JP6631363B2 - 負極活物質、負極活物質を含む負極及び負極を含むリチウムイオン二次電池 - Google Patents

負極活物質、負極活物質を含む負極及び負極を含むリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、負極活物質、負極活物質を含む負極及び負極を含むリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池等と比べ、軽量、高容量であるため、携帯電子機器用電源として広く応用されている。また、ハイブリッド自動車や、電気自動車用に搭載される電源として有力な候補にもなっている。そして、近年の携帯電子機器の小型化、高機能化に伴い、これらの電源となるリチウムイオン二次電池への更なる高容量化が期待されている。
現在、リチウムイオン二次電池等の電気化学デバイスの負極活物質として、黒鉛等の炭素材料が用いられ実用化されているが、既に理論容量372mAh/g近くまで達しており、高容量材料の開発が要請されている。その候補として充放電容量の大きいシリコンや酸化シリコン等の合金系負極活物質の研究が数多く行われている。
しかし、負極活物質としてこのような材料を用いた場合、負極活物質が充放電に伴い膨張収縮するため、充放電を繰り返すことによりバインダーが伸長し、活物質粒子と集電体との間の導電経路が分断されることから、サイクル特性が炭素材料に比べて著しく低下する。
上述した課題を解決するために、負極活物質粒子をSi、Sn、Zn等の固溶体で被覆し、負極活物質粒子の膨張を抑えることでサイクル特性の向上を図る技術が提案されている(特許文献1)。
また、ガス発生による電池の膨れを改善するための技術ではあるが、リチウムチタン系酸化物負極活物質粒子に、リンの化合物やイオウの化合物の非多孔膜で被覆する技術が提案されている。(特許文献2)
特開2000−173593号公報 特開2013−41844号公報
しかしながら、上記特許文献1及び2の方法では、負極活物質粒子の膨張を抑えきることができず、サイクル特性が十分に向上しなかった。
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、サイクル特性の高いリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明にかかる負極活物質は、負極活物質粒子表面の少なくとも一部を被覆するチタンとリンからなる多孔質化合物層を備えるものである。
上記本発明にかかる負極活物質を用いることにより、リチウムイオン二次電池のサイクル特性が向上する。
本発明にかかる上記多孔質化合物層の厚みは30nm以上200nm以下であることが好ましい。
上記本発明にかかる負極活物質を用いることにより、リチウムイオン二次電池のサイクル特性がより向上する。
本発明にかかる上記多孔質化合物層の空孔率は10%以上50%以下であることが好ましい。
上記本発明にかかる負極活物質を用いることにより、リチウムイオン二次電池のサイクル特性がより向上する。
本発明によれば、十分なサイクル特性を有するリチウムイオン二次電池用負極活物質を提供することができる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池の模式断面図である。 本実施形態の負極活物質材料の概略断面図である。
以下、場合により図面を参照にしつつ本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一または相当部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
(リチウムイオン二次電池)
図1は、本実施形態とするリチウムイオン二次電池を示す模式断面図である。図1に示すように、リチウムイオン二次電池100は、主として、積層体30、積層体30を密閉した状態で収容するケース50、及び積層体30に接続された一対のリード60、62を備えている。
積層体30は、一対の正極10、負極20が、セパレータ18を挟んで対向配置されたものである。正極10は、板状(膜状)の正極集電体12上に正極活物質層14が設けられたものである。負極20は、板状(膜状)の負極集電体22上に負極活物質層24が設けられたものである。正極活物質層14の主面及び負極活物質層24の主面が、セパレータ18の主面にそれぞれ接触している。正極集電体12及び負極集電体22の端部には、それぞれリード60、62が接続されており、リード60、62の端部はケース50の外部にまで延びている。
以下、正極10及び負極20を総称して、電極10、20といい、正極集電体12及び負極集電体22を総称して集電体12、22といい、正極活物質層14及び負極活物質層24を総称して活物質層14、24ということがある。まず、電極10、20について具体的に説明する。
(正極集電体)
正極集電体12は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム又はそれらの合金、ステンレス等の金属薄板(金属箔)を用いることができる。
(正極活物質層)
正極活物質層14は、正極活物質、バインダー、及び、必要に応じた量の導電助剤から主に構成されるものである。
(正極活物質)
正極活物質としては、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンと該リチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、PF )とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能であれば特に限定されず、公知の電極活物質を使用できる。例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、及び、一般式:LiNiCoMn(X+Y+Z+A=1、0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦Z≦1、0≦A≦1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV、LiVOPO、Li(PO)、オリビン型LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素を示す)、チタン酸リチウム(LiTi12)、LiNiCoAl(0.9<X+Y+Z<1.1)等の複合金属酸化物が挙げられる。
(正極バインダー)
バインダーは、正極活物質同士を結合すると共に、正極活物質と集電体12とを結合している。バインダーは、上述の結合が可能なものであればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂が挙げられる。更に、上記の他に、バインダーとして、例えば、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等を用いてもよい。また、バインダーとして電子伝導性の導電性高分子やイオン伝導性の導電性高分子を用いてもよい。電子伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリアセチレン等が挙げられる。この場合は、バインダーが導電助剤粒子の機能も発揮するので導電助剤を添加しなくてもよい。イオン伝導性の導電性高分子としては、例えば、リチウムイオン等のイオンの伝導性を有するものを使用することができ、例えば、高分子化合物(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物、ポリフォスファゼン等)のモノマーと、LiClO、LiBF、LiPF等のリチウム塩又はリチウムを主体とするアルカリ金属塩と、を複合化させたもの等が挙げられる。複合化に使用する重合開始剤としては、例えば、上記のモノマーに適合する光重合開始剤または熱重合開始剤が挙げられる。
(正極導電助剤)
導電助剤も、正極活物質層14の導電性を良好にするものであれば特に限定されず、公知の導電助剤を使用できる。例えば、黒鉛、カーボンブラック等の炭素系材料や、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。
正極活物質層14中のバインダーの含有量は特に限定されないが、正極活物質層14中に、1〜10質量%含有することが好ましい。正極活物質とバインダーの含有量を上記範囲とすることにより、得られた正極活物質層14において、バインダーの量が少なすぎて強固な正極活物質層を形成できなくなる傾向を抑制できる。また、電気容量に寄与しないバインダーの量が多くなり、十分な体積エネルギー密度を得ることが困難となる傾向も抑制できる。
正極活物質層14中の導電助剤の含有量も特に限定されないが、添加する場合には正極活物質の質量に対して0.5〜5質量%であることが好ましい。
(負極集電体)
負極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、銅、ニッケル、ステンレス又はそれらの合金の金属薄板(金属箔)を用いることができる。
(負極活物質層)
負極活物質層24は、負極活物質、バインダー、及び、必要に応じた量の導電助剤から主に構成されるものである。
(負極活物質)
本実施形態の負極活物質は、負極活物質粒子2の表面の少なくとも一部を被覆するチタンとリンからなる多孔質化合物層1を備えるものである。
本実施形態の負極活物質は、充電時にリチウムイオンが負極活物質にインターカレートして負極活物質が膨張する際の体積変化分を、負極活物質粒子2の表面に存在する多孔質化合物層が吸収するため、バインダーの伸長が低減する。このためバインダーの伸長に由来する電極活物質層1の導電経路の切断が抑制され、サイクル特性が向上すると考えられる。
なお、チタンとリンからなる多孔質化合物層1は、空孔が確認できない程度の緻密膜ではないため、上記機能を持つと考えられる。したがって、上記機能を有する範囲においては多孔質であると認めることができる。ただし、空孔率が10%以上の場合を多孔質、10%未満の場合を緻密としている。もちろんそれに限定されるものではない。また、この様なチタンとリンからなる多孔質化合物層の確認は、負極活物質を有する電極の断面をSTEM等の透過型電子顕微鏡により観察することで負極活物質表面を被覆する層内の空孔による像がコントラストとして観察されるのでそれにより確認でき、その空孔の占有率を画像解析による2値化処理により計算することにより空孔率を算出することができる。
(負極活物質粒子)
本実施形態に係る負極活物質粒子としては、例えば、リチウムイオンを電気化学的に挿入および脱離するケイ素(Si)、スズ、ゲルマニウム、鉄またはこれらの化合物や合金、TiO、SnO、Fe等の酸化物を主体とする結晶質・非晶質の化合物、チタン酸リチウム(LiTi12)等を含む粒子が挙げられる。
なお、ケイ素は単体で用いてもよく、ケイ素化合物、またはケイ素合金を用いてもよく、さらにこれらの2種以上を併用してもよい。
前記のケイ素化合物としては、例えば、酸化ケイ素が挙げられ、SiOと表記される(ただし、ケイ素に対する酸素の原子比xは、0<x≦2を満たすものとする)。
前記の酸化ケイ素は、ケイ素の微結晶および二酸化ケイ素の非晶質相を含んでいてもよく、この場合、ケイ素と酸素の原子比は、ケイ素の微結晶および二酸化ケイ素の非晶質相を含めた比率となる。すなわち、酸化ケイ素には、非晶質の二酸化ケイ素のマトリックス中に、ケイ素の微結晶が分散した構造のものが含まれ、この非晶質の二酸化ケイ素と、その中に分散しているケイ素の微結晶とを合わせて、前記の原子比xが0<x≦2を満足していればよい。例えば、非晶質の二酸化ケイ素のマトリックス中に、ケイ素が分散した構造で、二酸化ケイ素とケイ素のモル比が1:1の化合物の場合、x=1であるので、構造式としてはSiOと表記される。なお、非晶質の二酸化ケイ素のマトリックスは、非晶質の一酸化ケイ素を含んでいてもよい。
さらに前記したケイ素合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン、およびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
チタンとリンからなる多孔質化合物層は連続膜であることが好ましい。この様な構成により負極活物質が膨張収縮することによるバインダーへの影響を低減することができる。また、充放電中のチタンとリンからなる多孔質化合物層の脱落を抑制でき、負極活物質層やセパレータの空孔を閉塞しないため、イオン伝導性を維持することができ、サイクル劣化が低減される。
なお、連続膜とは、被覆材料が負極活物質表面に連なって形成され、一体化した被膜を示すものであり、その一部が粒界を有しても良い。したがって、その被覆材料が粒子から構成される場合には、その粒子同士がネッキングして一体化したものをいう。被覆材料が連続膜の確認は、負極活物質を含有する電極の断面をSTEM等の透過型電子顕微鏡により観察することで容易に確認できる。
負極活物質粒子を被覆するチタンとリンからなる多孔質化合物層の被覆率は上述した効果を有する範囲であれば特に限定されるものではないが、50%以上が好ましい。
また、チタンとリンからなる多孔質化合物層の厚みは30nm以上200nm以下であることが好ましい。さらに、50nm以上100nm以下であることがより好ましい。
チタンとリンからなる多孔質化合物層の厚みが上記範囲内である場合、チタンとリンからなる多孔質化合物層の多孔量が充放電の体積変化分を埋め合わせる厚さとして適当であり、バインダーの伸長を低減させることが出来る。このためバインダーの伸長に由来する電極活物質層の導電経路の切断を抑制し、サイクル特性が向上する。この範囲を外れると多孔質化合物層の効果が小さくなる可能性がある。
さらにチタンとリンからなる多孔質化合物層の空孔率は10%以上50%以下であることが好ましく、20%以上40%以下であることがさらに好ましい。
チタンとリンからなる多孔質化合物層の空孔率が上記範囲内である場合、チタンとリンからなる多孔質化合物層の多孔量が充放電の体積変化分を埋め合わせる多孔量が適当であり、バインダーの伸長を低減させることが出来る。このためバインダーの伸長に由来する電極活物質層の導電経路の切断を抑制し、サイクル特性が向上する。この範囲を外れると多孔質化合物層の効果が小さくなる可能性がある。
負極活物質粒子表面を被覆するチタンとリンからなる多孔質化合物層は、TiP、TiP、TiP、Ti、Ti、Ti等が考えられる。あるいは、チタンの一部が置換されたチタンとリンからなる化合物でもよい。チタンとリンからなる化合物を被覆させる場合、メカノケミカル法等により形成することが出来る。
メカノケミカル法の一例として、具体的にはチタンとリンからなる化合物と可溶性材料を機械的に複合化し、微細化し、それを負極活物質粒子表面に被覆させ、可溶性材料を洗浄することでチタンとリンからなる多孔質化合物層を形成する。次に具体的な手順を順に沿って説明する。
(チタンとリンからなる化合物の作製)
まず、チタンとリンからなる化合物を作成するため、化合物原料となるチタンと赤燐を、80cmのジルコニア製の容器に秤量する。秤量および遊星ボールミル装置によるメカノケミカル合成は、化合物原料の発火や酸化を防止するためAr雰囲気で行うことが好ましい。
化合物原料のチタンと赤燐の割合は、モル比で制御を行う。
化合物原料の入ったジルコニア製の容器に、ジルコニア製のボールを加え、蓋をする。ボールと化合物原料の比率は、体積比で概ね20:1程度が好ましい。
(ボールの材質)
ボールの材質にはジルコニアやアルミナ、窒化ケイ素、メノー、ステンレススチール、タングステンカーバイド、などが挙げられるが、摩擦時に摩耗して膜内に入っても特性を悪くしない限りどのような材質でも良が、ジルコニアがより好ましい。
そして、遊星ボールミル装置に容器をセットし、処理を行うことでチタンとリンからなる化合物が得られる。TiとPを1:1で化合物化した場合、ここでは、TiPが得られる。
(チタンとリンからなる化合物と可溶性材料の複合体の作製)
次に、チタンとリンからなる化合物に可溶性材料を加え、遊星ボールミル処理することで、チタンとリンからなる化合物と可溶性材料の複合体を作製する。発火や酸化を防止するためAr雰囲気下で処理することが好ましい。
可溶性材料は、ショ糖やブドウ糖、果糖等の糖類やカルボキシメチルセルロースやアルギン酸、PVA、PVP、PVDF、ポリアクリル酸などのアクリル樹脂等の高分子化合物類など、水や有機溶媒等に可溶で洗浄可能である限りどのような材料を用いても良い。より好ましくはショ糖が好ましい。ショ糖を用いることで、本願記載の空孔率の制御が容易となる。
まず、複合体原料のチタンとリンからなる化合物と可溶性材料を、80cmのジルコニア製の容器に秤量する。秤量および遊星ボールミル装置による複合化は、Ar雰囲気で行うことが好ましい。
複合体原料の、チタンとリンからなる化合物と可溶性材料の割合は、概ねTiPと可溶性材料の体積比率が、チタンとリンからなる化合物:可溶性材料=1:X(X=0.1〜1)程度が好ましい。
複合体原料の入ったジルコニア製の容器に、ジルコニア製のボールを加え、蓋をする。ボールと複合体原料の比率は、体積比で概ね20:1程度が好ましい。
そして、遊星ボールミル装置に容器をセットし、処理することで、TiPと可溶性材料からなる複合体が得られる。
更に、直径0.01mmから1mm程度のジルコニア製のボールに変更し、処理することで、微細化した複合体が得られる。
(負極活物質粒子への被覆処理)
得られた前記複合体を、負極活物質粒子に被覆するために、負極活物質粒子と前記複合体をボールミルまたは、遊星ボールミル処理することで、前記複合体で被覆された負極活物質粒子を得た。用いる負極活物質粒子、の大きさは特に限定はされないが、200nmから100μmが好ましい。発火や酸化を防止するためAr雰囲気下で処理することが好ましい。
(多孔質膜の厚みの制御方法)
まず、負極活物質粒子および多孔質膜が球状であると仮定し、狙いとする厚みを得るために必要な前記複合体の体積を算出する。次に、前記複合体の密度と求めた体積から、狙いとする厚みを得るのに必要な前記複合体の重量を決めた。このように複合体の重量により、多孔質膜の厚みを制御した。
(多孔質膜の空孔率の制御方法)
多孔質膜の空孔率は、前記複合体に含まれる可溶性材料の量により制御を行った。
(本実施形態の負極活物質)
前記複合体で被覆された負極活物質粒子を純水または有機溶媒で可溶性材料を溶出・洗浄することで被覆層を多孔化させる。得られた粉末は真空中で乾燥、熱処理を行うことで、本実施形態の負極活物質を得た。
(負極バインダー及び負極導電助剤)
バインダー及び導電助剤には、上述した正極10に用いる材料に加え、ポリアクリル酸(PAA)等のアクリル系樹脂も用いることができる。また、バインダー及び導電助剤の含有量も、負極活物質の体積変化の大きさや箔との密着性を加味しなければならない場合は適宜調整し、上述した正極10における含有量と同様の含有量を採用すればよい。添加する場合にはバインダーの添加量は、負極活物質の質量に対して2〜20質量%であることが好ましい。導電助剤の添加量は、負極活物質の質量に対して0.5〜5質量%であることが好ましい。
上述した構成要素により、電極10、20は、通常用いられる方法により作製できる。
例えば、活物質(正極活物質または負極活物質)、バインダー(正極バインダーまたは負極バインダー)、溶媒、及び、導電助剤(正極導電助剤または負極導電助剤)を含む塗料を集電体上に塗布し、集電体上に塗布された塗料中の溶媒を除去することにより製造することができる。
溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、水等を用いることができる。
塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法が挙げられる。
集電体12、22上に塗布された塗料中の溶媒を除去する方法は特に限定されず、塗料が塗布された集電体12、22を、例えば80℃〜150℃の雰囲気下で乾燥させればよい。
そして、このようにして活物質層14、24が形成された電極を、その後、必要に応じて例えば、ロールプレス装置等によりプレス処理すればよい。ロールプレスの線圧は例えば、10〜50kgf/cmとすることができる。
次に、リチウムイオン二次電池100の他の構成要素を説明する。
(セパレータ)
セパレータは、電解液に対して安定であり、保液性に優れていれば特に制限はないが、一般的にはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンの多孔質シート、又は不織布が挙げられる。
(電解質)
電解質は、正極活物質層14、負極活物質層24、及び、セパレータ18の内部に含有させるものである。電解質としては、特に限定されず、例えば、本実施形態では、リチウム塩を含む電解液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解質溶液)を使用することができる。ただし、電解質水溶液は電気化学的に分解電圧が低いことにより、充電時の耐用電圧が低く制限されるので、有機溶媒を使用する電解液(非水電解質溶液)であることが好ましい。電解液としては、リチウム塩を非水溶媒(有機溶媒)に溶解したものが好適に使用される。リチウム塩としては特に限定されず、リチウムイオン二次電池の電解質として用いられるリチウム塩を用いることができる。例えば、リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiBETI、LiFSI、LiBOB等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、(CFSONLi等の有機酸陰イオン塩等を用いることができる。
また、有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、等の非プロトン性高誘電率溶媒や、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、等の酢酸エステル類あるいはプロピオン酸エステル類等の非プロトン性低粘度溶媒が挙げられる。これらの非プロトン性高誘電率溶媒と非プロトン性低粘度溶媒を適当な混合比で併用することが望ましい。更には、イミダゾリウム、アンモニウム、及びピリジニウム型のカチオンを用いたイオン性液体を使用することができる。対アニオンは特に限定されるものではないが、BF4−、PF6−、(CFSO等が挙げられる。イオン性液体は前述の有機溶媒と混合して使用することが可能である。電解液のリチウム塩の濃度は、電気伝導性の点から、0.5〜2.0Mが好ましい。なお、この電解質の温度25℃における導電率は0.01S/M以上であることが好ましく、電解質塩の種類あるいはその濃度により調整される。
電解質を固体電解質やゲル電解質とする場合には、シリコーンゲル、ポリビニリデンフルオライド等を高分子材料として含有することが可能である。
更に、本実施形態の電解液中には、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、サイクル寿命向上を目的としたビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート等や、過充電防止を目的としたビフェニル、アルキルビフェニル等や、脱酸や脱水を目的とした各種カーボネート化合物、各種カルボン酸無水物、各種含窒素及び含硫黄化合物が挙げられる。
(ケース)
ケース50は、その内部に積層体30及び電解液を密封するものである。ケース50は、電解液の外部への漏出や、外部からのリチウムイオン二次電池100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。例えば、ケース50として、図1に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔52としては例えばアルミニウム箔を、高分子膜54としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜54の材料としては融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜54の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
(リード)
リード60、62は、アルミニウム等の導電材料から形成されている。
そして、公知の方法により、リード60、62を正極集電体12、負極集電体22にそれぞれ溶接し、正極10の正極活物質層14と負極20の負極活物質層24との間にセパレータ18を挟んだ状態で、電解液と共にケース50内に挿入し、ケース50の入り口をシールすればよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、リチウムイオン二次電池は図1に示した形状のものに限定されず、コイン形状に打ち抜いた電極とセパレータとを積層したコインタイプや、電極シートとセパレータとをスパイラル状に巻回したシリンダータイプ等であってもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(正極の作製)
正極活物質としてLiNi0.8Co0.15Al0.05を96重量%と、導電助剤としてカーボンブラックを2重量%と、グラファイトを0.5重量%と、バインダーとしてPVDFを1.5重量%と、N−メチル−2−ピロリドンの溶媒とを混合分散させて、ペースト状の正極スラリーを作製した。そして、コンマロールコーターを用いて、この正極スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に、均一に正極活物質層を塗布した。次いで、乾燥炉内にて、110℃の大気雰囲気下で上記正極活物質中のN−メチル−2−ピロリドン溶媒を乾燥させた。正極活物質の塗布量は22.0mg/cmとした。なお、上記アルミニウム箔の両面に塗布された正極活物質層の塗膜の厚みは、ほぼ同じ膜厚に調整した。上記正極活物質が形成された正極をロールプレス機によって、正極活物質層を正極集電体の両面に圧着させ、正極活物質層の密度が3.6g/cmなるように正極を作製した。
(負極活物質の作製)
前記負極活物質粒子へのチタンとリンからなる多孔質化合物層の被覆は以下の手順で行った。
Ar雰囲気中で、チタンと赤燐のモル比が1:1となるように80cmのジルコニア製の容器に秤量し、Φ3mmのジルコニア製のボールを加え、600rpmで48時間遊星ボールミル処理することで、チタンとリンの化合物であるTiPを回収した。
次に、このTiPに体積比が1:1となるようにショ糖を加え、Φ1mmのジルコニア製のボールを用いて400rpmで5時間遊星ボールミル処理を行い、TiPとショ糖からなるTiP複合体を作製した。
更に、得られたTiP複合体をΦ0.05mmのジルコニア製のボールを用いて300rpmで5時間遊星ボールミル処理することで、微細化させたTiP複合体を回収した。微細化させたTiP複合体の粒径は、STEM観察を行い、得られた画像の100粒子を測長し粒径を求めた。得られた微細化させたTiP複合体の粒径は61nmであった。
次に、10Lのナイロンポットの容器に、SiO粉末1000gと微細化したTiP複合体0.020mgを秤量した後、Φ0.05mmのジルコニア製のボールを加えて、150rpmで10時間処理することで、TiP複合体で被覆されたSiO粉末を回収した。TiP複合体により被覆されたSiO粉末を5Lの純水中に加え、スターラーを回転数300rpmで2時間攪拌した後、溶液を濾過、水洗することで多孔化処理を行った。水洗後60℃で8時間乾燥させた。更に、乾燥後、真空中400℃で1時間熱処理を行うことで、TiP多孔質により被覆されたSiO粉末を回収した。
(負極の作製)
負極活物質として、SiO粉末粒子表面に、TiP多孔質化合物層を備えた負極活物質を87.9重量%と、アセチレンブラック2.1重量%と、ポリアミドイミド樹脂10重量%と、N−メチル−2−ピロリドンの溶媒とを混合分散させて、負極活物質層形成用のスラリーを調製した。このスラリーを、厚さ10μmの銅箔の一面に、負極活物質の塗布量が、負極活物質粒子のみで換算して3.3mg/cmとなるように塗布し、100℃で乾燥することで負極活物質層を形成した。上記負極活物質層が形成された負極をロールプレス機によって、負極活物質層を負極集電体の両面に圧着させ、負極活物質層の密度が1.5g/cmになるように負極を作製した。
<チタンとリンからなる多孔質化合物層の厚みの測定方法>
負極活物質表面のチタンとリンからなる多孔質化合物層の厚み測定は以下の手順で行った。負極活物質を有する電極の断面をSTEM(JEOL社製)を用いて負極活物質表面の多孔質化合物層を撮影した。任意に選択した一負極活物質表面の多孔質化合物層の厚みを10か所測長した。上記の操作を任意の10粒子それぞれについて行い、得られた厚みを平均したものを多孔質化合物層の厚みとした。
<チタンとリンからなる多孔質化合物層の空孔率の測定方法>
負極活物質表面のチタンとリンからなる多孔質化合物層の空孔率測定は以下の手順で行った。負極活物質を有する電極の断面をSTEM(JEOL社製)を用いて負極活物質表面のチタンとリンからなる多孔質化合物層を撮影した。任意に選択した一負極活物質表面の多孔質化合物層内において100nm×100nmの正方形の領域を任意に選び、当該領域内の空孔の面積と多孔質化合物層の面積を測定した。これを、一負極活物質全体について測定し、空孔率={(空孔の面積)/(多孔質化合物層全体の面積)}×100を算出した。上記の操作を任意の100粒子について行い、得られた空孔率を平均したものを多孔質化合物層の空孔率とした。
(評価用リチウムイオン二次電池の作製)
上記で作製した正極、負極を用いて、これらの間にポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを挟んで、アルミニウムラミネートパックに入れ、このアルミニウムラミネートパックに、電解液として1MのLIPF溶液(溶媒:EC/DEC=3/7(体積比))を注液した後に真空シールし、評価用のリチウムイオン二次電池を作製した。
[実施例2〜10]
TiPとショ糖の体積比を1:X(X=0.05〜3)の範囲内で変えて、TiPとショ糖の複合体を作製した事以外は、実施例1と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
[実施例11]
Ar雰囲気中で、チタンと赤燐のモル比が1:1となるように80cmのジルコニア製の容器に秤量し、Φ3mmのジルコニア製のボールを加え、600rpmで48時間遊星ボールミル処理することで、チタンとリンの化合物であるTiPを回収した。
次に、このTiPに体積比が1:0.5となるようにショ糖を加え、Φ1mmのジルコニア製のボールを用いて400rpmで5時間遊星ボールミル処理を行い、TiPとショ糖からなるTiP複合体を作製した。
更に、得られたTiP複合体をΦ0.05mmのジルコニア製のボールを用いて300rpmで8時間遊星ボールミル処理することで、微細化させたTiP複合体を回収した。微細化させたTiP複合体の粒径は50nmであった。
次に、10Lのナイロンポットの容器に、SiO粉末1000gと微細化したTiP複合体0.033mgを秤量した後、Φ0.05mmのジルコニア製のボールを加えて、150rpmで10時間処理することで、TiP複合体で被覆されたSiO粉末を回収した。TiP複合体により被覆されたSiO粉末を5Lの純水中に加え、スターラーを回転数300rpmで2時間攪拌した後、溶液を濾過、水洗することで多孔化処理を行った。水洗後60℃で8時間乾燥させた。更に、乾燥後、真空中400℃で1時間熱処理を行うことで、TiP多孔質により被覆されたSiO粉末を回収した。それ以外は実施例1と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
[実施例12]
実施例11の、微細化したTiP複合体の量を0.016mgとしてTiP多孔質により被覆されたSiO粉末を作製した事以外は、実施例1と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
[実施例13]
Ar雰囲気中で、チタンと赤燐のモル比が1:1となるように80cmのジルコニア製の容器に秤量し、Φ3mmのジルコニア製のボールを加え、600rpmで48時間遊星ボールミル処理することで、チタンとリンの化合物であるTiPを回収した。
次に、このTiPに体積比が1:0.5となるようにショ糖を加え、Φ1mmのジルコニア製のボールを用いて400rpmで5時間遊星ボールミル処理を行い、TiPとショ糖からなるTiP複合体を作製した。
更に、得られたTiP複合体をΦ0.05mmのジルコニア製のボールを用いて300rpmで3時間遊星ボールミル処理することで、微細化させたTiP複合体を回収した。微細化させたTiP複合体の粒径は72nmであった。
次に、10Lのナイロンポットの容器に、SiO粉末1000gと微細化したTiP複合体0.024mgを秤量した後、Φ0.05mmのジルコニア製のボールを加えて、150rpmで10時間処理することで、TiP複合体で被覆されたSiO粉末を回収した。TiP複合体により被覆されたSiO粉末を5Lの純水中に加え、スターラーを回転数300rpmで2時間攪拌した後、溶液を濾過、水洗することで多孔化処理を行った。水洗後60℃で8時間乾燥させた。更に、乾燥後、真空中400℃で1時間熱処理を行うことで、TiP多孔質により被覆されたSiO粉末を回収した。それ以外は実施例1と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
[実施例14]
Ar雰囲気中で、チタンと赤燐のモル比が1:1となるように80cmのジルコニア製の容器に秤量し、Φ3mmのジルコニア製のボールを加え、600rpmで48時間遊星ボールミル処理することで、チタンとリンの化合物であるTiPを回収した。
次に、このTiPに体積比が1:0.5となるようにショ糖を加え、Φ1mmのジルコニア製のボールを用いて400rpmで5時間遊星ボールミル処理を行い、TiPとショ糖からなるTiP複合体を作製した。
更に、得られたTiP複合体をΦ0.03mmのジルコニア製のボールを用いて300rpmで5時間遊星ボールミル処理することで、微細化させたTiP複合体を回収した。微細化させたTiP複合体の粒径は29nmであった。
次に、10Lのナイロンポットの容器に、SiO粉末1000gと微細化したTiP複合体0.010mgを秤量した後、Φ0.03mmのジルコニア製のボールを加えて、150rpmで10時間処理することで、TiP複合体で被覆されたSiO粉末を回収した。TiP複合体により被覆されたSiO粉末を5Lの純水中に加え、スターラーを回転数300rpmで2時間攪拌した後、溶液を濾過、水洗することで多孔化処理を行った。水洗後60℃で8時間乾燥させた。更に、乾燥後、真空中400℃で1時間熱処理を行うことで、TiP多孔質により被覆されたSiO粉末を回収した。それ以外は実施例1と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
[実施例15]
実施例11の、微細化したTiP複合体の量を0.070mgとしてTiP多孔質により被覆されたSiO粉末を作製した事以外は、実施例1と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
[実施例16]
Ar雰囲気中で、チタンと赤燐のモル比が1:1となるように80cmのジルコニア製の容器に秤量し、Φ3mmのジルコニア製のボールを加え、600rpmで48時間遊星ボールミル処理することで、チタンとリンの化合物であるTiPを回収した。
次に、このTiPに体積比が1:0.5となるようにショ糖を加え、Φ1mmのジルコニア製のボールを用いて400rpmで5時間遊星ボールミル処理を行い、TiPとショ糖からなるTiP複合体を作製した。
更に、得られたTiP複合体をΦ0.03mmのジルコニア製のボールを用いて300rpmで10時間遊星ボールミル処理することで、微細化させたTiP複合体を回収した。微細化させたTiP複合体の粒径は25nmであった。
次に、10Lのナイロンポットの容器に、SiO粉末1000gと微細化したTiP複合体0.008mgを秤量した後、Φ0.03mmのジルコニア製のボールを加えて、150rpmで10時間処理することで、TiP複合体で被覆されたSiO粉末を回収した。TiP複合体により被覆されたSiO粉末を5Lの純水中に加え、スターラーを回転数300rpmで2時間攪拌した後、溶液を濾過、水洗することで多孔化処理を行った。水洗後60℃で8時間乾燥させた。更に、乾燥後、真空中400℃で1時間熱処理を行うことで、TiP多孔質により被覆されたSiO粉末を回収した。それ以外は実施例1と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
[実施例17]
実施例11の、微細化したTiP複合体の量を0.052mgとしてTiP多孔質により被覆されたSiO粉末を作製した事以外は、実施例1と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
[実施例18]
実施例13の、微細化したTiP複合体の量を0.077mgとしてTiP多孔質により被覆されたSiO粉末を作製した事以外は、実施例1と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
[実施例19]
Ar雰囲気中で、チタンと赤燐のモル比が1:1となるように80cmのジルコニア製の容器に秤量し、Φ3mmのジルコニア製のボールを加え、600rpmで48時間遊星ボールミル処理することで、チタンとリンの化合物であるTiPを回収した。
次に、このTiPに体積比が1:1となるようにショ糖を加え、Φ1mmのジルコニア製のボールを用いて400rpmで5時間遊星ボールミル処理を行い、TiPとショ糖からなるTiP複合体を作製した。
更に、得られたTiP複合体をΦ0.05mmのジルコニア製のボールを用いて300rpmで5時間遊星ボールミル処理することで、微細化させたTiP複合体を回収した。微細化させたTiP複合体の粒径は59nmであった。
次に、10Lのナイロンポットの容器に、Si粉末1000gと微細化したTiP複合体0.020mgを秤量した後、Φ0.05mmのジルコニア製のボールを加えて、150rpmで10時間処理することで、TiP複合体で被覆されたSi粉末を回収した。TiP複合体により被覆されたSi粉末を5Lの純水中に加え、スターラーを回転数300rpmで2時間攪拌した後、溶液を濾過、水洗することで多孔化処理を行った。水洗後60℃で8時間乾燥させた。更に、乾燥後、真空中400℃で1時間熱処理を行うことで、TiP多孔質により被覆されたSi粉末を回収した。
(負極の作製)
負極活物質として、としてSi粉末粒子表面に、TiP多孔質化合物層を備えた負極活物質を87.9重量%と、アセチレンブラック2.1重量%と、ポリアミドイミド樹脂10重量%と、N−メチル−2−ピロリドンの溶媒とを混合分散させて、負極活物質層形成用のスラリーを調製した。このスラリーを、厚さ10μmの銅箔の一面に、負極活物質の塗布量が、負極活物質粒子のみで換算して1.0mg/cmとなるように塗布し、100℃で乾燥することで負極活物質層を形成した。上記負極活物質層が形成された負極をロールプレス機によって、負極活物質層を負極集電体の両面に圧着させ、負極活物質層の密度が1.56g/cmになるように負極を作製した。
(評価用リチウムイオン二次電池の作製)
実施例1で作製した正極、前記負極を用いて、これらの間にポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを挟んで、アルミニウムラミネートパックに入れ、このアルミニウムラミニウムネートパックに、電解液として1MのLIPF溶液(溶媒:EC/DEC=3/7(体積比))を注液した後に真空シールし、評価用のリチウムイオン二次電池を作製した。そのサイクル特性の評価を行った。
[実施例20〜28]
TiPとショ糖の体積比を1:X(X=0.05〜3)の範囲内で変えて、TiPとショ糖の複合体を作製した事以外は、実施例19と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
[実施例29]
負極活物質粒子にSi粉末を用いた事以外は、実施例11と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
[実施例30]
負極活物質粒子にSi粉末を用いた事以外は、実施例12と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
[実施例31]
負極活物質粒子にSi粉末を用いた事以外は、実施例13と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
[実施例32]
負極活物質粒子にSi粉末を用いた事以外は、実施例14と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
[実施例33]
負極活物質粒子にSi粉末を用いた事以外は、実施例15と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
[実施例34]
負極活物質粒子にSi粉末を用いた事以外は、実施例16と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
[実施例35]
負極活物質粒子にSi粉末を用いた事以外は、実施例17と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
[実施例36]
負極活物質粒子にSi粉末を用いた事以外は、実施例18と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
[比較例1]
比較例1では負極活物質粒子への被覆処理を行わなかった事以外は実施例1と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
[比較例2]
Ar雰囲気中で、チタンと赤燐のモル比が1:1となるように80cmのジルコニア製の容器に秤量し、Φ3mmのジルコニア製のボールを加え、600rpmで48時間遊星ボールミル処理することで、チタンとリンの化合物であるTiPを回収した。
次に、このTiPにショ糖を加えずに、Φ1mmのジルコニア製のボールを用いて400rpmで5時間遊星ボールミル処理を行った。
更に、得られたTiPをΦ0.05mmのジルコニア製のボールを用いて300rpmで8時間遊星ボールミル処理することで、微細化させたTiPを回収した。微細化させたTiPの粒径は50nmであった。
次に、10Lのナイロンポットの容器に、SiO粉末1000gと微細化したTiP0.033mgを秤量した後、Φ0.05mmのジルコニア製のボールを加えて、150rpmで10時間処理することで、TiPで被覆されたSiO粉末を回収した。TiPにより被覆されたSiO粉末を5Lの純水中に加え、スターラーを回転数300rpmで2時間攪拌した後、溶液を濾過、水洗を行った。水洗後60℃で8時間乾燥させた。更に、乾燥後、真空中400℃で1時間熱処理を行うことで、TiPにより被覆されたSiO粉末を回収した。また、STEM観察により、得られた負極活物質のチタンとリンからなる化合物層の空孔率が0%であり、緻密であることを確認した。それ以外は実施例1と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
[比較例3]
Ar雰囲気中で、チタンと赤燐のモル比が1:1となるように80cmのジルコニア製の容器に秤量し、Φ3mmのジルコニア製のボールを加え、600rpmで48時間遊星ボールミル処理することで、チタンとリンの化合物であるTiPを回収した。
次に、このTiPにショ糖を加えずに、Φ1mmのジルコニア製のボールを用いて400rpmで5時間遊星ボールミル処理を行った。
更に、得られたTiPをΦ0.05mmのジルコニア製のボールを用いて300rpmで5時間遊星ボールミル処理することで、微細化させたTiPを回収した。微細化させたTiPの粒径は60nmであった。
次に、10Lのナイロンポットの容器に、SiO粉末1000gと微細化したTiP0.020mgを秤量した後、Φ0.05mmのジルコニア製のボールを加えて、150rpmで10時間処理することで、TiPで被覆されたSiO粉末を回収した。TiPにより被覆されたSiO粉末を5Lの純水中に加え、スターラーを回転数300rpmで2時間攪拌した後、溶液を濾過、水洗を行った。水洗後60℃で8時間乾燥させた。更に、乾燥後、真空中400℃で1時間熱処理を行うことで、TiPにより被覆されたSiO粉末を回収した。また、STEM観察により、得られた負極活物質のチタンとリンからなる化合物層の空孔率が0%であり、緻密であることを確認した。それ以外は実施例1と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
[比較例4]
負極活物質粒子にSi粉末を用いて、負極活物質粒子への被覆処理を行わなかった事以外は実施例1と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。
[比較例5]
負極活物質粒子にSi粉末を用いた事以外は、比較例2と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。また、STEM観察により、得られた負極活物質のチタンとリンからなる化合物層の空孔率が0%であり、緻密であることを確認した。
[比較例6]
負極活物質粒子にSi粉末を用いた事以外は、比較例3と同様の方法で評価用リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。また、STEM観察により、得られた負極活物質のチタンとリンからなる化合物層の空孔率が0%であり、緻密であることを確認した。
<サイクル特性の評価方法>
実施例及び比較例で作製した評価用リチウムイオン二次電池について、二次電池充放電試験装置(北斗電工株式会社製)を用い、サイクル特性の測定を行った。0.5Cで4.2Vまで定電流定電圧充電し、1Cで2.5Vまで定電流放電する充放電サイクルを500サイクル繰り返し、500サイクル後の容量維持率を測定し、サイクル特性を評価した。
表1に実施例1〜36及び比較例1〜6の被覆材、膜状態、TiPとショ糖の体積比率、負極活物質粒子、負極活物質粒子の粒径、多孔質化合物の粒径、多孔質化合物層の厚み、空孔率及びサイクル維持率について示す。
Figure 0006631363
実施例1〜36におけるチタンとリンからなる多孔質化合物層の断面をSTEMにより観察したところ、すべての実施例において多孔質の連続膜であることが確認された。
実施例1から36の電池では高いサイクル維持率を示した。比較例1から6の電池では、チタンとリンからなる多孔質化合物層を被覆しない場合や、多孔質化合物層が緻密である場合にはサイクル維持率の顕著な低下が見られた。
本発明のリチウムイオン二次電池を用いることにより、サイクル特性が向上したリチウムイオン二次電池を提供することができる。
1…多孔質化合物層、2…負極活物質粒子、10…正極、12…正極集電体、14…正極活物質層、18…セパレータ、20…負極、22…負極集電体、24…負極活物質層、30…積層体、50…ケース、52…金属箔、54…高分子膜、60,62…リード、100…リチウムイオン二次電池。

Claims (6)

  1. 負極活物質粒子表面の少なくとも一部を被覆し、チタンとリンからなる多孔質化合物層を備える負極活物質。
  2. 前記多孔質化合物層は連続膜であることを特徴とする請求項1に記載の負極活物質。
  3. 前記多孔質化合物層の厚みが30nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の負極活物質。
  4. 前記多孔質化合物層の空孔率が10%以上50%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の負極活物質。
  5. 請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の負極活物質を含有する負極。
  6. 請求項5に記載の負極と、正極と、電解質と、を有するリチウムイオン二次電池。
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