JP7087532B2 - リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
〔1〕 負極集電体と、前記負極集電体に保持された負極活物質層とを含む負極であって、
前記負極活物質層は、内周部Aと、外周部Bとを有し、
前記外周部の密度DBが、前記内周部の密度DAよりも小さい(DA>DB)
ことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
〔2〕 前記負極活物質層の前記内周部Aの面積をSA、前記外周部Bの面積をSBとしたとき、SB/SAが0.02≦SB/SA≦1.0である
ことを特徴とする〔1〕に記載されたリチウムイオン二次電池用負極。
〔3〕 前記負極活物質層において前記内周部Aの密度DAと、前記外周部Bの密度DBとの密度の比率DA/DBが、1.00<DA/DB≦1.82であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
〔4〕 前記負極活物質層は、少なくとも負極活物質と負極バインダーを含むことを特徴とする〔1〕~〔3〕のいずれかに記載されたリチウムイオン二次電池用負極。
〔5〕 〔1〕~〔4〕のいずれかに記載されたリチウムイオン二次電池用負極と、正極と、セパレータと、電解液とを含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
図1は、本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の断面模式図である。図1に示すリチウムイオン二次電池100は、主として積層体40、積層体40を密閉した状態で収容するケース50、および積層体40に接続された一対のリード60、62を備えている。
また図示されていないが、積層体40とともに電解液が、ケース50内に収容されている。
「第1実施形態」
本実施形態のリチウムイオン二次電池用負極30は、負極集電体32と、負極集電体32の上に設けられた負極活物質層34とを有する。図2に、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極の主面から見た場合の模式図を示す。
負極活物質層34は、内周部A(図2:34A)と、外周部B(図2:34B)とを有し、外周部Bの密度DBが、内周部Aの密度DAよりも小さい(DA>DB)ことを特徴とする。
一方、外周部Bの密度が、内周部Aと同じ、または大きい場合、外周部Bの含浸性が低下するため、内周部Aへの含浸性も遅くなる。したがって、内周部Aにおいて電解液の含浸性が悪い場所では、充放電容量が低下し、優れたエネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池が得られにくい。
負極活物質としてケイ素を用いた負極活物質層においては、内周部Aの密度DAは1.0~1.7g/cm3の範囲であることが好ましく、1.1~1.6g/cm3の範囲であることがより好ましい。特に1.1~1.6g/cm3の範囲であれば、集電体と負極活物質層との密着性に優れ、優れたエネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池が得られやすい。内周部Aの密度DAが1.0g/cm3よりも小さいと、集電体と負極活物質層との密着性が弱く、集電体から負極活物質層が剥がれやすくなる。しいては優れたエネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池が得られにくい。また、1.7g/cm3よりも大きいと、負極活物質層の高密度化が困難となり、電極のプレス工程が多くなる場合がある。また、黒鉛と同様に負極活物質であるケイ素が割れたり、プレス工程にてケイ素が負極集電体に強く押し当てられ、当該箇所での集電体の厚みが薄くなり、充放電によって電極が破れやすくなる場合がある。なお、ケイ素は黒鉛よりも容量が大きいため、黒鉛よりも負極活物質層を薄くすることができる。しいては、黒鉛よりも比較的小さい密度で、優れたエネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池が得られる。
外周部Bの密度DBは、内周部Aの密度DAよりも小さければ特に制限はされないが、1.0~2.0g/cm3の範囲であることが好ましく、1.0~1.6g/cm3の範囲であることがより好ましい。1.0~1.6g/cm3の範囲であれば、集電体と負極活物質層との密着性に優れ、電解液の含浸性も優れる。
SB/SAが上記範囲である場合、電解液の含浸性が優れるため、生産性を高めることができる。また優れた充放電容量のリチウムイオン二次電池が得られる。SB/SAが0.1よりも大きくなると、外周部の面積SBが大きくなるので、SBでの副反応が多くなり、放電容量が低下しやすくなる。SB/SAが0.02よりも小さくなると、外周部の面積SBが小さくなるので、デンドライトが負極表面で生成されやすくなり、同様に放電容量が低下しやすくなる。
DA/DBが上記範囲である場合、電解液の含浸性が優れるため、生産性を高めることができる。また優れた充放電容量のリチウムイオン二次電池が得られる。1.00以下になると、電解液の含浸性が悪くなるため、含浸時間を長く必要となるため、生産性が低下する。
負極集電体32は、導電性の板材であればよく、例えば、銅箔、ステンレス箔、ニッケル箔などの金属薄板を用いることができる。
負極活物質層34は、負極活物質と負極バインダーとを有し、必要に応じて負極導電材を有する。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用負極に用いる負極活物質は、公知の負極活物質を含むことができる。負極活物質としては、例えば、金属リチウム、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、アルミニウム、シリコン、スズ等のリチウムと化合することのできる金属、二酸化スズ等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)等を含む粒子が挙げられる。本実施形態のリチウムイオン二次電池用負極に用いる負極活物質は、ケイ素又は黒鉛を含むことが好ましい。
導電材としては、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。これらの中でも、アセチレンブラックやエチレンブラック等のカーボン粉末が特に好ましい。負極活物質のみで十分な導電性を確保できる場合は、リチウムイオン二次電池100は導電材を含んでいなくてもよい。
バインダーは、活物質同士を結合すると共に、活物質と負極集電体32とを結合する。
本実施形態の負極活物質層に含まれる負極バインダーとしては、有機溶剤系バインダーでもよく、水系バインダーでもよい。例えば、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、アルギン酸塩、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリウレタンなどが挙げられ、これらの1種を用いてもよく、複数種を併用することもできる。特に充放電による体積膨張が大きいケイ素を負極活物質に用いる場合、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミド、ポリアクリル酸を好適に用いることができる。一方、ケイ素およびケイ素化合物よりも体積膨張の小さい黒鉛を負極活物質に用いる場合、スチレン・ブタジエンゴムを好適に用いることができる。なお、前記に列挙したバインダーに限定されるものではない。
本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池用負極は、その負極活物質が黒鉛を含む点が、第1実施形態にかかるリチウムイオン二次電池用負極と異なる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用負極において、その負極活物質は、ケイ素を含む点が、第1実施形態にかかるリチウムイオン二次電池用負極と異なる。
正極20は、正極集電体22と、正極集電体22の上に設けられた正極活物質層24とを有する。
正極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
正極活物質層24に用いる正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵および放出、リチウムイオンの脱離および挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンとリチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、PF6 -)とのドープおよび脱ドープを可逆的に進行させることが可能な電極活物質を用いることができる。
導電材は、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料および金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。正極活物質のみで十分な導電性を確保できる場合は、リチウムイオン二次電池100は導電材を含んでいなくてもよい。
本実施形態の正極活物質層24に含まれる正極バインダーとしては、有機溶剤系バインダーでもよく、水系バインダーでもよい。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンビニルアルコール(PVA)、ポリアクリレート、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリウレタンなどが挙げられ、これらの1種を用いてもよく、複数種を併用することもできる。なお、これら列挙したバインダーに限定されるものではない。
セパレータ10は、電気絶縁性の多孔質構造から形成されていればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体や前記樹脂の混合物の延伸膜、或いはセルロース、ポリエステルおよびポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
電解液は、例えば、非水溶媒とこの非水溶媒に溶解された電解質塩とを含んでおり、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。前記非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)などの環状炭酸エステル;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)などの鎖状炭酸エステル;酢酸メチル(MA),酢酸エチル(EA),プロピオン酸メチル(MP),プロピオン酸エチル(EP)などの鎖状カルボン酸エステル;または、γ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトン(GVL)などの環状カルボン酸エステルなどが挙げられる。これらのいずれか1種、または2種以上を混合したものを、非水溶媒として用いることができる。また、前記列挙した非水溶媒に限定されることはなく、電解質塩を溶解させてリチウムイオン二次電池としたときにその特性を損なわない範囲でれば、特に制限はされない。
電解質は、例えばリチウム塩が挙げられ、電解液中で解離してリチウムイオンを供給するものである。このリチウム塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiB(C6H5)4、LiCH3SO3、LiC(SO2CF3)3、LiN(CF3SO2)2(別名、LiTFSIと呼ぶこともある)、LiN(C2F5SO2)2(別名、LiBETIと呼ぶこともある)、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiC(CF3SO2)3、LiN(CF3SO2)(C2F5SO2)、LiN(CF3SO2)(C3F7SO2)、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiN(SO2F)2(別名、LiFSIと呼ぶこともある)、LiAlCl4、LiSiF6、LiCl、LiC4BO8(別名、LiBOBと呼ぶこともある)、あるいはLiBrなどが挙げられ、これらの1種、または2種以上の任意の組み合わせから選択されるものを用いることができる。特に、LiPF6は高いイオン伝導性を得ることができるため好適に用いることができる。
ケース50は、その内部に積層体40および電解液を密封するものである。ケース50は、電解液の外部への漏出や、外部からのリチウムイオン二次電池100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。
リード60、62は、ニッケル、アルミニウム等の導電材料から形成されている。そして、公知の方法により、リード62を正極集電体22、リード60を負極集電体32にそれぞれ溶接し、正極20の正極活物質層24と負極30の負極活物質層34との間にセパレータ10を挟んだ状態で、電解液と共にケース50内に挿入し、ケース50の入り口をシールする。
次に、リチウムイオン二次電池100を製造する方法について具体的に説明する。
除去方法は特に限定されない。例えば、塗料が塗布された正極集電体22および負極集電体32を、80℃~110℃の雰囲気下で乾燥させればよい。なお、正極集電体、負極集電体が酸化しない温度、時間で乾燥させるのが好ましい。
すなわち、本発明の第1実施形態~第3実施形態のリチウムイオン二次電池用負極を用いる場合、電解液の含浸時間が短くても、良好な電池特性を得ることができる。例えば、本発明の第2実施形態である黒鉛を含むリチウムイオン二次電池用負極を用いる場合、30分以下の含浸時間、本発明の第3実施形態であるケイ素を含むリチウムイオン二次電池用負極を用いる場合、10分以下の含浸時間でも、初回充放電時の電極内部への電解液の含浸性に優れるため、良好な充放電容量を得ることができる。前記時間よりも長い含浸時間である場合、優れた充放電容量は得られるものの、より含浸時間が長くなるため生産性に優れない。
(実施例1)
[負極の作製]
(黒鉛負極)
前記形成された負極活物質層の4.15cm×3.05cm全エリアにおいて、中心部分の4.10cm×3.00cmを内周部Aとし、内周部Aを除いた周辺部分を外周部Bとした。このときの内周部Aの面積SAが12.3cm2、外周部Bの面積SBが0.36cm2と設定した。そして前記負極活物質層の上に、負極活物質層の内周部Aのみに前記負極スラリーを用いて、スクリーン印刷機により厚さ37μmの負極活物質層を再度塗布した。このときの内周部Aにおける目付け量は、8.4mg/cm2とした。裏面側も同様に、内周部Aのみに前記負極スラリーを用いて、スクリーン印刷機により同じ塗布量で再度塗布した。そしてロールプレス機によって、表裏面の負極活物質層の厚みが各45μmの厚みになるまでロールプレス機に通すことで負極集電体の両面に負極活物質層を圧着させ、内周部Aと外周部Bが異なる密度を有する負極を作製した。なお、本実施例の負極を備えた後述のフルセルを初回充放電後に分解し、負極活物質層の内周部Aと外周部Bの密度を測定した結果、内周部Aの密度DAが2.06g/cm3、前記外周部Bの前記密度DBが1.13g/cm3であり、外周部Bの密度は内周部Aよりも低いことを確認した。
正極活物質としてニッケルコバルトアルミ酸リチウムを96質量%と、導電助剤としてケッチェンブラックを2質量%と、バインダーとしてPVDFを2質量%と、N-メチル-2-ピロリドンの溶媒とを混合分散させて、ペースト状の正極スラリーを作製した。
そして、コンマロールコーターを用いて、この正極スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔の一面に正極活物質の目付量が12mg/cm2になるように正極スラリーを塗布した。次いで、乾燥炉内にて、110℃で前記正極活物質中のN-メチル-2-ピロリドン溶媒を乾燥させ、正極活物質層を形成した。同様にアルミニウム箔の裏面にも同じ目付量になるように正極スラリーを塗布し、110℃で乾燥させて正極活物質層を形成した。そしてロールプレス機によって、正極活物質層を正極集電体の両面に圧着させ、所定の密度を有する正極を作製した。得られた正極は、電極金型を用いて4.10cm×3.00cmの電極サイズに打ち抜いた(電極面積12.3cm2)。
前記の負極7枚と正極6枚とを、負極活物質層と正極活物質層とが互いに対向するように、セパレータ(多孔質ポリエチレンシート)を介して積層し、12層から成る積層体を得た。これを前記積層体の負極において、負極活物質層を設けていない銅箔の突起端部にニッケル製の負極リードを取り付け、一方、積層体の正極においては、正極活物質層を設けていないアルミニウム箔の突起端部にアルミニウム製の正極リードを超音波溶接機によって取り付けた。この積層体を、アルミラミネートフィルムの外装体内に挿入して周囲の1箇所を除いてヒートシールすることにより閉口部を形成した。そして、最後に、外装体内に、電解液を注入し、残りの1箇所を真空シール機によって減圧しながらヒートシールで密封した。密封後、30℃の大気雰囲気下で30分間静置し(エージング処理)、実施例1に係るリチウムイオン二次電池を作製した。電解液としては、フルオロエチレンカーボネート(FEC)およびジエチルカーボネート(DEC)を体積比率3:7で混合した混合溶媒と、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を濃度1mol/Lで含む電解液を用いた。
前記
充放電試験装置(北斗電工株式会社製)を用いて、リチウムイオン二次電池に、充電レート0.2Cで4.3Vまで定電流定電圧充電し、放電レート0.2Cで2.5Vまで定電流放電する充放電を1サイクル行った。そして、初回充放電効率を下記の式(1)より算出した。
実施例1で作製したリチウムイオン二次電池について、初回充放電を行った後、ドライルーム内でフルセルを分解し、負極を取り出し、ジメチルカーボネート(DMC)で軽く洗浄し、ドライルーム内で乾燥させた。そして内周部Aと外周部Bにおける負極活物質層の厚みを三次元測長機NEXIV(ニコン社製)で非接触方式で測定し、それぞれ5カ所の平均値を負極活物質層の厚みとした。そして負極活物質層の密度を下記の式(2)より算出した。なお、内周部Aと外周部Bにおける負極面積当たりの活物質質量は、前記の負極の作製で調整した目付量の値を用いた。測定の結果、正極活物質層に対向する内周部Aの密度DAは2.06g/cm3であり、正極の活物質層に対向していない外周部Bの密度DBは1.13g/cm3であった。内周部Aの前記密度DAと、外周部Bの前記密度DBとの密度の比率DA/DBは1.82であった。
実施例1で作製したリチウムイオン二次電池の体積エネルギー密度は、初回充放電測定で得られた放電容量と、平均放電電圧と、初回充放電後のセルの体積から、下位の式(3)より算出した。
内周部Aの密度DAを2.06g/cm3とし、外周部Bの前記密度DBを1.13~2.10g/cm3の範囲で調整し、外周部Bの前記密度DBとの密度の比率DA/DBを表1に示す通りに変更することで、実施例2~5および比較例1の負極を得た。得られた負極を用いて実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を得た。そして実施例2~5および比較例1に係るリチウムイオン二次電池は、実施例1と同様な方法で評価し、その結果を表1に示す。なお、充電容量、放電容量、初期効率、体積エネルギー密度の値は、実施例1の負極での結果を100としたときの相対値でそれぞれ示す。
内周部Aの密度DAを1.82g/cm3とし、外周部Bの前記密度DBを1.13~2.03g/cm3の範囲で調整し、外周部Bの前記密度DBとの密度の比率DA/DBを表1に示す通りに変更することで、実施例6~9および比較例2~6の負極を得た。得られた負極を用いて実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を得た。そして比較例5、6を除くそれ以外の実施例と比較例のリチウムイオン二次電池は、実施例1と同様な方法で評価し、その結果を表1に示す。比較例5、6に係るリチウムイオン二次電池は、エージング時間を60分と120分に変更し、実施例1と同様な方法で評価した。なお、充電容量、放電容量、初期効率、体積エネルギー密度の値は、実施例6の負極での結果を100としたときの相対値でそれぞれ示す。
内周部Aの密度DAを1.58g/cm3とし、外周部Bの前記密度DBを1.13~1.58g/cm3の範囲で調整し、外周部Bの前記密度DBとの密度の比率DA/DBを表1に示す通りに変更することで、実施例10~16および比較例7の負極を得た。得られた負極を用いて実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を得た。そして実施例10~16および比較例7に係るリチウムイオン二次電池は、実施例1と同様な方法で評価し、その結果を表1に示す。なお、充電容量、放電容量、初期効率、体積エネルギー密度の値は、実施例10の負極での結果を100としたときの相対値でそれぞれ示す。
内周部Aの密度DAを1.41g/cm3とし、外周部Bの前記密度DBを1.13~1.58g/cm3の範囲で調整し、外周部Bの前記密度DBとの密度の比率DA/DBを表1に示す通りに変更することで、実施例17~22および比較例8~10の負極を得た。得られた負極を用いて実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を得た。そして実施例17~22および比較例8~10に係るリチウムイオン二次電池は、実施例1と同様な方法で評価し、その結果を表1に示す。なお、充電容量、放電容量、初期効率、体積エネルギー密度の値は、実施例17の負極での結果を100としたときの相対値でそれぞれ示す。
内周部Aの密度DAを1.35g/cm3とし、外周部Bの前記密度DBを1.13~1.60g/cm3の範囲で調整し、外周部Bの前記密度DBとの密度の比率DA/DBを表1に示す通りに変更することで、実施例23~26および比較例11~14の負極を得た。得られた負極を用いて実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を得た。そして実施例23~26および比較例11~14に係るリチウムイオン二次電池は、実施例1と同様な方法で評価し、その結果を表1に示す。なお、充電容量、放電容量、初期効率、体積エネルギー密度の値は、実施例23の負極での結果を100としたときの相対値でそれぞれ示す。
電極金型のサイズを変更し、外周部Bの面積SBを0.12~1.48cm2の範囲で調整し、内周部Aの面積SA、外周部Bの面積SB、外周部Bの面積SBと内周部Aの面積SAの比率SB/SAを表2に示す通りに変更することで、実施例9と同様に実施例27~30の負極を得た。得られた負極と実施例1で作製した正極を用いて実施例9と同様にしてリチウムイオン二次電池を得た。そして実施例9と同様な方法で評価し、その結果を表2に示す。なお、充電容量、放電容量、初期効率、体積エネルギー密度の値は、実施例9の負極での結果を100としたときの相対値でそれぞれ示す。
[負極の作製]
(ケイ素負極)
前記形成された負極活物質層の4.15cm×3.05cm全エリアにおいて、中心部分の4.10cm×3.00cmを内周部Aとし、内周部Aを除いた周辺部分を外周部Bとした。このときの内周部Aの面積SAが12.3cm2、外周部Bの面積SBが0.36cm2と設定した。そして前記負極活物質層の上に、負極活物質層の内周部Aのみに前記負極スラリーを用いて、スクリーン印刷機により厚さ0.7μmの負極活物質層を再度塗布した。このときの内周部Aにおける目付け量は、1.44mg/cm2とした。裏面側も同様に、内周部Aのみに前記負極スラリーを用いて、スクリーン印刷機により同じ塗布量で再度塗布した。そしてロールプレス機によって、表裏面の負極活物質層の厚みが各11μmの厚みになるまでロールプレス機に通すことで負極集電体の両面に負極活物質層を圧着させ、内周部Aと外周部Bが異なる密度を有する負極を作製した。次いで、バインダーであるポリアミドイミドをより強固に結着させるために、真空下にて350℃で3時間熱処理し、これを本実施例に係る負極とした。なお、本実施例の負極を備えた後述のフルセルを初回充放電後に分解し、負極活物質層の内周部Aと外周部Bの密度を測定した結果、内周部Aの密度DAが1.58g/cm3、前記外周部Bの前記密度DBが1.51g/cm3であり、外周部Bの密度は内周部Aよりも低いことを確認した。
正極活物質の目付量を21mg/cm2になるように正極スラリーを塗布したこと以外は、実施例1で作製した正極と同様の手順で作製した。
負極活物質としてケイ素を含む負極を用い、エージング時間が10分であった以外は、実施例1と同様に実施例31~32および比較例15~16の負極を得た。得られた負極と、前記正極とを用いて実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を得た。そして実施例1と同様な方法で評価し、その結果を表3に示す。なお、充電容量、放電容量、初期効率、体積エネルギー密度の値は、実施例31の負極での結果を100としたときの相対値でそれぞれ示す。
32…負極集電体、34…負極活物質層、34A…内周部A、34B…外周部B、40…積層体、50…ケース、52…金属箔、
54…高分子膜、60,62…リード、100…リチウムイオン二次電池
Claims (5)
- 負極集電体と、前記負極集電体に保持された負極活物質層とを含む、リチウムイオン二次電池用負極であって、
前記リチウムイオン二次電池が積層型であり、
前記負極活物質層は、内周部Aと、外周部Bとを有し、
前記外周部の密度DBが、前記内周部の密度DAよりも小さく(DA>DB)、
前記負極活物質層の形状は電極の全周にわたり密度の小さい部分がある形状である
ことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。 - 前記負極活物質層の前記内周部Aの面積をSA、前記外周部Bの面積をSBとしたとき、SB/SAが0.02≦SB/SA≦0.1である
ことを特徴とする請求項1に記載されたリチウムイオン二次電池用負極。 - 前記負極活物質層において前記内周部Aの密度DAと、前記外周部Bの密度DBとの密度の比率DA/DBが、1.00<DA/DB≦1.82であることを特徴とする
請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用負極。 - 前記負極活物質層は、少なくとも負極活物質と負極バインダーを含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載されたリチウムイオン二次電池用負極。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載されたリチウムイオン二次電池用負極と、
正極と、
セパレータと、
電解液と、
を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018057194A JP7087532B2 (ja) | 2018-03-23 | 2018-03-23 | リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池 |
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JP2018057194A JP7087532B2 (ja) | 2018-03-23 | 2018-03-23 | リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池 |
Publications (2)
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