JP7059711B2 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100の構成断面図を図1に示す。リチウムイオン二次電池100は、リチウムイオン二次電池用負極10およびリチウムイオン二次電池用正極20と、リチウムイオン二次電池用負極とリチウムイオン二次電池用正極との間に介在されたセパレータ18と電解液から構成され、前記セパレータ18は正極と負極とが物理的に接触することを防止し、正極、負極およびセパレータには電解液が含浸されている。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、負極集電体12に負極合剤層14が形成された負極10と、正極集電体22に正極合剤層24が形成された正極20と、前記負極と前記正極との間に介在するセパレータ18と、リチウム塩と非水系溶媒とを含む電解液とを備えたリチウムイオン二次電池であって、少なくとも前記負極合剤層14の表面の一部にタンパク質粒子を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
本実施形態に係る負極活物質は、例えば、リチウムイオンを電気化学的に吸蔵および放出するケイ素(Si)、スズ、ゲルマニウム、鉄またはこれらの化合物や合金が好ましく、特に高容量であるケイ素が好ましい。膨張による負極合剤層のクラックや負極活物質の微粉化が顕著な負極活物質の方が、本発明の効果が好適に発揮されるためである。
本実施形態に係る負極合剤層14は、導電性の向上を目的として導電助剤を添加してもよい。本実施形態に用いられる導電助剤は特に制限されず、周知の材料を用いることができる。例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック、気相成長炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェンなどの炭素繊維、および黒鉛などの炭素材料が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
本実施形態に係る負極合剤層14は、負極活物質と負極導電助剤と負極集電体12との結着性の向上を目的としてバインダーを用いてもよい。本実施形態の負極合剤層に用いられる負極バインダーとしては、有機溶剤系バインダーでもよく、水系バインダーでもよい。例えば、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、アルギン酸塩、スチレン-ブタジエン共重合体(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリウレタンなどが挙げられ、これらの1種を用いてもよく、複数種を併用することもできる。特に充放電による膨張が大きいケイ素系の負極活物質を用いる場合、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミド、ポリアクリル酸が好適に用いることができる。なお、これら列挙したバインダーに限定されるものではない。
本実施形態に係る負極集電体12は、導電性材料から構成され、その一方の主面または両面に負極合剤層14が配置される。前記負極集電体12を構成する材料は特に限定するものではないが、負極10に用いられる負極集電体12としては、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金箔を用いることができる。特に銅、銅合金、ステンレス鋼が好ましく、コストの面からは電解銅箔および圧延銅箔を好適に用いることができる。強度の面からは、ステンレス鋼や銅合金の圧延箔が好適に用いることができる。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極20は、正極集電体22の少なくとも一方の主面に正極合剤層24が設けられ、前記正極合剤層24は、少なくともリチウムイオンを吸蔵および放出する正極活物質を含んでいる。
本実施形態に係る正極活物質は、例えば、リチウム酸化物、リチウム硫化物、あるいはリチウムを含む層間化合物等のリチウム含有化合物が好適であり、これらの2種以上を混合して用いてもよい。特に、エネルギー密度を高くするには、一般式LixMO2で表されるリチウム複合酸化物、あるいはリチウムを含んだ層間化合物が好ましい。なお、Mは1種類以上の遷移金属が好ましく、具体的には、Co、Ni、Mn、Fe、Al、V、Tiのうちの少なくとも1種が好ましい。xは、電池の充放電状態によって異なり、通常、0.05≦x≦1.10の範囲内の値である。また、他にもスピネル型結晶構造を有するマンガンスピネル(LiMn2O4)や、オリビン型結晶構造を有するリン酸鉄リチウム(LiFePO4)なども、高いエネルギー密度を得ることができるので好ましい。
本実施形態に係る正極合剤層24は、導電性の向上を目的として導電助剤を添加してもよい。本実施形態に用いられる導電助剤は特に制限されず、負極合剤層で使用される導電助剤と同様の周知の材料を用いることができる。
本実施形態に係る正極合剤層24は、正極活物質と正極導電助剤と正極集電体22との結着性の向上を目的としてバインダーを用いてもよい。本実施形態の正極合剤層24に用いられる正極バインダーとしては、有機溶剤系バインダーでもよく、水系バインダーでもよい。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレンビニルアルコール、ポリアクリレート、スチレン-ブタジエン共重合体(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリウレタンなどが挙げられ、これらの1種を用いてもよく、複数種を併用することもできる。なお、これら列挙したバインダーに限定されるものではない。
本実施形態に係る正極集電体22は、導電性材料から構成され、その一方の主面または両面に正極合剤層24が配置される。前記正極集電体22を構成する材料は特に限定するものではないが、正極20に用いられる正極集電体22としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金箔を用いることができ、特にアルミニウム箔が好ましい。
本実施形態に係るセパレータ18は、負極10と正極20との間に介在され、両極の接触による短絡を防止し、さらに電解液が含浸されていることにより、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ18は、例えば微小な孔を多数有する多孔性膜を備えるものであって、前記のセパレータ18の具体的な材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系多孔膜、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの高耐熱多孔膜、前記のポリオレフィン系多孔膜と高耐熱多孔膜との複合膜、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの不織布などが挙げられる。またセパレータ18は、例えばその厚みが5μm以上、50μm以下の範囲であると共に、その全体積中における空隙体積の比率を表す空孔率が20%以上、60%以下の範囲であるものが好ましい。
本実施形態に係る電解液は、前記セパレータ18に含浸されており、例えば、溶媒とこの溶媒に溶解された電解液塩とを含んでおり、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。前記電解液の溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、などの環状炭酸エステル、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)などの鎖状炭酸エステル、酢酸メチル(MA),酢酸エチル(EA),プロピオン酸メチル(MP),プロピオン酸エチル(EP)などの鎖状カルボン酸エステル、または、γ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトン(GVL)などの環状カルボン酸エステルなどが挙げられる。これらのはいずれか1種、または2種以上を混合して溶媒として用いることができる。また、前記列挙した溶媒に限定されることはなく、電解液塩を溶解させてリチウムイオン二次電池100としたときにその特性を損なわない範囲でれば、特に制限はされない。
本実施形態に係る電解液塩としては、例えばリチウム塩が挙げられ、電解液中で解離してリチウムイオンを供給するものである。このリチウム塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiB(C6H5)4、LiCH3SO3、LiC(SO2CF3)3、LiN(CF3SO2)2(別名、LiTFSIと呼ぶこともある)、LiN(C2F5SO2)2(別名、LiBETIと呼ぶこともある)、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiC(CF3SO2)3、LiN(CF3SO2)(C2F5SO2)、LiN(CF3SO2)(C3F7SO2)、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiN(SO2F)2(別名、LiFSIと呼ぶこともある)、LiAlCl4、LiSiF6、LiCl、LiC4BO8(別名、LiBOBと呼ぶこともある)、あるいはLiBrなどが挙げられ、これらの1種、または2種以上の任意の組み合わせから選択されるものを用いることができる。特に、LiPF6は高いイオン伝導性を得ることができるため好適に用いることができる。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100は、例えば、次のようにして製造することができる。
本実施形態に係る負極10は、負極活物質と、負極導電助剤と、負極バインダーと、溶媒とを混合分散させてペースト状の負極スラリーを作製する。前記溶媒としては、負極スラリーに添加するバインダーに対して良溶媒を用いることが望ましく、例えば、有機溶剤系バインダーであれば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド、メチルエチルケトン、アセトニトリル、などが挙げられ、水系バインダーであれば、イオン交換水、蒸留水などが挙げられる。
本実施形態に係る負極の負極合剤層の表面に担持されたタンパク質粒子の同定は、例えばマイクロスコープ(光学顕微鏡)、電界放出形走査型電子顕微鏡(FE-SEM)、エネルギー分散型X線分光分析(EDX)、フーリエ変換赤外分光分析(FT-IR)の全反射減衰法(ATR法)、レーザーアブレーション-誘導結合プラズマ重量分析(LA-ICP-MS)、熱分解ガスクロマトグラフ重量分析などにより行うことができる。
本実施形態に係る正極20は、正極活物質と、正極導電助剤と、正極バインダーと、溶媒とを混合分散させて、ペースト状の正極スラリーを作製する。次いで、前記正極スラリーを例えばコンマロールコーターを用いて、所定の厚みを有する正極合剤層24をアルミニウム箔などの正極集電体22の片面または両面に塗布し、乾燥炉内にて溶媒を乾燥させる。なお、正極合剤層24を前記正極集電体22の両面に塗布する場合は、両面とも同じ膜厚となる正極合剤層であることが望ましい。
負極10と正極20とをセパレータ18を介して積層することで電極積層体30を作製する。前記電極積層体30は、任意の積層数で構成することができる。なお、前記セパレータ18は、負極10と正極20とが直接接触するのを防ぐために、負極および正極よりも大きいサイズのものを好適に用いることができる。
本実施形態において作製されるリチウムイオン二次電池は、下記の試験について評価することができる。
25℃の環境下において、0.5Cの充電レートで4.2Vの電池電圧になるまで定電流定電圧充電(CC-CV充電)を行い、その後、0.5Cの放電レートで2.5Vの電池電圧になるまで放電させる(CC放電)。次いで、放電特性を評価するために、充電レートは同様に0.5Cの充電レートで4.2Vまで充電を行い、その後、放電レートを2.0Cに変更し、2.5VまでCC放電させる。前記0.5Cの放電レートで得られた容量に対し、2.0Cで得られた容量の容量比によって放電特性を評価できる。
なお0.5Cとは、2時間でリチウムイオン二次電池を充電、または放電させるための電流値のことであり、2.0Cとは0.5時間でリチウムイオン二次電池を充電、または放電させるための電流値のことである。例えば、公称容量1Ahのリチウムイオン二次電池における0.5Cでは、0.5Aの電流値となる。なお、本実施形態における放電特性は、以下の計算式(1)によって定義される。
出力特性[%]=2.0C放電レートで得られた容量/0.5C放電レートで得られた容量×100・・・(1)
25℃の環境下において、0.5Cの充電レートで4.2Vの電池電圧になるまでCC-CV充電を行い、その後、0.5Cの放電レートで2.5Vの電池電圧になるまでCC放電させる。前記充電と放電を1サイクルとし、所定のサイクル数まで充電と放電を繰り返した。前記1サイクル目で得られる容量に対して、所定のサイクル数で得られた容量との容量比(放電容量維持率)によってサイクル特性を評価した。
なお、本実施形態におけるサイクル特性は、以下の計算式(2)によって定義される。
100サイクル後の放電容量維持率(%)=(100サイクル後の放電容量÷1サイクル後の放電容量)×100・・・(2)
充放電前と100サイクル後のリチウムイオン二次電池(電池セル)の厚みを測定することで、電池セリの厚みの膨張率を評価することができる。なお、本実施形態における膨張率は、以下の計算式(3)により定義される。
100サイクル時点での膨張率(%)=(100サイクル後の電池セルの厚み[mm]-充放電前の電池セルの厚み[mm])÷ 充放電前の電池セルの厚み[mm]×100・・・(3)
塗料組成比として、負極活物質としてケイ素を83重量%と、導電助剤としてアセチレンブラックを2重量%と、さらにバインダーとしてポリアミドイミドを15重量%秤量し、これらを自転公転する攪拌機(商品名:ハイブリッドミキサー)を用いて混合分散させ、最後に溶媒としてN-メチル-2-ピロリドンを添加し、所定の粘度に調整したペースト状の負極スラリーを作製した。そして、コンマロールコーターを用いて、この負極スラリーを銅箔(厚さ10μm)表面に所定の厚みで負極合剤層を塗布した。なお、負極合剤層に含まれる負極活物質重量は、負極合剤層の単位面積当たり2.0mg・cm-2とした。100℃の乾燥炉内にて前記の負極合剤層中のN-メチル-2-ピロリドン溶媒を乾燥除去させた後、もう一方の銅箔の裏面側にも同様の手順で負極合剤層を塗布した。なお、裏面側の負極合剤層に含まれる負極活物質重量も、負極合剤層の単位面積当たり2.0mg・cm-2とした。
(実施例1)
実施例1に係るリチウムイオン二次電池用負極は、以下の処理によって作製した。10重量%のカゼイン粒子(平均粒子径1μm)をエタノールとイソプロピルアルコールの混合溶媒に分散させ、10重量%のカゼイン粒子の懸濁液を作製した。前記懸濁液に負極を1分間含浸させ後、負極を引き上げて60℃の乾燥機中で乾燥させることで、1層当りの負極合剤層の重量に対して10重量%のカゼイン粒子を担持させた。カゼイン粒子の担持量が10重量%未満である場合は、前記処理を複数回繰り返した。担持量が10重量%よりも過剰である場合は、エタノールとイソプロピルアルコールの混合溶媒に浸漬させ、過剰分のカゼイン粒子を落とすことで、担持量を10重量%に調製した。また、カゼイン粒子の担持量は、含浸前後の負極の重量変化より算出し、負極活物質重量に対する重量%で表記した。なお、前記平均粒子径1μmのカゼイン粒子は、コーヒーミルサーにて粗粒のカゼイン粒子を粉砕処理することで造粒したものを使用した。
実施例2~5に係るリチウムイオン二次電池用負極は、カゼイン粒子をリゾチーム粒子(平均粒子径1μm)、アルブミン粒子(平均粒子径1μm)、グロブリン粒子(平均粒子径1μm)、カゼインナトリウム粒子(平均粒子径1μm)に変更した以外は、実施例1と同様の手順によって、1層当りの負極合剤層の表面にリゾチーム粒子、アルブミン粒子、グロブリン粒子、カゼインナトリウム粒子をそれぞれ10重量%担持させた。なお、リゾチーム粒子、アルブミン粒子、グロブリン粒子、カゼインナトリウム粒子も必要に応じて、実施例1と同様にコーヒーミルサーにて1μmの造粒したものを使用した。
比較例1に係るリチウムイオン二次電池用負極は、以下の処理によって作製した。5重量%のカゼイン粒子(平均粒子径1μm)をアンモニア水でpH9に調整したイオン交換水に溶解させ、5重量%のカゼイン水溶液を作製した。前記水溶液に負極を1分間含浸させた後、負極を引き上げて60℃の乾燥機中で乾燥させることで、1層当りの負極合剤層の表面に10重量%のカゼインの被膜を形成させた。なお、カゼインの被膜の担持量が10重量%未満である場合は、前記処理を複数回繰り返した。担持量が10重量%よりも過剰である場合は、イオン交換水(アンモニア水でpH9調整)に浸漬させ、過剰分のカゼインの被膜を溶解することで、担持量を10重量%に調製した。
比較例2に係るリチウムイオン二次電池用負極は、前記処理を行わず、カゼイン粒子を負極合剤層の表面に担持させなかった。
実施例6~12に係るリチウムイオン二次電池用負極は、実施例1と同様の手順によって、1層当りの負極合剤層の表面に0.1~100重量%のカゼイン粒子(平均粒子径1μm)をそれぞれ担持させた。
実施例13~19に係るリチウムイオン二次電池用負極は、カゼイン粒子の平均粒子径を0.01~100μmに変更した以外は、実施例1と同様の手順によって負極合剤層の表面に0.01~100μmのカゼイン粒子をそれぞれ10重量%担持させた。なお、前記0.01~10μmのカゼイン粒子は、粗粒のカゼイン粒子を必要に応じてコーヒーミルサーで粉砕し、必要に応じて篩を通すことで所望の平均粒子径に造粒したものを使用した。50~100μmのカゼイン粒子は、篩を通すことで所望の平均粒子径に造粒したものを使用した。平均粒子径は、造粒後のカゼイン粒子をマイクロスコープ(光学顕微鏡)によって観察し、任意のカゼイン粒子20個の平均値を平均粒子径とした。
正極活物質としてニッケルコバルトアルミ酸リチウム(NCA)を96重量%と、導電助剤としてケッチェンブラックを2重量%と、バインダーとしてPVdFを2重量%と、N-メチル-2-ピロリドンの溶媒とを混合分散させて、ペースト状の正極スラリーを作製した。
そして、コンマロールコーターを用いて、この正極スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に所定の厚みとなるように、均一に正極合剤層を塗布した。なお、正極合剤層に含まれる正極活物質重量は、正極合剤層の単位面積当たり22mg・cm-2とした。次いで、乾燥炉内にて、110℃の大気雰囲気下で前記の正極合剤層中のN-メチル-2-ピロリドンを乾燥除去させた。なお、前記のアルミニウム箔の両面に塗布された正極合剤層の塗膜の厚みは、ほぼ同じ膜厚に調整した。前記の正極活物質が形成された正極をロールプレス機によって、正極合剤層を正極集電体の両面に圧着させ、所定の密度を有する正極を得た。
前記の作製した実施例および比較例に係るリチウムイオン二次電池用負極は、前記のリチウムイオン二次電池用正極と、厚さ16μmの22mm×23mmサイズのポリエチレン製のセパレータを介して積層し、電極積層体を作製した。これを電極体1層とし、同様の作製方法にて4層で構成された電極積層体を作製した。なお、前記の負極および正極は、両面に各合剤層を備えているため、負極3枚と正極2枚とセパレータ4枚とで構成されている。さらに、前記の電極積層体の負極において、負極合剤層を設けていない銅箔の突起端部にニッケル製の負極リードを取り付け、一方、電極積層体の正極においては、正極合剤層を設けていないアルミニウム箔の突起端部にアルミニウム製の正極リードを超音波融着機によって取り付けた。そしてこの電極積層体を、外装体用のアルミニウムのラミネートフィルムに融着させ、前記のラミネートフィルムを折り畳むことで前記の電極体を外装体内に挿入させた。外装体周囲の1辺を除いてヒートシールすることにより閉口部を形成し、この開口部より、FEC/DECが3:7の体積割合で配合された溶媒中に、リチウム塩としてLiPF6が1mol・L-1となるように添加された電解液を注入した。そして、前記の外装体の開口部を真空シール機によって減圧しながらヒートシールで密封し、実施例および比較例に係るラミネートタイプのリチウムイオン二次電池をそれぞれ作製した。
20・・・負極(同義:リチウムイオン二次電池用負極)、22・・・負極集電体、24・・・負極合剤層、62・・・負極リード、18・・・セパレータ、30・・・電極積層体、50・・・外装体
Claims (3)
- 負極集電体に負極合剤層が形成された負極と、正極集電体に正極合剤層が形成された正極と、前記負極と前記正極との間に介在するセパレータと、リチウム塩と非水系溶媒とを含む電解液とを備えたリチウムイオン二次電池であって、少なくとも前記負極合剤層の表面の一部にタンパク質粒子を含み、
前記タンパク質粒子は、前記負極合剤層の重量に対する担持量が1~50重量%であり、
前記タンパク質粒子は、平均粒径が0.1~50μmである
ことを特徴とするリチウムイオン二次電池。 - 前記タンパク質粒子が、カゼイン、アルブミン、リゾチーム、グロブリン、およびこれらの金属塩の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記負極合剤層は、負極活物質として、ケイ素、ケイ素化合物の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池。
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