JP2014097521A - Au−Ag−Ge系はんだ合金 - Google Patents

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Abstract

【課題】 鉛を含有せず、濡れ性と信頼性に優れ、特に加工性に優れていて、且つ低コストで製造できる高温用Au系はんだ合金を提供する。
【解決手段】 Agを5.0質量%以上10.0質量%未満含有し、Geを7.0質量%以上20.0質量%以下含有し、残部がAuからなるAu−Ag−Ge系はんだ合金であって、このはんだ合金は更にNi、Sb、Cu、Pの少なくとも1種を含有してもよい。このはんだ合金は、水晶デバイス、SAWフィルター、MEMSなどの非常に高い信頼性を要求される箇所に使用することが可能である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有害なPbを含まず、非常に高い信頼性を有する高温用のAu系はんだ合金に関する。
近年、環境に有害な化学物質に対する規制がますます厳しくなってきており、この規制は電子部品などを基板に接合する目的で使用するはんだ材料に対しても例外ではない。はんだ材料には古くから鉛(Pb)が主成分として使われ続けてきたが、既にRohs指令などで鉛は規制対象物質になっている。このため、鉛を含まないはんだ(以下、鉛フリーはんだ又は無鉛はんだと称する)の開発が盛んに行われている。
電子部品を基板に接合する際に使用するはんだは、その使用限界温度によって高温用(約260℃〜400℃)と中低温用(約140℃〜230℃)とに大別され、そのうち中低温用はんだに関してはSnを主成分とするもので鉛フリーはんだが実用化されている。例えば、特許文献1にはSnを主成分とし、Agを1.0〜4.0重量%、Cuを2.0重量%以下、Niを0.5重量%以下、Pを0.2重量%以下含有する無鉛はんだ合金組成が記載されており、特許文献2にはAgを0.5〜3.5重量%、Cuを0.5〜2.0重量%含有し、残部がSnからなる合金組成の無鉛はんだが記載されている。
一方、高温用のPbフリーはんだに関しても、さまざまな機関で研究開発が行われている。例えば、特許文献3には、Biを30〜80質量%含み、溶融温度が350〜500℃のBi/Agろう材が開示されている。また、特許文献4には、Biを含む共晶合金に2元共晶合金を加え、更に添加元素を加えたはんだ合金が開示されており、このはんだ合金は4元系以上の多元系はんだではあるものの、液相線温度の調整とばらつきの減少が可能となることが示されている。
高価な高温用のPbフリーはんだ材料としては、既にAu−Sn合金やAu−Ge合金などが水晶デバイス、SAWフィルター、MEMS(微小電子機械システム)等で使用されている。例えば、特許文献5には、Au−Ge、Au−Sb又はAu−Siの板状低融点Au合金ろうを予備加熱し、次に加熱保温部を設けたプレス金型にその材料を順次送って100℃〜350℃の温度範囲でプレス加工を行うことを特徴とする板状低融点Au合金ろうのプレス加工方法について記載されている。
また、特許文献6には、電子部品のパッケージングにおいて外部リードのろう付けに用いられるろう材であって、Agが10〜35wt%、In、Ge及びGaのうち少なくとも1種類を合計で3〜15wt%、及び残部がAuのAu合金であり、且つエレクトロマイグレーションテストにおいて短絡するまでの時間が1.5時間以上であることを特徴とするエレクトロマイグレーション防止性ろう材について記載されている。
特開1999−077366号公報 特開平8−215880号公報 特開2002−160089号公報 特開2008−161913号公報 特開平3−204191号公報 特開平3−138096号公報
高温用の鉛(Pb)フリーはんだに関しては、上記引用文献以外にもさまざまな機関で開発されてはいるが、未だ低コストで汎用性のあるはんだ材料は見つかっていない。即ち、一般的に電子部品や基板には熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などの比較的耐熱温度の低い材料が多用されているため、接合時の作業温度を400℃未満、望ましくは370℃以下にする必要がある。しかしながら、例えば特許文献3に開示されているBi/Agろう材では、液相線温度が400〜700℃と高いため、接合時の作業温度も400〜700℃以上になると推測され、接合される電子部品や樹脂基板の耐熱温度を超えてしまうことになる。
また、高価なAu−Sn系はんだやAu−Ge系はんだの場合、実用化されているものの、Au系はんだは非常に高価なAuを多量に使用するため、汎用のPb系はんだやSn系はんだなどに比較して非常に高価である。そのため、主に水晶デバイス、SAWフィルター、MEMSなどの特に高い信頼性を必要とする箇所のはんだ付けに使用されているにすぎない。
加えて、Au系はんだは、非常に硬く加工し難いため、例えば、シート形状に圧延加工する際に時間がかかったり、ロールに疵のつき難い特殊な材質のものを用いたりしなければならないため、余分なコストがかかる。また、プレス成形時にも、Au系はんだの硬くて脆い性質のため、クラックやバリが発生し易く、他のはんだに比較して収率が格段に低い。ワイヤ形状に加工する場合にも似たような深刻な問題があり、非常に圧力の高い押出機を使用しても、硬いため押出速度が遅いためPb系はんだに比べて数100分の1程度の生産性しかない。
以上のような問題を含め、さまざまなAu系はんだの問題に対処すべく、上記した特許文献5や特許文献6に記載の技術が提案されている。しかしながら、特許文献5に記載のAu−Ge、Au−Sb、Au−Si等の板状(シート状)低融点Au合金ろうの素材特性は、室温においてガラス板のような脆性を示し、また方向性があるため、一般に長手方向に平行な面においては僅かな曲げに対しても破断し易く、亀裂の伝播が進み易いという欠点がある。
そこで、従来から所謂コンパウンド金型を用いてプレス加工を行ってきているが、このコンパウンド金型技術においても金型精度の問題や金型寿命の問題があるため、加熱保温部を設けたプレス金型に材料を順次送って100〜350℃の温度範囲でプレス加工する技術が行われている。しかし、所謂温間でのプレス加工でも課題は山積していると言わざるを得ない。つまり、温間プレスでは、はんだ合金の酸化が進行してしまう。Auを多く含有するはんだであっても、その他の金属、例えばGeやSnなどを含んでいるAu系はんだは、これらの元素の酸化進行を防ぐことができず、常温より高い温度でプレスしたとき表面が酸化して濡れ性が大きく低下してしまう。更に、温度が高い状態であるから常温に比べてはんだが膨張し、工夫をしても常温でのプレスに比較して形状の精度が出せない。加えて、柔らかくなったはんだは金型に張り付き易くなり、はんだが撓んだり歪んだりした状態でプレスすることになるため、バリや欠けが発生しやすくなる。
また、上記特許文献6には、既に述べたようにAgを10〜35wt%、In、Ge及びGaの少なくとも1種類を合計で3〜15wt%含有し、残部がAuのAu合金からなるエレクトロマイグレーション防止性ろう材が記載されている。そして、これらの元素の効果として、Auを主成分とすることでエレクトロマイグレーションを防止でき、Agを10〜35wt%加えるのはろう付け強度を得るためであり、またIn、Ge及びGaのうち少なくとも1種類を合計で3〜15wt%加えるのは融点を下げるためであると記載されている。
しかし、特許文献6に記載のAu合金は、Ag−28wt%CuやAg−15wt%CuのAg系ろう材との比較において、エレクトロマイグレーションの発生を防止でき、強固で安定したろう付け強度が得られるろう材として開発されている。そのため、Agの含有量が比較的多く、融点が下がって使い難いはんだ材料となり易いうえ、従来のAu−Ge合金などのAu系合金と比べて強度やエレクトロマイグレーション防止効果が十分であるとはいえなかった。
本発明は、上記した従来の事情に鑑みてなされたものであり、鉛を含有せず、低コストであって且つ加工性などの各種特性に優れ、水晶デバイス、SAWフィルターやMEMS等の非常に高い信頼性を要求される接合にも十分に使用できる高温用Au−Ag−Ge系はんだ合金を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、Au−Ag−Ge共晶組成付近、具体的には、5.0質量%以上10.0質量%未満のAgと、7.0質量%以上20.0質量%以下のGeと、残部のAuとから構成することによって、Au−Ge合金などのAu系共晶合金に比べて柔らかく、従って加工性や応力緩和性に優れ、且つ濡れ性を十分に確保し得ることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
即ち、本発明が提供するAu−Ag−Ge系はんだ合金は、Agを5.0質量%以上10.0質量%未満含有し、Geを7.0質量%以上20.0質量%以下含有し、残部がAu及び不可避不純物からなることを特徴とする。
また、上記本発明によるAu−Ag−Ge系はんだ合金は、前記Ag及びGeと共に、Ni、Sb、Cu、Pの少なくとも1種を含有することができ、Niを含有する場合その含有量は0.01質量%以上1.50質量%以下、Sbを含有する場合その含有量は0.01質量%以上21.00質量%以下、Cuを含有する場合その含有量は0.01質量%以上18.00質量%以下、Pを含有する場合その含有量は0.001質量%以上0.500質量%以下であって、残部がAu及び不可避不純物からなることを特徴とする。
本発明によれば、鉛を含有せず、加工性などの各種特性に優れ、水晶デバイス、SAWフィルター、MEMSなどの非常に高い信頼性を要求される箇所に使用することが可能な、高温用Au−Ag−Ge系はんだ合金を提供することができる。また、高価なAuの一部を主にAgで代替してAu含有量を下げることにより、はんだ合金のコストを下げることができる。従って、本発明によれば、信頼性を十分に確保できる鉛フリーの高温はんだ合金を生産性よく且つ低コストで製造できるため、工業的な貢献度は極めて高いものである。
Ni層を有するCu基板の最上面に形成されたAu層上にはんだ合金をはんだ付けした、接合性試験の実施形態を模式的に示す断面図である。
本発明のAu−Ag−Ge系はんだ合金は、Agを5.0質量%以上10.0質量%未満含有し、Geを7.0質量%以上20.0質量%以下含有し、残部がAu及び不可避不純物からなる。また、上記Ag及びGeと共に、Ni、Sb、Cu、Pの少なくとも1種を含有することができ、Niを含有する場合の含有量は0.01質量%以上1.50質量%以下、Sbを含有する場合の含有量は0.01質量%以上21.00質量%以下、Cuを含有する場合その含有量は0.01質量%以上18.00質量%以下、Pを含有する場合その含有量は0.001質量%以上0.500質量%以下であって、残部がAu及び不可避不純物からなる。
本発明のAu−Ag−Ge系はんだ合金は、コストが高いAu系はんだのコストを下げると共に、濡れ性と接合性を十分に保持し、しかも良好な加工性を得るために、Au−Ge共晶合金を基本として、Auと全率固溶し且つGeと共晶合金を作るAgを含有させたAu−Ag−Ge系合金を基本とする。このような共晶組成を有する合金を選定することにより、Au系はんだの加工性の悪さを改善すると同時にAu含有量を下げて低コスト化を図り、更にAgを選定したことによりAu系はんだと同等の濡れ性を確保することができる。
以下、本発明のAu−Ag−Ge系はんだ合金に必須の元素、及び、必要に応じて含有することができる任意の元素について、更に詳しく説明する。
<Au>
Auは本発明のはんだ合金の主成分であり、必須の元素である。Auは非常に酸化し難いため、高い信頼性が要求される電子部品類の接合には特性面で最も適している。このため、水晶デバイスやSAWフィルターなどの封止用としてAu系はんだが多用されており、本発明のはんだ合金もAuを基本成分とする。ただし、Auは非常に高価な金属であることから、コスト面からするとできるだけ使いたくない金属であるため、汎用品には使用されていない。本発明においては、接合性や信頼性は維持しながら、Auの含有量を減らすため、以下に述べるようにAgとGeを含有させる。
<Ag>
Agは本発明のはんだ合金において必須の元素である。Agを含有させることにより、Auの含有量を下げ、更に融点も下げることができる。しかも、AgはAuには及ばないものの非常に酸化し難い元素であるため、後述する含有量であれば、Au−12.5GeやAu−20Snと同等の濡れ性並びに信頼性等を得ることができる。また、AgはAuよりも酸化し易いものの、例えばAu−Ge合金におけるGeやAu−Sn合金におけるSnなどよりも格段に酸化し難いため、十分な濡れ性を確保でき、よって高い信頼性を得ることができる。
本発明のはんだ合金におけるAgの含有量は、5.0質量%以上10.0質量%未満である。Ag含有量が5.0重量%未満では、液相線温度が高くなりすぎるため、接合温度が高くなりすぎたり、液相線温度と固相線温度の差が開きすぎて溶け別れ現象を起こしてしまったりする。そのため、良好な接合ができず、要求される信頼性を得ることができない。逆にAg含有量が10.0質量%以上になると、Geを7.0質量%以上20.0質量%以下共存させる本発明のはんだ合金では、結晶粒が粗大化したりAgリッチ相の割合が多くなりすぎたりするため、加工性や応力緩和性の低下を招いてしまう。
<Ge>
Geは上記Agと同様に本発明のはんだ合金において必須の元素である。Geは、Au−12.5Geはんだが実用的に使われていることからも分かるようにAuと共晶合金を作り、固相線温度も280℃と低くできるため、この利点を活かすべく含有するものである。当然、本発明ではGeとAuの共晶合金を作る組成を基本とすることによって、加工性に優れ、高い信頼性を有するAu−Ag−Ge系合金を提供することができる。
本発明のはんだ合金におけるGeの含有量は、7.0質量%以上20.0質量%以下である。Geの含有量が7.0質量%未満であるか又は20.0質量%を超えると、いずれの場合も液相線温度が高くなりすぎるため、接合温度が高くなりすぎたり、液相線温度と固相線温度の差が開きすぎて溶け別れ現象を起こしたりする。その結果、良好な接合ができず、要求される信頼性を得ることはできなくなる。また、Geの含有量が20質量%を超えると、はんだ合金が酸化し易くなるため、良好な接合ができなくなってしまう。
<Ni>
Niは本発明のはんだ合金において必要に応じて含有してよい任意の元素である。Niを含有させる目的は結晶の微細化による加工性の向上にある。つまり、NiはAuやAgにほとんど固溶しないため、溶融後の冷却時に初晶として析出し、その初晶が核となって結晶が微細化する。そのため、はんだ合金の柔らかさが増し、加工性、応力緩和性が向上する。
本発明のはんだ合金におけるNiの含有量は、0.01質量%以上1.50質量%以下である。Niの含有量が0.01質量%未満では、少なすぎて含有させた効果が得られない。逆に1.50質量%を超えてしまうと、他の元素含有量がどのような量であっても結晶が粗大化してしまうため、加工性や応力緩和性が低下してしまう。
<Sb>
Sbは本発明のはんだ合金において必要に応じて含有してよい任意の元素である。Sbを含有させる目的は共晶合金による加工性の向上にある。即ち、SbはAuと、そしてAgとも共晶合金を作る元素であり、添加することではんだ合金を柔らかくすることが可能である。その結果、応力緩和性に優れ、高い信頼性を得ることができる。
本発明のはんだ合金におけるSbの含有量は、0.01質量%以上21.00質量%以下である。Sbの含有量が0.01質量%未満では、少なすぎるため含有による効果が得られない。逆に21.00質量%を超えると、共晶点から外れすぎてしまうため、結晶の微細化効果が得られ難くなると共に、液相線温度が高くなりすぎるため良好な接合ができなくなる。
<Cu>
Cuは本発明のはんだ合金において必要に応じて含有してよい任意の元素である。Cuを含有させる目的は固溶強化と低コスト化にある。即ち、CuはAuに固溶して転位をとめる働きをするため、合金の強度を上げることができる。ただし、Cuは柔らかい金属であるため、はんだ合金の柔軟性を下げる心配はない。Cuの更に好ましい効果として、はんだ合金の低コスト化がある。CuはAgやGeよりも安価な金属であるため、コストを下げる効果が大きい。
本発明のはんだ合金におけるCuの含有量は、要求されるはんだの特性とコストを考慮して決定すればよいが、0.01質量%以上18.00質量%以下とする。Cuの含有量が0.01質量%未満では、量が少なすぎて含有させた効果が得られない。逆に18.00質量%を超えると、金属間化合物が生成し、急激に加工性を低下させてしまう。
<P>
Pは本発明のはんだ合金において必要に応じて含有してよい任意の元素である。Pを含有させる目的は濡れ性の向上にある。Pが濡れ性を向上させるメカニズムは、還元性が強く、自ら酸化することにより、はんだ合金表面の酸化を抑制すると共に基板面を還元し、濡れ性を向上させることにある。
また、Pの含有により、接合時にボイドの発生を低減させる効果も得られる。即ち、上記のごとくPは自らが酸化しやすいため、優先的に酸化が進む。その結果、はんだ母相の酸化を防ぎ、電子部品等の接合面を還元して濡れ性を確保することができる。そして、この接合の際に、はんだや接合面表面の酸化物がなくなるため、酸化膜によって形成される隙間(ボイド)が発生し難くなり、接合性や信頼性等を向上させる。
尚、Pは、はんだ合金や基板を還元して酸化物になると気化し、雰囲気ガスに流されるため、はんだや基板等に残らない。このため、Pの残渣が信頼性等に悪影響を及ぼす可能性はなく、この点からもPは優れた元素と言える。
本発明のはんだ合金におけるPの含有量は、0.001質量%以上0.500質量%以下とする。Pは非常に還元性が強いため、微量を含有させれば濡れ性向上の効果が得られるが、0.001質量%未満では濡れ性向上の効果やボイドを低減させる効果が得られない。逆に0.500質量%を超えて含有しても、濡れ性向上の効果はあまり変わらず、過剰な含有によってPやP酸化物の気体が多量に発生し、気体によるボイド率を上げてしまったり、Pが脆弱な相を形成して偏析し、はんだ接合部を脆化して信頼性を低下させたりする恐れがある。特にワイヤなどを加工する場合に、断線の原因になりやすいことが確認されている。
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
まず、原料として、それぞれ純度99.9質量%以上のAu、Ag、Ge、Ni、Sb、Cu及びPを準備した。大きな薄片やバルク状の原料については、溶解後の合金においてサンプリング場所による組成のバラツキがなく、均一になるように留意しながら切断、粉砕等を行い、3mm以下の大きさに細かくした。これら原料から所定量を秤量して、高周波溶解炉用グラファイトるつぼに入れた。
原料を入れたるつぼを高周波溶解炉に入れ、酸化を抑制するために窒素ガスを原料1kg当たり0.7l/分以上の流量で流した。この状態で溶解炉の電源を入れ、原料を加熱溶融させた。金属が溶融し始めたら混合棒でよく撹拌し、局所的な組成のばらつきが起きないように均一に混ぜた。十分溶融したことを確認した後、高周波電源を切り、速やかにるつぼを取り出して、るつぼ内の溶湯をはんだ母合金の鋳型に流し込み、母合金を作製した。その際、鋳型を変えることによって、ワイヤ押出用に直径19mmの円柱状の母合金と、シート圧延加工用に厚さ5mm、幅50mmの板状の母合金を作製した。
このようにして試料1のはんだ母合金を作製した。また、原料の混合比率を変えた以外は上記試料1と同様にして、試料2〜26のはんだ母合金を作製した。得られた試料1〜26の各はんだ母合金の組成をICP発光分光分析器(SHIMAZU S−8100)を用いて分析した。得られた分析結果を下記表1に示した。尚、組成の分析結果は個々の元素で四捨五入して求めたため、試料によっては合計100.0質量%にならないものがある。
Figure 2014097521
次に、上記試料1〜26の各はんだ母合金(直径19mmの円柱状)のインゴットを、押出機を用いて直径1.0mmのワイヤ形状に加工した。ワイヤへの押出時に、押出速度(ワイヤが単位時間当りに押し出される長さ)を測定して加工性を評価した(加工性評価1)。即ち、はんだ母合金が比較的柔らかくて押し出し易ければ押出速度は早くなり、逆に硬い場合は同じ押出圧力で押出した場合に押出速度が遅くなるため、押出速度をもって生産性に係る加工性評価1とした。
また、上記試料1〜26の各はんだ母合金(厚さ5mm、幅50mmの板状)のインゴットを、圧延機を用いて厚さ0.10mmまで圧延加工した。その際、インゴットの送り速度を調整しながらシート形状に圧延していき、その後スリッター加工により30mmの幅に裁断した。シート形状への圧延加工時に、単位長さ当りのクラックや欠けの数を求めて、加工性を評価した(加工性評価2)。
上記のようにシート形状に圧延加工した試料1〜26の各はんだ合金を、金型プレス機を用いて矩形状に打ち抜き、下記する評価用試料として用いた。即ち、得られた矩形状の試料1〜26の各はんだ合金を用いて、接合性の評価(ボイド率の測定)と信頼性の評価(ヒートサイクル試験)を行った。得られた各評価の結果を下記表2に示した。
<接合性の評価(ボイド率の測定)>
濡れ性試験機(装置名:雰囲気制御式濡れ性試験機)を起動し、試料を加熱するヒーター部分に二重のカバーをしてヒーター部の周囲4箇所から12l/分の流量で窒素ガスを流した。その後、ヒーター設定温度を各試料のはんだ合金の融点より50℃高い温度に設定して加熱した。
ヒーター温度が設定値で安定した後、図1に示すように、表面上にNi層3(膜厚:2.0μm)と最上層としてAu層4(膜厚:1.0μm)を施したCu基板2(板厚:0.3mm)をヒーター部にセットして25秒加熱した。次に、各試料のはんだ合金1をCu基板2の上に載せ、25秒間加熱した。加熱が完了した後、Cu基板2をヒーター部から取り上げ、その横の窒素雰囲気が保たれている場所に一旦放置して冷却し、十分に冷却した後、大気中に取り出した。
接合性を確認するため、はんだ合金が接合されたCu基板のボイド率をX線透過装置(株式会社 東芝製
TOSMICRON−6125)を用いて測定した。即ち、各試料のはんだ合金とCu基板の接合面をはんだ上部から垂直にX線で透過し、下記計算式を用いてボイド率を算出した。
[計算式]
ボイド率(%)=ボイド面積÷(ボイド面積+はんだ合金とCu基板の接合面積)×100
<信頼性の評価(ヒートサイクル試験)>
ヒートサイクル試験は、上記接合性の評価と同様に各試料のはんだ合金を接合したCu基板を用いて行った。まず、はんだ合金が接合されたCu基板に対して、−40℃の冷却と250℃の加熱を1サイクルとして、所定のサイクル数だけ冷却と加熱を繰り返した。その後、はんだ合金が接合されたCu基板を樹脂に埋め込み、断面研磨を行った後、SEM(日立製作所製 S−4800)により接合面を観察した。接合面の剥がれ又ははんだ合金のクラックが認められた場合を「×」、そのような不良がなく、初期状態と同様の接合面を保っていた場合を「○」とした。
Figure 2014097521
上記表2から分かるように、本発明の試料1〜15のはんだ合金は、各評価項目において良好な特性を示している。即ち、ワイヤへの押出速度は非常に速く、比較例である試料26のAu−1.5質量%Ge合金と比較しても高速で押し出せ、生産性の良いはんだ合金であることが分かる(加工性評価1)。シートに加工した際にもクラック等の発生はなく、疵等もないきれいなシートが得られた(加工性評価2)。
更に、本発明の試料1〜15のはんだ合金は、Au蒸着しているCu基板への接合性が優れており、ボイド率は最も高いもので0.5%であって、良好な接合性を示した(接合性の評価)。そして、信頼性に関する試験であるヒートサイクル試験においても良好な結果が得られており、試料1〜15の全てで500サイクル経過後も不良は現われなかった(信頼性の評価)。
一方、比較例である試料16〜26のはんだ合金は、上記した各評価の何れかにおいて好ましくない結果となった。具体的には、ワイヤ押出速度が全般的に遅く(加工性評価1)、シート圧延時にも試料16、18及び26を除いてクラック等が発生した(加工性評価2)。また、ボイド率も約1〜26%と非常に悪かった(接合性評価)。更に、ヒートサイクル試験においては、500回までに全ての試料で不良が発生した(信頼性評価)。
尚、上記実施例における試料1〜15の本発明のはんだ合金は、上記した各特性の評価において良好な結果であるだけに留まらず、Au含有量が最高でも83.2質量%と少ない。このAu含有量は、Au−Ge系はんだ合金において最も一般的な共晶組成であるAu−12.5質量%Geよりも少なく、本発明のはんだ合金は低コストであることが分かる。
1 はんだ合金
2 Cu基板
3 Ni層
4 Au層

Claims (2)

  1. Agを5.0質量%以上10.0質量%未満含有し、Geを7.0質量%以上20.0質量%以下含有し、残部がAu及び不可避不純物からなることを特徴とするAu−Ag−Ge系はんだ合金。
  2. 前記Ag及びGeと共に、Ni、Sb、Cu、Pの少なくとも1種を含有し、Niを含有する場合その含有量は0.01質量%以上1.50質量%以下、Sbを含有する場合その含有量は0.01質量%以上21.00質量%以下、Cuを含有する場合その含有量は0.01質量%以上18.00質量%以下、Pを含有する場合その含有量は0.001質量%以上0.500質量%以下であって、残部がAu及び不可避不純物からなることを特徴とする、請求項1に記載のAu−Ag−Ge系はんだ合金。
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