JP7210789B2 - シール部材 - Google Patents
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Description
弾性変形可能な基体と、
光反応性基を有するウレタンプレポリマーと、チオール基を有するポリチオールと、粘着付与樹脂と、を含む組成物を用いて、前記基体の表面の少なくとも一部に作製された光硬化皮膜と
を備えたシール部材であって、
前記光反応性基が、エチレン性不飽和結合を有する基であり、
前記粘着付与樹脂が、ロジン樹脂及び/又はテルペン樹脂を含み、
粘着付与樹脂の添加量が、前記ウレタンプレポリマー100質量部に対して0.5~20質量部であり、
前記ウレタンプレポリマーが、ポリイソシアネートとポリオールとの反応物に、前記反応物の末端と反応可能な、前記光反応性基を有する第一化合物と、を反応させて得られたものであり、
前記ポリチオールと前記ウレタンプレポリマーにおけるチオール-エン比は、0.5~2.0であり、
前記ポリチオールの平均官能基は、3官能以上であり、
前記ウレタンプレポリマーの重量平均分子量は、2,500~70,000である
ことを特徴とするシール部材である。
ここで、前記ウレタンプレポリマーが、ポリイソシアネートとポリオールとの反応物に、前記第一化合物と、前記反応物の末端と反応可能な、前記光反応性基を有しない第二化合物と、を反応させて得られたものであってもよい。
また、前記ウレタンプレポリマーの製造時における、前記第一化合物/前記第二化合物のモル比が、1~10であってもよい。
また、前記第一化合物/前記第二化合物のモル比が、2~8であってもよい。
また、粘着付与樹脂の添加量が、前記ウレタンプレポリマー100質量部に対して1~15質量部であってもよい。
本発明に係るシール部材は、弾性変形可能な独立気泡からなる基体と;光反応性基を有するウレタンプレポリマーと、ポリチオールと、粘着付与樹脂と、を含む組成物を用いて、前記基体の表面の少なくとも一部に作製された光硬化皮膜と;を備えている。以下、まず、各構成要素を説明する。
弾性変形可能な基体として、例えば、発泡体、具体的には、ゴム発泡体、合成樹脂発泡体等が挙げられる。例えば、ゴムスポンジ、ポリウレタン発泡体、ポリオレフィン発泡体等が挙げられる。発泡体の気泡膜が破損もしくは貫通し、連通状態となっている発泡体(連続気泡発泡体)を基体とした場合でも、部材間で圧縮されて使用されることで止水効果を奏するが、用途によっては止水性が十分でない場合がある。従って、基体は独立気泡からなる発泡体(独立気泡発泡体)であることが好ましい(独立気泡発泡体としては、一部の気泡が連通状態となっていてもよい)。なお、基体としては、特に独立気泡発泡体からなるゴムスポンジ、ポリオレフィン発泡体が好ましい。ここで、「弾性変形可能」な基体とは、一般的な弾性的性質を有する基体を指し、詳細には、外力が加えられた際に変形可能であり、かつ、外部応力が除荷された際に元の寸法に戻ろうとする弾性が働く基体を指す。尚、弾性の度合い(さらには、密度や硬度等)は用途等に応じて変更すればよい。また、基体の表面には、プライマー処理等の表面処理が施されていてもよい。
・構造
皮膜は、前記基体の表面の少なくとも一部に形成されている。また、前記基体の片面及び両面のいずれに形成されていてもよい。
<原料成分>
まず、シール部材を製造する際に使用される光硬化型皮膜形成用組成物における各原料成分を詳述する。
ウレタンプレポリマーは、光反応性基を有するウレタンプレポリマーである。以下、当該ウレタンプレポリマーを詳述する。ここで、光反応性基とは、X線、電子線、紫外線、可視光線等の照射により架橋し得る官能基である。より詳細には、当該ウレタンプレポリマーは、ポリイソシアネートとポリオールとの反応物に、第一化合物(前記反応物の末端と反応可能な、前記光反応性基を有する化合物)と、好適にはさらに第二化合物(前記反応物の末端と反応可能な、前記光反応性基を有しない化合物)と、を反応させて得られたものである。以下、まず、当該ウレタンプレポリマーを製造する際に使用する各種原料を説明する。
ウレタンプレポリマーの合成に用いられる「ポリイソシアネート」は、1つの分子に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であり、ウレタンプレポリマーの原料として通常に採用されるものであればよい。例えば、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート等が挙げられる。芳香族イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI(クルードMDI)、キシリレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。脂肪族イソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート等が挙げられる。脂環族イソシアネートとしては、例えば、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)等が挙げられる。それら種々のポリイソシアネートのうちの1種又は2種以上を併用したものを、上記ウレタンプレポリマーの原料として用いることが可能である。
ウレタンプレポリマーの合成に用いられる「ポリオール」は、1つの分子に2個以上の水酸基を有する化合物であり、ウレタンプレポリマーの原料として通常に採用されるものであればよい。例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合反応により得られるものがある。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上併用して用いることが可能である。多価カルボン酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられ、これらを1種又は2種以上併用して用いることが可能である。さらに、カプロラクトン、メチルバレロラクトン等を開環縮合して得られるポリエステルポリオールが挙げられる。また、ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール等の多価アルコールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のオキサイドを付加重合させたものが挙げられる。それら種々のポリオールのうちの1種又は2種以上を併用したものを、ウレタンプレポリマーの原料として用いることが可能である。
ウレタンプレポリマーの合成において、触媒を用いることが好ましい。触媒は、ウレタンプレポリマーの原料として通常に採用されるものであればよく、例えば、アミン系触媒、有機金属系触媒等が挙げられる。アミン系触媒としては、例えば、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノモルフォリン、N-エチルモルホリン等が挙げられる。有機金属系触媒としては、例えば、スターナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、オクテン酸鉛、オクチル酸カリウム等が挙げられる。それら種々の触媒のうちの1種又は2種以上を併用したものを、上記ウレタンプレポリマーの原料として用いることが可能である。
第一化合物は、ポリイソシアネートとポリオールとの反応物の末端と反応可能な、光反応性基を有する化合物である。ここで、「光反応性基」は、エチレン性不飽和結合(-C=C-)である。このような「光反応性基」としては、ビニルエーテル基(CH2=CH-O-)やメタクリレート基(CH3CH=CH2-COO-)やアクリレート基(CH2=CH2-COO-)やアリルエーテル基(CH2=CH-O-CH2-)が好適である。また、当該光反応性基を有する第一化合物は、ウレタンプレポリマーの末端(例えば、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基)に付加させることが可能なものであればよく、例えば、2-ヒドロエチルメタクリレート、アリルエーテルグリコール、ヒドロキシエチルアリルエーテル、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレートなどを挙げられる。
反応活性を高めるために、1官能の活性水素化合物が好ましい。また、第一化合物を1種又は2種以上用いてもよい。
第二化合物は、ポリイソシアネートとポリオールとの反応物の末端と反応可能な、前記反応物の末端と反応可能な、前記光反応性基を有しない化合物である。このため、第二化合物は、架橋反応には関与しないため架橋度が低くなり、形成された皮膜は柔軟性が高くなり、被着体との密着性が向上する。従って、このような第二化合物を用いることにより、より高い止水性を得ることが可能となる。このような第二化合物は、ウレタンプレポリマーの末端(例えば、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基)に付加させることが可能なものであり、且つ、前記光反応性基を有しないものであればよく、例えば、直鎖、分岐又は環状の1価アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、ペンタノール、イソペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、ヘキサノール、2-メチル-1-ペンタノール、オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、デカノール、ウンデカノール、1-ドデカノール、イソオクタデカノール、オクタデセノール、ドコサノール、14-メチルヘキサデカノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、2-エチルヘキシルグリコール等が挙げられ、グリコールエーテル類として、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングルコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル等が挙げられる。反応活性を高めるために、1官能の活性水素化合物が好ましい。また、第二化合物を1種又は2種以上用いてもよい。
第二化合物も一原料として用いる場合、当該ウレタンプレポリマーの製造時における、第一化合物/第二化合物のモル比が、好適には1~10であり、より好適には2~9であり、さらに好適には3~7である。当該モル比をこの範囲とすることにより、より高い止水性を得ることが可能となる。
粘着付与樹脂は、ロジン樹脂及び/又はテルペン樹脂を含む。ここで、ロジン樹脂としては、例えば、ロジン、水素化ロジン、不均化ロジン、エステル化ロジンが挙げられる。また、テルペン樹脂としては、例えば、無変性のテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水素化テルペン樹脂が挙げられる。
ポリチオールは、平均官能基が3官能以上である限り、どのようなポリチオールであってもよい。例えば、ポリチオールとしては、メルカプトカルボン酸と多価アルコールのエステル、脂肪族ポリチオール、芳香族ポリチオールを挙げることができる。メルカプトカルボン酸と多価アルコールのエステルにおけるメルカプトカルボン酸としては、チオグリコール酸、メルトカプトプロピオン酸等があり、多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。メルカプトカルボン酸と多価アルコールのエステルとして、例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(3-メルカプトプロピオネート)等を挙げることができる。 脂肪族ポリチオール、芳香族ポリチオールとして、エタンジチオール、プロパンジチオール、ヘキサメチレンジチオール、デカメチレンジチオール、トリレン-2,4-ジチオール、キシレンジチオール等を挙げることができる。なお、3官能以上のポリチオールを用いる場合には1種でもよいが、2官能のポリチオールを用いる場合には系に存在するポリチオールの平均官能基が3官能以上となるよう4官能以上のポリチオールを併用する。
光反応性基を有するウレタンプレポリマーとチオール基との光重合反応を効果的に行うべく、配合原料に、光重合開始剤を含むことが可能である。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系等の化合物が挙げられる。アセトフェノン系としては、例えば、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、4-(1-t-ブチルジオキシ-1-メチルエチル)アセトフェノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オンや2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等が挙げられる。ベンゾフェノン系としては、例えば、4-(1-t-ブチルジオキシ-1-メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′-テトラキス(t-ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4′-メチル-ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′-テトラ(t-ブチルパーオキシルカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-N,N-ジメチル-N-[2-(1-オキソ-2-プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4-ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。また、チオキサントン系としては、例えば、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、2-(3-ジメチルアミノ-2-ヒドロキシ)-3,4-ジメチル-9H-チオキサントン-9-オンメソクロリド等が挙げられる。
以上の原料成分の夫々は、1種使用しても、2種以上使用してもよい。
次に、シール部材を製造する際に使用される皮膜形成用組成物における原料成分の配合比等を詳述する。
皮膜形成用組成物における、ウレタンプレポリマーと粘着付与樹脂との配合比は、ウレタンプレポリマー100質量部に対して、0.5~20質量部であり、好適には0.75~15質量部であり、より好適には1~10質量部である。当該配合比をこの範囲とすることにより、より高い止水性を得ることが可能となる。
皮膜形成用組成物における、ポリチオールとウレタンプレポリマーにおけるチオール-エン比は、0.5~2.0であり、好適には0.65~1.5であり、より好適には0.8~1.2である。チオール-エン比をこの範囲とすることにより、より高い止水性を得ることが可能となる。なお、チオール-エン(二重結合)比は、チオールインデックスとして指標することも可能である。チオールインデックスは、チオール化合物中のチオール基のモル数の二重結合基のモル数に対する比に100を乗じた値であり、50~200である。
皮膜形成用組成物は、上記以外にも、適宜公知の添加剤や希釈剤を含んでいてもよいが、上記ウレタンプレポリマー及び上記チオール基を有するポリチオールが原料(組成物)における主成分であり、より具体的には、これらの合計の配合量が、原料(組成物)に対して90重量%であることが好ましく、95重量%であることがより好ましい。
次に、前記皮膜形成用組成物の製造方法と、前記基体及び前記皮膜形成用組成物を用いてのシール部材の製造方法と、を詳述する。
本皮膜形成用組成物は、上述した原料を上述した配合比にて撹拌混合することにより得られる。
図1は、本実施形態に係るシール部材の製造例の概要を示した図である。本シール部材の製造工程としては、基体に皮膜形成用の原料を付着させる付着工程と、付着工程において付着された原料に光を照射し、光重合反応により原料を硬化させる照射工程とを含む限りにおいて何ら限定されない{例えば、洗浄工程、乾燥工程及び加工工程(成形工程)等を含んでいてもよい}。以下、本シール部材の製造方法の一例について説明する。なお、基体については、公知の製造方法(発泡方法や硬化方法)に従って製造可能であるため、説明を省略する。
本発明に係るシール部材は、建築、土木、エレクトロニクス、自動車等において使用される、各部材間の隙間に充填・圧縮されるシール部材として有用である。特に、高い止水性が求められる、自動車、原動機付自転車及び鉄道車両等の車両ランプ用のシール材(車両用ランプを構成するモジュール部品用であって、ランプと筐体を封止するシール材)として好適である。
表1に従い、1リットル容量のセパラブルフラスコにポリイソシアネートを入れて、窒素を流しながらポリオールを攪拌しながら滴下した。滴下終了後、温度上昇に注意しながら触媒(DBTDL:ジブチルチンジラウレート 0.3g)を添加した。2時間反応させサンプルリングし、イソシアネート基含有率が、プレポリマーA~G:3.0~4.0%、プレポリマーH:0.6~0.8%、プレポリマーI:0.4~0.6%、プレポリマーJ:0.3~0.5%、プレポリマーK:15~16%であることを確認した。なお、イソシアネート含有率は、JIS Z1603-1:2007に基づく方法(ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法)に準拠して測定した。次に、表1に従い、ビニルエーテル又はメタクリレートと、モノオールと、を滴下し、2時間反応させた。反応後サンプルリングし、イソシアネート基含有率が0.1%以下になっていることを確認した。イソシアネート基含有率が0.1%以下の場合、反応完了とし生成物をウレタンプレポリマーとする。下記にプレポリマーの調製に用いられた原料を示す。
ポリオールa:ポリプロピレングリコール(PPG)、商品名アクトコールD1000(Mw:1000)、三井化学(株)
ポリオールb :ポリカーボネートジオール(PCD)、商品名:UP100(Mw:1000)、宇部興産(株)
ポリオールc :ポリプロピレングリコール(PPG)、商品名:プレミノールS4012(Mw:12000)、旭硝子(株)
ポリオールd :ポリプロピレングリコール(PPG)、商品名:プレミノールS4318(Mw: 18000)、旭硝子(株)
ポリオールe :ポリプロピレングリコール(PPG)、商品名:サンニックスPP-200(Mw:200)、三洋化成(株)
モノオール :2-エチルヘキシルグリコ-ル(Mw:174.3)、日本乳化剤(株)
ポリイソシアネート:TDI、商品名:ルプラネートT-80(Mw:174.2)、BASF社
ビニルエーテル :ヒドロキシブチルビニルエーテル(Mw:116.2)、日本カーバイド(株)
メタクリレート :2-ヒドロキシエチルメタクリレート(Mw:130.1)、(株)日本触媒
表2及び表3に従い、ウレタンプレポリマー、ポリチオール、粘着付与樹脂及び光重合開始剤を、80℃で5分間混合し、皮膜形成用組成物を得た。ここで、表2中、「光反応性基」は、光反応性基を有する第一化合物(ビニルエーテル、メタアクリレート)を意味し、「非光反応性基」は、光反応性基を有しない第二化合物(モノオール)を意味する。また、実施例1及び2では、仕込み原料として第二化合物を使用していないので、「光反応性基」/「非光反応性基」の項目を設けていない。下記に皮膜形成用組成物の原料を示した。
チオールA:トリメチロールプロパントリス、商品名:TMMP(Mw:398.5)、SC有機化学(株)
チオールB:ペンタエリスリトールテトラキス、商品名:PEMP(Mw:488.6)、SC有機化学(株)
チオールC:ジペンタエリスリトール ヘキサキス、商品名:DPMP(Mw:783.0)、SC有機化学(株)
チオールD:ブタンジオールビスチオプロピオネート、商品名:BDTP(Mw:266.4)、淀化学(株)
粘着付与樹脂A: ロジンエステル、商品名:スーパーエステルA100、荒川化学工業(株)
粘着付与樹脂B: テルペンフェノール、商品名:YSポリスターT-100、ヤスハラケミカル(株)
前記調製された皮膜形成用組成物を、離型処理されたPETフィルム(厚み38μm)の表面に、厚みが100μmになるように塗工した。次に、塗工された皮膜形成用組成物と、厚みが4.8mmの天然ゴム/スチレンブタジエンゴムブレンド系の発泡ゴムであるN-148(イノアックコーポレーション社製)とを貼り合わせ、塗工された皮膜形成用組成物をPETフィルム側から光照射(波長:365nm,照射量600mJ/cm2)して硬化させ、片面皮膜の発泡ゴムシートを得た。
続いて、前記調製された皮膜形成用組成物を、別に準備された離型処理されたPETフィルム(厚み38μm)の表面に、厚みが100μmになるように塗工した。塗工した皮膜形成用組成物と前記片側皮膜の発泡ゴムシートの発泡ゴム表面とを、貼り合わせ、さらに貼り合わせた皮膜形成用組成物にPETフィルム側から光照射(波長:365nm,照射量600mJ/cm2)して硬化させ、厚み(PETフィルムを除く)が5mmの両面皮膜の発泡ゴムシートのシール材を得た。
<塗装鋼板密着強度測定>
各実施例及び比較例のシール材の両面の剥離紙を取り除き、厚み5mm×φ50mmの試験サンプルに加工し、厚み3mm×φ50mmのアルミ板に、両面テープ(日東電工社製No.500)を用いて貼り合わせた。塗装鋼板は、厚みが1mmの高張力鋼の表面に、ポリエステル樹脂及びメラミン樹脂塗料(関西ペイント社製ネオアミラック6000)で塗装・乾燥したものを準備し、中央部にφ20mmの貫通孔を設けた。
前記試験サンプルを、試験サンプルの中心と、この塗装鋼板の貫通孔の中心とを、一致させるように設置した。
その後、圧縮率50%となるように荷重を印加し、5分間静置した。静置後、完全に除荷し、さらに15分間静置した。
静置後、塗装鋼板の貫通孔に、φ15mmの荷重伝達棒を5mm/min.で押し込み、試験サンプルが塗装鋼板から剥離した際の荷重を塗装鋼板密着強度とした。
各実施例及び比較例のシール材の両面の剥離紙を取り除き、外径60mm、内径40mm、厚み5mmの環状に加工した。試験サンプルを、塗装鋼板に接触させて図3のように設置した。
塗装鋼板は、厚みが1mmの高張力鋼の表面に、ポリエステル樹脂及びメラミン樹脂塗料(関西ペイント社製ネオアミラック6000)で塗装・乾燥したものを準備した。
続いて、試験サンプルの周辺に、厚み2.5mmのスペーサを設置し、試験サンプルの上からアクリル板を用いて、圧縮率が50%となるように圧縮してアクリル板を固定した。
試験サンプル設置後、24時間静置し、評価を開始した。環状の試験サンプルの内円部に蒸留水を満たしたのち、空気を供給し、5kPaの静圧をかけた。この状態を5分間保持し、水漏れがなければ、さらに空気を供給して、5kPaを加え、10kPaとし5分間保持した。この作業を水漏れが生じるまで繰り返し、水漏れの生じる圧力を測定した。
止水性評価は、下記評価基準とした。
◎:水漏れが生じる圧力が50kPa以上
○:水漏れが生じる圧力が30kPa以上50kPa未満
△:水漏れが生じる圧力が10kPa以上30kPa未満
×:水漏れが生じる圧力が10kPa未満
各実施例及び比較例における前記止水性試験後の試験サンプルを、前記塗装鋼板及びアクリル板から取り外した際に、前記塗装鋼板及びアクリル板の試験サンプルの貼付位置に皮膜の残渣が存在するか確認した。評価は目視で行い、残渣が無いものを○、残渣があるものを×とした。
実施例及び比較例の性能(塗装鋼板密着力、止水性評価、リワーク性、総合評価)を評価した。表2及び3にその結果を示す。結果から本発明の効果が理解できる。
11,21 : 試験サンプル
12 : アルミ板
13,23 : 塗装鋼板
14 : 高さ調整台
15 : 荷重伝達棒
20 : 止水性評価器
22 : アクリル板
24 : 水・エアー吹入口継手
25 : スペーサ
Claims (3)
- 光反応性基を有するウレタンプレポリマーと、ポリチオールと、粘着付与樹脂と、を含むシール部材用組成物であって、
前記光反応性基が、エチレン性不飽和結合を有する基であり、
前記粘着付与樹脂の添加量が、前記ウレタンプレポリマー100質量部に対して0.5~20質量部であり、
前記ポリチオールと前記ウレタンプレポリマーにおけるチオール-エン比は、0.5~2.0であり、
前記ポリチオールの平均官能基は、3官能以上であり、
前記ウレタンプレポリマーの重量平均分子量は、2,500~70,000である
ことを特徴とするシール部材用組成物。 - 弾性変形可能な基体と;
光反応性基を有するウレタンプレポリマーと、ポリチオールと、粘着付与樹脂と、を含む組成物を用いて、前記基体の表面の少なくとも一部に作製された光硬化皮膜と;
を備えたシール部材であって、
下記止水性評価により得られる、水漏れが生じる圧力が10kPa以上であることを特徴とするシール部材。
(止水性評価)
前記シール部材を、外径60mm、内径40mm、厚み5mmの環状に加工し、試験サンプルとする。
前記試験サンプルを塗装鋼板に設置する。
前記塗装鋼板は、厚みが1mmの高張力鋼の表面に、ポリエステル樹脂及びメラミン樹脂塗料(関西ペイント社製ネオアミラック6000)を塗装・乾燥したものを準備する。
続いて、前記試験サンプルの周辺に、厚み2.5mmのスペーサを設置し、前記試験サンプルの上からアクリル板を用いて、圧縮率が50%となるように圧縮して前記アクリル板を固定する。
前記試験サンプル設置後、24時間静置し、環状の前記試験サンプルの内円部に蒸留水を満たしたのち、空気を供給し、5kPaの静圧をかける。この状態を5分間保持し、水漏れがなければ、さらに空気を供給して、5kPaを加え、10kPaとし5分間保持する。この作業を水漏れが生じるまで繰り返し、水漏れの生じる圧力を測定する。 - 光反応性基を有するウレタンプレポリマーと、ポリチオールと、粘着付与樹脂と、を含むシール部材用組成物であって、
下記止水性評価により得られる、水漏れが生じる圧力が10kPa以上であることを特徴とするシール部材用組成物。
(止水性評価)
前記シール部材用組成物を用いて形成された皮膜を両面に有するシール部材を、外径60mm、内径40mm、厚み5mmの環状に加工し、試験サンプルとする。
前記試験サンプルを塗装鋼板に設置する。
前記塗装鋼板は、厚みが1mmの高張力鋼の表面に、ポリエステル樹脂及びメラミン樹脂塗料(関西ペイント社製ネオアミラック6000)を塗装・乾燥したものを準備する。
続いて、前記試験サンプルの周辺に、厚み2.5mmのスペーサを設置し、前記試験サンプルの上からアクリル板を用いて、圧縮率が50%となるように圧縮して前記アクリル板を固定する。
前記試験サンプル設置後、24時間静置し、環状の前記試験サンプルの内円部に蒸留水を満たしたのち、空気を供給し、5kPaの静圧をかける。この状態を5分間保持し、水漏れがなければ、さらに空気を供給して、5kPaを加え、10kPaとし5分間保持する。この作業を水漏れが生じるまで繰り返し、水漏れの生じる圧力を測定する。
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