JP6077346B2 - 粘着組成物、粘着組成物の製造方法及び粘着シート - Google Patents

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Description

本発明は、粘着組成物、粘着組成物の製造方法及び粘着シートに関し、より詳細には、段差追従性に優れる粘着組成物、粘着組成物の製造方法及び粘着シートに関する。
近年、スマートフォン、パーソナルコンピュータ(PC)等の画像表示装置において、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像表示用のディスプレイと、ディスプレイ表面の傷や破損等を防止するために使用される表面保護板(Top plate)と、タッチパネル等のパネルとをそれぞれ貼り合わせるための粘着シートの開発が進められている。
また、最近では、上記表面保護板の外周の周縁に、装飾や機能上の目的で黒色又は白色の印刷層が形成されることが多い。印刷層が形成されると、表面保護板の表面と印刷層の表面との間には数μmの段差(印刷段差)が発生する。この場合、ディスプレイやタッチパネル等(以下、「ディスプレイ等」と記載する。)と表面保護板との貼り合わせの際に、粘着シートの厚みや柔軟性が十分でないと、表面保護板と粘着シートの間にエアーが巻き込まれ(エアーの噛み込みが発生し)、当該エアーが原因で視認性の低下等の問題が発生する可能性が考えられる。
ここで、画像表示装置用の粘着シートに用いられる粘着組成物としては、視認性を確保するために、透明粘着材(OCA:Optically Clear Adhesive)が使用される。このOCAの中でも、特に透明性の高いアクリル系の粘着組成物が多く採用されている。(例えば、特許文献1を参照)。
しかし、アクリル系の粘着組成物は、柔軟性が十分でないことから、ディスプレイ等と表面保護板との貼り合わせの際に、粘着シートが表面保護板の印刷段差に追従する性質(段差追従性)が十分でないため、表面保護板と粘着シートとの間にエアーが巻き込まれ易い。また、段差追従性を良くするために、粘着シートの厚みを厚くすることが考えられるが、この場合には、ディスプレイ、表面保護板、タッチパネル等を含むパネルの総厚が厚くなるため、画像表示装置の厚みが増してしまう。これは、昨今のスマートフォン等の画像表示装置の薄型化・小型化の要求に沿わないものである。なお、溶剤系のアクリル系粘着テープでは、そもそも一般的に厚みの厚いものを作成することが技術的に困難である(重ね塗り工程等が必要となる)。
これに対して、両面粘着テープの粘着剤層を、低温域に損失正接ピークを有し、かつ高温域における損失正接及び貯蔵弾性率を特定範囲となる粘弾性特性とすることで、部材貼り合わせ時に粘着剤層の流動性が高く、かつ衝撃発生時の振動吸収性のよい両面粘着テープが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。この両面粘着テープによれば、段差を有する部材を固定する際や、貼付後の経時においても視認される気泡の発生を抑制でき、また、落下衝撃時にも部材間の剥がれが生じにくい効果を奏する、とされている。
特許第4800363号公報 特開2009−155503号公報 国際公開第2011/021363号
しかしながら、特許文献2の技術においても、アクリル系の粘着組成物を用いていることから、依然として柔軟性が不十分であり、十分な段差追従性を担保するためには、粘着テープの厚みを厚くする必要があった。
また、画像表示装置用の粘着シートに用いられる粘着組成物としては、透明接着剤(OCR:Optically Clear Resin)が用いられている。このOCRをタッチパネルの接着用に用いたものとして、(A)ポリイソプレン、ポリブタジエン又はポリウレタンを骨格にもつ(メタ)アクリレートオリゴマー及び(B)柔軟化成分を含む光硬化型接着組成物が提案されている(例えば、特許文献3を参照)。この特許文献3の技術では、液状の接着組成物をタッチパネル等の被接着物に直接塗布するため、貼り合わせの際の印刷段差の問題は殆ど生じない。
しかしながら、OCRは液状の接着組成物のため、ハンドリングの点で粘着組成物よりも劣るものである。また、塗布した接着組成物を光硬化させる際に、表面保護板の印刷層部分は光が当たり難く、光の照射量が少なくなるため、硬化の度合いにムラが生じる可能性がある。なお、OCAでは、樹脂を硬化させた後に貼り合わせに用いられるため、硬化度合いのムラが生じる問題はない。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、液状のOCRを用いずに、アクリル系の粘着組成物よりも段差追従性に優れる粘着組成物、粘着組成物の製造方法及び粘着シートを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、アリルエーテル基とビニルエーテル基との少なくとも一方を有するウレタンプレポリマーと、チオール基を有する化合物とのエン・チオール反応により得られる粘着組成物において、チオール基を有する化合物として、チオール基を1個有するモノチオールとチオール基を複数有するポリチオールとの2種類以上のものを採用することで、高い柔軟性を有するエン・チオール系の粘着組成物を成形できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、アリルエーテル基及びビニルエーテル基の少なくとも一方を複数有するウレタンプレポリマーと、チオール基を1個有するモノチオールと、チオール基を複数有するポリチオールとを重合反応させて得られる粘着組成物であって、25%圧縮時の圧縮応力が、1.50N/mm以下である、粘着組成物が提供される。
前記粘着組成物において、前記ポリチオールが、チオール基を2個有するものと、チオール基を3個以上有するものとからなることが好ましい。
前記粘着組成物において、前記ポリチオールが、チオール基を2個有するものと、チオール基を3個有するものとからなることがより好ましい。
前記粘着組成物において、前記チオール基を3個有するポリチオールが、前記モノチオールと前記ポリチオールの全質量に対する質量比で、20%以上60%以下であることが更に好ましい。
前記粘着組成物において、前記ウレタンプレポリマーの重量平均分子量が、1000以上15000以下であることが好ましい。
前記粘着組成物において、前記ウレタンプレポリマーのポリオール成分が、ポリエーテルポリオールであることが好ましい。
また、本発明によれば、前述した粘着組成物の製造方法であって、アリルエーテル基及びビニルエーテル基の少なくとも一方を複数有するウレタンプレポリマーと、チオール基を1個有するモノチオールと、チオール基を複数有するポリチオールとを重合反応させる工程を含む、粘着組成物の製造方法が提供される。
前記粘着組成物の製造方法において、前記重合反応が、光重合反応であることが好ましい。
前記粘着組成物の製造方法において、前記ウレタンプレポリマーが、アリルエーテル基及びビニルエーテル基のうち、ビニルエーテル基のみを有することが好ましい。
また、本発明によれば、前述した粘着組成物の成形体である、粘着シートが提供される。
本発明によれば、アリルエーテル基とビニルエーテル基との少なくとも一方を有するウレタンプレポリマーに、チオール基を複数有するポリチオールだけでなく、チオール基を1個有するモノチオールも重合反応させることで、高い柔軟性を有するエン・チオール系の粘着組成物を成形できる。従って、アクリル系の粘着組成物よりも高い柔軟性を有するため、液状のOCRを用いなくとも、段差追従性に優れる粘着組成物、粘着組成物の製造方法及び粘着シートを提供することが可能となる。
本発明に係る粘着組成物を得るための反応機構の一例を示す模式図である。 エン・チオール反応の一般的な反応機構を示す図である。 本発明に係る粘着シートの適用例を示す説明図である。 本発明の実施例1及び比較例1のストローク(mm)を変化させながら測定した25%圧縮時の圧縮応力(N/mm)の測定結果を示すグラフである。 実施例1及び比較例1の段差追従性を評価した際の泡の噛み込み状態を示す写真である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面においては、同一の符号が付された構成要素は、実質的に同一の構造又は機能を有するものとする。
なお、本形態に係る粘着組成物及び粘着シートについては、以下の順序で説明する。
1 粘着組成物の製造方法
2 粘着組成物の構造・物性
3 粘着組成物の用途
4 粘着シートの製造方法
5 粘着シートの構成
6 粘着シートの用途・適用方法
[粘着組成物の製造方法]
まず、図1及び図2を参照しながら、本発明に係る粘着組成物の製造方法について説明する。図1は、本発明に係る粘着組成物を得るための反応機構の一例を示す模式図である。図2は、エン・チオール反応の一般的な反応機構を示す図である。
本発明に係る粘着組成物の製造方法は、25%圧縮時の圧縮応力が、1.50N/mm以下の粘着組成物を製造する方法であり、図1に示すように、アリルエーテル基とビニルエーテル基との少なくとも一方を複数有するウレタンプレポリマー(図1には、ビニルエーテル基を2つ有するウレタンプレポリマーが例示されている。)と、チオール基を1個有するモノチオールと、チオール基を複数有するポリチオール(図1には、モノチオールと、チオール基を2個有するポリチオールと、チオール基を3個有するポリチオールの組み合わせが例示されている。)とをエン・チオール反応させることで、上記粘着組成物を得ることができるものである。ここで、図2に示すように、エン・チオール反応は、以下のようにして進行する。まず、光(UV等)を照射すること又は熱を加えることにより、重合開始剤が分解され、炭素ラジカルが発生する。次に、発生した炭素ラジカルにチオールが反応して、チイルラジカルを生成する(図2の(1)を参照)。さらに、このチイルラジカルがビニルエーテルと反応することで、ビニルエーテルにチオールが付加したエン・チオール生成物(炭素ラジカルを含む)が生成する(図2の(2)を参照)。最後に、このエン・チオール生成物とチオールが更に反応することで、炭素ラジカルを有しないエン・チオール生成物が生成する(図2の(3)を参照)。この際、副生成物としてチイルラジカルも生成し、上記(2)の反応に供される。
アリルエーテル基とビニルエーテル基との少なくとも一方を複数有するウレタンプレポリマーは、ポリオールとポリイソシアネートとから合成されたウレタンプレポリマーに、アリルエーテル基とビニルエーテル基との少なくとも一方を有する化合物を付加することで製造される。ちなみに、上記ウレタンプレポリマーの重量平均分子量は、1000〜15000であることが好ましく、2500〜12000であることがより好ましく、3000〜5000であることが更に好ましい。ウレタンプレポリマーの重量平均分子量を上記範囲とすることにより、得られる粘着組成物が高い柔軟性と適度な粘着力と良好なハンドリング性を兼ね備えることができる。なお、本発明における重量平均分子量は、RI(示唆屈折)検出器を装備したゲル透過クロマトグラフ(GPC)分析装置を用いて測定することができる。また、官能基数は、1〜3であることが好ましく、特に2であることが好ましい。
上記ウレタンプレポリマーの合成に用いられる「ポリイソシアネート」は、1つの分子に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であり、ウレタンプレポリマーの原料として通常に採用されるものであればよい。例えば、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート等が挙げられる。芳香族イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI(クルードMDI)、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。脂肪族イソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート等が挙げられる。脂環族イソシアネートとしては、例えば、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)等が挙げられる。それら種々のポリイソシアネートのうちの1種又は2種以上を併用したものを、上記ウレタンプレポリマーの原料として用いることが可能である。
ただし、上記ウレタンプレポリマーの原料として、芳香族イソシアネートを用いないことで、透明度の高い粘着組成物を得ることが可能となる。つまり、脂肪族イソシアネート若しくは、脂環族イソシアネートを採用することで、透明度の高い粘着組成物を得ることが可能となっている。特に、脂環族イソシアネートのジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)を採用することで、粘着組成物の透明度を高くすることが可能となる。
また、上記ウレタンプレポリマーの合成に用いられる「ポリオール」は、1つの分子に2個以上の水酸基を有する化合物であり、ウレタンプレポリマーの原料として通常に採用されるものであればよい。例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合反応により得られるものがあり、例えば、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上併用して用いることが可能である。多価カルボン酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられ、これらを1種又は2種以上併用して用いることが可能である。さらに、カプロラクトン、メチルバレロラクトン等を開環縮合して得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
また、ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール等の多価アルコールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のオキサイドを付加重合させたものが挙げられる。上記ウレタンプレポリマーの原料(ポリオール成分)として、このようなポリエーテルポリオールを用いることで、得られる粘着組成物の柔軟性をより向上させることが可能となる。特に、ポリエーテルポリオールを用いて合成し、且つ、上述した好適範囲の重量平均分子量を有するウレタンプレポリマーを用いて粘着組成物を製造することで、粘着組成物製造時のハンドリングを良くすることができるとともに、得られる粘着組成物の柔軟性も高くなるため好適である。一方、ポリオール成分として、ポリエステルポリオールを用いると、ポリエステルポリオールは加水分解の懸念があるため、柔軟性等の物性が低下する可能性がある。
前述した種々のポリオールのうちの1種又は2種以上を併用したものを、上記ウレタンプレポリマーの原料として用いることが可能である。ただし、上記ウレタンプレポリマーの原料として、1種類のポリオールのみを採用することで、透明度の高い粘着組成物を得ることが可能となっている。
また、上記ウレタンプレポリマーの合成において、触媒を用いることが好ましい。触媒は、ウレタンプレポリマーの原料として通常に採用されるものであればよく、例えば、アミン系触媒、有機金属系触媒等が挙げられる。アミン系触媒としては、例えば、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノモルフォリン、N−エチルモルホリン等が挙げられる。有機金属系触媒としては、例えば、スターナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、オクテン酸鉛、オクチル酸カリウム等が挙げられる。それら種々の触媒のうちの1種又は2種以上を併用したものを、上記ウレタンプレポリマーの原料として用いることが可能である。
合成されたウレタンプレポリマーに付加させるアリルエーテル基とビニルエーテル基との少なくとも一方を有する化合物は、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基に付加させることが可能なものであればよく、アリルエーテルグリコール,ヒドロキシエチルアリルエーテル,ヒドロキシプロピルビニルエーテル,ヒドロキシブチルビニルエーテル等が挙げられる。ただし、アリルエーテル基を有する化合物を用いずに、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル基を有する化合物のみを用いることで、モノチオール及びポリチオールとのエン・チオール反応の反応性を格段に高めることができるため、ビニルエーテル基を有する化合物のみを用いる(すなわち、ウレタンプレポリマーが、アリルエーテル基及びビニルエーテル基のうち、ビニルエーテル基のみを有する)ことが好ましい。
上記化合物により得られたウレタンプレポリマーとエン・チオール反応するモノチオールとしては、例えば、脂肪族モノチオール,メルカプトカルボン酸とアルコールとのエステル等が挙げられる。
脂肪族モノチオールとしては、例えば、メチルチオール、エチルチオール、1−プロピルチオール、イソプロピルチオール、1−ブチルチオール、イソブチルチオール、tert−ブチルチオール、1−ペンチルチオール、イソペンチルチオール、3−ペンチルチオール、1−ヘキシルチオール、シクロヘキシルチオール、4−メチル−2−ペンチルチオール、1−ヘプチルチオール、1−オクチルチオール、イソオクチルチオール、2−エチルヘキシルチオール、1−ノニルチオール、イソノニルチオール、1−デシルチオール、1−ドデシルチオール、1−ミリスチルチオール、セチルチオール、1−ステアリルチオール、イソステアリルチオール、2−オクチルデシルチオール、2−オクチルドデシルチオール、2−ヘキシルデシルチオール、ベヘニルチオール等が挙げられる。
また、メルカプトカルボン酸とアルコールとのエステルとしては、2−エチルヘキシル−3−メルカプトプロピオネート(EHMP)、メトキシブチル−3−メルカプトプロピオネート(MBMP)、ステアリル−3−メルカプトプロピオネート(STMP)、メチル−3−メルカプトプロピオネート(MBM)、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート(NOMP)等が挙げられる。なお、それら種々のモノチオールのうちの1種又は2種以上を併用したものを、上記ウレタンプレポリマーとのエン・チオール反応の原料として用いることが可能である。
上記ウレタンプレポリマーとエン・チオール反応するポリチオールとしては、メルカプトカルボン酸と多価アルコールとのエステル、脂肪族ポリチオール、芳香族ポリチオールが挙げられる。脂肪族ポリチオール、芳香族ポリチオールとしては、エタンジチオール、プロパンジチオール、ヘキサメチレンジチオール、デカメチレンジチオール、トリレン−2,4−ジチオール、キシレンジチオール等が挙げられる。
また、メルカプトカルボン酸と多価アルコールとのエステルでは、メルカプトカルボン酸として、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸等が挙げられ、多価アルコールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びソルビトール等が挙げられる。これらの中では、臭気が少ない点で、メルカプトカルボン酸と多価アルコールとのエステル類が好ましく、具体的には、例えば、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(3−メルカプトプロピオネート)が挙げられる。なお、それら種々のポリチオールのうちの1種又は2種以上を併用したものを、上記ウレタンプレポリマーとのエン・チオール反応の原料として用いることが可能である。
上述したモノチオールとポリチオールとを、アリルエーテル基とビニルエーテル基との少なくとも一方を複数有するウレタンプレポリマーと混合し、これらを重合反応(エン・チオール反応)させることで、高い柔軟性を有するエン・チオール系の粘着組成物を得ることが可能となっている。ここで、上記重合反応としては、光重合反応であっても熱重合反応であってもより。光重合反応の場合は、上述したモノチオールとポリチオールとを、アリルエーテル基とビニルエーテル基との少なくとも一方を複数有するウレタンプレポリマーと混合した後に、光(紫外線等)を照射することで、エン・チオール反応を進行させる。なお、熱重合反応の場合も光重合反応の場合と反応機構は同じであり、ラジカルの発生が光によるか熱によるかの違いのみである。ここで、光重合反応の方が熱重合反応よりも重合反応が速く進行することから、本発明に係る粘着組成物の製造方法では、光重合反応を利用することが好適である。
また、上述したポリチオールのうちの官能基(チオール基)数が2のもの(二官能チオール)と3以上のものとを併用することで、さらに高い柔軟性を有するエン・チオール系の粘着組成物を得ることが可能となる。具体的には、アリルエーテル基とビニルエーテル基との少なくとも一方を複数有するウレタンプレポリマーと反応が行われるチオール基の平均官能基数、つまり、モノチオールと、チオール基が2個のポリチオールと、チオール基が3個以上のポリチオールとのチオール基の平均官能基数を、1.9以上とすることで、高い柔軟性を有するエン・チオール系の粘着組成物を得ることが可能となっている。さらに言えば、平均官能基数を、2以上とすることで、さらに高い柔軟性を有するエン・チオール系の粘着組成物を得ることが可能となっている。
また、ポリチオールのチオール基数が、2のもの(二官能チオール)と3のもの(三官能チオール)とを併用することが、粘着組成物の柔軟性をさらに高めるという観点から、特に好ましい。この場合において、三官能チオール(チオール基を3個有するポリチオール)が、モノチオールとポリチオールの全質量に対する質量比で、20%以上60%以下であることが好ましく、25%以上55%以下であることがより好ましく、30%以上50%以下であることが更に好ましい。三官能チオールの比率を60%以下とすることで、粘着組成物の柔軟性をさらに高めることができる。一方、三官能チオールの比率が20%未満となると、硬化した粘着組成物の強度が弱く、粘着性が増すことから、ハンドリングが悪くなる恐れがあるため、三官能チオールの比率を20%以上とすることが好適である。
また、ウレタンプレポリマーに付加されたアリルエーテル基、若しくはビニルエーテル基と、チオール基との重合反応を効果的に行うべく、本発明の「粘着組成物」には、重合開始剤が含まれることが好ましい。光重合反応の場合に用いられる光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系等の化合物が挙げられる。アセトフェノン系としては、例えば、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)アセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等が挙げられる。
ベンゾフェノン系としては、例えば、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシルカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。また、チオキサントン系としては、例えば、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等が挙げられる。
また、熱重合反応の場合に用いられる重合開始剤としては、熱によりラジカルを発生する重合開始剤であれば特に限定はされず、例えば、過酸化ベンゾイルや、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(ABCN)等のアゾ系重合開始剤、等の一般に公知の熱重合開始剤が挙げられる。
なお、重合開始剤の含有量は、上記ウレタンプレポリマー,モノチオール,ポリチオールの合計100質量部当たり0.01〜5質量部であることが好ましく、さらに言えば、0.1〜3質量部であることが好ましい。重合開始剤の含有量が少なすぎると、重合開始能力が不足し、原料の重合が速やかに行われず、好ましくない。一方、重合開始剤の含有量が多すぎると、YI値(黄色度)が上昇する等の物性が悪化する恐れがあるため好ましくない。
[粘着組成物の構造・物性]
以上、本発明に係る粘着組成物の製造方法について詳細に説明したが、続いて、このような製造方法を用いることで得られる本発明に係る粘着組成物の構造及び物性について順に説明する。
(粘着組成物の構造)
本発明に係る粘着組成物は、アリルエーテル基及びビニルエーテル基の少なくとも一方を複数有するウレタンプレポリマーと、チオール基を1個有するモノチオールと、チオール基を複数有するポリチオールとを光重合反応させて得られるものである。
また、上述したように、本発明に係る粘着組成物においては、ポリチオールが、チオール基を2個有するものと、チオール基を3個以上有するものとからなることが好ましく、チオール基を2個有するものと、チオール基を3個有するものとからなることがより好ましい。また、ポリチオールがチオール基を2個有するものとチオール基を3個有するものとからなる場合に、チオール基を3個有するポリチオールが、モノチオールとポリチオールの全質量に対する質量比で、20%以上60%以下であることが好ましく、25%以上55%以下であることがより好ましく、30%以上50%以下であることが更に好ましい。
さらに、上述したように、上記ウレタンプレポリマーの重量平均分子量が、1000以上15000以下であることが好ましく、2500以上12000以下であることがより好ましく、3000以上10000以下であることが更に好ましい。また、上記ウレタンプレポリマーのポリオール成分が、ポリエーテルポリオールであることが好ましい。
(粘着組成物の物性)
次に、上述した構造を有する本発明に係る粘着組成物の物性について述べる。
<25%圧縮時の圧縮応力>
本発明では、粘着組成物の柔軟性を指標するものとして、25%圧縮時の圧縮応力を採用しており、この25%圧縮時の圧縮応力が、1.50N/mm以下である。25%圧縮時の圧縮応力を1.50N/mm以下とすることで、粘着組成物に非常に高い柔軟性を持たせることができ、これにより、従来のアクリル系粘着組成物よりも、ディスプレイ等と表面保護板との貼り合わせの際の段差追従性を顕著に向上させることができる。なお、上記圧縮応力が1.50N/mmを超えると、粘着組成物が固くなり、粘着強度が弱くなる従って、本発明に係る粘着組成物を使用した粘着シートは、アクリル系粘着組成物よりも薄い厚みで、同じ又はより厚い印刷段差に追従することができる。以上の観点から、本発明に係る粘着組成物の25%圧縮時の圧縮応力が1.13N/mm以下であることが好ましく、1.00N/mm以下であることがより好ましい。なお、粘着組成物の25%圧縮時の圧縮応力は低いほど段差追従性が高くなるため、その下限値については特に規定するものではないが、現実的に製造できる範囲としては、例えば、0.13N/mm以上である。
ここで、本発明における「25%圧縮時の圧縮応力」は、JIS K6254に準拠して測定することができるが、具体的には、上記圧縮応力として、JIS K6254に準拠して、厚み1.0mm、大きさ20mm×20mmのサンプルを用いて評価した値を用いるものとする。
<粘着力>
本発明では、粘着組成物の粘着力を指標するものとして、JIS A5759:2008に基づく方法(180°引きはがし試験方法)に準拠して測定された粘着力(N/25mm)を採用することが可能であり、その方法に準拠して測定された粘着力(N/25mm)が、15N/25mm以上であることが好ましい。このような粘着力とすることで、ディスプレイ等と表面保護板とを良好に貼り合わせることができる。また、この効果をより高くするために、上記粘着力が、20N/25mm以上であることがより好ましい。一方、粘着力の上限値に関しては、35N/25mm以下であることが好ましく、30N/25mm以下であることがより好ましい。
<透明度>
本発明では、粘着組成物の透明度を指標するものとして、JIS K7105−1981に基づく方法(プラスチックの光学的特性試験方法)に準拠して測定された色相(YI値)を採用することが好ましい。色相(YI値)は、その値が高いほど黄色の度合いが高いことを示しており、0.5以下であることが好ましく、0.2以下であることがより好ましい。なお、アクリル系の粘着組成物では、材料の特性上、黄色の度合いが高くなり、色相(YI値)が0.5超となる。このようなアクリル系の粘着組成物を、ディスプレイ等と表面保護板との貼り合わせに使用した場合には、画質への悪影響が懸念される。
また、本発明では、粘着組成物の透明度を指標するものとして、JIS K7105−1981に基づく方法に準拠して測定された透過率(%)を採用することも可能である。透過率(%)は、その値が高いほど透明度が高いことを示しており、92%より高いことが好ましい。さらに、本発明では、透明度を指標するものとして、JIS K7105−1981に基づく方法に準拠して測定されたHAZE(%)を採用することが可能である。HAZE(%)は、その値が低いほど透明度が高いことを示しており、0.5%以下であることが好ましく、0.2%以下であることがより好ましい。
上述した本発明に係る粘着組成物及び粘着組成物の製造方法では、アリルエーテル基とビニルエーテル基との少なくとも一方を有するウレタンプレポリマーに、チオール基を複数有するポリチオールだけでなく、チオール基を1個有するモノチオールも光重合反応させることで、高い柔軟性を有するとともに、適切な粘着力を備える粘着組成物を得ることが可能となっている。また、アリルエーテル基とビニルエーテル基との少なくとも一方を有するウレタンプレポリマーが採用されることで、抗張力が高く、強靭な粘着組成物を得ることが可能となっている。さらに、本発明の粘着組成物及び粘着組成物の製造方法は、光重合反応により成形されており、熱等を加えるための工程が必要無く、溶剤等も必要無い。従って、本発明の粘着組成物及び粘着組成物の製造方法によれば、粘着組成物を成形するための設備投資を抑制し、省スペース化を図ることが可能となる。また、人体への有害性,環境汚染等に対しても非常に有利である。
[粘着組成物の用途]
上述した本発明に係る粘着組成物は、スマートフォン、携帯電話機、携帯ゲーム機、液晶テレビジョン装置、カーナビゲーションシステム等の画像表示装置の製造時におけるディスプレイ等と表面保護板との貼り合わせに用いることができる。このような用途に用いる場合、上述した製造方法により得られた粘着組成物を、帯状、シート状、短冊状等に成形したものを用いればよい。
[粘着シートの製造方法]
本発明に係る粘着シートの製造方法は、上述した原料であるウレタンプレポリマー、モノチオール及びポリチオールを用いて、これらの原料を所定の配合比で混合した結果得られる原料混合物を、所望の形態を有する離型フィルムに塗工した後に、塗工した原料混合物を硬化することにより、粘着シートを得る方法である。
粘着組成物の成形方法は特に限定されるものではないが、例えば、硬化前のウレタンプレポリマー、モノチオール及びポリチオールを混合した原料混合物を、ナイフコーター、コンマコーター、ロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター等を用いて、所望の形態の離型フィルム上に所望の厚みとなるように塗工した後に、光重合反応又は熱重合反応により塗工した原料混合物を硬化させることで、本発明に係る粘着シートを得ることができる。
また、本発明に係る粘着シートの製造方法によれば、必要に応じて、粘着組成物の片面だけでなく、両面に離型フィルムを有する粘着シートを得ることもできる。具体的には、一方の離型フィルムに原料であるウレタンプレポリマー、モノチオール及びプレチオールの混合物(原料混合物)を塗工した後に、他方の離型フィルムを塗工された原料混合物の上に載せ、離型フィルム/原料混合物/離型フィルムを光又は熱により硬化させることで、粘着組成物の両面に離型フィルムを有する粘着シートを得ることができる。
[粘着シートの構成]
続いて、上述した製造方法により得られた本発明に係る粘着シートの構成について説明する。本発明に係る粘着シートは、帯状又はシート状等の形状を有しており、必要に応じて、その片面又は両面に剥離ライナーが付着されたものであり、画像表示装置の製造時におけるディスプレイ等と表面保護板とを貼り合わせる際等に使用することができる。
(シート厚み)
本発明に係る粘着組成物は、上述したように、非常に高い柔軟性を有することから、本発明に係る粘着シートは、上記表面保護板等が印刷段差を有する場合、粘着組成物としてアクリル系のものを使用した場合よりも薄い厚みで、同じ又はより厚い印刷段差に追従することができる。ここで、粘着組成物としてアクリル系のものを用いると、このような粘着組成物は溶剤を含んだものであることから、一工程で厚みの大きな粘着シートを成形することは困難である。そのため、重ね塗り(複数回の塗布を繰り返す)をする必要があるので、生産性が低下してしまう。また、アクリル系の粘着組成物の厚みを大きくすると、その分、乾燥させなければならない溶剤の量も増えるため、生産性が低下するとともに、環境上の観点からも好ましくない。これに対して、本発明に係る粘着組成物は、溶剤を含んでいないため、アクリル系のものよりも厚く成形することが容易であり、厚いものから薄いものまで成形時の厚みの自由度が高い(バリエーションが豊富である)。具体的には、本発明に係る粘着シートの厚みを、例えば、25μm以上500μm以下と広い範囲とすることができる。また、印刷段差との関係では、例えば、印刷段差が50μm以下の範囲であれば、粘着シートの厚みを175μm程度とすれば十分な段差追従性を有する。また、印刷段差が50μm超100μm以下の範囲であれば、粘着シートの厚みを200μm超500μm以下程度とすれば十分な段差追従性を有する。
[粘着シートの用途・適用方法]
次に、図3を参照しながら、本発明に係る粘着シートの用途及び適用方法について説明する。図3は、本発明に係る粘着シートの適用例を示す説明図である。
本発明に係る粘着シートは、上述したように画像表示装置の製造時におけるディスプレイ等と表面保護板とを貼り合わせる際等に使用することができる。具体的には、例えば、図3に示すように、スマートフォン等のタッチパネルを有する画像表示装置10の製造において、液晶ディスプレイ(LCD)11の表面にタッチパネル12と表面保護板13とを順に重ねて貼り合わせる際に、LCD11とタッチパネル12との貼り合わせ、及び、タッチパネル12と表面保護板13との貼り合わせの用途に本発明に係る粘着シート14を用いることができる。この際、表面保護板13には、装飾や機能上の理由で(例えば、ホームボタン等を設置したり、ディスプレイのサイズを画定したりする等の理由で)、その外周の周縁に印刷層(図3の表面保護板13においてドットハッチングを付した部分)が設けられている。このため、表面保護板13(の印刷層が設けられていない部分)と印刷層との間で段差(印刷段差)13aが発生する。この場合に、本発明に係る粘着シート(図示した例では粘着シート14)によれば、粘着層(図示せず。)を構成する粘着組成物が高い柔軟性を有しているため、アクリル系の粘着組成物を使用した場合よりも粘着シートの厚みが薄くても、十分な段差追従性を有することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、下記の実施例は本発明を限定するものではない。
(ウレタンプレポリマーの合成)
まず、ウレタンプレポリマーの合成方法について説明する。1リットル容量のセパラブルフラスコにポリイソシアネートを下記表1に示す量添加し、窒素を流しながらポリオール(ポリオールa〜d)を撹拌しながら下記表に示す量滴下した。滴下終了後、温度上昇に注意しながら、触媒(DBTDL:ジブチルチンジラウレート 0.3g)を添加した。その後2時間反応させた後にサンプリングし、イソシアネート基含有率が2.0〜2.5%の範囲内であることを確認した。なお、イソシアネート基含有率は、JIS Z1603−1:2007に基づく方法(ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法)に準拠して測定した。次いで、上記の反応生成物にビニルエーテルを滴下し、2時間反応させた。反応後にサンプリングし、イソシアネート基含有率が0.5%以下になっていることを確認した。イソシアネート基含有率が0.5%以下の場合に反応完了とし、また、イソシアネート基含有率が0.5%超の場合には反応時間を延長し、イソシアネート基含有率が0.5%以下となっていることを確認した後に、生成物をウレタンプレポリマーA〜Dとして使用した。
なお、ウレタンプレポリマーを合成する際の原料としては、下記のものを使用した。
・ポリオールa; ポリプロピレングリコール(PPG)、商品名:サンニックスPP−1000、三洋化成(株)製
・ポリオールb; ポリプロピレングリコール(PPG)、商品名:サンニックスPP−3000、三洋化成(株)製
・ポリオールc; ポリプロピレングリコール(PPG)、商品名:プレミノールS4011、旭硝子(株)製
・ポリオールd; ポリカーボネートジオール(PCD)、商品名:デュラノールT−5652、旭化成ケミカルズ(株)製
・ポリイソシアネート; 水添MDI、商品名:デスモジュールW、バイエル(株)製
・ビニルエーテル; ヒドロキシブチルビニルエーテル、日本カーバイド(株)製
(粘着シートの成形)
次に、粘着シートの成形方法について説明する。上述したようにして得られた各「プレポリマー」と後述する複数のチオールを下記表2に示す配合比(phr)となるように計量し、80℃に加温した後に、混合撹拌し、粘着組成物の各材料を配合した。この結果物をナイフコーターを用いてシリコーン離型PETフィルム上に所望の厚み(ここでは175μm)となるように塗工し、次いで、UVランプ(高圧水銀ランプ)にて800mJ/cm(365nm積算光量)でUV照射し、実施例1〜7の粘着シートを得た。また、比較例1の粘着シートとして、3M社製のアクリル系粘着剤である商品名「高透明性接着剤転写テープ8146」を使用した。
なお、粘着シートを成形する際のチオールについては、下記のものを使用した。なお、下記チオールの重量平均分子量としては、標準試料にポリスチレン、展開溶媒にTHFをそれぞれ使用し、RI検出器を装備したGPC分析装置(東ソー社製、商品名「HLC−8320」)を用いて測定した値を用いた。
・モノチオール; 重量平均分子量218.4、2−エチルヘキシル−3−メルカプトプロピオネート、EHMP、SC有機化学(株)製
・ポリチオールa; 官能基数2、重量平均分子量238.6、ブタンジオールビスチオグリコレート、1,4−BDTG、淀化学(株)製
・ポリチオールb; 官能基数3、重量平均分子量398.5、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、TMMP、SC有機化学(株)製
(評価方法)
以上のようにして作成した実施例1〜7及び比較例1の粘着シートに対して、25%圧縮応力(N/mm)及び段差追従性を以下のように評価した。
<25%圧縮応力>
25%圧縮応力は、JIS K6254に準拠して、圧縮速度を1.0mm/分とし、厚み1.0mm、大きさ20mm×20mmのサンプルを用いて評価した。この評価結果を表1に示した。なお、表1に記載した25%圧縮応力の値は、ストローク0.25mmの時の値である。ここで、参考までに、実施例1及び比較例1のストローク(mm)を変化させながら測定した25%圧縮時の圧縮応力(N/mm)の測定結果を図4に示した。図4に示すように、比較例1の粘着シートでは、ストロークが大きくなるに従い、圧縮応力も大きくなったのに対して、実施例1の粘着シートでは、ストロークが大きくなっても、圧縮応力の大きさはそれ程変化しなかった。この結果は、段差追従性の結果を反映しているものといえる。
<段差追従性>
段差追従性は、印刷段差が50μmの表面保護板に対する追従性を以下の基準により評価した。なお、段差追従性については、粘着シートの厚みが175μmのものに加えて、粘着シートの厚みが150μmのものについても評価した。ここで、参考までに、実施例1及び比較例1の段差追従性を評価した際の泡の噛み込み状態を図5に示した。図5に示すように、比較例1は段差部に泡の噛み込みがあるのに対し(図5の丸で囲んだ部分)、実施例1には段差部に泡の噛み込みがないことから、実施例1の粘着シートの方が厚みが薄くても比較例1の粘着シートよりも段差追従性に優れることがわかる。
◎:シート厚みが150μmで、段差部に泡の噛み込みが無い
○:シート厚みが175μmで、段差部に泡の噛み込みが無い
×:シート厚みが175μmでも、段差部に泡の噛み込みが発生する
<透明度>
粘着シートの透明度を評価するべく、JIS K7105−1981に基づく方法に準拠して、透過率(%)、HAZE(%)及び色相(YI値)を測定し、其々を以下の基準で評価した。(透過率) ○:透過率が92%超 ×:透過率が92%以下(HAZE) ◎:HAZEが0.2%以下 ○:HAZEが0.2%超0.5%以下 ×:HAZEが0.5%超(色相(YI値))
◎:YI値が0.2以下
○:YI値が0.2超0.5以下
×:YI値が0.5超
<粘着力>
粘着シートの粘着力を評価するべく、JIS A5759:2008に基づく方法(180°引きはがし試験方法)に準拠して、引張り速さ300mm/minにてガラス板との粘着力(N/25mm)を測定し、以下の基準で評価した。
◎:粘着力が20N/25mm以上30N/25mm以下
○:粘着力が15N/25mm以上20N/25mm未満
×:粘着力が15N/25mm未満
(印刷段差と粘着シート厚みとの関係)
次に、実施例1の粘着シートを用いて、印刷段差の異なる表面保護板を用いて段差追従性の評価を行った。評価方法は上述した通りである。具体的には、下記表3に示す材質の表面保護板(カバー)を用いて、同表に示す印刷段差のカバーに対して、粘着シートの厚みを変えて段差追従性を以下の基準で評価した。その結果を表3に示す。表3に示すように、印刷段差が50μm以下の範囲であれば、粘着シートの厚みを175μm程度とすれば十分な段差追従性を有することがわかる。また、印刷段差が50μm超100μm以下の範囲であれば、粘着シートの厚みを250μm程度とすれば十分な段差追従性を有することがわかる。
○:段差部に泡の噛み込みが無い
×:段差部に泡の噛み込みが発生した
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述した形態に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で当業者が想到し得る他の形態又は各種の変更例についても本発明の技術的範囲に属するものと理解される。
10 画像表示装置
11 液晶ディスプレイ(LCD)
12 タッチパネル
13 表面保護板
13a 段差(印刷段差)
14 粘着シート

Claims (10)

  1. アリルエーテル基及びビニルエーテル基の少なくとも一方を複数有するウレタンプレポリマーと、チオール基を1個有するモノチオールと、チオール基を複数有するポリチオールとを重合反応させて得られる粘着組成物であって、
    25%圧縮時の圧縮応力が、1.50N/mm以下である、粘着組成物。
  2. 前記ポリチオールが、チオール基を2個有するものと、チオール基を3個以上有するものとからなる、請求項1に記載の粘着組成物。
  3. 前記ポリチオールが、チオール基を2個有するものと、チオール基を3個有するものとからなる、請求項2に記載の粘着組成物。
  4. 前記チオール基を3個有するポリチオールが、前記モノチオールと前記ポリチオールの全質量に対する質量比で、20%以上60%以下である、請求項2又は3に記載の粘着組成物。
  5. 前記ウレタンプレポリマーの重量平均分子量が、1000以上15000以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着組成物。
  6. 前記ウレタンプレポリマーのポリオール成分が、ポリエーテルポリオールである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘着組成物の製造方法であって、
    アリルエーテル基及びビニルエーテル基の少なくとも一方を複数有するウレタンプレポリマーと、チオール基を1個有するモノチオールと、チオール基を複数有するポリチオールとを重合反応させる工程を含む、粘着組成物の製造方法。
  8. 前記重合反応が、光重合反応である、請求項7に記載の粘着組成物の製造方法。
  9. 前記ウレタンプレポリマーが、アリルエーテル基及びビニルエーテル基のうち、ビニルエーテル基のみを有する、請求項7又は8に記載の粘着組成物の製造方法。
  10. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘着組成物がシート状である粘着シート。
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