JP2019169392A - リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】サイクル特性と初回充放電効率が優れたリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池用負極を備えたリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、負極集電体と前記負極集電体に保持された負極活物質層とを含み、負極活物質層は、内周部Aと、外周部Bとを有し、内周部Aの密度DAが、外周部Bの密度DBよりも小さい(DA<DB)ことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池等と比べ、軽量、高容量であるため、携帯電子機器用電源として広く応用されている。又はイブリッド自動車や、電気自動車用に搭載される電源として有力な候補ともなっている。そして、近年の携帯電子機器の小型化、高機能化に伴い、これらの電源となるリチウムイオン二次電池への更なる高容量化が期待されている。
リチウムイオン二次電池の容量は主に電極の活物質に依存する。負極活物質には、一般に黒鉛などの炭素材料が利用されている。しかし、黒鉛の理論容量は372mAh/gであり、実用化されている電池では、既に約350mAh/gの容量が利用されている。よって、将来の高機能携帯機器のエネルギー源として十分な容量を有する非水電解質二次電池を得るためには、さらなる高容量化を実現する必要がある。
ケイ素や酸化ケイ素などの半金属又は金属酸化物などの負極活物質は、現在実用化されている黒鉛よりも高い理論容量を示すことから、電池の高エネルギー密度化において最も期待される材料である。しかし、ケイ素を含む負極活物質を使用した負極では、充放電に伴う負極の体積膨張が黒鉛よりも大きくなる。そのため前記負極を用いたリチウムイオン二次電池では、充放電の繰り返しによって負極が体積膨張し、その応力によって負極が破れたり、亀裂が入るなどの問題を生じやすい。そのため黒鉛に比べると充分なサイクル特性が得られなかった。このような体積膨張の課題に対し、例えば先行技術文献1には、低密度の負極活物質層を具備した負極を電極体に組み入れることで、体積膨張を抑制することが開示されている。
そこで我々は前記手法を鋭意検討したものの、残念ながら充分なサイクル特性が得られなかった。これは密度の異なる負極活物質層を具備した場合、密度の違いによって負極の内部抵抗が不均一となり、しいては充放電反応が不均一となる。そのため内部抵抗の低い負極側で充放電反応が進行しやすくなり、内部抵抗の低い負極側で劣化が進行することが示唆された。
一方、現在汎用されている黒鉛を負極活物質として用いた場合においても体積膨張の課題が挙げられる。黒鉛には、天然黒鉛と人造黒鉛とがあるが、天然黒鉛では鱗片状を成しているので、電極を作製したときに、鱗片状の天然黒鉛が集電体の面方向に配向しやすい。したがって、天然黒鉛を用いた負極において充放電を繰り返すと、配向方向への歪みによって負極活物質層へ亀裂が生じることで、サイクル特性が低下しやすい課題があった。このような課題に対して、例えば特許文献2では、天然黒鉛を造粒して球状にし、それを炭素コートした造粒天然黒鉛が提案されている。
人造黒鉛を用いた負極においても、充放電を繰り返すと体積膨張によって電池特性が低下してしまう課題があった。このような課題に対して、例えば特許文献3では、高いタップ密度及び結晶性を有する粒子状人造黒鉛が提案されている。しかしながら、前記天然黒鉛や前記人造黒鉛を用いた場合においても、充放電を繰り返すと、体積膨張によって負極活物質層への亀裂が生じ、黒鉛粒子同士の接点が減少することで、充分なサイクル特性が得られない課題があった。
特開2010−232011号公報 特開2002−367611号公報 特開2005−154242号公報
本発明の目的は、前記事情に鑑みてなされたものであり、サイクル特性および初回充放電効率に優れたリチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池用負極を備えたリチウムイオン二次電池を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討の結果、負極活物質層の内周部Aの密度Dが、外周部Bの密度Dよりも小さく(D<D)することで、負極に伴う亀裂が抑制され、しいては優れたサイクル特性、ならびに優れた初回充放電効率が得られることを見出した。
特に、内周部Aが正極活物質層と対向する部分であり、外周部Bが正極活物質層と対向してない部分である場合、負極活物質層の内周部Aの密度Dが、外周部Bの密度Dよりも小さく(D<D)することで、正極活物質層と対向する負極活物質層の密度よりも、正極活物質層と対向しない負極活物質層の密度を高くすることで、負極に伴う亀裂が抑制され、しいては優れたサイクル特性、ならびに優れた初回充放電効率が得られることを見出したため本願に至った。
すなわち、本発明によれば、以下のものが提供される。
〔1〕 負極集電体と前記負極集電体に保持された負極活物質層とを含む負極であって、
前記負極活物質層は、内周部Aと、外周部Bとを有し、
前記内周部Aの密度Dが、前記外周部Bの密度Dよりも小さい(D<D
ことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
〔2〕 前記負極活物質層の前記外周部Bの面積Sは、前記内周部Aの面積Sに対して、2〜10%であることを特徴とする〔1〕に記載されたリチウムイオン二次電池用負極。
〔3〕 前記負極活物質層が負極活物質を含み、
前記負極活物質がケイ素を含み、
前記内周部Aの前記密度Dと、前記外周部Bの前記密度Dとの密度の比率D/Dが、0.70≦D/D<1.00であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
〔4〕 前記負極活物質層が負極活物質を含み、
前記負極活物質が黒鉛を含み、
前記内周部Aの密度Dと、前記外周部Bの密度Dとの密度の比率D/Dが、0.66≦D/D<1.00であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
〔5〕 〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載されたリチウムイオン二次電池用負極と、
正極と、
セパレータと、
を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
本発明により、サイクル特性と初回充放電効率が優れたリチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池用負極を備えたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の断面模式図である。 本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極を主面から見た模式図である。
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
[リチウムイオン二次電池]
図1は、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の断面模式図である。図1に示すリチウムイオン二次電池100は、主として積層体40、積層体40を密閉した状態で収容するケース50、及び積層体40に接続された一対のリード60、62を備えている。
また図示されていないが、積層体40とともに電解液が、ケース50内に収容されている。
積層体40は、正極20と負極30とが、セパレータ10を挟んで対向配置されたものである。正極20は、板状(膜状)の正極集電体22上に正極活物質層24が設けられたものである。負極30は、板状(膜状)の負極集電体32上に負極活物質層34が設けられたものである。
正極活物質層24及び負極活物質層34は、セパレータ10の両側にそれぞれ接触している。正極集電体22及び負極集電体32の端部には、それぞれリード62、60が接続されており、リード60、62の端部はケース50の外部にまで延びている。図1では、ケース50内に積層体40が一つの場合を例示したが、複数積層されていてもよい。
「リチウムイオン二次電池用負極」
「第1実施形態」
本実施形態のリチウムイオン二次電池用負極30は、負極集電体32と、負極集電体32の上に設けられた負極活物質層34とを有する。
負極活物質層34は、内周部Aと、外周部Bとを有し、内周部Aの密度Dが、前記外周部Bの密度Dよりも小さい(D<D)ことを特徴とする。図2に、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極の主面から見た場合の模式図を示す。
また、負極活物質層34は、正極活物質層24に対向する対向部と正極活物質層24に対向していない非対向部とを有する。負極活物質層34の内周部Aが正極活物質層24に対向する対向部であり、外周部Bが正極活物質層24に対向していない非対向部であることが好ましい。
負極活物質層34の外周部Bの面積Sは、内周部Aの面積Sに対して、2〜10%である
ことがこのましい。負極活物質層34の外周部Bの面積Sが、内周部Aの面積Sに対して2%よりも小さくなると、膨張抑制の効果が小さくなる。10%よりも大きくなると、外周部Bでの副反応が増加するため、初回充放電効率が低下しやすい。
(負極集電体)
負極集電体32は、導電性の板材であればよく、例えば、銅箔、ステンレス箔、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
(負極活物質層)
負極活物質層34は、負極活物質と負極バインダーとを有し、必要に応じて負極導電材を有する。
(負極活物質)
本実施形態のリチウムイオン二次電池用負極に用いる負極活物質は、公知の負極活物質を含むことができる。負極活物質としては、例えば、金属リチウム、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、アルミニウム、ケイ素、スズ等のリチウムと合金することのできる金属、二酸化スズ等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(LiTi12)等を含む粒子が挙げられる。本実施形態のリチウムイオン二次電池用負極に用いる負極活物質は、ケイ素又は黒鉛を含むことが好ましい。
(負極導電材)
導電材としては、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。これらの中でも、アセチレンブラックやエチレンブラック等のカーボン粉末が特に好ましい。負極活物質のみで十分な導電性を確保できる場合は、リチウムイオン二次電池100は導電材を含んでいなくてもよい。
(負極バインダー)
バインダーは、活物質同士を結合すると共に、活物質と負極集電体32とを結合する。
本実施形態の負極合剤層に含まれる負極バインダーとしては、有機溶剤系バインダーでもよく、水系バインダーでもよい。例えば、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、アルギン酸塩、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリウレタンなどが挙げられ、これらの1種を用いてもよく、複数種を併用することもできる。特に充放電による体積膨張が大きいケイ素を負極活物質に用いる場合、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミド、ポリアクリル酸を好適に用いることができる。一方、ケイ素系の負極活物質よりも体積膨張の小さい黒鉛を負極活物質に用いる場合、スチレン・ブタジエンゴムを好適に用いることができる。なお、前記に列挙したバインダーに限定されるものではない。
負極活物質層34中の負極活物質36、導電材及びバインダーの含有量は特に限定されない。負極活物質層34における負極活物質36の構成比率は、質量比で65%以上98%以下であることが好ましい。また負極活物質層34における導電材の構成比率は、質量比で0%以上20%以下であることが好ましく、負極活物質層34におけるバインダーの構成比率は、質量比で2.0%以上35%以下であることが好ましい。
負極活物質とバインダーの含有量を前記範囲とすることにより、バインダーの量が少なすぎて強固な負極活物質層を形成できなくなることを防ぐことができる。また、電気容量に寄与しないバインダーの量が多くなり、十分な体積エネルギー密度を得ることが困難となる傾向も抑制できる。
「第2実施形態」
本実施形態のリチウムイオン二次電池用負極において、その負極活物質は、ケイ素を含む点が、第1実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極と異なる。また、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極は、その負極活物質層の内周部Aの前記密度Dと、前記外周部Bの前記密度Dとの密度の比率D/Dが、0.70≦D/D<1.00である点が、第1実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極と異なる。その他の構成は、第1実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極用負極と同じである。
また、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極は、0.70≦D/D≦0.90がより好ましい。
負極活物質としてケイ素を含むリチウムイオン二次電池用負極において、前記内周部Aの密度DAと、前記外周部Bの密度DBとの密度の比率D/Dが、0.70≦D/D≦0.90であると、初回充放電効率に優れ、負極の面積膨張も小さくなる。しいては優れた充放電サイクルが得られる。D/Dが、1.00を超えると、面積膨張率が大きく、初回充放電効率が低下しやすい。しいては、優れた充放電サイクルが得られにくくなる。
ケイ素を含む負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な化合物であればよく、公知のケイ素を含む負極活物質を使用できる。ケイ素を含む負極活物質としては、例えば、ケイ素、ケイ素酸化物もしくはケイ酸塩を含む負極活物質が挙げられる。また、ケイ素ナノワイヤーやケイ素微粒子;スズ、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン及びクロムからなる群から選択される少なくとも1種の金属とケイ素との合金;ホウ素、窒素、酸素又は炭素とケイ素との化合物などが挙げられる。ケイ素の合金あるいは化合物の具体例は、SiB、SiB、MgSi、NiSi、TiSi、MoSi、CoSi、NiSi、CaSi、CrSi、CuSi、FeSi、MnSi、NbSi、TaSi、VSi、WSi、ZnSi、SiC、Si、SiO、SiO(0<X≦2)あるいはLiSiOなどが挙げられる。
また、前記ケイ素、ケイ素酸化物もしくはケイ酸塩の表面に導電性の高い材料を担持又は被覆した負極活物質を用いることができる。例えば、SiOの表面に炭素又は酸化チタンを被覆した負極活物質が挙げられる。
また、炭素基体上に前記ケイ素、ケイ素酸化物もしくはケイ酸塩が分散された複合材料や、前記ケイ素、ケイ素酸化物もしくはケイ酸塩の微粒子と人造黒鉛粒子とが一部複合化している複合材料が挙げられる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用負極に用いる負極活物質は、ケイ素を含む負極活物質以外に、更に他の公知の負極活物質を含むことができる。他の負極活物質としては、例えば、金属リチウム、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、スズ等のリチウムと合金することのできる金属、二酸化スズ等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(LiTi12)等を含む粒子が挙げられる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用負極は、負極活物質層に主としてケイ素、又はケイ素酸化物を含み、負極活物質層100質量%に対して、ケイ素、又はケイ素酸化物を50質量%以上含めば良い。他の負極活物質としては、例えば黒鉛等を1〜40質量%含むことができ、負極バインダーとしては、2〜35質量%含むことができる。
「第3実施形態」
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極は、その負極活物質として黒鉛を含む点が、第1実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極と異なる。また、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極は、その負極活物質層の内周部Aの密度Dと、外周部Bの密度Dとの密度の比率D/Dが、0.66≦D/D<1.00である点が、第1実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極と異なる。その他の構成は、第1実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極と同じである。
また、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極は、0.66≦D/D<1.00であることが好ましく、0.70≦D/D≦0.99であるがより好ましい。
負極活物質として黒鉛を含むリチウムイオン二次電池用負極において、前記内周部Aの密度Dと、前記外周部Bの密度Dと密度の比率D/Dが、0.70≦D/D≦0.99であると、初回充放電効率に優れ、負極の面積膨張もより小さくなる。しいては優れた充放電サイクルが得られる。ただし、Dが1.8以上になると、外周部Bにおける黒鉛が割れやすくなることで、黒鉛の劣化が進行しやすくなり、優れた充放電サイクルが得られにくくなる場合がある。
黒鉛を含む負極活物質としては、例えば、金属リチウム、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料などが挙げられる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用負極に用いる負極活物質は、黒鉛を含む負極活物質の以外に、更に他の公知の負極活物質を含むことができる。他の負極活物質としては、例えば、金属リチウム、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なケイ素、スズ等のリチウムと合金することのできる金属、二酸化スズ等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(LiTi12)等を含む粒子が挙げられる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用負極は、負極活物質層に主として黒鉛を含み、負極活物質層100質量%に対して、黒鉛を50質量%以上含めば良い。他の負極活物質としては、例えばケイ素、又はケイ素酸化物等を1〜40質量%含むことができ、負極バインダーとしては2〜35質量%含むことができる。
「正極」
正極20は、正極集電体22と、正極集電体22の上に設けられた正極活物質層24とを有する。
(正極集電体)
正極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム箔、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
(正極活物質層)
正極活物質層24に用いる正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンとリチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、PF )とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能な電極活物質を用いることができる。
例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、及び、一般式:LiNiCoMn(x+y+z+a=1、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0≦a<1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV)、オリビン型LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素又はVOを示す)、チタン酸リチウム(LiTi12)、LiNiCoAl(0.9<x+y+z<1.1)等の複合金属酸化物、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセンなどが挙げられる。
(導電材)
導電材は、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。正極活物質のみで十分な導電性を確保できる場合は、リチウムイオン二次電池100は導電材を含んでいなくてもよい。
(正極バインダー)
本実施形態の正極活物質層24に含まれる正極バインダーとしては、有機溶剤系バインダーでもよく、水系バインダーでもよい。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンビニルアルコール(PVA)、ポリアクリレート、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリウレタンなどが挙げられ、これらの1種を用いてもよく、複数種を併用することもできる。なお、これら列挙したバインダーに限定されるものではない。
正極活物質層24における正極活物質の構成比率は、質量比で80質量%以上96質量%以下であることが好ましい。また正極活物質層24における導電材の構成比率は、質量比で2.0質量%以上10質量%以下であることが好ましく、正極活物質層24におけるバインダーの構成比率は、質量比で2.0質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
「セパレータ」
セパレータ10は、電気絶縁性の多孔質構造から形成されていればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体や前記樹脂の混合物の延伸膜、或いはセルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
「電解液」
電解液は、例えば、非水溶媒とこの非水溶媒に溶解された電解質塩とを含んでおり、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。前記非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、などの環状炭酸エステル、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)などの鎖状炭酸エステル、酢酸メチル(MA),酢酸エチル(EA),プロピオン酸メチル(MP),プロピオン酸エチル(EP)などの鎖状カルボン酸エステル、又はγ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン(GVL)などの環状カルボン酸エステルなどが挙げられる。これらのいずれか1種、又は2種以上を混合したものを、非水溶媒として用いることができる。また、前記列挙した非水溶媒に限定されることはなく、電解質塩を溶解させてリチウムイオン二次電池としたときにその特性を損なわない範囲でれば、特に制限はされない。
また、前記非水溶媒には、ビニレンカーボネート(VC)などの不飽和結合を有する環式炭酸エステルや、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)などのフッ素化環状カーボネート、1,3−プロパンスルトン(PS)などの硫黄含有化合物、フォスファゼン化合物などの難燃性液体を混合して非水溶媒として用いることができる。
「電解質塩」
電解質は、例えばリチウム塩が挙げられ、電解液中で解離してリチウムイオンを供給するものである。このリチウム塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、LiPF、LiBF、LiAsF、LiClO、LiB(C、LiCHSO、LiC(SOCF、LiN(CFSO(別名、LiTFSIと呼ぶこともある)、LiN(CSO(別名、LiBETIと呼ぶこともある)、LiCFSO、LiCSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(SOF)(別名、LiFSIと呼ぶこともある)、LiAlCl、LiSiF、LiCl、LiCBO(別名、LiBOBと呼ぶこともある)、あるいはLiBrなどが挙げられ、これらの1種、又は2種以上の任意の組み合わせから選択されるものを用いることができる。特に、LiPFは高いイオン伝導性を得ることができるため好適に用いることができる。
LiPFを非水溶媒に溶解する際は、非水電解液中の電解質の濃度を、0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましい。電解質の濃度が0.5mol/L以上であると、非水電解液のリチウムイオン濃度を充分に確保することができ、充放電時に十分な容量が得られやすい。また、電解質の濃度が2.0mol/L以内に抑えることで、非水電解液の粘度上昇を抑え、リチウムイオンの移動度を充分に確保することができ、充放電時に十分な容量が得られやすくなる。
LiPFをその他の電解質と混合する場合にも、非水電解液中のリチウムイオン濃度が0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましく、LiPFからのリチウムイオン濃度がその50mol%以上含まれることがさらに好ましい。
「ケース」
ケース50は、その内部に積層体40及び電解液を密封するものである。ケース50は、電解液の外部への漏出や、外部からのリチウムイオン二次電池100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。
例えば、ケース50として、図1に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔52としては例えばアルミニウム箔を、高分子膜54としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜54の材料としては融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜54の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
「リード」
リード60、62は、ニッケル、アルミニウム等の導電材料から形成されている。そして、公知の方法により、リード62を正極集電体22、リード60を負極集電体32にそれぞれ溶接し、正極20の正極活物質層24と負極30の負極活物質層34との間にセパレータ10を挟んだ状態で、電解液と共にケース50内に挿入し、ケース50の入り口をシールする。
[リチウムイオン二次電池の製造方法]
次に、リチウムイオン二次電池100を製造する方法について具体的に説明する。
[負極の製造方法]
本実施形態に係る負極30は、負極活物質と、負極導電助剤と、負極バインダーと、溶媒とを混合分散させてペースト状の負極スラリーを作製する。前記溶媒としては、負極スラリーに添加するバインダーに対して良溶媒を用いることが望ましく、例えば、有機溶剤系バインダーであれば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド、メチルエチルケトン、アセトニトリル、などが挙げられ、水系バインダーであれば、イオン交換水、蒸留水などが挙げられる。
次いで、前記負極スラリーを例えばコンマロールコーターを用いて、所定の厚みを有する負極合剤層を銅箔などの負極集電体32の片面又は両面に塗布し、乾燥炉内にて溶媒を乾燥させることで、負極活物質層34を形成させる。なお、負極活物質層34を前記負極集電体32の両面に形成する場合は、両面とも同じ膜厚となる負極活物質層34であることが望ましい。
次いで、前記負極活物質層34が形成された負極をロールプレス機などにより所定の厚み(密度)になるようにプレスし、同時に負極活物質層34を負極集電体32の片面又は両面に圧着させ、負極活物質層34と負極集電体32との密着性を高める。
前記負極を金型で所定の電極サイズに打ち抜き、リチウムイオン二次電池用の負極30とする。前記の負極30の面積は、正極20の面積よりも大きいことが好ましい。負極30の面積を、対向する正極20の面積よりも大きくすることで、リチウムの析出による内部短絡の発生を防止するためである。
前記負極30は、真空中又は不活性ガスの雰囲気中において前記のバインダーの熱分解する温度以下で熱処理することで、バインダーの重合および又は架橋によって負極活物質層34と負極集電体32との界面、および負極活物質同士での密着性をさらに高めることができる。また、負極集電体32の表面が一定の表面粗さを有していれば、その表面の凹凸部分にバインダーが入り込むことにより、バインダーと負極集電体32との間にアンカー効果が作用し、密着性が向上する。そのため、リチウムイオンの吸蔵および放出によって負極活物質が体積膨張した場合においても、負極集電体32から負極活物質層34が剥離するのを抑制することができる。
本実施形態に係る負極の負極活物質層34は、同一平面において密度の異なる内周部Aと外周部Bとを有することが好ましい。その密度の異なる負極の作製方法としては、内周部Aの密度Dが外周部Bの密度Dよりも小さく(D<D)なることできれば特に制限がなく、例えば、プレス処理の工程において、ロの字型のプレス等を用いて、内周部Aに対応する内部と外周部Bに対応する外部の圧力を変更して作製することができる。あるいは、負極集電体32上に負極活物質層34を作製した負極上に、外周部Bに対応する箇所のみ(ロの字のパターン)に再度塗布し、これをプレスすることで作製することができる。再度塗布の方法で作製すれば、負極活物質層がフラットで、かつ同一平面内で密度が異なる負極活物質層34を作製することができる。
次いで、正極活物質層24を有する正極20と、負極活物質層34を有する負極30と、正極と負極との間に介在するセパレータ10と、電解液と、をケース50内に封入する。
例えば、正極20と、負極30と、セパレータ10とを積層し、正極20及び負極30を、積層方向に対して垂直な方向から、プレス器具で加熱加圧し、正極20、セパレータ10、及び負極30を密着させる。そして、例えば、予め作製した袋状のケース50に、積層体40を入れる。
最後に電解液をケース50内に注入することにより、リチウムイオン二次電池が作製される。なお、ケースに電解液を注入するのではなく、積層体40を電解液に含浸させてもよい。
本発明の第1実施形態〜第3実施形態のリチウムイオン二次電池用負極において、内周部の密度Dが外周部の密度Dよりも小さくすることで、面積膨張が抑制され、初回充放電効率に優れたリチウムイオン二次電池用負極が得られる。
外周部の密度Dが、内周部の密度Dよりも高いので、外周部Bでの活物質層と集電体との密着強度が強くなり、内周部Aが充電によって膨張した際に伸張するのを食い止める役割を果たす。これにより負極活物質層に伴う切れや剥離が抑制されるため、優れたサイクル特性が得られる。さらに外周部Bは内周部Aよりも密度が高いため、外周部Bのリチウムイオンの拡散移動が内周部Aよりもし難くなる。したがって、外周部Bにおける充放電反応(副反応)がし難くなる。しいては外周部Bでは充放電反応への寄与が小さくなるため、副反応による不可逆容量を小さく抑えられ、初回充放電効率が優れるものとなる。一方、外周部Bの密度が内周部A以上となる場合、外周部Bでの副反応が大きいため、初回充放電効率が低下しやすい。
以下本発明をさらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[負極の作製]
負極活物質として減圧下において1000℃の熱処理で不均化反応させた一酸化ケイ素(アルドリッチ社製)を83質量%と、導電助剤としてアセチレンブラックを2質量%と、負極バインダーとしてポリアミドイミドを15質量%と、N−メチル−2−ピロリドンの溶媒とを混合分散させてペースト状の負極スラリーを作製した。そして、コンマロールコーターを用いて、この負極スラリーを厚さ10μmの銅箔に負極合剤層を形成した。なお、電極単位面積当たりの活物質質量(以下、目付量と呼ぶ)は、3.3mg/cmに調整した。次いで、乾燥炉内にて110℃の大気雰囲気下で前記負極活物質中のN−メチル−2−ピロリドン溶媒を乾燥させることで銅箔に負極活物質層を形成した。同様に銅箔の裏面にも同じ目付量になるように負極合剤層を形成し、次いで110℃で乾燥させることで、裏面も負極活物質層を形成した。得られた負極は、電極金型を用いて4.15×3.05cmの電極サイズに打ち抜いた(電極面積12.66cm)。なお、前記負極の負極活物質層は、後述の正極活物質層に対向する領域の内周部Aと、後述の正極活物質層に対向してない領域の外周部Bを有する形態となる。このときの前記内周部Aの面積Sは、12.30cm、外周部Bの面積Sは0.36cmとなるため、内周部Aと外周部Bとの面積比率S/Sが3%の負極となる。
次いで、前記負極活物質層において、正極活物質層と対向しない外周部Bのみに、スクリーン印刷機を用いて負極活物質層を再度形成させ、乾燥炉内にて110℃の大気雰囲気下で前記負極活物質中のN−メチル−2−ピロリドン溶媒を乾燥させた。このときの外周部Bにおける負極活物質の目付量を4.7mg/cmになるように調整した。
次いで、前記負極活物層が形成された負極をロールプレス機によって、負極活物質層を厚さ33μmになるように負極集電体の両面に圧着させ、同一平面において内周部Aと外周部Bに異なる密度を有する負極シートを得た。前記負極シートは、熱処理炉にて30℃/分の高速昇温で300℃まで昇温し、1時間保持した後に室温まで急冷させ、実施例1に係るリチウムイオン二次電池用負極を作製した。なお、前記熱処理は、真空中にて実施した。
[正極の作製]
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO)を96質量%と、導電助剤としてケッチェンブラックを2質量%と、バインダーとしてPVDFを2質量%と、N−メチル−2−ピロリドンの溶媒とを混合分散させて、ペースト状の正極スラリーを作製した。
そして、コンマロールコーターを用いて、この正極スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に所定の正極活物質の目付量になるように、正極活物質層を形成した。次いで、乾燥炉内にて、110℃の大気雰囲気下で前記正極活物質中のN−メチル−2−ピロリドン溶媒を乾燥させた。同様にアルミニウム箔の裏面にも同じ目付量になるように正極活物質層を形成し、次いで110℃で乾燥させた。得られた正極は、電極金型を用いて4.1×3.0cmの電極サイズに打ち抜いた。
前記正極ロールプレス機によって、正極活物質層を正極集電体の両面に圧着させ、所定の密度を有する正極を作製した。
(リチウムイオン二次電池の作製)
前記の負極4枚と正極3枚とを、負極活物質層と正極活物質層とが互いに対向するように、セパレータ(多孔質ポリエチレンシート)を介して積層して6層から成る積層体を得た。これを前記積層体の負極において、負極活物質層を設けていない銅箔の突起端部にニッケル製の負極リードを取り付け、一方、積層体の正極においては、正極活物質層を設けていないアルミニウム箔の突起端部にアルミニウム製の正極リードを超音波溶接機によって取り付けた。この積層体を、アルミラミネートフィルムの外装体内に挿入して周囲の1箇所を除いてヒートシールすることにより閉口部を形成した。そして、最後に、外装体内に、電解液を注入し、残りの1箇所を真空シール機によって減圧しながらヒートシールで密封して、実施例1に係るリチウムイオン二次電池を作製した。電解液としては、フルオロエチレンカーボネート(FEC)およびジエチルカーボネート(DEC)を体積比率3:7で混合した混合溶媒と、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を濃度1mol/Lで含む非水電解質溶液を用いた。
(充放電試験)
充放電試験装置(北斗電工株式会社製)を用いて、リチウムイオン二次電池に、充電レート0.5Cで4.2Vまで定電流定電圧充電し、放電レート0.5Cで2.5Vまで定電流放電する充放電を1サイクル行った。そして、初回充放電効率を下記の式(1)より算出した。
初回充放電効率(%)=(1サイクル目の放電容量/1サイクル目の充電容量)×100・・・(1)
次いで、同様の充放電レートにて、充放電を100サイクル行った。そして100サイクル時点の放電容量維持率を下記の式(2)より算出した。
100サイクル時点の放電容量維持率(%)=(100サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100・・・(2)
(負極活物質層の内周部Aの密度Dと外周部Bの密度Dの測定)
実施例1で作製した前記リチウムイオン二次電池について、同様の充放電レートにて、充放電を10サイクル行った。その後、ドライルーム内でフルセルを分解し、負極を取り出し、ジメチルカーボネート(DMC)で軽く洗浄し、ドライルーム内で乾燥させた。そして内周部Aと外周部Bにおける負極活物質層の厚みを三次元測長機NEXIV(ニコン社製)で非接触方式で測定し、それぞれ5カ所の平均値を負極活物質層の厚みとした。そして負極の負極活物質層の密度を下記の式(3)より算出した。なお、内周部Aと外周部Bにおける負極面積当たりの活物質質量は、前記の負極の作製で調整した目付量の値を用いた。
負極活物質層の密度(g/cm)=10×負極面積当たりの目付量(mg/cm)/負極活物質層の厚み(μm)・・・(3)
(面積膨張率)
充放電する前の負極と、前記10サイクル行った負極の縦と横の寸法を、三次元測長機NEXIV(ニコン社製)で計測し、それぞれの負極面積を算出した。そして下記の式(4)より面積膨張率を算出した。
面積膨張率(%)=(充放電する前の負極面積(cm)/10サイクル目の負極面積(cm))×100・・・(4)
「実施例2〜18及び比較例1〜8」
実施例1と同様にして、内周部Aと外周部Bの負極活物質の目付量をそれぞれ調整することで、表1に示したD、D、D/Dとなる実施例2〜18、比較例1〜8に係る負極を作製した。実施例2〜18に係る負極は、実施例1と同様に外周部Bに再度負極活物質層を形成することにより作製した。比較例1、3、6に係る負極は、外周部Bに再度負極活物質層を形成させないことで作製した。比較例2、4、5、7、8、9に係る負極は、内周部Aに再度負極活物質層を形成させることにより作製した。それぞれ得られた負極を用いて実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様な方法で評価し、その結果を表1に示す。
「実施例19〜24」
実施例16に係る負極において、電極金型を変更し種々の電極サイズに変更することで表1に示した外周部Bの面積Sが異なる実施例19〜24負極を作製した。それぞれ得られた負極を用いて実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様な方法で評価し、その結果を表1に示す。
Figure 2019169392
表1に示すように、実施例1〜18は外周部Bの密度Dが内周部Aの密度Dより高いので、10サイクル後の面積膨張率が小さい。さらに外周部Bの密度Dが高いので、外周部Bでの副反応が抑制され、このような負極を用いた電池では初回充放電効率が優れる。比較例1、3、6において、外周部Bの密度Dが内周部Aの密度Dと同じなので、10サイクル後の面積膨張率が大きい。しいては膨張により負極活物質層に亀裂が生じ新生面が生成することで、副反応が生じるため、このような負極を用いた電池では初回充放電効率が落ちる。比較例4〜5、7〜9において、外周部Bの密度Dが内周部Aの密度Dより低いので、10サイクル後の面積膨張率が大きい。この膨張により負極活物質層に亀裂が生じ、新生面が生成することで副反応が生じるため、このような負極を用いた電池では初回充放電効率が落ちる。
また、実施例1〜5、8〜11、14と15において、内周部Aの密度Dと、外周部Bの密度Dとの密度の比率D/Dが、0.70≦D/D≦0.90であったので、10サイクル後の面積膨張率がより小さく、このような負極を用いた電池では初回充放電効率及び100サイクルでの容量維持率がより優れるようになった。
表1に示すように、実施例19〜24において、内周部Aの面積Sに対して外周部Bの面積Sの面積比率S/Sが2〜10%となる負極では、初回充放電効率が高く、さらに10サイクル後の面積膨張率が小さくなる。しいては100サイクルでの容量維持率に優れる。S/Sが2%よりも小さいと、負極の面積膨張率が十分に抑制できないため、優れたサイクル特性が得られない。S/Sが10%よりも大きいと、負極の面積膨張率は十分に抑制できるため、サイクル特性は優れるが、初回充放電効率が低くなってしまい、放電容量が小さいリチウムイオン二次電池となってしまう。
「実施例25」
「負極の作製」
負極活物質として黒鉛を94質量%と、導電助剤としてアセチレンブラックを2質量%と、負極バインダーとしてSBRを2.5質量%と、増粘剤としてCMCを1.5質量%と、イオン交換水の溶媒とを混合分散させてペースト状の負極スラリーを作製した。そして、コンマロールコーターを用いて、この負極スラリーを厚さ10μmの銅箔に負極活物質層を形成した。なお、負極活物質の目付量は、9.3mg/cmに調整した。次いで、乾燥炉内にて100℃の大気雰囲気下で前記負極活物質中の水分を乾燥させた。同様に銅箔の裏面にも同じ目付量になるように負極活物質層を形成し、次いで100℃で乾燥させた。得られた負極は、電極金型を用いて4.15×3.05cmの電極サイズに打ち抜いた。
次いで、前記負極活物質層において、正極活物質層と対向しない外周部Bのみに、スクリーン印刷機を用いて負極活物質層を再度形成させ、乾燥炉内にて100℃の大気雰囲気下で前記負極活物質中の水分を乾燥させた。このときの外周部Bにおける負極活物質の目付量は、14.0mg/cmになるように調整した。
次いで、前記負極活物層が形成された負極をロールプレス機によって、負極活物質層を厚さ83μmになるように負極集電体の両面に圧着させ、同一平面において内周部Aと外周部Bに異なる密度を有する負極シートを得た。前記負極シートは、熱処理炉にて110℃まで昇温し、1時間保持した後に室温まで冷やし、実施例25に係るリチウムイオン二次電池用負極を作製した。なお、前記熱処理は、真空中にて実施した。
「実施例26〜46、比較例10〜22」
実施例25と同様にして、内周部Aと外周部Bの負極活物質の目付量をそれぞれ調整することで、表2に示したD、D、D/Dとなる実施例26〜46、比較例10〜22に係る負極を作製した。それぞれ得られた負極を用いて実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様な方法で評価し、その結果を表2に示す。
Figure 2019169392
表2に示すように、実施例25〜46において、外周部Bの密度Dが内周部Aの密度Dより高いので、10サイクル後の面積膨張率が小さい。さらに外周部Bの密度Dが高いので、外周部Bでの副反応が抑制され、このような負極を用いた電池の初回充放電効率が優れる。比較例10、12、15、18において、外周部Bの密度Dが内周部Aの密度Dと同じなので、10サイクル後の面積膨張率が大きい。膨張により負極活物質層に亀裂が生じることで新生面が生成し、副反応によって電池の初回充放電効率が落ちる。比較例11、13,14,16,17,19〜22において、外周部Bの密度Dが内周部Aの密度Dより低いので、10サイクル後の面積膨張率が大きい。膨張により負極活物質層に亀裂が生じることで新生面が生成し、副反応によって電池の初回充放電効率が落ちる。
10…セパレータ、20…正極、22…正極集電体、24…正極活物質層、30…負極、32…負極集電体、34…負極活物質層、34A…内周部A、34B…外周部B、40…積層体、50…ケース、52…金属箔、54…高分子膜、60,62…リード、100…リチウムイオン二次電池

Claims (5)

  1. 負極集電体と前記負極集電体に保持された負極活物質層とを含む負極であって、
    前記負極活物質層は、内周部Aと、外周部Bとを有し、
    前記内周部Aの密度Dが、前記外周部Bの密度Dよりも小さい(D<D
    ことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
  2. 前記負極活物質層の前記外周部Bの面積Sは、前記内周部Aの面積Sに対して、2〜10%である
    ことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  3. 前記負極活物質層が負極活物質を含み、
    前記負極活物質がケイ素を含み、
    前記内周部Aの前記密度Dと、前記外周部Bの前記密度Dとの密度の比率D/Dが、0.70≦D/D<1.00であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  4. 前記負極活物質層が負極活物質を含み、
    前記負極活物質が黒鉛を含み、
    前記内周部Aの密度Dと、前記外周部Bの密度Dとの密度の比率D/Dが、0.66≦D/D<1.00を満たし、前記Dは、D<1.85あることを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極と、
    正極と、
    セパレータと、
    を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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