JP2019169392A - リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで我々は前記手法を鋭意検討したものの、残念ながら充分なサイクル特性が得られなかった。これは密度の異なる負極活物質層を具備した場合、密度の違いによって負極の内部抵抗が不均一となり、しいては充放電反応が不均一となる。そのため内部抵抗の低い負極側で充放電反応が進行しやすくなり、内部抵抗の低い負極側で劣化が進行することが示唆された。
人造黒鉛を用いた負極においても、充放電を繰り返すと体積膨張によって電池特性が低下してしまう課題があった。このような課題に対して、例えば特許文献3では、高いタップ密度及び結晶性を有する粒子状人造黒鉛が提案されている。しかしながら、前記天然黒鉛や前記人造黒鉛を用いた場合においても、充放電を繰り返すと、体積膨張によって負極活物質層への亀裂が生じ、黒鉛粒子同士の接点が減少することで、充分なサイクル特性が得られない課題があった。
特に、内周部Aが正極活物質層と対向する部分であり、外周部Bが正極活物質層と対向してない部分である場合、負極活物質層の内周部Aの密度DAが、外周部Bの密度DBよりも小さく(DA<DB)することで、正極活物質層と対向する負極活物質層の密度よりも、正極活物質層と対向しない負極活物質層の密度を高くすることで、負極に伴う亀裂が抑制され、しいては優れたサイクル特性、ならびに優れた初回充放電効率が得られることを見出したため本願に至った。
すなわち、本発明によれば、以下のものが提供される。
〔1〕 負極集電体と前記負極集電体に保持された負極活物質層とを含む負極であって、
前記負極活物質層は、内周部Aと、外周部Bとを有し、
前記内周部Aの密度DAが、前記外周部Bの密度DBよりも小さい(DA<DB)
ことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
〔2〕 前記負極活物質層の前記外周部Bの面積SBは、前記内周部Aの面積SAに対して、2〜10%であることを特徴とする〔1〕に記載されたリチウムイオン二次電池用負極。
〔3〕 前記負極活物質層が負極活物質を含み、
前記負極活物質がケイ素を含み、
前記内周部Aの前記密度DAと、前記外周部Bの前記密度DBとの密度の比率DA/DBが、0.70≦DA/DB<1.00であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
〔4〕 前記負極活物質層が負極活物質を含み、
前記負極活物質が黒鉛を含み、
前記内周部Aの密度DAと、前記外周部Bの密度DBとの密度の比率DA/DBが、0.66≦DA/DB<1.00であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
〔5〕 〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載されたリチウムイオン二次電池用負極と、
正極と、
セパレータと、
を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
図1は、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の断面模式図である。図1に示すリチウムイオン二次電池100は、主として積層体40、積層体40を密閉した状態で収容するケース50、及び積層体40に接続された一対のリード60、62を備えている。
また図示されていないが、積層体40とともに電解液が、ケース50内に収容されている。
「第1実施形態」
本実施形態のリチウムイオン二次電池用負極30は、負極集電体32と、負極集電体32の上に設けられた負極活物質層34とを有する。
負極活物質層34は、内周部Aと、外周部Bとを有し、内周部Aの密度DAが、前記外周部Bの密度DBよりも小さい(DA<DB)ことを特徴とする。図2に、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極の主面から見た場合の模式図を示す。
また、負極活物質層34は、正極活物質層24に対向する対向部と正極活物質層24に対向していない非対向部とを有する。負極活物質層34の内周部Aが正極活物質層24に対向する対向部であり、外周部Bが正極活物質層24に対向していない非対向部であることが好ましい。
ことがこのましい。負極活物質層34の外周部Bの面積SBが、内周部Aの面積SAに対して2%よりも小さくなると、膨張抑制の効果が小さくなる。10%よりも大きくなると、外周部Bでの副反応が増加するため、初回充放電効率が低下しやすい。
負極集電体32は、導電性の板材であればよく、例えば、銅箔、ステンレス箔、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
負極活物質層34は、負極活物質と負極バインダーとを有し、必要に応じて負極導電材を有する。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用負極に用いる負極活物質は、公知の負極活物質を含むことができる。負極活物質としては、例えば、金属リチウム、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、アルミニウム、ケイ素、スズ等のリチウムと合金することのできる金属、二酸化スズ等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)等を含む粒子が挙げられる。本実施形態のリチウムイオン二次電池用負極に用いる負極活物質は、ケイ素又は黒鉛を含むことが好ましい。
導電材としては、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。これらの中でも、アセチレンブラックやエチレンブラック等のカーボン粉末が特に好ましい。負極活物質のみで十分な導電性を確保できる場合は、リチウムイオン二次電池100は導電材を含んでいなくてもよい。
バインダーは、活物質同士を結合すると共に、活物質と負極集電体32とを結合する。
本実施形態の負極合剤層に含まれる負極バインダーとしては、有機溶剤系バインダーでもよく、水系バインダーでもよい。例えば、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、アルギン酸塩、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリウレタンなどが挙げられ、これらの1種を用いてもよく、複数種を併用することもできる。特に充放電による体積膨張が大きいケイ素を負極活物質に用いる場合、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミド、ポリアクリル酸を好適に用いることができる。一方、ケイ素系の負極活物質よりも体積膨張の小さい黒鉛を負極活物質に用いる場合、スチレン・ブタジエンゴムを好適に用いることができる。なお、前記に列挙したバインダーに限定されるものではない。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用負極において、その負極活物質は、ケイ素を含む点が、第1実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極と異なる。また、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極は、その負極活物質層の内周部Aの前記密度DAと、前記外周部Bの前記密度DBとの密度の比率DA/DBが、0.70≦DA/DB<1.00である点が、第1実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極と異なる。その他の構成は、第1実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極用負極と同じである。
また、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極は、0.70≦DA/DB≦0.90がより好ましい。
負極活物質としてケイ素を含むリチウムイオン二次電池用負極において、前記内周部Aの密度DAと、前記外周部Bの密度DBとの密度の比率DA/DBが、0.70≦DA/DB≦0.90であると、初回充放電効率に優れ、負極の面積膨張も小さくなる。しいては優れた充放電サイクルが得られる。DA/DBが、1.00を超えると、面積膨張率が大きく、初回充放電効率が低下しやすい。しいては、優れた充放電サイクルが得られにくくなる。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極は、その負極活物質として黒鉛を含む点が、第1実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極と異なる。また、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極は、その負極活物質層の内周部Aの密度DAと、外周部Bの密度DBとの密度の比率DA/DBが、0.66≦DA/DB<1.00である点が、第1実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極と異なる。その他の構成は、第1実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極と同じである。
また、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極は、0.66≦DA/DB<1.00であることが好ましく、0.70≦DA/DB≦0.99であるがより好ましい。
正極20は、正極集電体22と、正極集電体22の上に設けられた正極活物質層24とを有する。
正極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム箔、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
正極活物質層24に用いる正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンとリチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、PF6 −)とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能な電極活物質を用いることができる。
導電材は、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。正極活物質のみで十分な導電性を確保できる場合は、リチウムイオン二次電池100は導電材を含んでいなくてもよい。
本実施形態の正極活物質層24に含まれる正極バインダーとしては、有機溶剤系バインダーでもよく、水系バインダーでもよい。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンビニルアルコール(PVA)、ポリアクリレート、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリウレタンなどが挙げられ、これらの1種を用いてもよく、複数種を併用することもできる。なお、これら列挙したバインダーに限定されるものではない。
セパレータ10は、電気絶縁性の多孔質構造から形成されていればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体や前記樹脂の混合物の延伸膜、或いはセルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
電解液は、例えば、非水溶媒とこの非水溶媒に溶解された電解質塩とを含んでおり、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。前記非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、などの環状炭酸エステル、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)などの鎖状炭酸エステル、酢酸メチル(MA),酢酸エチル(EA),プロピオン酸メチル(MP),プロピオン酸エチル(EP)などの鎖状カルボン酸エステル、又はγ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン(GVL)などの環状カルボン酸エステルなどが挙げられる。これらのいずれか1種、又は2種以上を混合したものを、非水溶媒として用いることができる。また、前記列挙した非水溶媒に限定されることはなく、電解質塩を溶解させてリチウムイオン二次電池としたときにその特性を損なわない範囲でれば、特に制限はされない。
電解質は、例えばリチウム塩が挙げられ、電解液中で解離してリチウムイオンを供給するものである。このリチウム塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiB(C6H5)4、LiCH3SO3、LiC(SO2CF3)3、LiN(CF3SO2)2(別名、LiTFSIと呼ぶこともある)、LiN(C2F5SO2)2(別名、LiBETIと呼ぶこともある)、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiC(CF3SO2)3、LiN(CF3SO2)(C2F5SO2)、LiN(CF3SO2)(C3F7SO2)、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiN(SO2F)2(別名、LiFSIと呼ぶこともある)、LiAlCl4、LiSiF6、LiCl、LiC4BO8(別名、LiBOBと呼ぶこともある)、あるいはLiBrなどが挙げられ、これらの1種、又は2種以上の任意の組み合わせから選択されるものを用いることができる。特に、LiPF6は高いイオン伝導性を得ることができるため好適に用いることができる。
ケース50は、その内部に積層体40及び電解液を密封するものである。ケース50は、電解液の外部への漏出や、外部からのリチウムイオン二次電池100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。
リード60、62は、ニッケル、アルミニウム等の導電材料から形成されている。そして、公知の方法により、リード62を正極集電体22、リード60を負極集電体32にそれぞれ溶接し、正極20の正極活物質層24と負極30の負極活物質層34との間にセパレータ10を挟んだ状態で、電解液と共にケース50内に挿入し、ケース50の入り口をシールする。
次に、リチウムイオン二次電池100を製造する方法について具体的に説明する。
本実施形態に係る負極30は、負極活物質と、負極導電助剤と、負極バインダーと、溶媒とを混合分散させてペースト状の負極スラリーを作製する。前記溶媒としては、負極スラリーに添加するバインダーに対して良溶媒を用いることが望ましく、例えば、有機溶剤系バインダーであれば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド、メチルエチルケトン、アセトニトリル、などが挙げられ、水系バインダーであれば、イオン交換水、蒸留水などが挙げられる。
外周部の密度DBが、内周部の密度DAよりも高いので、外周部Bでの活物質層と集電体との密着強度が強くなり、内周部Aが充電によって膨張した際に伸張するのを食い止める役割を果たす。これにより負極活物質層に伴う切れや剥離が抑制されるため、優れたサイクル特性が得られる。さらに外周部Bは内周部Aよりも密度が高いため、外周部Bのリチウムイオンの拡散移動が内周部Aよりもし難くなる。したがって、外周部Bにおける充放電反応(副反応)がし難くなる。しいては外周部Bでは充放電反応への寄与が小さくなるため、副反応による不可逆容量を小さく抑えられ、初回充放電効率が優れるものとなる。一方、外周部Bの密度が内周部A以上となる場合、外周部Bでの副反応が大きいため、初回充放電効率が低下しやすい。
(実施例1)
負極活物質として減圧下において1000℃の熱処理で不均化反応させた一酸化ケイ素(アルドリッチ社製)を83質量%と、導電助剤としてアセチレンブラックを2質量%と、負極バインダーとしてポリアミドイミドを15質量%と、N−メチル−2−ピロリドンの溶媒とを混合分散させてペースト状の負極スラリーを作製した。そして、コンマロールコーターを用いて、この負極スラリーを厚さ10μmの銅箔に負極合剤層を形成した。なお、電極単位面積当たりの活物質質量(以下、目付量と呼ぶ)は、3.3mg/cm2に調整した。次いで、乾燥炉内にて110℃の大気雰囲気下で前記負極活物質中のN−メチル−2−ピロリドン溶媒を乾燥させることで銅箔に負極活物質層を形成した。同様に銅箔の裏面にも同じ目付量になるように負極合剤層を形成し、次いで110℃で乾燥させることで、裏面も負極活物質層を形成した。得られた負極は、電極金型を用いて4.15×3.05cmの電極サイズに打ち抜いた(電極面積12.66cm2)。なお、前記負極の負極活物質層は、後述の正極活物質層に対向する領域の内周部Aと、後述の正極活物質層に対向してない領域の外周部Bを有する形態となる。このときの前記内周部Aの面積SAは、12.30cm2、外周部Bの面積SBは0.36cm2となるため、内周部Aと外周部Bとの面積比率SB/SAが3%の負極となる。
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)を96質量%と、導電助剤としてケッチェンブラックを2質量%と、バインダーとしてPVDFを2質量%と、N−メチル−2−ピロリドンの溶媒とを混合分散させて、ペースト状の正極スラリーを作製した。
そして、コンマロールコーターを用いて、この正極スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に所定の正極活物質の目付量になるように、正極活物質層を形成した。次いで、乾燥炉内にて、110℃の大気雰囲気下で前記正極活物質中のN−メチル−2−ピロリドン溶媒を乾燥させた。同様にアルミニウム箔の裏面にも同じ目付量になるように正極活物質層を形成し、次いで110℃で乾燥させた。得られた正極は、電極金型を用いて4.1×3.0cmの電極サイズに打ち抜いた。
前記の負極4枚と正極3枚とを、負極活物質層と正極活物質層とが互いに対向するように、セパレータ(多孔質ポリエチレンシート)を介して積層して6層から成る積層体を得た。これを前記積層体の負極において、負極活物質層を設けていない銅箔の突起端部にニッケル製の負極リードを取り付け、一方、積層体の正極においては、正極活物質層を設けていないアルミニウム箔の突起端部にアルミニウム製の正極リードを超音波溶接機によって取り付けた。この積層体を、アルミラミネートフィルムの外装体内に挿入して周囲の1箇所を除いてヒートシールすることにより閉口部を形成した。そして、最後に、外装体内に、電解液を注入し、残りの1箇所を真空シール機によって減圧しながらヒートシールで密封して、実施例1に係るリチウムイオン二次電池を作製した。電解液としては、フルオロエチレンカーボネート(FEC)およびジエチルカーボネート(DEC)を体積比率3:7で混合した混合溶媒と、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を濃度1mol/Lで含む非水電解質溶液を用いた。
充放電試験装置(北斗電工株式会社製)を用いて、リチウムイオン二次電池に、充電レート0.5Cで4.2Vまで定電流定電圧充電し、放電レート0.5Cで2.5Vまで定電流放電する充放電を1サイクル行った。そして、初回充放電効率を下記の式(1)より算出した。
実施例1で作製した前記リチウムイオン二次電池について、同様の充放電レートにて、充放電を10サイクル行った。その後、ドライルーム内でフルセルを分解し、負極を取り出し、ジメチルカーボネート(DMC)で軽く洗浄し、ドライルーム内で乾燥させた。そして内周部Aと外周部Bにおける負極活物質層の厚みを三次元測長機NEXIV(ニコン社製)で非接触方式で測定し、それぞれ5カ所の平均値を負極活物質層の厚みとした。そして負極の負極活物質層の密度を下記の式(3)より算出した。なお、内周部Aと外周部Bにおける負極面積当たりの活物質質量は、前記の負極の作製で調整した目付量の値を用いた。
充放電する前の負極と、前記10サイクル行った負極の縦と横の寸法を、三次元測長機NEXIV(ニコン社製)で計測し、それぞれの負極面積を算出した。そして下記の式(4)より面積膨張率を算出した。
実施例1と同様にして、内周部Aと外周部Bの負極活物質の目付量をそれぞれ調整することで、表1に示したDA、DB、DA/DBとなる実施例2〜18、比較例1〜8に係る負極を作製した。実施例2〜18に係る負極は、実施例1と同様に外周部Bに再度負極活物質層を形成することにより作製した。比較例1、3、6に係る負極は、外周部Bに再度負極活物質層を形成させないことで作製した。比較例2、4、5、7、8、9に係る負極は、内周部Aに再度負極活物質層を形成させることにより作製した。それぞれ得られた負極を用いて実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様な方法で評価し、その結果を表1に示す。
実施例16に係る負極において、電極金型を変更し種々の電極サイズに変更することで表1に示した外周部Bの面積SBが異なる実施例19〜24負極を作製した。それぞれ得られた負極を用いて実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様な方法で評価し、その結果を表1に示す。
また、実施例1〜5、8〜11、14と15において、内周部Aの密度DAと、外周部Bの密度DBとの密度の比率DA/DBが、0.70≦DA/DB≦0.90であったので、10サイクル後の面積膨張率がより小さく、このような負極を用いた電池では初回充放電効率及び100サイクルでの容量維持率がより優れるようになった。
負極活物質として黒鉛を94質量%と、導電助剤としてアセチレンブラックを2質量%と、負極バインダーとしてSBRを2.5質量%と、増粘剤としてCMCを1.5質量%と、イオン交換水の溶媒とを混合分散させてペースト状の負極スラリーを作製した。そして、コンマロールコーターを用いて、この負極スラリーを厚さ10μmの銅箔に負極活物質層を形成した。なお、負極活物質の目付量は、9.3mg/cm2に調整した。次いで、乾燥炉内にて100℃の大気雰囲気下で前記負極活物質中の水分を乾燥させた。同様に銅箔の裏面にも同じ目付量になるように負極活物質層を形成し、次いで100℃で乾燥させた。得られた負極は、電極金型を用いて4.15×3.05cmの電極サイズに打ち抜いた。
実施例25と同様にして、内周部Aと外周部Bの負極活物質の目付量をそれぞれ調整することで、表2に示したDA、DB、DA/DBとなる実施例26〜46、比較例10〜22に係る負極を作製した。それぞれ得られた負極を用いて実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様な方法で評価し、その結果を表2に示す。
Claims (5)
- 負極集電体と前記負極集電体に保持された負極活物質層とを含む負極であって、
前記負極活物質層は、内周部Aと、外周部Bとを有し、
前記内周部Aの密度DAが、前記外周部Bの密度DBよりも小さい(DA<DB)
ことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。 - 前記負極活物質層の前記外周部Bの面積SBは、前記内周部Aの面積SAに対して、2〜10%である
ことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。 - 前記負極活物質層が負極活物質を含み、
前記負極活物質がケイ素を含み、
前記内周部Aの前記密度DAと、前記外周部Bの前記密度DBとの密度の比率DA/DBが、0.70≦DA/DB<1.00であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用負極。 - 前記負極活物質層が負極活物質を含み、
前記負極活物質が黒鉛を含み、
前記内周部Aの密度DAと、前記外周部Bの密度DBとの密度の比率DA/DBが、0.66≦DA/DB<1.00を満たし、前記DBは、DB<1.85あることを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用負極。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極と、
正極と、
セパレータと、
を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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