JP2014049390A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

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智行 水野
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秀明 藤田
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明宏 谷口
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Abstract

【課題】優れた電池特性と信頼性とを兼ね備えた非水電解液二次電池を提供すること。
【解決手段】非水電解液二次電池を製造する方法が提供される。かかる製造方法は、(S10)正極活物質と有機重合体からなるバインダと含む正極活物質層形成用組成物を用意すること;(S20)上記正極活物質層形成用組成物を正極集電体上に付与して乾燥させることにより、正極活物質層を形成すること;(S30)上記正極活物質層に水分を吸着させ、カールフィッシャー法によって検出される水分量が1000ppm〜1500ppmとなるよう調整すること;(S40)上記水分を吸着させた正極活物質層を上記バインダの融点以下の温度で乾燥させ、正極を得ること;(S50)上記正極を用いて非水電解液二次電池を構築すること;を包含する。
【選択図】図1

Description

本発明は、非水電解液二次電池および該電池の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池その他の非水電解液二次電池は、既存の電池に比べ、小型、軽量かつ高エネルギー密度であって、出力密度にも優れる。このため、パソコンや携帯端末等のいわゆるポータブル電源や、ハイブリッド車両等の車両駆動用電源等として好ましく用いられている。
非水電解液二次電池は一般に電圧が所定の領域(例えば3.0V〜4.2V)に収まるよう制御された状態で使用されるが、誤操作等により通常以上の電流が供給されると、所定の電圧を超えて過充電状態となる場合がある。そこで、かかる過充電に対処するため、電池ケース内の圧力が所定値以上になると充電電流を遮断する電流遮断機構(Current Interrupt Device:以下、単に「CID」ということがある。)を備えた電池が提案されている。一般に、電池が過充電状態になると電解液の非水溶媒等が電気分解され、ガスが発生する。上記CIDでは、このガスを検知して電池の充電経路を切断することでそれ以上の過充電を防止し得るようになっている。これに係る技術として、特許文献1が挙げられる。特許文献1には、電極活物質層内の最大頻度細孔径を調節することで、発生したガスの移動経路を確保し、CIDの作動能を向上し得る旨が記載されている。
特開2005−267953号公報 特開2008−282613号公報
ところで、車両駆動用電源等に用いられるような非水電解液二次電池では、性能向上の一環として、更なる高エネルギー密度化が検討されている。かかる高エネルギー密度化は、例えば電極活物質層の密度を高め、空隙の割合をより少なくすること(例えば35%以下にすること)によって実現し得る。しかし、このように電極活物質層の空隙が少ない電池では、電解液との接触面積(反応場)が限られるため、過充電時のガス発生が緩やかになる虞がある。本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた電池特性と過充電時の信頼性とを兼ね備えた非水電解液二次電池を提供することである。
上記ガス発生が緩やかになる原因について本発明者が種々検討したところ、特許文献1に記載されたような製造方法では、電極活物質層の形成に用いたバインダ(結着剤)によって該電極活物質層内の細孔の多くが塞がれてしまっていることが判明した。そこで本発明者は、更に検討を重ね、高い電池性能(例えば高エネルギー密度)を保持しつつも、ガス発生のための反応場を広く確保し得る方法を見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、電池ケースの内圧が上昇した際に作動する電流遮断機構を備えた非水電解液二次電池(典型的には、リチウムイオン二次電池)を製造する方法が提供される。かかる製造方法は、以下の工程:(1)少なくとも正極活物質と有機重合体からなるバインダと含む正極活物質層形成用組成物を用意すること;(2)上記正極活物質層形成用組成物を正極集電体上に付与して乾燥させることにより、正極活物質層を形成すること;(3)上記正極活物質層に水分を吸着させ、カールフィッシャー法によって検出される該正極活物質層の水分量が1000ppm〜1500ppmとなるよう調整すること;(4)上記水分を吸着させた正極活物質層を、バインダの融点以下の温度で乾燥させて、正極を得ること;(5)上記正極を用いて非水電解液二次電池を構築すること;を包含する。なお、上記(1)〜(4)は、正極集電体上に正極活物質層を備えた正極を作製する方法としても把握し得る。
本発明では、正極活物質層を形成した後に、該正極活物質層に水分を吸着させ再度乾燥させる。これによって、バインダとして用いた有機重合体(ポリマー)を好適に凝集させることができる。このため、例えば空隙の少ない(高エネルギー密度の)正極活物質層を形成した場合であっても、その後正極活物質層内に網目状のチャンネル(経路)を構築することができる。かかる正極活物質層には、好適に非水電解液が浸透し得る。したがって、ここで開示される製造方法により得られた電池は、低抵抗で入出力特性に優れ、且つ過充電時には大量のガスを発生し得る。さらに、発生したガスは上記網目状のチャンネルによって円滑に電極活物質層内から排出されるため、迅速にCIDを作動させることができる。このように、本発明によれば優れた電池特性(例えば、優れたエネルギー密度や優れた入出力密度)と、過充電時の耐性とを高いレベルで両立し得る、信頼性の高い非水電解液二次電池を提供することができる。
本明細書において「水分量」とは、水分気化法(加熱温度:120℃、加熱時間:30分)−カールフィッシャー滴定法によって検出される水分量をいう。より具体的には、先ず乾燥した窒素ガス雰囲気下において、所定の条件で(120℃の温度で30分間)測定試料を加熱し、該測定試料中に含まれる水分を気化させる。そして、気化させた水分をカールフィッシャー滴定法(典型的には電量滴定法)で定量することにより、測定試料中の水分量を求め得る。かかる水分気化法では、加熱条件を変えることによって、異なる結合力を有する水分(例えば付着水、結晶水、化合水等)を各々定量することができる。ここで開示される条件では、100℃付近で発生する水分、すなわち比較的弱い結合力(例えば分子間力やファンデルワールス力)で測定試料の表面に付着している付着水を主に検出し得る。なお、本明細書において「ppm」とは、質量分率すなわちppm(質量/質量)をいう。
本明細書において「非水電解液二次電池」とは常温(例えば25℃)において液状を呈する非水電解液(典型的には、非水溶媒中に支持塩を含む電解液)を備えた電池をいう。また、「リチウムイオン二次電池」とは、支持塩としてリチウムイオンを利用し、正負極間のリチウムイオンの移動により充放電が実現される二次電池をいう。
なお、正極活物質や正極活物質層の水分量を制御することによって、電池特性を向上させ得る従来技術としては、特許文献2が挙げられる。例えば、特許文献2には、正極活物質層の水分量(水分気化における加熱温度は、250℃〜350℃)を1000〜6000ppmの間に制御することによって、正極と負極の分極のバランスを良好に保ち、サイクル特性を向上し得る旨が記載されている。しかしながら、上記加熱条件では、測定試料の表面に付着している付着水と、結晶構造の内部に含まれる水分とを区別することが困難である。また、例えば電池構築時に多くの付着水を含む場合は、該水分と非水電解液とが反応しフッ酸を生成し得る。これによって正極活物質からの構成元素(典型的には遷移金属元素)の溶出が加速され得るため、内部抵抗が増大する虞がある。他方、結晶構造の内部に多くの水分を含む場合は、結晶構造が不均一となり得る。例えば正極活物質中に欠陥層が入ることで、単位重量当たりの容量が低下する虞がある。
ここで開示される製造方法の好ましい一態様では、正極活物質として層状構造またはスピネル構造のリチウム遷移金属複合酸化物(より好ましくは、層状構造のリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物)を用いる。リチウム遷移金属酸化物は理論容量が高いため、一層高い電池特性(例えば高エネルギー密度)を実現することができる。したがって、優れた電池特性と過充電時の信頼性とをより一層高いレベルで両立することができる。
ここで用いられるバインダとしての有機重合体は、水分と反応して、硬化等の不具合を生じ得る。したがって、正極活物質層の形成に用いられる材料(例えば正極活物質、導電材、溶媒等)の水分は、より低い(例えば使用する正極活物質に含まれる水分量が300ppm以下である)ことが好ましい。これにより、均質な正極活物質層を安定的に形成することができる。また、上記と同様の理由から、正極活物質層形成用組成物の用意および正極活物質層の形成は、露点が−30℃以下の環境で行うことが好ましい。
ここで開示される製造方法の好ましい一態様では、正極活物質層の形成は、空隙率が35%以下(典型的には25%〜35%、例えば29%〜33%)となるよう行う。正極活物質層内の空隙率が従来に比べて低い場合、電解液との接触面積(反応場)が狭められ、過充電時に所望のガス量を発生させることが難しい。しかし、ここで開示される技術によれば、過充電時にも大量のガスを発生させ得、過充電時の信頼性を確保し得る。すなわち、正極活物質層の空隙率が低い場合に本発明の適用が特に有用である。
ここで開示される製造方法の好ましい一態様では、上記正極活物質層への水分の吸着は、温度20℃〜30℃、相対湿度50%〜100%に制御された恒温恒湿層内に5時間以下(例えば、凡そ1時間〜3時間)保持することによって行い得る。かかる方法によれば、所定の湿度環境下に比較的短時間保持するという簡便な作業によって、正極(より具体的には正極活物質層)に好適な量の水分を付与することができる。このため作業効率や製造コストの観点からも好ましい。
ここで開示される製造方法の好ましい一態様では、上記水分を吸着させた正極活物質層の乾燥は、カールフィッシャー法によって検出される該正極活物質層の水分量が400ppm以下(好ましくは350ppm以下、より好ましくは320ppm以下)となるまで行う。これにより、電解液と水分との反応を好適に抑制することができ、内部抵抗の低い非水電解液二次電池を構築し得る。したがって、優れた電池特性(例えば電池容量やサイクル特性)と過充電時の信頼性とをより一層高いレベルで両立することができる。上記水分を吸着させた正極活物質層の乾燥は、例えば50℃〜100℃の加熱乾燥炉によって行い得る。
ここで開示される製造方法の好ましい一態様では、上記非水電解液二次電池の構築に用いられる非水電解液は、所定の電池電圧を超えた際に分解してガスを発生し得るガス発生剤を含む。そして、上記ガス発生剤の添加量は、上記非水電解液100質量%に対し、0.5質量%〜3質量%(好ましくは0.5質量%〜2質量%)である。ガス発生剤は、過充電時に好適に酸化分解され、大量の水素ガスを発生させ得る。したがって、電解液中にガス発生剤を添加することによって、CIDをより一層迅速に作動させることができ、過充電時における該電池の信頼性をより一層高め得る。ガス発生剤の添加は内部抵抗(典型的には電荷移動抵抗)増加の要因ともなり得るが、上記範囲を満たす場合、かかる抵抗の増加が低く抑えられ優れた電池特性を維持し得る。したがって、上記製造方法によれば、優れた電池特性と過充電時のより一層高い信頼性(過充電時の耐性)とを兼ね備えた非水電解液二次電池を製造することができる。
ここで開示される製造方法によれば、優れた電池特性と高い信頼性とを兼ね備えた非水電解液二次電池が提供される。したがって、ここで開示される非水電解液二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)は、高い電池特性や安全性が要求される車両駆動用電源等で好適に使用し得る。
一実施形態に係る非水電解液二次電池の製造方法を示すフロー図である。 一実施形態に係る非水電解液二次電池の外形を模式的に示す斜視図である。 図2の非水電解液二次電池のIII−III線断面図である。 一実施形態に係る非水電解液二次電池の捲回電極体の構成を示す模式図である。 水分供給工程(S30)における水分供給時間(h)と、該水分供給工程後の正極活物質層の水分量(ppm)との関係を表すグラフである。 正極活物質層の水分量(ppm)と、透過光強度(%)との関係を表すグラフである。 正極活物質層の水分量(ppm)と、IV抵抗(mΩ)との関係を表すグラフである。 正極活物質層の水分量(ppm)と、過充電時のガス発生量(cm/Ah)との関係を表すグラフである。
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
ここで開示される非水電解液二次電池の製造方法は、図1のフロー図に示すように、以下の工程を包含する。
(S10;調製工程)少なくとも正極活物質と有機重合体からなるバインダと含む正極活物質層形成用組成物を用意すること
(S20;形成工程)上記正極活物質層形成用組成物を正極集電体上に付与して乾燥させることにより、正極活物質層を形成すること
(S30;水分供給工程)上記正極活物質層に水分を吸着させ、カールフィッシャー法によって検出される該正極活物質層の水分量が1000ppm〜1500ppmとなるよう調整すること
(S40;乾燥工程)上記水分を吸着させた正極活物質層を、上記バインダの融点以下の温度で乾燥させて、正極を得ること
(S50;電池構築工程)上記正極を用いて非水電解液二次電池を構築すること
なお、上記(S10)〜(S40)は、正極集電体上に正極活物質層を備えた正極を作製する方法としても把握し得る。以下、各工程について順に説明する。
≪S10;調製工程≫
ここで開示される製造方法では、先ず、正極活物質と、バインダと、必要に応じて用いられる任意の材料(図1に示す例では、導電材)とを用意し、これら材料を所定の非水溶媒中で混練することによって正極活物質層形成用組成物を調製する。混練には、例えば、ボールミル、ロールミル、ミキサー、ディスパー、ニーダ等の従来公知の種々の攪拌・混合装置を適宜用いることができる。混練時の固形分濃度は特に限定されないが、例えば50質量%〜80質量%(好ましくは55質量%〜65質量%、より好ましくは55質量%〜60質量%)とすることができる。混練における好ましい混練時間は、上記材料が溶媒中に均等に分散するまでの時間とすればよい。装置構成や混練条件によっても異なり得るが、混練時間は通常は10分〜3時間であり、作業効率の観点から、好ましくは10分〜30分である。また、上記材料を混練する順序は特に限定されず、一度に全ての材料を溶媒中に投入してもよく、何度かに分けて(例えば一種の材料を溶媒中に添加して分散させた後に、他の材料を添加し分散させて)行ってもよい。
<正極活物質>
正極活物質としては、従来から非水電解液二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。例えば、リチウムニッケル系酸化物(典型的にはLiNiO)、リチウムコバルト系酸化物(典型的にはLiCoO)、リチウムマンガン系酸化物(典型的にはLiMn)、リチウム鉄系酸化物(典型的にはLiFeO)等のリチウム元素と少なくとも1種の遷移金属元素(好ましくはニッケル、コバルトおよびマンガンのうちの少なくとも1種)とを構成金属元素として含む、層状構造またはスピネル構造の酸化物;リン酸マンガンリチウム(典型的にはLiMnPO)、リン酸鉄リチウム(典型的にはLiFePO)等のリチウム元素と遷移金属元素とを構成金属元素として含む、オリビン構造のリン酸塩;等が挙げられる。リチウム遷移金属酸化物は理論容量が高いため、より一層高い電池特性(例えば高エネルギー密度)を実現することができる。したがって、優れた電池特性と過充電時の信頼性とをより一層高いレベルで両立することができる。
なかでも、構成元素としてリチウム元素、ニッケル元素、コバルト元素およびマンガン元素を含む、層状構造(典型的には、六方晶系に属する層状岩塩型構造)のリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えば、LiNi1/3Co1/3Mn1/3)を主成分とする正極活物質(典型的には、実質的にリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物からなる正極活物質)は、熱安定性に優れ、且つ他の化合物に比べて理論エネルギー密度が高いため好ましく用いることができる。なお、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物は、水分を含むと該水分と反応して性能(例えば単位重量当たりの容量)が低下し得る。このため、正極活物質として該複合酸化物を用いる場合には、湿度が低い状態で保持された環境(ドライ環境。典型的には露点が−20℃以下(好ましくは−30℃以下)の環境、例えば水分量が凡そ350ppm以下の環境。)で本工程を行うことが好ましい。
ここで、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物とは、Li、Ni、Co、Mnを構成金属元素とする酸化物のほか、Li、Ni、Co、Mn以外に他の少なくとも一種の金属元素(Li、Ni、Co、Mn以外の遷移金属元素および/または典型金属元素)を含む酸化物をも包含する意味である。かかる金属元素は、例えば、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、鉄(Fe)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pb)、白金(Pt)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ランタン(La)、セリウム(Ce)のうちの一種または二種以上の元素であり得る。また、リチウムニッケル酸化物、リチウムコバルト酸化物、及びリチウムマンガン酸化物についても同様である。上記置換的な構成元素の量は、特に限定されないが、例えば、当該置換元素とNiとCoとMnとの合計100質量%に対し、0.05質量%以上(典型的には0.1質量%以上、例えば0.2質量%以上)であって、5質量%以下(典型的には3質量%以下、例えば2.5質量%以下)とすることができる。
また、例えば、一般式:xLi[Li1/3Mn2/3]O・(1−x)LiMeO(前式中、Meは1種または2種以上の遷移金属であり、xは0<x≦1を満たす)で表されるような、いわゆる固溶型のリチウム過剰遷移金属酸化物を用いることもできる。
このような化合物は、従来公知の方法で調製することができる。より具体的には、例えば、先ず目的の正極活物質の組成に応じて選択される原料化合物(例えばリチウム源と遷移金属元素源と)を所定の割合で混合し、この混合物を適切な手段によって焼成する。そして、得られた焼成物を適宜粉砕、造粒、分級することによって、調製することができる。かかる化合物の性状は特に限定されないが、例えば、粒径は20μm以下(典型的には0.1μm〜20μm、例えば3μm〜15μm、好ましくは3μm〜10μm)の粒子状(粉末状)とすることができる。また、比表面積は0.1m/g以上(典型的には0.5m/g以上、例えば1m/g以上)であって、30m/g以下(典型的には20m/g以下、例えば10m/g以下)とすることができる。さらに、嵩密度は1〜4g/cm(典型的には1.5〜3g/cm、好ましくは1.8〜2.4g/cm)とすることができる。上述した性状(粒径、比表面積、嵩密度)のうち一または二以上を満たす化合物を用いることにより、緻密で導電性の高い正極活物質層を形成し得る。また、かかる化合物を用いて形成した正極活物質層内には適度な空隙が保持され、非水電解液が好適に浸透し得る。このため、正極活物質層内の抵抗をより低く抑えることができ、さらには過充電時においてより大量のガスを迅速に発生させることができる。
なお、本明細書において「粒径」とは、特記しない限り、一般的なレーザー回折・光散乱法に基づく粒度分布測定により測定した体積基準の粒度分布において、微粒子側からの累積50%に相当する粒径(D50粒径、メジアン径ともいう。)をいう。また、本明細書において「比表面積」とは、窒素ガスを用いたBET法(例えば、BET一点法)によって測定された比表面積(BET比表面積)をいう。また、本明細書において「嵩密度」とは、JIS K1469(2003)に規定された方法により測定された値をいう。
<導電材>
導電材としては、従来から非水電解液二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。例えば、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック等)、コークス、活性炭、黒鉛(天然黒鉛およびその改質体、人造黒鉛)、炭素繊維(PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維)、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン等の導電性炭素材料から選択される、一種または二種以上であり得る。なかでも特に、カーボンブラック(典型的には、アセチレンブラック)を好ましく用いることができる。あるいは金属繊維(例えばAl繊維、ステンレス鋼(SUS)繊維等)、導電性金属粉末(例えばAg、Ni、Cu等の金属粉末)、金属酸化物(例えばZnO、SnO等)、金属で表面被覆した合成繊維等であってもよい。
このような導電材の性状は特に限定されないが、一般には一次粒子の粒径が小さいものほど比表面積が広く、正極活物質層内の導電パスを保つのに有利である。上述した導電性炭素材料の場合、該炭素材料を構成する一次粒子の粒径は、凡そ1nm〜500nm(例えば凡そ10nm〜200nm、典型的には凡そ15nm〜100nm)の範囲にあることが好ましい。なお、上記「一次粒子の粒径」としては、電子顕微鏡(走査型または透過型のいずれも使用可能である。好ましくは透過型電子顕微鏡)写真により少なくとも30個以上(例えば30〜100個)の一次粒子を観察し、得られた粒径の算術平均値を採用することができる。また、上記と同様の理由から、比表面積は、25m/g〜1000m/g(典型的には50m/g〜500m/g、好ましくは50m/g〜200m/g、例えば50m/g〜100m/g)の範囲にあることが好ましい。さらに、嵩密度は0.01〜0.5g/cm(典型的には0.05〜0.3g/cm、好ましくは0.1〜0.2g/cm)とすることができる。上記範囲とすることで、正極活物質層内の導電性と、高エネルギー密度とを高いレベルで両立し得る。
<バインダ>
バインダとしては、混練に使用する溶媒に溶解または分散が可能なものであれば、従来から非水電解液二次電池に用いられる種々の有機重合体(ポリマー)のうち、一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重含体(PFA)等のハロゲン化ポリマー;ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタリロニトリル等のニトリル系ポリマー;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のポリアルキル(メタ)アクリレートおよびその誘導体;ポリアミドイミド、ポリイミド等のイミド系ポリマー;ポリエチレンオキサイド(PEO)等のエチレン系ポリマー;ポリビニルアルコール(PVA)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル系ポリマー;ポリウレタン等のウレタン系ポリマー;アルキルトリメチルアンモニウム塩;等を用いることができる。
上記のなかでも特に、極性を有するポリマーを好ましく用い得る。ポリマーの性質はかかるポリマーを構成するモノマー(単量体)によって決定され得るため、換言すれば、モノマー中に極性基を有する(すなわちモノマー内の分極が大きい)ポリマーを好ましく採用し得る。このようなポリマーは、後述する水分供給工程(S30)において高分子鎖(典型的には主鎖)が適度に切断され、より重合度の低いものとなり得る。したがって、正極活物質層内に網目状のチャンネル(経路)をより一層好適に構築することができる。上記極性基としては、例えば、フッ素や塩素等のハロゲン原子を含む官能基;アミノ基、アミド基、イミド基等の窒素含有基;カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、エーテル基、エステル基等の酸素含有基;等が挙げられる。このようなモノマーを有するポリマーとしては、上記ハロゲン化ポリマー、イミド系ポリマー等が挙げられる。
バインダの重量平均分子量は、15万以上(例えば25万以上)であることが好ましい。ここで開示される技術では、電極活物質層の形成後に水分の付与および乾燥を行うことで、バインダ(高分子鎖)が適度に切断され凝集を生じ得る。一般にバインダは重量平均分子量が大きいほど密着性に優れ、且つ電解質成分を好適に確保し得る。このため、重量平均分子量が15万以上のバインダを用いることによって、凝集後においても優れた保液性を発揮し得、且つ空隙構造を長期的に維持し得る。重量平均分子量の上限は、特に制限されないが、例えば200万以下を目安とすることができる。重量平均分子量が200万を大きく超えると組成物の粘度が高くなりすぎて混練等の作業が困難となり得る。このため、高分子量バインダの重量平均分子量は、例えば15万〜200万(典型的には25万〜100万)であり得る。なお、かかる重量平均分子量(Mw)としては、ゲル浸透クロマトグラフィ(Gel Permeation Chromatography:GPC)−示差屈折率検出器(Refractive Index:RI)により得られた分子量分布から、以下の式(I)を用いて算出された値を用いることができる。式(I)において、Mはi番目に溶出した成分の分子量であり、Wはi番目に溶出した成分の重量であり、Wは成分の総重量であり、Hはi番目に溶出した成分のピークの高さである。
Mw=Σ(M×W)/W=Σ(M×H)/ΣH (I)
ここで用いられるバインダは、正極活物質の形成に用いられる材料に含まれる水分や、取り扱う雰囲気中の水分(湿度)と反応して、硬化等の不具合を生じ得る。したがって、バインダ以外の材料(例えば正極活物質、導電材、溶媒等)に含まれる水分量は、より低く抑えることが好ましい。例えば含水量が300ppm以下(好ましくは200ppm以下、より好ましくは150ppm以下)の材料を好ましく使用し得る。これにより、均質な正極活物質層を安定的に形成し得る。上記と同様の理由から、本工程(S10)は、湿度が非常に低い状態で保持された環境(ドライ環境)、例えばクリーンルーム、ドライルーム、ドライベンチ、グローブボックスにて行うことが好ましい。ドライ環境内は、例えば、乾燥空気やアルゴン等の不活性ガスで充填されている。好ましい一態様では、本工程で得られた正極活物質層形成用組成物に含まれる水分は、500ppm以下(典型的には400ppm以下、例えば350ppm以下)であり得る。
正極活物質層全体に占める正極活物質の割合は、凡そ50質量%以上とすることが適当であり、通常は凡そ80質量%〜95質量%であることが好ましい。導電材を使用する場合、正極活物質層全体に占める導電材の割合は、例えば凡そ2質量%〜20質量%とすることができ、通常は凡そ2質量%〜10質量%とすることが好ましい。バインダを使用する場合、正極活物質層全体に占めるバインダの割合は、例えば凡そ0.5質量%〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜5質量%とすることが好ましい。
<溶媒>
溶媒としては、例えば従来から非水電解液二次電池の製造に用いられている非水溶媒(有機溶剤)のうち一種または二種以上を用いることができる。例えば、アミド系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アミン系溶剤、エーテル系溶剤、ニトリル系溶剤、環状エーテル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤等用いることができる。より具体的には、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−プロパノール、エタノール、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、プロペン酸メチル、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、アセトニトリル、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、トリクロロメタン、ジクロロエタン等が挙げられ、典型的にはNMPを用いることができる。
なお、ここで調製される組成物には、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、各種添加剤(例えば、過充電時にガスを発生させ得る無機化合物や分散剤として機能し得る材料)等を必要に応じて添加し得る。過充電時にガスを発生させ得る化合物としては、炭酸塩(例えば、炭酸リチウム)等が挙げられる。上記分散剤としては、疎水性鎖と親水性基をもつ高分子化合物(例えばアルカリ塩、典型的にはナトリウム塩);硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩等を有するアニオン性化合物;アミン等のカチオン性化合物;等が挙げられる。
≪S20;正極活物質層の形成工程≫
ここで開示される製造方法では、次に、上記用意した正極活物質層形成用組成物を用いて、正極活物質層を形成する。かかる正極活物質層の形成工程は、例えば図1に示すように、以下の工程を包含し得る。
(S22;付与工程)上記調製した正極活物質層形成用組成物を正極集電体上に付与し、正極活物質層を形成すること
(S24;乾燥工程)上記正極活物質層を形成した正極を乾燥し、溶媒等を除去すること
(S26;圧延工程)上記正極を圧延(プレス)すること
なお、調製工程(S10)と同様の理由から、本工程(S20)も、湿度が非常に低い状態で保持された環境にて行うことが好ましい。
<S22;付与工程>
上記調製した正極活物質層形成用組成物を正極集電体の表面に付与し、正極活物質層を形成する。これにより正極活物質層を備えた正極を作製することができる。かかる正極活物質層形成用組成物の付与には、例えばスリットコーター、ダイコーター、コンマコーター、グラビアコーター、ディップコーター等の従来公知の塗布装置を用いることができる。該組成物の付与は正極集電体の表裏(両面)に行ってもよいし、いずれか一方の面(片面)に行ってもよい。正極集電体の単位面積当たりに付与する正極活物質層形成用組成物の質量(正極集電体の両面に正極活物質層を有する構成では両面の合計質量。)は特に限定されないが、例えば10mg/cm〜40mg/cm程度(典型的には10mg/cm〜30mg/cm)とすることができる。
正極集電体としては、導電性の良好な金属(例えばアルミニウム、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性部材が好ましく用いられる。集電体の形状は構築される電池の形状等に応じて異なり得るため特に限定されないが、例えば棒状体、板状体、箔状体、網状体等を用いることができる。なお、後述する捲回電極体を備えた電池では、主に箔状体が用いられる。箔状集電体の厚みは特に限定されないが、電池の容量密度と集電体の強度との兼ね合いから5μm〜50μm(より好ましくは8μm〜30μm)程度のものを用いることができる。
<S24;乾燥工程>
上記正極活物質層を形成した正極を乾燥し、溶媒等を除去する。乾燥手法としては、例えば例えば熱風乾燥装置、低湿風乾燥装置、真空乾燥装置、各種赤外線乾燥装置、電磁誘導乾燥装置、マイクロ波乾燥装置、ドライエアー等や、送風、減圧、加熱等の乾燥促進手段を単独または組み合わせて用いることができる。乾燥の条件(例えば乾燥温度や所要時間)は、正極活物質層形成用組成物の固形分率や該正極活物質層の形成厚み等に応じて適宜決定することが好ましい。乾燥温度は、特に限定されないが、例えば凡そ200℃以下(典型的には80℃以上200℃未満)とすることができる。また、乾燥時間は、特に限定されないが、例えば数十秒〜数分(典型的には10秒〜10分)程度とすることができる。
<S26;圧延工程>
ここで開示される好ましい一態様では、上記正極に圧延(プレス)処理を施し、正極活物質層の厚みや密度を調整する。プレス処理には、例えばロールプレス法、平板プレス法等、従来公知の各種プレス方法を採用することができる。プレス処理後の正極活物質層の厚み(正極集電体の両面に正極活物質層を有する構成では片面あたりの厚み)は、例えば40μm以上(典型的には45μm以上)であって、100μm以下(典型的には80μm以下)とすることができる。また、プレス処理後の正極活物質層の密度は、2g/cm以上(典型的には2.5g/cm以上、例えば2.6g/cm以上)であって、4g/cm以下(典型的には3g/cm以下、例えば2.9g/cm以下)とすることができる。さらに、プレス処理後の正極活物質層の空隙率は、通常5体積%〜40体積%であり、典型的は20体積%〜40体積%(例えば25%〜35%、好ましくは29%〜33%)とすることができる。上記範囲を満たす正極活物質層は、高い電池特性(例えば高いエネルギー密度や出力密度)を維持しつつ、リチウムイオンの拡散抵抗を低く抑えることができる。このため、非水電解液二次電池の入出力特性とエネルギー密度とを高いレベルで両立させることができる。一般に、正極活物質層の密度が従来に比べて高い場合、該正極活物質層内の空隙が少なくなり得る。このため、電解液との接触面積が狭くなりがちであり、過充電時に所望のガス量を発生させることが難しい。したがって、このような電池では本発明の適用が特に有用である。
≪S30;水分供給工程≫
ここで開示される製造方法では、次に、上記形成した正極活物質層に水分を吸着させ、該正極活物質層の水分量が1000ppm〜1500ppmとなるよう調整する。これによって、バインダの高分子鎖(典型的には主鎖)が適度に切断され、より重合度の低い高分子(ポリマー)の形態となり得る。正極への水分の供給方法は特に限定されないが、例えば一定の温度と湿度に保たれた恒温恒湿槽内に該正極を一定時間保持することによって行うことができる。かかる方法によれば、所定の湿度環境下に所定の時間保持(放置)するという簡便な作業によって、正極(より具体的には正極活物質層)に好適な量の水分を付与することができる。このため作業効率や製造コストの観点からも好ましい。なお、ここで「正極に水分が供給される環境」とは、少なくとも上記正極活物質層の形成工程(S20)後の正極活物質層以上に水分濃度の高い(水分のある)環境を指す。より具体的には、温度が20℃〜30℃であって、相対湿度が10%以上(典型的には30%以上、例えば40%以上、好ましくは50%以上)且つ100%以下(典型的には95%以下、例えば80%以下)の環境であり得る。換言すれば、露点温度が−10℃以上(典型的には5℃以上、例えば10℃以上)であって、25℃以下(典型的には24℃以下、例えば23℃以下)の環境であり得る。
そして、かかる環境で保持する時間(すなわち本工程に要する時間)を適宜調節することで、正極活物質層の水分量が1000ppm〜1500ppmとなるように水分を吸着させる(含ませる)ことができる。好適な保持時間は、正極の曝される環境(温湿度等)や正極活物質層を構成する材料の親水性の度合い、該正極活物質層の厚みや密度等によっても異なり得る。したがって水分の供給に要する時間は、実際に正極活物質層からサンプルを採取して、従来公知の手法によって水分量を測定し、決定することが好ましい。あるいは、簡単な予備実験等を行うことにより適切な保持時間を予測することができる。なお、水分の供給に際しては、かかる供給を促進し得るような操作(例えば、真空引き等による圧力の付与や加熱)を適宜併用することもできる。あるいは、正極活物質層の表面に直接水を噴霧(スプレー)した後に一定時間保持する方法を採用することもできる。
ここで開示される好ましい一態様では、上記正極活物質層への水分の吸着は、温度20℃〜30℃(例えば25℃)、相対湿度50%〜100%(露点温度5℃以上25℃以下)に制御された恒温恒湿層内に5時間以下保持することによって行う。なお、温度や湿度が制御されていない環境下(例えば大気中)で本工程を行った場合は、再現性が得られず、上記正極活物質層の水分量をかかる範囲内に安定的に調整することは極めて困難である。したがって、ここで開示される正極を得るためには、本工程のような何らかの特別な工程を経ることが必要である。
≪S40;乾燥工程≫
ここで開示される製造方法では、次に、上記水分が供給された正極を、所定の温度で乾燥させる。かかる乾燥には既に上述した手法を適宜用いることができ、なかでも上記乾燥装置のうち加熱機能を有するものを好ましく用いることができる。乾燥時の温度はバインダの融点以下であれば特に限定されないが、典型的には40℃以上(例えば50℃以上、好ましくは60℃以上)であって200℃以下(例えば150℃以下、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下)であり得る。なお、バインダの融点は、例えばJIS K 7121の規定に準じた示差走査熱量測定(Differential scanning calorimetry;DSC)により把握することができる。また、本工程に要する時間(乾燥時間)は、正極活物質層の厚みや密度、上記水分供給工程(S30)後の正極活物質層の水分吸着量等によっても異なり得るため特に限定されないが、例えば2時間以上(典型的には5時間以上、例えば10時間以上)であって、240時間以下(典型的には120時間以上、例えば100時間以下)とすることができる。好ましくは、実際に正極活物質層からサンプルを採取して従来公知の手法によって水分量を測定し、乾燥時間を決定する。なお、本工程(S40)では乾燥を促進し得るような操作(例えば、真空引き等による圧力の付与や風速1〜15m/秒程度の送風)を適宜併用することもできる。
ここで開示される好ましい一態様では、上記水分を吸着させた正極活物質層の乾燥は、正極活物質層の水分量が400ppm以下となるまで行う。これにより、非水電解液と水分との反応を抑制することができ、内部抵抗の低い非水電解液二次電池を構築し得る。したがって、優れた電池特性(例えば電池容量やサイクル特性)と過充電時の信頼性とをより一層高いレベルで両立することができる。上記水分を吸着させた正極活物質層の乾燥は、例えば50℃〜100℃(例えば60℃〜80℃)の加熱乾燥炉によって行うことができる。
なお、水分の検出方法としてここではカールフィッシャー法を用いたが、例えば従来公知の示差熱−熱重量同時測定(Thermogravimetry−Differential Thermal
Analysis;TG−DTA)の手法によっても、概ね同等の値を得ることができる。より具体的には、一般的なTG−DTAの装置を用いて、酸素ガス(O)雰囲気下において所定の昇温速度(例えば10℃/min)で測定対象(正極活物質層)を120℃まで昇温し、かかる際の重量減少(ppm(重量比))から水分以外の要因に係る重量減少分を差し引くことで、水分(脱水)量を算出することができる。
≪S50;電池構築工程≫
そして、上記作製した正極を用いて、非水電解液二次電池を構築する。ここで開示される非水電解液二次電池は、典型的には、正極と負極を有する電極体と、非水電解液と、が所定の電池ケース内に収容された構成である。以下、かかる電池の構成要素について順に説明する。
<負極>
ここで開示される非水電解液二次電池の負極は、負極集電体と、該負極集電体上に形成された少なくとも負極活物質を含む負極活物質層と、を備えている。負極集電体としては、導電性の良好な金属(例えば、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性材料を好ましく用いることができる。また負極集電体の形状は正極集電体と同様であり得る。
負極活物質としては、従来から非水電解液二次電池に用いられる物質の一種または二種以上の材料を特に限定することなく使用することができる。特に限定されるものではないが、例えば、天然黒鉛(石墨)、人造黒鉛、ハードカーボン(難黒鉛化炭素)、ソフトカーボン(易黒鉛化炭素)、カーボンナノチューブ等の炭素材料;酸化ケイ素、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化ニオブ、酸化錫、リチウムケイ素複合酸化物、リチウムチタン複合酸化物(Lithium Titanium Composite Oxide:LTO、例えばLiTi12、LiTi、LiTi)、リチウムバナジウム複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウム錫複合酸化物等の金属酸化物材料;窒化リチウム、リチウムコバルト複合窒化物、リチウムニッケル複合窒化物等の金属窒化物材料;スズ、ケイ素、アルミニウム、亜鉛、リチウム等の金属もしくはこれらの金属元素を主体とする金属合金からなる金属材料;等を用いることができる。なかでも、高いエネルギー密度が得られることから、黒鉛系の材料(典型的にはグラファイト)を好ましく採用し得る。
バインダとしては、上記正極活物質層用のバインダとして例示したポリマー材料から適当なものを選択することができる。具体的には、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が例示される。その他、分散剤や導電材等の各種添加剤を適宜使用することもできる。
負極活物質層全体に占める負極活物質の割合は、凡そ50質量%以上とすることが適当であり、好ましくは90質量%〜99質量%(例えば95質量%〜99質量%)である。バインダを使用する場合には、負極活物質層全体に占めるバインダの割合を例えば凡そ1質量%〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜5質量%とすることが適当である。
このような負極は、例えば、負極活物質と必要に応じて用いられる任意の材料(例えばバインダ等)とを所定の溶媒中で混練することによって調製した負極活物質層形成用組成物をシート状の負極集電体に付与し、該組成物を乾燥させて負極活物質層を形成することにより好ましく作製することができる。上記溶媒としては、水系溶媒および有機溶媒のいずれも使用可能であり、例えば水を用いることができる。負極活物質層形成用組成物の調製方法、負極活物質層の形成方法、乾燥方法等は、上述した正極の場合と同様の手法であり得る。また、混練時の固形分濃度は特に限定されないが、例えば40質量%〜65質量%(好ましくは45質量%〜55質量%、より好ましくは45質量%〜50質量%)とすることができる。
負極集電体の単位面積当たりに設けられる負極活物質層の質量(負極集電体の両面に負極活物質層を有する構成では両面の合計質量)は、例えば5mg/cm〜20mg/cm(典型的には5mg/cm〜10mg/cm)程度とすることが適当である。負極集電体の両面に負極活物質層を有する構成において、負極集電体の各々の面に設けられる負極活物質層の質量は、通常、概ね同程度とすることが好ましい。負極活物質層の密度は、例えば0.5g/cm〜2g/cm(典型的には1g/cm〜1.5g/cm)程度とすることができる。負極活物質層の密度を上記範囲とすることで、非水電解液との界面を好適に保ち、耐久性(サイクル特性)と入出力特性とを高いレベルで両立させることができる。
そして、典型的には上記負極に適宜プレス処理を施すことによって、負極活物質層の厚みや密度を調整することができる。プレス処理後の負極活物質層の厚み(負極集電体の両面に負極活物質層を有する構成では片面あたりの厚み)は、例えば40μm以上(典型的には50μm以上)であって、100μm以下(典型的には80μm以下)とすることができる。また、プレス処理後の負極活物質層の密度は特に限定されないが、例えば1g/cm以上(典型的には1.1g/cm以上)であって、2g/cm以下(典型的には1.5g/cm以下)とすることができる。上記範囲を満たす場合、従来に比べ高いエネルギー密度を実現することができる。
<電極体>
上記作製した正極と負極とが積層され、電極体が作製される。かかる電極体の形状は特に限定されないが、例えば、長尺状の正極集電体上に所定の幅の正極活物質層が該集電体の長手方向に沿って形成されている長尺状の上記正極と、長尺状の負極集電体上に所定の幅の負極活物質層が該集電体の長手方向に沿って形成されている長尺状の上記負極と、が積層され捲回されてなる捲回電極体の形状とすることができる。上記構成により高容量化を実現し得る。
特に限定するものではないが、上記正極活物質の単位質量当たりの理論容量(mAh/g)と該正極活物質の質量(g)との積で算出される正極容量(C(mAh))と、上記負極活物質の単位質量当たりの理論容量(mAh/g)と該負極活物質の質量(g)との積で算出される負極容量(C(mAh))と、の比(C/C)は、通常、例えば1.0〜2.0とすることが適当であり、1.2〜1.9(例えば1.7〜1.9)とすることが好ましい。対向する正極容量と負極容量の割合は、電池容量(または不可逆容量)やエネルギー密度に直接的に影響し、電池の使用条件等(例えば急速充電)によってはリチウムの析出を招き易くなる。対向する正負極の容量比を上記範囲とすることで、電池容量やエネルギー密度等の電池特性を良好に維持しつつ、リチウムの析出を好適に抑制することができる。
<セパレータ>
ここで開示される非水電解液二次電池の典型的な構成では、正極と負極との間にセパレータが介在される。このセパレータとしては、一般的な非水電解液二次電池用(例えば、リチウムイオン二次電池用)のセパレータと同様のものを特に限定なく用いることができる。例えば、ポリエチレン(polyethylene:PE)、ポリプロピレン(polypropylene:PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂からなる多孔質シート(フィルム、不織布等)を用いることができる。好適例として、1種または2種以上のポリオレフィン樹脂を主体に構成された単層または多層構造の多孔性シート(微多孔質樹脂シート)が挙げられる。例えば、PEシート、PPシート、PE層の両側にPP層が積層された三層構造(PP/PE/PP構造)のシート等を好適に使用し得る。また、セパレータの総厚みは、例えば、凡そ10μm〜40μmの範囲内で設定することが好ましい。
<非水電解液>
非水電解液としては、非水溶媒中に支持塩(リチウムイオン二次電池ではリチウム塩。)を溶解または分散させたものが用いられる。
上記支持塩としては、一般的な非水電解液二次電池と同様のものを、適宜選択して使用することができる。例えば、リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiFePO、LiClO、LiAsF、Li(CFSON、LiCFSO等が例示され、る。このような支持塩は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。特に好ましい支持塩としてLiPFが挙げられる。また、非水電解液は、例えば上記支持塩の濃度が0.7mol/L〜1.3mol/Lの範囲内となるように調製することが好ましい。
上記非水溶媒としては、一般的な非水電解液二次電池の電解液に用いられる各種のカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の有機溶媒を、特に限定なく用いることができる。具体例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ビニレンカーボネート(VC)、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。なお、上記カーボネート類とは、環状カーボネートおよび鎖状カーボネートを包含する意味であり、上記エーテル類とは、環状エーテルおよび鎖状エーテルを包含する意味である。このような非水溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
好ましい一態様として、カーボネート類を主体とする非水溶媒が挙げられる。電解液としてかかる非水溶媒を含む場合、後述するセルの充電時において負極活物質表面に良質な被膜を形成し得るため、好ましい。なかでも比誘電率の高いECや、酸化電位が高い(電位窓の広い)DMCやEMC等を好適に用いることができる。例えば、非水溶媒として一種または二種以上のカーボネート類を含み、それらカーボネート類の合計体積が非水溶媒全体の体積の60体積%以上(より好ましくは75体積%以上、さらに好ましくは90体積%以上であり、実質的に100体積%であってもよい。)を占めるものを好ましく用いることができる。
<ガス発生剤>
好ましい他の一態様では、上記非水電解液は、所定の電池電圧を超えた際に分解してガスを発生し得る添加剤(ガス発生剤)を含んでいる。ガス発生剤としては、所定の電池電圧を超えた際に分解してガスを発生し得る化合物(すなわち、酸化電位(vs.Li/Li+)が正極の充電上限電位以上であって、かかる電位を超えて過充電状態となった場合に分解してガスを発生し得るような化合物)であれば、同様の用途で用いられているもののなかから1種または2種以上を特に限定することなく使用することができる。具体的には、ビフェニル化合物、アルキルビフェニル化合物、シクロアルキルベンゼン化合物、アルキルベンゼン化合物、有機リン化合物、フッ素原子置換芳香族化合物、カーボネート化合物、環状カルバメート化合物、脂環式炭化水素等の芳香族化合物が挙げられる。
より具体的な化合物(および該化合物の有する酸化電位(vs.Li/Li+))としては、ビフェニル(4.5V)、シクロヘキシルベンゼン(4.6V)、1−フルオロ−2−シクロヘキシルベンゼン(4.8V)、1−フルオロ−3−シクロヘキシルベンゼン(4.8V)、1−フルオロ−4−シクロヘキシルベンゼン(4.8V)、1−ブロモ−4−シクロヘキシルベンゼン(4.8V)、trans−ブチルシクロヘキシルベンゼン(4.6V)、シクロペンチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン(4.9V)、tert−ペンチルベンゼン(4.8V)、1−フルオロ−4−tert−ブチルベンゼン(4.9V)、1−クロロ−4−tert−ブチルベンゼン(4.9V)、1−ブロモ−4−tert−ブチルベンゼン(4.9V)、tert−ペンチルベンゼン(4.8V)、1−フルオロ−4−tert−ペンチルベンゼン(4.8V)、1−クロロ−4−tert−ペンチルベンゼン(4.8V)、1−ブロモ−4−tert−
ペンチルベンゼン(4.8V)、tert−アミノベンゼン、ターフェニル、2−フルオロビフェニル、3−フルオロビフェニル、4−フルオロビフェニル、4,4’−ジフルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン、tris−(t−ブチルフェニル)ホスフェート(4.8V)、フェニルフルオライド(4.9V)、4−フルオロフェニルアセテート(4.7V)、ジフェニルカーボネート(4.9V)、メチルフェニルカーボネート(4.8V)、ビスターシャリーブチルフェニルカーボネート(4.7V)、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等が例示される。
例えば、正極の充電上限電位(vs.Li/Li+)が凡そ4.0〜4.3V程度に設定される電池では、ビフェニルやシクロヘキシルベンゼンを好ましく採用し得る。これらのガス発生剤は凡そ4.5〜4.6Vに酸化電位(vs.Li/Li+)を有する。すなわち、正極の充電上限電位より0.2〜0.6V高い酸化電位を有するため、過充電の初期段階において速やかに酸化分解を生じ、迅速にガスを発生し得る。また、かかる化合物は共役系をとりやすく電子授受が容易であるため、過充電時に多量の水素ガスを発生し得る。したがって、電流遮断機構をより迅速且つ的確に作動させることができ、過充電時における該電池の信頼性を一層高めることができる。
ガス発生剤の非水電解液中の濃度は特に限定されないが、過充電防止機構を作動させるのに十分なガス量を確保する観点からは、上記非水電解液100質量%に対して、凡そ0.1質量%以上が適当であり、好ましくは0.5質量%以上である。ただし、ガス発生剤は電池反応の抵抗成分となり得るため、過剰に添加した場合、入出力特性が低下する虞がある。かかる観点からは、該ガス発生剤の量を凡そ5質量%以下、好ましくは4質量%以下に抑えることが適当である。例えば0.1質量%〜5質量%が適当であり、0.1質量%〜4質量%(好ましくは0.5質量%〜3質量%、特には0.5質量%〜2質量%)が好適である。
ここで開示される技術における非水電解液は、本発明の効果を大きく損なわない限度で、上述した支持塩やガス発生剤、非水溶媒以外の成分を適宜含有することもできる。かかる任意成分の一例として、例えばビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)等の被膜形成剤;カルボキシメチルセルロース(CMC)等の分散剤;増粘剤;等の各種添加剤が挙げられる。
<電池ケース>
電池ケースとしては、従来から非水電解液二次電池に用いられる材料や形状を用いることができる。該ケースの材質としては、例えば、アルミニウム、スチール等の金属材料;ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂材料;が挙げられる。なかでも、放熱性向上やエネルギー密度を高める目的から、比較的軽量な金属(例えば、アルミニウムやアルミニウム合金)を好ましく採用し得る。また、該ケースの形状(容器の外形)は特に限定されず、例えば、円形(円筒形、コイン形、ボタン形)、六面体形(直方体形、立方体形)、袋体形、およびそれらを加工し変形させた形状等であり得る。なお、ここで開示される電池ケースには電流遮断機構(電池の過充電時に、内圧の上昇に応じて電流を遮断し得る安全機構)が設けられている。
電流遮断機構としては、電池ケース内の圧力の上昇に応じて(すなわち、内圧の上昇を作動のトリガーとして)電流を遮断し得るものであれば特に限定されず、この種の電池に設けられる電流遮断機構として従来知られているいずれかのものと同様の機構を適宜採用することができる。一例として、図3に示すような構成を採用することができる。かかる例では、電池ケースの内圧が上昇した際に電極端子から電極体に至る導電経路を構成する部材が変形し他方から離隔することによって導電経路を切断するように構成されている。
なお、非水電解液の注液や電池ケースの封止等には、従来の非水電解液二次電池と同様の手法を適宜採用することができる。また、電池構築後に、コンディショニング(初期充放電)、ガス抜き、品質検査等の操作を必要に応じて適宜行うことができる。
特に限定することを意図したものではないが、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池の概略構成として、扁平に捲回された電極体(捲回電極体)と、非水電解液と、を扁平な直方体形(角形)の容器に収容した形態の非水電解液二次電池(単電池)を例とし、図2〜4にその概略構成を示す。
図2は、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池100の外形を模式的に示す斜視図である。また図3は、上記図2に示した非水電解液二次電池のIII−III線に沿う断面構造を模式的に示す図である。本実施形態に係る非水電解液二次電池100は、捲回電極体80と、電池ケース(外容器)50とを備える。この電池ケース50は、上端が開放された扁平な直方体形状(角形)の電池ケース本体52と、その開口部を塞ぐ蓋体54とを備える。電池ケース50の上面(すなわち蓋体54)には、捲回電極体80の正極シート10と電気的に接続する正極端子70、および該電極体80の負極シート20と電気的に接続する負極端子72が設けられている。また、蓋体54には電池ケース内部で発生したガスをケースの外部に排出するための安全弁55が備えられている。
図3に示すように、電池ケース50の内部には、長尺状の正極シート10と長尺状の負極シート20とが長尺状のセパレータシート40を介して扁平に捲回された形態の電極体(捲回電極体)80が、(図示しない)非水電解液とともに収容されている。そして、正極シート10の端部(すなわち正極活物質層14の非形成部分)および負極シート20の端部(すなわち負極活物質層24の非形成部分)には、正極集電板74および負極集電板76がそれぞれ付設されており、上述の正極端子70および負極端子72とそれぞれ電気的に接続されている。
また、電池ケース50の内部には、電池ケースの内圧上昇により作動する電流遮断機構30が設けられている。なお、電流遮断機構30は、電池ケース50の内圧が上昇した場合に少なくとも一方の電極端子から電極体80に至る導電経路(例えば、充電経路)を切断するように構成されていればよく、特定の形状に限定されない。図3に示す実施形態では、電流遮断機構30は蓋体54に固定した正極端子70と電極体80との間に設けられ、電池ケース50の内圧が上昇した場合に正極端子70から電極体80に至る導電経路を切断するように構成されている。より具体的には、上記電流遮断機構30は例えば第一部材32と第二部材34とを含み得る。そして、電池ケース50の内圧が上昇した場合に第一部材32および第二部材34の少なくとも一方が変形して他方から離隔することにより上記導電経路を切断するように構成されている。図3に示す実施形態では、第一部材32は変形金属板であり、第二部材34は上記変形金属板32に接合された接続金属板である。変形金属板(第一部材)32は、中央部分が下方へ湾曲したアーチ形状を有し、その周縁部分が集電リード端子35を介して正極端子70の下面と接続されている。また、変形金属板32の湾曲部分33の先端が接続金属板34の上面と接合されている。接続金属板34の下面(裏面)には正極集電板74が接合され、かかる正極集電板74が電極体80の正極10に接続されている。このようにして、正極端子70から電極体80に至る導電経路が形成されている。
電流遮断機構30は、また、プラスチック等により形成された絶縁ケース38を備えている。該絶縁ケース38は変形金属板32を囲むように設けられ、変形金属板32の上面を気密に密閉している。この気密に密閉された湾曲部分33の上面には電池ケース50の内圧が作用しない。また、絶縁ケース38は変形金属板32の湾曲部分33を嵌入する開口部を有しており、該開口部から湾曲部分33の下面を電池ケース50の内部に露出している。この電池ケース50の内部に露出した湾曲部分33の下面には電池ケース50の内圧が作用する。かかる構成の電流遮断機構30において、電池ケース50の内圧が高まると該内圧が変形金属板32の湾曲部分33の下面に作用し、下方へ湾曲した湾曲部分33が上方へ押し上げられる。この湾曲部分33の上方への押し上げは電池ケース50の内圧が上昇するに従い増大する。そして、電池ケース50の内圧が設定圧力を超えると湾曲部分33が上下反転し上方へ湾曲するように変形する。かかる湾曲部分33の変形によって、変形金属板32と接続金属板34との接合点36が切断される。このことにより、正極端子70から電極体80に至る導電経路が切断され、過充電電流が遮断されるようになっている。
なお、電流遮断機構30は正極端子70側に限らず、負極端子72側に設けてもよい。また、電流遮断機構30は、上述した変形金属板32の変形を伴う機械的な切断に限定されず、例えば、電池ケース50の内圧をセンサで検知し、該センサで検知した内圧が設定圧力を超えると充電電流を遮断するような外部回路を電流遮断機構として設けることもできる。
図4は、捲回電極体80を組み立てる前段階における長尺状のシート構造(電極シート)を模式的に示す図である。捲回される正極シート10は、長尺状の正極集電体12の片面または両面(典型的には両面)に長手方向に沿って正極活物質層14が形成され、その長手方向に沿う一方の端部において正極活物質層14が設けられておらず(あるいは除去されて)、正極集電体12が露出している。同様に、捲回される負極シート20は、長尺状の負極集電体22の片面または両面(典型的には両面)に長手方向に沿って負極活物質層24が形成され、その長手方向に沿う一方の端部において負極活物質層24が設けられておらず(あるいは除去されて)、負極集電体22が露出している。この正極シート10と負極シート20とを、長尺状のセパレータシート40とともに重ね合わせて長尺方向に捲回し、捲回電極体を作製する。このとき、正極シート10の正極活物質層非形成部分と負極シート20の負極活物質層非形成部分とがセパレータシート40の幅方向の両側からそれぞれはみ出すように、正極シート10と負極シート20とを幅方向にややずらして重ね合わせる。かかる捲回電極体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって扁平形状の捲回電極体80が得られる。
ここで開示される非水電解液二次電池(典型的にはリチウムイオン二次電池)は各種用途に利用可能であるが、高い電池性能と信頼性とを両立していることを特徴とする。従って、高いエネルギー密度や出力密度が要求される用途や、高い信頼性を要求される用途で好ましく用いることができる。かかる用途としては、例えば車両に搭載されるモーター用の動力源(駆動用電源)が挙げられる。車両の種類は特に限定されないが、例えばプラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)、電気トラック、原動機付自転車、電動アシスト自転車、電動車いす、電気鉄道等が挙げられる。
以下、本発明に関するいくつかの例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
<正極の作製>
正極活物質として、リチウム遷移金属酸化物としてのLiNi0.5Mn0.5(層状構造、二次粒子の平均粒径が1.5μm、BET比表面積が0.7m/g)を用意した。そして、LiNi0.5Mn0.5と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF;重量平均分子量が30万)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)とを、これらの材料の質量比が90:5:5となり、且つ固形分濃度が約50質量%となるようにN−メチルピロリドン(NMP)と混合して、正極活物質層形成用のスラリー状組成物(正極活物質スラリー)を調製した。この正極活物質スラリーを、厚み凡そ20μmの長尺状アルミニウム箔(正極集電体)の両面に、目付量が20mg/cm(固形分基準)となるようにローラコート法で帯状に付与して乾燥(乾燥温度120℃、1分間)することにより、正極集電体の両面に正極活物質層が設けられた正極を作製した。これをロールプレス機により圧延して、総厚み130μm(正極活物質層の厚みは片面あたり凡そ55μm)、電極密度を2.8g/cmに調整した。このようにして、正極を計12枚作製した。
上記作製した正極を、湿度50%の環境で、それぞれ表1の「(S30;水分供給)供給時間」に示す期間保持し、正極サンプル例1〜例12とした。その後、例1〜例6の正極サンプルについては、加熱乾燥炉によって80℃で1時間乾燥を行った。
Figure 2014049390
[正極活物質層の水分量測定]
S30およびS40の工程後には、各正極を□3cm×3cmに切り出して、水分気化法(加熱条件;120℃で30分)−カールフィッシャー法(電量滴定法)により水分量を測定した。結果を表1の「水分量」の欄および図5に示す。
表1および図5に示すように、S30における水分供給時間(h)とS30後に測定された水分供給量(ppm)とは概ね相関関係がみられ、水分供給時間が長いほど正極活物質層の水分量が増加する傾向にあった。したがって、水分供給環境や正極活物質層の構成材料等に応じて、S30における保持する時間を適宜調節することで、正極活物質層への水分供給量を1000ppm〜1500ppmとなるよう調製し得ることがわかった。また、S40で乾燥を行った例1〜例6では、S40後に測定された水分量が凡そ300ppm(具体的には300ppm〜320ppm)と一定の値を示すことがわかった。
[正極活物質層の透過光強度測定]
S40の工程後には、さらに、各正極の断面が凡そ1mmになるように切り出して、レーザー光を用いて透過光強度を測定した。入射光強度(I)に対する透過光強度(I)の割合(I/I)を、表1の「透過光強度」の欄に示す。また、S40で乾燥を行った例1〜例6の水分量(ppm)と透過光強度(%)との関係を図6に示す。
表1および図6に示すように、S40で乾燥を行った例1〜例6では、S40後の透過光強度とS30後の供給水分量との間に相関関係がみられ、水分供給工程(S30)における供給水分量が多いほど透過光強度が高い傾向にあった。
上記作製した正極サンプル例1〜例12を用いて非水電解液二次電池を構築し、電池特性および過充電時のガス発生量について評価を行った。
<負極シートの作製>
負極活物質としての天然黒鉛粉末(平均粒径:5μm、比表面積:3m/g)と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、これらの材料の質量比が98:1:1となり、且つ固形分濃度が約45質量%となるようにイオン交換水と混合して、負極活物質層形成用のスラリー状組成物(負極活物質スラリー)を調製した。この負極活物質スラリーを、厚み凡そ20μmの長尺状銅箔(負極集電体)の片面に、目付量が14mg/cm(固形分基準)となるようにローラコート法で帯状に付与して乾燥(乾燥温度80℃、5分間)することにより、負極集電体の片面に負極活物質層が設けられた負極を計12枚作製した。これをロールプレス機により圧延して、厚み100μm(負極活物質層の厚みは片面あたり凡そ40μm)、電極密度を1.4g/cmに調整した。
<非水電解液二次電池の構築>
上記作製した正極および負極を、セパレータ(ここでは、ポリエチレン(PE)の両面にポリプロピレン(PP)が積層された三層構造であって、厚み20μm、気孔率48体積%のものを用いた。)を介して対面に配置し、電極体を作製した。電極体の端部において露出した正極集電体(正極活物質層の未塗工部)および負極集電体(負極活物質層の未塗工部)に、それぞれ正極端子および負極端子を取り付けた。この電極体をラミネートフィルム内に収容した後、水分を除去するために減圧・高温下にて乾燥させた。そして、ラミネートフィルムの開口部から非水電解液(ここでは、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とをEC:DEC=40:60の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを1mol/Lの濃度で溶解させ、さらにビフェニルを2重量%の割合で添加した非水電解液を用いた。)を注入し、該開口部を封止した。このようにして、正極の作製方法のみが異なる例1〜例12の非水電解液二次電池を構築した。
[電池特性測定(IV抵抗の測定)]
上記構築した例1〜例12の電池に対して、25℃の温度環境下において適当なコンディショニング処理を行った。ここでは、正負極の端子間電圧が4.1Vに到達するまで50mA(1C)の定電流で充電(CC充電)した後、5分間休止し、端子間電圧が3Vに到達するまで50mA(1C)の定電流で放電(CC放電)を行う操作を3回繰り返した。その後、該電池の入出力特性(IV抵抗)評価を行った。具体的には、25℃の温度環境下において、先ず50mA(1C)で4.1VまでCC充電した後、4.1Vの定電圧で3時間の充電(CV充電)を行い、満充電状態に調整した。そして、この電池を3時間休止させた後、500mA(10C)でCC放電し、10秒後の電圧降下からIV抵抗を求めた。結果を表1の「IV抵抗」の欄に示す。また、IV抵抗とS30における水分供給量との関係を図7に示す。
表1および図7から明らかなように、乾燥工程(S40)を経た例1〜例6では、乾燥工程(S40)を行わなかった例7〜例12に比べて相対的に低いIV抵抗値を示した。これは、正極活物質層の形成後に水分を吸着・再乾燥させることによって正極活物質層内に網目状のチャンネル(経路)が構築され、該正極活物質層内に非水電解液が十分に浸透したためと考えられる。またS30における水分供給量が1900ppmを超えた例6では、IV抵抗が大きく増大した。この原因としては、電極活物質層内でバインダが凝集しすぎたために、例えば正極活物質と導電材との密着性が低下し、導電パスが局所的に切断されたことが考えられる。以上の結果から、S30における水分供給量を1900ppm以下(例えば1600ppm以下、好ましくは1500ppm以下、より好ましくは1500ppm未満)とすることで、正極活物質層内の抵抗の増大や電池特性の低下を招来することなく、高い電池特性を発揮し得ることがわかった。
[過充電試験(ガス発生量の測定)]
上記コンディショニング処理後の例1〜例12の電池について、25℃の温度環境下で、アルキメデス法を用いて過充電試験前の電池の体積を測定した。その後、該電池に対して正負極の端子間電圧が4.1Vに到達するまで50mA(1C)でCC充電した後、4.1Vで3時間のCV充電を行って満充電状態に調整した。この満充電状態の各電池に、積算電流が150mA(すなわち過充電状態)となるまで、さらに100mA(2C)でCC充電を行った。そして、過充電状態における各電池の体積を、アルキメデス法を用いて測定した。過充電状態の電池の体積(A(cm))から、コンディショニング処理後の電池の体積(B(cm))を差し引いて、過充電時のガス発生量(A−B(cm))を算出した。なお、アルキメデス法とは、測定対象物(本例では、ラミネートシート型の電池)を媒液(例えば、蒸留水やアルコール等)に浸漬し、測定対象物が受ける浮力を測定することによって測定対象物の体積を求める手法である。結果を、表1の「ガス発生量」の欄に示す。また、ガス発生量とS30における水分供給量との関係を図8に示す。
表1および図8から明らかなように、S30における水分供給量が1000ppm以下、より具体的には920ppm以下の例1〜3および例7〜9では、過充電時のガス発生量が少なかった。さらに、乾燥工程(S40)を経た例4〜例6は、乾燥工程(S40)を行わなかった例10〜例12に比べて、相対的にガス発生量が多いことがわかった。したがって、S30における水分供給量を凡そ950ppm以上(典型的には1000ppm以上、例えば1050ppm以上、好ましくは1100ppm以上)とし、さらにS40の工程(乾燥工程)を経ることで、過充電時のガス発生量を増加し得ることがわかった。
このように、正極活物質層を形成した後に、該正極活物質層に1000ppm〜1500ppmの水分を吸着させ、再度乾燥させる(典型的には水分量が350ppm以下となるまで乾燥させる)ことによって、優れた電池特性と過充電時の耐性とを高いレベルで両立し得る、信頼性の高い非水電解液二次電池を提供し得ることが示された。なお、ここには詳細を示していないが、正極活物質層の形成後に水分供給・乾燥させることによって、水銀ポロシメータにより測定される該正極活物質層内の細孔径(最大頻度細孔径)が拡げられ、水分を供給し乾燥させる前に比べて凡そ1.1倍以上(例えば1.2倍以上)となることが確認された。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10 正極シート(正極)
12 正極集電体
14 正極活物質層
20 負極シート(負極)
22 負極集電体
24 負極活物質層
30 電流遮断機構(CID)
32 変形金属板(導通部材;第一部材)
33 湾曲部分
34 接続金属板(導通部材;第二部材)
35 集電リード端子
36 接合点
38 絶縁ケース
40 セパレータシート(セパレータ)
50 電池ケース
52 電池ケース本体
54 蓋体
55 安全弁
70 正極端子
72 負極端子
74 正極集電板
76 負極集電板
80 捲回電極体
100 非水電解液二次電池

Claims (10)

  1. 電池ケースの内圧が上昇した際に作動する電流遮断機構を備えた非水電解液二次電池を製造する方法であって:
    少なくとも、正極活物質と、有機重合体からなるバインダと、を含む正極活物質層形成用組成物を用意すること;
    前記正極活物質層形成用組成物を正極集電体上に付与して乾燥させることにより、正極活物質層を形成すること;
    前記正極活物質層に水分を吸着させ、カールフィッシャー法によって検出される該正極活物質層の水分量が1000ppm〜1500ppmとなるよう調整すること;
    前記水分を吸着させた正極活物質層を前記バインダの融点以下の温度で乾燥させ、正極を得ること;および
    前記正極を用いて非水電解液二次電池を構築すること;
    を包含する、非水電解液二次電池の製造方法。
  2. 前記水分を吸着させた正極活物質層の乾燥は、カールフィッシャー法によって検出される該正極活物質層の水分量が400ppm以下となるまで行う、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記正極活物質層形成用組成物の用意および前記正極活物質層の形成は、露点が−30℃以下の環境で行う、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記正極活物質として、カールフィッシャー法によって検出される水分量が300ppm以下のものを用いる、請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記非水電解液二次電池の構築に用いられる非水電解液は、所定の電池電圧を超えた際に分解してガスを発生し得るガス発生剤を含み、
    前記ガス発生剤の添加量は、前記非水電解液100質量%に対し、0.5質量%〜3質量%とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記正極活物質として、層状構造またはスピネル構造のリチウム遷移金属複合酸化物を用いる請求項1から5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記正極活物質層の形成は、空隙率が25%〜35%となるよう行う、請求項1から6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記正極活物質層への水分の吸着は、温度20℃〜30℃、相対湿度50%〜100%に制御された恒温恒湿層内に5時間以下保持することによって行う、請求項1から7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 前記水分を吸着させた正極活物質層の乾燥は、50℃〜100℃の加熱乾燥炉で行う、請求項1から8のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載の方法により製造された非水電解液二次電池。
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