JP2014221484A - PbフリーZn系はんだペースト - Google Patents
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Abstract
【課題】 濡れ性に特に優れ、実用に耐えうる応力緩和性を有し、300℃程度のリフロー温度に十分耐えることができるはんだペーストを提供する。
【解決手段】 Zn系はんだ合金とフラックスとを含むZn系はんだペーストであって、前記Zn系はんだ合金は、その全量を100質量%として、Alを1.0質量%以上9.0質量%以下含有し、Mg及びGeのうちの少なくとも一方を含有し、Mgを含有する場合は0.1質量%以上4.0質量%以下、Geを含有する場合は0.05質量%以上6.0質量%以下含有し、残部が製造上、不可避に含まれる元素を除きZnからなる。
【選択図】 なし
【解決手段】 Zn系はんだ合金とフラックスとを含むZn系はんだペーストであって、前記Zn系はんだ合金は、その全量を100質量%として、Alを1.0質量%以上9.0質量%以下含有し、Mg及びGeのうちの少なくとも一方を含有し、Mgを含有する場合は0.1質量%以上4.0質量%以下、Geを含有する場合は0.05質量%以上6.0質量%以下含有し、残部が製造上、不可避に含まれる元素を除きZnからなる。
【選択図】 なし
Description
本発明はPbを含まないPbフリーはんだペーストに関し、特に高温用に用いられるZnを主成分とするPbフリーはんだペーストに関する。
パワートランジスタ用素子のダイボンディングを始めとして、各種電子部品の組立工程におけるはんだ付では高温はんだ付が行われており、300〜400℃程度の比較的高温の融点を有するはんだ合金(以下、「高温用はんだ合金」とも称する)が用いられている。このような高温用はんだ合金としては、Pb−5質量%Sn合金に代表されるPb系はんだ合金が従来から主に用いられている。
しかし、近年では環境汚染に対する配慮からPbの使用を制限する動きが強くなってきており、例えばRoHS指令などではPbは規制対象物質になっている。こうした動きに対応して、電子部品などの組立の分野においても、Pbを含まない(無鉛)はんだ合金、即ちPbフリーはんだ合金の提供が求められている。
中低温用(約140〜230℃)のはんだ合金に関しては、Snを主成分とするPbフリーのはんだ合金が既に実用化されている。例えば、特許文献1には、Snを主成分とし、Agを1.0〜4.0質量%、Cuを2.0質量%以下、Niを0.5質量%以下、Pを0.2質量%以下含有するPbフリーのはんだ合金が記載されている。また、特許文献2には、Agを0.5〜3.5質量%、Cuを0.5〜2.0質量%含有し、残部がSnからなるPbフリーのはんだ合金が記載されている。
一方、高温用のはんだ合金に関しても、Pbフリーを実現するため、Bi系はんだ合金やZn系はんだ合金などがさまざまな機関で開発されている。例えばBi系はんだ合金では、特許文献3に、Biを30〜80質量%含有し、溶融温度が350〜500℃であるBi/Ag系のろう材が開示されている。また、特許文献4には、Biを含む共晶合金に2元共晶合金を加え、更に添加元素を加えることによって、液相線温度の調整とばらつきの減少が可能な生産方法が開示されている。
また、Zn系はんだ合金では、例えば特許文献5に、Znに融点を下げるべくAlが添加されたZn−Al合金を基本とし、これにGe又はMgを添加した高温用Zn系はんだ合金が記載されている。特許文献5には、更にSn又はInを添加することによって、より一層融点を下げる効果があることも記載されている。
具体的には、特許文献5には、Alを1〜9質量%、Geを0.05〜1質量%含み、残部がZn及び不可避不純物からなるZn合金;Alを5〜9質量%、Mgを0.01〜0.5質量%含み、残部がZn及び不可避不純物からなるZn合金;Alを1〜9質量%、Geを0.05〜1質量%、Mgを0.01〜0.5質量%含み、残部がZn及び不可避不純物からなるZn合金;Alを1〜9質量%、Geを0.05〜1質量%、Sn及び/又はInを0.1〜25質量%含み、残部がZn及び不可避不純物からなるZn合金;Alを1〜9質量%、Mgを0.01〜0.5質量%、Sn及び/又はInを0.1〜25質量%含み、残部がZn及び不可避不純物からなるZn合金;Alを1〜9質量%、Geを0.05〜1質量%、Mgを0.01〜0.5質量%、Sn及び/又はInを0.1〜25質量%含み、残部がZn及び不可避不純物からなるZn合金が記載されている。
一般的な電子部品の基板材料には熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などが多用されているため、はんだ接合時の作業温度は400℃未満が望ましく、370℃以下がより望ましい。しかしながら、特許文献3のBi/Ag系ろう材は、液相線温度が400〜700℃と高いため、接合時の作業温度も400〜700℃以上になると推測され、使用される基板材料が耐えうる温度を超えていると考えられる。また、特許文献4の方法は、液相線の温度調整のみで4元系以上の多元系はんだ合金になるうえ、Biの脆弱な機械的特性については効果的な改善がされていない。
また、上記特許文献5に記載されたZn系はんだ合金は、その組成の範囲内では合金の濡れ性が不十分である場合が多い。つまり、主成分であるZnは還元性が強いため酸化されやすく濡れ性が悪くなりやすいという問題を抱えている。さらに、AlはZnよりも還元性が強いため、例えば1重量%以上添加した場合、濡れ性を大きく落としてしまう。そして、酸化されたZnやAlは、GeやSnを添加したとしても還元されず、濡れ性を向上させることはできないのである。
以上のようにZn−Al系合金は、融点については300〜400℃程度(Zn−Al共晶温度:381℃)と好ましい範囲にあるものの、濡れ性という点では非常に問題のある合金なのである。さらに、Zn−Al合金にMgなどが添加されると金属間化合物を生成して非常に硬くなり、十分な加工性が得られない場合がある。具体的には、Mgが5質量%以上添加された場合、ワイヤやシートなどへの加工が困難とされ、所定の形状へ加工することは実質的にできなくなる。
以上に述べたように、高温用のPbフリーはんだ合金、特にZnを主成分とするPbフリーZn系はんだ合金については、加工性等の諸特性とのバランスを取りながら、主として濡れ性を改善することが大きな課題となっているが、未だこの課題は解決できず実用化に至っていないのが実情である。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、各種電子部品の組立などで用いるのに好適な300〜400℃程度の融点を有し、主として良好な濡れ性のほか、実用に耐えうる応力緩和性を有する、Pbを含まずにZnを主成分とする高温用のPbフリーZn系はんだペーストを提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明が提供するPbフリーZn系はんだペーストは、Zn系はんだ合金とフラックスとを含むZn系はんだペーストであって、前記Zn系はんだ合金は、その全量を100質量%として、Alを1.0質量%以上9.0質量%以下含有し、Mg及びGeのうちの少なくとも一方を含有し、Mgを含有する場合は0.1質量%以上4.0質量%以下、Geを含有する場合は0.05質量%以上6.0質量%以下含有し、残部が製造上、不可避に含まれる元素を除きZnからなることを特徴としている。
本発明によれば、濡れ性に特に優れ、実用に耐えうる応力緩和性を有し、300℃程度のリフロー温度に十分耐えることができ、パワートランジスタ用素子のダイボンディングなど各種電子部品の組立工程でのはんだ付に好適な高温用のPbフリーZn系はんだペーストを提供することができる。
本発明によるPbフリーZn系はんだペーストは、はんだ合金とフラックスとを含むはんだペーストであり、そのうちはんだ合金はPbを含まないPbフリーはんだ合金であって所定量のAlを含有し、さらにMg及びGeの少なくとも一方を所定量含有し、残部が製造上、不可避に含まれる元素を除きZnから成る。
主成分であるZnは融点が419℃であり、電子部品等の接合温度である300〜400℃に対し高すぎるうえ、還元性が高いため酸化されやすく濡れ性が悪いという欠点がある。このようなZnの欠点に対して、本発明においては、Alを含有させることにより融点をはんだとして使い易い温度まで下げ、さらに、ZnにAlが加わることで一層低下したZn−Al合金の濡れ性をペースト樹脂によって向上させている。
また、融点と濡れ性のバランスをとるため、Mg及びGeのうちの少なくとも一方を含有している。このように、MgやGeを添加する理由は、Alが強い還元性を有するからである。すなわち、AlはZn合金の融点を下げる効果は大きい反面、酸化されやすいため、その含有量によっては強固な酸化膜を形成してしまい、フラックスと混ざりづらくなったり、部分的にフラックスの還元効果が現れなくなったりして、接合不良などの問題を起こす場合がある。
このため、Alを部分的に置換する元素として、Al同様にZn合金の融点を下げる効果の大きいMgやGeを含有させることが必要となる。つまり、MgやGeを含有させることにより、狙い通りの融点にできるうえ、良好な濡れ性を確保できるのである。以下、かかる本発明のはんだペーストに使用されるZn系はんだ合金の各添加成分及びフラックスについて詳細に説明する。
<Al>
Alは本発明のPbフリーZn系はんだ合金において重要な役割を果たす必須元素であり、その含有量は、Zn系はんだ合金を100質量%として1.0質量%以上9.0質量%以下とする。Alの含有量が1.0質量%未満では、他の元素を添加したとしても融点の低下が不十分となるため、十分な接合性が得られなくなってしまう。一方、Alの含有量が9.0質量%を超えると、Zn−Al合金の液相温度が420℃を超えて高くなりすぎ、電子部品等の接合で行われている一般的な接合温度では十分に溶融せず、ボイド率が高くなりすぎたり接合部の合金化が不十分となったりするため、実用に耐え得る接合ができなくなる。
Alは本発明のPbフリーZn系はんだ合金において重要な役割を果たす必須元素であり、その含有量は、Zn系はんだ合金を100質量%として1.0質量%以上9.0質量%以下とする。Alの含有量が1.0質量%未満では、他の元素を添加したとしても融点の低下が不十分となるため、十分な接合性が得られなくなってしまう。一方、Alの含有量が9.0質量%を超えると、Zn−Al合金の液相温度が420℃を超えて高くなりすぎ、電子部品等の接合で行われている一般的な接合温度では十分に溶融せず、ボイド率が高くなりすぎたり接合部の合金化が不十分となったりするため、実用に耐え得る接合ができなくなる。
Alの添加量は、3.0質量%以上7.0質量%以下であるとさらに好ましい。その理由は、Alの含有量が3.0質量%以上7.0質量%以下の範囲であれば、Zn−Al二元系合金の共晶組成(Zn=95質量%、Al=5質量%)に近くなって融点が下がり、結晶も微細化して加工性が向上し、より一層、使いやすいはんだとなるからである。
<Mg>
Mgは本発明のPbフリーZn系はんだペーストの諸特性を目的に合わせて調整する際に添加する元素である。Mgを含有することよって得られる効果は以下のとおりである。MgはZnとの2元系状態図において、共晶点を2つ持ち、その共晶温度は341℃と364℃である。このようにZn−Al合金よりも低い共晶温度を2つ有するため、融点をさらに下げたい場合に含有させる。さらにMgはZn、Alよりも酸化され易いため、少量の含有量で濡れ性を向上させる効果も有する。ただし、Mgを多量に含有してしまうとはんだ表面に強固な酸化膜を形成してしまうため、その添加量には注意を要する。
Mgは本発明のPbフリーZn系はんだペーストの諸特性を目的に合わせて調整する際に添加する元素である。Mgを含有することよって得られる効果は以下のとおりである。MgはZnとの2元系状態図において、共晶点を2つ持ち、その共晶温度は341℃と364℃である。このようにZn−Al合金よりも低い共晶温度を2つ有するため、融点をさらに下げたい場合に含有させる。さらにMgはZn、Alよりも酸化され易いため、少量の含有量で濡れ性を向上させる効果も有する。ただし、Mgを多量に含有してしまうとはんだ表面に強固な酸化膜を形成してしまうため、その添加量には注意を要する。
接合条件は様々であるものの、以上述べた融点低下効果と濡れ性向上効果を考慮し、Zn系はんだ合金を100質量%としてMgの含有量は0.1質量%以上4.0質量%以下とする。Mgの含有量が0.1質量%未満では少なすぎてMgの効果を十分発揮できず、4.0質量%を超えてしまうとMgの酸化物層が厚くなりすぎ逆に濡れ性低下させたり、Mg2Zn11などの脆い金属間化合物が多くなりすぎるなどの問題を引き起こしてしまう。
<Ge>
GeもMgと同様に本発明のPbフリーZn系はんだペーストの諸特性を目的に合わせて調整する際に添加する元素である。GeもZnと共晶合金を作るが、Mgよりも優れている点として、Zn−Mgが金属間化合物を生成するのに対し、Zn−Geは金属間化合物を作らないため加工性が優れている点を挙げることができる。Geは融点を下げる効果も有している。すなわち、Zn−Ge二元系合金の共晶温度は394℃であり、Mgには劣るものの融点を下げる効果を十分有する元素である。
GeもMgと同様に本発明のPbフリーZn系はんだペーストの諸特性を目的に合わせて調整する際に添加する元素である。GeもZnと共晶合金を作るが、Mgよりも優れている点として、Zn−Mgが金属間化合物を生成するのに対し、Zn−Geは金属間化合物を作らないため加工性が優れている点を挙げることができる。Geは融点を下げる効果も有している。すなわち、Zn−Ge二元系合金の共晶温度は394℃であり、Mgには劣るものの融点を下げる効果を十分有する元素である。
Geの含有量はZn系はんだ合金を100質量%として0.05質量%以上6.0質量%以下とする。Geの含有量が0.05質量%未満では少なすぎてGeの効果を十分発揮できない。一方、Ge含有量が6.0質量%を超えてもGeの添加効果は維持され、急激に効果が無くなったり他の特性を低下させることなどはないが、本発明は汎用製品に用いるはんだの提供を意図しており、高価なGeを6.0質量%を超えて含有するとはんだ合金の価格が高くなり過ぎると考え、6.0質量%を添加量の上限値とした。
<フラックス>
本発明のはんだペーストに使用するフラックスの種類やフラックスとはんだ合金との混合割合については、とくに限定がない。例えば、樹脂系、無機塩化物系、有機ハロゲン化物系などを用いてよい。ここでは最も一般的であるフラックスとして、ベース材としてロジンを用い、活性剤及び溶剤を添加したものについて述べる。フラックス全量を100質量%とした場合、ベース材であるロジンは20〜30質量%、活性剤は0.2〜1質量%、溶剤は70〜80質量%程度の配合とすることにより良好な濡れ性、接合性を有するはんだペーストとすることができる。
本発明のはんだペーストに使用するフラックスの種類やフラックスとはんだ合金との混合割合については、とくに限定がない。例えば、樹脂系、無機塩化物系、有機ハロゲン化物系などを用いてよい。ここでは最も一般的であるフラックスとして、ベース材としてロジンを用い、活性剤及び溶剤を添加したものについて述べる。フラックス全量を100質量%とした場合、ベース材であるロジンは20〜30質量%、活性剤は0.2〜1質量%、溶剤は70〜80質量%程度の配合とすることにより良好な濡れ性、接合性を有するはんだペーストとすることができる。
ベース材としてのロジンとしては、天然の未変性のもの、例えば、ウッドレジンロジン、ガムロジン、トール油ロジンなどを用いることができる。さらにはロジンエステル、水素添加ロジン、ロジン変性樹脂、重合ロジンなどの変性ロジンを使用することもできる。溶剤としては、アセトン、アミルベンゼン、n−アミンアルコール、ベンゼン、四塩化炭素、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、トルエン、テレピン油、キシレン、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどを用いることができる。
また、活性剤としては、アニリン塩酸塩、ヒドラジン塩酸塩、臭化セチルピリジン、フェニルヒドラジン塩酸塩、テトラクロルナフタレン、メチルヒドラジン塩酸塩、メチルアミン塩酸塩、エチルアミン塩酸塩、ジエチルアミン塩酸塩、ブチルアミン塩酸塩、ジフェニルグアニジンHBrなどを用いることができる。上記物質やその添加量を適宜調整して目的に合ったフラックスとすればよく、例えば、はんだ合金や基板等の接合面の酸化膜が強固である場合はロジンや活性剤を多めに添加し、溶剤で粘性や流動性を調整する。
さらにはんだペーストのチキソ性が問題になる場合はチキソ剤を添加してよい。チキソ剤としてはとくに限定されず、フラックスに適したものを選べばよいが、例えば一般的に用いられている硬化ひまし油、アミド類などを使用してよい。上述したはんだ合金とフラックスとを混合することにより、フラックスの還元効果によって極めて濡れ性に優れたはんだペーストが得られる。また、はんだペーストの形態を採ることにより、加工が困難な接合性シートや枠状のプリフォーム材などであっても、加工しやすい合金粉末を使用でき、よって安価で使い易いはんだペーストを提供することができる。
そして、本発明の高温用Pbフリーはんだペーストを、電子部品と基板との接合に使用することによって、ヒートサイクルが繰り返される環境などの過酷な条件下で使用される場合であっても、耐久性のある信頼性の高い電子基板を提供することができる。よって、この電子基板を、例えば、サイリスタやインバータなどのパワー半導体装置、自動車などに搭載される各種制御装置、太陽電池などの過酷な条件下で使用される装置に搭載することによって、それら各種装置の信頼性をより一層高めることができる。
以下、具体的な実施例を示して本発明をさらに説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。まず、原料として、それぞれ純度99.99質量%以上のZn、Al、Mg及びGeを準備した。大きな薄片やバルク状の原料については、溶解後の合金においてサンプリング場所による組成のバラツキがなく均一になるように留意しながら切断、粉砕等を行い、3mm以下の大きさに細かくした。次に、高周波溶解炉用グラファイトるつぼに、これら原料から所定量を秤量して入れた。
原料の入ったるつぼを高周波溶解炉に入れ、酸化を抑制するために窒素を原料1kg当たり0.7L/分以上の流量で流した。この状態で溶解炉の電源を入れ、原料を加熱溶融させた。金属が溶融しはじめたら混合棒でよく攪拌し、局所的な組成のばらつきが起きないように均一に混ぜた。十分溶融したことを確認した後、高周波電源を切り、速やかにるつぼを取り出し、るつぼ内の溶湯をはんだ母合金の鋳型に流し込んだ。鋳型には、はんだ合金の製造の際に一般的に使用している形状と同様のものを使用した。
このようにして各原料の混合比率を変えることにより試料1〜15のはんだ母合金を作製した。これら試料1〜15のはんだ母合金の組成を、ICP発光分光分析器(SHIMAZU S−8100)を用いて分析した。その分析結果を下記の表1に示す。
(はんだ合金粉の製造)
ペースト用はんだ合金粉の製造方法はとくに限定されないが、アトマイズ法により製造するのが一般的である。アトマイズ法は気相中、液相中どちらで行ってもよく、目的とするはんだ粉の粒径や粒度分布等を考慮して選定すればよい。本発明のはんだ粉は、生産性が高く、比較的細かい粉末の製造ができる気相中アトマイズ法により製造した。以下、高周波溶解式の気相中アトマイズでのはんだ微粉製造について説明する。
ペースト用はんだ合金粉の製造方法はとくに限定されないが、アトマイズ法により製造するのが一般的である。アトマイズ法は気相中、液相中どちらで行ってもよく、目的とするはんだ粉の粒径や粒度分布等を考慮して選定すればよい。本発明のはんだ粉は、生産性が高く、比較的細かい粉末の製造ができる気相中アトマイズ法により製造した。以下、高周波溶解式の気相中アトマイズでのはんだ微粉製造について説明する。
気相中アトマイズ装置(日新技研株式会社製)を用いて、不活性ガス中でアトマイズを行った。不活性ガスを用いることにより、微粉が凝固する際の酸化を抑制でき、粉じん爆発等の恐れがなく安全に高品質の微粉を製造できる。まず、準備したはんだ母合金を高周波溶解るつぼに投入し、蓋をして密閉した後、窒素フローし、実質的に酸素が無い状態にした。同様に試料排出口や回収容器部分も窒素フローし酸素が無い状態にした。
高周波電源のスイッチを入れ、試料1〜15のはんだ母合金の各々に対して430℃以上に加熱し、十分溶融した状態にしてから母合金に窒素で圧力を加えてアトマイズした。作製したはんだ微粉は回収容器中で十分冷却後、大気中に取り出した。高温状態で取り出すと発火したり、はんだ微粉が酸化して濡れ性を下げてしまうため、十分、冷却後、取り出す必要があるからである。
(はんだペーストの製造)
次に、上記方法で作製したはんだ微粉を用いてはんだペーストを製造した。フラックスは、ベース材としてロジン、活性剤としてジエチルアミン塩酸塩((C2H5)2NH・HCl)、溶剤としてイソプロピルアルコールを用いた。それぞれの含有量はフラックス全体を100質量%として、ロジンが24質量%、ジエチルアミン塩酸塩が0.28質量%、残部をイソプロピルアルコールとして、フラックスを製造した。
次に、上記方法で作製したはんだ微粉を用いてはんだペーストを製造した。フラックスは、ベース材としてロジン、活性剤としてジエチルアミン塩酸塩((C2H5)2NH・HCl)、溶剤としてイソプロピルアルコールを用いた。それぞれの含有量はフラックス全体を100質量%として、ロジンが24質量%、ジエチルアミン塩酸塩が0.28質量%、残部をイソプロピルアルコールとして、フラックスを製造した。
そして、上記表1に示す試料1〜15のはんだ母合金からそれぞれ作製した15種類のはんだ微粉の各々に対して、上記フラックス9.2質量%、はんだ微粉90.8質量%の割合で小型ブレンダーを用いて混合してはんだペーストとした。なお、以降は、このようにして作製した15種類のはんだペーストの試料番号を、それぞれ使用したはんだ母合金の試料番号で表すことにする。これら試料1〜15のはんだペーストの各々に対して、下記に示す濡れ性(接合性)評価、及びヒートサイクル試験を行った。
<濡れ性(接合性)評価>
濡れ性(接合性)評価は、上記試料1〜15のはんだペーストを用いて行った。まず、濡れ性試験機(装置名:雰囲気制御式濡れ性試験機)を起動し、加熱するヒーター部分に2重のカバーをしてヒーター部の周囲4箇所から窒素を流した(窒素流量:各12L/分)。その後、ヒーター設定温度を各試料を含むはんだ合金の融点よりも30℃高い温度にして加熱した。
濡れ性(接合性)評価は、上記試料1〜15のはんだペーストを用いて行った。まず、濡れ性試験機(装置名:雰囲気制御式濡れ性試験機)を起動し、加熱するヒーター部分に2重のカバーをしてヒーター部の周囲4箇所から窒素を流した(窒素流量:各12L/分)。その後、ヒーター設定温度を各試料を含むはんだ合金の融点よりも30℃高い温度にして加熱した。
ヒーター温度が安定するのを確認した後、Cu基板(板厚:約2.3mm)をヒーター部にセッティングし、25秒加熱した。次に、各試料のはんだペーストを上記Cu基板の上に載せ、25秒加熱放置した。加熱が完了した後はCu基板をヒーター部から取り上げてその横の窒素雰囲気が保たれている場所に一旦移して冷却した。十分に冷却させた後、大気中に取り出して接合部分を確認した。はんだが薄く濡れ広がり金属の偏析等が見られなかった場合を「○」、はんだに細かい凸凹状の金属の偏析が見られた場合を「△」、大きな偏析があり2相に分かれてしまっている場合を「×」とした。
なお、はんだが薄く濡れ広がっていても偏析がある場合を「△」と評価した理由は、偏析が存在すると接合部に気泡が取り込まれ易くボイド発生率が高くなるからである。つまり、偏析が存在すると、はんだと基板の境界に接合できていない部分が多くなってしまったり、接合部の合金組成のバラツキが大きくなり接合強度の低下を招いてしまったりするからである。
<ヒートサイクル試験>
はんだ接合の信頼性を評価するためにヒートサイクル試験を行った。なお、この試験は、上記濡れ性評価と同様にして作製したはんだ合金が接合されたCu基板を用いて行った。まず、はんだ合金が接合されたCu基板に対して、−50℃の冷却と+150℃の加熱を1サイクルとして、これを所定のサイクル繰り返した。
はんだ接合の信頼性を評価するためにヒートサイクル試験を行った。なお、この試験は、上記濡れ性評価と同様にして作製したはんだ合金が接合されたCu基板を用いて行った。まず、はんだ合金が接合されたCu基板に対して、−50℃の冷却と+150℃の加熱を1サイクルとして、これを所定のサイクル繰り返した。
その後、はんだ合金が接合されたCu基板を樹脂に埋め込み、断面研磨を行い、SEM(装置名:HITACHI S−4800)により接合面の観察を行った。接合面に剥がれやはんだにクラックが入っていた場合を「×」、そのような不良がなく、初期状態と同様の接合面を保っていた場合を「○」とした。このヒートサイクル試験の評価結果を上記の濡れ性の評価と共に下記表2に示す。
上記表2から分かるように、本発明の要件を満たしている試料1〜10のはんだペーストは、全ての評価項目において良好な特性を示している。具体的には、濡れ性は良好であり、さらにヒートサイクル試験において500サイクル経過しても不良が発生しなかった。このように良好な結果が得られた理由は、合金組成を本発明の要件を満たすように調整し、かつフラックスと混合してペースト化したことにより、良好な接合性及び応力緩和性が得られたものと考えられる。
一方、本発明の要件を満たしていない比較例の試料11〜15のはんだペーストは、少なくともいずれかの特性において好ましくない結果となった。具体的には、濡れ性評価においては、試料11〜14に偏析が確認され、とくに試料11でははんだ合金が2相に分かれてしまっていて評価は「×」であった。さらに全ての比較例がヒートサイクル試験において500サイクルで不良が発生した。このように比較例である試料11〜15の評価結果が悪かった理由は、はんだペーストに含まれる合金組成が本発明の要件から外れていたためであると考えられる。
Claims (1)
- Zn系はんだ合金とフラックスとを含むZn系はんだペーストであって、前記Zn系はんだ合金は、その全量を100質量%として、Alを1.0質量%以上9.0質量%以下含有し、Mg及びGeのうちの少なくとも一方を含有し、Mgを含有する場合は0.1質量%以上4.0質量%以下、Geを含有する場合は0.05質量%以上6.0質量%以下含有し、残部が製造上、不可避に含まれる元素を除きZnからなることを特徴とするPbフリーZn系はんだペースト。
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