JP2014084393A - 光硬化発泡体 - Google Patents

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Abstract

【課題】実用性の高い光硬化発泡体を提供する。
【解決手段】チオール基を複数有するポリチオールと、チオール基とラジカル付加反応活性する官能基を末端に複数有するウレタンプレポリマーと、気体とをメカニカルフロス法により混合し、官能基とチオール基とを光重合反応させて光硬化発泡体を製造する。つまり、ウレタンプレポリマーとポリチオールとを機械発泡させ、官能基とチオール基との光重合反応により、発泡原料を硬化させる。これにより、反応時の温度変化を少なくすることが可能となり、光硬化発泡体を適切に製造することが可能となる。また、反応時の温度変化が少ないため、発泡体製造時に用いられる樹脂フィルム34として種々のものを採用可能となる。さらに、本発明の光硬化発泡体の原料には、アクリル系原料が含まれていない。このため、機械発泡時に混合される気体として、酸素を含む気体、つまり、空気を採用することが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、メカニカルフロス法により気体を混合されたウレタンプレポリマーに光を照射することで得られる光硬化発泡体に関する。
ウレタンプレポリマーを原料とする発泡体には、メカニカルフロス法により気体を混合されたウレタンプレポリマーに光を照射することで得られる光硬化発泡体がある。具体的には、下記特許文献に記載されているように、アクリレート化されたウレタンプレポリマーと希釈剤としてのアクリル系モノマーと気体とを含む原料を、ミキサー等で混合し、機械発泡させる。そして、発泡した原料に光を照射することで、光硬化発泡体が成形される。
特開2008−101149号公報 特開昭62−119236号公報
上記特許文献に記載の光硬化発泡体では、希釈剤としてアクリル系モノマーが採用されることで、発泡体形成時の原料の粘度を適切に調整することが可能となる。しかしながら、アクリル系モノマーは、反応熱が高いため、光硬化発泡体を適切に成形できない虞がある。具体的には、例えば、シート状の光硬化発泡体が成形される際には、機械発泡により発泡された原料が、シート状の基材の上に流延される。反応熱の高い原料が基材上に流延されると、高い反応熱によりシート状の基材に皺が生じ、光硬化発泡体の表面にも皺が生じる虞がある。また、高い反応熱に耐えることのできる基材を採用する必要があり、基材の選択の幅が狭くなる。
さらに言えば、アクリル系の原料には、酸素による反応阻害により硬化し難くなる性質があるため、メカニカルフロス法により混合される気体に、酸素を含む気体、つまり、空気を採用することができない。このため、混合される気体の選択の幅も狭くなる。このように、メカニカルフロス法により混合されたウレタンプレポリマーに光を照射することで得られる光硬化発泡体は、種々の問題を抱えており、それら種々の問題を解決することで、実用性の高い光硬化発泡体を得ることができる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い光硬化発泡体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の光硬化発泡体は、(a)チオール基を複数有するポリチオールと、(b)前記チオール基とラジカル付加反応活性を有する官能基を、末端に複数有するウレタンプレポリマーと、(c)気体とをメカニカルフロス法により混合し、前記官能基と前記チオール基とを光重合反応させることにより得られる。
本発明の光硬化発泡体では、官能基とチオール基との光重合反応により、発泡された原料が硬化する。このため、反応時の温度変化が少なく、基材の変形は殆ど生じない。これにより、光硬化発泡体を適切に成形することが可能となる。また、反応時の温度変化が少ないため、基材として種々のものを採用することが可能となる。さらに言えば、本発明の光硬化発泡体の原料には、アクリル系の原料が含まれていない。このため、メカニカルフロス法により混合される気体として、酸素を含む気体、つまり、空気を採用することが可能となり、種々の気体を採用することが可能となる。
光硬化発泡体を製造するためのシステムを概略的に示した図である。 光硬化発泡体の気密性を評価するためのエアリーク試験装置を概略的に示した図である。 実施例1〜4の光硬化発泡体を製造するための原料の配合量(重量比)、および、実施例1〜4の光硬化発泡体の物性評価を示す図である。 比較例1〜5の光硬化発泡体を製造するための原料の配合量(重量比)、および、比較例1〜5の光硬化発泡体の物性評価を示す図である。 図3および図4に示すプレポリマーA〜Fを製造するための原料の配合量(重量比)を示す図である。
本発明の「光硬化発泡体」は、(a)チオール基を複数有するポリチオールと、(b)チオール基とラジカル付加反応活性を有する官能基を、末端に複数有するウレタンプレポリマーと、(c)気体とをメカニカルフロス法により混合し、上記官能基とチオール基とを光重合反応させることにより得られる。末端に上記官能基を複数有するウレタンプレポリマーは、ポリイソシアネートとポリオールとの合成により得られるウレタンプレポリマーの末端に、上記官能基が付加されたものである。
ウレタンプレポリマーの原料であるポリオールは、1つの分子に2個以上の水酸基を有する化合物であり、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合反応により得られるものがある。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられ、これらを1種または2種以上併用して用いることが可能である。多価カルボン酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられ、これらを1種または2種以上併用して用いることが可能である。さらに、カプロラクトン、メチルバレロラクトン等を開環縮合して得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
また、ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール等の多価アルコールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のオキサイドを付加重合させたものが挙げられる。それら種々のポリオールのうちの1種または2種以上を併用したものを、上記ウレタンプレポリマーの原料として用いることが可能である。
ウレタンプレポリマーの原料であるポリイソシアネートは、1つの分子に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であり、例えば、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート等が挙げられる。芳香族イソシアネートとしては、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI(クルードMDI)、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。脂肪族イソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート等が挙げられる。脂環族イソシアネートとしては、例えば、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)等が挙げられる。それら種々のポリイソシアネートのうちの1種または2種以上を併用したものを、上記ウレタンプレポリマーの原料として用いることが可能である。
また、上記ウレタンプレポリマーの合成において、触媒を用いることが好ましい。触媒は、ウレタンプレポリマーの原料として通常に採用されるものであればよく、例えば、アミン系触媒、有機金属系触媒等が挙げられる。アミン系触媒としては、例えば、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノモルフォリン、N−エチルモルホリン等が挙げられる。有機金属系触媒としては、例えば、スターナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、オクテン酸鉛、オクチル酸カリウム等が挙げられる。それら種々の触媒のうちの1種または2種以上を併用したものを、上記ウレタンプレポリマーの原料として用いることが可能である。
上述したポリイソシアネートとポリオールとの合成により得られるウレタンプレポリマーの重量平均分子量は、1000〜15000であることが好ましい。さらに言えば、2500〜12000であることが好ましく、特に、3000〜5000であることが好ましい。また、官能基数は、1.5〜2.5であることが好ましく、特に2であることが好ましい。
また、ポリイソシアネートとポリオールとの合成により得られるウレタンプレポリマーの末端に上記官能基が付加される。詳しくは、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基に上記官能基が付加される。イソシアネート基に上記官能基を付加可能な化合物としては、ビニル基を有する化合物、環状ひずみのある二重結合を有する化合物、不飽和性二重結合を有する化合物、詳しくは、ビニルエーテル基とアリルエーテル基とノルボルネン誘導体との少なくとも1つを有する化合物である。具体的には、アリルエーテルグリコール,ヒドロキシエチルアリルエーテル,ヒドロキシプロピルビニルエーテル,ヒドロキシブチルビニルエーテル,分子中に少なくとも1つの水酸基を有するノルボルネン誘導体等が挙げられる。
末端に上記官能基が付加されたウレタンプレポリマーと光重合反応するポリチオールは、上記官能基とエンチオール反応するチオール基を複数有するものであればよい。例えば、メルカプトカルボン酸と多価アルコールとのエステル、脂肪族ポリチオール、芳香族ポリチオールが挙げられる。脂肪族ポリチオール、芳香族ポリチオールとしては、エタンジチオール、プロパンジチオール、ヘキサメチレンジチオール、デカメチレンジチオール、トリレン−2,4−ジチオール、キシレンジチオール等が挙げられる。
また、メルカプトカルボン酸と多価アルコールとのエステルでは、メルカプトカルボン酸として、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸等が挙げられ、多価アルコールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びソルビトール等が挙げられる。これらの中では、臭気が少ない点で、メルカプトカルボン酸と多価アルコールとのエステル類が好ましく、具体的には、例えば、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(3−メルカプトプロピオネート)が挙げられる。なお、それら種々のポリチオールのうちの1種または2種以上を併用したものを、上記官能基とのエンチオール反応の原料として用いることが可能である。
また、上記官能基とのエンチオール反応の原料として用いられるポリチオールの重量平均分子量は、100〜500であることが好ましい。さらに言えば、200〜400であることが好ましい。また、官能基数は、2〜4であることが好ましい。
また、上記官能基とのエンチオール反応の原料として用いられるポリチオールのチオール基の量は、特に限定されないが、チオール基のモル数の、ウレタンプレポリマーが有する上記官能基のモル数に対する比率(エン/チオール比)が0.8〜1.7となることが好ましい。さらに言えば、1.2〜1.4であることが好ましく、特に、1.3であることが好ましい。なお、チオール基の量をチオールインデックスによって指標することも可能である。チオールインデックスは、チオール化合物中のチオール基のモル数の不飽和結合基のモル数に対する比に100を乗じた値であり、80〜170となることが好ましい。さらに言えば、120〜140であることが好ましく、特に、130であることが好ましい。
また、ウレタンプレポリマーに付加された上記官能基と、チオール基との光重合反応を効果的に行うべく、本発明の「光硬化発泡体」の原料に、光重合開始剤が含まれることが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系等の化合物が挙げられる。アセトフェノン系としては、例えば、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)アセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等が挙げられる。
ベンゾフェノン系としては、例えば、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシルカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。また、チオキサントン系としては、例えば、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等が挙げられる。
なお、光重合開始剤の含有量は、上記ウレタンプレポリマー,チオールの合計100質量部当たり0.01〜5質量部であることが好ましく、さらに言えば、0.1〜3質量部であることが好ましい。光重合開始剤の含有量が少なすぎると、光重合開始能力が不足し、原料の重合が速やかに行われず、好ましくない。一方、光重合開始剤の含有量が多すぎると、重合が過度に促進され、架橋密度が高くなり過ぎたり、架橋構造が不均一に形成されたりして好ましくない。
また、本発明の「光硬化発泡体」の製造方法は、末端に上記官能基を有するウレタンプレポリマーと、ポリチオールと、気体とをメカニカルフロス法により混合する混合工程と、混合された原料に光を照射することで、上記官能基とチオール基とをエンチオール反応させる光照射工程とを含む。具体的には、例えば、図1に示す発泡体製造装置10を用いて、シート状の光硬化発泡体12を製造することが可能である。
発泡体製造装置10は、供給ローラ20,回収ローラ22,混合装置24,吐出ノズル26,ナイフコータ28,光照射器30,グラビアローラ32を備えている。供給ローラ20には、熱可塑性樹脂フィルム34が巻回されており、その熱可塑性樹脂フィルム34の先端が回収ローラ22に接続されている。そして、供給ローラ20および回収ローラ22が各々の軸心回りに回転することで、熱可塑性樹脂フィルム34が、矢印36の方向に送り出される。
混合装置24は、オークスミキサーを有し、末端に上記官能基を有するウレタンプレポリマーとポリチオールとをメカニカルフロス法により混合発泡するための装置である。ちなみに、本発明の「光硬化発泡体」の原料にはアクリル系の原料が含まれていないため、混合される気体として、酸素を含む気体、つまり、空気を採用することが可能である。
そして、混合装置24により混合発泡された原料38が、吐出ノズル26から熱可塑性樹脂フィルム34の上に吐出される。熱可塑性樹脂フィルム34の上に吐出された原料38は、矢印36の方向に搬送され、ナイフコータ28の下端に接触する。これにより、原料38は、所定の厚さとされる。
原料38は、さらに、矢印36の方向に搬送され、光照射器30の下方に至る。光照射器30は、紫外線を含む光を照射するものであり、所定の厚さとされた原料38に紫外線を含む光が照射される。紫外線を含む光の照射によりエンチオール反応が生じ、混合発泡された原料38が硬化する。これにより、シート状の光硬化発泡体12が製造される。
続いて、光硬化発泡体12が、矢印36の方向に向かって搬送され、光硬化発泡体12の表面に、グラビアローラ32によって、ブロッキング防止用剥離剤が塗布される。ちなみに、ブロッキング防止用剥離剤としては、ウレタンアクリレート樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。そして、表面に剥離剤の塗布された光硬化発泡体12が、熱可塑性樹脂フィルム34とともに、回収ローラ22に巻回される。これにより、シート状の光硬化発泡体12が、熱可塑性樹脂フィルム34とともに巻回された状態で製造される。
なお、混合装置24において行われる工程が、混合工程であり、吐出ノズル26によって行われる工程が、流延工程である。そして、光照射器30によって行われる工程が、光照射工程である。さらに、グラビアローラ32によって行われる工程が、コーティング処理工程であり、回収ローラ22によって行われる工程が、巻取り工程である。この巻取り工程により、シート状の光硬化発泡体12がロール状に巻き取られ、光硬化発泡体12のコンパクト化を図ることが可能となる。また、コーティング処理工程により、巻き取られた光硬化発泡体12を、容易に、シート状の光硬化発泡体12に戻すことが可能となる。
また、熱可塑性樹脂フィルム34として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリスチレン、ビニルポリイソプレン、ポリカーボネート等の樹脂フィルムが挙げられる。ただし、発泡体製造装置10では、光重合反応により光硬化発泡体12が製造されるとともに、光硬化発泡体12の原料として、高い反応熱を生じる原料を採用していないことから、融点が比較的低い熱可塑性樹脂フィルムを採用することが可能である。具体的には、融点が80〜130℃であるポリエチレン、2軸延伸ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂フィルム34を採用することが可能である。なお、熱可塑性樹脂フィルム34の厚みは10〜100μm程度が好ましい。
また、紫外線の照射により発泡した原料が硬化し、発泡体が製造される際に、発泡体は収縮するが、その収縮率は低いことが望ましい。このため、発泡体製造時の発泡体の収縮率を、熱機器分析法(TMA)に従って測定した。具体的には、混合発泡した原料を石英板上に塗布し、その原料の上に膨張・圧縮プローブを接触させる。そして、石英板の下方から紫外線の照射を行った後に、収縮率を演算する。収縮率は、紫外線照射前の発泡体の所定方向の長さに対する、紫外線照射前後の発泡体の所定方向への収縮長さの比率である。この収縮率は、1.0%以下であることが好ましく、さらに言えば、0.6%以下であることが好ましい。
また、本発明の「光硬化発泡体」は、上述したように、熱を殆ど加えることなく製造される。このため、発泡時に成形された気泡が、潰れることなく硬化し、多くの気泡が独立して残存している。このことから、本発明の「光硬化発泡体」は、種々の用途に用いることが可能であるが、シール材,緩衝材,断熱材等として用いることが好ましい。
光硬化発泡体を、シール材,緩衝材等として用いる場合には、発泡体は、ある程度柔軟であり、元の形状に戻り易いことが望ましい。発泡体の柔軟さは、JIS K 6254:2010 B法に基づく測定方法によって得られる圧縮硬さ(25%圧縮時)(MPa)により評価される。その圧縮硬さ(25%圧縮時)(MPa)は、それの数値が小さいほど柔軟であることを示しており、本発明の「光硬化発泡体」では、0.05MPa以下であることが好ましく、さらに言えば、0.03MPa以下であることが好ましい。また、発泡体の元の形状への復元し易さは、JIS K 6400−4:2004 A法に基づく測定方法によって得られる圧縮残留歪(%)により評価される。その圧縮残留歪(%)は、それの数値が小さいほど、復元し易いことを示しており、本発明の「光硬化発泡体」では、20%以下であることが好ましく、さらに言えば、10%以下であることが好ましい。
また、光硬化発泡体を、シール材として用いる場合には、光硬化発泡体による気密性が高いことが望ましい。気密性の評価試験は、図2に示すエアリーク試験装置50を用いて行われる。エアリーク試験装置50は、ハウジング52と、概して円筒状のエアリーク部材54と、概して円盤状の圧縮板56と、エアリーク部材54と圧縮板56とを連結する連結機構58と、ハウジング52内にエアを送り込むポンプ60と、ハウジング52内の空気圧を測定する気圧計62とによって構成されている。エアリーク部材54は、ハウジング52の上部に開口するようにハウジング52内に取り付けられている。そして、圧縮板56が、連結機構58によってエアリーク部材54の下端に連結されており、上方に移動可能とされている。また、ポンプ60は、ハウジング52内にエアを送り込み、ハウジング52内の空気圧を所定の高さまで上げる。
このような構造のエアリーク試験装置50において、光硬化発泡体をドーナツ状に切り出した試験片(厚さ500μm、外径25mm、内径11mm)64を、圧縮板56の上に載置し、圧縮板56を上方に移動させる。そして、圧縮板56の上面とエアリーク部材54の下端とによって、試験片64を400μmの厚さとなるまで圧縮する。続いて、ポンプ60を作動させ、ハウジング52内の空気圧を20kPaまで上昇させる。そして、その状態で放置し、ハウジング52内の空気圧が18kPa以下まで下がる迄の時間を計測する。ちなみに、ハウジング52内の空気は、エアリーク部材54と試験片64との間、および、圧縮板56と試験片64との間から、エアリーク部材54の内部を通って、ハウジング52の外に漏れる。この計測された時間が長いほど、気密性が高いことを示しており、本発明の「光硬化発泡体」では、120秒以上であることが好ましい。
また、光硬化発泡体を、シール材として用いる場合には、光硬化発泡体による止水性も高いことが望ましい。止水性は、以下に示す方法に従って評価される。光硬化発泡体をドーナツ状に切り出した試験片(厚さ500μm、外径25mm、内径11mm)を、2枚のアクリル板(厚さ3mm、50mm×50mm)によって挟み、試験片の厚さが400μmとなるまで2枚のアクリル板を接近させる。そして、2枚のアクリル板によって挟まれた試験片を、水深1mの水槽に30分間浸漬し、ドーナツ状の試験片の内径部への水の侵入の程度を目視にて評価する。本発明の「光硬化発泡体」では、試験片の内径部への水の侵入が全く認められないことが好ましい。
また、光硬化発泡体を、シール材として用いる場合には、発泡体の吸水性が低いことが望ましい。吸水性は、JIS K 7209に基づく測定方法によって得られる吸水率(%)により評価される。詳しくは、光硬化発泡体(厚さ500μm、50mm×50mm)を、水温23±2℃の水が満たされた水深100mmの水槽に24時間浸漬し、重量の変化率を測定する。その測定率、つまり、吸水率(%)は、それの数値が小さいほど吸水性が低いことを示しており、本発明の「光硬化発泡体」では、30%以下であることが好ましく、さらに言えば、25%以下であることが好ましい。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、この実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
<光硬化発泡体の原料及び製造>
図3および図4に示す配合の原料から、実施例1〜4および比較例1〜5の光硬化発泡体を製造した。以下に、各原料の詳細を示す。
図3および図4に示す各「プレポリマー」は、図5に示す配合(重量比)の原料を以下の方法に従って反応させることで得られる。
まず、1リットル容量のセパラブルフラスコにポリオールを図に示す量入れて、窒素を流しながらポリイソシアネートを攪拌しながら図に示す量添加する。内容物が均一になったことを確認後、触媒(0.3g)を添加する。そして、1時間かけて80〜90℃になるように、ゆっくりと昇温する。目的の温度に昇温してから2時間後にイソシアネート基含有率をJIS Z1603−1:2007に基づく方法(ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法)に準拠して測定する。その測定値によって、所定量のイソシアネートが消費されていることを確認する。イソシアネートの消費量が所定量に満たない場合には、反応時間を延長する。
所定量のイソシアネートが消費されていることを確認後、ビニルエーテル、若しくはメタクリレートを図に示す量、ゆっくりと滴下し、2時間反応を行わせる。2時間経過後に、再度、上記方法に従ってイソシアネート基含有率を測定し、完全にイソシアネートが消費されているか否かを確認する。そして、イソシアネートの消費が確認されたことを条件として、図に示す各「プレポリマー」が得られる。
・ポリオール;ポリオキシプロピレングリコール、商品名:サンニックスPP−3000、三洋化成(株)製、重量平均分子量:3000、水酸基数:2
・ポリイソシアネート;TDI(2,4−TDI:2,6−TDI=80:20)、商品名:T−80、三井化学(株)製
・ビニルエーテル;4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、商品名:HBVE,BASFジャパン社製
・メタクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、商品名;HEMA、(株)日本触媒製
上述のようにして得られた各プレポリマーと後述するポリチオール、単官能アクリレートモノマー、光重合開始剤、整泡剤を図3若しくは図4に示す配合比(重量比)となるように計量する。そして、上述した製造方法と略同様の製造方法に従って、光硬化発泡体が製造される。簡単に説明すれば、まず、オークスミキサーを用いて、計量された原料と空気とを混合攪拌し、機械発泡させる。そして、熱可塑性樹脂フィルムの上に、発泡した原料が流延され、ナイフコータを用いて原料の厚みが500μmとされる。次いでUVランプ(高圧水銀ランプ)にて1200mJ/cm2(365nm積算光量)UV照射する。これにより、光硬化発泡体が得られる。
ただし、比較例1〜5の光硬化発泡体に関しては、熱可塑性樹脂フィルムが発泡体の片面のみを覆った状態で製造されると、発泡体表面に未硬化物層が生じ、ハードコートが剥がれてしまう。このため、比較例1〜5の光硬化発泡体製造時には、熱可塑性樹脂フィルムの上に発泡原料が流延され、ナイフコータを用いて原料の厚みが500μmとされた後に、流延された発泡原料の上に、熱可塑性樹脂フィルムが載置される。そして、熱可塑性樹脂フィルムを介して、発泡原料にUV照射が行われる。つまり、発泡原料の上下両面に熱可塑性樹脂フィルムが積層された状態でUV照射が行われる。
なお、光硬化発泡体製造時に用いられる熱可塑性樹脂フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート製の樹脂フィルム(t25μm)と、ポリエチレン製の樹脂フィルム(t25μm)と、2軸延伸ポリプロピレン製の樹脂フィルム(t25μm)との各々が採用されている。
・ポリチオールA;官能基数2、重量分子量238.6、ブタンジオール ビスチオグリコレート、1,4−BDTG、淀化学(株)製
・ポリチオールB;官能基数3、重量分子量398.5、トリメチロールプロパン トリス(3−メルカプトプロピオネート)、TMMP、SC有機化学(株)製
・単官能アクリレートモノマー;アクリロイルモルホリン、(株)興人製
・光重合開始剤;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、DAROCUR1173、BASF社製
・整泡剤;ジメチルシロキサンとポリオキシアルキレングリコールのブロックコポリマー、SH−190、東レ・ダウコーニング(株)製
ちなみに、チオール基のモル数の、ウレタンプレポリマーのビニルエーテル基のモル数に対する比率を、図3および図4の「エン/チオール比」の欄に示しておく。
<光硬化発泡体の物性評価>
上述のように製造された実施例1〜4の光硬化発泡体、比較例1〜5の光硬化発泡体、および、比較例6のメカニカルフロス法により製造されたウレタンフォームに対して、以下の方法によって物性評価を行なった。
発泡体原料の発泡性を評価するべく、機械発泡時の発泡性を目視にて評価した。評価結果を、図3および図4の「発泡性」の欄に示しておく。また、発泡体原料の発泡性を数値によって評価するべく、JIS K 7222:2005に基づく方法に準拠して見掛け密度(kg/m)を測定した。見掛け密度(kg/m)は、それの値が小さいほど、発泡性が良好であることを示している。なお、見掛け密度(kg/m)の測定は、手動により発泡させ、製造された光硬化発泡体に対して行った。なお、測定結果を、図3および図4の「見掛け密度(ハンド実験)」の欄に示しておく。
また、熱可塑性樹脂フィルムとして採用されたフィルム毎に、発泡体製造後のフィルムの皺等を目視にて評価した。詳しくは、熱可塑性樹脂フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート製の樹脂フィルムが採用された場合と、ポリエチレン製の樹脂フィルムが採用された場合と、2軸延伸ポリプロピレン製の樹脂フィルムが採用された場合との各々において、発泡体製造後の各フィルムに皺等が生じているか否かが判定される。皺等が生じていない場合には、「良好」と評価し、皺等が生じている場合には、「不良」と評価した。なお、この評価を、図3および図4の「フィルム原料:ポリエチレンテレフタレート」、「フィルム原料:ポリエチレン」、「フィルム原料:2軸延伸ポリプロピレン」の欄に示しておく。
さらに、フィルムの皺等の発生の理由付けを行うべく、反応時における原料の発熱温度(℃)を測定した。詳しくは、熱可塑性樹脂フィルムの上で、ナイフコータを用いて厚みが500μmとされた原料に、熱電対温度計を差し込み、UV照射時の最高温度を測定した。その測定結果を、図3および図4の「反応時の発熱温度」の欄に示しておく。
発泡体による気密性を評価するべく、図2に示すエアリーク試験装置50を用いて、上述したエアリーク試験を行った。その試験による測定結果を、図3および図4の「エアリーク性」の欄に示しておく。
また、発泡体の止水性を以下の手法に従って評価した。光硬化発泡体をドーナツ状に切り出した試験片(厚さ500μm、外径25mm、内径11mm)を、2枚のアクリル板(厚さ3mm、50mm×50mm)によって挟み、試験片の厚さが400μmとなるまで2枚のアクリル板を接近させる。そして、2枚のアクリル板によって挟まれた試験片を、水深1mの水槽に30分間浸漬し、ドーナツ状の試験片の内径部への水の侵入の程度を目視にて評価する。内径部に水が進入していない場合には、「○」と評価し、発泡体自体に水が侵入している場合には、「△」と評価した。この評価を、図3および図4の「止水性」の欄に示しておく。
発泡体の吸水性を評価するべく、JIS K 7209に基づく方法に準拠して吸水率(%)を測定した。詳しくは、光硬化発泡体(厚さ500μm、50mm×50mm)を、水温23±2℃の水が満たされた水深100mmの水槽に24時間浸漬し、重量の変化率を測定した。その測定結果を、図3および図4の「吸水率」の欄に示しておく。
圧縮時における発泡体の復元力を評価するべく、JIS K 6400−4:2004 A法に基づく方法に準拠して圧縮残留歪(%)を測定した。その測定結果を、図3および図4の「圧縮残留歪」の欄に示しておく。
発泡体の柔軟性を評価するべく、JIS K 6254:2010 B法に基づく方法に準拠して圧縮硬さ(25%圧縮時)(MPa)を測定した。その測定結果を、図3および図4の「25%圧縮荷重」の欄に示しておく。
また、光硬化発泡体の成形性を評価するべく、収縮率(%)を測定した。詳しくは、熱機器分析装置の石英板の上に、混合発泡させた発泡体の原料を塗布し、その原料の上に膨張・圧縮プローブを接触させる。そして、石英板の下方から紫外線の照射を行った後に、収縮率を演算する。収縮率は、紫外線照射前の発泡体の所定方向の長さに対する、紫外線照射前後の発泡体の所定方向への収縮長さの比率である。その演算結果を、図3および図4の「収縮率」の欄に示しておく。
さらに、光硬化発泡体の成形性を評価するべく、紫外線照射後の発泡体の表面を目視にて評価した。評価結果を、図3および図4の「発泡体表面状態」の欄に示しておく。
以上の評価結果から、発泡体の原料として単官能アクリレートモノマーを採用することで、反応時の発熱温度が高くなり、適切に発泡体を製造できないことが解る。具体的には、比較例4および比較例5の発泡体では、実施例1〜実施例4の発泡体と比較して、反応時の発熱温度が高い。このため、発泡原料が流延される熱可塑性樹脂フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート製の樹脂フィルム、ポリエチレン製の樹脂フィルム、2軸延伸ポリプロピレン製の樹脂フィルムのいずれのフィルムが採用された場合であっても、高い反応熱のためにフィルムに収縮が生じ、発泡体の表面に皺が生じる。
また、発泡体の原料として単官能アクリレートモノマーを採用することで、フィルムの収縮だけでなく、光硬化発泡体も収縮している。詳しくは、図3および図4から解るように、比較例4および比較例5の発泡体では、実施例1〜実施例4の発泡体と比較して、収縮率(%)が高くなっている。このため、適切に光硬化発泡体を成形し難くなっている。
さらに、発泡体の原料として単官能アクリレートモノマーを採用することで、発泡性が低くなっていることが解る。具体的には、比較例4および比較例5の発泡体では、目視による発泡性は良好であるが、実施例1〜実施例4の発泡体と比較して、見掛け密度(kg/m)が高い。つまり、比較例4および比較例5の発泡体では、発泡性が低くなっている。
一方、実施例1〜実施例4の発泡体では、原料に単官能アクリレートモノマーは採用されていないため、反応時の発熱温度は、比較的低い。これにより、熱可塑性樹脂フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート製の樹脂フィルム、ポリエチレン製の樹脂フィルム、2軸延伸ポリプロピレン製の樹脂フィルムのいずれのフィルムが採用された場合であっても、適切に発泡体を製造することが可能となっている。ちなみに、ポリエチレンテレフタレートの融点は、260度であり、ポリエチレンの融点は、概ね80〜90度であり、2軸延伸ポリプロピレンの融点は、概ね100℃である。つまり、実施例1〜実施例4の発泡体製造時には、ポリエチレン,2軸延伸ポリプロピレン等の比較的融点の低い熱可塑性樹脂フィルムを採用することが可能である。
また、実施例1〜実施例4の発泡体では、図3および図4から解るように、比較例4および比較例5の発泡体と比較して、収縮率(%)が低くなっており、適切に光硬化発泡体を成形することが可能となっている。さらに、実施例1〜実施例4の発泡体では、比較例4および比較例5の発泡体と比較して、見掛け密度(kg/m)が低く、発泡性が良くなっている。
また、比較例1〜5の発泡体では、原料としてプレポリマーD〜Fが採用されるため、発泡原料の上下両面に熱可塑性樹脂フィルムを積層させた状態で発泡体が製造されている。これは、アクリル系の物質には、酸素による反応阻害により硬化し難くなる性質があり、プレポリマーD〜Fの原料にメタクリレートが含まれることで、プレポリマーD〜Fの末端にアクリル基が付与されるためである。このように、発泡体原料の上下両面をフィルムで覆った状態で発泡体を成形しても、比較例3の発泡体では、表面にべたつきを有する発泡体が成形される。これは、発泡体原料の機械発泡時に、空気、つまり、酸素を含む気体とプレポリマーとが混合攪拌されるため、表面にべたつきを有する発泡体が成形されると考えられる。
このため、発泡体の原料としてアクリル系の原料を含む場合には、機械発泡時に攪拌される気体として、窒素,二酸化炭素等の不活性ガスを採用する必要がある。さらに、発泡体製造時に、原料の上面をフィルム等により覆う必要がある。しかしながら、不活性ガスの採用、原料の上面を覆うための製造ラインの構成等により、製造コストが上昇するため、望ましくない。
一方、実施例1〜実施例4の発泡体では、発泡体の原料としてプレポリマーA〜プレポリマーCが採用されている。プレポリマーA〜プレポリマーCの原料には、メタクリレートの代わりにビニルエーテルが含まれており、プレポリマーA〜プレポリマーCの末端には、アクリル基の代わりにビニル基が付与されている。そして、そのビニル基とポリチオールのチオール基とが光重合反応し、発泡原料が硬化することで、光硬化発泡体が製造される。つまり、実施例1〜実施例4の発泡体では、発泡体の原料としてアクリル系の原料を含んでいない。これにより、機械発泡時に攪拌される気体として、窒素,二酸化炭素等の不活性ガスを採用することなく、空気を採用することが可能である。さらに、発泡体製造時に、原料の上面をフィルム等により覆う必要もない。したがって、実施例1〜実施例4の発泡体によれば、製造コストの削減を図りつつ、好適な光硬化発泡体を製造することが可能となる。
また、実施例1〜実施例4の発泡体では、図3および図4から解るように、比較例1〜比較例5の発泡体と比較して、25%圧縮荷重(MPa)が低くなっている。つまり、実施例1〜実施例4の発泡体は、比較例1〜比較例5の発泡体と比較して、柔軟性に優れている。さらに、実施例1〜実施例4の発泡体では、エアリーク性および止水性の評価から解るように、気密性および止水性に優れている。さらに、実施例1〜実施例4の発泡体では、圧縮残留歪(%)の評価から解るように、復元性に優れている。このように、実施例1〜実施例4の発泡体は、柔軟性,気密性,止水性,復元性といったシール材としての優れた特性を全て有している。このことから、実施例1〜実施例4の発泡体をシール材として用いることが好ましい。
また、実施例1〜実施例4の発泡体では、図3および図4から解るように、比較例4,比較例5の発泡体と比較して、吸水率(%)が低くなっている。つまり、実施例1〜実施例4の発泡体は、吸収性が低く、シール材としての優れた特性を、さらに、有している。
なお、比較例6のウレタンフォームでは、図4のエアリーク性,止水性,吸水率の評価から解るように、気密性および止水性が低く、吸水性が高くなっている。これは、比較例6のウレタンフォームの独立気泡率が低いためである。一方、実施例1〜実施例4の発泡体は、上述したように、UV照射により製造されるため、熱を殆ど加えることなく製造される。このため、発泡時に成形された気泡が、潰れることなく硬化し、多くの気泡が独立して残存している。このことからも、実施例1〜実施例4の発泡体が、シール材として優れていることが解る。
さらに言えば、実施例1〜実施例3の発泡体では、実施例4の発泡体と比較して、圧縮残留歪(%)が低くなっている。つまり、エン/チオール比を1.3程度することで、復元し易い発泡体を製造することが可能である。なお、復元し易さは、シール材としての優れた特性と考えられることから、実施例1〜実施例3の発泡体をシール材として用いることは、特に好ましい。
以下、本発明の諸態様について列記する。
(1)(a)チオール基を複数有するポリチオールと、(b)前記チオール基とラジカル付加反応活性を有する官能基を、末端に複数有するウレタンプレポリマーと、(c)気体とをメカニカルフロス法により混合し、前記官能基と前記チオール基とを光重合反応させることにより得られることを特徴とする光硬化発泡体。
(2)前記官能基が、ビニルエーテル基であることを特徴とする(1)項に記載の光硬化発泡体。
(3)前記ウレタンプレポリマーの平均官能基数が、1.5〜2.5であることを特徴とする(1)項または(2)項に記載の光硬化発泡体。
(4)前記ウレタンプレポリマーの重量平均分子量が、1000〜15000であることを特徴とする(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の光硬化発泡体。
(5)前記ポリチオールの平均官能基数が、2〜4であることを特徴とする(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の光硬化発泡体。
(6)前記ポリチオールの重量平均分子量が、100〜500であることを特徴とする(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載の光硬化発泡体。
(7)前記官能基のモル数に対する前記チオール基のモル数の比率が、0.8〜1.7であることを特徴とする(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の光硬化発泡体。
(8)25%圧縮時の圧縮硬さ(JIS K6254:2010 B法)が、0.05MPa以下であることを特徴とする(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の光硬化発泡体。
(9)圧縮残留歪(JIS K6400−4:2004 A法)が、20%以下であることを特徴とする(1)項ないし(8)項のいずれか1つに記載の光硬化発泡体。
(10)前記気体が、少なくとも酸素を含むことを特徴とする(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載の光硬化発泡体。
(11)当該光硬化発泡体が、シール材として機能することを特徴とする(1)項ないし(10)項のいずれか1つに記載の光硬化発泡体。

Claims (6)

  1. (a)チオール基を複数有するポリチオールと、(b)前記チオール基とラジカル付加反応活性を有する官能基を、末端に複数有するウレタンプレポリマーと、(c)気体とをメカニカルフロス法により混合し、前記官能基と前記チオール基とを光重合反応させることにより得られることを特徴とする光硬化発泡体。
  2. 前記官能基が、ビニルエーテル基であることを特徴とする請求項1に記載の光硬化発泡体。
  3. 前記ウレタンプレポリマーの平均官能基数が、1.5〜2.5であるとともに、前記ウレタンプレポリマーの重量平均分子量が、1000〜15000であり、
    前記ポリチオールの平均官能基数が、2〜4であるとともに、前記ポリチオールの重量平均分子量が、100〜500であり、
    前記官能基のモル数に対する前記チオール基のモル数の比率が、0.8〜1.7であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光硬化発泡体。
  4. 25%圧縮時の圧縮硬さ(JIS K6254:2010 B法)が、0.05MPa以下であり、
    圧縮残留歪(JIS K6400−4:2004 A法)が、20%以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の光硬化発泡体。
  5. 前記気体が、少なくとも酸素を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の光硬化発泡体。
  6. 当該光硬化発泡体が、シール材として機能することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の光硬化発泡体。
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