JP2013081995A - Znを主成分とするPbフリーはんだ合金 - Google Patents

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Abstract

【課題】 濡れ性、応力緩和性及び加工性に特に優れ、300℃程度のリフロー温度に十分耐えることができる高温用のPbフリーはんだ合金を提供する。
【解決手段】 Znを主成分とするPbフリーはんだ合金であって、Alを1.0質量%以上9.0質量%以下含有し、Geを0.001質量%以上0.050質量%未満含有し、Mgは4.0質量%を超えて含有しておらず、Agは4.0質量%を超えて含有しておらず、Pは0.500質量%を超えて含有しておらず、残部が製造上、不可避的に含まれる元素を除きZnから成る。このPbフリーはんだ合金は、更にMg及びAgのうちの少なくとも一方を、Mgの場合は0.01質量%以上、Agの場合は0.1質量%以上含有してもよい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、Pbを含まないいわゆるPbフリーはんだ合金に関し、特に高温用として好適なZnを主成分とするPbフリーはんだ合金に関する。
パワートランジスタ用素子のダイボンディングを始めとして、各種電子部品の組立工程におけるはんだ付では高温はんだ付が行われており、300〜400℃程度の比較的高温の融点を有するはんだ合金(以下、「高温用のはんだ合金」とも称する)が用いられている。このような高温用のはんだ合金としては、Pb−5質量%Sn合金に代表されるPb系はんだ合金が従来から主に用いられている。
しかし、近年では環境汚染に対する配慮からPbの使用を制限する動きが強くなってきており、例えばRoHS指令などではPbは規制対象物質になっている。こうした動きに対応して、電子部品などの組立の分野においても、Pbを含まない(無鉛)はんだ合金、即ちPbフリーはんだ合金の提供が求められている。
中低温用(約140〜230℃)のはんだ合金に関しては、Snを主成分とするPbフリーのはんだ合金が既に実用化されている。例えば、特許文献1には、Snを主成分とし、Agを1.0〜4.0質量%、Cuを2.0質量%以下、Niを0.5質量%以下、Pを0.2質量%以下含有するPbフリーのはんだ合金が記載されている。また、特許文献2には、Agを0.5〜3.5質量%、Cuを0.5〜2.0質量%含有し、残部がSnからなるPbフリーのはんだ合金が記載されている。
一方、高温用のはんだ合金に関しても、Pbフリーを実現するため、Bi系はんだ合金やZn系はんだ合金などがさまざまな機関で開発されている。例えばBi系はんだ合金では、特許文献3に、Biを30〜80質量%含有し、溶融温度が350〜500℃であるBi/Ag系のろう材が開示されている。また、特許文献4には、Biを含む共晶合金に2元共晶合金を加え、更に添加元素を加えることによって、液相線温度の調整とばらつきの減少が可能な生産方法が開示されている。
また、Zn系はんだ合金では、例えば特許文献5に、Znに融点を下げるべくAlが添加されたZn−Al合金を基本とし、これにGe又はMgを添加した高温用Zn系はんだ合金が記載されている。特許文献5には、更にSn又はInを添加することによって、より一層融点を下げる効果があることも記載されている。
具体的には、特許文献5には、Alを1〜9質量%、Geを0.05〜1質量%含み、残部がZn及び不可避不純物からなるZn合金;Alを5〜9質量%、Mgを0.01〜0.5質量%含み、残部がZn及び不可避不純物からなるZn合金;Alを1〜9質量%、Geを0.05〜1質量%、Mgを0.01〜0.5質量%含み、残部がZn及び不可避不純物からなるZn合金;Alを1〜9質量%、Geを0.05〜1質量%、Sn及び/又はInを0.1〜25質量%含み、残部がZn及び不可避不純物からなるZn合金;Alを1〜9質量%、Mgを0.01〜0.5質量%、Sn及び/又はInを0.1〜25質量%含み、残部がZn及び不可避不純物からなるZn合金;Alを1〜9質量%、Geを0.05〜1質量%、Mgを0.01〜0.5質量%、Sn及び/又はInを0.1〜25質量%含み、残部がZn及び不可避不純物からなるZn合金が記載されている。
特開1999−077366号公報 特開平8−215880号公報 特開2002−160089号公報 特開2006−167790号公報 特許第3850135号
一般的な電子部品や基板の材料には熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などが多用されているため、接合時の作業温度は400℃未満が望ましく、370℃以下がより望ましい。しかしながら、特許文献3のBi/Ag系ろう材は、液相線温度が400〜700℃と高いため、接合時の作業温度も400〜700℃以上になると推測され、接合される電子部品や基板が耐えうる温度を超えていると考えられる。また、特許文献4の方法は、液相線の温度調整のみで4元系以上の多元系はんだ合金になるうえ、Biの脆弱な機械的特性については効果的な改善がされていない。
更に、特許文献5に開示されているZn系はんだ合金は、その組成の範囲内では合金の濡れ性が不十分である場合が多い。つまり、主成分であるZnは還元性が強いため自らは酸化されやすく、その結果、濡れ性が極めて悪くなることが問題となっている。更にAlはZnよりも還元性が強いため、例えば1重量%以上添加した場合、濡れ性を低下させてしまうことがある。
そして、これら酸化されたZnやAlに対しては、熱力学の平衡論的にはGeやSnが添加されていても還元することができず、濡れ性を向上させることはできないと考えられる。ただし、はんだ接合のように非常に短い時間で溶融、固化をする場合、金属反応は非平衡的な反応が支配的な場合も多く、必ずしも平衡論で全てが説明できるわけではない。
特許文献5に開示されているZn系はんだ合金は、濡れ性の問題に加え、加工性や応力緩和性に対する課題もある。即ち、ZnとAlは共晶合金を作り、ある程度の柔軟性を持った柔らかい合金である。しかし、接合温度が比較的高い(Zn−Al合金の共晶温度:381℃)ため、接合後、Siを主成分とする電子部品やCuを主成分とする基板が常温まで冷却される際の温度差が大きくなり、収縮による応力の影響を大きく受けてしまう。したがって、中低温用のはんだに比較してより一層優れた応力緩和性が要求される。
特許文献5には、Alを1〜9質量%、Geを0.05〜1質量%含み、残部がZn及び不可避不純物からなるZn合金が開示されている。GeはZnやAlと共晶合金を作るため、Zn−Al合金よりもZn−Al−Ge合金の方が柔らかい合金であるかのように思われる。しかし、Geは脆く、延性に乏しい金属であるため、共晶合金としてGeを添加してもその効果は大きくない。つまり、共晶合金による柔軟性の向上と脆いGeを含有することによる脆化とが相殺される形となるのである。
更に、Zn−Al合金にMgなどが添加されると金属間化合物を生成して極めて硬くなり、良好な加工性や応力緩和性が得られない場合が生じ得る。例えばMgを5質量%以上含有した場合、加工の困難なワイヤ状やシート状などに加工することが実質的にできなくなる。このように、Zn−Al系合金は、融点については300〜400℃程度と好ましい範囲にあるものの、濡れ性、応力緩和性、加工性等の観点から必ずしも最適と言える合金ではない。
以上述べたように、高温用のPbフリーはんだ合金、特にZnを主成分とするPbフリーはんだ合金については、濡れ性、応力緩和性、加工性等の諸特性のバランスが取れた材料とすることが必要になるが、未だこの課題は解決されていない。このように、従来のPb−5質量%Sn合金に代表されるPb系はんだ合金を代替できる高温用のはんだ合金は未だ実用化されていないのが実状である。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、電子部品の組立などで用いるのに好適な300〜400℃程度の融点を有し、濡れ性、応力緩和性及び加工性に優れた、Pbを含まない高温用のZn系はんだ合金を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明が提供するZnを主成分とするPbフリーはんだ合金は、Alを1.0質量%以上9.0質量%以下含有し、Geを0.001質量%以上0.050質量%未満含有し、Mgは4.0質量%を超えて含有しておらず、Agは4.0質量%を超えて含有しておらず、Pは0.500質量%を超えて含有しておらず、残部が製造上、不可避的に含まれる元素を除きZnから成ることを特徴とする。
また、上記本発明のZnを主成分とするPbフリーはんだ合金は、更にMg及びAgのうちの少なくとも一方を、Mgの場合は0.01質量%以上、Agの場合は0.1質量%以上含有してもよい。更に、上記本発明のZnを主成分とするPbフリーはんだ合金は、Alを3.0質量%以上7.0質量%以下含有し、Geを0.003質量%以上含有し、Agは3.0質量%を超えて含有しておらず、Pは0.300質量%を超えて含有していないのが好ましい。
本発明によれば、特に濡れ性、応力緩和性及び加工性に優れると同時に300℃程度のリフロー温度に十分耐えることができ、よってパワートランジスタ用素子のダイボンディングなど各種電子部品の組立工程でのはんだ付に好適な、接合性及び信頼性に優れた高温用のPbフリーはんだ合金を提供することができる。
本発明によるZnを主成分とするPbフリーはんだ合金は、Pbを含まず、AlとGeとを含有し、残部が製造上、不可避的に含まれる元素を除きZnから成る。Znは融点が419℃と電子部品等の接合温度である300〜400℃に対し高すぎるという欠点がある。このようなZnの欠点に対して、本発明においては、Alを含有させることにより融点をはんだとして使いやすい温度まで下げるとともにある程度加工性等を向上させている。更に、Geを少量含有させることにより、良好な濡れ性と高温用はんだに特に強く要求される高い応力緩和性とを持たせている。
Alを含有することによって、Znとの共晶合金を形成させて融点を約400℃以下に下げると同時に、結晶を微細化させて加工性を向上させるという効果を得ることもできる。しかし、高温用はんだとして使用されるZn−Al合金は、中低温用はんだと比べて高い応力緩和性を要求されるが、必ずしも十分な応力緩和を有しているとは言い難い。そこで、このZn−Al合金に対して応力緩和性や加工性を向上させ、かつ濡れ性も向上させるべくGeを添加している。
即ち、Geを少量含有することにより、はんだが溶融後、Znより比重の小さいGe(Znの比重:7.1、Geの比重:5.4)が溶融はんだの表面に表出し易くなる。その結果、表面付近に多く存在するGeが酸化されることにより主成分であるZnの酸化を抑制し、濡れ性を向上させる。加えて、溶融はんだ中に存在する微量のGeは融点が高いため(Geの融点:938℃)、はんだ固化時には先ずGeが析出し、これが核となって結晶を微細化する。これによって、はんだ合金の柔軟性が増し、加工性や応力緩和性が向上する。
また、上記Znを主成分とするPbフリーはんだ合金に、更にP、Mg及びAgのうちの少なくとも1種を含有することによって、融点、濡れ性、接合強度、そして信頼性等を目的に合わせて適宜調整することが可能となる。このような本発明のZn系はんだ合金に添加される各元素について、以下に詳細に説明する。
<Al>
Alは本発明のZnを主成分とするPbフリーはんだ合金において重要な役割を果たす必須元素であり、その含有量は、1.0質量%以上9.0質量%以下である。Alの含有量が1.0質量%未満では、他の元素を添加したとしても融点の低下が不十分となるため、接合性が低下してしまう。一方、Alの含有量が9.0質量%を超えると、Zn−Al合金の液相線温度が高くなりすぎ、電子部品等の実際の接合温度では十分に溶融せず、ボイド率が高くなりすぎたり接合部の合金化が不十分となったりするため、実用に耐えうる接合ができなくなる。
Alの含有量は、3.0質量%以上7.0質量%以下であると更に好ましい。なぜなら、Alの含有量がこの範囲内であれば、Zn−Al二元系合金の共晶組成(Zn=95質量%、Al=5質量%)に近くなって液相線温度が下がるうえ、結晶も微細化して加工性が向上し、使いやすいはんだにより一層近づくからである。
Alを含有させる効果は、まず融点の調整、つまりはZn−Al合金として固相線温度の381℃まで融点を下げることにある。当然、共晶合金であるため、金属が柔らかくなり、加工性や応力緩和性が向上する。ただし、高温用はんだは高い応力緩和性を求められるため、次に述べるGeを含有させることが必須条件となる。更にAlの含有量がある量以上になるとZnよりも酸化されやすいAlが増えたことによって濡れ性が低下してしまう。この濡れ性を改善するためにもGeを少量含有させることが欠かすことのできない条件となる。
<Ge>
Geは本発明のZnを主成分とするPbフリーはんだ合金において、濡れ性に加え、加工性や応力緩和性を向上させるために重要な役割を果たす必須元素である。GeはZnやAlに比べて融点が高く(Znの融点:419℃、Alの融点:660℃、Geの融点:938℃)、本発明のはんだ合金が溶融後、冷却過程で固化する際、この融点の高いGeがまず析出し、これが核となって結晶が形成されるため、はんだ合金が微結晶化する。
本発明のPbフリーはんだ合金は、特許文献5に開示されているGeを含んだZn合金とは本質的に異なっている。なぜなら、特許文献5のZn合金は、Geの含有量が0.05〜1質量%である上、Geを含有する目的は融点を下げるか、あるいはZn−Al−Geの三元共晶を作る上での加工性を向上することにあるからである。これに対して本発明においては、Geの含有量は後述するように0.001質量%以上0.050質量%未満と極めて微量である。Geを含有する場合は、このように微量である方が得られる効果が大きいのである。
更に、特許文献5とは異なり、Geの添加によって、濡れ性と応力緩和性の向上という2つの効果が得られる。具体的に説明すると、Zn−Al合金にGeを少量含有させると、比重の小さいGeははんだ溶融時に浮いてZnより優先的に酸化される。熱力学の平衡論においてはZnやAlの方が酸化されやすいのであるが、比重の関係からGeははんだの表面部に比較的多く存在するため、Geが酸化される割合が多くなり、よって、主成分のZnの酸化を抑制し、濡れ性が向上するのである。
更に、溶融はんだ中に存在するGeははんだ固化時に最初に析出し、これを核として結晶が成長するためはんだ合金が微結晶化し、加工性や応力緩和性が向上する。以上のようにGeを少量含有することにより、濡れ性と応力緩和性を向上させることが可能となる。
Geの含有量は、具体的には0.001質量%以上0.050質量%未満であり、0.003質量%以上0.050質量%未満がより好ましい。この量が0.050質量%以上でもGeの添加効果はあるものの、Geの酸化物層が厚くなってしまったり、結晶粒が大きく成長してしまったりしてGeの添加効果が低下してしまうことが多い。一方、0.001質量%未満では含有量が少なすぎて効果が現れない。
<P>
Pは本発明のZnを主成分とするPbフリーはんだ合金の諸特性を目的に合わせて調整する際に適宜添加される元素であり、その効果は濡れ性の向上にある。Pが濡れ性を向上させるメカニズムは以下のとおりである。Pは還元性が強く、自ら酸化されることによりはんだ合金表面の酸化を抑制する。特に本発明では酸化されやすいZnが主成分であり、更にZnより酸化されやすいAlが含有されているため、濡れ性が不足する場合においてPの含有による濡れ性向上の役割は大きい。
また、Pの含有により接合時にボイドの発生を低減させる効果も得られる。即ち、すでに述べているようにPは自らが酸化されやすいため、接合時にはんだ合金の主成分であるZnやAlよりも優先的に酸化が進む。その結果、はんだ母相の酸化を防ぎ、電子部品等の接合面を還元して濡れ性を確保することができる。そしてこの接合の際、はんだや接合面表面の酸化物がなくなるため、酸化膜によって形成される隙間(ボイド)が発生しにくくなり、接合性や信頼性等を向上させるのである。なお、Pははんだ合金や基板を還元して酸化物になると気化し、雰囲気ガスに流され、はんだや基板等に残らない。このため、Pの残渣が信頼性等に悪影響を及ぼす可能性はなく、この点からも優れた元素と言える。
Pを含有する場合は、その含有量が0.500質量%以下であることが好ましい。これは、前述したようにPは非常に還元性が強いため、微量を含有させれば濡れ性向上の効果が得られるからである。0.500質量%を超えて含有しても、濡れ性向上の効果はあまり変わらず、過剰な含有によってPやP酸化物の気体が多量に発生してボイド率を上げてしまったり、Pが脆弱な相を形成して偏析し、はんだ接合部を脆化して信頼性を低下させたりする恐れがある。特にワイヤ状などに加工する場合に、断線の原因になりやすいことが確認されている。Pの含有量が0.300重量%以下であれば、還元効果を発揮するとともに脆いP化合物を生成することもなく、更に好ましい。
<Mg>
Mgは本発明のZnを主成分とするPbフリーはんだ合金の諸特性を目的に合わせて調整する際に適宜添加される元素である。Mgを含有することよって得られる効果は以下のとおりである。MgはZnとの共晶合金を2つの組成で作り、それらの共晶温度は341℃と364℃である。このようにZn−Al合金よりも低い共晶温度を2点有するため、はんだ合金の融点を更に下げたい場合に添加する。
更に、MgはZn、Alよりも酸化されやすいため、少量の含有量で濡れ性を向上させる効果も有している。ただし、Mgが多量に含有されるとはんだ表面に強固な酸化膜を形成してしまうため、その含有量には注意を要する。接合条件は様々であるものの以上述べた融点低下効果と濡れ性向上効果を考慮し、その含有量は0.01質量%以上4.0質量%以下が好ましい。この含有量が0.01質量%未満では少なすぎてMgの効果を十分発揮させることができない。一方、4.0質量%を超えると、逆に濡れ性が低下したり液相線温度が高くなりすぎたりするなどの問題を起こしてしまう。
<Ag>
AgもMgと同様に本発明のZnを主成分とするPbフリーはんだ合金の諸特性を目的に合わせて調整する際に適宜添加される元素である。Agの含有量は0.1質量%以上4.0質量%以下とするのが好ましい。Agの含有量が0.1質量%未満では、濡れ性や接合性の向上効果が得られない。逆に4.0質量%を超えると、融点が高くなりすぎるため好ましくない。
つまり、Zn−Ag合金において、Znリッチ側でAgの含有量を増やしていくと液相温度は単調に増加していく。従って、Agは融点から考えれば少ない方がよい。一方、濡れ性向上の面からすればAgは多い方がよい。つまり、Agは基板や電子部品のメタライズの最上層に用いられることからも分かるように濡れ性向上効果が大きく、これはAgが酸化されにくい性質に起因している。
このように、融点や濡れ性のバランスを考えて適宜Agを含有させることになるが、Agが4.0質量%を超えて多くなるとAlを含有していても液相温度が高くなりすぎ、良好な接合を得ることが困難となる。従ってAgの含有量の上限は4.0質量%とする。なお、融点の高いMgやGeを多く含有させる場合ははんだ合金の融点が高くなるため、Agの含有量を3.0質量%以下とすることが好ましい。また、コスト面から考えても特性のうえで問題がないのであればAg含有量は少なくすることが好ましい。
原料として、それぞれ純度99.9質量%以上のZn、Al、Ge、P、Mg及びAgを準備した。大きな薄片やバルク状の原料については、溶解後の合金においてサンプリング場所による組成のバラツキがなく、均一になるように留意しながら、切断及び粉砕などにより3mm以下の大きさに細かくした。次に、これら原料から所定量を秤量して、高周波溶解炉用のグラファイト製坩堝に入れた。
上記各原料の入った坩堝を高周波溶解炉に入れ、酸化を抑制するために窒素を原料1kg当たり0.7リットル/分以上の流量で流した。この状態で溶解炉の電源を入れ、原料を加熱溶融させた。金属が溶融しはじめたら混合棒でよく撹拌し、局所的な組成のばらつきが起きないように均一に混ぜた。十分溶融したことを確認した後、高周波電源を切り、速やかに坩堝を取り出し、坩堝内の溶湯をはんだ母合金の鋳型に流し込んだ。鋳型は、はんだ母合金の製造の際に一般的に使用している形状と同様のものを使用した。
このようにして、上記各原料の混合比率を変えることにより、試料1〜23のZn系はんだ母合金を作製した。得られた試料1〜23の各はんだ母合金の組成をICP発光分光分析器(SHIMAZU S−8100)を用いて分析した。得られたはんだ組成の分析結果を下記表1に示す。
Figure 2013081995
次に、上記試料1〜23の各はんだ母合金について、下記のごとく圧延機でシート状に加工し、Znを主成分とするPbフリーはんだ合金の加工性を評価した。また、シート状に加工した各はんだ合金について、下記の方法により濡れ性(接合性)の評価及びヒートサイクル試験による信頼性の評価を行った。なお、はんだの濡れ性ないし接合性等の評価は、はんだ形状に依存しないためワイヤ、ボール、ペーストなどの形状で評価してもよいが、本実施例においてはシートの形状で評価した。
<加工性の評価>
表1に示す試料1〜23の各はんだ母合金(厚さ5mmの板状インゴット)を、圧延機を用いて厚さ0.05mmまで圧延した。その際、インゴットの送り速度を調整しながら圧延していき、その後スリッター加工により25mmの幅に裁断した。このようにして各試料について長さ約120mのシート状に加工した後、得られたシート状のZn系はんだ合金を観察し、傷やクラックが全くなかった場合を「◎」、シート長さ50m当たり割れやクラックが1〜2箇所あった場合を「○」、3〜9箇所あった場合を「△」、10箇所以上ある場合を「×」とした。
<濡れ性(接合性)の評価>
上記のごとくシート状に加工した各はんだ合金を、濡れ性試験機(装置名:雰囲気制御式濡れ性試験機)を用いて評価した。即ち、濡れ性試験機のヒーター部に2重のカバーをして、ヒーター部の周囲4箇所から窒素を12リットル/分の流量で流しながら、ヒーター設定温度を各試料の融点より約10℃高い温度に設定して加熱した。設定したヒーター温度が安定した後、Cu基板(板厚:約0.70mm)をヒーター部にセッティングして25秒間加熱した。
次に、各試料のはんだ合金をCu基板の上に載せ、25秒加熱した。加熱が完了した後、Cu基板をヒーター部から取り上げ、その横の窒素雰囲気が保たれている場所に一旦設置して冷却した。十分に冷却した後、大気中に取り出して接合部分を確認した。各試料のはんだ合金とCu基板との接合部分を目視で確認し、接合できなかった場合を「×」、接合できたが濡れ広がりが悪い場合(はんだが広がらず、盛り上がった状態)を「△」、接合でき且つ濡れ広がった場合を「○」、はんだが瞬時に薄く濡れ広がった場合を「◎」と評価した。
<ヒートサイクル試験>
はんだ接合の信頼性を評価するためにヒートサイクル試験を行った。なお、この試験は、上記した濡れ性の評価においてはんだ合金がCu基板に接合できた試料(濡れ性の評価が「◎」、「○」又は「△」の試料)を各々2個ずつ用いて行った。即ち、各試料のはんだ合金が接合されたCu基板2個のうちの1個に対しては、−40℃の冷却と+150℃の加熱を1サイクルとするヒートサイクル試験を途中確認のため300サイクルまで繰り返し、残る1個に対しては同様のヒートサイクル試験を500サイクルまで繰り返した。
その後、300サイクル及び500サイクルのヒートサイクル試験を実施した各試料について、はんだ合金が接合されたCu基板を樹脂に埋め込み、断面研磨を行い、SEM(装置名:HITACHI S−4800)により接合面の観察を行った。この観察の結果、接合面に剥がれが生じるか又ははんだにクラックが入った場合を「×」、そのような不良がなく、初期状態と同様の接合面を保っていた場合を「○」とした。これらの評価結果を下記の表2に示す。
Figure 2013081995
上記の表1〜2から分るように、本発明の要件を満たす試料1〜16の各はんだ合金は、全ての評価項目において良好な特性を示している。即ち、シート状に加工しても傷やクラックの発生が無く、濡れ性及び信頼性も非常に良好であった。加工性における良好な結果は、Zn−Al合金に少量のGeが添加されているため、はんだ合金の柔軟性が増し、圧延してもクラック等が発生しなかったことによると考えられる。
更に、ヒートサイクル試験においても500回まで割れなどが発生せず、良好な接合性と信頼性を示したが、この理由はGeを少量含有することによって濡れ性が向上し、接合強度等が高まったことに起因すると考えられる。当然、Geの微細化効果により応力緩和性が上がったことも信頼性向上に寄与していると考えられる。
一方、本発明の要件を満たしていない試料17〜23の各はんだ合金は、Al、Ge、P、Mg及びAgのうちのいずれかの含有量が適切でなかったため、試料19を除いて好ましくない評価結果となった。具体的には、加工性の評価において試料19を除く全ての試料で傷やクラックが発生し、濡れ性についても試料19を除く6個の試料中4個の試料が悪い結果となり、特にヒートサイクル試験では試料19を除く全ての試料(接合できなかった試料17、18、21、23を除く)で300回までに不良が発生した。
試料19に関しては、本発明の要件を満たす試料1〜16と比較すればいくぶん劣るものの、全ての評価において「良(○)」の結果が得られた。試料19が試料1〜16よりも劣る評価結果となった理由は、Geの含有量が多いため、はんだ表面にGeの酸化物が多くなったり、Geを微量添加した場合に得られる結晶微細化の効果が小さかったりしたことなどが挙げられる。

Claims (3)

  1. Alを1.0質量%以上9.0質量%以下含有し、Geを0.001質量%以上0.050質量%未満含有し、Mgは4.0質量%を超えて含有しておらず、Agは4.0質量%を超えて含有しておらず、Pは0.500質量%を超えて含有しておらず、残部が製造上、不可避的に含まれる元素を除きZnから成ることを特徴とするZnを主成分とするPbフリーはんだ合金。
  2. Mg及びAgのうちの少なくとも一方を、Mgの場合は0.01質量%以上、Agの場合は0.1質量%以上含有していることを特徴とする、請求項1に記載のZnを主成分とするPbフリーはんだ合金。
  3. Alを3.0質量%以上7.0質量%以下含有し、Geを0.003質量%以上含有し、Agは3.0質量%を超えて含有しておらず、Pは0.300質量%を超えて含有していないことを特徴とする、請求項1又は2に記載のZnを主成分とするPbフリーはんだ合金。
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