JP6631363B2 - 負極活物質、負極活物質を含む負極及び負極を含むリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
現在、リチウムイオン二次電池等の電気化学デバイスの負極活物質として、黒鉛等の炭素材料が用いられ実用化されているが、既に理論容量372mAh/g近くまで達しており、高容量材料の開発が要請されている。その候補として充放電容量の大きいシリコンや酸化シリコン等の合金系負極活物質の研究が数多く行われている。
しかし、負極活物質としてこのような材料を用いた場合、負極活物質が充放電に伴い膨張収縮するため、充放電を繰り返すことによりバインダーが伸長し、活物質粒子と集電体との間の導電経路が分断されることから、サイクル特性が炭素材料に比べて著しく低下する。
上述した課題を解決するために、負極活物質粒子をSi、Sn、Zn等の固溶体で被覆し、負極活物質粒子の膨張を抑えることでサイクル特性の向上を図る技術が提案されている(特許文献1)。
また、ガス発生による電池の膨れを改善するための技術ではあるが、リチウムチタン系酸化物負極活物質粒子に、リンの化合物やイオウの化合物の非多孔膜で被覆する技術が提案されている。(特許文献2)
図1は、本実施形態とするリチウムイオン二次電池を示す模式断面図である。図1に示すように、リチウムイオン二次電池100は、主として、積層体30、積層体30を密閉した状態で収容するケース50、及び積層体30に接続された一対のリード60、62を備えている。
正極集電体12は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム又はそれらの合金、ステンレス等の金属薄板(金属箔)を用いることができる。
正極活物質層14は、正極活物質、バインダー、及び、必要に応じた量の導電助剤から主に構成されるものである。
正極活物質としては、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンと該リチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、PF6 −)とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能であれば特に限定されず、公知の電極活物質を使用できる。例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、リチウムマンガンスピネル(LiMn2O4)、及び、一般式:LiNiXCoYMnZMAO2(X+Y+Z+A=1、0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦Z≦1、0≦A≦1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV2O5、LiVOPO4、Li3V2(PO4)3)、オリビン型LiMPO4(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素を示す)、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)、LiNiXCoYAlZO2(0.9<X+Y+Z<1.1)等の複合金属酸化物が挙げられる。
バインダーは、正極活物質同士を結合すると共に、正極活物質と集電体12とを結合している。バインダーは、上述の結合が可能なものであればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂が挙げられる。更に、上記の他に、バインダーとして、例えば、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等を用いてもよい。また、バインダーとして電子伝導性の導電性高分子やイオン伝導性の導電性高分子を用いてもよい。電子伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリアセチレン等が挙げられる。この場合は、バインダーが導電助剤粒子の機能も発揮するので導電助剤を添加しなくてもよい。イオン伝導性の導電性高分子としては、例えば、リチウムイオン等のイオンの伝導性を有するものを使用することができ、例えば、高分子化合物(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物、ポリフォスファゼン等)のモノマーと、LiClO4、LiBF4、LiPF6等のリチウム塩又はリチウムを主体とするアルカリ金属塩と、を複合化させたもの等が挙げられる。複合化に使用する重合開始剤としては、例えば、上記のモノマーに適合する光重合開始剤または熱重合開始剤が挙げられる。
導電助剤も、正極活物質層14の導電性を良好にするものであれば特に限定されず、公知の導電助剤を使用できる。例えば、黒鉛、カーボンブラック等の炭素系材料や、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。
負極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、銅、ニッケル、ステンレス又はそれらの合金の金属薄板(金属箔)を用いることができる。
負極活物質層24は、負極活物質、バインダー、及び、必要に応じた量の導電助剤から主に構成されるものである。
本実施形態の負極活物質は、負極活物質粒子2の表面の少なくとも一部を被覆するチタンとリンからなる多孔質化合物層1を備えるものである。
本実施形態に係る負極活物質粒子としては、例えば、リチウムイオンを電気化学的に挿入および脱離するケイ素(Si)、スズ、ゲルマニウム、鉄またはこれらの化合物や合金、TiO2、SnO2、Fe2O3等の酸化物を主体とする結晶質・非晶質の化合物、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)等を含む粒子が挙げられる。
まず、チタンとリンからなる化合物を作成するため、化合物原料となるチタンと赤燐を、80cm3のジルコニア製の容器に秤量する。秤量および遊星ボールミル装置によるメカノケミカル合成は、化合物原料の発火や酸化を防止するためAr雰囲気で行うことが好ましい。
(ボールの材質)
ボールの材質にはジルコニアやアルミナ、窒化ケイ素、メノー、ステンレススチール、タングステンカーバイド、などが挙げられるが、摩擦時に摩耗して膜内に入っても特性を悪くしない限りどのような材質でも良が、ジルコニアがより好ましい。
次に、チタンとリンからなる化合物に可溶性材料を加え、遊星ボールミル処理することで、チタンとリンからなる化合物と可溶性材料の複合体を作製する。発火や酸化を防止するためAr雰囲気下で処理することが好ましい。
得られた前記複合体を、負極活物質粒子に被覆するために、負極活物質粒子と前記複合体をボールミルまたは、遊星ボールミル処理することで、前記複合体で被覆された負極活物質粒子を得た。用いる負極活物質粒子、の大きさは特に限定はされないが、200nmから100μmが好ましい。発火や酸化を防止するためAr雰囲気下で処理することが好ましい。
まず、負極活物質粒子および多孔質膜が球状であると仮定し、狙いとする厚みを得るために必要な前記複合体の体積を算出する。次に、前記複合体の密度と求めた体積から、狙いとする厚みを得るのに必要な前記複合体の重量を決めた。このように複合体の重量により、多孔質膜の厚みを制御した。
多孔質膜の空孔率は、前記複合体に含まれる可溶性材料の量により制御を行った。
前記複合体で被覆された負極活物質粒子を純水または有機溶媒で可溶性材料を溶出・洗浄することで被覆層を多孔化させる。得られた粉末は真空中で乾燥、熱処理を行うことで、本実施形態の負極活物質を得た。
バインダー及び導電助剤には、上述した正極10に用いる材料に加え、ポリアクリル酸(PAA)等のアクリル系樹脂も用いることができる。また、バインダー及び導電助剤の含有量も、負極活物質の体積変化の大きさや箔との密着性を加味しなければならない場合は適宜調整し、上述した正極10における含有量と同様の含有量を採用すればよい。添加する場合にはバインダーの添加量は、負極活物質の質量に対して2〜20質量%であることが好ましい。導電助剤の添加量は、負極活物質の質量に対して0.5〜5質量%であることが好ましい。
例えば、活物質(正極活物質または負極活物質)、バインダー(正極バインダーまたは負極バインダー)、溶媒、及び、導電助剤(正極導電助剤または負極導電助剤)を含む塗料を集電体上に塗布し、集電体上に塗布された塗料中の溶媒を除去することにより製造することができる。
セパレータは、電解液に対して安定であり、保液性に優れていれば特に制限はないが、一般的にはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンの多孔質シート、又は不織布が挙げられる。
電解質は、正極活物質層14、負極活物質層24、及び、セパレータ18の内部に含有させるものである。電解質としては、特に限定されず、例えば、本実施形態では、リチウム塩を含む電解液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解質溶液)を使用することができる。ただし、電解質水溶液は電気化学的に分解電圧が低いことにより、充電時の耐用電圧が低く制限されるので、有機溶媒を使用する電解液(非水電解質溶液)であることが好ましい。電解液としては、リチウム塩を非水溶媒(有機溶媒)に溶解したものが好適に使用される。リチウム塩としては特に限定されず、リチウムイオン二次電池の電解質として用いられるリチウム塩を用いることができる。例えば、リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiBETI、LiFSI、LiBOB等の無機酸陰イオン塩、LiCF3SO3、(CF3SO2)2NLi等の有機酸陰イオン塩等を用いることができる。
更に、本実施形態の電解液中には、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、サイクル寿命向上を目的としたビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート等や、過充電防止を目的としたビフェニル、アルキルビフェニル等や、脱酸や脱水を目的とした各種カーボネート化合物、各種カルボン酸無水物、各種含窒素及び含硫黄化合物が挙げられる。
ケース50は、その内部に積層体30及び電解液を密封するものである。ケース50は、電解液の外部への漏出や、外部からのリチウムイオン二次電池100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。例えば、ケース50として、図1に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔52としては例えばアルミニウム箔を、高分子膜54としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜54の材料としては融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜54の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
リード60、62は、アルミニウム等の導電材料から形成されている。
そして、公知の方法により、リード60、62を正極集電体12、負極集電体22にそれぞれ溶接し、正極10の正極活物質層14と負極20の負極活物質層24との間にセパレータ18を挟んだ状態で、電解液と共にケース50内に挿入し、ケース50の入り口をシールすればよい。
(正極の作製)
正極活物質としてLiNi0.8Co0.15Al0.05O2を96重量%と、導電助剤としてカーボンブラックを2重量%と、グラファイトを0.5重量%と、バインダーとしてPVDFを1.5重量%と、N−メチル−2−ピロリドンの溶媒とを混合分散させて、ペースト状の正極スラリーを作製した。そして、コンマロールコーターを用いて、この正極スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に、均一に正極活物質層を塗布した。次いで、乾燥炉内にて、110℃の大気雰囲気下で上記正極活物質中のN−メチル−2−ピロリドン溶媒を乾燥させた。正極活物質の塗布量は22.0mg/cm2とした。なお、上記アルミニウム箔の両面に塗布された正極活物質層の塗膜の厚みは、ほぼ同じ膜厚に調整した。上記正極活物質が形成された正極をロールプレス機によって、正極活物質層を正極集電体の両面に圧着させ、正極活物質層の密度が3.6g/cm3なるように正極を作製した。
前記負極活物質粒子へのチタンとリンからなる多孔質化合物層の被覆は以下の手順で行った。
次に、このTiPに体積比が1:1となるようにショ糖を加え、Φ1mmのジルコニア製のボールを用いて400rpmで5時間遊星ボールミル処理を行い、TiPとショ糖からなるTiP複合体を作製した。
更に、得られたTiP複合体をΦ0.05mmのジルコニア製のボールを用いて300rpmで5時間遊星ボールミル処理することで、微細化させたTiP複合体を回収した。微細化させたTiP複合体の粒径は、STEM観察を行い、得られた画像の100粒子を測長し粒径を求めた。得られた微細化させたTiP複合体の粒径は61nmであった。
次に、10Lのナイロンポットの容器に、SiO粉末1000gと微細化したTiP複合体0.020mgを秤量した後、Φ0.05mmのジルコニア製のボールを加えて、150rpmで10時間処理することで、TiP複合体で被覆されたSiO粉末を回収した。TiP複合体により被覆されたSiO粉末を5Lの純水中に加え、スターラーを回転数300rpmで2時間攪拌した後、溶液を濾過、水洗することで多孔化処理を行った。水洗後60℃で8時間乾燥させた。更に、乾燥後、真空中400℃で1時間熱処理を行うことで、TiP多孔質により被覆されたSiO粉末を回収した。
負極活物質として、SiO粉末粒子表面に、TiP多孔質化合物層を備えた負極活物質を87.9重量%と、アセチレンブラック2.1重量%と、ポリアミドイミド樹脂10重量%と、N−メチル−2−ピロリドンの溶媒とを混合分散させて、負極活物質層形成用のスラリーを調製した。このスラリーを、厚さ10μmの銅箔の一面に、負極活物質の塗布量が、負極活物質粒子のみで換算して3.3mg/cm2となるように塗布し、100℃で乾燥することで負極活物質層を形成した。上記負極活物質層が形成された負極をロールプレス機によって、負極活物質層を負極集電体の両面に圧着させ、負極活物質層の密度が1.5g/cm3になるように負極を作製した。
負極活物質表面のチタンとリンからなる多孔質化合物層の厚み測定は以下の手順で行った。負極活物質を有する電極の断面をSTEM(JEOL社製)を用いて負極活物質表面の多孔質化合物層を撮影した。任意に選択した一負極活物質表面の多孔質化合物層の厚みを10か所測長した。上記の操作を任意の10粒子それぞれについて行い、得られた厚みを平均したものを多孔質化合物層の厚みとした。
負極活物質表面のチタンとリンからなる多孔質化合物層の空孔率測定は以下の手順で行った。負極活物質を有する電極の断面をSTEM(JEOL社製)を用いて負極活物質表面のチタンとリンからなる多孔質化合物層を撮影した。任意に選択した一負極活物質表面の多孔質化合物層内において100nm×100nmの正方形の領域を任意に選び、当該領域内の空孔の面積と多孔質化合物層の面積を測定した。これを、一負極活物質全体について測定し、空孔率={(空孔の面積)/(多孔質化合物層全体の面積)}×100を算出した。上記の操作を任意の100粒子について行い、得られた空孔率を平均したものを多孔質化合物層の空孔率とした。
上記で作製した正極、負極を用いて、これらの間にポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを挟んで、アルミニウムラミネートパックに入れ、このアルミニウムラミネートパックに、電解液として1MのLIPF6溶液(溶媒:EC/DEC=3/7(体積比))を注液した後に真空シールし、評価用のリチウムイオン二次電池を作製した。
TiPとショ糖の体積比を1:X(X=0.05〜3)の範囲内で変えて、TiPとショ糖の複合体を作製した事以外は、実施例1と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
Ar雰囲気中で、チタンと赤燐のモル比が1:1となるように80cm3のジルコニア製の容器に秤量し、Φ3mmのジルコニア製のボールを加え、600rpmで48時間遊星ボールミル処理することで、チタンとリンの化合物であるTiPを回収した。
次に、このTiPに体積比が1:0.5となるようにショ糖を加え、Φ1mmのジルコニア製のボールを用いて400rpmで5時間遊星ボールミル処理を行い、TiPとショ糖からなるTiP複合体を作製した。
更に、得られたTiP複合体をΦ0.05mmのジルコニア製のボールを用いて300rpmで8時間遊星ボールミル処理することで、微細化させたTiP複合体を回収した。微細化させたTiP複合体の粒径は50nmであった。
次に、10Lのナイロンポットの容器に、SiO粉末1000gと微細化したTiP複合体0.033mgを秤量した後、Φ0.05mmのジルコニア製のボールを加えて、150rpmで10時間処理することで、TiP複合体で被覆されたSiO粉末を回収した。TiP複合体により被覆されたSiO粉末を5Lの純水中に加え、スターラーを回転数300rpmで2時間攪拌した後、溶液を濾過、水洗することで多孔化処理を行った。水洗後60℃で8時間乾燥させた。更に、乾燥後、真空中400℃で1時間熱処理を行うことで、TiP多孔質により被覆されたSiO粉末を回収した。それ以外は実施例1と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
実施例11の、微細化したTiP複合体の量を0.016mgとしてTiP多孔質により被覆されたSiO粉末を作製した事以外は、実施例1と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
Ar雰囲気中で、チタンと赤燐のモル比が1:1となるように80cm3のジルコニア製の容器に秤量し、Φ3mmのジルコニア製のボールを加え、600rpmで48時間遊星ボールミル処理することで、チタンとリンの化合物であるTiPを回収した。
次に、このTiPに体積比が1:0.5となるようにショ糖を加え、Φ1mmのジルコニア製のボールを用いて400rpmで5時間遊星ボールミル処理を行い、TiPとショ糖からなるTiP複合体を作製した。
更に、得られたTiP複合体をΦ0.05mmのジルコニア製のボールを用いて300rpmで3時間遊星ボールミル処理することで、微細化させたTiP複合体を回収した。微細化させたTiP複合体の粒径は72nmであった。
次に、10Lのナイロンポットの容器に、SiO粉末1000gと微細化したTiP複合体0.024mgを秤量した後、Φ0.05mmのジルコニア製のボールを加えて、150rpmで10時間処理することで、TiP複合体で被覆されたSiO粉末を回収した。TiP複合体により被覆されたSiO粉末を5Lの純水中に加え、スターラーを回転数300rpmで2時間攪拌した後、溶液を濾過、水洗することで多孔化処理を行った。水洗後60℃で8時間乾燥させた。更に、乾燥後、真空中400℃で1時間熱処理を行うことで、TiP多孔質により被覆されたSiO粉末を回収した。それ以外は実施例1と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
Ar雰囲気中で、チタンと赤燐のモル比が1:1となるように80cm3のジルコニア製の容器に秤量し、Φ3mmのジルコニア製のボールを加え、600rpmで48時間遊星ボールミル処理することで、チタンとリンの化合物であるTiPを回収した。
次に、このTiPに体積比が1:0.5となるようにショ糖を加え、Φ1mmのジルコニア製のボールを用いて400rpmで5時間遊星ボールミル処理を行い、TiPとショ糖からなるTiP複合体を作製した。
更に、得られたTiP複合体をΦ0.03mmのジルコニア製のボールを用いて300rpmで5時間遊星ボールミル処理することで、微細化させたTiP複合体を回収した。微細化させたTiP複合体の粒径は29nmであった。
次に、10Lのナイロンポットの容器に、SiO粉末1000gと微細化したTiP複合体0.010mgを秤量した後、Φ0.03mmのジルコニア製のボールを加えて、150rpmで10時間処理することで、TiP複合体で被覆されたSiO粉末を回収した。TiP複合体により被覆されたSiO粉末を5Lの純水中に加え、スターラーを回転数300rpmで2時間攪拌した後、溶液を濾過、水洗することで多孔化処理を行った。水洗後60℃で8時間乾燥させた。更に、乾燥後、真空中400℃で1時間熱処理を行うことで、TiP多孔質により被覆されたSiO粉末を回収した。それ以外は実施例1と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
実施例11の、微細化したTiP複合体の量を0.070mgとしてTiP多孔質により被覆されたSiO粉末を作製した事以外は、実施例1と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
Ar雰囲気中で、チタンと赤燐のモル比が1:1となるように80cm3のジルコニア製の容器に秤量し、Φ3mmのジルコニア製のボールを加え、600rpmで48時間遊星ボールミル処理することで、チタンとリンの化合物であるTiPを回収した。
次に、このTiPに体積比が1:0.5となるようにショ糖を加え、Φ1mmのジルコニア製のボールを用いて400rpmで5時間遊星ボールミル処理を行い、TiPとショ糖からなるTiP複合体を作製した。
更に、得られたTiP複合体をΦ0.03mmのジルコニア製のボールを用いて300rpmで10時間遊星ボールミル処理することで、微細化させたTiP複合体を回収した。微細化させたTiP複合体の粒径は25nmであった。
次に、10Lのナイロンポットの容器に、SiO粉末1000gと微細化したTiP複合体0.008mgを秤量した後、Φ0.03mmのジルコニア製のボールを加えて、150rpmで10時間処理することで、TiP複合体で被覆されたSiO粉末を回収した。TiP複合体により被覆されたSiO粉末を5Lの純水中に加え、スターラーを回転数300rpmで2時間攪拌した後、溶液を濾過、水洗することで多孔化処理を行った。水洗後60℃で8時間乾燥させた。更に、乾燥後、真空中400℃で1時間熱処理を行うことで、TiP多孔質により被覆されたSiO粉末を回収した。それ以外は実施例1と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
実施例11の、微細化したTiP複合体の量を0.052mgとしてTiP多孔質により被覆されたSiO粉末を作製した事以外は、実施例1と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
実施例13の、微細化したTiP複合体の量を0.077mgとしてTiP多孔質により被覆されたSiO粉末を作製した事以外は、実施例1と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
Ar雰囲気中で、チタンと赤燐のモル比が1:1となるように80cm3のジルコニア製の容器に秤量し、Φ3mmのジルコニア製のボールを加え、600rpmで48時間遊星ボールミル処理することで、チタンとリンの化合物であるTiPを回収した。
次に、このTiPに体積比が1:1となるようにショ糖を加え、Φ1mmのジルコニア製のボールを用いて400rpmで5時間遊星ボールミル処理を行い、TiPとショ糖からなるTiP複合体を作製した。
更に、得られたTiP複合体をΦ0.05mmのジルコニア製のボールを用いて300rpmで5時間遊星ボールミル処理することで、微細化させたTiP複合体を回収した。微細化させたTiP複合体の粒径は59nmであった。
次に、10Lのナイロンポットの容器に、Si粉末1000gと微細化したTiP複合体0.020mgを秤量した後、Φ0.05mmのジルコニア製のボールを加えて、150rpmで10時間処理することで、TiP複合体で被覆されたSi粉末を回収した。TiP複合体により被覆されたSi粉末を5Lの純水中に加え、スターラーを回転数300rpmで2時間攪拌した後、溶液を濾過、水洗することで多孔化処理を行った。水洗後60℃で8時間乾燥させた。更に、乾燥後、真空中400℃で1時間熱処理を行うことで、TiP多孔質により被覆されたSi粉末を回収した。
負極活物質として、としてSi粉末粒子表面に、TiP多孔質化合物層を備えた負極活物質を87.9重量%と、アセチレンブラック2.1重量%と、ポリアミドイミド樹脂10重量%と、N−メチル−2−ピロリドンの溶媒とを混合分散させて、負極活物質層形成用のスラリーを調製した。このスラリーを、厚さ10μmの銅箔の一面に、負極活物質の塗布量が、負極活物質粒子のみで換算して1.0mg/cm2となるように塗布し、100℃で乾燥することで負極活物質層を形成した。上記負極活物質層が形成された負極をロールプレス機によって、負極活物質層を負極集電体の両面に圧着させ、負極活物質層の密度が1.56g/cm3になるように負極を作製した。
実施例1で作製した正極、前記負極を用いて、これらの間にポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを挟んで、アルミニウムラミネートパックに入れ、このアルミニウムラミニウムネートパックに、電解液として1MのLIPF6溶液(溶媒:EC/DEC=3/7(体積比))を注液した後に真空シールし、評価用のリチウムイオン二次電池を作製した。そのサイクル特性の評価を行った。
TiPとショ糖の体積比を1:X(X=0.05〜3)の範囲内で変えて、TiPとショ糖の複合体を作製した事以外は、実施例19と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
負極活物質粒子にSi粉末を用いた事以外は、実施例11と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
負極活物質粒子にSi粉末を用いた事以外は、実施例12と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
負極活物質粒子にSi粉末を用いた事以外は、実施例13と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
負極活物質粒子にSi粉末を用いた事以外は、実施例14と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
負極活物質粒子にSi粉末を用いた事以外は、実施例15と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
負極活物質粒子にSi粉末を用いた事以外は、実施例16と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
負極活物質粒子にSi粉末を用いた事以外は、実施例17と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
負極活物質粒子にSi粉末を用いた事以外は、実施例18と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
比較例1では負極活物質粒子への被覆処理を行わなかった事以外は実施例1と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
Ar雰囲気中で、チタンと赤燐のモル比が1:1となるように80cm3のジルコニア製の容器に秤量し、Φ3mmのジルコニア製のボールを加え、600rpmで48時間遊星ボールミル処理することで、チタンとリンの化合物であるTiPを回収した。
次に、このTiPにショ糖を加えずに、Φ1mmのジルコニア製のボールを用いて400rpmで5時間遊星ボールミル処理を行った。
更に、得られたTiPをΦ0.05mmのジルコニア製のボールを用いて300rpmで8時間遊星ボールミル処理することで、微細化させたTiPを回収した。微細化させたTiPの粒径は50nmであった。
次に、10Lのナイロンポットの容器に、SiO粉末1000gと微細化したTiP0.033mgを秤量した後、Φ0.05mmのジルコニア製のボールを加えて、150rpmで10時間処理することで、TiPで被覆されたSiO粉末を回収した。TiPにより被覆されたSiO粉末を5Lの純水中に加え、スターラーを回転数300rpmで2時間攪拌した後、溶液を濾過、水洗を行った。水洗後60℃で8時間乾燥させた。更に、乾燥後、真空中400℃で1時間熱処理を行うことで、TiPにより被覆されたSiO粉末を回収した。また、STEM観察により、得られた負極活物質のチタンとリンからなる化合物層の空孔率が0%であり、緻密であることを確認した。それ以外は実施例1と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
Ar雰囲気中で、チタンと赤燐のモル比が1:1となるように80cm3のジルコニア製の容器に秤量し、Φ3mmのジルコニア製のボールを加え、600rpmで48時間遊星ボールミル処理することで、チタンとリンの化合物であるTiPを回収した。
次に、このTiPにショ糖を加えずに、Φ1mmのジルコニア製のボールを用いて400rpmで5時間遊星ボールミル処理を行った。
更に、得られたTiPをΦ0.05mmのジルコニア製のボールを用いて300rpmで5時間遊星ボールミル処理することで、微細化させたTiPを回収した。微細化させたTiPの粒径は60nmであった。
次に、10Lのナイロンポットの容器に、SiO粉末1000gと微細化したTiP0.020mgを秤量した後、Φ0.05mmのジルコニア製のボールを加えて、150rpmで10時間処理することで、TiPで被覆されたSiO粉末を回収した。TiPにより被覆されたSiO粉末を5Lの純水中に加え、スターラーを回転数300rpmで2時間攪拌した後、溶液を濾過、水洗を行った。水洗後60℃で8時間乾燥させた。更に、乾燥後、真空中400℃で1時間熱処理を行うことで、TiPにより被覆されたSiO粉末を回収した。また、STEM観察により、得られた負極活物質のチタンとリンからなる化合物層の空孔率が0%であり、緻密であることを確認した。それ以外は実施例1と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
負極活物質粒子にSi粉末を用いて、負極活物質粒子への被覆処理を行わなかった事以外は実施例1と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
負極活物質粒子にSi粉末を用いた事以外は、比較例2と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。また、STEM観察により、得られた負極活物質のチタンとリンからなる化合物層の空孔率が0%であり、緻密であることを確認した。
負極活物質粒子にSi粉末を用いた事以外は、比較例3と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。また、STEM観察により、得られた負極活物質のチタンとリンからなる化合物層の空孔率が0%であり、緻密であることを確認した。
実施例及び比較例で作製した評価用リチウムイオン二次電池について、二次電池充放電試験装置(北斗電工株式会社製)を用い、サイクル特性の測定を行った。0.5Cで4.2Vまで定電流定電圧充電し、1Cで2.5Vまで定電流放電する充放電サイクルを500サイクル繰り返し、500サイクル後の容量維持率を測定し、サイクル特性を評価した。
Claims (6)
- 負極活物質粒子表面の少なくとも一部を被覆し、チタンとリンからなる多孔質化合物層を備える負極活物質。
- 前記多孔質化合物層は連続膜であることを特徴とする請求項1に記載の負極活物質。
- 前記多孔質化合物層の厚みが30nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の負極活物質。
- 前記多孔質化合物層の空孔率が10%以上50%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の負極活物質。
- 請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の負極活物質を含有する負極。
- 請求項5に記載の負極と、正極と、電解質と、を有するリチウムイオン二次電池。
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