2014118444A - ポリオレフィン微多孔膜、ポリオレフィン微多孔膜の製造方法及びリチウムイオン電池用セパレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】リチウムイオン電池用セパレータ、精密濾過膜、コンデンサー用セパレータ、燃料電池用材料等として好適な改質ポリオレフィン微多孔膜を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン微多孔膜の片表面又は両表面に、下記の有機シリコーン微粒子と有機バインダーとから成る耐熱多孔質層を形成した。有機シリコーン微粒子:ポリシロキサン架橋構造体から成る有機シリコーン微粒子であって、縦断面で見て内側小劣弧11とこれを覆う外側大劣弧21と双方の端部間に渡る稜線31とで形成された、全体としては中空半球状体様を呈し、内側小劣弧11の端部間の幅(W1)の平均値が0.01〜8μm、外側大劣弧21の端部間の幅(W2)の平均値が0.05〜10μm、且つ外側大劣弧21の高さ(H)の平均値が0.015〜8μmの範囲内にある
【選択図】図1
【解決手段】ポリオレフィン微多孔膜の片表面又は両表面に、下記の有機シリコーン微粒子と有機バインダーとから成る耐熱多孔質層を形成した。有機シリコーン微粒子:ポリシロキサン架橋構造体から成る有機シリコーン微粒子であって、縦断面で見て内側小劣弧11とこれを覆う外側大劣弧21と双方の端部間に渡る稜線31とで形成された、全体としては中空半球状体様を呈し、内側小劣弧11の端部間の幅(W1)の平均値が0.01〜8μm、外側大劣弧21の端部間の幅(W2)の平均値が0.05〜10μm、且つ外側大劣弧21の高さ(H)の平均値が0.015〜8μmの範囲内にある
【選択図】図1
Description
本発明はポリオレフィン微多孔膜、ポリオレフィン微多孔膜の製造方法及びリチウムイオン電池用セパレータに関する。リチウムイオン電池用セパレータ、精密濾過膜、コンデンサー用セパレータ、燃料電池用材料等として、ポリオレフィン微多孔膜が使用されている。なかでも、携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータ等の小型電子機器及び自動車用蓄電池として使用されるリチウムイオン電池用のセパレータとしての使用が注目されている。本発明は、かかるポリオレフィン微多孔膜、ポリオレフィン微多孔膜の製造方法及びリチウムイオン電池用セパレータの改良に関する。
従来、前記のようなポリオレフィン微多孔膜として、ポリオレフィン微多孔膜を形成するポリオレフィンのフィルム層中に各種の無機又は有機の微粒子を含有させたものが知られており(例えば特許文献1〜8参照)、またポリオレフィン微多孔膜の表面に各種の無機又は有機の微粒子と有機バインダー等からなる耐熱多孔質層を形成したものも知られている(例えば特許文献9参照)。
ところが、特許文献1〜8のような従来手段には、ポリオレフィンのフィルム層の成形工程にて微粒子をフィルム層中に含有させておき、ポリオレフィン微多孔膜を製造することになるため、その製造が誠に厄介という問題があり、また特許文献9のような従来手段には、実際のところ、ポリオレフィン微多孔膜の表面に形成した耐熱多孔質層が剥離し易く、依然として熱収縮率も高いという問題がある。
本発明が解決しようとする課題は、ポリオレフィン微多孔膜が本来的に有しているシャットダウン機能を阻害することなく、またポリオレフィン微多孔膜の表面に形成した耐熱多孔質層が剥離することなく、更に高温時にも熱収縮率が充分に低く、したがってリチウムイオン電池用セパレータ、精密濾過膜、コンデンサー用セパレータ、燃料電池用材料等として好適な改質ポリオレフィン微多孔膜を提供する処にある。
本発明者は、前記の課題を解決するべく研究した結果、ポリオレフィン微多孔膜の片表面又は両表面に特定の有機シリコーン微粒子と有機バインダーとから成る耐熱多孔質層を形成させた改質ポリオレフィン微多孔膜が正しく好適であることを見出した。
すなわち本発明は、ポリオレフィン微多孔膜の片表面又は両表面に下記の有機シリコーン微粒子と有機バインダーとから成る耐熱多孔質層を形成して成ることを特徴とする改質ポリオレフィン微多孔膜、かかるポリオレフィン微多孔膜の製造方法及びかかるポリオレフィン微多孔膜から成るリチウムイオン電池用セパレータに係る。
有機シリコーン微粒子:ポリシロキサン架橋構造体から成る有機シリコーン微粒子であって、縦断面で見て内側小劣弧(11)とこれを覆う外側大劣弧(21)と双方の端部間に渡る稜線(31)とで形成された、全体としては中空半球状体様を呈し、内側小劣弧(11)の端部間の幅(W1)の平均値が0.01〜8μm、外側大劣弧(21)の端部間の幅(W2)の平均値が0.05〜10μm、且つ外側大劣弧(21)の高さ(H)の平均値が0.015〜8μmの範囲内にある有機シリコーン微粒子
本発明に係る改質ポリオレフィン微多孔膜(以下、本発明の改質微多孔膜という)は、ポリオレフィン微多孔膜の片表面又は両表面に前記した有機シリコーン微粒子と有機バインダーから成る耐熱多孔質層を形成したものである。かかる有機シリコーン微粒子はポリシロキサン架橋構造体から成るものであって、縦断面で見て内側小劣弧(11)とこれを覆う外側大劣弧(21)と双方の端部間に渡る稜線(31)とで形成された、全体として中空半球状体様を呈するものである。言い替えれば、中空球状体を不均等に2分割したときの小分割部側の形状を呈するものである。そして内側小劣弧(11)の端部間の幅(W1)の平均値が0.01〜8μm、外側大劣弧(21)の端部間の幅(W2)の平均値が0.05〜10μm、且つ外側大劣弧(21)の高さ(H)の平均値が0.015〜8μmの範囲内にあるものであるが、内側小劣弧(11)の端部間の幅(W1)の平均値が0.02〜6μm、外側大劣弧(21)の端部間の幅(W2)の平均値が0.06〜8μm、且つ外側大劣弧(21)の高さ(H)の平均値が0.03〜6μmの範囲内にあるものが好ましい。本発明の改質微多孔膜において、内側小劣弧(11)の端部間の幅(W1)の平均値、外側大劣弧(21)の端部間の幅(W2)の平均値、及び外側大劣弧(21)の高さ(H)の平均値はいずれも、有機シリコーン微粒子の走査電子顕微鏡像から抽出した任意の100個についてそれぞれを測定し、その平均を求めた値である。
また有機シリコーン微粒子は、耐熱性の高いポリシロキサン架橋構造体から成るものが好ましく、下記の化1で示されるシロキサン単位と化2で示されるシロキサン単位とから構成されたものが好ましい。
化2において、
R1:ケイ素原子に直結した炭素原子を有する有機基
R1:ケイ素原子に直結した炭素原子を有する有機基
化2で示されるシロキサン単位において、化2中のR1は、いずれもケイ素原子に直結した炭素原子を有する有機基であって、反応性基でない有機基又は反応性基を有しない有機基である場合と、反応性基である有機基又は反応性基を有する有機基である場合とがあるが、反応性基である有機基又は反応性基を有する有機基が好ましい。
化2中のR1において、反応性基でない有機基又は反応性基を有しない有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基等が挙げられるが、これらのうちではメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基が好ましく、メチル基がより好ましい。化2中のR1がかかる有機基である場合、式2で示されるシロキサン単位のうちで好ましいシロキサン単位としては、メチルシロキサン単位、エチルシロキサン単位、プロピルシロキサン単位、ブチルシロキサン単位、フェニルシロキサン単位等が挙げられる。
化2中のR1において、反応性基である有機基又は反応性基を有する有機基としては、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基、アルケニル基、メルカプトアルキル基、アミノアルキル基、ハロアルキル基、グリセロキシ基、ウレイド基、シアノ基等が挙げられるが、なかでも2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基等のエポキシ基を有するアルキル基、3−メタクロキシプロピル基、3−アクリロキシプロピル基等の(メタ)アクリロキシ基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等のアルケニル基、メルカプトプロピル基、メルカプトエチル基等のメルカプトアルキル基、3−(2−アミノエチル)アミノプロピル基、3−アミノプロピル基、N,N−ジメチルアミノプロピル基等のアミノアルキル基が好ましい。化2中のR1がかかる有機基である場合、化2で示されるシロキサン単位としては、1)3−グリシドキシプロピルシロキサン単位、3−グリシドキシプロピルシロキサン単位、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルシロキサン単位、2−グリシドキシエチルシロキサン単位等のエポキシ基を有するシロキサン単位、2)3−メタクロキシプロピルシロキサン単位、3−アクリロキシプロピルシロキサン単位等の(メタ)アクリロキシ基を有するシロキサン単位、3)ビニルシロキサン単位、アリルシロキサン単位、イソプロペニルシロキサン単位等のアルケニル基を有するシロキサン単位、4)メルカプトプロピルシロキサン単位、メルカプトエチルシロキサン単位等のメルカプトアルキル基を有するシロキサン単位、5)3−アミノプロピルシロキサン単位、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルシロキサン単位、N,N−ジメチルアミノプロピルシロキサン単位、N,N−ジエチルアミノプロピルシロキサン単位、N,N−ジメチルアミノエチルシロキサン単位等のアミノアルキル基を有するシロキサン単位、6)3−クロロプロピルシロキサン単位、トリフルオロプロピルシロキサン単位等のハロアルキル基を有するシロキサン単位、7)3−グリセロキシプロピルシロキサン単位、2−グリセロキシエチルシロキサン単位等のグリセロキシ基を有するシロキサン単位、8)3−ウレイドプロピルシロキサン単位、2−ウレイドエチルシロキサン単位等のウレイド基を有するシロキサン単位、9)シアノプロピルシロキサン単位、シアノエチルシロキサン単位等のシアノ基を有するシロキサン単位等が挙げられるが、なかでもエポキシ基を有するシロキサン単位、(メタ)アクリロキシ基を有するシロキサン単位、アルケニル基を有するシロキサン単位、メルカプトアルキル基を有するシロキサン単位、アミノアルキル基を有するシロキサン単位が好ましい。
ポリシロキサン架橋構造体を前記したようなシロキサン単位で構成する場合、双方のシロキサン単位の構成割合は、化1で示されるシロキサン単位/化2で示されるシロキサン単位=30/70〜50/50(モル比)とするのが好ましい。
前記した有機シリコーン微粒子それ自体は公知の方法で製造することができ、例えば特開2003−128788号公報に記載された方法で製造することができる。
本発明の改質微多孔膜に供する有機バインダーとしては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA、例えば酢酸ビニル由来の構成単位が20〜35モル%のもの)、エチレン−アクリル酸系共重合体(例えばエチレン−エチルアクリレート共重合体)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリN−ビニルアセトアミド、アクリル酸ブチルを主成分とした架橋アクリル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂等が挙げられるが、なかでもエチレン−アクリル酸系共重合体、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びスチレン−ブタジエンゴム(SBR)が好ましい。これらの有機バインダーは1種を単独で使用することができるが、2種以上を混合で併用することもできる。
本発明の改質微多孔膜において、ポリオレフィン微多孔膜の片表面又は両表面に形成した耐熱多孔質層は、前記した有機シリコーン微粒子と前記した有機バインダーとから成るものである。耐熱多孔質層中における有機シリコーン微粒子の含有割合は、特に制限されないが、80〜98質量%とするのが好ましい。有機シリコーン微粒子の含有割合が低くなり過ぎると、耐熱多孔質層の空孔が有機バインダーによって埋められるようになり、セパレーターとしての機能を低下させる。
本発明の改質微多孔膜は、ポリオレフィン微多孔膜の片表面又は両表面に前記した耐熱多孔質層を形成したものである。ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等が挙げられるが、ポリエチレン又はエチレン−プロピレン共重合体が好ましい。本発明の改質微多孔膜は、100〜140℃において、その孔が閉鎖するセパレータとしてのシャットダウン機能を有しており、その機能をより良く発現するためには、前記のようなポリオレフィンが好ましい。
本発明の改質微多孔膜に供するポリオレフィン微多孔膜それ自体は、一つのフィルム層から成るものでも、又は二つ以上のフィルム層が積層されたものでもよい。かかるポリオレフィン微多孔膜としては、溶剤抽出法、乾式延伸法又は湿式延伸法等の公知の手段により作製されたイオン透過性のポリオレフィン製の微多孔膜を用いることができる。
本発明の改質微多孔膜において、ポリオレフィン微多孔膜の厚みA(μm)と耐熱多孔質層の厚みB(μm)との比A/Bに特に制限はないが、A/B=1〜5であることが好ましい。ポリオレフィン微多孔膜が二つ以上のフィルム層が積層されたものである場合には、A(μm)はそれらのフィルム層の合計厚みであり、かかるポリオレフィン微多孔膜の両表面に耐熱多孔質層を形成したものである場合には、B(μm)は両表面の耐熱多孔質層の合計厚みである。ポリオレフィン微多孔膜の厚みA(μm)に特に制限はないが、10〜20μmであることが好ましい。耐熱多孔質層の厚みB(μm)にも特に制限はないが、10〜100μmであることが好ましい。ポリオレフィン微多孔膜の厚みA(μm)が薄すぎると、リチウムイオン電池の温度がポリオレフィンの融点以上に達してもその空孔を充分塞ぐことができ難くなり、電気化学反応の進行を抑制するシャットダウン機能が低下する傾向があり、逆にポリオレフィン微多孔膜の厚みA(μm)が厚すぎると、リチウムイオン電池の温度が上昇したときの微多孔膜の熱収縮を抑制する効果が低下する傾向がある。また耐熱多孔質層の厚みB(μm)が薄すぎると、熱収縮を抑制する効果が低下する傾向があり、逆に厚すぎると、リチウムイオン電池用セパレータ全体の厚みの増大を引き起こしてしまう。
本発明の改質微多孔膜は、下記の第1工程及び第2工程を経ることにより得ることができる。
第1工程:前記した有機シリコーン微粒子と有機バインダーとの混合物を該有機バインダーを溶解する溶媒で希釈してスラリーを調製する工程。
第2工程:ポリオレフィン微多孔膜の片表面又は両表面に、第1工程で調製したスラリーを塗布した後、乾燥し、耐熱多孔質層を形成する工程。
第1工程:前記した有機シリコーン微粒子と有機バインダーとの混合物を該有機バインダーを溶解する溶媒で希釈してスラリーを調製する工程。
第2工程:ポリオレフィン微多孔膜の片表面又は両表面に、第1工程で調製したスラリーを塗布した後、乾燥し、耐熱多孔質層を形成する工程。
第1工程では通常、有機バインダーの溶媒希釈溶液に有機シリコーン微粒子を加え、高粘度用攪拌機により充分に攪拌し、スラリーを調製する。
有機バインダーを溶解する溶媒の種類に特に制限はないが、有機バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いる場合にはN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いるのが好ましく、また有機バインダーとしてスチレン−ブタジエンゴム(SBR)を用いる場合にはイオン交換水を用いるのが好ましい。
第2工程では通常、第1工程で調製したスラリーを、バーコーターを用いてポリオレフィン微多孔膜の基材の片表面又は両表面に塗布した後、乾燥して、耐熱多孔質層を形成する。
本発明のリチウムイオン電池用セパレータは、本発明の改質微多孔膜から成ることを特徴とし、機械的強度及び高温時の熱安定性に優れ、良好なシャットダウン特性を有する。
本発明によれば、ポリオレフィン微多孔膜が本来的に有しているシャットダウン機能を阻害することなく、またポリオレフィン微多孔膜の表面に形成した耐熱多孔質層が剥離することなく、更に高温時にも熱収縮率が充分に低く、したがってリチウムイオン電池用セパレータ、精密濾過膜、コンデンサー用セパレータ、燃料電池用材料として好適な改質ポリオレフィン微多孔膜を提供することができる。
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、%は質量%を意味する。
図1は本発明で用いた有機シリコーン微粒子を例示する拡大縦断面図である。図示した有機シリコーン微粒子(10)は、ポリシロキサン架橋構造体から成る有機シリコーン微粒子であって、縦断面で見て内側小劣弧(11)とこれを覆う外側大劣弧(21)と双方の端部間に渡る稜線(31)とで形成された、全体としては中空半球状体様を呈し、内側小劣弧(11)の端部間の幅(W1)の平均値が0.01〜8μm、外側大劣弧(21)の端部間の幅(W2)の平均値が0.05〜10μm、且つ外側大劣弧(21)の高さ(H)の平均値が0.015〜8μmの範囲内にある有機シリコーン微粒子である。
試験区分1(有機シリコーン微粒子の合成)
・有機シリコーン微粒子(P−1)の合成
反応容器にイオン交換水700gを仕込み、48%水酸化ナトリウム水溶液0.3gを添加して水溶液とした。この水溶液にメチルトリメトキシシラン81.6g(0.6モル)及びテトラエトキシシラン83.2g(0.4モル)を添加し、温度を13〜15℃に保ちながら1時間加水分解反応を行ない、更に10%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液3gを添加し、同温度で3時間加水分解反応を行なった。約4時間でシラノール化合物を含有する透明な反応物を得た。次いで得られた反応物の温度を30〜80℃に保ちながら5時間縮合反応を行なって、有機シリコーン微粒子を含有する水性懸濁液を得た。この水性懸濁液を孔径5μmのアドバンテック社製のメンブランフィルターに通した後、通過液状部を遠心分離機に供して有機シリコーン微粒子を分離し、水洗して有機シリコーン微粒子を得た。有機シリコーン微粒子をさらに水洗し、150℃で5時間熱風乾燥を行なって、有機シリコーン微粒子(P−1)52.0gを得た。
・有機シリコーン微粒子(P−1)の合成
反応容器にイオン交換水700gを仕込み、48%水酸化ナトリウム水溶液0.3gを添加して水溶液とした。この水溶液にメチルトリメトキシシラン81.6g(0.6モル)及びテトラエトキシシラン83.2g(0.4モル)を添加し、温度を13〜15℃に保ちながら1時間加水分解反応を行ない、更に10%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液3gを添加し、同温度で3時間加水分解反応を行なった。約4時間でシラノール化合物を含有する透明な反応物を得た。次いで得られた反応物の温度を30〜80℃に保ちながら5時間縮合反応を行なって、有機シリコーン微粒子を含有する水性懸濁液を得た。この水性懸濁液を孔径5μmのアドバンテック社製のメンブランフィルターに通した後、通過液状部を遠心分離機に供して有機シリコーン微粒子を分離し、水洗して有機シリコーン微粒子を得た。有機シリコーン微粒子をさらに水洗し、150℃で5時間熱風乾燥を行なって、有機シリコーン微粒子(P−1)52.0gを得た。
有機シリコーン微粒子(P−1)について、以下の走査型電子顕微鏡による観察、元素分析、ICP発行分光分析、FT−IRスペクトル分析を行なったところ、この有機シリコーン微粒子(P−1)は、縦断面で見て内側小劣弧(11)とこれを覆う外側大劣弧(21)と双方の端部間に渡る稜線(31)とで形成された、全体としては中空半球状体様を呈し、内側小劣弧(11)の端部間の幅(W1)の平均値が2.64μm、外側大劣弧(21)の端部間の幅(W2)の平均値が3.02μm、且つ外側大劣弧(21)の高さ(H)の平均値が1.43μmの有機シリコーン微粒子であって、式1で示されるシロキサン単位/式2で示されるシロキサン単位=40/60(モル比)の割合で有するポリシロキサン架橋構造体から成るものであった。
結合シロキサン単位の分析:有機シリコーン微粒子(P−1)5gを精秤し、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液250mlに加え、有機シリコーン微粒子(P−1)中の加水分解性基を抽出処理した。抽出処理液から超遠心分離により有機シリコーン微粒子を分離し、分離した有機シリコーン微粒子を水洗した後、200℃で5時間乾燥したものを元素分析、ICP発光分光分析、FT−IRスペクトル分析に供して、全炭素含有量及びケイ素含有量を測定すると共に、ケイ素−炭素結合、ケイ素−酸素−ケイ素結合を確認した。これらの分析値、固体の29SiについてCP/MASのNMRスペクトルの積分値より化1で示されたシロキサン単位/化2で示されるシロキサン単位の割合を算出した。
・有機シリコーン微粒子(P−2)〜(P−8)の合成
有機シリコーン微粒子(P−1)と同様にして、有機シリコーン微粒子(P−2)〜(P−8)を合成し、同様の観察、測定及び分析を行ない、結果を表1及び表2に示した。
有機シリコーン微粒子(P−1)と同様にして、有機シリコーン微粒子(P−2)〜(P−8)を合成し、同様の観察、測定及び分析を行ない、結果を表1及び表2に示した。
表1において、
S−1:テトラエトキシシランから形成されたシロキサン単位
S−2:テトラメトキシシランから形成されたシロキサン単位
S−3:メチルトリメトキシシランから形成されたシロキサン単位
S−4:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランから形成されたシロキサン単位
S−5:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランから形成されたシロキサン単位
S−6:3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランから形成されたシロキサン単位
S−7:ビニルトリメトキシシランから形成されたシロキサン単位
S−1:テトラエトキシシランから形成されたシロキサン単位
S−2:テトラメトキシシランから形成されたシロキサン単位
S−3:メチルトリメトキシシランから形成されたシロキサン単位
S−4:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランから形成されたシロキサン単位
S−5:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランから形成されたシロキサン単位
S−6:3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランから形成されたシロキサン単位
S−7:ビニルトリメトキシシランから形成されたシロキサン単位
試験区分2(改質ポリオレフィン微多孔膜の製造)
・実施例1
有機バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(アルドリッチ社製のPVDF、分子量534000)のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(固形分15%)600gと、NMP1000gとを容器に入れ、均一に溶解するまで室温で攪拌した。この溶液に有機シリコーン微粒子(P−1)500gを加えて、高粘度用攪拌機によりよく攪拌して均一なスラリーを調製した。ポリオレフィン微多孔膜(厚み12μm、空孔率40%、平均孔径0.4μm、150℃での熱収縮率68%のポリエチレン微多孔膜)の両表面に、前記のスラリーをバーコーターによって塗布し、乾燥して、片表面の厚みが3μmの耐熱多孔質層を形成し、全体の厚みが18μmの改質ポリオレフィン微多孔膜を得た。この改質ポリオレフィン微多孔膜の耐熱多孔質層における有機シリコーン微粒子の含有率は85%であった。得られた改質ポリオレフィン微多孔膜の内容を表3に示した。
・実施例1
有機バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(アルドリッチ社製のPVDF、分子量534000)のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(固形分15%)600gと、NMP1000gとを容器に入れ、均一に溶解するまで室温で攪拌した。この溶液に有機シリコーン微粒子(P−1)500gを加えて、高粘度用攪拌機によりよく攪拌して均一なスラリーを調製した。ポリオレフィン微多孔膜(厚み12μm、空孔率40%、平均孔径0.4μm、150℃での熱収縮率68%のポリエチレン微多孔膜)の両表面に、前記のスラリーをバーコーターによって塗布し、乾燥して、片表面の厚みが3μmの耐熱多孔質層を形成し、全体の厚みが18μmの改質ポリオレフィン微多孔膜を得た。この改質ポリオレフィン微多孔膜の耐熱多孔質層における有機シリコーン微粒子の含有率は85%であった。得られた改質ポリオレフィン微多孔膜の内容を表3に示した。
・実施例2及び3
実施例1の改質ポリオレフィン微多孔膜と同様にして、実施例2及び3の改質ポリオレフィン微多孔膜を得た。これらの内容を表3にまとめて示した。
実施例1の改質ポリオレフィン微多孔膜と同様にして、実施例2及び3の改質ポリオレフィン微多孔膜を得た。これらの内容を表3にまとめて示した。
・実施例4
有機バインダーとしてスチレン−ブタジエンゴムのエマルジョン(JSR株式会社製のSBRエマルジョン2108、固形分40%)100gとイオン交換水1500gとを容器に入れ、均一に分散するまで室温で攪拌した。この分散液に有機シリコーン微粒子(P−4)400gを加えて、高粘度用攪拌機によりよく攪拌して均一なスラリーを調製した。ポリオレフィン微多孔膜(厚み12μm、空孔率40%、平均孔径0.4μm、150℃での熱収縮率68%のポリエチレン微多孔膜)の両表面に、前記のスラリーをバーコーターによって塗布し、乾燥して、片表面の厚みが3μmの耐熱多孔質層を形成し、全体の厚みが18μmの改質ポリオレフィン微多孔膜を得た。この改質ポリオレフィン微多孔膜の耐熱多孔質層における有機シリコーン微粒子の含有率は91%であった。得られた改質ポリオレフィン微多孔膜の内容を表3に示した。
有機バインダーとしてスチレン−ブタジエンゴムのエマルジョン(JSR株式会社製のSBRエマルジョン2108、固形分40%)100gとイオン交換水1500gとを容器に入れ、均一に分散するまで室温で攪拌した。この分散液に有機シリコーン微粒子(P−4)400gを加えて、高粘度用攪拌機によりよく攪拌して均一なスラリーを調製した。ポリオレフィン微多孔膜(厚み12μm、空孔率40%、平均孔径0.4μm、150℃での熱収縮率68%のポリエチレン微多孔膜)の両表面に、前記のスラリーをバーコーターによって塗布し、乾燥して、片表面の厚みが3μmの耐熱多孔質層を形成し、全体の厚みが18μmの改質ポリオレフィン微多孔膜を得た。この改質ポリオレフィン微多孔膜の耐熱多孔質層における有機シリコーン微粒子の含有率は91%であった。得られた改質ポリオレフィン微多孔膜の内容を表3に示した。
・実施例5及び6
実施例4の改質ポリオレフィン微多孔膜と同様にして、実施例5及び6の改質ポリオレフィン微多孔膜を得た。これらの内容を表3にまとめて示した。
実施例4の改質ポリオレフィン微多孔膜と同様にして、実施例5及び6の改質ポリオレフィン微多孔膜を得た。これらの内容を表3にまとめて示した。
・実施例7
メチルアクリレート0.5モル、エチルアクリレート0.5モル、N−メチロールアクリルアミド0.01モル、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート0.01モル及び水を用いて、自己架橋型のアクリル系樹脂エマルジョン(固形分40%、ガラス転移温度35℃)を乳化重合法により調製した。有機バインダーとしてこの自己架橋型アクリル系樹脂のエマルジョン(固形分40%)100gとイオン交換水1500gとを容器に入れ、均一に分散するまで室温で攪拌した。この分散液に有機シリコーン微粒子(P−7)400gを加えて、高粘度用攪拌機によりよく攪拌して均一なスラリーを調製した。ポリオレフィン微多孔膜(厚み16μm、空孔率40%、平均孔径0.4μm、150℃での熱収縮率68%のポリエチレン微多孔膜)の両表面に、前記のスラリーをバーコーターによって塗布し、乾燥して、片表面の厚みが1.6μmの耐熱多孔質層を形成し、全体の厚みが19.2μmの改質ポリオレフィン微多孔膜を得た。この改質ポリオレフィン微多孔膜の耐熱多孔質層における有機シリコーン微粒子の含有率は95%であった。得られた改質ポリオレフィン微多孔膜の内容を表3に示した。
メチルアクリレート0.5モル、エチルアクリレート0.5モル、N−メチロールアクリルアミド0.01モル、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート0.01モル及び水を用いて、自己架橋型のアクリル系樹脂エマルジョン(固形分40%、ガラス転移温度35℃)を乳化重合法により調製した。有機バインダーとしてこの自己架橋型アクリル系樹脂のエマルジョン(固形分40%)100gとイオン交換水1500gとを容器に入れ、均一に分散するまで室温で攪拌した。この分散液に有機シリコーン微粒子(P−7)400gを加えて、高粘度用攪拌機によりよく攪拌して均一なスラリーを調製した。ポリオレフィン微多孔膜(厚み16μm、空孔率40%、平均孔径0.4μm、150℃での熱収縮率68%のポリエチレン微多孔膜)の両表面に、前記のスラリーをバーコーターによって塗布し、乾燥して、片表面の厚みが1.6μmの耐熱多孔質層を形成し、全体の厚みが19.2μmの改質ポリオレフィン微多孔膜を得た。この改質ポリオレフィン微多孔膜の耐熱多孔質層における有機シリコーン微粒子の含有率は95%であった。得られた改質ポリオレフィン微多孔膜の内容を表3に示した。
・実施例8
実施例7の改質ポリオレフィン微多孔膜と同様にして、実施例8の改質ポリオレフィン微多孔膜を得た。その内容を表3に示した。
実施例7の改質ポリオレフィン微多孔膜と同様にして、実施例8の改質ポリオレフィン微多孔膜を得た。その内容を表3に示した。
・実施例9
有機バインダーとしてスチレン−ブタジエンゴムのエマルジョン(JSR株式会社製のSBRエマルジョン2108、固形分40%)100gとイオン交換水1500gとを容器に入れ、均一に分散するまで室温で攪拌した。この分散液に有機シリコーン微粒子(P−1)400gを加えて、高粘度用攪拌機によりよく攪拌して均一なスラリーを調製した。ポリオレフィン微多孔膜(厚み12μm、空孔率40%、平均孔径0.4μm、150℃での熱収縮率68%のポリエチレン微多孔膜)の片表面に、前記のスラリーをバーコーターによって塗布し、乾燥して厚みが8μmの耐熱多孔質層を形成し、全体の厚みが20μmの改質ポリオレフィン微多孔膜を得た。この改質ポリオレフィン微多孔膜の耐熱多孔質層における有機シリコーン微粒子の含有率は91%であった。得られた改質ポリオレフィン微多孔膜の内容を表3に示した。
有機バインダーとしてスチレン−ブタジエンゴムのエマルジョン(JSR株式会社製のSBRエマルジョン2108、固形分40%)100gとイオン交換水1500gとを容器に入れ、均一に分散するまで室温で攪拌した。この分散液に有機シリコーン微粒子(P−1)400gを加えて、高粘度用攪拌機によりよく攪拌して均一なスラリーを調製した。ポリオレフィン微多孔膜(厚み12μm、空孔率40%、平均孔径0.4μm、150℃での熱収縮率68%のポリエチレン微多孔膜)の片表面に、前記のスラリーをバーコーターによって塗布し、乾燥して厚みが8μmの耐熱多孔質層を形成し、全体の厚みが20μmの改質ポリオレフィン微多孔膜を得た。この改質ポリオレフィン微多孔膜の耐熱多孔質層における有機シリコーン微粒子の含有率は91%であった。得られた改質ポリオレフィン微多孔膜の内容を表3に示した。
・比較例1〜5
実施例1の改質ポリオレフィン微多孔膜と同様にして、比較例1〜5の改質ポリオレフィン微多孔膜を得た。それらの内容を表3にまとめて示した。尚、比較例5は有機シリコーン微粒子を用いなかった例である。
実施例1の改質ポリオレフィン微多孔膜と同様にして、比較例1〜5の改質ポリオレフィン微多孔膜を得た。それらの内容を表3にまとめて示した。尚、比較例5は有機シリコーン微粒子を用いなかった例である。
表3において、
R−1:ポリメタクリル酸メチル系架橋球状微粒子(日本触媒社製の商品名エポスターMA−1002、平均粒子径2〜3μm)
R−2:アモルファス球状シリカ微粒子(日本触媒社製の商品名シーホスターKE−P30、平均粒子径0.27〜0.36μm)
R−3:ポリスチレン球状微粒子(総研化学社製の商品名SXシリーズ、平均粒子径3.5μm)
R−4:球状有機シリコーン微粒子(竹本油脂社製の商品名パイオニンX−112、平均粒子径1.2μm)
R−1:ポリメタクリル酸メチル系架橋球状微粒子(日本触媒社製の商品名エポスターMA−1002、平均粒子径2〜3μm)
R−2:アモルファス球状シリカ微粒子(日本触媒社製の商品名シーホスターKE−P30、平均粒子径0.27〜0.36μm)
R−3:ポリスチレン球状微粒子(総研化学社製の商品名SXシリーズ、平均粒子径3.5μm)
R−4:球状有機シリコーン微粒子(竹本油脂社製の商品名パイオニンX−112、平均粒子径1.2μm)
試験区分3(改質ポリオレフィン微多孔膜の評価)
試験区分2で製造した改質ポリオレフィン微多孔膜を以下の方法で測定乃至評価し、結果を表3及び表4にまとめて示した。
・厚み:改質ポリオレフィン微多孔膜の縦断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により測定した。
・ガーレー値(加熱前):JISP−8117に準拠し、ガーレー式透気度計(東洋精機製作所社製の商品名G−B2)を用い、室温で改質ポリオレフィン微多孔膜のガーレー値を測定した。
・ガーレー値(3倍上昇時温度、℃):前記した室温下でのガーレー値測定後に、80℃の恒温槽中に改質ポリオレフィン微多孔膜を10分間静置した後、恒温槽から取り出して冷却し、同様に室温下でガーレー値を測定した。以後、5℃刻みで150℃まで恒温槽の温度を上昇させ、加熱後のガーレー値を測定した。加熱後のガーレー値が、加熱前の3倍以上になるときの温度を求めた。
・耐熱多孔質層の密着性:改質ポリオレフィン微多孔膜の耐熱多孔質層上にセロテープを貼り付けた後、該セロテープを剥離し、ポリオレフィン微多孔膜上に耐熱多孔質層が残留している程度を目視で観察し、以下の基準で評価した。
○:耐熱多孔質層が全く破損されていない。
△:耐熱多孔質層が一部破損されている。
×:耐熱多孔質層が完全に破損されている。
・熱収縮率:改質ポリオレフィン微多孔膜から120mm×120mm角の試料を切り出し、この試料に100mm間隔の対の印を3箇所、油性ペンでつけた。A4サイズのコピー用紙で試料を挟み、コピー用紙の側辺をホッチキスで綴じた。これを150℃のオーブン中に水平に置き1時間放置した。その後、空冷し、印間の長さ(mm)を測定した。3箇所の平均値より、下記の数1から、熱収縮率を算出した。
試験区分2で製造した改質ポリオレフィン微多孔膜を以下の方法で測定乃至評価し、結果を表3及び表4にまとめて示した。
・厚み:改質ポリオレフィン微多孔膜の縦断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により測定した。
・ガーレー値(加熱前):JISP−8117に準拠し、ガーレー式透気度計(東洋精機製作所社製の商品名G−B2)を用い、室温で改質ポリオレフィン微多孔膜のガーレー値を測定した。
・ガーレー値(3倍上昇時温度、℃):前記した室温下でのガーレー値測定後に、80℃の恒温槽中に改質ポリオレフィン微多孔膜を10分間静置した後、恒温槽から取り出して冷却し、同様に室温下でガーレー値を測定した。以後、5℃刻みで150℃まで恒温槽の温度を上昇させ、加熱後のガーレー値を測定した。加熱後のガーレー値が、加熱前の3倍以上になるときの温度を求めた。
・耐熱多孔質層の密着性:改質ポリオレフィン微多孔膜の耐熱多孔質層上にセロテープを貼り付けた後、該セロテープを剥離し、ポリオレフィン微多孔膜上に耐熱多孔質層が残留している程度を目視で観察し、以下の基準で評価した。
○:耐熱多孔質層が全く破損されていない。
△:耐熱多孔質層が一部破損されている。
×:耐熱多孔質層が完全に破損されている。
・熱収縮率:改質ポリオレフィン微多孔膜から120mm×120mm角の試料を切り出し、この試料に100mm間隔の対の印を3箇所、油性ペンでつけた。A4サイズのコピー用紙で試料を挟み、コピー用紙の側辺をホッチキスで綴じた。これを150℃のオーブン中に水平に置き1時間放置した。その後、空冷し、印間の長さ(mm)を測定した。3箇所の平均値より、下記の数1から、熱収縮率を算出した。
表4の結果からも明らかなように、本発明の改質微多孔膜は、低温〜高温にわたって優れたシャットダウン機能と形状安定性とを兼備しており、有機シリコーン微粒子を含有する耐熱微多孔層の機械的強度にも優れていることがわかる。
10 有機シリコーン微粒子
11 内側小劣弧
21 外側大劣弧
31 稜線
W1 内側小劣弧の端部間の幅
W2 外側大劣弧の端部間の幅
H 外側大劣弧の高さ
11 内側小劣弧
21 外側大劣弧
31 稜線
W1 内側小劣弧の端部間の幅
W2 外側大劣弧の端部間の幅
H 外側大劣弧の高さ
Claims (9)
- ポリオレフィン微多孔膜の片表面又は両表面に、下記の有機シリコーン微粒子と有機バインダーとから成る耐熱多孔質層を形成して成ることを特徴とする改質ポリオレフィン微多孔膜。
有機シリコーン微粒子:ポリシロキサン架橋構造体から成る有機シリコーン微粒子であって、縦断面で見て内側小劣弧(11)とこれを覆う外側大劣弧(21)と双方の端部間に渡る稜線(31)とで形成された、全体としては中空半球状体様を呈し、内側小劣弧(11)の端部間の幅(W1)の平均値が0.01〜8μm、外側大劣弧(21)の端部間の幅(W2)の平均値が0.05〜10μm、且つ外側大劣弧(21)の高さ(H)の平均値が0.015〜8μmの範囲内にある有機シリコーン微粒子 - 有機シリコーン微粒子が、化2中のR1が炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基である場合のものである請求項2記載の改質ポリオレフィン微多孔膜。
- 有機シリコーン微粒子が、化1で示されるシロキサン単位/化2で示されるシロキサン単位=30/70〜50/50(モル比)の構成割合で有するものである請求項2又は3記載の改質ポリオレフィン微多孔膜。
- 有機バインダーがエチレン−アクリル酸系共重合体、ポリフッ化ビニリデン及びスチレン−ブタジエンゴムから選ばれるものである請求項1〜4のいずれか一つの項記載の改質ポリオレフィン微多孔膜。
- 耐熱多孔質層中の有機シリコーン微粒子の含有割合が80〜98質量%である請求項1〜5のいずれか一つの項記載の改質ポリオレフィン微多孔膜。
- ポリオレフィン微多孔膜の厚みA(μm)が10〜20μmであり、該厚みA(μm)と耐熱多孔質層の厚みB(μm)との比が、A/B=1〜5である請求項1〜6のいずれか一つの項記載の改質ポリオレフィン微多孔膜。
- 請求項1〜7のいずれか一つの項記載の改質ポリオレフィン微多孔膜の製造方法であって、下記の第1工程及び下記の第2工程を経ることを特徴とする改質ポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
第1工程:請求項1記載の有機シリコーン微粒子と有機バインダーとの混合物を該有機バインダーを溶解する溶媒で希釈してスラリーを調製する工程。
第2工程:ポリオレフィン微多孔膜基材の片表面又は両表面に、第1工程で調製したスラリーを塗布した後、乾燥し、耐熱多孔質層を形成する工程。 - 請求項1〜7のいずれか一つの項記載の改質ポリオレフィン微多孔膜から成ることを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータ。
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