JP2014086384A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】電池性能を維持しつつ、過充電時には高い耐性を発揮し得る、信頼性の高い非水電解液二次電池を提供する。
【解決手段】本発明に係る非水電解液二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)は、正極と負極とを有する電極体と、ガス発生剤を含む非水電解液と、を電池ケース内に収容した構成である。上記電池ケースは、該ケースの内圧上昇時に作動する電流遮断機構を備えている。また、上記正極は、正極集電体と該集電体上に形成された少なくとも正極活物質を含む正極活物質層とを備えている。そして、上記正極活物質層の空隙率は28体積%以上であり、上記正極活物質層の最大頻度細孔径は0.3μm以上であり、且つ上記正極活物質層において細孔径が0.3μm以上の細孔が占める割合は、正極活物質層中の空隙全体を100体積%としたときに30体積%以上である。
【選択図】図6

Description

本発明は、非水電解液二次電池に関する。詳しくは、電池内圧の上昇によって作動する電流遮断機構を備えた非水電解液二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池その他の二次電池は、既存の電池に比べ、小型、軽量かつ高エネルギー密度であって出力密度にも優れる。このため近年、パソコンや携帯端末等のいわゆるポータブル電源や車両駆動用電源として好ましく用いられている。
このような非水電解液二次電池は、一般に電圧が所定の領域(例えば3.0V〜4.2V)に収まるよう制御された状態で使用されるが、誤操作等により電池に通常以上の電流が供給されると、充電深度(SOC:State of Charge)が100%を超えて過充電状態となる場合がある。電池が過充電状態になると非水電解液に含まれる非水溶媒等が電気分解されてガスを発生し、電池内の圧力が上昇することがある。そこで、これに対処するため、発生したガスを大気中に放出する放圧機構を備えた電池が提案されている。これに関する技術として、例えば特許文献1が挙げられる。特許文献1には、正極活物質層および/または負極活物質層の最も細孔容積が大きい細孔径を0.1μm〜10μmの範囲に調整することで、ガスの排出経路を確保し得、過充電時に発生したガスを放圧機構からスムーズに放出し得る旨が記載されている。
特開2005−267953号公報
ところで近年、過充電対策技術として、電解液中にガス発生剤を含み、且つ電池ケース内の圧力が所定値以上になると充電電流を遮断する電流遮断機構(CID:Current Interrupt Device)を備えた電池が提案されている。ガス発生剤は電池が過充電状態になると正極において速やかに酸化分解され、水素イオン(H)を生じる。そして、該水素イオンが電解液中に拡散して負極上で還元されることにより、水素ガス(H)が発生する。CIDは、上記過充電時に発生したガスを検知して電池の充電経路を切断することで、それ以上の過充電を防止し得るようになっている。
CIDをより早い段階で作動させるためには、過充電時に大量のガスを迅速に発生させる必要がある。しかしながら、本願発明者らの検討によれば、電池温度が比較的高い場合(例えば、50℃〜80℃になった場合)に、ガスの発生量が減少してCIDの作動が遅れる虞があった。より具体的には、図1に示すように、25℃(室温)の温度環境下ではSOC140%の状態で電池内圧がCIDの作動圧に達し、CIDを作動させることができるが、60℃の温度環境下では電池内圧の上昇が鈍く、SOCが160%近くにならないとCIDが作動しない場合があった。特許文献1の技術は、単に発生したガスを円滑に電極体外へ排気することを目的としているため、ガスの発生量自体を増加させることに関しては検討がなされていない。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電池内圧の上昇によって作動する電流遮断機構(CID)を備えた非水電解液二次電池であって、従来に比べ広範な温度域における信頼性が向上した非水電解液二次電池を提供することである。
本発明者らが過充電時のガス発生量を増加させることについて鋭意検討を重ねたところ、正極活物質層の細孔径と過充電時のガス発生量との相関が高いことが判明した。そこで更に検討を重ねた結果、上記課題を解決し得る手段を見出し、本発明を完成させた。
本発明により提供される非水電解液二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)は、正極と負極とを有する電極体と、ガス発生剤を含む非水電解液と、を電池ケース内に収容した構成である。上記電池ケースは、該電池ケースの内圧上昇時に作動する電流遮断機構(CID)を備えている。また、上記正極は、正極集電体と該集電体上に形成された少なくとも正極活物質を含む正極活物質層とを備えている。そして、上記正極活物質層は以下の(a)〜(c)の特性を全て満たしている。
(a)空隙率が28体積%以上である。
(b)最大頻度細孔径が0.3μm以上である。
(c)正極活物質層中の空隙全体を100体積%としたときに、細孔径が0.3μm以上の細孔が占める割合が30体積%以上である。
上記(a)〜(c)の特性を満たす正極活物質層では非水電解液が細孔内の隅々まで好適に浸漬し得、ガス発生剤と正極との接触面積を広く確保することができる。このため、過充電時には正極でガス発生剤を一気に酸化分解し得、迅速にガスを発生させることができる。また、正極近傍領域(例えばセパレータ細孔中)のガス発生剤が良好に正極に供給されることで、さらに多くのガス発生剤の分解反応が進み、大量のガスを発生させることができる。このため、本発明によれば過充電の初期段階で的確にCIDを作動させることができる。例えば電池の温度が比較的高い場合であっても、従来に比べより早い段階(例えばSOC140%程度の段階)でCIDを作動させることができ、すなわち従来に比べ広範な温度域において過充電時の信頼性が高い電池を提供することができる。
上記「最大頻度細孔径」は、一般的な水銀ポロシメータによって測定することができる。具体的には、先ず真空引きした状態で測定試料(例えば正極活物質層)を水銀に浸漬させる。この状態で水銀にかける圧力を高くしていくと、水銀はより小さい空間(細孔)へと徐々に浸入していく。このため、水銀にかけられる圧力と浸入した水銀の量との関係に基づいて、該正極活物質層中の空隙の大きさ(細孔径)とその容積(細孔容積)の分布を求めることができる。例えば、株式会社島津製作所製の水銀ポロシメータ「オートポアIII9410」を用いた場合、4psi〜60000psiの圧力範囲で測定を行うことによって、50μm〜0.003μmの範囲の細孔径に相当する空隙の容積分布を把握することができる。また、上記「空隙率」は、上記水銀ポロシメータの測定によって得られた全細孔容積(cm)を活物質層の見かけの体積(cm)で除して100を掛けることによって求めることができる。見かけの体積は、平面視での面積(cm)と厚み(cm)との積によって算出することができる。より具体的には、例えばまず測定対象たる正極シートを打ち抜き機やカッター等で正方形や長方形に切りだす。次に、上記切り出したサンプルの正極活物質層の平面視における面積(cm)と厚み(cm)とを計測し、これらの値を乗ずることにより見かけの体積を算出する。厚みは、例えばマイクロメータや厚み計(例えばロータリーキャリパー計)等により計測することができる。
なお、本明細書において「非水電解液二次電池」とは常温(例えば25℃)において液状を呈する非水電解液(典型的には、非水溶媒中に支持塩を含む電解液)を備えた電池をいう。また、「リチウムイオン二次電池」とは、支持塩としてリチウムイオンを利用し、正負極間のリチウムイオンの移動により充放電が実現される二次電池をいう。
上記正極活物質は、構成元素として少なくともタングステンを含むことが好ましい。構成元素として少なくともタングステンを含む正極活物質は、表面反応性や固相内でのイオンの拡散性に優れる。一般に正極活物質層では、空隙率が高くなると層内の抵抗が増大し、電池性能が低下する傾向にある。しかしながら、構成元素として少なくともタングステンを含む正極活物質を用いることで、表面反応性や正極活物質層内のリチウムイオン拡散性(移動性)を向上し得、高い電池性能を好適に維持し得る。なかでも特に、一部がタングステン元素によって置換されたリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を含むことが好ましい。かかる複合酸化物は、一部をタングステンで置換することにより結晶構造がより安定化され得る。このため、過充電時の信頼性と高い電池性能(例えば優れたエネルギー密度やサイクル特性)とを兼ね備えた電池を実現し得る。置換的なタングステンの割合は、W元素とNi元素とCo元素とMn元素との合計を100質量%としたときに、例えば0.01質量%以上5質量%以下(典型的には、0.05質量%以上2質量%以下)であり得る。上記を満たす場合、酸化物の結晶構造がより一層安定化され、本願発明の効果を高いレベルで発揮することができる。
上記非水電解液は、上記ガス発生剤としてシクロアルキルベンゼン化合物、ビフェニル化合物、アルキルビフェニル化合物を含むことが好ましい。なかでも特に、ビフェニルおよび/またはシクロアルキルベンゼンを含むことが好ましい。これらの化合物は共役系をとりやすく、電子授受が容易である。このため過充電時において大量のガスを迅速に発生させることができる。また、ガス発生剤はあまりに大量に添加すると電池の抵抗成分ともなり得るため、非水電解液100質量部に対し7質量部以下(典型的には3質量部〜7質量部、例えば3質量部〜5質量部)の添加量とすることが好ましい。
ここで開示される好適な一態様では、正極活物質層における最大頻度細孔径は0.5μm以上1.0μm以下である。最大頻度細孔径を上記範囲とすることで、正極活物質層内の導電性を良好に保つことができ、電池抵抗の増大を抑制し得る。このため、過充電時の信頼性と電池性能(例えばエネルギー密度や入出力密度)とを高いレベルで両立することができる。
上述の通り、ここで開示される非水電解液二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)は、電池性能を良好に保ちつつ、且つ過充電時には高い信頼性を発揮し得る。例えば、エネルギー密度や入出力密度が高く、且つ広範な温度域においてCIDが適切に作動し得る。したがって、かかる特徴を活かして、例えば車両の動力源(駆動電源)として好適に利用し得る。
電池SOCと電池内圧との関係を示したグラフである。 一実施形態に係る非水電解液二次電池の外形を模式的に示す斜視図である。 図2の非水電解液二次電池のIII−III線断面図である。 一実施形態に係る、非水電解液二次電池の捲回電極体の構成を示す模式図である。 水銀ポロシメータの測定によって得られた、正極活物質層の細孔分布曲線である。 正極活物質層の最大頻度細孔径(μm)と、ガス発生量(cm/Ah)との関係を示すグラフである。 正極活物質層の最大頻度細孔径(μm)と、電池抵抗(Ω)との関係を示すグラフである。
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
特に限定することを意図したものではないが、以下では本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池の概略構成として、扁平に捲回された電極体(捲回電極体)と非水電解液とを扁平な直方体形状(箱型)の容器に収容した形態の非水電解液二次電池を例として本発明を詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池の概略構成を図2〜図4に示す。図3に示すように、非水電解液二次電池100は、長尺状の正極シート10と長尺状の負極シート20とが長尺状のセパレータシート40を介して扁平に捲回された形態の電極体(捲回電極体)80が、図示しない非水電解液とともに、該捲回電極体80を収容し得る形状(扁平な箱型)の電池ケース50に収容された構成を有する。
≪電池ケース50≫
図2および図3に示すように、電池ケース50は、上端が開放された扁平な直方体状の電池ケース本体52と、その開口部を塞ぐ蓋体54とを備える。電池ケース50の上面(すなわち蓋体54)には、電池ケース内部で発生したガスをケースの外部に排出するための安全弁55が備えられている。蓋体54にはまた、捲回電極体80の正極シート10と電気的に接続する正極端子70と、該電極体80の負極シート20と電気的に接続する負極端子72と、が設けられている。電池ケース50の材質としては、例えば、アルミニウム、スチール等の金属材料;ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂材料;が挙げられる。なかでも、放熱性向上やエネルギー密度を高める目的から、比較的軽量な金属(例えばアルミニウムやアルミニウム合金)を好ましく採用し得る。また、該ケースの形状(容器の外形)は、例えば円形(円筒形、コイン形、ボタン形)、六面体形(直方体形、立方体形)、袋体形、およびそれらを加工し変形させた形状等であり得る。
≪電流遮断機構(CID)30≫
図3に示すように、電池ケース50の内部には、電池ケースの内圧上昇により作動する電流遮断機構30が設けられている。電流遮断機構30は、電池ケース50の内圧が上昇した場合に、少なくとも一方の電極端子(すなわち正極端子70および/または負極端子72)から電極体80に至る導電経路を切断することで充電電流を遮断し得るように構成されている。この実施形態では、電流遮断機構30は、蓋体54に固定した正極端子70と電極体80との間に設けられ、電池ケース50の内圧が上昇した場合に正極端子70から電極体80に至る導電経路を切断するように構成されている。
上記電流遮断機構30は、例えば導通部材を含み得る。この実施形態では、導通部材は、第一部材32と第二部材34とを備えている。そして、電池ケース50の内圧が上昇した場合に第一部材32および第二部材34の少なくとも一方(ここでは第一部材32)が変形して他方から離隔することにより上記導電経路を切断するように構成されている。この実施形態では、第一部材32は変形金属板32であり、第二部材34は上記変形金属板32に接合された接続金属板34である。変形金属板(第一部材)32は、中央部分が下方へ湾曲したアーチ形状を有し、その周縁部分が集電リード端子35を介して正極端子70の下面と接続されている。また、変形金属板32の湾曲部分33の先端が接続金属板34の上面と接合されている。接続金属板34の下面(裏面)には正極集電板74が接合され、かかる正極集電板74が電極体80の正極シート10に接続されている。このようにして、正極端子70から電極体80に至る導電経路が形成されている。
また、電流遮断機構30は、プラスチック等により形成された絶縁ケース38を備えている。絶縁ケース38は、変形金属板32を囲むように設けられ、変形金属板32の上面を気密に密閉している。この気密に密閉された湾曲部分33の上面には、電池ケース50の内圧が作用しない。また、絶縁ケース38は、変形金属板32の湾曲部分33を嵌入する開口部を有しており、該開口部から湾曲部分33の下面を電池ケース50の内部に露出させている。この電池ケース50の内部に露出した湾曲部分33の下面には、電池ケース50の内圧が作用する。
かかる構成の電流遮断機構30において、電池ケース50の内圧が高まると、該内圧が変形金属板32の湾曲部分33の下面に作用し、下方へ湾曲した湾曲部分33が上方へ押し上げられる。この湾曲部分33の上方への押し上げ力は、電池ケース50の内圧が上昇するに従い増大する。そして、電池ケース50の内圧が設定圧力を超えると、湾曲部分33が上下反転し、上方へ湾曲するように変形する。かかる湾曲部分33の変形によって、変形金属板32と接続金属板34との接合点36が切断される。このことにより、正極端子70から電極体80に至る導電経路が切断され、充電電流が遮断されるようになっている。
なお、この実施形態では、内圧上昇時に変形する導通部材が第一部材32と第二部材34とに分けて構成されている場合を例示したが、これに限定されず、例えば導通部材が1つの部材であってもよい。また、電流遮断機構30は正極端子70側に限らず、負極端子72側に設けてもよい。さらに、電流遮断機構30は、上述した変形金属板32の変形を伴う機械的な切断に限定されず、例えば電池ケース50の内圧をセンサで検知し、該センサで検知した内圧が設定圧力を超えると充電電流を遮断するような外部回路を電流遮断機構として設けることもできる。
≪捲回電極体80≫
本実施形態に係る捲回電極体80は、図4に示すように、捲回電極体80を組み立てる前段階において長尺状(帯状)のシート構造(シート状電極体)を有している。このような形態の捲回電極体80は、長尺状の正極集電体12の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って正極活物質層14が形成された正極シート10と、長尺状の負極集電体22の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って負極活物質層24が形成された負極シート20とを、長尺状のセパレータシート40とともに重ね合わせて長尺方向に捲回し、かかる捲回電極体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって作製し得る。捲回電極体80の捲回軸方向における中央部分には、捲回コア部分(すなわち正極シート10の正極活物質層14と負極シート20の負極活物質層24とセパレータシート40とが密に積層された部分)が形成される。また、捲回電極体80の捲回軸方向の両端部では、正極シート10および負極シート20の電極活物質層非形成部の一部がそれぞれ捲回コア部分から外方にはみ出ている。かかる正極側はみ出し部分および負極側はみ出し部分には、図3に示すように、正極集電板74および負極集電板76がそれぞれ付設され、正極端子70および負極端子72とそれぞれ電気的に接続されている。
≪正極シート10≫
正極シート10は、正極集電体12と、該正極集電体上に形成された少なくとも正極活物質を含む正極活物質層14とを備えている。このような正極シート10は、正極活物質と必要に応じて用いられる導電材やバインダ(結着剤)等とを適当な溶媒に分散させたペースト状またはスラリー状の組成物(正極活物質スラリー)を、長尺状の金属箔からなる正極集電体12に付与し、該スラリーを乾燥させることにより好ましく作製することができる。正極集電体12には、導電性の良好な金属(例えばアルミニウム、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性部材が好適に使用され得る。また、上記溶媒としては水性溶媒および有機溶媒のいずれも使用可能であり、例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いることができる。
正極活物質としては、従来から非水電解液二次電池に用いられる物質の1種または2種以上を特に限定することなく使用することができる。例えば、リチウムと少なくとも1種の遷移金属元素とを構成金属元素として含む、層状構造やスピネル構造等のリチウム遷移金属化合物;一般式:LiMAO(ここでMは、Fe,Co,NiおよびMnからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素であり、Aは、P,Si,SおよびVからなる群から選択される元素である。)で表される、ポリアニオン型(例えばオリビン型)のリチウム遷移金属化合物;等を用いることができる。このようなリチウム遷移金属酸化物としては、例えば、従来公知の方法で調製されるリチウム遷移金属酸化物粒子(粉末)をそのまま使用することができる。遷移金属元素としては、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)のうちの少なくとも1種を含むことが好ましく、その全て(すなわちNi,Co,Mn)を含むことがより好ましい。Li,Ni,CoおよびMnを構成元素として含むリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を主体とする正極活物質(典型的には、実質的にリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物からなる正極活物質)は熱安定性に優れ、且つ高エネルギー密度を実現し得ることから好ましい。
ここで、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物とは、Li,Ni,CoおよびMnのみを構成金属元素とする酸化物のほか、Li,Ni,CoおよびMn以外に他の少なくとも1種の金属元素(すなわち、Li,Ni,CoおよびMn以外の遷移金属元素および/または典型金属元素)を含む酸化物をも包含する意味である。かかる金属元素は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、鉄(Fe)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pb)、白金(Pt)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ランタン(La)、セリウム(Ce)のうちの1種または2種以上の元素であり得る。これらの金属元素の添加量(配合量)は特に限定されないが、0.01質量%〜5質量%(例えば0.05質量%〜2質量%、典型的には0.1質量%〜0.8質量%)とすることができる。これにより優れた電池性能(例えば、高エネルギー密度)を実現し得る。
ここで開示される好ましい一態様では、構成元素として少なくともタングステンを含む。なかでも特に、一部がタングステン元素によって置換されたリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を含むことが好ましい。かかる構成によれば正極活物質の結晶構造をより安定化し得、且つ該正極活物質を用いて形成された正極活物質層の表面反応性やリチウムイオン拡散性(移動性)を向上し得る。このため、本発明のように正極活物質層の空隙率が比較的高い場合であっても、過充電時の信頼性と高い電池性能とを兼ね備えた電池を実現し得る。
正極活物質の性状は特に限定されないが、例えば、平均粒径は20μm以下(典型的には0.1μm〜20μm、例えば0.5μm〜15μm、好ましくは1μm〜10μm)とすることができる。また、比表面積は0.1m/g以上(典型的には0.5m/g以上、例えば0.7m/g以上)であって、30m/g以下(典型的には20m/g以下、例えば10m/g以下)とすることができる。また、タップ密度は1.0g/cm〜2.8g/cm(典型的には1.5g/cm〜2.5g/cm)とすることできる。上記性状のうち1つまたは2つ以上を満たす正極活物質は、ここで開示される(a)〜(c)の特性を満たす正極活物質層を好適に実現し得る。すなわち、上記性状のうち1つまたは2つ以上を満たす正極活物質を用いることで、正極活物質層内に適度な空隙を保つことができ、正極活物質層内に非水電解液やガス発生剤を十分に浸潤させることができる。このため、優れた電池特性(例えば入出力特性)を発揮し得、且つ過充電時には迅速にガスを発生してCIDを作動させ得る電池を好適に実現することができる。なお、本明細書において「平均粒径」とは一般的なレーザー回折・光散乱法に基づく粒度分布測定により測定した体積基準の粒度分布おいて、微粒子側からの累積50%に相当する粒径(D50粒径、メジアン径ともいう。)をいう。また、本明細書において「比表面積」とは、窒素ガスを用いたBET法(例えば、BET一点法)によって測定された比表面積(BET比表面積)をいう。また、本明細書において「タップ密度」とは一般的なタッピング式の密度測定装置を用いて、JIS K1469に規定される方法により測定した値をいう。
導電材としては、例えば炭素材料を用いることができる。より具体的には、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック)、コークス、活性炭、黒鉛、炭素繊維(PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維)、カーボンナノチューブ等の炭素材料から選択される、1種または2種以上を用いることができる。なかでも、比較的粒径が小さく比表面積が大きいカーボンブラック(典型的には、アセチレンブラック)を好適に用いることができる。
バインダとしては、使用する溶媒に溶解または分散可能なポリマーを用いることができる。例えば、非水溶媒を用いた正極活物質スラリーにおいては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)等のハロゲン化ビニル樹脂;ポリエチレンオキサイド(PEO)等のポリアルキレンオキサイド;等を好ましく採用することができる。また、水性溶媒を用いた正極活物質スラリーにおいては、カルボキシメチルセルロース(CMC;典型的にはナトリウム塩)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等のセルロース系ポリマー;ポリビニルアルコール(PVA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂;スチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム類;を好ましく採用することができる。
正極活物質層全体に占める正極活物質の割合は、凡そ60質量%以上(典型的には60質量%〜99質量%)とすることが適当であり、通常は凡そ70質量%〜95質量%であることが好ましい。導電材を使用する場合、正極活物質層全体に占める導電材の割合は、例えば凡そ2質量%〜20質量%とすることができ、通常は凡そ3質量%〜10質量%とすることが好ましい。バインダを使用する場合、正極活物質層全体に占めるバインダの割合は、例えば凡そ0.5質量%〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜5質量%とすることが好ましい。
正極集電体12の単位面積当たりに設けられる正極活物質層14の質量は、充分な電池容量を確保する観点から、正極集電体の片面当たり3mg/cm以上(例えば5mg/cm以上、典型的には7mg/cm以上)とすることが適当である。また、電池特性(例えば入出力特性)を確保する観点から、正極集電体の片面当たり45mg/cm以下(例えば30mg/cm以下、典型的には20mg/cm以下)とすることが適当である。これにより、ここで開示される特性(a)〜(c)を満たす正極活物質層を好適に実現し得る。なお、この実施形態のように正極集電体12の両面に正極活物質層14を有する構成では、正極集電体12の各々の面に設けられる正極活物質層14の質量は、概ね同程度とすることが好ましい。
ここで開示される正極活物質層14の空隙率は、28体積%以上(例えば30体積%以上)であって、典型的には28体積%〜50体積%(例えば28体積%〜40体積%)である。正極活物質層14の空隙率が28体積%より低い場合、ガス発生剤の正極活物質層への供給が律速となり、或いはガス発生剤と正極との接触面積が減少し、ガスの発生が緩やかになる虞がある。また、正極活物質層14の空隙率が50体積%より高い場合、正極活物質層内の導電性が不十分となり抵抗が増大したり、正極活物質層の機械的強度(密着性)が不足してサイクル特性が悪化したりする虞がある。このため、上記範囲とすることで正極活物質層に非水電解液が好適に浸透し得、所望の容量を維持しつつ正極活物質層内の拡散抵抗を低く抑えることができる。換言すれば、上記範囲とすることで、例えばエネルギー密度と入出力特性とを高いレベルで両立可能な電池を実現し得る。また、かかる空隙はガス発生剤の供給経路となり得るため、過充電時には正極活物質層にガス発生剤が好適に供給され、迅速に大量のガスを発生させることができる。これにより、従来に比べて早期にCIDを作動させることができる。
ここで開示される正極活物質層14は、水銀ポロシメータで測定される細孔分布において、0.3μm以上(典型的には0.3μm〜1.6μm、好ましくは0.3μm〜1.25μm、より好ましくは0.5μm〜1μm)の領域に最大頻度細孔径を有する。最大頻度細孔径を0.3μm以上とするにより、非水電解液が正極活物質層の隅々まで好適に浸漬し得、ガス発生剤と正極との接触面積を広く確保することができる。このため、過充電時には正極でガス発生剤を一気に酸化分解し得、迅速にガスを発生させることができる。さらに、正極近傍領域(例えばセパレータ細孔中)のガス発生剤が良好に正極に供給されることで、さらに多くのガス発生剤の分解反応が進み、大量のガスを発生させることができる。加えて、最大頻度細孔径を1.6μm以下(好ましくは1.25μm以下、より好ましくは1μm以下)とすることで、正極活物質層内の導電性を良好に保つことができ、電池抵抗の増大を抑制し得る。このため、過充電時の信頼性と電池性能とをより高いレベルで両立することができる。最大頻度細孔径の細孔容量Vは特に限定されないが、例えば0.1cm/g以上(例えば0.15cm/g以上、典型的には0.2cm/g以上)であることが好ましい。これにより本発明の効果をより一層高いレベルで発揮することができる。
正極活物質層14の空隙全体に占める細孔径0.3μm以上の細孔の割合は、30体積%以上(典型的には30体積%〜80体積%、例えば30体積%〜70体積%、好ましくは30体積%〜60体積%、より好ましくは30体積%〜55体積%)である。細孔径が0.3μm以上の細孔が占める割合を30体積%以上とすることで、非水電解液が細孔内の隅々まで好適に浸漬し得、更にガス発生剤と正極との接触面積を広く確保することができる。このため、過充電時には正極でガス発生剤を一気に酸化分解し得、これを起点として迅速且つ大量にガスを発生させることができる。また、細孔径が0.3μm以上の細孔が占める割合が80体積%以下(好ましくは70体積%以下、より好ましくは60体積%以下)の正極活物質層では、優れた導電性や高エネルギー密度を実現し得る。このため、過充電時の信頼性と電池性能とを高いレベルで両立することができる。
細孔分布曲線の形状は、上記正極活物質層の性状(すなわち上記(a)〜(c)の特性)を満たす限りにおいて特に限定されず、最大頻度細孔径のピーク以外はブロードの形状をであってもよく、或いは最大頻度細孔径以外に1つ以上の変曲点(細孔容積の大きなピーク)を有していてもよい。図5に、水銀ポロシメータの測定によって得られた細孔分布曲線の一例を示す。例えば、例13に係る正極活物質層の細孔分布曲線では、1.57μm付近に最も容積の大きな最大頻度細孔径を有し、更に0.1μm付近に2番目に容積の大きな細孔径を有している。最大頻度細孔径の細孔容積Vと2番目に大きな細孔容積Vとの比(V/V)は特に限定されないが、典型的には1以上5以下(例えば1.5以上5以下)であり得る。
正極活物質層14の(a)〜(c)の特性は、正極活物質の性状(例えば粒径やタップ密度)や、上記正極活物質スラリーの乾燥後に適当なプレス処理を施すことによって好適に調整することができる。プレス処理には、ロールプレス法、平板プレス法等の従来公知の各種プレス方法を採用することができる。また、かかる処理は1回でもよく、2回以上の複数回行うこともできる。正極活物質層14の密度は特に限定されないが、1g/cm〜4g/cm(例えば1.5g/cm〜3.5g/cm、典型的には2g/cm〜3g/cm)程度とすることができる。上記範囲とすることで、過充電時の信頼性と電池性能(例えば高エネルギー密度)とを高いレベルで両立することができる。
≪負極シート20≫
負極シート20は、負極集電体22と、該負極集電体上に形成された少なくとも負極活物質を含む負極活物質層24とを備えている。このような負極シート20は、負極活物質と必要に応じて用いられるバインダ(結着剤)等とを適当な溶媒に分散させたペースト状またはスラリー状の組成物(負極活物質スラリー)を長尺状の金属箔からなる負極集電体22に付与し、該スラリーを乾燥させて負極活物質層24を形成することにより好ましく作製することができる。負極集電体22には、導電性の良好な金属(例えば、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性材料が好適に使用され得る。上記溶媒としては、水性溶媒および有機溶媒のいずれも使用可能であり、例えば水を用いることができる。
負極活物質としては、従来から非水電解液二次電池に用いられる物質の1種または2種以上の材料を特に限定することなく使用することができる。特に限定されるものではないが、例えば、天然黒鉛(石墨)、人造黒鉛、ハードカーボン(難黒鉛化炭素)、ソフトカーボン(易黒鉛化炭素)、カーボンナノチューブ等の炭素材料;酸化ケイ素、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化ニオブ、酸化錫、リチウムケイ素複合酸化物、リチウムチタン複合酸化物(Lithium Titanium Composite Oxide:LTO、例えばLiTi12、LiTi、LiTi)、リチウムバナジウム複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウム錫複合酸化物等の金属酸化物材料;窒化リチウム、リチウムコバルト複合窒化物、リチウムニッケル複合窒化物等の金属窒化物材料;スズ、ケイ素、アルミニウム、亜鉛、リチウム等の金属もしくはこれらの金属元素を主体とする金属合金からなる金属材料;等を用いることができる。なかでも、高いエネルギー密度が得られることから、黒鉛系の材料(典型的にはグラファイト)を好ましく採用し得る。負極活物質の形状は、通常、平均粒径0.5μm〜20μm(典型的には1μm〜15μm、例えば4μm〜10μm)程度の粒子状であることが好ましい。
バインダとしては、上記正極活物質層用のバインダとして例示したポリマー材料から適当なものを選択することができる。具体的には、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が例示される。その他、増粘剤、分散剤、導電材等の各種添加剤を適宜使用することもできる。
負極活物質層全体に占める負極活物質の割合は、凡そ50質量%以上とすることが適当であり、好ましくは90質量%〜99質量%(例えば95質量%〜99質量%)である。バインダを使用する場合には、負極活物質層全体に占めるバインダの割合を例えば凡そ1質量%〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜5質量%とすることが適当である。
負極集電体22の単位面積当たりに設けられる負極活物質層24の質量は、負極集電体の片面当たり5mg/cm〜20mg/cm(典型的には7mg/cm〜15mg/cm)程度とすることが適当である。なお、この実施形態のように負極集電体22の両面に負極活物質層24を有する構成では、負極集電体22の各々の面に設けられる負極活物質層24の質量は、概ね同程度とすることが好ましい。また、負極活物質層24の密度は、例えば0.5g/cm〜2g/cm(典型的には1g/cm〜1.5g/cm)程度とすることができる。負極活物質層24の空隙率は、例えば5体積%〜50体積%(好ましくは35体積%〜50体積%)程度とすることができる。負極活物質層の性状を上記範囲とすることで、非水電解液との界面を好適に保ち、サイクル特性と入出力特性とを高いレベルで両立させることができる。負極活物質層24の厚みや密度、空隙率は、例えば負極活物質スラリーの乾燥後、適当なプレス処理を施すことによって調整することができる。
≪セパレータシート40≫
正負極シート10、20間に配置されるセパレータシート40としては、一般的な非水電解液二次電池のセパレータと同様の各種多孔質シート等を用いることができる。好適例として、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂から成る多孔質樹脂シート(フィルム、不織布等)が挙げられる。かかる多孔質樹脂シートは、単層構造であってもよく、二層以上の複数構造(例えば、PE層の両面にPP層が積層された、すなわちPP/PE/PPの三層構造)であってもよい。多孔性樹脂シートの厚さは、例えば10μm〜40μm程度であることが好ましい。また、気孔率(空隙率)は20体積%〜90体積%(典型的には30体積%〜80体積%、好ましくは40体積%〜60体積%)程度であることが好ましい。なお、本明細書において「気孔率」とは、上記測定によって得られる気孔容積(cm)を見かけの体積(cm)で除して、100を掛けることにより算出した値をいう。
セパレータシート40は、上記多孔質シートの片面または両面(典型的には片面)に多孔質の耐熱層を備えた耐熱性セパレータであってもよい。この耐熱層は、例えば、無機フィラーとバインダとを含む層であり得る。無機フィラーとしては、例えばアルミナ、ベーマイト(組成式Al・HOで示されるアルミナ一水和物)、シリカ、チタニア、カルシア、マグネシア、ジルコニア、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等を好ましく採用し得る。無機フィラーの性状は、粒状、繊維状、フレーク状等の粉末状が好ましく、かかる粉末の平均粒径は、例えば0.05μm〜2μm(典型的には0.1μm〜2μm、好ましくは0.4μm〜0.7μm)程度であり得る。あるいは、平均粒径0.5μm〜5μmのフレーク状(板状)の無機フィラーを用いてもよい。耐熱層の厚さは、例えば1μm〜10μm程度であることが好ましい。
図3に示すような非水電解液二次電池100は、まず正極シート10とセパレータシート40と負極シート20と有する捲回電極体80を電池ケース本体52に収容し、次に上記電池ケース内にガス発生剤を含む所定量の非水電解液を注入し、そして電池ケース本体52の開口部を蓋体54との溶接等により封止することによって構築し得る。電池ケース本体52の封止プロセスや電解液の配置(注液)プロセスは、従来のリチウムイオン電池の製造で行われている手法と同様にして行うことができる。
≪非水電解液≫
非水電解液としては、非水溶媒中に支持塩を溶解または分散させたものを用いる。非水電解液は常温(例えば25℃)で液状を呈し、好ましくは電池の使用環境下(例えば0℃〜60℃の温度環境下)で常に液状を呈する。支持塩としては、一般的な非水電解液二次電池と同様のものを、適宜選択して使用することができる。例えば、リチウムイオン二次電池で用いられるリチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、Li(CFSON、LiCFSO等が例示される。このような支持塩は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。特に好ましい支持塩としてLiPFが挙げられる。また、非水電解液は上記支持塩の濃度が0.7mol/L〜1.3mol/Lの範囲内となるように調製することが好ましい。
非水溶媒としては、一般的な非水電解液二次電池の電解液に用いられる各種のカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の有機溶媒を、特に限定なく用いることができる。具体例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ビニレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン等が例示される。好ましい一態様として、カーボネート類を主体とする非水溶媒が挙げられる。なかでも比誘電率の高いECや、酸化電位が高い(電位窓の広い)DMCやEMC等を好適に用いることができる。例えば、非水溶媒として1種または2種以上のカーボネート類を含み、それらカーボネート類の合計体積が非水溶媒全体の体積の60体積%以上(より好ましくは75体積%以上、さらに好ましくは90体積%以上であり、実質的に100体積%であってもよい。)を占める非水溶媒を好ましく用いることができる。
≪ガス発生剤≫
上記非水電解液は、ガス発生剤を含んでいる。ガス発生剤としては、所定の電池電圧を超えた際に分解してガスを発生し得る化合物(すなわち、酸化電位(vs.Li/Li+)が正極の充電上限電位以上であって、かかる電位を超えて過充電状態となった場合に分解してガスを発生し得るような化合物)であれば、同様の用途で用いられているもののなかから1種または2種以上を特に限定することなく使用することができる。具体的には、ビフェニル化合物、アルキルビフェニル化合物、シクロアルキルベンゼン化合物、アルキルベンゼン化合物、有機リン化合物、フッ素原子置換芳香族化合物、カーボネート化合物、環状カルバメート化合物、脂環式炭化水素等の芳香族化合物が挙げられる。
より具体的な化合物(および該化合物の有する酸化電位(vs.Li/Li+))としては、ビフェニル(4.5V)、シクロヘキシルベンゼン(4.6V)、1−フルオロ−2−シクロヘキシルベンゼン(4.8V)、1−フルオロ−3−シクロヘキシルベンゼン(4.8V)、1−フルオロ−4−シクロヘキシルベンゼン(4.8V)、1−ブロモ−4−シクロヘキシルベンゼン(4.8V)、trans−ブチルシクロヘキシルベンゼン(4.6V)、シクロペンチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン(4.9V)、tert−ペンチルベンゼン(4.8V)、1−フルオロ−4−tert−ブチルベンゼン(4.9V)、1−クロロ−4−tert−ブチルベンゼン(4.9V)、1−ブロモ−4−tert−ブチルベンゼン(4.9V)、tert−ペンチルベンゼン(4.8V)、1−フルオロ−4−tert−ペンチルベンゼン(4.8V)、1−クロロ−4−tert−ペンチルベンゼン(4.8V)、1−ブロモ−4−tert−ペンチルベンゼン(4.8V)、tert−アミノベンゼン、ターフェニル、2−フルオロビフェニル、3−フルオロビフェニル、4−フルオロビフェニル、4,4’−ジフルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン、tris−(t−ブチルフェニル)ホスフェート(4.8V)、フェニルフルオライド(4.9V)、4−フルオロフェニルアセテート(4.7V)、ジフェニルカーボネート(4.9V)、メチルフェニルカーボネート(4.8V)、ビスターシャリーブチルフェニルカーボネート(4.7V)、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等が例示される。
例えば、正極の充電上限電位(vs.Li/Li+)が凡そ4.0〜4.3V程度に設定される電池では、ビフェニルやシクロヘキシルベンゼンを好ましく採用し得る。これらのガス発生剤は酸化電位が(vs.Li/Li+)が凡そ4.5〜4.6Vと比較的低いため、過充電の初期段階で酸化分解を生じ、速やかにガスを発生し得る。また、かかる化合物は共役系をとりやすく電子授受が容易であるため、過充電時に多量の水素ガスを発生し得る。したがって、CIDを迅速且つ的確に作動させることができ、電池の信頼性を一層高めることができる。
ガス発生剤の非水電解液中の濃度は特に限定されないが、CIDを作動させるのに十分なガス量を確保する観点からは、上記非水電解液100質量部に対して、凡そ1質量部以上が適当であり、好ましくは2質量部以上(より好ましくは3質量部以上)である。ただし、ガス発生剤は電池反応の抵抗成分となり得るため、過剰に添加した場合、入出力特性が低下する虞がある。かかる観点からは、ガス発生剤の添加量を凡そ7質量部以下、好ましくは5質量部以下(より好ましくは4質量部以下)に抑えることが適当である。例えば1質量部〜7質量部が適当であり、3質量部〜7質量部(特には3質量部〜5質量部)が好適である。
ここで開示される非水電解液二次電池(典型的にはリチウムイオン二次電池)は各種用途に利用可能であるが、高い電池性能と信頼性とを両立していることを特徴とする。従って、高いエネルギー密度や出力密度が要求される用途や、高い信頼性を要求される用途で好ましく用いることができる。かかる用途としては、例えば車両に搭載されるモーター用の動力源(駆動用電源)が挙げられる。車両の種類は特に限定されないが、例えばプラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)、電気トラック、原動機付自転車、電動アシスト自転車、電動車いす、電気鉄道等が挙げられる。なお、かかる非水電解液二次電池は、それらの複数個を直列および/または並列に接続してなる組電池の形態で使用されてもよい。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
<正極(例1〜例13)の作製>
正極活物質としてのLi[Ni0.33Co0.33Mn0.33]O粉末(以下「LNCM」と略称する場合がある。)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)とを、これらの材料の質量比がLNCM:PVdF:AB=94:3:3となり、且つ固形分濃度が約60質量%となるようにN−メチルピロリドン(NMP)と混合して、正極活物質層形成用のスラリー状組成物(正極活物質スラリー)を調製した。この正極活物質スラリーを、厚み凡そ15μmの長尺状アルミニウム箔(正極集電体)の片面に、目付量が10mg/cm(固形分基準)となるようにローラコート法で帯状に塗布して乾燥(乾燥温度120℃、1分間)することにより、厚み凡そ65μmの正極活物質層を形成し、正極シート(総厚み80μm)を得た。この正極シートをロールプレス機により圧延して、正極活物質層の空隙を調整した。これを、正極活物質層が縦4cm、横4cmとなるよう未塗工部(端部において露出した正極集電体)を有する形状で切り出し、例1〜例13の正極を作製した。
<正極(例14〜例16)の作製>
上記正極活物質として、Li1.15[Ni0.33Co0.33Mn0.330.005]O2粉末(以下「LNCMW」と略称する場合がある。)を用いたこと以外は例1と同様にして、例14〜例16の正極を作製した。
ここで、例1〜例16の正極シートの構成を表1に纏める。
〔正極活物質層の性状〕
水銀ポロシメータを用いて、上記作製した正極(より詳細には正極活物質層)の性状を測定した。典型例として図5に、例6、例12および例13の細孔分布曲線を示す。また、細孔分布測定の結果から得られた「空隙率(体積%)」、「最大頻度細孔径(μm)」、「0.3μm以上の細孔割合(体積%)」の値を表1のそれぞれの欄に示す。
Figure 2014086384
<負極の作製>
負極活物質としての天然黒鉛粉末(C、平均粒径:5μm、比表面積:3m/g)と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、これらの材料の質量比がC:SBR:CMC=98:1:1となり、且つ固形分濃度が約45質量%となるようにイオン交換水と混合して、負極活物質層形成用のスラリー状組成物(負極活物質スラリー)を調製した。この負極活物質スラリーを、厚み凡そ10μmの長尺状銅箔(負極集電体)の片面に、目付量が7mg/cm(固形分基準)となるようにローラコート法で帯状に塗布して乾燥(乾燥温度120℃、1分間)することにより、厚み凡そ80μmの負極活物質層を形成し、負極シート(総厚み90μm)を得た。この負極シートをロールプレス機により圧延して、負極活物質層の空隙率を42%、電極密度を1.3g/cmに調整した。これを、負極活物質層が縦4.4cm、横4.4cmとなるよう未塗工部(端部において露出した負極集電体)を有する形状で切り出し、計16枚の負極を作製した。
<電極体の作製>
次に、セパレータ基材として、ポリエチレン(PE)の両面にポリプロピレン(PP)が積層された三層構造であって、厚み20μm、気孔率48体積%の性状を有するものを用意した。この基材上に、アルミナとバインダとを含む耐熱層を厚さ5μmになるよう形成し、基材上に耐熱層を備えたセパレータシートを作製した。また正極シートと負極シートの未塗工部には、それぞれ集電体と同種の金属からなるシール付きリード(端子)を取り付けた。そして、正極シートと負極シートとをセパレータシートを介して対面に配置し、電極体を作製した。なお、ここではセパレータの耐熱層が正極活物質層と対向するように正極側に配置した。この電極体を、ラミネートフィルム(電池ケース)内に収容し、ラミネートフィルムの開口部から非水電解液(ここでは、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とをEC:DMC:EMC=3:3:4の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを1mol/Lの濃度で溶解させた非水電解液を用いた。)を注入し、さらにシクロヘキシルベンゼン(CHB)とビフェニル(BP)とを、上記非水電解液100質量部に対してそれぞれ2質量部となるよう注入した。その後、真空引きをしながらラミネートフィルムとリードのシール部位とを熱溶着し、ラミネートフィルムの開口部を気密に封口した。これを2枚のアルミ板で挟み込み、0.5MPaの圧力で拘束した状態の非水電解液二次電池(電池容量:25mAh)を構築した。構築した例1〜例16の非水電解液二次電池は、正極(具体的には正極活物質層の性状)のみが相互に異なっている。
[IV抵抗の測定]
上記構築した例1〜例16の電池に対して、25℃の温度環境下において適当なコンディショニング処理を行った。ここでは、正負極の端子間電圧が4.1Vに到達するまで25mA(1C)の定電流で充電(CC充電)した後、5分間休止し、端子間電圧が3Vに到達するまで25mA(1C)の定電流で放電(CC放電)を行う操作を3回繰り返した。その後、該電池のIV抵抗測定を行った。具体的には、25℃の温度環境下において、25mA(1C)でSOC50%の状態に調整した電池を3時間休止させた後、250mA(10C)でCC放電し、10秒後の電圧降下からIV抵抗を求めた。結果を表1の「電池抵抗(Ω)」の欄に示す。また、正極活物質層の空隙率が30体積%の例の最大頻度細孔径(μm)と電池抵抗(Ω)との関係を図7に示す。
表1および図7に示すように、最大頻度細孔径が大きくなるほど、電池抵抗は増大する傾向にあった。これは、正極活物質層内の空隙が大きく(広く)なるにつれ、粒子間の導電経路(導電パス)が形成され難くなったためと考えられる。したがって、電池性能の観点からは、最大頻度細孔径を1.6μm以下(典型的には1.25μm以下、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.6μm以下)に調整することが好ましいことが示された。これによって、正極活物質層内の導電性を良好に保つことができ、電池抵抗の増大を抑制することができる。
さらに、正極活物質の構成元素が異なり、且つ最大頻度細孔径がほぼ等しいもの同士(すなわち例9〜例11と例14〜例16と)を比較すると、正極活物質にタングステン元素を含む例14〜例16でより低い抵抗値を示していた。この理由として、タングステン元素を含む正極活物質の高い表面反応性やイオン拡散性が挙げられる。すなわち、正極活物質にタングステン元素を含む場合、最大頻度細孔径が大きくなることに付随する抵抗の増大を抑制し得、表面反応性や正極活物質層内のリチウムイオン拡散性(移動性)を好適に保持し得ることが示された。
[過充電試験(ガス発生量の測定)]
例1〜例16の電池について、25℃の温度環境下でアルキメデス法を用いてガス発生量の測定を行った。アルキメデス法とは、測定対象物(本例では、ラミネートシート型の電池)を媒液(例えば、蒸留水やアルコール等)に浸漬し、測定対象物が受ける浮力を測定することによって測定対象物の体積を求める手法である。具体的には、まず正負極の端子間電圧が3.0Vに到達するまで25mA(1C)の定電流で放電(CC放電)し、SOC0%の状態に調整した。SOC0%の電池を、はかりの上に置いた満水状態のビーカーに浸漬して重量を測定し、過充電試験前の電池の体積A(cm)を測定した。その後、該電池に対して正負極の端子間電圧が4.1Vに到達するまで25mA(1C)でCC充電した後、4.1Vで充電電流が2.5mA(0.1C)となるまでCV充電を行ってSOC100%の状態(満充電状態)に調整した。この満充電状態の電池を、さらに25mA(1C)でCC充電し、SOC140%の状態に調整した。そして、過充電状態(SOC140%)における電池の体積B(cm)を、アルキメデス法を用いて測定した。過充電状態の電池の体積A(cm)から、過充電状態の電池の体積B(cm)を差し引いて、過充電時のガス発生量(A−B(cm))を算出した。これを電池容量(25mAh)で除した結果を、表1の「ガス発生量(cm/Ah)」の欄に示す。また、最大頻度細孔径(μm)とガス発生量(cm/Ah)との関係を図6に示す。
発明者らの検討によれば、過充電の初期状態(例えばSOC140%の状態)でCIDを好適に作動させるためには、凡そ40cm/Ahのガスを必要する。これを念頭に、例1〜16の測定結果について検討する。表1および図6に示すように、正極活物質層の空隙率が20体積%(例1および例2)の場合、所望のガス量を発生させることは困難だった。この原因として、ガス発生剤の正極活物質層への供給が律速となり、或いはガス発生剤と正極との接触面積が減少し、ガスの発生が緩やかになったことが考えられる。これに対し、正極活物質層の空隙率が28体積%(例3〜例5)の場合、最大頻度細孔径を0.3μm以上とすることで所望のガス量を発生させることができた。また、正極活物質層の空隙率が30体積%(例6〜例11および例14〜例16)の場合、最大頻度細孔径を0.3μm以上、細孔径が0.3μm以上の細孔が占める割合を30体積%以上とすることで、所望のガス量を発生させることができた。特に、正極活物質がLNCMであって、且つ最大頻度細孔径が0.5μm〜0.9μmの範囲にある例9〜例11では、例えばSOC140%の状態において、60cm/Ah以上のガスを発生させることができた。さらに、正極活物質層の空隙率が40体積%(例12)、または50体積%(例13)の場合、全ての例で最大頻度細孔径が0.3μm以上、且つ細孔径が0.3μm以上の細孔が占める割合が30体積%以上となり、所望のガス量を発生させることができた。なお、例9〜例11に比べて、例12,例13でガス発生量が低下した理由としては、空隙率が増加したことによって正極活物質層内の導電性が低下し、反応性(すなわちガス発生剤の酸化分解速度)が低くなったことが考えられる。
したがって、正極活物質層の性状が、(a)空隙率:28体積%以上(特に好ましくは28体積%〜35体積%);(b)最大頻度細孔径が0.3μm以上(好ましくは0.5μm以上);(c)正極活物質層中の空隙全体を100体積%としたときに、細孔径が0.3μm以上の細孔が占める割合が30体積%以上;の3つの特性を満たすことで、過充電時に迅速且つ大量にガスを発生させ得ることが示された。
また、過充電時の信頼性と電池性能(例えばエネルギー密度や入出力密度)とを高いレベルで両立するためには、正極活物質層が以下の(a’)〜(c’)の特性を満たすことがより好ましいことが示された。かかる条件を満たす正極活物質層は、導電性や機械的強度に優れる。このため、本発明によれば、優れた電池特性を長期に渡り発揮し得、且つ過充電時の信頼性(耐久性)にも優れた非水電解液二次電池を実現し得る。
(a’)空隙率が28体積%以上(典型的には28体積%〜50体積%、好ましくは28体積%〜40体積%)である。
(b’)最大頻度細孔径が0.3μm以上(典型的には0.3μm〜1.6μm、好ましくは0.5μm〜1.25μm、より好ましくは0.5μm〜1μm、特に好ましくは0.6μm〜1μm)である。
(c’)正極活物質層中の空隙全体を100体積%としたときに、細孔径が0.3μm以上の細孔が占める割合が30体積%以上(典型的には30体積%〜80体積%、例えば30体積%〜70体積%、好ましくは30体積%〜60体積%、より好ましくは30体積%〜55体積%)である。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態は例示にすぎず、ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10 正極シート(正極)
12 正極集電体
14 正極活物質層
20 負極シート(負極)
22 負極集電体
24 負極活物質層
30 電流遮断機構(CID)
32 変形金属板(導通部材;第一部材)
33 湾曲部分
34 接続金属板(導通部材;第二部材)
35 集電リード端子
36 接合点
38 絶縁ケース
40 セパレータシート(セパレータ)
50 電池ケース
52 電池ケース本体
54 蓋体
55 安全弁
70 正極端子
72 負極端子
74 正極集電板
76 負極集電板
80 捲回電極体
100 非水電解液二次電池

Claims (5)

  1. 正極と負極とを有する電極体と、ガス発生剤を含む非水電解液と、を電池ケース内に収容した非水電解液二次電池であって、
    前記電池ケースは、該ケースの内圧上昇時に作動する電流遮断機構を備え、
    前記正極は、正極集電体と、該集電体上に形成された少なくとも正極活物質を含む正極活物質層と、を備え、
    ここで、前記正極活物質層の水銀圧入法に基づく空隙率は28体積%以上であり、
    前記正極活物質層の水銀圧入法に基づく最大頻度細孔径は0.3μm以上であり、且つ
    前記正極活物質層において細孔径が0.3μm以上の細孔が占める割合は、該正極活物質層中の空隙全体を100体積%としたときに、30体積%以上である、非水電解液二次電池。
  2. 前記正極活物質は、構成元素として少なくともタングステンを含む、請求項1に記載の非水電解液二次電池。
  3. 前記正極活物質は、一部がタングステン元素によって置換されたリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物であり、
    前記タングステンの割合は、W元素とNi元素とCo元素とMn元素との合計を100質量%としたときに、0.05質量%以上2質量%以下である、請求項1または2に記載の非水電解液二次電池。
  4. 前記ガス発生剤としてビフェニルおよび/またはシクロアルキルベンゼンを含み、且つ
    該ガス発生剤の添加量は、前記非水電解液100質量部に対し、3質量部以上7質量部以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池。
  5. 前記正極活物質層における最大頻度細孔径は0.5μm以上1.0μm以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池。
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