JP2018063756A - リチウムイオン二次電池用負極活物質、リチウムイオン二次電池用負極およびこれを用いたリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極活物質、リチウムイオン二次電池用負極およびこれを用いたリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池用負極活物質、リチウムイオン二次電池用負極、およびこれを用いたリチウムイオン二次電池の提供。【解決手段】リチウムイオン二次電池用負極20は、負極集電体22の少なくとも一方の主面に負極合剤層24が設けられ、負極合剤層24は、リチウムイオンを吸蔵および放出が可能な負極活物質を含み、前記負極活物質は、その表面の一部または全面にタンパク質の被膜を有する。前記タンパク質は、カゼインのアルカリ金属塩、カゼインのマグネシウム塩、カゼインのアルカリ土類金属塩、カゼインアンモニウム、アルブミン、リゾチーム、グロブリンの少なくとも1種を含む、リチウムイオン二次電池用負極活物質。前記タンパク質の被膜の被覆量が、負極活物質重量に対して0.02〜10重量%である、リチウムイオン二次電池用負極活物質。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用負極活物質、リチウムイオン二次電池用負極およびこれを用いたリチウムイオン二次電池に関する。
近年、携帯型電子機器、自動車、電力貯蔵用などの電源として、リチウムイオン二次電池が広く利用されている。上記リチウムイオン二次電池は、正極、負極、正極と負極とを絶縁するセパレーター、および正極と負極との間でイオンの移動を可能にするための電解質で主に構成されている。リチウムイオン二次電池は高エネルギー密度であることから、携帯電話やノート型パソコンなどのエレクトロニクス携帯機器の電源として実用化され、広く普及している。昨今、携帯型電子機器、通信機器等の著しい発展に伴い、機器の小型化、軽量化の観点から、更なる高エネルギー密度のリチウムイオン二次電池が強く要望されている。また、自動車用電池においては長寿命化が強く要望されている。前記要望に対するリチウムイオン二次電池またはリチウム二次電池用の負極としては、高い理論容量を示す金属負極や、金属酸化物負極が注目されており、例えばケイ素(Si)や酸化ケイ素(SiOx)などのケイ素を含む負極活物質は、現在実用化されている黒鉛の理論容量372mAh・g−1よりも遙かに高い理論容量を示すことから、電池の高エネルギー密度化において最も期待されている材料である。
しかし、ケイ素を含む負極活物質を使用した負極では、充放電によるリチウムイオンの吸蔵と放出に伴う負極の膨張と収縮の挙動が、黒鉛を負極活物質として使用した負極よりも膨大に大きくなる。よって、前記の負極を用いたリチウムイオン二次電池では、充電と放電の繰り返しによって、負極合剤層にクラックが発生したり、負極活物質の微粉化が生じていた。すなわち、ケイ素を含む負極活物質では、前記微粉化により負極活物質の表面積が増大し、電解質の分解反応が大きくなる。その結果、電解質量が減少し正負極およびセパレーターに十分な電解質、つまりリチウムイオンが供給されず、優れた充放電サイクル特性が得られないという課題があった。
このような課題に対し先行技術文献1には、ケイ素を含む負極活物質の表面に、熱可塑性樹脂を被覆する手法が開示されている。
しかし、先行技術文献1に記載の手法を用いた場合においても、前記負極活物質の膨張収縮を十分には抑制することはできず、黒鉛のような優れた充放電サイクル特性が得られない課題が残っていた。
特開2014−192064号公報
本発明の目的は、前記事情に鑑みてなされたものであり、充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池用負極活物質、リチウムイオン二次電池用負極、およびこれを用いたリチウムイオン二次電池を提供することにある。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵および放出が可能な負極活物質であって、前記負極活物質の表面の少なくとも一部にタンパク質の被膜を有するリチウムイオン二次電池用負極活物質である。
前記負極活物質は、ケイ素、酸化ケイ素の少なくとも1種を含むリチウムイオン二次電池用負極活物質であることが好ましい。
前記タンパク質は、カゼインのアルカリ金属塩、カゼインのマグネシウム塩、カゼインのアルカリ土類金属塩、カゼインアンモニウム、アルブミン、リゾチーム、グロブリンの少なくとも1種を含むリチウムイオン二次電池用負極活物質であることが好ましい。
前記タンパク質は、カゼインのアルカリ金属塩であって、前記カゼインのアルカリ金属塩は、カゼインナトリウム、カゼインリチウム、カゼインカリウムの少なくとも1種を含むリチウムイオン二次電池用負極活物質であることが好ましい。
前記タンパク質は、カゼインのマグネシウム塩、またはカゼインのアルカリ土類金属塩であって、前記カゼインのマグネシウム塩はカゼインマグネシウムであり、前記カゼインのアルカリ土類金属塩はカゼインカルシウム、カゼインストロンチウム、カゼインバリウムの少なくとも1種を含むリチウムイオン二次電池用負極活物質であることが好ましい。
前記タンパク質の被膜の被覆量は、負極活物質重量に対して0.02〜10重量%であるリチウムイオン二次電池用負極活物質であることが好ましい。
前記タンパク質の被膜の被覆厚みは、負極活物質の直径を1としたときに、0.0004〜0.1であるリチウムイオン二次電池用負極活物質であることが好ましい。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極は、負極集電体の少なくとも一方の主面に負極合剤層が設けられ、前記負極合剤層は、前記いずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質を有するリチウムイオン二次電池用負極である。
本発明に係るリチウムイオン二次電池は、リチウムイオンを吸蔵および放出するリチウムイオン二次電池用正極と、前記リチウムイオン二次電池用負極、前記正極と前記負極との間に介在するセパレーター、および電解質とを有するリチウムイオン二次電池である。
本発明に係る負極活物質によれば、負極活物質の表面の少なくとも一部にタンパク質の被膜を有するため、負極活物質の充放電に伴う膨張収縮が抑制され、すなわち、本発明に係る負極活物質を含むリチウムイオン二次電池用負極、およびそれを用いたリチウムイオン二次電池では、優れた充放電サイクル特性が得られる。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の構成を表す断面図である。 実施例42に係るリチウムイオン二次電池用負極活物質の表面形態である。(FE−SEM写真) 比較例3に係るリチウムイオン二次電池用負極活物質の表面形態である。(FE−SEM写真)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに以下に記載した構成要素は、適宜組み合わせることができる。
<リチウムイオン二次電池>
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100の構成断面図を図1に示す。リチウムイオン二次電池100は、リチウムイオン二次電池用負極10およびリチウムイオン二次電池用正極20と、リチウムイオン二次電池用負極とリチウムイオン二次電池用正極との間に介在されたセパレーター18と電解質から構成され、前記セパレーター18は正極と負極とが物理的に接触することを防止し、正極、負極およびセパレーターには電解質が含浸されている。
リチウムイオン二次電池の形状としては、図1のラミネートフィルム型に制限されるものではなく、例えば、円筒型、角型、コイン型などいずれであってもよい。本実施形態では、ラミネートフィルムを外装体50として用い、実施例では、ラミネートフィルム型電池を作製し評価する。前記のラミネートフィルムとしては、例えば、ポリプロピレン、アルミニウム、ポリアミドがこの順に積層されてなる3層構造として構成されているものを用いることができる。
(リチウムイオン二次電池用負極)
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極10は、負極集電体の少なくとも一方の主面に負極合剤層14が設けられ、前記負極合剤層14は、リチウムイオンを吸蔵および放出が可能な負極活物質を含む。
[負極活物質]
本実施形態に係る負極活物質は、例えば、リチウムイオンを電気化学的に吸蔵および放出するケイ素(Si)、スズ、ゲルマニウム、鉄またはこれらの化合物や合金が好ましく、特に高容量であるケイ素が好ましい。高容量、つまり体積膨張が顕著な負極活物質の方が、本発明の効果が好適に発揮されるためである。
なお、ケイ素は単体で用いてもよく、ケイ素化合物、またはケイ素合金を用いてもよく、さらにこれらの2種以上を併用してもよい。
前記のケイ素化合物としては、例えば、酸化ケイ素が挙げられ、SiOxと表記される(ただし、ケイ素に対する酸素の原子比xは、0<x≦2を満たすものとする)。
前記の酸化ケイ素は、ケイ素の微結晶および二酸化ケイ素の非晶質相を含んでいてもよく、この場合、ケイ素と酸素の原子比は、ケイ素の微結晶および二酸化ケイ素の非晶質相を含めた比率となる。すなわち、酸化ケイ素には、非晶質の二酸化ケイ素のマトリックス中に、ケイ素の微結晶が分散した構造のものが含まれ、この非晶質の二酸化ケイ素と、その中に分散しているケイ素の微結晶とを合わせて、前記の原子比xが0<x≦2を満足していればよい。例えば、非晶質の二酸化ケイ素のマトリックス中に、ケイ素が分散した構造で、二酸化ケイ素とケイ素のモル比が1:1の化合物の場合、x=1であるので、構造式としてはSiOと表記される。なお、非晶質の二酸化ケイ素のマトリックスは、非晶質の一酸化ケイ素を含んでいてもよい。
さらに前記のケイ素合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン、およびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
本実施形態に係る負極活物質は、表面を炭素で被覆してもよい。負極活物質の表面を炭素で被覆することで、良好な電子伝導性が得られるためである。
さらに、負極活物質の形状については、無定形状、球状、粒状、多角形状、鱗片状、板状、繊維状など、特に限定はされることなく適宜使用することができる。負極活物質の粒子サイズについても、特に限定されることなく適宜使用することができる。例えば、0.01〜50μmの粒子径を用いることができる。
さらに前記負極活物質の他に炭素系の負極活物質を併用してもよく、例えば、結晶質炭素、非晶質炭素、またはこれらを組み合わせて使用してもよい。前記の結晶質炭素としては、例えば、無定形状、球状、粒状、多角形状、鱗片状、板状、繊維状などの天然黒鉛、または人造黒鉛が挙げられ、前記の非晶質炭素としては、例えば、ソフトカーボン、ハードカーボン、メソフェーズピッチ炭化物、焼成したコークスなどが挙げられる。
また、本実施形態に係る負極活物質は、前記に挙げた材料に限定されることはなく、他にもリチウムイオンを電気化学的に吸蔵および放出する材料であれば特に制限はされない。
さらに本実施形態に係る負極活物質は、負極活物質の表面の少なくとも一部にタンパク質の被膜を有することが好ましい。
タンパク質は、カゼインのアルカリ金属塩、カゼインのマグネシウム塩、カゼインのアルカリ土類金属塩、カゼインアンモニウム、アルブミン、リゾチーム、グロブリンの少なくとも1種を含むことが好ましい。
特に、カゼインのアルカリ金属塩、カゼインのマグネシウム塩、カゼインのアルカリ土類金属塩の少なくとも1種を含むことがより好ましい。
さらにカゼインのアルカリ金属塩は、カゼインナトリウム、カゼインリチウム、カゼインカリウムの少なくとも1種を含み、カゼインのマグネシウム塩は、カゼインマグネシウムであり、カゼインのアルカリ土類金属塩は、カゼインカルシウム、カゼインストロンチウム、カゼインバリウムの少なくとも1種を含むことが好ましい。
このように、負極活物質の表面の少なくとも一部に前記タンパク質の被膜を有する負極活物質をリチウムイオン二次電池用負極に用いた場合、充放電に伴う負極活物質の膨張収縮が抑制され、優れた充放電サイクル特性を示すリチウムイオン二次電池となる。
前記作用効果の理由の1つとして、次のような作用により奏すると考えられる。負極活物質の表面の少なくとも一部にタンパク質の被膜を有する負極活物質は、充放電反応の酸化還元反応の影響を受けて、前記タンパク質の被膜の立体構造が伸縮することにより、負極活物質の膨張収縮を好適に抑制することができる。したがって、負極活物質の微粉化が抑制されるため、電解質との副反応、つまり電解質の分解反応が抑制される。以上の効果により、充放電サイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池を得ることができる。
さらにタンパク質の被膜の被覆量は、負極活物質質量に対して0.02〜10質量%であることが好ましい。この範囲の被覆量である場合、より優れた充放電サイクル特性が得られるためである。
また、タンパク質の被膜は、粒子を含んでいてもよい。粒子を含むことで負極活物質の充放電に伴う膨張収縮の応力が分散し、タンパク質の被膜が負極活物質から剥離し難くなるためである。
粒子は、負極活物質の粒子よりも小さいことが好ましく、特に500nm以下の粒子が好ましい。粒子の形状としては特に限定はされないが、真球状、略球状、多角形状、鱗片状、板状など適宜用いることができる。
粒子の材質としては、無機材料でも有機材料でもよく、例えば、非晶質炭素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、炭化ケイ素、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン、ポリスチレン、スチレンブタジエンラバー(SBR)などが挙げられる。
[負極導電助剤]
本実施形態に係る負極合剤層14は、導電性の向上を目的として導電助剤を含んでいてもよい。本実施形態に用いられる導電助剤は特に制限されず、周知の材料を用いることができる。例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック、気相成長炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ(CNT)、などの炭素繊維、さらに、グラフェン、黒鉛などの炭素材料が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
[負極バインダー]
本実施形態に係る負極合剤層14は、負極活物質と負極導電助剤と負極集電体12との結着性の向上を目的としてバインダーを含んでいてもよい。本実施形態に用いられる負極バインダーとしては、有機溶剤系バインダーでもよく、水系バインダーでもよい。例えば、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、アルギン酸塩、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリウレタンなどが挙げられ、これらの1種を用いてもよく、2種以上を併用することもできる。特に充放電による膨張が大きいケイ素系の負極活物質を用いる場合、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミド、ポリアクリル酸が好適に用いることができる。なお、これら列挙したバインダーに限定されるものではない。
[負極集電体]
本実施形態に係る負極集電体12は、導電性材料から構成され、その一方の主面または両面に負極合剤層14が配置される。前記負極集電体12を構成する材料は特に限定するものではないが、負極10に用いられる負極集電体12としては、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金箔を用いることができる。特に銅、銅合金、ステンレス鋼が好ましく、コストの面からは電解銅箔および圧延銅箔を好適に用いることができる。強度の面からは、ステンレス鋼や銅合金の圧延箔が好適に用いることができる。
(リチウムイオン二次電池用正極)
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極20は、正極集電体22の少なくとも一方の主面に正極合剤層24が設けられ、前記正極合剤層24は、少なくともリチウムイオンを吸蔵および放出する正極活物質を含んでいる。
[正極活物質]
本実施形態に係る正極活物質は、例えば、リチウム金属酸化物、リチウム金属硫化物、あるいはリチウムを含む層間化合物等のリチウム含有化合物が好適であり、これらの2種以上を混合して用いてもよい。特に、エネルギー密度を高くするには、一般式LiMOで表されるリチウム複合酸化物、あるいはリチウムを含んだ層間化合物が好ましい。なお、Mは1種類以上の遷移金属が好ましく、具体的には、Co、Ni、Mn、Fe、Al、V、Tiのうちの少なくとも1種が好ましい。xは、電池の充放電状態によって異なり、通常、0.05≦x≦1.10の範囲内の値である。また、他にもスピネル型結晶構造を有するマンガンスピネル(LiMn;LMO)や、オリビン型結晶構造を有するリン酸鉄リチウム(LiFePO;LFP)なども、高いエネルギー密度を得ることができるので好ましい。
具体的には、コバルト酸リチウム(LiCoO;LCO)、ニッケル・コバルト・アルミニウム(Li(NiCoAl)O(0.9<x+y+z<1.1);NCA)、ニッケル・マンガン・コバルト(Li(NiMnCo)O(0.9<x+y+z<1.1);NMC)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、LiNiCoMn(x+y+z+a=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素が挙げられる)、リチウムバナジウム化合物(LiV)、リンを含むポリアニオンであるLiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素、またはVOを示す)、チタン酸リチウム(LiTi12)、などが挙げられる。また、これらの材料に限定することはなく、他にもリチウムイオンを電気化学的に吸蔵および放出する正極活物質材料であれば、特に制限はされない。
[正極導電助剤]
本実施形態に係る正極合剤層24は、導電性の向上を目的として導電助剤を添加してもよい。本実施形態に用いられる導電助剤は特に制限されず、負極合剤層で使用される導電助剤と同様の周知の材料を用いることができる。
[正極用バインダー]
本実施形態に係る正極合剤層24は、正極活物質と正極導電助剤と正極集電体22との結着性の向上を目的としてバインダーを用いてもよい。本実施形態の正極合剤層24に用いられる正極バインダーとしては、有機溶剤系バインダーでもよく、水系バインダーでもよい。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレンビニルアルコール、ポリアクリレート、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリウレタンなどが挙げられ、これらの1種を用いてもよく、複数種を併用することもできる。なお、これら列挙したバインダーに限定されるものではない。
[正極集電体]
本実施形態に係る正極集電体22は、導電性材料から構成され、その一方の主面または両面に正極合剤層24が配置される。前記正極集電体22を構成する材料は特に限定するものではないが、正極20に用いられる正極集電体22としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金箔を用いることができ、特にアルミニウム箔が好ましい。
(セパレーター)
本実施形態に係るセパレーター18は、負極10と正極20との間に介在され、両極の接触による短絡を防止し、さらに電解質が含浸されていることにより、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレーター18は、例えば微小な孔を多数有する多孔性膜を備えるものであって、前記のセパレーター18の具体的な材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系多孔膜、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの高耐熱多孔膜、前記のポリオレフィン系多孔膜と高耐熱多孔膜との複合膜、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの不織布などが挙げられる。またセパレーター18は、例えばその厚みが5μm以上、50μm以下の範囲であると共に、その全体積中における空隙体積の比率を表す空孔率が20%以上、60%以下の範囲であるものが好ましい。
(電解質)
本実施形態に係る電解質は、前記セパレーター18に含浸されており、例えば、溶媒とこの溶媒に溶解された電解質塩とを含んでおり、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。前記電解質の溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、などの環状炭酸エステル、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)などの鎖状炭酸エステル、酢酸メチル(MA),酢酸エチル(EA),プロピオン酸メチル(MP),プロピオン酸エチル(EP)などの鎖状カルボン酸エステル、または、γ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン(GVL)などの環状カルボン酸エステルなどが挙げられる。これらのはいずれか1種、または2種以上を混合して溶媒として用いることができる。また、前記列挙した溶媒に限定されることはなく、電解質塩を溶解させてリチウムイオン二次電池100としたときにその特性を損なわない範囲でれば、特に制限はされない。
また、前記溶媒には、ビニレンカーボネート(VC)などの不飽和結合を有する環式炭酸エステルや、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)などのフッ素化環状カーボネート、1,3−プロパンスルトン(PS)などの硫黄含有化合物、フォスファゼン化合物などの難燃性液体を混合して溶媒として用いることができる。
(電解質塩)
本実施形態に係る電解質塩としては、例えばリチウム塩が挙げられ、電解質中で解離してリチウムイオンを供給するものである。このリチウム塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、LiPF、LiBF、LiAsF、LiClO、LiB(C、LiCHSO、LiC(SOCF、LiN(CFSO(別名、LiTFSIと呼ぶこともある)、LiN(CSO(別名、LiBETIと呼ぶこともある)、LiCFSO、LiCSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(SOF)(別名、LiFSIと呼ぶこともある)、LiAlCl、LiSiF、LiCl、LiCBO(別名、LiBOBと呼ぶこともある)、あるいはLiBrなどが挙げられ、これらの1種、または2種以上の任意の組み合わせから選択されるものを用いることができる。特に、LiPFは高いイオン伝導性を得ることができるため好適に用いることができる。
(リチウムイオン二次電池の製造方法)
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100は、例えば、次のようにして製造することができる。
[負極活物質の製造方法]
本実施形態に係る負極活物質は、負極活物質の表面の少なくとも一部にタンパク質の被膜を有する。前記タンパク質の被膜を形成する方法としては、例えば、ディップコーティング法、固化乾燥法などが挙げられる。これらの方法を単独で用いてもよいし、2種以上の方法を併用してもよい。例えば、ディップコーティング法では、ガラスビーカーにタンパク質の水溶液を入れ、これに負極活物質を浸漬させ、スターラ―で撹拌し、スラリーを作製する。前記スラリーを濾紙に移し、吸引濾過によって余分なタンパク質の水溶液を除去し、その後、乾燥させる。そして、前記乾燥物を解砕させることで負極活物質の表面にタンパク質の被膜を形成することができる。
固化乾燥法では、プラスチック容器に負極活物質を入れ、これにタンパク質の粉末と、イオン交換水とを添加し、自転公転する攪拌機(商品名:ハイブリッドミキサー)を用いて混錬し、スラリーを作製する。次いで、得られたスラリーを乾燥させ、乾燥物を解砕することで負極活物質の表面にタンパク質の被膜を形成することができる。前記タンパク質の粉末は、混錬によってイオン交換水に溶解し、スラリー内で負極活物質の表面に均一に被覆される。また、前記スラリーは、比較的粘度の高い状態で混錬するのが好ましい。高粘度の状態で混錬することによって、負極活物質同士の衝突により、負極活物質が分散されやすく、さらに、スラリーが温められることにより、タンパク質がイオン交換水に溶解し易くなるため、タンパク質の被膜を均一に被覆することができる。なお、前記タンパク質の被膜の被覆量や被膜厚みは、被覆処理の回数、タンパク質の添加量、スラリーの固形分濃度および粘度、などを種々調整することで、容易に制御することができる。なお、前記タンパク質の粉末は、あらかじめイオン交換水に溶解させた状態で添加してもよい。
[タンパク質の被膜の同定]
本実施形態に係る負極活物質の表面に形成されたタンパク質の被膜の同定は、例えば電界放出形走査型電子顕微鏡(FE−SEM)、走査透過電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析(STEM−DS)、フーリエ変換赤外分光分析(FT−IR)の全反射減衰法(ATR法)、X線光電子分光(XPS)、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析などにより行うことができる。
FE−SEMによる観察では、タンパク質の被膜を形成させる前後の負極活物質の表面形態を観察することで、被膜の有無を簡便に確認することができる。
FT−IR分析では、被覆させる各タンパク質の粉末を単体で測定しておき、各タンパク質の吸収スペクトル位置を確認し、次いで各タンパク質の被膜を形成させた負極活物質の吸収スペクトル位置を測定し比較することで、負極活物質の表面におけるタンパク質の被膜の有無を確認することができる。FT−IR分析によるタンパク質の解析においては、4000〜400cm−1の範囲で吸収スペクトルを収集し、1630cm−1付近の吸収スペクトルをペプチド結合(C=O伸縮振動)、1510cm−1付近の吸収スペクトルをペプチド結合(N−H変角振動およびC−N伸縮振動)、1225cm−1付近の吸収スペクトルをペプチド結合(C−N伸縮振動およびN−H変角振動)、3260cm−1付近の吸収スペクトルをタンパク質の側鎖のアミノ基(N−H伸縮振動)、1400cm−1付近の吸収スペクトルをタンパク質の側鎖カルボキシル基に帰属する吸収スペクトルとして解析することができる。
[タンパク質金属塩の同定]
STEM−EDS分析では、負極活物質表面にタンパク質を構成するC、N、O元素の検出によって、タンパク質の被膜の有無を確認することができる。さらに、タンパク質中の金属元素を分析することで、カゼインナトリウム、カゼインリチウム、カゼインカリウム、カゼインマグネシウム、カゼインカルシウム、カゼインストロンチウム、カゼインバリウム、カゼインアンモニウムの各カゼインを同定することができる。
[タンパク質の被膜量]
本実施形態に係る負極活物質の表面に形成されたタンパク質の被膜量は、例えば熱分重量示差熱(TG−DTA)分析により行うことができる。タンパク質が被覆された負極活物質を、タンパク質が熱分解する温度まで加熱することで、タンパク質に帰属する重量減少を確認することができる。前記重量減少からタンパク質の被覆量を算出することができる。
[タンパク質の被覆厚み、被覆率の算出]
本実施形態に係る負極活物質の表面に形成されたタンパク質の被覆厚み、被膜率は、例えばSTEM−EDS分析のマッピング画像の画像処理により算出することができる。前記被覆厚みは、タンパク質に帰属する炭素の元素マッピングの厚みから概算することができる。前記被覆率は、例えば負極活物質であるケイ素の元素マッピングの面積と、タンパク質の炭素の元素マッピングの面積との面積比率により、被覆率を概算することができる。
[負極の製造方法]
本実施形態に係る負極10は、タンパク質の被膜を少なくとも表面の一部に形成させた負極活物質と、負極導電助剤と、負極バインダーと、溶媒とを混合分散させてペースト状の負極スラリーを作製する。前記溶媒としては、負極スラリーに添加するバインダーに対して良溶媒を用いることが望ましく、例えば、有機溶剤系バインダーであれば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド、メチルエチルケトン、アセトニトリル、などが挙げられ、水系バインダーであれば、イオン交換水、蒸留水などが挙げられる。
次いで、前記負極スラリーを例えばコンマロールコーターを用いて、所定の厚みを有する負極合剤層14を銅箔などの負極集電体12の片面または両面に塗布し、乾燥炉内にて溶媒を乾燥させる。なお、負極合剤層14を前記負極集電体12の両面に塗布する場合は、両面とも同じ膜厚となる負極合剤層であることが望ましい。
次いで、前記負極合剤層14が形成された負極をロールプレス機などにより所定の厚みおよび密度になるように調整し、同時に負極合剤層14を負極集電体12の片面または両面に圧着させ、負極合剤層14と負極集電体12との密着性を高める。
前記負極を金型で所定の電極サイズに打ち抜き、リチウムイオン二次電池用の負極10とする。前記の負極10の面積は、正極20の面積と同等以上のサイズであることが好ましい。負極10の面積を、対向する正極20の面積と同等以上のサイズすることで、リチウムの析出による内部短絡の発生を防止するためである。
前記負極10は、真空中または不活性ガスの雰囲気中において前記のバインダーの熱分解する温度以下で熱処理することで、バインダーの重合およびまたは架橋によって負極合剤層14と負極集電体12の界面、および負極活物質同士での密着性をさらに高めることができる。また、負極集電体12の表面が一定の表面粗さを有していれば、その表面の凹凸部分にバインダーが入り込むことにより、バインダーと負極集電体12の間にアンカー効果が作用し、密着性が向上する。そのため、リチウムイオンの吸蔵および放出によって負極活物質が体積膨張した場合においても、負極集電体12からの負極合剤層14の剥離を抑制することができる。
[正極の製造方法]
本実施形態に係る正極20は、正極活物質と、正極導電助剤と、正極バインダーと、溶媒とを混合分散させて、ペースト状の正極スラリーを作製する。次いで、前記正極スラリーを例えばコンマロールコーターを用いて、所定の厚みを有する正極合剤層24をアルミニウム箔などの正極集電体22の片面または両面に塗布し、乾燥炉内にて溶媒を乾燥させる。なお、正極合剤層24を前記正極集電体22の両面に塗布する場合は、両面とも同じ膜厚となる正極合剤層であることが望ましい。
次いで、前記正極合剤層24が形成された正極をロールプレス機などにより所定の厚みおよび密度になるように調整し、同時に正極合剤層24を正極集電体22の片面または両面に圧着させ、正極合剤層24と正極集電体22との密着性を高める。
前記正極を金型で所定の電極サイズに打ち抜き、本実施形態のリチウムイオン二次電池用の正極20とする。前記の通り、前記の正極20の面積は、負極10の面積と同等以下のサイズであることが好ましい。正極20の面積を、対向する負極10の面積と同等以下のサイズにすることで、リチウムの析出による内部短絡の発生を防止するためである。
また前記の正極20においても負極10と同様に、使用するバインダーによって適宜熱処理を行っても良い。
[電極積層体の作製]
負極10と正極20とをセパレーター18を介して積層することで電極積層体30を作製する。前記電極積層体30は、任意の積層数で構成することができる。なお、前記セパレーター18は、負極10と正極20とが直接接触するのを防ぐために、負極および正極よりも大きいサイズのものを好適に用いることができる。
次いで、前記の電極積層体30の負極10において、負極合剤層14を設けていない負極集電体の突起端部に、ニッケル製の負極リード60を取り付け、一方、電極積層体30の正極20においては、正極合剤層24を設けていない正極集電体の突起端部に、アルミニウム製の正極リード62を超音波溶接機によって取り付ける。そして、この電極積層体30を、アルミニウムのラミネートフィルムの外装体50内に挿入して周囲の1箇所を除いてヒートシールすることにより閉口部を形成し、外装体50内に所定量の電解質を注入した後に、残りの1箇所を減圧しながらヒートシールすることで密封し、リチウムイオン二次電池100(以後、ラミネートセルと呼ぶ場合がある)を作製することができる。
このリチウムイオン二次電池100では、充電を行うと、例えば、正極合剤層24からリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極合剤層14に吸蔵される。また、放電を行うと、例えば、負極合剤層14からリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極合剤層24に吸蔵される。
(電池評価)
本実施形態にて作製されるリチウムイオン二次電池は、下記の電池特性について評価することができる。
[充放電サイクル試験]
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、例えば以下に示す充放電条件によって充放電サイクル特性を評価することができる。充放電電流の表記は、以降C(シー)レート表記を使う。nC(mA)は、公称容量(mAh)を1/n(h)で充放電できる電流である。例えば、公称容量70mAhの電池の場合、0.05Cの電流は3.5mA(計算式70×0.05=3.5)である。同様に、0.2Cの電流は14mA、2Cの電流は140mAである。充放電サイクル試験条件は、25℃の環境下において、0.5Cレートの定電流で4.2Vの電池電圧になるまで定電流定電圧充電(CC−CV充電)を行い、その後、1.0Cレートの定電流で2.5Vの電池電圧になるまで放電させる(CC放電)。上記の充電と放電を1サイクルとし、これを所定のサイクル数まで繰り返した後の放電容量維持率を充放電サイクル特性として評価した。なお、本実施形態における充放電サイクル特性は、以下の計算式によって定義される。
(数1)
所定サイクル後の放電容量維持率(%)=(所定サイクル後の放電容量÷初回サイクル後の放電容量)×100
前記放電容量維持率は、例えばケイ素系の負極活物質をリチウムイオン二次電池に用いた場合は、例えば300サイクル時点での放電容量維持率にて評価することができる。一方、黒鉛を含む負極活物質をリチウムイオン二次電池に用いた場合は、放電容量維持率が比較的高いため、例えば600サイクル時点での放電容量維持率にて評価することができる。
[ラミネートセルの厚み膨張試験]
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池(ラミネートセル)は、充放電前と所定の充放電を繰り返した時点のラミネートセルの厚みを測定することで、ラミネートセルの厚みの膨張率を評価することができる。なお、本実施形態における膨張率は、以下の計算式により定義される。
(数2)
所定サイクル時点での膨張率(%)=(所定サイクル後のラミネートセルの厚み[mm]−充放電前のラミネートセルの厚み[mm])÷充放電前のラミネートセルの厚み[mm]×100
以上、本発明に係る実施形態について詳細に説明したが、前記の実施形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、前記の実施形態においては、ラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池について説明したが、正極、負極およびセパレーターを巻回または折り畳んだ構造を有するリチウムイオン二次電池についても同様に適用することができる。さらに、電池形状として、円筒型、角型、コイン型などのリチウムイオン二次電池についても好適に応用することができる。
以下、前記の実施形態に基づいて、さらに実施例および比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
[負極活物質へのタンパク質の被覆]、
実施例1に係る負極活物質は、次の手順により作製した。ケイ素(平均粒子径5μm)の粉末20gと、カゼインナトリウムの粉末0.004gとを、ハイブリッドミキサーにより乾式混錬させ、これにイオン交換水20gを徐々に添加しながら、さらに混錬することでスラリーを作製した。次いで、スラリーを80℃で乾燥させ、乾燥物を解砕させることで、カゼインナトリウムを被覆したケイ素を作製した。前記負極活物質は、FE−SEM、STEM−EDS分析により、カゼインナトリウムが被覆されていることを確認し、さらにカゼインナトリウムの平均被覆厚みは50nm、被覆率は1%であることを確認した。また、TG−DTA分析により、前記カゼインナトリウムの被覆量を算出した結果、負極活物質に対して0.02質量%の被覆量であった。なお、カゼインナトリウムの熱分解に伴うDTAのピークは、150〜400℃の範囲で認められたため、カゼインナトリウムの被覆量は、150〜400℃の範囲のTG曲線から算出した。以降の実施例および比較例においても、同様の手法によりタンパク質の定性、定量を行った。
(実施例2〜9)
実施例2〜9に係る負極活物質は、表1に示したカゼインナトリウムの被覆量になるように調整した以外は、実施例1と同様の手順にてカゼインナトリウムを被覆したケイ素を作製した。被覆量、平均被覆厚み、被覆率は表1に示した。
(比較例1)
比較例1に係る負極活物質は、ケイ素とした。
(実施例10〜12)
実施例10〜12に係る負極活物質は、表2に示したカゼインナトリウムの被覆厚みになるように調製した以外は、実施例1と同様の手順にてカゼインナトリウムを被覆したケイ素を作製した。被覆量、平均被覆厚み、被覆率は表2に示した。
(実施例13〜17)
実施例13〜17に係る負極活物質は、実施例5に係るカゼインナトリウムを被覆させたケイ素を、1質量%の水酸化リチウム水溶液、1質量%の炭酸カリウム水溶液、1質量%の塩化カルシウム水溶液、1質量%の塩化マグネシウム水溶液、1%のアンモニア水にそれぞれ含浸し、ナトリウムイオンを各金属イオンまたはアンモニウムイオンで置換させることで、カゼインリチウム、カゼインカリウム、カゼインカルシウム、カゼインマグネシウム、カゼインアンモニウムをそれぞれ被覆したケイ素を作製した。被覆量、平均被覆厚み、被覆率は表3に示した。
(比較例2)
比較例2に係る負極活物質は、実施例17に係るカゼインアンモニウムを被覆させたケイ素を、1%の塩酸に含浸し、カゼインアンモニウム中のアンモニウムイオンを水素イオンで置換させることで、カゼインを被覆したケイ素を作製した。被覆量、平均被覆厚み、被覆率は表3に示した。
(実施例18〜24)
実施例18〜24に係る負極活物質は、表4に示したアルブミンの被覆量になるように調整した以外は、実施例1と同様の手順にてアルブミンを被覆したケイ素を作製した。被覆量、平均被覆厚み、被覆率は表4に示した。
(実施例25〜31)
実施例25〜31に係る負極活物質は、表5に示したリゾチームの被覆量になるように調整した以外は、実施例1と同様の手順にてリゾチームを被覆したケイ素を作製した。被覆量、平均被覆厚み、被覆率は表5に示した。
(実施例32〜38)
実施例32〜38に係る負極活物質は、表6に示したグロブリンの被覆量になるように調整した以外は、実施例1と同様の手順にてグロブリンを被覆したケイ素を作製した。被覆量、平均被覆厚み、被覆率は表6に示した。
(実施例39〜45)
実施例39〜45に係る負極活物質は、負極活物質を酸化ケイ素(平均粒子径5μm)の粉末に変更し、表7に示したカゼインナトリウムの被覆量になるように調整した以外は、実施例1と同様の手順にてカゼインナトリウムを被覆した酸化ケイ素を作製した。被覆量、平均被覆厚み、被覆率は表7に示した。
(比較例3)
比較例3に係る負極活物質は、酸化ケイ素とした。
(比較例4)
比較例4に係る負極活物質は、黒鉛とした。
(比較例5)
比較例5に係る負極活物質は、負極活物質を黒鉛(平均粒子径5μm)の粉末に変更し、表8に示したカゼインナトリウムの被覆量になるように調整した以外は、実施例1と同様の手順にてカゼインナトリウムを被覆した黒鉛を作製した。被覆量、平均被覆厚み、被覆率は表8に示した。
(比較例6)
比較例6に係る負極活物質は、ケイ素と黒鉛の混合粉末(50質量%:50質量%)とした。
(実施例46)
実施例46に係る負極活物質は、負極活物質をケイ素と黒鉛の混合粉末(50質量%:50質量%)に変更し、表9に示したカゼインナトリウムの被覆量になるように調整した以外は、実施例1と同様の手順にてカゼインナトリウムを被覆したケイ素と黒鉛の混合粉末を作製した。被覆量、平均被覆厚み、被覆率は表9に示した。
(比較例7)
比較例7に係る負極活物質は、酸化ケイ素と黒鉛の混合粉末(50質量%:50質量%)とした。
(実施例47)
実施例47に係る負極活物質は、酸化ケイ素と黒鉛の混合粉末(50質量%:50質量%)に変更し、表10に示したカゼインナトリウムの被覆量になるように調整した以外は、実施例1と同様の手順にてカゼインナトリウムを被覆した酸化ケイ素と黒鉛の混合粉末を作製した。被覆量、平均被覆厚み、被覆率は表10に示した。
(実施例48)
実施例48に係る負極活物質は、酸化チタン(平均粒子径20nm)の粉末を添加させたカゼインナトリウムを、ケイ素(平均粒子径5μm)の表面に被覆することで作製した。被覆量、平均被覆厚み、被覆率は表11に示した。なお、前記酸化チタンは、負極活物質の5質量%の量をカゼインナトリウムに添加した。
(実施例49)
実施例48に係る負極活物質は、酸化チタン(平均粒子径20nm)の粉末を添加させたカゼインナトリウムを、酸化ケイ素(平均粒子径5μm)の表面に被覆することで作製した。被覆量、平均被覆厚み、被覆率は表12に示した。なお、前記酸化チタンは、負極活物質の5質量%の量をカゼインナトリウムに添加した。
(リチウムイオン二次電池用負極の作製)
負極活物質として前記の実施例または比較例に係る負極活物質を83質量%と、導電助剤としてアセチレンブラックを2質量%と、さらにバインダーとしてポリアミドイミドを15質量%と、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンとをハイブリッドミキサーで混合分散させて、ペースト状の負極スラリーを作製した。そして、コンマロールコーターを用いて、この負極スラリーを圧延銅箔(厚さ10μm)表面に所定の厚みで負極合剤層を塗布した。100℃の乾燥炉内にて負極合剤層中のN−メチル−2−ピロリドン溶媒を乾燥除去させた後、圧延銅箔の裏面側にも同様の手順で負極合剤層を塗布した。そして、前記の負極合剤層が形成された負極をロールプレス機によって、負極合剤層を圧延銅箔の両面に圧着させ、所定の密度を有する負極を作製した。
なお、負極合剤層に含まれる負極活物質重量(目付け量)は、負極活物質に応じて適宜変更した。負極活物質としてケイ素を用いた場合は、2.0mg・cm−2、酸化ケイ素を用いた場合は、3.3mg・cm−2、黒鉛を用いた場合は14.0mg・cm−2、ケイ素と黒鉛の混合粉末を用いた場合は、2.7mg・cm−2、酸化ケイ素と黒鉛の混合粉末を用いた場合は、5.0mg・cm−2とした。
前記負極は、金型で19mm×23mmサイズの電極に打ち抜き、次いで残留溶媒の乾燥除去を目的として、熱処理炉にて30℃・min−1の昇温速度で250℃まで昇温し、1時間保持した後に室温まで急冷させることで、実施例および比較例に係るリチウムイオン二次電池用負極をそれぞれ得た。なお、前記の熱処理は減圧下の真空中にて実施した。
(リチウムイオン二次電池用正極の作製)
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LCO)を96質量%と、導電助剤としてケッチェンブラックを2質量%と、バインダーとしてPVdFを2質量%と、N−メチル−2−ピロリドンの溶媒とを混合分散させて、ペースト状の正極スラリーを作製した。そして、コンマロールコーターを用いて、この正極スラリーをアルミニウム箔(厚さ20μm)の表面に所定の厚みで正極合剤層を塗布した。100℃の乾燥炉内にて負極合剤層中のN−メチル−2−ピロリドン溶媒を乾燥除去させた後、アルミニウム箔の裏面側にも同様の手順で正極合剤層を塗布した。そして、前記の正極合剤層が形成された正極をロールプレス機によって、正極合剤層をアルミニウム箔の両面に圧着させ、所定の密度を有する正極を作製した。
なお、正極合剤層に含まれる正極活物質重量(目付け量)は、24mg・cm−2とした。
前記の正極は、金型を用いて18mm×22mmの電極サイズに打ち抜き、リチウムイオン二次電池用正極を作製した。
(リチウムイオン二次電池の作製)
前記の作製した実施例および比較例に係るリチウムイオン二次電池用負極は、前記のリチウムイオン二次電池用正極と、厚さ16μmの22mm×23mmサイズのポリエチレン製のセパレーターを介して積層し、電極積層体を作製した。これを電極体1層とし、同様の作製方法にて4層で構成された電極積層体を作製した。なお、前記の負極および正極は、両面に各合剤層を備えているため、負極3枚と正極2枚とセパレーター4枚とで構成されている。さらに、前記の電極積層体の負極において、負極合剤層を設けていない銅箔の突起端部にニッケル製の負極リードを取り付け、一方、電極積層体の正極においては、正極合剤層を設けていないアルミニウム箔の突起端部にアルミニウム製の正極リードを超音波融着機によって取り付けた。そしてこの電極積層体を、外装体用のアルミニウムのラミネートフィルムに融着させ、前記のラミネートフィルムを折り畳むことで前記の電極体を外装体内に挿入させた。外装体周囲の1辺を除いてヒートシールすることにより閉口部を形成し、この開口部より、FEC:DECが3:7の体積割合で配合された溶媒中に、リチウム塩としてLiPFが1mol・L−1となるように添加された電解液を注入した。そして、前記の外装体の開口部を真空シール機によって減圧しながらヒートシールで密封し、実施例および比較例に係るラミネートタイプのリチウムイオン二次電池をそれぞれ作製した。なお、リチウムイオン二次電池の作製は、ドライルーム内で行った。
(結果)
代表として実施例5と比較例1に係るケイ素のFE−SEM写真を、図2および図3に示す。実施例5では、ケイ素の粒子表面に被膜が形成されている様子が観察された。FT−IR分析の結果、実施例5に係るケイ素では、カゼインナトリウムのペプチド結合に帰属する吸収スペクトルを1630cm−1付近に確認されたことから、前記被膜がカゼインナトリウムであることが確認された。さらに、EDS分析の結果においても、実施例5に係るケイ素では、カゼインナトリウムを構成するペプチド結合の窒素に帰属するスペクトルを0.4keVに確認された。比較例1に係るケイ素では、前記の窒素に帰属するスペクトルは確認できなかった。
それ以外の実施例に係る負極活物質においても、同様の解析手法により、負極活物質表面に各タンパク質が被覆されていることを確認した。
実施例1〜9および比較例1に係るリチウムイオン二次電池の電池特性を以下の表1に示す。なお、初回放電容量、ラミネートセルの膨張率、充放電サイクル特性、については、比較例1の測定結果をそれぞれ100%として、比較例1の結果に対する相対比として実施例の結果を示す(表2〜12についても同様に、比較例の結果に対する相対比として示す)。カゼインナトリウムの被覆量を種々に調整した実施例1〜9では、比較例1よりも膨張が抑制され、さらに充放電サイクル特性も優れた。特にカゼインナトリウムの被覆量が0.02〜10質量%である場合、容量低下を損なうことなく、優れた膨張抑制と充放電サイクル特性が確認された。カゼインナトリウムの被覆量が15質量%以上の実施例9では、若干の容量低下が確認されたことから、前記カゼインナトリウムの被膜が抵抗成分となり、リチウムイオンの挿入脱離を一部阻害していると考えられる。
Figure 2018063756
実施例5〜12および比較例1に係るリチウムイオン二次電池の電池特性を以下の表2に示す。カゼインナトリウムの被覆厚みを種々に調整した実施例5〜12では、比較例1よりも膨張が抑制され、さらに充放電サイクル特性も優れた。特にカゼインナトリウムの被覆厚みの比率(負極活物質の平均粒子径を1としたとき)が、0.0004〜0.1である場合、容量低下を損なうことなく、優れた膨張抑制と充放電サイクル特性が確認された。カゼインナトリウムの被覆厚みの比率が、0.2である場合、若干の容量低下が確認されたことから、前記カゼインナトリウムの被膜が抵抗成分となり、リチウムイオンの挿入脱離を一部阻害していると考えられる。
Figure 2018063756
実施例5、実施例13〜17および比較例1〜2に係るリチウムイオン二次電池の電池特性を以下の表3に示す。カゼインのアルカリ金属塩、カゼインのマグネシウム塩、カゼインのアルカリ土類金属塩、およびカゼインのアンモニウム塩を被覆した実施例では、比較例1よりも膨張が抑制され、さらに充放電サイクル特性も優れた。カゼインを被覆した比較例2では、膨張抑制および充放電サイクル特性の向上が、極めて小さかった。
Figure 2018063756
実施例18〜24および比較例1に係るリチウムイオン二次電池の電池特性を以下の表4に示す。アルブミンの被覆量を種々に調整した実施例18〜24では、比較例1よりも膨張が抑制され、充放電サイクル特性も優れた。
Figure 2018063756
実施例25〜31および比較例1に係るリチウムイオン二次電池の電池特性を以下の表5に示す。リゾチームの被覆量を種々に調整した実施例25〜31では、比較例1よりも膨張が抑制され、充放電サイクル特性も優れた。
Figure 2018063756
実施例32〜38および比較例1に係るリチウムイオン二次電池の電池特性を以下の表6に示す。グロブリンの被覆量を種々に調整した実施例32〜38では、比較例1よりも膨張が抑制され、充放電サイクル特性も優れた。
Figure 2018063756
実施例39〜45および比較例3に係るリチウムイオン二次電池の電池特性を以下の表7に示す。負極活物質に酸化ケイ素を用いた実施例39〜46では、比較例3よりも膨張が抑制され、充放電サイクル特性が優れた。したがって、酸化ケイ素においても、カゼインナトリウムの被覆による膨張の抑制、充放電サイクル特性の向上が発現されることが確認された。
Figure 2018063756
比較例4〜5に係るリチウムイオン二次電池の電池特性を以下の表8に示す。負極活物質に黒鉛を用いた場合、カゼインナトリウムを被覆した比較例5においても、顕著な膨張の抑制は確認できなかった。また、充放電サイクル特性においても、カゼインナトリウムを被覆していない比較例4と同等であった。これは、黒鉛の膨張が、ケイ素や酸化ケイ素と比べて著しく小さいため、カゼインナトリウムを被覆した場合においても、膨張の抑制効果が好適に発現されていないと思われる。それに伴い、充放電サイクル特性の改善効果も小さかったと示唆される。
Figure 2018063756
比較例6および実施例46に係るリチウムイオン二次電池の電池特性を表9に示す。負極活物質にケイ素と黒鉛の混合粉末を用いた実施例46は、比較例6よりも膨張が抑制され、充放電サイクル特性が優れた。したがって、ケイ素と黒鉛の混合粉末では、カゼインナトリウムの被覆による膨張の抑制、充放電サイクル特性の向上が発現されることが確認された。
Figure 2018063756
実施例47および比較例7に係るリチウムイオン二次電池の電池特性を表10に示す。負極活物質に酸化ケイ素と黒鉛の混合粉末を用いた実施例47は、比較例7よりも膨張が抑制され、充放電サイクル特性が優れた。したがって、酸化ケイ素と黒鉛の混合粉末では、カゼインナトリウムの被覆による膨張の抑制、充放電サイクル特性の向上が発現されることが確認された。
Figure 2018063756
実施例48に係るリチウムイオン二次電池の電池特性を表11に示す。カゼインナトリウムと酸化チタンを含む被膜を形成した実施例48は、比較例1よりも膨張が抑制され、充放電サイクル特性が優れた。
Figure 2018063756
実施例49に係るリチウムイオン二次電池の電池特性を表11に示す。酸化チタンを含むカゼインナトリウムの被膜を形成した実施例49は、比較例3よりも膨張が抑制され、充放電サイクル特性が優れた。
Figure 2018063756
以上の結果から、ここに開示される技術によれば、ケイ素、酸化ケイ素の表面の少なくとも一部に、タンパク質の被膜を被覆した負極活物質、ならびに前記負極活物質を用いた負極およびリチウムイオン二次電池は、リチウムイオン二次電池の充放電に伴う体積膨張を抑制し、かつ優れた充放電サイクル特性を実現することができる。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態および実施例は例示にすぎず、ここに開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
100・・・リチウムイオン二次電池、10・・・正極(同義:リチウムイオン二次電池用正極)、12・・・正極集電体、14・・・正極合剤層、60・・・正極リード、
20・・・負極(同義:リチウムイオン二次電池用負極)、22・・・負極集電体、24・・・負極合剤層、62・・・負極リード、18・・・セパレーター、30・・・電極体、50・・・外装体

Claims (11)

  1. 負極集電体の少なくとも一方の主面に負極合剤層が設けられ、前記負極合剤層は、リチウムイオンを吸蔵および放出が可能な負極活物質を含み、前記負極活物質の表面の少なくとも一部にタンパク質の被膜を有するリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  2. 前記タンパク質は、カゼインのアルカリ金属塩、カゼインのマグネシウム塩、カゼインのアルカリ土類金属塩、カゼインアンモニウム、アルブミン、リゾチーム、グロブリンの少なくとも1種を含む請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  3. 前記タンパク質は、カゼインのアルカリ金属塩であって、前記カゼインのアルカリ金属塩は、カゼインナトリウム、カゼインリチウム、カゼインカリウムの少なくとも1種を含む請求項1〜2のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  4. 前記タンパク質は、前記カゼインのマグネシウム塩またはカゼインのアルカリ土類金属塩であって、前記カゼインのマグネシウム塩は、カゼインマグネシウムであり、前記カゼインのアルカリ土類金属塩は、カゼインカルシウム、カゼインストロンチウム、カゼインバリウムの少なくとも1種を含む請求項1〜2のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  5. 前記タンパク質の被膜の被覆量が、負極活物質重量に対して0.02〜10重量%である請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  6. 前記タンパク質の被膜の厚みが、負極活物質の直径を1としたときに、0.0004〜0.1である請求項1〜5のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  7. 前記タンパク質の被膜は、無機粒子または有機粒子の少なくとも1種を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  8. 前記負極活物質は、ケイ素、酸化ケイ素の少なくとも1種を含む請求項1〜7のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  9. 前記無機粒子は、非晶質炭素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、炭化ケイ素の少なくとも1種であって、前記有機粒子は、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン、ポリスチレン、スチレンブタジエンラバー(SBR)の少なくとも1種を含む請求項7に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質を有するリチウムイオン二次電池用負極。
  11. リチウムイオンを吸蔵および放出するリチウムイオン二次電池用正極と、請求項10に記載のリチウムイオン二次電池用負極、前記正極と前記負極との間に介在するセパレーター、および、電解質とを有するリチウムイオン二次電池。
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