JP6545994B2 - 粘着組成物、粘着組成物の製造方法および、粘性流体 - Google Patents

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本発明は、ポリチオールをエンチオール反応によって光重合させて硬化形成される粘着組成物、その粘着組成物の製造方法および、粘性流体に関する。
粘着組成物は、液状の配合原料を熱等により硬化させることで形成されるが、例えば、溶剤系の粘着剤原料を採用した場合には、接着剤中の溶剤を除去するために乾燥工程が必要であり、手間である。また、溶剤の使用により、人体,環境等に悪影響を及ぼす虞がある。このため、下記特許文献1〜3に記載されているように、液状の配合原料として、光重合反応により硬化する粘着剤原料を採用し、光を照射することで、粘着組成物を形成するための技術が開発されていている。
また、粘着組成物は、建築物の内装材の固定、自動車の内装材の固定、電子部品の固定等、様々な分野において使用されており、粘着組成物の用途によって、VOC(揮発性有機化合物:Volatile Organic Compoundsの略)が問題視されている。このため、VOCの少ない粘着組成物が望まれており、特に、VOCの中でもアセトアルデヒドが問題視されているため、極力、アセトアルデヒドの少ない粘着組成物が望まれている。下記特許文献に4〜7は、粘着組成物のアセトアルデヒド含有量を低減させるための技術が記載されている。
特許5437156号公報 特開平5−255417号公報 特開2003−277695号公報 特開2013−181095号公報 特開2009−001606号公報 特開2008−239839号公報 特開2008−138034号公報
上記特許文献1〜3の技術を用いることで、溶剤系の粘着剤原料の問題点を解消することが可能となる。ただし、アクリル系の粘着剤原料を採用すると、アクリル系の配合原料には、空気(酸素)の存在により、硬化し難いという性質があり、空気を遮断した状態で配合原料を硬化させる必要がある。このため、例えば、窒素等が充填された空間内で、光を照射し、配合原料を硬化させているが、製造設備が複雑化する。また、例えば、フィルム等によって覆われた配合原料に光を照射することで、配合原料を硬化させているが、フィルムの剥離工程が必要であり、生産性が悪い。また、光の照射によるエンチオール反応を利用して粘着剤原料を硬化させた場合には、モノチオールの存在により、粘着力が低下することもある。
このため、空気の存在下において、適度な粘着力を有する粘着組成物を形成することが望まれている。ただし、このような粘着組成物が形成されても、その粘着組成物のアセトアルデヒド含有量が高い場合には、粘着組成物の用途によって、使用されない。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、空気の存在下においても、粘着剤原料を適切に硬化させて、適度な粘着力を有する粘着組成物であって、アセトアルデヒド含有量の極力少ない粘着組成物の提供を課題とする。
本発明の粘着組成物は、アリルエーテル基とアクリレート基との少なくとも一方で末端官能基が形成されてなるウレタンプレポリマーと、チオール基を有するポリチオールと、粘着付与剤とからなる粘性流体を、光重合反応により硬化させ、前記粘着付与剤が、モノオールと、重量平均分子量が3000以下のポリオールと、イソシアネートとからなる第1の粘着付与剤と、前記第1の粘着付与剤と異なる種類の第2の粘着付与剤とからなり、前記粘着付与剤に対する前記第1の粘着付与剤の比率が、0.3〜0.63であり、前記ウレタンプレポリマー100重量部に対し、前記粘着付与剤の量が、20〜45重量部であり、前記ポリチオールの平均官能基数が、3.0〜4.0であることで形成されることを特徴とする。
また、本発明の粘着組成物の製造方法は、アリルエーテル基とアクリレート基との少なくとも一方で末端官能基が形成されてなるウレタンプレポリマーと、チオール基を有するポリチオールと、粘着付与剤とを混合する混合工程と、前記混合工程において混合された原料に光を照射する照射工程とを含み、光重合反応により粘着組成物を製造する製造方法であって、前記粘着付与剤が、モノオールと、重量平均分子量が3000以下のポリオールと、イソシアネートとからなる第1の粘着付与剤と、前記第1の粘着付与剤と異なる種類の第2の粘着付与剤とからなり、前記粘着付与剤に対する前記第1の粘着付与剤の比率が、0.3〜0.63であり、前記ウレタンプレポリマー100重量部に対し、前記粘着付与剤の量が、20〜45重量部であり、前記ポリチオールの平均官能基数が、3.0〜4.0であることを特徴とする。また、本発明の粘性流体は、アリルエーテル基とアクリレート基との少なくとも一方で末端官能基が形成されてなるウレタンプレポリマーと、チオール基を有するポリチオールと、粘着付与剤とからなる粘性流体であって、前記粘着付与剤が、モノオールと、重量平均分子量が3000以下のポリオールと、イソシアネートとからなる第1の粘着付与剤と、前記第1の粘着付与剤と異なる種類の第2の粘着付与剤とからなり、前記粘着付与剤に対する前記第1の粘着付与剤の比率が、0.3〜0.63であり、前記ウレタンプレポリマー100重量部に対し、前記粘着付与剤の量が、20〜45重量部であり、前記ポリチオールの平均官能基数が、3.0〜4.0であることを特徴とする。
本発明の粘着組成物、および粘着組成物の製造方法では、光の照射により、アリルエーテル基とアクリレート基との少なくとも一方と、チオール基とのエンチオール反応が生じ、粘性流体が硬化する。これにより、空気の存在下においても、粘性流体を適切に硬化させることが可能となる。また、粘性流体に、チオール基を複数有するポリチオールが含まれている。このため、分子が網目状に架橋し、適切な粘着力を有する粘着組成物を得ることが可能となる。さらに、粘性流体の原料には、アセトアルデヒドの発生要因となるものが含まれていない。このため、粘着組成物のアセトアルデヒド含有量を極力少なくすることが可能となる。
剥離強度の測定方法を概略的に示す図である。 耐熱保持力の測定方法を概略的に示す図である。 ウレタンフォームと粘着組成物との密着性の測定方法を概略的に示す図である。 実施例1〜5の粘着組成物の原料の配合量(チオールはモル比、その他の原料は重量部)、および、実施例1〜5の粘着組成物の物性評価を示す表である。 実施例6〜10の粘着組成物の原料の配合量(チオールはモル比、その他の原料は重量部)、および、実施例6〜10の粘着組成物の物性評価を示す表である。 実施例11〜14の粘着組成物の原料の配合量((チオールはモル比、その他の原料は重量部)、および、実施例11〜14の粘着組成物の物性評価を示す表である。 比較例1〜4の粘着組成物の原料の配合量(チオールはモル比、その他の原料は重量部)、および、比較例1〜4の粘着組成物の物性評価を示す表である。 比較例5〜7の粘着組成物の原料の配合量(チオールはモル比、その他の原料は重量部)、および、比較例5〜7の粘着組成物の物性評価を示す表である。 図4〜8に示す粘着付与剤A、Bを製造するための原料の配合量(重量部)を示す表である。 図4〜8に示すプレポリマーA〜Cを製造するための原料の配合量(重量部)を示す表である。
本発明に記載の「粘着組成物」は、アリルエーテル基とアクリレート基との少なくとも一方で末端官能基が形成されてなるウレタンプレポリマーと、チオール基を有するポリチオールと、粘着付与剤とからなる粘性流体を、光重合反応により硬化させることで、形成される。なお、本明細書での粘性流体とは、ウレタンプレポリマーとポリチオールと粘着付与剤との混合により粘性を生じた液体を示す。
アリルエーテル基とアクリレート基との少なくとも一方で末端官能基が形成されてなるウレタンプレポリマーは、ポリオールとポリイソシアネートとから合成されたウレタンプレポリマーに、アリルエーテル基とビニルエーテル基との少なくとも一方を有する化合物を付加することで製造される。ちなみに、上記ウレタンプレポリマーの重量平均分子量は、高過ぎると、粘性流体の粘度が高くなり、流動性が悪くなるため、生産性が低くなる。一方、上記ウレタンプレポリマーの重量平均分子量は、低過ぎると、粘性流体の粘度が低くなり、粘着層の厚さを任意に調整し難くなる。このため、上記ウレタンプレポリマーの重量平均分子量は、1800〜18000であることが好ましい。さらに言えば、2000〜15000であることが好ましく、特に、2500〜12000であることが好ましい。また、官能基数は、1〜3であることが好ましく、特に2であることが好ましい。
上記ウレタンプレポリマーの合成に用いられる「ポリイソシアネート」は、1つの分子に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であり、ウレタンプレポリマーの原料として通常に採用されるものであればよい。例えば、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート等が挙げられる。芳香族イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI(クルードMDI)、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。脂肪族イソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート等が挙げられる。脂環族イソシアネートとしては、例えば、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)等が挙げられる。それら種々のポリイソシアネートのうちの1種または2種以上を併用したものを、上記ウレタンプレポリマーの原料として用いることが可能である。
また、上記ウレタンプレポリマーの合成に用いられる「ポリオール」は、1つの分子に2個以上の水酸基を有する化合物であり、ウレタンプレポリマーの原料として通常に採用されるものであればよい。例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合反応により得られるものがある。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられ、これらを1種または2種以上併用して用いることが可能である。多価カルボン酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられ、これらを1種または2種以上併用して用いることが可能である。さらに、カプロラクトン、メチルバレロラクトン等を開環縮合して得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
また、ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール等の多価アルコールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のオキサイドを付加重合させたものが挙げられる。それら種々のポリオールのうちの1種または2種以上を併用したものを、上記ウレタンプレポリマーの原料として用いることが可能である。
また、上記ウレタンプレポリマーの合成において、触媒を用いることが好ましい。触媒は、ウレタンプレポリマーの原料として通常に採用されるものであればよく、例えば、アミン系触媒、有機金属系触媒等が挙げられる。アミン系触媒としては、例えば、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノモルフォリン、N−エチルモルホリン等が挙げられる。有機金属系触媒としては、例えば、スターナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、オクテン酸鉛、オクチル酸カリウム等が挙げられる。それら種々の触媒のうちの1種または2種以上を併用したものを、上記ウレタンプレポリマーの原料として用いることが可能である。
合成されたウレタンプレポリマーに付加させるアリルエーテル基とアクリレート基との少なくとも一方を有する化合物は、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基に付加させることが可能なものであればよく、アリルエーテルグリコール,ヒドロキシエチルアリルエーテル,ヒドロキシエチルアクリレート等が挙げられる。反応活性を高めるために、1官能の活性水素化合物が好ましく、二重結合が高分子両末端近傍にあるのが好ましい。
上記ウレタンプレポリマーとエンチオール反応するポリチオールとしては、メルカプトカルボン酸と多価アルコールとのエステル、脂肪族ポリチオール、芳香族ポリチオールが挙げられる。脂肪族ポリチオール、芳香族ポリチオールとしては、エタンジチオール、プロパンジチオール、ヘキサメチレンジチオール、デカメチレンジチオール、トリレン−2,4−ジチオール、キシレンジチオール等が挙げられる。
また、メルカプトカルボン酸と多価アルコールとのエステルでは、メルカプトカルボン酸として、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸等が挙げられ、多価アルコールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びソルビトール等が挙げられる。これらの中では、臭気が少ない点で、メルカプトカルボン酸と多価アルコールとのエステル類が好ましく、具体的には、例えば、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(3−メルカプトプロピオネート)が挙げられる。なお、それら種々のポリチオールのうちの1種または2種以上を併用したものを、上記ウレタンプレポリマーとのエンチオール反応の原料として用いることが可能である。
また、粘着付与剤は、高分子材料に配合されると可塑化作用により粘着性を発揮するものであればよいが、粘着組成物の粘着付与剤として、ウレタン系の粘着付与剤を採用することで、ウレタンフォームと密着性の高い粘着組成物を製造することが可能となる。詳しくは、ウレタンフォームは、断熱性、吸音性等に優れているため、断熱材、吸音材、緩衝材として用いられる。この際、ウレタンフォームは、粘着組成物によって、被着体に貼着される。このため、ウレタンフォームとの密着性の高い粘着組成物が求められており、粘着組成物の粘着付与剤として、ウレタン系の粘着付与剤を採用することで、ウレタンフォームと密着性の高い粘着組成物を製造することが可能となる。なお、ウレタン系の粘着付与剤は、モノオールと、ポリオールと、イソシアネートとからなり、ポリオールとイソシアネートとを反応させた後に、モノオールを反応させることで、末端にモノオールの水酸基が結合されたウレタン系の粘着付与剤が製造される。
粘着付与剤に用いられる「ポリオール」は、上記ウレタンプレポリマーに用いられる「ポリオール」と同様のものを採用することが可能である。なお、上記ウレタンプレポリマーに用いられる「ポリオール」と、ウレタン系の粘着付与剤に用いられる「ポリオール」とで、同じ種類のポリオールを採用することが好ましいが、異なる種類のポリオールを採用することも可能である。
また、粘着付与剤に用いられる「ポリイソシアネート」は、上記ウレタンプレポリマーに用いられる「ポリイソシアネート」と同様のものを採用することが可能である。なお、上記ウレタンプレポリマーに用いられる「ポリイソシアネート」と、ウレタン系の粘着付与剤に用いられる「ポリイソシアネート」とで、同じ種類のポリイソシアネートを採用することが好ましいが、異なる種類のポリイソシアネートを採用することも可能である。ただし、粘着付与剤を含有する粘着組成物の密着性を考慮した場合、ポリイソシアネートとして、MDIを採用することが好ましい。
そして、上記ポリオールとポリイソシアネートとを混合し、イソシアネート基含有率が、数%以下となるまで反応させる。そして、モノオールをゆっくりと滴下し、所定時間、反応させる。この際、イソシアネート基含有率が、1%未満となるまで反応させることで、ウレタン系の粘着付与剤が製造される。
また、粘着組成物の粘着付与剤として、上記ウレタン系の粘着付与剤だけでなく、異なる種類の粘着付与剤も、採用することが好ましい。上記ウレタン系の粘着付与剤と異なる種類の粘着付与剤としては、ロジン系粘着付与剤、重合ロジン系粘着付与剤、ロジンエステル系粘着付与剤、重合ロジンエステル系粘着付与剤、テルペン系粘着付与剤、テルペンフェノール系粘着付与剤、クマロン系粘着付与剤、クマロンインデン系粘着付与剤、スチレン樹脂系粘着付与剤、キシレン樹脂系粘着付与剤、フェノール樹脂系粘着付与剤、石油樹脂系粘着付与剤等が挙げられるが、それら複数種類の粘着付与剤の中で、ロジン系粘着付与剤、テルペン系粘着付与剤が好ましい。
また、ウレタンプレポリマーとポリチオールとに配合される粘着付与剤として、上記ウレタン系の粘着付与剤(以下、「第1の粘着付与剤」と記載する場合がある)と、そのウレタン系の粘着付与剤と異なる種類の粘着付与剤(以下、「第2の粘着付与剤」と記載する場合がある)とが採用される場合に、第1の粘着付与剤の比率が低すぎると、ウレタンフォームとの密着性が低下する虞がある。このため。ウレタンプレポリマーとポリチオールとに配合される粘着付与剤に対する第1の粘着付与剤の比率(以下、「ウレタン系粘着付与剤比率」と記載する場合がある)は、0.3以上1.0未満であることが好ましい。なお、ウレタンプレポリマーとポリチオールとに配合される粘着付与剤として、第1の粘着付与剤のみが採用される場合には、ウレタン系粘着付与剤比率は1となる。このため、ウレタン系粘着付与剤比率は、0.3〜1.0であることが好ましい。
なお、粘着付与剤の配合量が多すぎると、配合原料が硬化しない。一方、粘着付与剤の配合量が少なすぎると、粘着組成物の粘着力が低下する。このため、粘着付与剤の配合量は、ウレタンプレポリマーの配合量を100重量部とした場合に、20〜45重量部であることが好ましい。さらに好ましくは、25〜40重量部、より好ましくは、30〜35重量部であることが好ましい。
また、上述したアリルエーテル基とアクリレート基との少なくとも一方を複数有するウレタンプレポリマーと、ポリチオールと、粘着付与剤とを混合し、光を照射することで、エンチオール反応によって、適切な粘着力を発揮する粘着組成物を得ることが可能となっている。また、上述したポリチオールとして、チオール基の平均官能基数が3〜4のチオールを使用することで、より適切な粘着力を備えた粘着組成物を得ることが可能となっている。また、上述したポリチオールとして、チオール基が3個以上のチオールを使用することでも、適切な粘着力を備えた粘着組成物を得ることが可能となっている。すなわち、2官能のウレタンプレポリマーに対して、架橋構造を形成できる3官能のポリチオールを使用することで、適度な物理的強度等の特性を有する粘着剤が得られる。
また、ウレタンプレポリマーに付加されたアリルエーテル基、若しくはアクリレート基と、チオール基との光重合反応を効果的に行うべく、配合原料に、光重合開始剤を含むことが可能である。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系等の化合物が挙げられる。アセトフェノン系としては、例えば、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)アセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等が挙げられる。
ベンゾフェノン系としては、例えば、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシルカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。また、チオキサントン系としては、例えば、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等が挙げられる。
なお、光重合開始剤の含有量は、上記ウレタンプレポリマーの100重量部当たり0.01〜5重量部であることが好ましく、さらに言えば、0.1〜3重量部であることが好ましい。光重合開始剤の含有量が少なすぎると、光重合開始能力が不足し、原料の重合が速やかに行われず、好ましくない。一方、光重合開始剤の含有量が多すぎると、重合が過度に促進され、架橋密度が高くなり過ぎたり、架橋構造が不均一に形成されたりして好ましくない。
また、上述した粘性流体を用いて粘着組成物が形成される際には、発泡体,不織布,高分子フィルム等の基材上に、粘性流体が塗布される。そして、空気の存在下において、塗布された粘性流体に紫外線が照射されることで、粘着組成物が形成される。基材に粘性流体を塗布する際には、コンマコーター、ダイコーター、グラビアコーター等の塗布装置等を用いることが好ましい。特に、塗布時の粘性流体の温度調整により、粘性流体の粘度を調整することが可能であることから、ダイコーターを用いることが好ましい。
また、粘着組成物のアセトアルデヒド含有量を、テドラーバッグを用いて測定した。具体的には、粘着組成物の試験片0.2gを、1つ口キャップ付テドラーバッグ(2L:アズワン(株)製)に入れて、密閉する。そして、密閉したテドラーバッグに、1Lの窒素ガスを入れ、恒温槽にて、65℃の状況下で2時間加温処理する。加温処理後、テドラーバッグを恒温槽から取り出し、テドラーバッグにアセトアルデヒド検知管(商品名:気体検知管No.92L,(株)ガステック製)をセットする。そして、ガス採取器にて100mlのガスを吸引し、検知管の変色層の先端のメモリを読み取り、その数値を、アセトアルデヒド含有量(ppm)として測定する。このように測定したアルデヒド含有量(ppm)は、0.1ppm以下であることが好ましい。さらに言えば、0ppmであることが好ましい。
また、粘着組成物の粘着力を指標するものとして、JIS 0237に基づく方法(90°剥離試験方法)に準拠して測定された剥離強度(N/25mm)を採用することが可能である。具体的には、幅25mmの粘着組成物を、ポリプロピレン製の板に2kgのローラを1往復させることで圧着する。なお、粘着組成物のポリプロピレン製の板への圧着面と反対側の面には、厚さ25μmのPETフィルムが貼着されている。ポリプロピレン製の板10に圧着される粘着組成物12の長さは、図1に示すように、125mmとする。そして、23℃の条件下で30分間放置する。その後に、23℃、50%RHの条件下で、ポリプロピレン製の板10に対して90°の方向に向かって、粘着組成物12の一端を300mm/minの速度で、引張り試験機14を用いて、引き剥がす。この際の測定値(N/25mm)が、剥離強度となる。その方法に準拠して測定された剥離強度(N/25mm)は、7(N/25mm)以上であることが好ましい。さらに言えば、10(N/25mm)以上であることが好ましい。
また、粘着組成物の粘着力を指標するものとして、高い温度状況下での耐熱保持力(mm)を採用することが可能である。具体的には、図2に示すように、SUS304板20を鉛直方向に延びるように保持する。そのSUS304板20の下端に、接着面積が25mm×25mmとなるように、粘着組成物22を貼り合わせる。なお、粘着組成物22のSUS304板20への貼着面と反対側の面には、厚さ25μmのPETフィルムが貼着されている。その粘着組成物22の下端に、500gの錘24を吊るし、80℃の環境下において、1時間放置する。そして、1時間放置された後の粘着組成物22のズレ量(mm)を測定し、そのズレ量が、耐熱保持力(mm)となる。耐熱保持力(mm)は、2mm以下であることが好ましく、特に、1mm以下であることが好ましい。
さらに、粘着組成物の粘着力を指標するものとして、フォーム密着性(N/25mm)を採用することが可能である。具体的には、図3に示すように、幅30mmのウレタンフォーム(イノアック製ポリウレタンフォーム(厚さ5mm))30の一方の面に、幅25mmの粘着組成物32を圧着する。ウレタンフォーム30と粘着組成物32との圧着は、2kgのローラを5mm/秒の速度で1往復させることで行われる。なお、粘着組成物のウレタンフォーム30への圧着面と反対側の面には、厚さ25μmのPETフィルムが貼着されている。また、ウレタンフォーム30の一端部は、固定物34によって固定されている。そして、23℃の条件下で30分間放置する。その後に、23℃、50%RHの条件下で、ウレタンフォーム30に対して90°の方向に向かって、粘着組成物32の一端を300mm/minの速度で、引張り試験機36を用いて、引き剥がす。この際の測定値(N/25mm)が、フォーム密着性となる。上記方法により測定されたフォーム密着性(N/25mm)は、3(N/25mm)以上であることが好ましい。さらに言えば、5(N/25mm)以上であることが好ましい。
なお、上記測定で得られる剥離強度(N/25mm)および、耐熱保持力(mm)は、ポリプロピレン製の板および、SUS板に対する粘着組成物の粘着力を指標している。つまり、剥離強度(N/25mm)および、耐熱保持力(mm)は、粘着組成物と被着体との密着性を指標している。一方、上記測定で得られるフォーム密着性(N/25mm)は、ウレタンフォームに対する粘着組成物の粘着力を指標している。つまり、フォーム密着性(N/25mm)は、粘着組成物とウレタンフォームとの密着性を指標している。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、この実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
<粘性流体の原料および製造>
図4〜図8に示す配合の原料から、実施例1〜14の粘性流体および比較例1〜7の粘性流体を製造した。以下に、各原料の詳細を示す。
図4〜図8に示す各「粘着付与剤」は、図9に示す配合(重量比)の原料を以下の方法に従って反応させることで得られる。
まず、1リットル容量のセパラブルフラスコにポリイソシアネートを図に示す量入れて、窒素を流しながらポリオールを攪拌しながら図に示す量添加する。内容物が均一になったことを確認後、1時間かけて80〜90℃になるように、ゆっくりと昇温する。目的の温度に昇温してから2時間後にイソシアネート基含有率をJIS Z1603−1:2007に基づく方法(ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法)に準拠して測定する。そして、粘着付与剤Aでは、イソシアネート基含有率が、5.3〜5.6%の範囲内になっていることを確認する。粘着付与剤Bでは、イソシアネート基含有率が、6.2〜6.6%の範囲内になっていることを確認する。この際、イソシアネート基含有率が、各粘着付与剤に応じた範囲内になっていない場合には、反応時間を延長する。
イソシアネート基含有率が、各粘着付与剤に応じた範囲内になっていることを確認後、モノオールを図に示す量、ゆっくりと滴下し、2時間反応を行わせる。2時間経過後に、再度、上記方法に従ってイソシアネート基含有率を測定し、イソシアネート基含有率が0.5%以下になっていることを確認する。そして、イソシアネート基含有率が0.5%以下になっていることを条件として、図に示す各「粘着付与剤」が得られる。
なお、上述のようにして得られた「粘着付与剤A」の理論分子量は1973であり、「粘着付与剤B」の理論分子量は1670である。
また、図4〜図8に示す各「プレポリマー」は、図10に示す配合(重量比)の原料を以下の方法に従って反応させることで得られる。
まず、1リットル容量のセパラブルフラスコにポリイソシアネートを図に示す量入れて、窒素を流しながらポリオールを攪拌しながら図に示す量添加する。内容物が均一になったことを確認後、触媒(ジブチルチンジラウレート(DBTDL)0.3g)を添加する。そして、1時間かけて80〜90℃になるように、ゆっくりと昇温する。目的の温度に昇温してから2時間後にイソシアネート基含有率をJIS Z1603−1:2007に基づく方法(ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法)に準拠して測定する。そして、プレポリマーAおよび、Cでは、イソシアネート基含有率が、1.0〜1.3%の範囲内になっていることを確認する。プレポリマーBでは、イソシアネート基含有率が、2.0〜2.3%の範囲内になっていることを確認する。そして、イソシアネート基含有率が、各プレポリマーに応じた範囲内になっていない場合には、反応時間を延長する。
イソシアネート基含有率が、各プレポリマーに応じた範囲内になっていることを確認後、ビニルエーテル、アクリレート、アリルエーテルの少なくとも1つを図に示す量、ゆっくりと滴下し、2時間反応を行わせる。2時間経過後に、再度、上記方法に従ってイソシアネート基含有率を測定し、イソシアネート基含有率が0.5%以下になっていることを確認する。そして、イソシアネート基含有率が0.5%以下になっていることを条件として、図に示す各「プレポリマー」が得られる。
なお、上述のようにして得られた「プレポリマーA」の理論分子量は7467であり、「プレポリマーB」の理論分子量は3981であり、「プレポリマーC」の理論分子量は7396である。
・ポリオールa;ポリプロピレングリコール(PPG)、商品名:アクトコールD400、三井化学(株)製
・ポリオールb;ポリプロピレングリコール(PPG)、商品名:サンニックスPP−200、三洋化成(株)製
・ポリオールc;ポリプロピレングリコール(PPG)、商品名:アクトコールD3000、三井化学(株)製
・ポリオールd;2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、商品名:BEPD、Perstorp製
・モノオール;2−エチルヘキシルグリコール、商品名:EHG、日本乳化剤(株)製
・ポリイソシアネートa;MDI、商品名:フォームライトMI、BASF INOACポリウレタン(株)製
・ポリイソシアネートb;TDI、商品名:ルプラネートT−80、BASF製
・ビニルエーテル;ヒドロキシブチルビニルエーテル、日本カーバイド(株)製
・アクリレート;ヒドロキシエチルアクリレート、大阪有機化学工業(株)製
・アリルエーテル;ヒドロキシエチルアリルエーテル、日本乳化剤(株)製
上述のようにして得られた各「粘着付与剤」と各「プレポリマー」と後述するチオールとロジン系、若しくは、テルペン系粘着付与剤とを図4〜8に示す配合比となるように計量し、80℃に加温した後に、混合撹拌する。なお、チオールの配合比は、上記プレポリマーに対するモル比であり、粘着付与剤の配合比は、上記プレポリマーに対する重量部である。これにより、実施例1〜14の粘性流体および比較例1〜7の粘性流体が得られる。
・チオールA;官能基数3、重量分子量399、トリメチロールプロパントリス、商品名:TMMP、SC有機化学(株)製
・チオールB;官能基数4、重量分子量489、ペンタエリスリトールテトラキス、商品名:PEMP、SC有機化学(株)製
・チオールC;官能基数2、ブタンジオールビスチオプロピオネート、商品名:BDTP、淀化学(株)製
・チオールD;官能基数6、ジペンタエリスリトールヘキサキス、商品名:DPMP、SC有機化学(株)製
・ロジン系粘着付与剤;ロジンエステル、商品名:スーパーエステルA100、荒川化学工業(株)製
・テルペン系粘着付与剤;テルペンフェノール樹脂、商品名:YSポリスターT100、ヤスハラケミカル(株)製
なお、各ウレタンプレポリマーと反応が行われるチオール基の平均官能基数を、図4〜図8の「平均官能基数(チオール基)」の欄に示す。また、粘着付与剤の全配合比を、図4〜図8の「粘着付与剤合計」の欄に示し、その粘着付与剤の全配合比に対するウレタン系粘着付与剤の比率を、図4〜図8の「ウレタン系粘着付与剤比率」の欄に示す。
<粘着組成物の製造>
上述のように製造された実施例1〜14の粘性流体、および、比較例1〜7の粘性流体を用いて、粘着組成物を製造した。詳しくは、離型フィルムに、実施例1〜14の粘性流体、若しくは、比較例1〜7の粘性流体を、70μmの厚さとなるように、塗布する。この際、コンマコーター、ダイコーター、グラビアコーター等の塗布装置を用いることが好ましい。特に、塗布時の粘性流体の温度調整により、粘性流体の粘度を調整することが可能であることから、ダイコーターを用いることが好ましい。そして、離型フィルムに塗布された粘性流体に、空気の存在下において、800mJ/cm(365nm積算光量)のUVが照射され、各粘性流体が硬化する。これにより、離形フィルム上に粘着組成物が製造される。
<粘着組成物の物性評価>
上述のように製造された実施例1〜14の粘着組成物、および、比較例1〜7の粘着組成物に対して、以下の方法によって物性評価を行なった。
まず、上述した方法に準拠して、アセトアルデヒド含有量(ppm)を測定した。その測定結果を、図4〜図8の「アセトアルデヒド含有量」の欄に示しておく。
また、JIS 0237に基づく方法(90°剥離試験方法)に準拠して、粘着組成物のポリプロピレン製の板に対する剥離強度(N/25mm)を測定した。その測定結果を、図4〜図8の「90°剥離強度(対PP板)」の欄に示しておく。
また、上述した方法に準拠して、耐熱保持力(mm)を測定した。その測定結果を、図4〜図8の「耐熱保持力(対SUS板)」の欄に示しておく。
さらに、上述した方法に準拠して、フォーム密着性(N/25mm)を測定した。その測定結果を、図4〜図8の「フォーム密着性」の欄に示しておく。
以上の評価結果から、粘着組成物のウレタンプレポリマーの原料として、ビニルエーテルの代わりに、アクリレート、若しくは、アリルエーテルを採用することで、粘着組成物のアセトアルデヒド含有量を0にできることが解る。具体的には、実施例1〜14の全ての粘着組成物では、ウレタンプレポリマーの原料として、アクリレート、若しくは、アリルエーテルが採用されている。そして、実施例1〜14の粘着組成物では、アセトアルデヒド含有量が、全て、0ppmとなっている。一方、比較例1および、比較例2の粘着組成物では、ウレタンプレポリマーの原料として、ビニルエーテルが採用されている。そして、比較例1および、比較例2の粘着組成物では、アセトアルデヒド含有量が、5ppmとなっている。このことから、粘着組成物のウレタンプレポリマーの原料として、ビニルエーテルの代わりに、アクリレート、若しくは、アリルエーテルを採用することで、粘着組成物のアセトアルデヒド含有量を0にできることが解る。
また、粘着組成物の原料として配合されるチオールの平均官能基数は、低すぎても、高すぎても、粘着組成物の粘着力が低下する。具体的には、比較例3の粘着組成物では、チオールの平均官能基数は2.9であり、耐熱保持力(対SUS板)に関して、適切でない測定結果となっている。また、比較例4の粘着組成物では、チオールの平均官能基数は4.2であり、フォーム密着性に関して、適切でない測定結果となっている。このため、誤差を考慮して、チオールの平均官能基数は、3.0〜4.0であることが好ましい。
また、粘着組成物の粘着付与剤として、ウレタン系の粘着付与剤を採用することで、粘着力の高い粘着組成物を製造できることが解る。具体的には、実施例1〜14の全ての粘着組成物には、粘着付与剤として、ウレタン系粘着付与剤が採用されている。そして、実施例1〜14の粘着組成物では、剥離強度(対PP板),耐熱保持力(対SUS板),フォーム密着性に関して、全て、良好な測定結果となっている。つまり、ウレタン系粘着付与剤が配合されている粘着組成物は、ポリプロピレン製の板、SUS板、および、ウレタンフォームに対して、非常に高い密着性を有していることが解る。特にウレタンフォームに対して、多孔質表面であることから接触面積が小さく、柔らかくたわみ、低い押圧力で圧着しても密着性を有していることが解る。
一方、比較例6の粘着組成物には、粘着付与剤として、ウレタン系粘着付与剤が採用されておらず、ロジン系粘着付与剤のみが採用されている。そして、比較例6の粘着組成物では、耐熱保持力(対SUS板),フォーム密着性に関して、適切でない測定結果となっている。つまり、ウレタン系粘着付与剤以外の粘着付与剤が配合されている粘着組成物は、SUS板、ウレタンフォームに対して、密着性が悪いことが解る。このことから、粘着組成物の粘着付与剤として、ウレタン系粘着付与剤を採用することで、ウレタンフォームおよび、被着体との密着性の向上に有効であり、粘着力の高い粘着組成物を製造できることが解る。
ただし、粘着組成物の粘着付与剤として、ウレタン系粘着付与剤を採用した場合であっても、配合比が少なすぎると、ウレタンフォームに対する密着性が低下する。具体的には、比較例1の粘着組成物では、ウレタンプレポリマーの100重量部に対するウレタン系粘着付与剤の配合比は、15重量部であり、フォーム密着性に関して、適切でない測定結果となっている。また、粘着組成物の粘着付与剤として、ウレタン系粘着付与剤を採用した場合であっても、配合比が多すぎると、SUS板に対する密着性が低下する。具体的には、比較例2の粘着組成物では、ウレタンプレポリマーの100重量部に対するウレタン系粘着付与剤の配合比は、47.5重量部であり、耐熱保持力(対SUS板)に関して、適切でない測定結果となっている。このため、ウレタン系粘着付与剤を採用する場合において、ウレタンプレポリマーの100重量部に対するウレタン系粘着付与剤の配合比は、20〜45重量部であることが好ましい。
また、ウレタン系粘着付与剤を採用する場合に、粘着付与剤の原料のポリイソシアネートとして、MDIを採用することで、粘着組成物の粘着力を高くすることが可能となる。具体的には、例えば、実施例10の粘着組成物では、ウレタン系粘着付与剤の原料のポリイソシアネートとして、MDIが採用され、実施例14の粘着組成物では、ウレタン系粘着付与剤の原料のポリイソシアネートとして、TDIが採用されている。そして、実施例10の粘着組成物の剥離強度(対PP板),フォーム密着性に関する測定結果は、実施例14の粘着組成物の剥離強度(対PP板),フォーム密着性に関する測定結果より、良好な測定結果となっている。このため、ウレタン系粘着付与剤の原料のポリイソシアネートとして、MDIを採用することが好ましい。
また、粘着組成物の粘着付与剤として、ウレタン系粘着付与剤とウレタン系粘着付与剤以外の粘着付与剤とを採用する場合に、粘着付与剤の全量に対するウレタン系粘着付与剤の量の比率、つまり、ウレタン系粘着付与剤比率が低すぎると、SUS板に対する密着性が低下する。具体的には、比較例7の粘着組成物では、ウレタン系粘着付与剤比率は0.22であり、耐熱保持力(対SUS板)に関して、適切でない測定結果となっている。このため、ウレタン系粘着付与剤比率は、誤差を考慮して、0.3〜1であることが好ましい。

Claims (10)

  1. アリルエーテル基とアクリレート基との少なくとも一方で末端官能基が形成されてなるウレタンプレポリマーと、チオール基を有するポリチオールと、粘着付与剤とからなる粘性流体を、光重合反応により硬化させることで形成される粘着組成物であって、
    前記粘着付与剤が、
    モノオールと、重量平均分子量が3000以下のポリオールと、イソシアネートとからなる第1の粘着付与剤と、
    前記第1の粘着付与剤と異なる種類の第2の粘着付与剤と
    からなり、
    前記粘着付与剤に対する前記第1の粘着付与剤の比率が、0.3〜0.63であり、
    前記ウレタンプレポリマー100重量部に対し、前記粘着付与剤の量が、20〜45重量部であり、
    前記ポリチオールの平均官能基数が、3.0〜4.0であることを特徴とする粘着組成物。
  2. 前記イソシアネートが、
    ジフェニルメタンジイソシアネートとトリレンジイソシアネートとの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載の粘着組成物。
  3. 前記第2の粘着付与剤が、
    ロジン系粘着付与剤とテルペン系粘着付与剤との少なくとも一方であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の粘着組成物。
  4. 前記粘着組成物が、
    ウレタンフォームを被着体に貼着するためのものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の粘着組成物。
  5. 0.2gの前記粘着組成物を、1Lの窒素ガスとともに、テドラーバッグ内に密閉し、65℃の条件で2時間処理した後のテドラーバッグ内のアセトアルデヒド濃度が、0.1ppm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の粘着組成物。
  6. 前記粘着組成物のポリプロピレン板に対する剥離強度(JIS Z0237)が、7N/25mm以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の粘着組成物。
  7. アリルエーテル基とアクリレート基との少なくとも一方で末端官能基が形成されてなるウレタンプレポリマーと、チオール基を有するポリチオールと、粘着付与剤とを混合する混合工程と、
    前記混合工程において混合された原料に光を照射する照射工程と
    を含み、光重合反応により粘着組成物を製造する粘着組成物の製造方法であって、
    前記粘着付与剤が、
    モノオールと、重量平均分子量が3000以下のポリオールと、イソシアネートとからなる第1の粘着付与剤と、
    前記第1の粘着付与剤と異なる種類の第2の粘着付与剤と
    からなり、
    前記粘着付与剤に対する前記第1の粘着付与剤の比率が、0.3〜0.63であり、
    前記ウレタンプレポリマー100重量部に対し、前記粘着付与剤の量が、20〜45重量部であり、
    前記ポリチオールの平均官能基数が、3.0〜4.0である粘着組成物の製造方法。
  8. アリルエーテル基とアクリレート基との少なくとも一方で末端官能基が形成されてなるウレタンプレポリマーと、チオール基を有するポリチオールと、粘着付与剤とからなる粘性流体であって、
    前記粘着付与剤が、
    モノオールと、重量平均分子量が3000以下のポリオールと、イソシアネートとからなる第1の粘着付与剤と、
    前記第1の粘着付与剤と異なる種類の第2の粘着付与剤と
    からなり、
    前記粘着付与剤に対する前記第1の粘着付与剤の比率が、0.3〜0.63であり、
    前記ウレタンプレポリマー100重量部に対し、前記粘着付与剤の量が、20〜45重量部であり、
    前記ポリチオールの平均官能基数が、3.0〜4.0であることを特徴とする粘性流体。
  9. 前記イソシアネートが、
    ジフェニルメタンジイソシアネートとトリレンジイソシアネートとの少なくとも一方であることを特徴とする請求項8に記載の粘性流体。
  10. 前記第2の粘着付与剤が、
    ロジン系粘着付与剤とテルペン系粘着付与剤との少なくとも一方であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の粘性流体。
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