JP4203971B2 - 低フリクション炭素薄膜 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種産業用機械の摺動部分における摩擦特性を改善するために、摺動部材に対する表面処理として適用される炭素薄膜に係わり、さらに詳しくは、非晶質の炭素膜中に鉄を含有することによって、無潤滑下での摩擦係数の低さと潤滑下での摩擦係数の低さとの両立を可能にし、特に潤滑油中の極圧添加剤との相乗効果が得られる低フリクション炭素薄膜に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
炭素膜に関しては、従来から多くの研究がなされている。例えば、プラズマCVDやPVDイオンプレーティング,イオンビーム蒸着などによって、硬質のアモルファスカーボン(a−C)やダイヤモンド、水素化カーボン(a−C:H),メタル含有アモルファスカーボン(a−MeC:H),ダイヤモンドライクカーボン(DLC)などの炭素膜を得ることができ、これらの炭素膜に関する成膜方法や膜質の改善について数多くの提案がなされている(例えば、特開平6−138035号公報等)。
【0003】
これら炭素膜を用いた表面処理には、様々な用途が期待されることから、これまで長い間、広範囲の研究が行われており、近年では成膜装置の発展などによってコスト的な問題も解消されてきたことから、工業的にも適用範囲が大きく広がりつつある。
【0004】
その最も大きな理由として、炭素膜自体の固体潤滑性と硬さが挙げられる。すなわち、摩擦面に炭素膜の表面処理を施した場合、摩擦面における摩擦係数を下げると共に、耐摩耗性を向上させる効果が得られることから、DLC膜を始めとする非晶質系の炭素膜は、摩擦/摩耗特性の観点から非常に魅力的な特性を備えた表面処理膜と言える。
【0005】
これらの炭素薄膜は固体潤滑性を有することから、宇宙関係やデバイス関係など、無潤滑下での用途にこれまで注目されてきたが、摩擦/摩耗特性に優れる点から潤滑油中で用いられる部品に対する表面処理材料としての用途も今後拡がっていくことが予想される。つまり、潤滑油中においても接触部位をミクロ的に見た場合には、摩擦する固体同士が潤滑油を介することなく直接接触するいわゆるメタルコンタクトの状況も存在することから、潤滑下においても摩擦係数を下げる効果が期待でき、これらの炭素薄膜を潤滑剤中の部品にも応用しようとするアイディアである。ただし、潤滑油中での摺動では、流体圧の影響によって油膜が接触部位の間に発生し、メタルコンタクトの割合は無潤滑下の摺動に較べて圧倒的に少なく、単に従来からある炭素膜を適用しただけでは、フリクションの低減に限界があるという問題点があった。
【0006】
一方、内燃機関や変速器などに用いられる潤滑油においても、これまでに摺動部品の摩擦/摩耗特性を改善するために多くの改善がなされてきており、その一つとして極圧添加剤の開発が挙げられる。特に金属系極圧添加剤は、鉄を主体とする摩擦面に対して摺動時に反応被膜を生成し、この被膜により摩擦/摩耗特性を改善する。特にモリブデン系極圧添加剤では、摺動中に摩擦面に固体潤滑材として知られるMoS2 (二硫化モリブデン)が生成され、この効果によってフリクションが大幅に減少する。しかしながら、鉄系材料からなる摩擦面が炭素膜によって被覆されてしまえば反応被膜が生成せず、このような効果は期待できなくなるという問題点があって、これら問題点の解消が無潤滑環境の摩擦/摩耗特性に加えて、潤滑下での摩擦/摩耗特性にも優れた低フリクション炭素薄膜を得るための課題となっていた。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、従来の炭素薄膜における上記課題に着目してなされたものであって、無潤滑下での摩擦係数の低さと、潤滑下での摩擦係数の低さとを兼ね備えた低フリクション炭素薄膜を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
これまで、非晶質構造を主体とした炭素膜について解析を行ってきた結果、潤滑油中で用いられる摺動部品に対して炭素膜による表面処理を施したとしても、表面処理を施すことなく鉄のみを主体とした従来の部品に比べ、必ずしも期待どおりのフリクション低減効果が得られない場合があることが潤滑油や摺動条件をさまざまに組み合わせた広範囲な摩擦試験を実施することによって明らかとなっている。
【0009】
すなわち、基油のみから構成される潤滑油を用いた場合には、潤滑下においても炭素膜によるフリクション低減効果が得られる。しかしながら、モリブデン系などの極圧添加剤を含む潤滑油を用いた場合では、添加剤による効果が表面処理を施さない鉄のみのものと比較して、必ずしも同等な効果が得られないことがあった。
【0010】
このとき、摩擦試験後に摩擦面の表面分析を行ったところ、摺動表面が鉄のみの場合にはモリブデン系極圧添加剤による反応被膜が観察され、固体潤滑材の一種であるMoS2の存在が確認された。これに対し、炭素膜を摩擦面に被覆した場合には試験後の摩擦面に添加剤の構成元素の吸着はほとんど認められず、反応被膜の生成を確認することができなかった。また、摩耗防止剤として潤滑油に広範囲に用いられている亜鉛系極圧添加剤を含む潤滑油による試験においても同様に、摺動表面が鉄の場合には反応被膜が認められるのに対して、炭素膜を摩擦面とした場合には反応被膜が認められず、鉄が炭素膜により被覆されることによって、極圧添加剤の本来の作用が発揮されていないものと推定された。
【0011】
そこで、本発明者らは、炭素薄膜中に鉄を含有させたところ、モリブデン系極圧添加剤との反応被膜を摩擦面上に生成させることができ、炭素薄膜の固体潤滑性による効果と潤滑油中の添加剤に基づく反応被膜による効果を両立させ、さらにそれぞれの効果が双方の効果を補完し合う相乗効果が得られ、無潤滑下での摩擦係数の低さと、潤滑下での摩擦係数の低さとを兼ね備えた低フリクション炭素薄膜が得られることを見出だすに至った。
【0012】
本発明は、このような知見に基づくものであって、本発明の請求項1に係わる低フリクション炭素薄膜は、非晶質の炭素を主成分とする第1の層と、鉄を主成分とする第2の層との交互積層構造を備え、少なくとも摺動時に第2の層に含まれる鉄の一部が摩擦面に露出している構成としたことを特徴としており、低フリクション炭素薄膜におけるこのような構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【0013】
本発明による低フリクション炭素薄膜の実施態様として請求項2に係わる炭素薄膜においては、上記交互積層構造における第1および第2の層の積層厚さが1nm〜50nmの範囲にある構成としており、請求項3に係わる低フリクション炭素薄膜においては、第1の層と第2の層の界面に、SiまたはTiを主成分とする介在層を備えている構成とし、請求項4に係わる低フリクション炭素薄膜においては、第1および第2の層を構成する炭素および鉄の濃度が連続的に変化する傾斜構造を備えている構成とし、請求項5に係わる低フリクション炭素薄膜においては、第1および第2の層の少なくとも一方に、Mo,W,CrおよびVのうちの1種または2種以上を含有している構成としたことを特徴としている。
【0014】
さらに、本発明による低フリクション炭素薄膜の実施態様として請求項6に係わる炭素薄膜は、モリブデン系極圧添加剤を含む潤滑油を使用する環境で用いる摺動部品の表面に成膜することができ、具体的には、請求項7ないし請求項9に記載しているように、内燃機関のバルブリフターの冠面、内燃機関のカムシャフトとバルブリフターの間に挿入されるシムの表面、あるいは同じく内燃機関のピストンリングにおけるシリンダブロックのボアとの摺動面に成膜して使用することができる。
そして、本発明の上記低フリクション炭素薄膜の製造方法としては、各層をPVD法、またはPVD法とCVD法とを併用して各層を成膜する構成としたことを特徴とする。
【0015】
【発明の作用】
本発明に係わる低フリクション炭素薄膜の潤滑下におけるフリクション低減のメカニズムとしては次のように考えられる。
本発明の低フリクション炭素薄膜は、非晶質の炭素を主成分とする第1の層と、鉄を主成分とする第2の層との交互積層構造を備えており、これら層の積層面は、多少のうねりを伴う波形に形成されているため、摺動開始後間もなく最表層が部分的に摩耗することによって第1および第2の両層が摩擦面に露出する。
【0016】
すなわち、潤滑油中の摺動において、摩擦部位では摺動部材が相互に直接接触するメタルコンタクトの状況が発生するが、この接触部位において、炭素薄膜(第1の層)による固体潤滑性に加え、第2の層中の鉄が摩擦表面に露出した部位においては、例えばモリブデン系極圧添加剤と鉄との反応によって、反応被膜が生成し、この被膜による固体潤滑性が得られる。一般に、MoS2単体の摩擦係数は0.01よりも小さいとされており、この値は炭素薄膜について報告されている摩擦係数に比べても小さく、炭素薄膜単体の場合に比べてさらにフリクションが低減することになる。
【0017】
ただし、添加剤による反応被膜は摺動時に生成されるものであって、最初から存在する炭素薄膜とは相違して、反応被膜の状態は摩擦部位における潤滑条件,摺動条件,添加剤の劣化状態などに大きく影響されることになる。摩擦特性に影響すると考えられる反応被膜の量的なものは生成と摩耗とのバランス上にある。すなわち被膜の生成は化学反応によるため、化学反応に必要な温度や圧力などがある一定のレベル以上となる荷重や滑り速度などの負荷が必要となる。また、負荷が大きすぎたり、潤滑油の供給量が極端に少ない場合など摩耗速度が反応被膜の生成速度を上回る条件下では反応被膜は安定して存在できず、反応被膜によるフリクション低減は期待できない。
【0018】
このように、添加剤の反応被膜による作用は、条件によっては必ずしも一律に有効ではないため、フリクション低減作用を安定して得るためには、炭素膜の共存が必要と考えられる。炭素膜の表面硬さは、ビッカース硬さで優に1000を超えるものが多く、低フリクション特性と相俟って優れた耐摩耗性を示す。このことは、炭素薄膜中に含まれる鉄の摩耗を間接的に抑制することにもつながり、鉄を含む炭素薄膜の低フリクション特性を維持するのにも寄与する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明に係わる低フリクション炭素薄膜は、非晶質の炭素を主成分とする第1の層と、鉄を主成分とする第2の層との交互積層構造を備え、第2の層に含まれる鉄の一部が少なくとも摺動時に摩擦面に露出している構造のものであって、炭素膜の固体潤滑性に基づく低フリクション特性と、潤滑油中に含まれる極圧添加剤と炭素膜中に含まれる鉄との反応生成物による低フリクション特性とが両立し、潤滑下での大幅なフリクション低減が達成されるものであるが、このような炭素薄膜は、例えば請求項10に記載しているように、PVD法(物理蒸着法)、またはPVD法とCVD法(化学蒸着法)とを併用することによって成膜することができる。
【0020】
すなわち、非晶質構造の炭素薄膜自体の成膜は、CVD,PVDいずれの方法でも可能であり、PVD法を適用した場合には、ターゲットにグラファイトを用いることが多いため炭素膜は炭素のみから構成される。CVD法による場合は、プラズマCVDによる成膜が主流であり、原料として炭化水素系ガスを用いることが多く、炭素膜内に水素が含まれることになる。いずれの炭素薄膜も固体潤滑性を示すと共に、高い硬度が得られ、本発明に係わる低フリクション炭素薄膜に好適なものとなる。また、鉄を炭素膜中に含ませる方法としては、鉄のターゲットを用いたPVD法による成膜方法を採用することができる。
【0021】
例えば、鉄と炭素のターゲットを両端に配置し、これらの中間位置に回転するテーブルを置くと共に、テーブルの端に基材を載置して成膜を開始すると、テーブルの回転周期に応じて鉄と炭素の膜が交互に積層され、本発明のような積層構造、すなわち図1に模式的に示すように、例えば鋼製の基材2の上に、中間層3を介して、炭素を主成分とする第1の層4と、鉄を主成分とする第2の層5が交互に積層された低フリクション炭素薄膜1が得られる。
【0022】
ところが、第1の層(炭素)4と第2の層(鉄)5の積層面は、完全な平面とはならず、多少のうねりを伴う波形に形成されることから、摺動開始後間もなく最表層が部分的に摩耗することによって第1および第2の両層が摩擦面に露出するため、炭素膜の固体潤滑性に基づく低フリクション特性と、潤滑油中の添加剤と鉄との反応被膜による低フリクション特性とが両立することになる。このとき、摩擦面における炭素と鉄の露出面積比は、第1の層4と第2の層5の積層厚さの比にほぼ一致する。
【0023】
なお、このような積層構造を上記のようなターゲットと回転テーブルを用いたPVD法によって形成する場合、炭素あるいは鉄の成膜時には、他方のターゲットからも鉄あるいは炭素が若干飛び込むことから、各層は完全に純粋な成分とはならず、第1の層4中には鉄が、第2の層5中には炭素がそれぞれある程度含有されることになる。すなわち、本発明に係わる低フリクション炭素薄膜においては、層構造の強化のために添加されるSiやTi、Mo,W,Cr,Vなどを別にすれば、実質的に炭素と鉄のみから構成されており、第1および第2の層中における炭素あるいは鉄含有量が増減したとしても、その層内における他方の成分が相対的に増減するだけであって、性能的にはほとんど影響しない。
【0024】
このような積層構造における第1の層4と第2の層5の積層厚さとしては、請求項2に記載しているように、1nm〜50nmの範囲とすることが望ましい。これは、積層厚さが1nmに満たない場合には明確な積層構造が得られず、とくに相手層が50nmを超えたときには、摩擦面における露出面積の割合が小さくなりすぎて、摩擦/摩耗特性に対する相手層の影響が支配的なものとなって、炭素膜による低フリクション特性と反応被膜による低フリクション特性の両立が難しくなることによる。また、逆に積層厚さが50nmを超えた場合には、最表面層が摩耗して摩擦面に炭素と鉄の両者が露出するまでに時間を要することによる。
【0026】
上記のような交互積層構造を備えた炭素薄膜においては、各層間の密着力を向上させる観点から、請求項3に記載しているように、炭化物を形成しやすく、しかも鉄との結合力の強いSiあるいはTiを主成分とする介在層を第1の層と第2の層の間に形成することが望ましい。なお、このようなSiあるいはTiからなる介在層についても、上記のようなスパッタリングで成膜するが、層の厚さをとくに薄くする場合が多いので、当該介在層中にも鉄あるいは炭素が混入することになるが、当該炭素薄膜を構成する鉄や炭素が介在層中に混入しても特に支障はない。
【0027】
また、同様に、各層間の不連続面をなくし、層間密着力を高めて膜全体の強度を向上させる観点から、請求項4に記載しているように、第1および第2の層を構成する炭素および鉄の濃度が連続的に変化する傾斜濃度分布を持たせるようにすることもできる。これには、例えば、円周上に薄膜の積層成分となる数種のターゲットを並べて配置すると共に、中央に基材を載置した回転テーブルを置き、回転テーブルの回転数と成膜速度の調整により、積層周期および薄膜成分の傾斜状態を任意に設定することができる。
【0028】
さらに、請求項5に記載しているように、炭素薄膜中、あるいは炭素を主成分とする第1の層および鉄を主成分とする第2の層の一方もしくは両方の層中に、Mo,W,CrおよびVのうちの1種または2種以上を添加することができ、これによって薄膜自体の強度や薄膜の耐熱性を改善することができる。
【0029】
本発明に係わる低フリクション炭素薄膜は、極めて顕著なフリクション低減効果が得られることから、請求項6に記載しているように、モリブデン系極圧添加剤を含む潤滑油を使用する潤滑環境下で用いる摺動部品の表面に適用することが望ましい。このようなモリブデン系極圧添加剤としては、例えばモリブデンジチオカルバメート(MoDTC)が挙げられる。当該添加剤は、摺動時に摩擦面上において、摩擦面上に露出した鉄との化学反応によって、固体潤滑材として機能するMoS2を含む被膜を生成し、著しいフリクション低減効果が得られる。
【0030】
このような潤滑環境下で用いる摺動部品の具体例としては、請求項7に記載しているような内燃機関のバルブリフター、請求項8に記載しているようにな内燃機関のカムシャフトとバルブリフターの間に挿入されるシム、さらには請求項9に記載しているような内燃機関のピストンリングなどを挙げることができ、これら摺動部品の摩擦面に成膜することにより、優れた摩擦/摩耗特性が発揮されることになる。
【0031】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係わる低フリクション炭素薄膜は、非晶質炭素を主成分とする第1の層と鉄を主成分とする第2の層からなる交互積層構造を備えているので、摺動開始直後に最上層が部分的に摩耗することによって第1および第2の層中の炭素および鉄を確実に摩擦面に露出させることができ、第1の層である炭素膜の固体潤滑性による低フリクション特性と、潤滑油中に含まれる極圧添加剤と第2の層中の鉄との反応生成物による低フリクション特性とを兼ね備えたものとすることができ、無潤滑下および潤滑下での摩擦/摩耗特性を大幅に改善することができるという極めて優れた効果をもたらすものである。このとき、鉄がある程度まとまった状態に成膜されるので、潤滑油中の添加剤との反応被膜を確実に得ることができ、さらに各層の積層厚さの調整によって摩擦面における鉄の露出面積を容易にコントロールすることができる。
【0033】
本発明による低フリクション炭素薄膜の実施態様として請求項2に係わる炭素薄膜においては、交互積層構造における第1および第2の層の積層厚さが1nm〜50nmの範囲にあるので、明確な積層構造が得られると共に、摺動開始後速やかに炭素および鉄を摩擦面に露出させることができ、最低限の露出面積を確保して、炭素膜の固体潤滑性による低フリクション特性と、潤滑油中に含まれる極圧添加剤と鉄との反応生成物による低フリクション特性とを両立させることができるという効果がもたらされる。
【0034】
また、実施態様として請求項3に係わる低フリクション炭素薄膜においては、第1の層と第2の層の界面に、SiまたはTiを主成分とする介在層を備えているので、両層間の密着力が向上し、膜全体の強度を向上させることができ、請求項4に係わる低フリクション炭素薄膜においては、第1および第2の層を構成する炭素および鉄の濃度が連続的に変化する傾斜濃度分布を備えているので、両層間の不連続性が緩和され、同様に膜全体の強度を向上させることができ、請求項5に係わる低フリクション炭素薄膜においては、第1および第2の層の少なくとも一方に、Mo,W,CrおよびVのうちの1種以上を含有しているので、各層の強度や耐熱性を改善することができる。
【0035】
さらに、本発明による低フリクション炭素薄膜の実施態様として請求項6に係わる炭素薄膜は、モリブデン系極圧添加剤を含む潤滑油を使用する環境で用いる摺動部品、例えば請求項7ないし請求項9に記載しているように、内燃機関のバルブリフター、内燃機関のカムシャフトとバルブリフターの間に挿入されるシム、あるいは同じく内燃機関のピストンリングの表面に成膜して使用されるものであるから、炭素膜の固体潤滑性による無潤滑下におけるフリクション低減効果と、MoS2を含む鉄との反応被膜による潤滑油中におけるフリクション低減効果とを最大限に活用することができるという優れた効果がもたらされる。
そして、本発明の低フリクション炭素薄膜の製造方法においては、上記各層をPVD法、またはPVD法とCVD法とを併用することによって成膜するようにしているので、第1及び第2の薄膜層の厚さや成分を自由にコントロールしながら高能率に成膜することができるという優れた効果がもたらされる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
【0037】
[ピン/ディスク型摩擦試験]
実施例1〜実施例4
あらかじめ浸炭処理処理を施したクロムモリブデン鋼SCM415(JIS
G 4105)からなる基材2の表面に、CVD法とPVD法を併用することにより、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなる炭素膜層(炭素を主成分とする第1の層)4と、鉄を主成分とする第2の層5とを層間隔がそれぞれ20nm,5nm,30nmおよび12nmとなるように交互に積層し、図1(a)に示すように、基材2の表面に低フリクション炭素薄膜1を備えたディスク材を得た。なお、基材2の表面には表面粗さRa0.01〜0.03μm程度に仕上げ加工を施してあり、形成された炭素薄膜1の表面粗さは、下地である基材2の表面粗さにほぼ一致し、成膜前の粗さとほとんど変わらない値となった。
【0038】
このとき、積層に際して、実施例1および実施例3に係わる炭素薄膜1においては、第1および第2の層4,5の間に、それぞれSiおよびTiを主成分とする介在層を形成した。また、実施例4に係わる炭素薄膜1においては、第1および第2の層4および5中への鉄および炭素の拡散度合いを高め、これらの濃度分布を連続的に変化させた傾斜構造のものとした。それぞれの膜圧は識別不可能であり、層間隔を( )内に記載した。
【0039】
そして、このようにして得られたディスク材を鋼炭素クロム軸受鋼SUJ2(JIS G 4805)からなるピン型試験片3本と組み合わせ、表1に示す試験条件のもとにピン/ディスク型摩擦試験を行い、無潤滑環境と、モリブデン系極圧添加剤を含む潤滑油による潤滑環境とでそれぞれ摩擦係数を測定して、各低フリクション炭素薄膜1の摩擦特性についてそれぞれ調査した。これらの結果を表2に示す。
【0040】
実施例5〜実施例7
実施例1と同じ基材2の表面に、アモルファスカーボン(a−C)からなる炭素膜(第1の層)4と鉄を主成分とする第2の層5とをPVD法によって交互に積層することにより、それぞれ15nm,5nm,5nmおよび0.5nmの層間隔を備えた低フリクション炭素薄膜1を形成し、図1に示すようなディスク材を得た。このとき、実施例5に係わる炭素薄膜1においては、炭素を主成分とする第1の層4中にMoおよびWを添加し、実施例6に係わる炭素薄膜1においては、同じく第1の層4中にCrおよびVを添加した。また、実施例7に係わる炭素薄膜1においては、実施例4と同様に、第1および第2の層4および5中の鉄および炭素の濃度を連続的に変化させた傾斜構造のものとした。
【0041】
そして、このようにして得られたディスク材を用いて、同様のピン/ディスク型摩擦試験を実施し、各低フリクション炭素薄膜1の摩擦特性についてそれぞれ調査した。これらの結果を表2に併せて示す。
【0042】
比較例1
実施例1と同じ基材2の表面に、炭素膜としてダイヤモンドライクカーボン(DLC)のみをCVD法により成膜してディスク材とし、同様のピン/ディスク型摩擦試験を行い、その摩擦特性について調査した。この結果を表2に併せて示す。
【0043】
比較例2
実施例1と同じ基材2の表面に、CVD法とPVD法との併用により、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなる炭素膜層と、鉄を主成分とする層とを交互に積層し、最表面層に鉄を主成分とする厚さ100nmの層を備えたディスク材を得た。そして、このようにして得られたディスク材を用いて、同様のピン/ディスク型摩擦試験を実施し、その摩擦特性について調査した結果を表2に併せて示す。
【0044】
比較例3
実施例1と同じ基材2の表面に、PVD法によってアモルファスカーボン(a−C)からなる炭素膜層と鉄を主成分とする層とを交互に積層し、最表面層に厚さ80nmの炭素膜層を備えたディスク材を得た。そして、このようにして得られたディスク材を用いて、同様のピン/ディスク型摩擦試験を実施し、その摩擦特性について調査した。なお、この実施例ではモリブデン系極圧添加剤を含まない潤滑油を用いた。この結果を表2に併せて示す。
【0045】
比較例4
実施例1と同じ基材2の表面に、CVD法によりダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなる炭素膜層を形成したのち、さらにその上に鉄による溶射を施し、厚さ5μmの鉄を主成分とする溶射膜を形成してディスク材とした。そして、このようにして得られたディスク材を用いて、同様のピン/ディスク型摩擦試験を実施し、その摩擦特性について調査した結果を表2に併せて示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
表2に示した結果から明らかなように、非晶質の炭素膜中に鉄が分散状態で、あるいは比較的小さい層間隔を有する炭素膜との交互積層状態で含有されている炭素薄膜1を用いた実施例1ないし実施例7の場合には、ディスクの最表面が炭素を主成分とする層4、あるいは鉄を主成分とする層5によって覆われていたとしても、摩擦試験の開始後間もなく最表面層の摩耗によってその下の層が摩擦面に露出することから、炭素膜の固体潤滑性による摩擦低減効果と、潤滑油中の添加剤と鉄と反応被膜による摩擦低減効果とが最大限に発揮され、潤滑下、無潤滑下のいずれにおいても低い摩擦係数を示した。
【0049】
これに対し、基材の上に炭素膜のみが形成され、鉄を含有しない比較例1の場合には、炭素膜の固体潤滑性によって無潤滑下においては上記実施例と同等の性能を示すものの、潤滑下においては摩擦係数を低下させることはできず、最表面に100nmという厚さの鉄の層を備えた比較例2においては、下層の炭素膜層が摩擦面に露出しないことから、潤滑下においては上記実施例と同等の摩擦係数を示したものの、無潤滑下においては極めて高い摩擦係数を示した。また、逆に最表面に80nmという厚さの炭素膜層を備えた比較例3においては、下層の鉄が摩擦面に露出しないために無潤滑下においては上記実施例と同等の低い摩擦係数を示す反面、潤滑下における摩擦係数を低下させることができないことが確認された。さらに、炭素膜の上に溶射によって5μmという厚い鉄の溶射膜を形成した比較例4においては、下地の炭素膜が摩擦面に露出しなかったため、無潤滑下の摩擦係数が高いことが判明した。
【0050】
[カム/フォロワ単体試験]
市販エンジンのカムシャフトとバルブリフターを使用し、その間に本発明に係わる低フリクション炭素薄膜を備えたシムを挿入し、モリブデン系極圧添加剤を含む潤滑油を用いて、弁ばねのばね乗数や試験時の面圧などを実際のエンジンの運転時と同じに設定し、表3に示す試験条件のもとに、試験開始後3時間経過した時点におけるカム軸平均フリクショントルクを測定し、2種の比較例シムの場合と比較した。
【0051】
なお、カムシャフトはチル鋳鉄からなるものであって、カムロブ部の表面粗さは、Ra0.05〜0.1μm程度であった。また、シムについては、市販品の表面にラップ加工を施してRa0.03μm前後の表面粗さとしたのち、その表面に、実施例1と同様にCVD法とPVD法を併用してダイヤモンドライクカーボン(DLC)と鉄を主成分とする層とを層間隔が20nmとなるように交互積層したものを発明例シムとし、ラップ加工を施した市販シムの表面に、比較例1と同様にCVD法によってダイヤモンドライクカーボン(DLC)のみを成膜したものと、市販シムの表面にラップ加工のみを施したものを比較に用いた。これらの結果を図2に示す。
【0052】
【表3】
【0053】
図2から明らかなように、ラップ加工のみを施した比較例シム2を用いた組合わせにおいては、試験開始後3時間経過した時点のトルクが2.4kgf・cmであるのに対し、炭素膜のみを形成した比較例シム1の場合には、2.3kgf・cmであって、これらの間に大きな差は認められなかった。これに対し、実施例1と同様の交互積層構造を備えた発明例シムの場合にはフリクショントルクが1.4kgf・cmまで減少し、本発明に係わる低フリクション炭素薄膜の効果が確認された。
【0054】
[ピストン/ボア往復運動単体摩擦試験]
市販エンジン用のピストンリング(SWOSC−Vばね鋼製)と、市販エンジンのライナーから切り出され、表面にクロスハッチ加工を施したボア材(FCT片状黒鉛鋳鉄製)を使用し、ピストンリングの側に実施例1と同様の交互積層構造(層間隔20nm)を有する炭素薄膜を形成し、モリブデン系極圧添加剤を含む潤滑油を用いて、表4に示す試験条件のもとに、試験開始後3時間経過した時点における摩擦係数を測定し、比較例1と同様に炭素膜のみを形成したピストンリング、および通常用いられるCrめっきのみを施したピストンリングの場合と比較した。これらの結果を図3に示す。
【0055】
【表4】
【0056】
図3から判るように、Crめっきのみを施した比較例ピストンリング2との組合わせにおいては、潤滑油の油膜厚さが最小となる折り返し点近傍位置で摩擦係数が最大値をとり、全体では0.10〜0.25の範囲で変動し、炭素膜のみを形成した比較例ピストンリング1を用いた場合には、折り返し点近傍において摩擦係数がわずかに低下する傾向が認められるが、他の部位ではほとんど摩擦係数に変化は見られず、全体では0.10〜0.20の範囲で変動した。これに対し実施例1と同様の交互積層構造を備えた発明例ピストンリングシムの場合には、折り返し点近傍で摩擦係数の顕著な低減傾向が認められると共に、この他の部位においても一律に摩擦係数の低減効果を得ることができ、添加剤による反応被膜の効果が炭素薄膜による効果に比べて、比較的潤滑条件の良い状況においても効果的に作用することが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる低フリクション炭素薄膜における鉄と炭素膜との交互積層構造例を模式的に示す断面図である。
【図2】 本発明に係わる低フリクション炭素薄膜を備えたシムを用いた場合のカム軸平均フリクショントルクを炭素膜のみを備えたシムおよびラップ加工のみを施したシムの場合と比較して示すグラフである。
【図3】 本発明に係わる低フリクション炭素薄膜を備えたピストンリングを用いた場合の摩擦係数を炭素膜のみを備えたピストンリングおよびCrめっきのみを施したピストンリングの場合と比較して示すグラフである。
Claims (10)
- 非晶質の炭素を主成分とする第1の層と、鉄を主成分とする第2の層との交互積層構造を備え、少なくとも摺動時に第2の層に含まれる鉄の一部が摩擦面に露出していることを特徴とする低フリクション炭素薄膜。
- 第1および第2の層の積層厚さが1nm〜50nmの範囲にあることを特徴とする請求項1記載の低フリクション炭素薄膜。
- 第1の層と第2の層の界面に、SiまたはTiを主成分とする介在層を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の低フリクション炭素薄膜。
- 第1および第2の層を構成する炭素および鉄の濃度が連続的に変化する傾斜構造を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の低フリクション炭素薄膜。
- 第1および第2の層の少なくとも一方に、Mo,W,CrおよびVのうちの1種または2種以上を含有していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の低フリクション炭素薄膜。
- モリブデン系極圧添加剤を含む潤滑油を使用する環境で用いる摺動部品の表面に成膜されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の低フリクション炭素薄膜。
- 内燃機関のバルブリフターの冠面に成膜されていることを特徴とする請求項6記載の低フリクション炭素薄膜。
- 内燃機関のカムシャフトとバルブリフターの間に挿入されるシムの表面に成膜されていることを特徴とする請求項6記載の低フリクション炭素薄膜。
- 内燃機関のピストンリングにおけるシリンダブロックのボアとの摺動面に成膜されていることを特徴とする請求項6記載の低フリクション炭素薄膜。
- 請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の低フリクション炭素薄膜を製造するに際し、各層をPVD法、またはPVD法とCVD法とを併用して成膜することを特徴とする低フリクション炭素薄膜の製造方法。
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