JP6390542B2 - 捩り振動低減装置 - Google Patents

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本発明は、慣性質量体の往復運動あるいは振り子運動によって捩り振動を低減させる捩り振動低減装置に関するものである。
捩り振動低減装置は、振子部材に相当する質量体を、回転体の転動面に遠心力により押し付け、トルクの変動が生じた場合に質量体を転動面に沿って揺動させることで振動を低減する(例えば、特許文献1参照)。回転体には、周方向に所定の間隔をあけて並べて複数の収容室が形成されている。転動面は、収容室の内壁部のうちの回転方向での外側の内壁に形成されている。
転動体は、回転体に設けられた収容室に配置されており、収容室の内部に設けられた転動面を往復移動することにより回転体に生じる振動を低減する。詳しくは、転動体は、回転体が回転すると、遠心力により転動面に押し付けられる。その状態で回転体にトルクの変動が生じると、転動体は、転動面に沿って移動してトルクの変化により回転体に生じる捩り振動を低減する。このような作用は、回転体の回転数がある程度高く、そのために転動体に作用する遠心力が転動体を転動面に押し付けておくのに十分な場合に作用する。
特開2012−145190号公報
しかしながら、回転体にトルクの変動が生じると、転動体が収容室のうちの転動体が移動する方向の端部に直接に当接して、例えば打音を発生させる。
また、転動体は、転動体を転動面に押し付ける遠心力が十分に大きくない場合、重力により収容室の内部における最下部に落下した状態になり、回転体が停止していれば、最下部にとどまっている。そして、収容室は、転動体に十分な遠心力が作用しない程度の回転数(低回転数)で回転体が回転する場合、回転方向での最上部に到った後に下降し始めると、収容室の上下方向での向きが反転する。このとき、転動体は、収容室内で最下部に向けて落下して、収容室のうちの転動面を含む内面に直接に当接して、例えば打音を発生させる。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、転動体が収容室の内面に当接して生じる、例えば打音を低減又は防止することのできる捩り振動低減装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、この発明は、第1曲面をもつ転動室が周方向に複数設けられた回転体と、前記転動室に収容され前記第1曲面により転動可能に支持される複数の振子部材と、第2曲面を有する複数の連結部が設けられ前記複数の連結部により前記振子部材同士を連結する連結部材と、を具えた捩り振動低減装置において、前記第1曲面は、楕円弧を含み、前記連結部は、前記振子部材が前記第1曲面のうちの前記振子部材が転動する転動方向における中央の位置にある時に前記振子部材と前記第2曲面との間に所定のクリアランスをもち、かつ前記振子部材が前記楕円弧を構成する短軸方向の端部と長軸方向の端部との間に位置した時に、前記振子部材が前記第2曲面に接触することができるように構成されていることを特徴とするものである。
この発明によれば、回転体に作用する遠心力が振子部材を第1曲面に押し付けるのに十分な大きさが得られる回転体の高回転時にトルクの変動が生じても、所定のクリアランスをもつため、慣性力により転動体が回転体とは逆の回転方向に向けて第1曲面を転動することができる。これにより、トルク変動により回転体に生じる捩り振動を防止又は低減することが可能となる。
また、振子部材に作用する遠心力が十分に大きく得られない回転体の低回転時にトルクの変動が生じると、振子部材は、第1曲面の長軸方向の端部に到達するよりも前に連結部の第2曲面に接触する。このため、振子部材が長軸方向の端部等に当接して生じる、例えば打音を防止又は低減することができる。
捩り振動低減装置の一実施形態を示す説明図である。 図1に示した転動体を含む要部の位置関係を示す説明図であり、回転体が高回転で回転して転動体にかかる遠心力が大きい状態を示す。 図1に示した転動体を含む要部の位置関係を示す説明図であり、回転体が低回転で回転して転動体にかかる遠心力が小さい状態を示す。 捩り振動低減装置の別の実施形態を示す説明図である。 図4に示した転動体を含む要部の位置関係を示す説明図であり、回転体が高回転で回転して転動体にかかる遠心力が大きい状態を示す。 図4に示した転動体を含む要部の位置関係を示す説明図であり、回転体が低回転で回転して転動体にかかる遠心力が小さい状態を示す。
以下、図面を用いて実施形態を説明する。図1は、捩り振動低減装置の一実施形態を示す説明図である。捩り振動低減装置1は、回転体2、複数の転動体3,4、及び連結部材9等で構成されている。転動体3,4は、振子部材の一例である。回転体2は、円板状に形成され、トルクを受けて回転軸Oを中心に回転するとともに、そのトルクの変動によって捩り振動を受ける構成になっている。回転体2は、例えば図示しないエンジンのクランク軸や、駆動力を図示しない車輪に伝達するプロペラシャフト、あるいは車軸等の回転軸にその回転中心線が水平、もしくは横向きとなるように取り付けられている。したがって、回転体2は、上下方向に沿う面内で回転するようになっている。回転体2の回転軸Oから同一半径の円周上に、複数の転動室6,7が回転方向に並んで形成されている。図1に示す例では、二つの転動室6,7が回転軸Oを挟んで直径上で対向する位置、つまり回転軸Oに対して点対称となる位置に形成されている。なお、転動室6,7を3個以上設ける場合には、回転体2の回転方向の等分割位置に設けるのが望ましい。
各転動室6,7には、一つの転動体3,4が収容される。転動室6,7は、転動体3,4が所定の範囲で転動(往復揺動)できるように、楕円形をした輪郭で、かつ回転体2の厚み方向に貫通した孔で形成されている。各転動室6,7は、転動面5を有する。転動面5は、転動室6,7の内面を仮に回転体2の周方向に対して外側と内側とに分割すると、外側の楕円弧の内面に作られている。転動面5は、転動体3,4が遠心力により押し付けられ、かつ回転体2にトルクの変動(すなわち捩り振動)が生じることにより転動体3,4が往復動する内面となる。なお、転動面5は、第1曲面の一例である。転動面5としては、楕円弧の曲面に限らず、放物線と略等しい凸状を成す曲面としてもよい。また、内側の楕円弧の内面は、転動体3,4に対して揺動を許容し、かつ接触を防ぐための十分のスペースを確保できる曲面であればよい。
転動室6,7は、楕円形を構成する長軸方向の端部に設けられた境界面8により回転体2の内部で区画されている。転動体3,4は、境界面8を限度として、あるいは境界面8の間で、転動するように構成されている。転動体3,4は、転動面5に沿って転動するように、例えば軸長の短い円柱状、もしくは円板状等、断面円形に形成された部材である。
回転体2には、連結部材9が回転軸Oを中心として回転自在に取り付けらている。連結部材9には、転動体3,4を揺動自在に支持する切欠き部10,11が形成されている。切欠き部10,11は、回転軸Oを中心とする同一半径の円周上に、転動室6,7に応じた数で形成されている。切欠き部10,11には、転動体3,4が収容されており、転動体3,4の揺動を制限するための円弧面13をもっている。連結部材9は、複数の切欠き部10,11により複数の転動体3,4を連結している。切欠き部10,11は、連結部の一例である。
切欠き部10,11は、転動体3,4に応じた数だけ作られている。また、切欠き部10,11は、回転軸Oを挟む両側で転動体3,4をそれぞれ連結するため、直線板状をした連結部材9の両先端にそれぞれ設けられている。なお、連結部材9を、回転体2を挟むように回転体2の前後に設けておき、回転体2の前後にて転動体3,4を揺動自在に連結してもよい。
図2は、図1に示した転動体を含む要部の位置関係を示す説明図であり、回転体が高回転で回転して転動体にかかる遠心力が大きい状態を示す。図2に示すように、転動体4は、定常回転の状態の時に、遠心力により転動面5のうちの回転軸Oから最も遠い中央の位置5aに接触した状態(以下、「定常回転の状態」と称す)となる。中央の位置5aは、転動面5のうちの転動室7の長軸方向での中間の位置となっている。また、中央の位置5aは、楕円形を構成する転動室7の短軸方向の端部の一例である。
切欠き部11は、開放側を外周に向けたU字状に形成されている。切欠き部11の形状は、回転体2が定常回転の状態の時に、転動体4が回転体2の径方向に沿う回転軸O側(内側)に移動でき、かつ転動体4が転動する方向にも移動できるように、転動体4との間にクリアランスC1,C2,C3をもつ形状になっている。なお、他の切欠き部10も切欠き部11と同一又は同様の構成になっているため、ここでは切欠き部10の詳しい説明を省略する。
切欠き部11は、直線部11a,11bと円弧面13とをもっている。円弧面13は、開放側に対向する回転軸O側に配置されており、転動室7の回転軸O側の内壁面14よりも外側に位置する構成になっている。なお、円弧面13の代わりに、楕円弧をもつ曲面や、放物線と略等しい凹状を成す曲面でもよい。
切欠き部11は、回転体2が定常回転の状態の時に、中央の位置5aにある転動体4との間の隙間のうち、転動体4の揺動方向に所定のクリアランスC1,C2をもっており、かつ回転軸Oと転動体4の中心を通る直線P上における円弧面13との間に所定のクリアランスC3をもつように形状が決められている。
クリアランスC1,C2は、回転体2が定常回転の状態の時に、転動体4が転動方向に僅かに揺動することで直線部11a,11bに当接して、例えば打音を発生させることを低減又は防止するためのものである。切欠き部11は、回転体2が定常回転の状態で回転体2にトルクの変動が生じると、例えば転動体4が転動室7内で慣性力により回転体2の回転方向とは逆の方向に移動して転動室の内壁に当接するのを防ぐストッパーの作用をなす。クリアランスC3は、切欠き部11がストッパーとして作用するまでの間で、転動体4の転動を許容して捩り振動を低減するための遊びである。クリアランスC3は、クリアランスの一例である。
図3は、図1に示した転動体を含む要部の位置関係を示す説明図であり、回転体が低回転で回転して転動体にかかる遠心力が小さい状態を示す。図3に示すように、切欠き部11は、転動室7の短軸方向の端部と長軸方向の端部16との間で転動している時に転動体4が円弧面13に接触することができる形状になっている。転動室7の短軸方向の端部は、中央の位置5aと同様又は同じ位置になっている。
図2で説明したクリアランスC3は、図3に示すように、転動体4が転動面5に沿って所定の角度θ分だけ移動した時に、回転体2の径方向における転動体3の移動量Y1に等しい。角度θは、転動体4が移動量Y1の分だけ移動することを許容する角度である。例えば回転体2がA方向への定常回転の状態で回転体2にトルクの変動が生じると、転動体4は、転動面5の中央の位置5aから角度θn以上移動した位置、つまりクリアランスC3の分だけ移動する前に、切欠き部11の円弧面13に当接し、その円弧面13がストッパーの作用をする。このとき、転動体4は、円弧面13のうちの第1当接部13aに当接し、かつ転動面5のうちの第2当接部5bに当接する。これにより、転動体4は、第1当接部13aと第2当接部5bとで挟まれることで、転動室7のうちの端部16への移動が阻止される。角度θnは、切欠き部11の作用により転動体4の移動を制限するための角度であり、転動面5を転動することができる転動体4の角度θよりも小さい。
転動体4は、回転体2にトルクの変動が生じると、慣性力により転動室7内で揺動して回転体2が受ける捩り振動を低減する。例えば、回転体2が回転軸Oを中心として時計方向に回転している時に、回転体2にトルクの変動が生じると、転動体4は、図2に示す中央の位置5aから、回転軸Oを中心とする反時計方向に移動する。転動体4は、反時計方向への移動が開始されると、転動面5を転動しながら移動して、連結部材9の直線部11aを押す。そして、転動体4は、図3に示すように、角度θn以上移動した位置、つまりクリアランスC3の分だけ移動する手前の位置で第1当接部13aに当接する。
円弧面13は、転動体4が第1当接部13aに当接すると、ストッパーの作用をなす。詳しくは、転動体4は、円弧面13の第1当接部13aと転動面5の第2当接部5bとで挟まれて、回転軸Oを中心とする反時計方向への移動が阻止される。これにより、転動体4がそれ以上移動して転動室6の長軸方向の端部16に当接するのが阻止される。このため、転動体4が端部16に当接することで生じる、例えば打音の発生を防止又は低減することができる。
また、回転体2が定常回転の状態では、図2に示すように、遠心力により転動体4が転動面5の中央の位置5aに押し付けられた状態となっている。このとき、転動体4は、実際には中央の位置5aに維持されておらず、転動面5に沿って僅かに揺動した状態となっている。しかし、切欠き部11は、転動体4に対して揺動方向にクリアランスC1,C2をもっている。このため、前述した揺動により直線部11a,11bに当接して生じる、例えば打音の発生を防止又は低減することができる。
さらに、回転体2が低回転で回転している場合、転動体4には、十分な遠心力が作用していない。この場合、転動体4は、例えば回転体2が時計方向に低回転して、転動室7が回転体2の回転方向での最上部に到った後に下降し始めると、転動室7の上下方向での向きが反転するため、転動室7内で最下部に向けて落下しようとする。転動体4は、回転体2が下降し始める時に、慣性力により転動室7内で回転体2の回転方向とは逆方に向けて移動して連結部材9を反時計方向に回転させる。転動体4は、クリアランスC3の分だけ移動する手前で、第1当接部13aと第2当接部5bとで挟まれて、前述した逆方への移動が阻止される。このため、転動体4は、転動室7内で落下して直接に転動面5又は内壁面14に当接することが阻止される。これにより、回転体2が低回転時に生じる、例えば打音の発生を防止又は低減することができる。
図4は、捩り振動低減装置の別の実施形態を示す説明図である。図4に示すように、捩り振動低減装置17は、図1で説明したと同様に、回転体2、複数の転動体3,4、及び連結部材9等で構成されている。なお、図1で説明したと同一又は同様の部材には、同じ符号を付与してここでの詳しい説明を省略する。
図4に示す実施形態では、図1で説明した切欠き部10,11の代わりに、レーストラック形状をした長孔18,19が連結部材9に設けられている。長孔18,19には、転動体3,4に設けられた連結ピン20,21が所定の隙間をもって挿入されている。連結ピン20,21は、転動体3,4の側面22から突出しており、側面22から見た輪郭円形の中心が転動体3,4の輪郭円形の中心に一致して設けられている。なお、必ずしも一致させる必要なはく、ずらしてもよい。また、連結部材9を、回転体2を挟んだ両側に設けてもよい。この場合、連結ピン20,21を転動体3,4の両側に設ければよい。長孔18,19は、連結部の一例である。
図5は、図4に示した転動体を含む要部の位置関係を示す説明図であり、回転体の高回転で回転している状態を示す。長孔19は、長板状の連結部材9の長手方向に長く形成されており、長手方向の両端に曲面24,25と、曲面24,25を繋ぐ直線部19a,19bとをもっている。曲面24,25は、転動体4の径よりも小径で作られた円弧面となっている。一方の曲面24は、他方の曲面25に対して回転軸O側(内側)に配置され、連結ピン20に当接して転動体4のそれ以上の移動を阻止するストッパーの作用をする。なお、曲面24は、第2曲面の一例である。また、曲面24,25は、円弧面に限らず、楕円弧をもつ曲面や、放物線と略等しい凹状を成す曲面でもよい。
転動体4は、前述したように、定常回転の状態の時に転動面5の中央の位置5aに接触した状態となる。この状態の時に、長孔19は、連結ピン21と直線部19a,19bとの間のうちの転動体4の転動方向に沿った間に所定のクリアランスC4,C5をもっている。また、長孔19は、定常回転の状態の時に、連結ピン21の中心と回転体2の回転軸Oとを通る直線Q上にて、曲面24と連結ピン21との間に所定のクリアランスC6をもつように形状が決められている。なお、他の長孔18も長孔19と同一又は同様な構成になっているため、ここでは長孔18の詳しい説明を省略する。
クリアランスC4,C5は、回転体2が定常回転の状態の時に、転動体4が転動方向に僅かに揺動することで直線部19a,19bに当接して、例えば打音を発生させることを防止又は低減するためのものである。曲面24は、例えば回転体2が定常回転の状態の時にトルクの変動が生じると、転動体4が転動室7内で慣性力により回転体2の回転方向とは逆の方向に移動して転動室7の内壁に当接するのを防ぐストッパーの作用をなす。クリアランスC6は、円弧面13がストッパーとして作用するまでの間で、転動体4の転動を許容して捩り振動を低減するための遊びとなっている。クリアランスC6は、クリアランスの一例である。
図6は、図4に示した転動体を含む要部の位置関係を示す説明図であり、回転体が高回転で回転して転動体にかかる遠心力が小さい状態を示す。図6に示すように、長孔19は、転動体4が中央の位置5aと長軸方向の端部16との間で転動している時に、曲面24が連結ピン21に接触することができる形状になっている。
図5で説明したクリアランスC6は、図6に示すように、転動体4が転動面5に沿って所定の角度θ分だけ移動した時に、回転体2の径方向での転動体3の移動量Y2に等しい。
転動体4は、例えば回転体2が回転軸Oを中心として時計方向Aに回転している時にトルクの変動が生じると、転動面5が中央の位置5aから反時計方向に向けて移動する。そして、転動体4は、クリアランスC6の分だけ移動する手前で、連結ピン21が長孔19の曲面24に接触する。この状態になると、転動体4は、曲面24の第3当接部24aと転動面5の第4当接部5cとで挟まれて反時計方向への移動が阻止される。これにより、転動体4は、それ以上移動して転動室6の長軸方向の端部16に当接するのが阻止される。このため、回転体2のトルク変動時の、例えば打音の発生を防止又は低減することができる。
また、回転体2が定常回転の状態では、図5に示すように、遠心力により転動体4が転動面5の中央の位置5aに押し付けられた状態となっている。このとき、転動体4は、転動面5に沿って僅かに揺動している。しかし、長孔19は、転動体4との間にクリアランスC4,C5をもっているため、前述した揺動により長孔19の直線部19a,19bに当接して生じる、例えば打音の発生を防止又は低減することができる。
さらに、転動体4は、回転体2が時計方向Aに低回転で回転している場合、転動室7が回転体2の回転方向での最上部に到った後に下降し始めると、転動室7の上下方向での向きが反転するため、転動室7内で最下部に向けて落下しようとする。転動体4は、回転体2が下降し始める時に、慣性力により転動室7内で回転体2の回転方向とは逆方に向けて移動して連結部材9を反時計方向に回転させている。このとき、転動体4は、クリアランスC6の分だけ移動する手前で、曲面24の第3当接部24aと転動面5の第4当接部5cとで挟まれて、前述した逆方への移動が阻止される。このため、転動体4は、転動室7内で落下して転動面5を含む内面に、例えば直接に落下することが阻止される。これにより、回転体2が低回転時に生じる、例えば異音の発生を防止又は低減することができる。
さらに、長孔19の曲面24は、図1で説明した切欠き部10,11と比べて回転体2の径方向の外側に位置し、かつ円弧面13に対して曲率が小さい。このため、転動体4が転動室7の端部に向けて移動した時に、図3で説明した実施形態での円弧面13と転動面5との隙間に対して、図6で説明した実施形態では、曲面24と転動面5との隙間を狭く設定することができる。このため、転動体4が径方向で揺動することを低減することができる。つまり、転動体4を転動面5との間で挟み込む前に、連結ピン21が曲面24に当接して跳ね返り、次に転動体4が反対側の転動面5に当接して再び跳ね返る等の跳ね返り作用を抑制することができる。これにより、転動面5等に再び当接することで生じる、例えば打音を抑制することができる。
以上、複数の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されない。例えば、クランクシャフトの捩り振動を低減するように構成されているが、特に、この捩り振動低減装置の対象とする部材が限定されるものではなく、要は回転体の捩り振動を低減することができればよい。したがって、例えば、トルクコンバータや変速機の入力軸あるいは出力軸など種々の回転体に設けることができる。また、その捩り振動は内燃機関による燃焼を要因とするものでなくてもよい。
1,17…捩り振動低減装置、 2…回転体、 3,4…転動体、 5…転動面、 5a…中央の位置、 5b…第2当接部、 5c…第4当接部、 6,7…転動室、 9…連結部材、 10,11…切欠き部、 11a,11b,19a,19b…直線部、 13…円弧面、 13a…第1当接部、 18,19…長孔、 20,21…連結ピン、 24,25…曲面、 24a…第3当接部、 C1〜C6…クリアランス。

Claims (1)

  1. 第1曲面をもつ転動室が周方向に複数設けられた回転体と、前記転動室に収容され前記第1曲面により転動可能に支持される複数の振子部材と、第2曲面を有する複数の連結部が設けられ前記複数の連結部により前記振子部材同士を連結する連結部材と、を具えた捩り振動低減装置において、
    前記第1曲面は、楕円弧を含み、
    前記連結部は、前記振子部材が前記第1曲面のうちの前記振子部材が転動する転動方向における中央の位置にある時に前記振子部材と前記第2曲面との間に所定のクリアランスをもち、かつ前記振子部材が前記楕円弧を構成する短軸方向の端部と長軸方向の端部との間に位置した時に、前記振子部材が前記第2曲面に接触することができるように構成されている、ことを特徴とする捩り振動低減装置。
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