JP2014080963A - バルブタイミング調整装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 バルブタイミング調整装置10は、ストッパピン41およびストッパ面45、46を含むストッパ手段40を備える。ストッパピン41は、ベーンロータ30のボス部を軸方向に貫通し、ベーンロータ30のボス部から軸方向の両側へ突き出している。ストッパ面45、46は、スプロケット11に形成され、ストッパピン41の一端部と周方向に当接可能である。ストッパ手段40は、ストッパピン41がストッパ面45、46に当接することによってベーンロータ30の相対回転を最進角位置と最遅角位置とで制限する。ストッパピン41はベーンロータ30のベーン部よりも径方向内側に位置するので、ベーンロータ30の相対回転を制限するときベーンロータ30に作用する衝撃力が小さくなる。
【選択図】図4
Description
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ベーンロータのハウジングへの食い込みを抑制可能なバルブタイミング調整装置を提供することである。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるバルブタイミング調整装置を図1に示す。バルブタイミング調整装置10は、図2に示すエンジン90の吸気バルブ91の開閉タイミングを調整するためのものである。図2に示すように、エンジン90の駆動軸であるクランクシャフト93の回転は、スプロケット11、94、95に巻き掛けられているチェーン96を介してカムシャフト97、98に伝達される。カムシャフト97は吸気バルブ91を開閉駆動する従動軸であり、カムシャフト98は排気バルブ92を開閉駆動する従動軸である。
また、バルブタイミング調整装置10は、スプロケット11に対しカムシャフト97を回転方向とは反対方向に相対回転させることにより、吸気バルブ91の開閉タイミングを遅くする。このように吸気バルブ91の開閉タイミングが遅くなるようにカムシャフト97を相対回転させることを「遅角させる」という。
スプロケット11は、図2のチェーン96を巻き掛け可能な外歯12を形成し、図2のカムシャフト97が挿通可能な通孔13を有している。
スプロケット11は、カップ20の筒部21に対し底部22とは反対側に配置されており、スプロケット11を挿通するとともにカップ20の仕切り部23にねじ込まれたボルト26によってカップ20に固定されている。スプロケット11およびカップ20は、クランクシャフト93と一体に回転可能であり、特許請求の範囲に記載の「ハウジング」を構成している。
また、回転位相が目標値よりも進角側である場合、作動油が遅角室25に供給されるとともに、進角室24の作動油が外部に排出される。
また、回転位相が目標値と一致する場合、進角室24および遅角室25が閉じられ、ベーンロータ30のハウジング20に対する回転位相が保持される。
本発明の第2実施形態によるバルブタイミング調整装置を図6および図7に基づき説明する。
バルブタイミング調整装置60のベーンロータ61は、軸方向に積層された複数の金属板62からなる筒状の積層体63と、積層体63をモールドしている樹脂からなる樹脂部材65と、を有している。樹脂部材65は、例えば熱硬化性樹脂から構成されており、積層体63がセットされた金型内に溶融樹脂を流し込み固化させることにより成形される。ベーンロータ61および樹脂部材65は、特許請求の範囲に記載の「ロータ構成部材」に相当する。
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏し、さらに、積層体63と樹脂部材65との界面のずれをストッパピン41により防止するという効果を得ることができる。
さらに、第2実施形態によれば、ストッパピン41により複数の金属板62を一体に固定することによって積層体63の強度が増すという効果を得ることができる。
本発明の第3実施形態によるバルブタイミング調整装置を図8〜図10に基づき説明する。
図8に示すバルブタイミング調整装置70のストッパピン71は、図9に示すように波形の割れ目72を有するスプリングピンから構成されている。図10に示すように、ベーンロータ30の回転軸心81に垂直な断面において回転軸心81とストッパピン71の軸心73とを通る仮想的な直線を仮想直線74とすると、ストッパピン71は、割れ目72がある周方向範囲θ内を仮想直線74が通るようにベーンロータ30のボス部31に圧入されている。特に本実施形態では、周方向範囲θの中央と仮想直線74とが一致している。
さらに、第3実施形態によれば、ストッパピン71がストッパ面45、46、47、48に当接するときベーンロータ30に伝わる衝撃力が緩和されるという効果を得ることができる。
さらに、割れ目72は波形であるため、割れ目が直線形であるストッパピンと比べると、ストッパピン71の端部76、77の撓みはストッパピン71の中間部79には伝わりにくい。そのため、第3実施形態によれば、ストッパピン71とストッパ面45、46、47、48との当接時の衝撃力でストッパピン71の固定力が緩むことを抑制することができる。
本発明の他の実施形態では、ストッパピンは、ベーンロータと同一の部材から構成してもよい。また、ストッパピンは、ベーンロータの軸方向の一端側と他端側とを別部材から構成してもよい。また、ストッパピンは、ベーンロータの軸方向の一端側および他端側の少なくとも一方に設けられればよい。
本発明の他の実施形態では、ストッパピンの数は、5つ以下、或いは7つ以上であってもよい。また、各ストッパピンは、周方向に等角度間隔で設けられなくてもよい。
本発明の他の実施形態では、ストッパピンはスプロケットおよびカップの底部に設けられ、ストッパ面はベーンロータに形成されてもよい。
本発明の他の実施形態では、ストッパ面は、円弧溝の周方向の端面でなくてもよく、例えば凹部の内面または凸部の外面であってもよい。
本発明の他の実施形態では、ストッパピン、スプロケットおよびカップの一部または全部は、金属以外の材料、例えば樹脂などから構成されてもよい。
本発明の他の実施形態では、ストッパピンと円弧溝の内壁とには、表面処理が施されなくてもよい。
本発明の他の実施形態では、ベーンロータの軸受手段は、ストッパピンおよび円弧溝以外から構成されてもよい。
本発明の他の実施形態では、ベーンロータのベーン部の数は、4つ以上であってもよい。
本発明の他の実施形態では、バルブタイミング調整装置は、エンジンの排気バルブの開閉タイミングを調整するためのものであってもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
11・・・スプロケット(ハウジング)
20・・・カップ(ハウジング)
24・・・進角室
25・・・遅角室
30、61・・・ベーンロータ
31・・・ボス部
32・・・ベーン部
41、71・・・ストッパピン
45、46、47、48・・・ストッパ面
Claims (11)
- エンジン(90)の駆動軸(93)と従動軸(97)との回転位相を変化させることにより、前記従動軸が駆動する吸気バルブ(91)または排気バルブ(92)の開閉タイミングを調整可能なバルブタイミング調整装置(10、60、70)であって、
前記駆動軸および前記従動軸の一方と一体に回転可能なハウジング(11、20)と、
前記ハウジング内で前記駆動軸および前記従動軸の他方と一体に回転可能なボス部(31)、および、前記ハウジングと前記ボス部との間に区画形成される圧力室を進角室(24)と遅角室(25)とに仕切るように前記ボス部から放射状に延びている複数のベーン部(32)を有し、前記進角室および前記遅角室の作動油の圧力に応じて前記ハウジングに対し進角側または遅角側に相対回転するベーンロータ(30、61)と、
前記ベーンロータの前記ボス部および前記ハウジングの一方を第1特定部とし、他方を第2特定部とすると、前記第1特定部から前記第2特定部まで軸方向へ突き出すストッパピン(41、71)と、
前記第2特定部に形成され、前記ストッパピンと周方向に当接可能であり、前記ストッパピンと当接することによって前記ベーンロータの前記ハウジングに対する相対回転を最進角位置と最遅角位置とで制限するストッパ面(45、46、47、48)と、
を備えることを特徴とするバルブタイミング調整装置。 - 前記ストッパピンは、円柱外面(44)を有し、
前記ストッパ面は、前記円柱外面と当接可能な凹曲面であることを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。 - 前記ストッパピンは、前記ベーンロータの回転軸心まわりに等角度間隔に複数設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記ストッパ面は、前記ベーンロータと同心の仮想円(82)に沿って延びるように前記第2特定部に形成された円弧溝(51、52)の周方向の端面であり、
前記ストッパピンおよび前記円弧溝は、前記ベーンロータが前記ハウジングに対し相対回転するとき前記ストッパピンが前記円弧溝の内壁を摺動することによって前記ベーンロータを支持する軸受手段(50)を構成していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。 - 前記軸受手段は、前記ベーンロータの軸方向の一端側と他端側とに設けられていることを特徴とする請求項4に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記ハウジングは、前記円弧溝が形成された金属製のスプロケット(11)を有し、
前記スプロケットの前記円弧溝と係合する前記ストッパピンは金属製であることを特徴とする請求項4または5に記載のバルブタイミング調整装置。 - 前記ストッパピンと前記円弧溝の内壁とのうち少なくとも一方には表面処理が施されていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記ストッパピンと前記ストッパ面が形成された部材とのうち少なくとも一方には熱処理が施されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記ベーンロータは、材質が異なる複数のロータ構成部材(63、65)から構成され、
前記ストッパピン(41)は、各前記ロータ構成部材を軸方向に貫通していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置(60)。 - 各前記ロータ構成部材のうち一つは、軸方向に積層された複数の金属板(62)からなる積層体(63)であり、
前記ストッパピンは、前記積層体を軸方向に貫通し、各前記金属板を一体に固定していることを特徴とする請求項9に記載のバルブタイミング調整装置。 - 前記ベーンロータの回転軸心(81)に垂直な断面において当該ベーンロータの回転軸心と前記ストッパピン(71)の軸心(73)とを通る仮想的な直線を仮想直線(74)とすると、
前記ストッパピンは、波形の割れ目(72)を有するスプリングピンから構成され、前記割れ目がある周方向範囲(θ)内を前記仮想直線が通るように前記第1特定部に圧入されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置(70)。
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