JP2019189828A - シール部材 - Google Patents
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Abstract
Description
弾性変形可能な基体と、
末端に光反応性基を有し且つポリマー骨格内にポリエステル結合を含むウレタンプレポリマーと、ポリチオールと、を含む組成物を用いて、前記基体の表面の少なくとも一部に作製された光硬化皮膜と
を備えたシール部材であって、
前記光反応性基が、エチレン性不飽和結合を有する基であり、
前記ポリチオールと前記ウレタンプレポリマーにおけるチオール−エン比は、0.5〜2.0であり、
前記ポリチオールの平均官能基は、3官能以上であり、
前記ウレタンプレポリマーの重量平均分子量は、2,500〜70,000である
ことを特徴とするシール部材である。
ここで、前記ポリエステル結合が、ポリカーボネート結合であってもよい。
また、前記ウレタンプレポリマーが、ポリカーボネートジオール(PCD)とポリプロピレングリコール(PPG)を併用して得られたものであってもよい。この際、PCD/PPGのモル比が0.5以上であってもよい。
本発明に係るシール部材は、弾性変形可能な独立気泡からなる基体と;光反応性基を有するウレタンプレポリマーと、チオール基を有するポリチオールと、と、を含む組成物を用いて、前記基体の表面の少なくとも一部に作製された皮膜と;を備えている。以下、まず、各構成要素を説明する。
弾性変形可能な基体として、例えば、発泡体、具体的には、ゴム発泡体、合成樹脂発泡体等が挙げられる。例えば、ゴムスポンジ、ポリウレタン発泡体、ポリオレフィン発泡体等が挙げられる。発泡体の気泡膜が破損もしくは貫通し、連通状態となっている発泡体(連続気泡発泡体)を基体とした場合でも、部材間で圧縮されて使用されることで止水効果を奏するが、用途によっては止水性が十分でない場合がある。従って、基体は独立気泡からなる発泡体(独立気泡発泡体)であることが好ましい(独立気泡発泡体としては、一部の気泡が連通状態となっていてもよい)。なお、基体としては、特に独立気泡発泡体からなるゴムスポンジ、ポリオレフィン発泡体が好ましい。ここで、「弾性変形可能」な基体とは、一般的な弾性的性質を有する基体を指し、詳細には、外力が加えられた際に変形可能であり、かつ、外部応力が除荷された際に元の寸法に戻ろうとする弾性が働く基体を指す。なお、弾性の度合い(さらには、密度や硬度等)は用途等に応じて変更すればよい。また、基体の表面には、プライマー処理等の表面処理が施されていてもよい。
・構造
皮膜は、前記基体の表面の少なくとも一部に形成されている。また、前記基体の片面及び両面のいずれに形成されていてもよい。
<原料成分>
まず、シール部材を製造する際に使用される皮膜形成用組成物における各原料成分を詳述する。
ウレタンプレポリマーは、末端に光反応性基を有し且つポリマー骨格内にポリエステル結合を含むウレタンプレポリマーである。ここで、光反応性基とは、X線、電子線、紫外線、可視光線等の照射により架橋し得る官能基である。より詳細には、当該ウレタンプレポリマーは、ポリイソシアネートとポリオールとの反応物に光反応性基含有化合物(前記反応物の末端と反応可能な、前記光反応性基を有する化合物)を反応させて得られたものである。以下、まず、当該ウレタンプレポリマーを製造する際に使用する各種原料を説明する。
ウレタンプレポリマーの合成に用いられる「ポリイソシアネート」は、1つの分子に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であり、ウレタンプレポリマーの原料として通常に採用されるものであればよい。例えば、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート等が挙げられる。芳香族イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI(クルードMDI)、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。脂肪族イソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート等が挙げられる。脂環族イソシアネートとしては、例えば、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)等が挙げられる。それら種々のポリイソシアネートのうちの1種又は2種以上を併用したものを、上記ウレタンプレポリマーの原料として用いることが可能である。
ウレタンプレポリマーの合成に用いられる「ポリオール」は、典型的には、1つの分子に2個以上の水酸基を有し、且つ、骨格内にポリエステル骨格を有する化合物である(即ち、ポリエステルポリオール)。ここで、「ポリエステル」には、炭酸エステル結合(−O−CO−O−)からなる骨格、即ち、ポリカーボネート骨格も含む。そして、ポリエステル骨格の中では、このポリカーボネート骨格のものが、耐エタノール性により有効である。
ウレタンプレポリマーの合成において、触媒を用いることが好ましい。触媒は、ウレタンプレポリマーの原料として通常に採用されるものであればよく、例えば、アミン系触媒、有機金属系触媒等が挙げられる。アミン系触媒としては、例えば、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノモルフォリン、N−エチルモルホリン等が挙げられる。有機金属系触媒としては、例えば、スターナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、オクテン酸鉛、オクチル酸カリウム等が挙げられる。それら種々の触媒のうちの1種又は2種以上を併用したものを、上記ウレタンプレポリマーの原料として用いることが可能である。
光反応性基含有化合物は、ポリイソシアネートとポリオールとの反応物の末端と反応可能な、光反応性基を有する化合物である。ここで、「光反応性基」は、エチレン性不飽和結合(−C=C−)である。このような「光反応性基」としては、ビニルエーテル基(CH2=CH−O−)やメタアクリレート基(CH3CH=CH2−COO−)アクリレート基(CH2=CH2−COO−)やアリルエーテル基(CH2=CH−O−CH2−)が好適である。また、当該光反応性基を有する第一化合物は、ウレタンプレポリマーの末端(例えば、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基)に付加させることが可能なものであればよく、例えば、2−ヒドロエチルメタクリレート、アリルエーテルグリコール、ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなど、が挙げられる。反応活性を高めるために、1官能の活性水素化合物が好ましい。また、光反応性基含有化合物を1種又は2種以上用いてもよい。
ポリチオールは、平均官能基が3官能以上である限り、どのようなポリチオールであってもよい。例えば、ポリチオールとしては、メルカプトカルボン酸と多価アルコールのエステル、脂肪族ポリチオール、芳香族ポリチオールを挙げることができる。メルカプトカルボン酸と多価アルコールのエステルにおけるメルカプトカルボン酸としては、チオグリコール酸、メルトカプトプロピオン酸等があり、多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。メルカプトカルボン酸と多価アルコールのエステルとして、例えば、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(3−メルカプトプロピオネート)等を挙げることができる。 脂肪族ポリチオール、芳香族ポリチオールとして、エタンジチオール、プロパンジチオール、ヘキサメチレンジチオール、デカメチレンジチオール、トリレン−2,4−ジチオール、キシレンジチオール等を挙げることができる。なお、3官能以上のポリチオールを用いる場合には1種でもよいが、2官能のポリチオールを用いる場合には系に存在するポリチオールの平均官能基が3官能以上となるよう4官能以上のポリチオールを併用する。
光反応性基を有するウレタンプレポリマーとチオール基との光重合反応を効果的に行うべく、配合原料に、光重合開始剤を含むことが可能である。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系等の化合物が挙げられる。アセトフェノン系としては、例えば、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)アセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等が挙げられる。ベンゾフェノン系としては、例えば、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシルカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。また、チオキサントン系としては、例えば、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等が挙げられる。
以上の原料成分の夫々は、1種使用しても、2種以上使用してもよい。
次に、シール部材を製造する際に使用される皮膜形成用組成物における原料成分の配合比等を詳述する。
皮膜形成用組成物における、ポリチオールとウレタンプレポリマーにおけるチオール−エン比は、0.5〜2.0であり、好適には0.65〜1.5であり、より好適には0.8〜1.2である。チオール−エン比をこの範囲とすることにより、より高い止水性を得ることが可能となる。なお、チオール−エン(二重結合)比は、チオールインデックスとして指標することも可能である。チオールインデックスは、チオール化合物中のチオール基のモル数の二重結合基のモル数に対する比に100を乗じた値であり、50〜200である。
光重合開始剤の含有量は、上記ウレタンプレポリマーの100重量部当たり0.01〜5重量部であることが好ましく、さらに言えば、0.1〜3重量部であることが好ましい。光重合開始剤の含有量がこのような範囲内であると、光重合開始能力が十分となり、原料の重合が速やかに行われると共に、重合が過度に促進されることもなく、架橋密度が高くなり過ぎたり、架橋構造が不均一に形成されたりすることを防止可能である。
皮膜形成用組成物は、上記以外にも、適宜公知の添加剤や希釈剤を含んでいてもよいが、上記ウレタンプレポリマー及び上記チオール基を有するポリチオールが原料(組成物)における主成分であり、より具体的には、これらの合計の配合量が、原料(組成物)に対して90重量%であることが好ましく、95重量%であることがより好ましい。
次に、前記皮膜形成用組成物の製造方法と、前記基体及び前記皮膜形成用組成物を用いてのシール部材の製造方法と、を詳述する。
本皮膜形成用組成物は、上述した原料を上述した配合比にて撹拌混合することにより得られる。
図1は、本実施形態に係るシール部材の製造例の概要を示した図である。本シール部材の製造工程としては、基体に皮膜形成用の原料を付着させる付着工程と、付着工程において付着された原料に光を照射し、光重合反応により原料を硬化させる照射工程とを含む限りにおいて何ら限定されない{例えば、洗浄工程、乾燥工程及び加工工程(成形工程)等を含んでいてもよい}。以下、本シール部材の製造方法の一例について説明する。なお、基体については、公知の製造方法(発泡方法や硬化方法)に従って製造可能であるため、説明を省略する。
本発明に係るシール部材は、建築、土木、エレクトロニクス、自動車等において使用される、各部材間の隙間に充填・圧縮されるシール部材として有用である。特に、高い止水性が求められる、自動車、原動機付自転車及び鉄道車両等の車両ランプ用のシール材(車両用ランプを構成するモジュール部品用であって、ランプと筐体を封止するシール材)として好適である。
表1に従い、1リットル容量のセパラブルフラスコにポリイソシアネートを入れて、窒素を流しながらポリオールを攪拌しながら滴下した。滴下終了後、温度上昇に注意しながら触媒(DBTDL:ジブチルチンジラウレート 0.3g)を添加した。2時間反応させサンプルリングし、イソシアネート基含有率が、プレポリマーA〜E、G、H:3〜4%、F:1〜2%、I: 6〜7%、J:0.8〜0.9%、K:0.5〜0.6%、L:0.35〜0.45%、M:0.25〜0.35%、N:12.5〜13.5%であることを確認した。なお、イソシアネート含有率は、JIS Z1603−1:2007に基づく方法(ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法)に準拠して測定した。次に、ビニルエーテル又はメタクリレートを滴下し2時間反応させた。反応後サンプルリングし、イソシアネート基含有率が0.1%以下になっていることを確認した。イソシアネート基含有率が0.1%以下の場合、反応完了とし生成物をウレタンプレポリマーとする。下記にプレポリマーの調製に用いられた原料を示す。
ポリオールa:ポリエステルポリオール、商品名:CA4020(Mw:2000)、CHANDA CHEMICAL
ポリオールb:ポリカーボネートジオール(PCD)、商品名:UP200(Mw:2000)、宇部興産(株)
ポリオールc:ポリカーボネートジオール(PCD)、商品名:UP100(Mw:1000)、宇部興産(株)
ポリオールd:ポリカーボネートジオール(PCD)、商品名:UP50(Mw:500)、宇部興産(株)
ポリオールe:ポリプロピレングリコール(PPG)、商品名:アクトコールD1000(Mw:1000)、三井化学(株)
ポリオールf:ポリプロピレングリコール(PPG)、商品名:プレミノールS4012(Mw:12000)、旭硝子(株)
ポリオールg:ポリプロピレングリコール(PPG)、商品名:プレミノールS4318(Mw:18000)、旭硝子(株)
ポリオールh:ポリプロピレングリコール(PPG)、商品名:サンニックスPP−200(Mw:200)、三洋化成(株)
ポリイソシアネート:TDI、商品名:ルプラネートT−80(Mw: 174.2) BASF
ビニルエーテル:ヒドロキシブチルビニルエーテル(Mw:116.2)、日本カーバイド(株)
メタクリレート:2−ヒドロキシエチルメタクリレート(Mw:130.1)、(株)日本触媒
表2及び表3に従い、ウレタンプレポリマー及びポリチオールを、80℃で5分間混合し、皮膜形成用組成物を得た。下記に皮膜形成用組成物の原料を示した。
チオールA:トリメチロールプロパントリス 商品名:TMMP(Mw:398.5)、 SC有機化学(株)
チオールB:ペンタエリスリトールテトラキス、商品名:PEMP(Mw:488.6)、 SC有機化学(株)
チオールC:ジペンタエリスリトールヘキサキス、商品名:DPMP(Mw:783.0)、SC有機化学(株)
チオールD:ブタンジオールビスチオプロピオネート、商品名:BDTP(Mw:266.4)、淀化学(株)
前記調製された皮膜形成用組成物を、離型処理されたPETフィルム(厚み38μm)の表面に、厚みが100μmになるように塗工した。次に、塗工された皮膜形成用組成物と、厚みが4.8mmの天然ゴム/スチレンブタジエンゴムブレンド系の発泡ゴムであるN−148(イノアックコーポレーション社製)とを貼り合わせ、塗工された皮膜形成用組成物をPETフィルム側から光照射(波長:365nm,照射量600mJ/cm2)して硬化させ、片面皮膜の発泡ゴムシートを得た。
続いて、前記調製された皮膜形成用組成物を、別に準備された離型処理されたPETフィルム(厚み38μm)の表面に、厚みが100μmになるように塗工した。塗工した皮膜形成用組成物と前記片側皮膜の発泡ゴムシートの発泡ゴム表面とを、貼り合わせ、さらに貼り合わせた皮膜形成用組成物にPETフィルム側から光照射(波長:365nm,照射量600mJ/cm2)して硬化させ、厚み(PETフィルムを除く)が5mmの両面皮膜の発泡ゴムシートのシール材を得た。
<耐エタノール性>
各実施例及び比較例のシール材を2cm×4cmサイズに加工し、試験サンプルとした。前記試験サンプルを、常温・常圧の環境下でエタノールに浸漬させ、30分放置し皮膜の浮き剥がれを確認した。ここで常温・常圧とは、JIS Z8703−1983の規定に従った。具体的には、20±15℃、65±20RH%とした。
図2に示したように、皮膜が基体である発泡ゴムから完全に剥離したものは×、剥離はないがシワが発生したものは△、変化がないものは〇とした。
各実施例及び比較例の皮膜形成用組成物を、離型処理されたPETフィルム(厚み38μm)の表面に、厚みが100μmになるように塗工し、皮膜形成用組成物側から光照射(波長:365nm,照射量600mJ/cm2)して硬化させた。得られた皮膜を2cm×4cmサイズに加工し、試験サンプルとした。前記試験サンプルを常温・常圧の環境下でエタノールに浸漬させ、30分放置し皮膜の寸法変化を確認した。試験サンプルの面積変化を膨潤率とした。ここで常温・常圧とは、JIS Z8703−1983の規定に従った。具体的には、20±15℃、65±20RH%とした。面積変化は、各辺の長さを測定し、四角形の面積として計算したのち、試験前の面積(2cm×4cm)で除し、100倍した。従って、100%は、試験前後での変化がない結果となり、数値が大きいほど膨潤していることになる。
止水性評価は、各実施例及び比較例のシール材について、膨潤性評価と同じ条件で、エタノールに浸漬した試験サンプルを準備し、エタノールへの浸漬の有無の各試験サンプルについて評価した。
各試験サンプルは、外径60mm、内径40mm、厚み5mmの環状に加工した。試験サンプルを、塗装鋼板に接触させて図3のように設置した。
塗装鋼板は、厚みが1mmの高張力鋼の表面に、ポリエステル樹脂及びメラミン樹脂塗料(関西ペイント社製ネオアミラック6000)で塗装・乾燥したものを準備した。
続いて、試験サンプルの周辺に、厚み2.5mmのスペーサを設置し、試験サンプルの上からアクリル板を用いて、圧縮率が50%となるように圧縮してアクリル板を固定した。
試験サンプル設置後、24時間静置し、評価を開始した。環状の試験サンプルの内円部に蒸留水を満たしたのち、空気を供給し、5kPaの静圧をかけた。この状態を5分間保持し、水漏れがなければ、さらに空気を供給して、5kPaを加え、10kPaとし5分間保持した。この作業を水漏れが生じるまで繰り返し、水漏れの生じる圧力を測定した。
止水性評価は、下記評価基準とした。
○:水漏れが生じる圧力が30kPa以上
△:水漏れが生じる圧力が10kPa以上30kPa未満
×:水漏れが生じる圧力が10kPa未満
実施例及び比較例の性能(耐エタノール性、膨潤率、止水性評価、総合評価)を評価した。表2及び表3にその結果を示す。
11 : 試験サンプル
12 : アクリル板
13 : 塗装鋼板
14 : 水・エアー吹入口継手
15 : スペーサ
Claims (4)
- 弾性変形可能な基体と;
末端に光反応性基を有し且つポリマー骨格内にポリエステル結合を含むウレタンプレポリマーと、ポリチオールと、を含む組成物を用いて、前記基体の表面の少なくとも一部に作製された光硬化皮膜と;
を備えたシール部材であって、
前記光反応性基が、エチレン性不飽和結合を有する基であり、
前記ポリチオールと前記ウレタンプレポリマーにおけるチオール−エン比は、0.5〜2.0であり、
前記ポリチオールの平均官能基は、3官能以上であり、
前記ウレタンプレポリマーの重量平均分子量は、2,500〜70,000である
ことを特徴とするシール部材。 - 前記ポリエステル結合が、ポリカーボネート結合である、請求項1記載のシール部材。
- 前記ウレタンプレポリマーが、ポリカーボネートジオール(PCD)とポリプロピレングリコール(PPG)を併用して得られたものである、請求項1又は2記載のシール部材。
- PCD/PPGのモル比が0.5以上である、請求項3記載のシール部材。
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