JP2004060571A - 弁開閉時期制御装置 - Google Patents

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Yasuhiro Shiotani
塩谷 泰宏
Ichiro Hiratsuka
平塚 一郎
Shigeru Nakajima
中嶋 滋
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Abstract

【課題】信頼性の高い、軽量かつ応答性の良い弁開閉時期制御装置を提供すること。
【解決手段】ハウジング30を球状のSi粒子が含有され、含有されるSi粒子量の90%が0.5μm以上3μm未満の大きさを有すると共に、残りの10%のSi粒子が3μm以上10μm以下の大きさを有するアルミニウム合金から構成し、ロータ20をハウジング30を構成するアルミニウム合金の約1.5倍の15〜19%のSi粒子が含有され、含有されるSi粒子の形状が3μm以下の球状をしたアルミニウム合金から構成したこと。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸気弁又は排気弁を制御するために使用される弁開閉時期制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の弁開閉時期制御装置としては、特開2000−297614号や特開平10−89020号に記載されたものがある。これらの弁開閉時期制御装置は、エンジンのクランクシャフトと同期回転するチェーンスプロケット等の動力伝達部材によりカムシャフトを駆動し、動力伝達部材とカムシャフトの位相差を油圧等を用いて可変に制御することで、吸気弁及び排気弁の少なくともいずれか一方の開閉時期を調整するベーン方式のものである。また、これらベーン方式の弁開閉時期制御装置においては、ハウジングとチェーンスプロケットが一体でカムシャフトに対し相対回転が可能な状態で装着され、ハウジング内側に形成された油圧室内に回動が可能な状態で収容されたベーンロータとカムシャフトの端部が一体回転可能な状態に固定されている。したがって、ベーンロータが油圧制御に基づきハウジングに対して相対回動することによってカムシャフトの相対回転位相が変更され、弁開閉時期が可変とされるようになっている。
【0003】
また、弁開閉時期制御装置の軽量化を図るためベーンロータやハウジングの材質をアルミニウムやアルミニウム合金などのアルミ系材料が使用される。この場合、ベーンロータとハウジングを共にアルミ系の金属にするとベーンロータとハウジングが摺動する際に凝着が発生し摩耗が進行する恐れがある。そのため、ベーンロータは側面側摺動面に錫メッキを行なったり、難凝着性の薄板を入れることで凝着の発生を防止することが必要である。また、ベーンロータ先端の摺動部には、シール材を組み付けて凝着の防止とオイルリークの防止を行なっている。但し、このシール材は有機系であるため、線膨張係数がベーンロータやハウジングに使用されるアルミニウム等金属系に比べ大きく、低温時のリーク量が増大する問題がある。
【0004】
また、特開平11−13432に示されるような弁開閉時期制御装置においては、ハウジングとロータの接触部分が軸受け機構を兼ねた構造になっているため、過酷な摺動性能が要求され単純に鉄系焼結材料からアルミニウムやアルミニウム合金焼結材料に材料置換するだけでは、摺動抵抗が高く凝着摩耗が発生、強度面も劣るため製品として成立しない。その上、ロータ、ハウジング及びベーンの線膨張係数は同じでなければ、温度低下に伴う寸法変化によりオイルリーク量が増大し、本来の機能に支障をきたすため、これらは類似した線膨張係数を持つ材料にしなければ製品として成立しない。また、凝着摩耗のみならず製造工程や車両の使用時に不可避な状況でエンジンオイルに進入し分離不可能な浮遊する0.05mm〜0.2mm以下のSiO等の硬質粒子によるアブレッシブな摩耗に対する改善は鑑みられていないのが実状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は上記課題を解決するため、信頼性の高い、軽量かつ応答性の良い弁開閉時期制御装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するために講じた請求項1に記載の発明は、内燃機関のクランク軸又はカム軸の一方と共に回転するロータと、該ロータに相対回転可能に外装され前記クランク軸又は前記カム軸の他方と共に回転するハウジングと、前記ロータと前記ハウジングとの間に形成される流体圧室と、該流体圧室を進角室と遅角室とに区画するベーンと、前記進角室と前記遅角室への流体の給排を制御する油圧回路と、を備えた弁開閉時期制御装置において、前記ハウジングを球状のSi粒子が含有され、含有されるSi粒子量の90%が0.5μm以上3μm未満の大きさを有すると共に、残りの10%のSi粒子が3μm以上10μm以下の大きさを有するアルミニウム合金から構成し、前記ロータを前記ハウジングを構成するアルミニウム合金の約1.5倍の15〜19%のSi粒子が含有され、含有されるSi粒子の形状が3μm以下の球状をしたアルミニウム合金から構成したことを特徴とする弁開閉時期制御装置である。
【0007】
この手段によれば、組織内に含有されるSi形状を球状(0.5μm〜3μm)とすることができる。これにより、クランク軸の回転駆動力を伝達するチェーンのローラーと摺動し、従動されるハウジングと一体に形成されたスプロケットの摺動面に表出した角形または板状のSiがチェーンローラーの摺動面を荒す相手攻撃性や、摺動により荒れたローラーがスプロケットのSi粒子のない軟質部を削る異常摩耗の発生を防ぐ事ができる。また、ロータとハウジングの摺動部においては、従来のアルミ材同士の摺動では実現し得なかった良好な摺動状態を確保でき、凝着摩耗を主とした異常摩耗の防止、従来のアルミ系材料や鉄焼結材料からなる摺動部材より優れた耐焼付き性・耐摩耗性・摩擦係数の性能が確保できる。
【0008】
上記技術的課題を解決するために講じた請求項2に記載の発明は、前記ベーンは、オーステナイト系ステンレス又は高Mn鋼を軟窒化処理した材料からなることを特徴とする請求項1に記載の弁開閉時期制御装置である。
【0009】
この手段によれば、ハウジング、ロータ及びベーンは、ほぼ等しい線膨張係数を得ることができる。これにより、オイルリーク量を少なくすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態(実施例)を図面に基づいて説明する。図1及び図2に示した本発明による弁開閉時期制御装置100は、内燃機関のシリンダヘッド(図示せず)に回転自在に支持されたカム軸10の先端部に締結ボルト11及びスリーブ12を介して固定されたロータ20と、カム軸10及びロータ20に所定範囲で相対回転可能に外装されたハウジング30、フロントプレート40、リアプレート50からなる回転伝達部材と、ロータ20に組付けた4枚のベーン70と、ハウジング30に組付けたロックピン80等によって構成されている。
【0011】
ロータ20は、カムシャフト10に一体的に固着されていて、4枚の各ベーン70をそれぞれ径方向に取付けるためのベーン溝21を有するとともに、図1に示した状態、すなわちカムシャフト10及びロータ20とハウジング30の相対位相が所定の位相(最遅角位置)で同期したときロックピン80が所定量嵌入される受容孔22と、この受容孔22に進角通路(図示せず)から作動油を給排する通路23と、各ベーン70によって区画された進角室R1に進角通路(図示せず)から作動油を給排する通路24と、各ベーン70によって区画された遅角室R2に遅角通路12から作動油を給排する通路25を有している。
【0012】
各ベーン70は、ベーン溝21の底部に収容したスプリング71によって径外方に付勢されている。
【0013】
ハウジング30は、その内周にてロータ20の外周面に所定の隙間(作動油が介在する極少隙間)で相対回転可能に組付けられていている。ハウジング30には、各ベーン70を収容し各ベーン70によって進角室R1と遅角室R2とに二分される作動油室R0をロータ20とによって形成する凹所32が形成されるとともに、ロックピン80とこれをロータ20に向けて付勢するスプリング91を収容する退避孔33がハウジング30の径方向に形成されている。また、内燃機関のクランク軸(図示せず)より回転動力を伝達するチェーン(図示せず)が摺動するスプロケット31がハウジング30の外周部に形成されている。
【0014】
ここで、ハウジング30はクランク軸(図示せず)の回転動力を伝達するため、チェーン(図示せず)により従動される。このときスプロケットにはチェーンとの摺動に耐えうる強度と耐摩耗性が要求されるため強度の高いJISH5202のAC8C相当のアルミ合金材料が使用される。ところで、AC8Cは組織改質しない場合Si形状は10μm以上の大きさの角形又は板状結晶である。また、Si粒子の硬度はチェーンのローラー(図示せず)の硬度より高いため、摺動面(図示せず)に表出した場合ローラーの面を荒し、次に荒れたローラーは反対にスプロケットを削り異常摩耗に至る。これを防止するため組織改質を行ないSi形状を3μm以下の球形にする。これによりローラーは面荒れを起こさず異常摩耗の発生を防ぐことができる。
【0015】
ロータ20は、高温となるエンジンオイル中でカムシャフト10に直接固定されスプロケットを介してチェーンの張力や変動荷重を受ける。従って、高温での強度と高い摩耗性及びカムシャフト10に締結される締め付けトルクに対抗できるアルミニウムより高い剛性が求められ、ロータ20には、Si結晶の形態及び合金中の析出物を微細に制御することで高強度化した材料を使用する。
【0016】
このため、アルミニウム−珪素−鉄からなるアルミニウム合金の急冷凝固粉末を静水圧下で熱間又は冷間で固めビュレットを作製し、このビュレットを熱間で押出した棒材を使用する。この工程で作られた棒材は、Si粒子形状を精密に制御でき、相当量のFeを添加しても針状結晶を作ることなく、微細に分布したFe−Al金属間化合物により高温強度だけを向上させた材料を得ることができるので、高温のエンジンオイル中で使用することができる。
【0017】
また、Siの添加量において、過共晶点を超えた添加を行なっても粗大なSi結晶を生じないので相手攻撃性を発現することなく硬度と耐摩耗性及び剛性等を向上できる。また、生産工程においては同量のSiを添加された溶製材に比べ相手攻撃性が少ないため切削工具の摩耗が少なくなり仕上りの面粗度も良好となる等の利点もある。
【0018】
また、カムシャフト10に固定されたロータ20の外周面Cとハウジング30の内周面Bは、回動する軸受け構造を構成しているためチェーン張力を支える荷重が面圧として加わる。従って、この圧縮応力に耐えうる強度と耐摩耗性が要求される。また、この部分はアルミニウム合金同士の摺動であるため、凝着が発生しやすく、耐凝着性が要求される。
【0019】
ここで、Si粒径を0.5μm〜3μmに組織改質した場合、これらの粒子が表層に現れた時の面性状を図3を基に説明する。
【0020】
Si粒径は、0.5μm〜3μmであるので、摺動により粒子脱落の起きない安定状態が得られる高さbは、
φa=1μm〜3μmであれば、
b=1μm〜3μm/6
=0.16〜0.5μmである。
【0021】
この場合の流体潤滑を得るために必要となる最小油膜厚さhminは、潤滑ハンドブックP621,(7.3.19)式より
min/(Rjmax+Rbmax)=1
∴hmin=(Rjmax+Rbmax
ここで
min=流体潤滑になるために必要な最小油膜厚さ
jmax=ロータ20の外周面Cの面粗度
bmax=ハウジング30の内周面Bの面粗度
安定的に摺動面が得られれば双方の面粗度は、ほぼ等しくなるため、
jmax≒Rbmaxと近似される
∴hmin=2Rjmax
改質材の必要油膜厚さは、
改質材:hmin(K)
min(K)=2Rjmax
ここでRjmax=bであるので、
=2×0.5=1μm
となる。
【0022】
ここで、面圧が高くなっても油膜が切れない条件は、潤滑油の油膜厚さが剪断厚さ以下にならなくてはならないが、エンジンオイルの場合一般的に剪断厚さが1.6μm程度であるので、
改質材は hmin(S)=2Rjmax
=2×0.5=1μm≦1.6μm
となり、流体潤滑の条件を満たす。
【0023】
一方、同様に非改質材を見ると
φa=8.0μm〜14.0μmであるので、
b=8.0μm〜14.0μm/6
=1.33〜2.33μmである
したがって、
min(N)=2Rjmax
=2×2.33=4.66μm≧1.6μm
で、境界潤滑領域で摺動することになり、Si粒径を含め組織制御することは流体潤滑状態を得るために非常に有効である。
【0024】
また、この部分では構造上軸受け部の空隙には、アブレッシブ摩耗で問題となるようなエンジンオイル中に進入し浮遊する0.05mm以上0.2mm以下のSiO等硬質粒子の進入はないため、構成する部品から脱落するSi粒径が上記のサイズに制御されていればアブレッシブ摩耗は発生しない。
【0025】
つまり、ロータ20は上記した通りSi粒子が相手攻撃を行なわず、かつ粒子脱落が起こりにくい大きさであること等を考慮すると、Si粒子は2μm以下でなくてはならない。更に、好ましくは0.5μm以下であると良い。
【0026】
また、ロータ20とハウジング30の回動に伴いベーン70とハウジング30の摺動面には、ベーン70に加わる遠心力で高いヘルツ応力が加わる。更に、ベーン70の先端Dはハウジング30の内周面に沿うようにR形状になっているため、エンジンオイル中に浮遊する0.05mm以上0.2mm以下のSiO等硬質粒子が多くなると、ベーン70とハウジング30の摺動面に入り込み、アブレッシブ摩耗を主要因とした異常摩耗発生の恐れがある。
【0027】
この問題を解決するために薄板のベーン70にSUS材又は高Mn鋼を用いる。SUSの比重は、7.93g/cmであるため、従来技術のローターベーンの構造であると重量が非常に重くなる。このため、薄板ベーン構造とすることにより、ベーン70を小さくできると共に軽量化することができる。
【0028】
また、SUS材料又は鋼Mn鋼は、軟窒化処理することで表面から20〜40μm程度の深さにおいて、ビッカース硬度で1100〜1200Hvの非常に硬質な表面層を作ることができる。この表面層の硬度は、ほぼSiOの硬度に匹敵する硬さであり、摺動するハウジング30のベーン摺動部Aとの硬度差が大きいため、摩耗等により面荒れを起こすことなくエンジンオイル中に浮遊する0.05mm以上0.2mm以下のSiO等の硬質粒子を排出、又は軟質なアルミニウム合金で作られたハウジング30のベーン摺動部Aに埋収させることが可能となり、アブレッシブ摩耗を主要因とした異常摩耗発生を防ぐことができる。
【0029】
また、アルミニウム合金で作られたロータ20とハウジング30と鋼製部品であるベーン70とは線膨張係数の違いにより、ベーン70の先端Dとベーン70の摺動部Aとの間のオイルリークの恐れがある。
【0030】
この問題を解決するためにロータ20にはSi含有量12%のアルミニウム合金を使用すると共にベーン70に通常の鋼製部品に比べ線膨張係数の大きな材料を選定し熱処理により耐摩耗性を確保し問題を回避することができる。
【0031】
すなわち、表1に示した線膨張係数の実測値からわかる様に、ベーン70の材料SUS430又は高Mn鋼とロータ20の材料Si含有量17%のアルミニウム合金は、ほぼ等しい線膨張係数を得ることができる。これにより、オイルリーク量を極めて少なくできる。
【0032】
【表1】
Figure 2004060571
以上のように上記した材料をロータ20、ハウジング30、ベーン70に用いることで、従来技術の鉄系焼結材製の弁開閉時期制御装置に比べ軽量で、かつ内燃機関内部の潤滑油内に浮遊する0.05mm以上0.2mm以下の硬質粒子に起因するアブレッシブ摩耗又はアルミニウム部品同士の摺動における凝着摩耗に対する耐摩耗性に優れた弁開閉時期制御装置を達成できる。
【0033】
次に、上記したロータ20、ハウジング30、ベーン70の特性を発現させるために必要となる、それぞれの部材について説明する。
【0034】
(実施例1)
ハウジング30の材料に相当する表2に示す組成のアルミニウム合金から直径φ235mm×長さ400mmの円筒形ビュレットを製作し、これを押出し装置によりφ90の押出し丸棒を作る。この丸棒を40mmの長さに切断した材料をプレス装置を用いて25mmの厚さに加圧変形する。更に、この25mmの厚さになった粗材のマトリックス中のSi粒子を球状化処理した後にT6処理して硬度をHv160〜180に調整したものを図4及び図5に示す形状に切削加工を行ない、摩擦・摩耗試験に使用するテストピースを製作する。
【0035】
【表2】
Figure 2004060571
また、ロータ20の材料に相当する表3に示す組成のアルミニウム合金の急冷凝固粉末を静水圧下で熱間又は冷間で固めビュレットを作製し、このビュレットを熱間でφ55に押出した丸棒を適当な長さに切断後T6処理を行ない、硬度をHv160〜190に調整したものをそれぞれ、図4〜図7に示す形状に切削加工を行ない、摩擦・摩耗試験に使用するテストピースを製作する。なお、ロータ20の材料には住友電工(株)製のスミアルタフ#217を用いても良い。
【0036】
【表3】
Figure 2004060571
更に、ベーン70の材料に相当するJISG4202に規定されるSUS304の丸棒又は、JISG4106に規定される13高Mn鋼を切削加工により図6及び7に示す形状に加工し580℃×2Hr軟窒化処理して化合物層厚さを25〜30μm生成させる。
【0037】
この時、これらのテストピースの表面硬さはマイクロビッカース硬度で700Hv以上にする。この様にして作ったテストピースを図8又は図9に示した方法で摩擦・摩耗評価を行なった。
【0038】
(実施例2)
ハウジング30の材料に相当する表2に示す組成のアルミニウム合金から直径φ235mm×長さ400mmの円筒形ビュレットを製作し、これを押出し装置によりφ110の押出し丸棒を作る。この丸棒を40mmの長さに切断し、球状化処理した後に切削加工又はプレス装置を用いて25mmの厚さになるまで加圧変形する。更に、この25mmの厚さになった粗材をT6処理して硬度をHv160〜190に調整したもので図10に示す形状のテストピースをつくる。
【0039】
一方、ロータ20の材料に相当する住友電工(株)製のスミアルタフ#217の丸棒を適当な長さに切断後T6処理を行ない、硬度をHv160〜190に調整したものを図11に示す形状に切削加工を行ないテストピースを製作する。
【0040】
更に、ベーン70に相当する材料である表5に示すSUS304の丸棒又は、13高Mn鋼を切削加工により図12に示す形状に加工し、580℃×2Hr軟窒化処理して表4に示す特性の表面処理を行なう。
【0041】
【表4】
Figure 2004060571
【表5】
Figure 2004060571
上記実施例1のテストピースによる本発明の材料組合せの評価において、一般的なアルミニウム合金の溶製材に比べ優れた耐摩耗特性を示している。まや、参考としたJISZ2550及びP2054に相当する一般焼結材料に比べても遜色のない耐摩耗性を示している。
【0042】
また、実施例2においても表6に示す通り、優れた耐摩耗性及び耐リーク性を示している。
【0043】
これにより、弁開閉時期制御装置の軽量化が可能となり、内燃機関の低燃費化が可能となる。
【0044】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明によれば、組織内に含有されるSi形状を角形または針状結晶(10μm以上)から球状(粒子径1μm〜3μm)とすることができる。これにより、クランク軸の回転駆動力を伝達するチェーンのローラーと摺動し、従動されるハウジングと一体に形成されたスプロケットのチェーンローラーの摺動面を荒す相手攻撃性や、荒れたローラーがスプロケットのSi粒子のない軟質部を削る異常摩耗の発生を防ぐ事ができる。また、ロータとハウジングの摺動部においては、従来のアルミ材同士の摺動では実現し得なかった良好な摺動状態を確保でき、凝着摩耗を主とした異常摩耗の防止、従来のアルミ材や鉄焼結材からなる摺動部材より優れた耐焼付き性・耐摩耗性・摩擦係数の性能が確保できる。
【0045】
また、請求項2の発明によれば、ハウジング、ロータ及びベーンは、ほぼ等しい線膨張係数を得ることができる。これにより、オイルリーク量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による弁開閉時期制御装置のハウジングとロータおよびその関連部材の正面図。
【図2】本発明による弁開閉時期制御装置のハウジングとロータおよびその関連部材のA−A線縦断面図。
【図3】本発明における摺動状態における表出したSiの模式図。
【図4】実施例1の評価法1のテストピースAの概略図。
【図5】実施例1の評価法2のテストピースBの概略図。
【図6】実施例1の評価法1のテストピースCの概略図。
【図7】実施例1の評価法2のテストピースDの概略図。
【図8】実施例1の評価法1の試験状態の説明図。
【図9】実施例1の評価法2の試験状態の説明図。
【図10】実施例2の試験のハウジングの概略図。
【図11】実施例2の試験のロータの概略図。
【図12】実施例2の試験のベーンの概略図。
【符号の説明】
10・・・カム軸
20・・・ロータ
30・・・ハウジング
70・・・ベーン
100・・・弁開閉時期制御装置
R1・・・進角室
R1・・・遅角室

Claims (2)

  1. 内燃機関のクランク軸又はカム軸の一方と共に回転するロータと、
    該ロータに相対回転可能に外装され前記クランク軸又は前記カム軸の他方と共に回転するハウジングと、
    前記ロータと前記ハウジングとの間に形成される流体圧室と、
    該流体圧室を進角室と遅角室とに区画するベーンと、
    前記進角室と前記遅角室への流体の給排を制御する油圧回路と、を備えた弁開閉時期制御装置において、
    前記ハウジングを球状のSi粒子が含有され、含有されるSi粒子量の90%が0.5μm以上3μm未満の大きさを有すると共に、残りの10%のSi粒子が3μm以上10μm以下の大きさを有するアルミニウム合金から構成し、前記ロータを前記ハウジングを構成するアルミニウム合金の約1.5倍の15〜19%のSi粒子が含有され、含有されるSi粒子の形状が3μm以下の球状をしたアルミニウム合金から構成したことを特徴とする弁開閉時期制御装置。
  2. 前記ベーンは、オーステナイト系ステンレス又は高Mn鋼を軟窒化処理した材料からなることを特徴とする請求項1に記載の弁開閉時期制御装置。
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