以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。また、図面においては、理解容易のため、各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。
なお、以下の説明において、基板の「表面」とは、基板の主面のうちのパターン(例えば、回路パターン)が形成される面であり、「裏面」とは表面の反対側の面である。また、基板の「上面」とは基板の主面のうち上側を向いている面であり、「下面」とは下側を向いている面である(表面であるか裏面であるかと関わりない)。
<I.第1の実施の形態>
<1.基板処理装置の構成>
実施形態に係る基板処理装置100の構成について、図1、図2を参照しながら説明する。図1は、基板処理装置100の概略平面図である。また、図2は、基板処理装置100を、図1のA−A線から見た図である。なお、以下に参照する各図には、Z軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系が適宜付されている。
基板処理装置100は、基板W(具体的には、例えば、直径が450mmの半導体ウエハ)に対して所定の処理(ここでは、例えば、洗浄処理)を行う装置であり、複数枚の基板Wに連続して処理を行う。
基板処理装置100は、インデクサセル10および処理セル20の2つのセル(処理ブロック)を並設して構成されている。さらに、基板処理装置100は、インデクサセル10および処理セル20に設けられた各動作機構を制御する制御部30を備える。制御部30のハードウェアとしての構成は、一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部30は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えている。制御部30において、プログラムに記述された手順に従って主制御部としてのCPUが演算処理を行うことにより、基板処理装置100の各部を制御する各種の機能部が実現される。もっとも、制御部30において実現される一部あるいは全部の機能部は、専用の論理回路などでハードウエア的に実現されてもよい。
<1−1.インデクサセル10>
インデクサセル10は、装置外から受け取った未処理の基板Wを処理セル20に渡すとともに、処理セル20から受け取った処理済みの基板Wを装置外に搬出するためのセルである。インデクサセル10は、複数のキャリアCを載置するキャリアステージ11と、各キャリアCに対する基板Wの搬出入を行う基板搬送装置(移載ロボット)IRとを備える。
<キャリアステージ11>
キャリアステージ11に対しては、未処理の基板Wを収納したキャリアCが、装置外部から、AGV(Automated Guided Vehicle)等によって搬入されて載置される。また、装置内での処理が終了した処理済みの基板Wは、キャリアステージ11に載置されたキャリアCに、再度格納される。処理済みの基板Wを格納したキャリアCは、AGV等によって装置外部に搬出される。すなわち、キャリアステージ11は、未処理の基板Wおよび処理済みの基板Wを集積する基板集積部として機能する。なお、キャリアCの形態としては、基板Wを密閉空間に収納するFOUP(front opening unified pod)の他に、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッドや収納された基板Wを外気に曝すOC(open cassette)であっても良い。
<移載ロボットIR>
移載ロボットIRは、キャリアステージ11に載置されたキャリアCから未処理の基板Wを取り出して、基板受渡位置Pにおいて、処理セル20に配置された搬送ロボットCRに受け渡す。また、移載ロボットIRは、基板受渡位置Pにおいて、搬送ロボットCRから受け取った処理済みの基板Wを、キャリアステージ11上に載置されたキャリアCに収納する。
移載ロボットIRは、基板Wを下方から支持することによって、基板Wを水平姿勢(基板Wの主面が水平面(XY平面)に対して平行な姿勢)で保持するハンド12を備える。ハンド12は、例えば、平面視でフォーク状に形成されており、フォーク状部分で1枚の基板Wの下面を支持する。
ハンド12は、その基端部において、ハンド12を水平面内で移動させる多関節アーム13の一端に、回動(鉛直軸M1周りの回動)が可能なように保持されている。多関節アーム13の他端は、鉛直方向に延在する軸部14の上端に保持されている。軸部14の下端は、水平面内において固定された固定台15に保持されている。
多関節アーム13は、水平に延在する第1のアーム部分131と、水平に延在する第2のアーム部分132とから構成されている。第1のアーム部分131は、一端において軸部14の上端と連結され、他端において第2のアーム部分132と連結される。また、第2のアーム部分132は、一端において第1のアーム部分131と連結され、他端において、ハンド12と連結される。第2のアーム部分132は、第1のアーム部分131に対して回動(鉛直軸M2周りの回動)が可能なように連結されている。
移載ロボットIRは、ハンド12を、鉛直方向(Z軸方向)に沿った回転軸M1周りにて回動させる第1の回転駆動部151を備える。また、移載ロボットIRは、第2のアーム部分132を鉛直方向に沿った回転軸M2周りにて回動させる第2の回転駆動部152を備える。さらに、移載ロボットIRは、軸部14を、鉛直方向に沿った回転軸M3周りにて回動させる第3の回転駆動部153と、軸部14を、鉛直方向に沿って昇降移動させる昇降駆動部154とを備える。これら各駆動部151,152,153,154は、例えば、モータ等を含んで構成され、例えば、固定台15に内蔵される。
この構成において、第1の回転駆動部151の駆動を受けて、多関節アーム13の先端に保持されているハンド12が旋回する。また、第2の回転駆動部152が第2のアーム部分132を回動させるとともに、第3の回転駆動部153が軸部14を回動させることによって、多関節アーム13が屈伸動作され、ハンド12が水平面内において移動する。また、第3の回転駆動部153が軸部14を回動させることによって、多関節アーム13およびその先端に保持されているハンド12が、旋回する。また、昇降駆動部154が軸部14を昇降させることによって、多関節アーム13およびその先端に保持されているハンド12が、昇降移動する。
このように、移載ロボットIRにおいては、多関節アーム13、軸部14、および、各駆動部151〜154が、ハンド12を駆動するハンド駆動機構120を構成する。ハンド12は、このハンド駆動機構120の駆動を受けて、水平面内における移動、および、昇降移動を行うことができるようになっている。これによって、移載ロボットIRは、ハンド12を任意のキャリアCに対向する位置(あるいは、搬送ロボットCRとの間の基板受渡位置P)に移動させることができ、さらに、ハンド12を進退移動させるとともに昇降移動させることによって、対向するキャリアC(あるいは、搬送ロボットCR)との間で、基板Wの授受を行うことができる。
なお、移載ロボットIRは、固定台15上に、ハンド12および多関節アーム13を複数組設ける構成としてもよい。また、共通の多関節アーム13に、複数のハンド12を設ける構成としてもよい。また、固定台15が水平方向に移動する構成であってもよい。
<1−2.処理セル20>
処理セル20は、基板Wに所定の処理(ここでは、洗浄処理)を行うセルである。処理セル20は、複数の処理部21と、当該複数の処理部21に対する基板Wの搬出入を行う搬送ロボットCRとを備える。この実施の形態では、処理部21は、鉛直方向に複数個(この実施の形態では、例えば3個)ずつ積層配置されて、1個の処理部ユニット200を構成している。処理セル20においては、複数個(この実施の形態では、例えば4個)の処理部ユニット200が、搬送装置(搬送ロボット)CRを取り囲むように配置される。
<処理部21>
処理部21は、基板Wに対するスクラブ洗浄処理を実行する。処理部21は、具体的には、例えば、基板Wを、その表面(あるいは、裏面)が上側を向く水平姿勢で保持しつつ、当該基板Wを鉛直方向に沿った軸心周りで回転させるスピンチャック、スピンチャック上に保持された基板Wに当接または近接してスクラブ洗浄を行う洗浄ブラシ、当該基板Wに洗浄液(例えば純水)を吐出するノズル、スピンチャックを回転駆動させるスピンモータ、および、スピンチャック上に保持された基板Wの周囲を囲繞するカップ等(いずれも、図示省略)を、筐体210内に配置した構成となっている。
各処理部21の筐体210には、搬送ロボットCRのハンド24を筐体内部に挿入させるための搬出入口22が形成されている。各処理部21は、Z軸からみた平面視において、搬送ロボットCRの配置空間に、搬出入口22を対向させるようにして配置される。つまり、複数の処理部21は、搬送ロボットCRを取り囲むようにしてクラスタ状(房状)に設置される。
<搬送ロボットCR>
搬送ロボットCRは、上述したとおり、複数の処理部ユニット200に取り囲まれる領域の中央に配置され、移載ロボットIRと各処理部21との間で基板Wの搬送を行う。具体的には、搬送ロボットCRは、移載ロボットIRから未処理の基板Wを受け取って、定められた処理部21に搬送するとともに、処理部21から処理済みの基板Wを受け取って、移載ロボットIRに受け渡す。なお、移載ロボットIRと搬送ロボットCRとの間の基板Wの受け渡しは、載置部などを介して行われてもよい。
搬送ロボットCRは、基板Wを下方から支持することによって、基板Wを水平姿勢(基板Wの主面が水平面(XY平面)に対して平行な姿勢)で保持するハンド24を備える。ハンド24は、例えば、平面視でフォーク状に形成されており、フォーク状部分で1枚の基板Wの下面を支持する。ハンド24の構成については、後にさらに詳細に説明する。
各ハンド24は進退駆動部25を介して回転台26上に支持されている。回転台26は、昇降軸部27を介して固定台28上に支持されている。固定台28は、水平面内において固定されている。
進退駆動部25は、ハンド24を回転台26に対してスライド移動させる機構であり、具体的には、例えば、回転台26上に延在して配置され、ハンド24の基部71(図3参照)が摺動可能に配設されたガイドレール251と、ハンド24の基端部をガイドレール251に沿ってスライドさせる駆動部252とを含んで構成される。ただし、ガイドレール251の延在方向の長さは、ハンド24に必要なストローク寸法に応じて規定される。
搬送ロボットCRは、昇降軸部27を、鉛直方向(Z軸方向)に沿った回転軸M4周りにて回動させる回転駆動部281と、昇降軸部27を、鉛直方向に沿って昇降移動させる昇降駆動部282とを備える。これら各駆動部281,282は、例えば、モータ等を含んで構成され、例えば、固定台28に内蔵される。
この構成において、昇降駆動部282が昇降軸部27を昇降させることによって、ハンド24および回転台26が、Z軸に沿って直線移動(昇降移動)する。また、回転駆動部281が昇降軸部27を回動させることによって、ハンド24および回転台26が、鉛直方向(Z軸方向)に沿った回転軸M4の周りに旋回する。また、進退駆動部25の駆動を受けて、ハンド24が、旋回半径方向に沿って進退移動する。
このように、搬送ロボットCRにおいては、進退駆動部25、昇降軸部27、回転駆動部281、および、昇降駆動部282が、ハンド24を駆動するハンド駆動機構240を構成する。ハンド24は、このハンド駆動機構240の駆動を受けて、昇降移動、および、水平面内での旋回動作を行うことができるようになっている。昇降動作と旋回動作を行うことによって、ハンド24を、任意の処理部21の搬出入口22(あるいは、基板受渡位置P)に対向する位置に移動させることができる。その上で、旋回方向に沿う進退移動と昇降移動とを行うことによって、当該処理部21(あるいは、移載ロボットIR)との間で基板Wの授受を行うことができる。
なお、搬送ロボットCRは、固定台28上に、ハンド24、進退駆動部25、および、回転台26を、複数組設ける構成としてもよい。また、共通の回転台26上に、ハンド24および進退駆動部25を、複数組設ける構成としてもよい。また、共通の進退駆動部25上に、複数のハンド24を設ける構成としてもよい。
<2.基板処理装置100の全体動作>
基板処理装置100の全体動作について、引き続き図1、図2を参照しながら説明する。基板処理装置100においては、制御部30が、基板Wの搬送手順および処理条件などを記述したレシピにしたがって、基板処理装置100が備える各部を制御することによって、基板Wに対する処理が実行される。
未処理の基板Wを収容したキャリアCが、AGV等によって、装置外部からインデクサセル10のキャリアステージ11に搬入されると、インデクサセル10の移載ロボットIRが、当該キャリアCからで未処理の基板Wを取り出して基板受渡位置Pまで移動し、基板受渡位置Pにおいて、当該取り出した基板Wを、処理セル20の搬送ロボットCRに渡す。未処理の基板Wを受け取った搬送ロボットCRは、当該未処理の基板Wを、レシピにて指定された処理部21に搬入する。
基板Wが搬入された処理部21においては、基板Wの洗浄処理が実行される。すなわち、処理部21においては、例えば、基板Wをスピンチャックによって保持して回転させつつ、ノズルから洗浄液を基板Wに供給する。この状態で洗浄ブラシが基板Wに当接または近接して水平方向にスキャンすることにより、基板Wにスクラブ洗浄処理が施される。
処理部21にて基板Wの洗浄処理が終了すると、搬送ロボットCRは、処理済みの基板Wを処理部21から取り出して基板受渡位置Pまで移動し、基板受渡位置Pにおいて、当該処理済みの基板Wを、移載ロボットIRに渡す。移載ロボットIRは、処理済みの基板Wを受け取ると、当該処理済みの基板WをキャリアCに格納する。
基板処理装置100においては、搬送ロボットCRおよび移載ロボットIRが、上述した搬送動作を反復して行うとともに、各処理部21が、搬入された基板Wに対する洗浄処理を実行する。これによって、基板Wに対する洗浄処理が次々と行われていくことになる。
<3.ハンド24,12>
次に、搬送ロボットCRが備えるハンド24の構成について、図3、図4を参照しながら具体的に説明する。図3は、ハンド24を模式的に示す平面図である。図4は、図3をB−B線からみた図である。なお、以下においては、搬送ロボットCRが備えるハンド24について説明するが、移載ロボットIRが備えるハンド12も、ハンド24と同様の構成を備えている。
ハンド24は、上述したとおり、平面視でフォーク状に形成されている。具体的には、ハンド24は、基部71と、一対の水平支持部72とを備える。各水平支持部72は、長尺の薄板形状の部材であり、一端において基部71に片持ち状態で支持されて、水平に(すなわち、上面720が水平面(XY平面)に対して平行な姿勢で)延在する。一対の水平支持部72は、同一水平面内に延在するとともに、例えば、互いに平行な姿勢(あるいは、自由端に行くにつれて間隔が広がるような姿勢であってもよい)とされる。
各水平支持部72の上面720には、間隔をあけて、2個の当接部材73が設けられる。一方の水平支持部72に設けられる2個の当接部材73、および、他方の水平支持部72に設けられる2個の当接部材73は、仮想的な矩形の頂点にそれぞれ配置されており、これら4個の当接部材73の配置位置を通る仮想円の直径は、ハンド24が保持対象とする基板Wの直径と略同一となっている。
各当接部材73は、基板Wの下面に当接する下方当接部材731と、基板Wの側面に当接する側方当接部材732とを含んで構成される。4個の下方当接部材731が基板Wの下面に当接することによって、基板Wが、水平支持部72の上面720から離間した位置に(すなわち、上面720と非接触の状態で)、水平姿勢で支持される。また、4個の側方当接部材732が基板Wの側面に当接することによって、基板Wが、水平面内において位置ずれを起こさないように支持される。
ここで、図4の実線で示されるように、水平支持部72の上方に支持される基板Wが平坦形状である場合、基板Wの下面と水平支持部72の上面720との離間距離は、水平支持部72の延在方向に沿う各位置において、下方当接部材731の高さ寸法Dとほぼ一致することになる。
ところが、水平支持部72の上方に支持される基板Wが非平坦形状に変形した場合、当該基板Wの下面と水平支持部72の上面720との離間距離は、水平支持部72の延在方向に沿う各位置によって変わってくる。例えば、基板Wが凹形状に変形した場合(具体的には、例えば、ハンド24に保持された基板Wが自重によって凹形状に撓んだ場合、上昇されるハンド24に保持された基板Wが、相対的に下向きに流れる風を受けて凹形状に変形した場合、基板Wを保持したハンド24に鉛直上向きの加速度が付加されたために当該基板Wが凹形状に変形した場合、ハンド24に保持された基板Wが前処理に施された熱処理等の影響で凹形状に変形している場合、など)においては、図4の二点鎖線で示されるように、基板Wの下面と水平支持部72の上面720との離間距離は、当接部材73から離れるほど小さくなり、水平支持部72上に配設された2個の当接部材73の中央の位置(以下において「中央位置」ともいう)Qにおいて、最小となる。
各水平支持部72には、水平支持部72上の定められた位置(特に好ましくは、中央位置Q)に設けられ、水平支持部72の上面720に開口した、吐出口74が形成される。吐出口74は、配管75を介して気体供給源76と接続されている。気体供給源76から供給される気体は、例えば、空気、窒素ガスなどが好ましい。また、配管75には、例えば電磁弁によって構成される開閉弁77が、介挿されている。配管75は、例えば、図3に示されるように、途中まで水平支持部72の側壁に沿って配設され、先端付近において水平支持部72に埋設されて吐出口74と連通するものであってもよい。また、例えば、水平支持部72の延在方向に沿って、水平支持部72内に貫通して配設されてもよい。特に、前者の構成によると、水平支持部72の厚みの増大を抑えられるという利点がある。
この構成において、開閉弁77が開放されると、気体供給源76から、配管75を介して、吐出口74に気体(例えば、加圧されることにより体積が縮小された圧縮気体)が供給され、水平支持部72の上面720に開口した吐出口74から、水平支持部72の上方に支持される基板Wの下面に向けて、気体が吐出されることになる。つまり、ここでは、吐出口74、および、これに気体を供給する気体供給部(具体的には、配管75、気体供給源76、および、開閉弁77)が、水平支持部72の上方に支持されている基板Wの下面に向けて気体を吐出する気体吐出部700として機能する。この構成によると、吐出口74が、水平支持部72の上面に開口するので、簡易な構成で、気体吐出部を構成することができる。
2個の水平支持部72のうち、少なくとも一方の水平支持部72には、例えば中央位置Qの付近に、距離センサ78が設けられる。距離センサ78は、水平支持部72の上方に支持される基板Wの下面と、水平支持部72の上面720との離間距離を、検出する。距離センサ78は、例えば、光学式の反射型センサにより構成することができる。上述したとおり、水平支持部72の上方に支持される基板Wが凹形状に変形している場合、当該基板Wの下面と水平支持部72の上面720との離間距離は、中央位置Qにおいて最小となる。いま、水平支持部72の上面720と、その上方に支持されている基板Wの下面との間の最小の離間距離を「最小離間距離」とよぶとすると、距離センサ78が中央位置Qに設けられている場合、当該距離センサ78からの出力値を、最小離間距離とみなすことができる。
もっとも、距離センサ78は、必ずしも中央位置Qに設ける必要はなく、中央位置Qから離れた位置に設けられてもよい。この場合、距離センサ78からの出力値と、距離センサ78と中央位置Qとの離間距離とに基づいて、中央位置Qにおける、水平支持部72の上面720と基板Wの下面との離間距離を算出して、当該算出された値を最小離間距離として取得することができる。
距離センサ78と開閉弁77とは、開閉制御部79を介して電気的に接続されており、開閉制御部79は、距離センサ78からの出力情報に基づいて、開閉弁77を開閉制御する。すなわち、開閉制御部79は、距離センサ78からの出力情報に基づいて、気体吐出部700からの気体の吐出の開始および停止を制御する。具体的には、開閉制御部79は、距離センサ78からの出力値に基づいて特定される、基板Wの下面と水平支持部72の上面720との最小離間距離が、予め定められた閾値(第1離間閾値)よりも小さくなった場合に、開閉弁77を開放する。また、当該最小離間距離が、予め定められた閾値(第2離間閾値)よりも大きくなった場合に、開閉弁77を閉鎖する。第1離間閾値として、ゼロより大きく、下方当接部材731の高さ寸法Dよりも小さい、任意の値を設定することができる。第2離間閾値として、第1離間閾値より大きい任意の値を設定することができる。
ここで、開閉弁77の開閉制御の態様について、図5を参照しながら具体的に説明する。図5は、開閉弁77の開閉制御の流れを示す図である。以下の動作は、開閉制御部79の制御下で実行される。
ハンド24に基板Wが保持されると(具体的には、保持対象となる基板Wの下面に沿ってハンド24の水平支持部72が差し込まれるとともに、水平支持部72に設けられた複数の当接部材73を基板Wに当接させて、当該基板Wを、水平支持部72の上面720から離間した位置に支持すると)(ステップS11でYES)、距離センサ78が、基板Wの下面と水平支持部72の上面720との離間距離の検出を開始する。
上述したとおり、水平支持部72の上方に支持される基板Wが平坦形状である場合(図4の実線参照)、距離センサ78からの出力値に基づいて特定される最小離間距離は、下方当接部材731の高さ寸法Dとほぼ一致している。一方、当該基板Wが凹形状に変形している場合(図4の二点鎖線参照)、距離センサ78からの出力値に基づいて特定される最小離間距離は、当該高さ寸法Dよりも小さくなる。ここでは、距離センサ78からの出力値に基づいて特定される最小離間距離が、第1離間閾値よりも小さくなった場合(ステップS12でYES)、開閉弁77が開放され、吐出口74からの気体の吐出が開始される(ステップS13)。すると、水平支持部72の上方に支持されている基板Wの下面に向けて気体が吐出され、その風の力で、基板Wの下面における、吐出口74と対向する部分が押し上げられ、最小離間距離が大きくなる。最小離間距離がゼロとなってしまうと、基板Wの下面が水平支持部72の上面720と接触してしまい、基板Wの汚染、損傷などが生じるおそれがあるところ、ここでは、最小離間距離がゼロとなる前に、水平支持部72の上方に支持されている基板Wの下面に向けて気体を吐出することによって、基板Wの下面が水平支持部72の上面720と接触することを抑制できる。すなわち、基板Wの下面とハンド24とが規定された位置(すなわち、当接部材73との当接位置)以外で接触することを抑制できる。これによって、基板Wの汚染、損傷などが生じにくくなっている。特に、吐出口74が中央位置Qに設けられている場合、基板Wの下面における、水平支持部72の上面720との接触可能性が高い部分に向けて気体を吐出することができるので、基板Wの下面が水平支持部72と接触することを効果的に抑制できる。
吐出口74から気体が吐出開始された後、距離センサ78からの出力値に基づいて特定される最小離間距離が、第2離間閾値よりも大きくなった場合(ステップS14でYES)、開閉弁77が閉鎖され、吐出口74からの気体の吐出が停止される(ステップS15)。つまり、最小離間距離が大きくなればなるほど、基板Wの下面が水平支持部72の上面720と接触する危険が低くなるところ、ここでは、基板Wの下面が水平支持部72の上面720と接触する危険が高い状況においてのみ気体を吐出し、危険が低くなると気体の吐出を停止する。この構成によると、基板Wの下面が水平支持部72と接触することを抑制しつつ、気体の消費量を抑えることができる。
<II.第2の実施の形態>
第2の実施の形態に係る基板処理装置は、搬送ロボットCRが備えるハンド24a、および、移載ロボットIRが備えるハンド12aの構成において、第1の実施の形態に係る基板処理装置100と相違し、それ以外の点においては相違しない。なお、以下においては、搬送ロボットCRが備えるハンド24aについて説明するが、移載ロボットIRが備えるハンド12aも、ハンド24aと同様の構成を備えている。
この実施の形態に係るハンド24aは、距離センサ78に代えて加速度センサ80aを備える点において、第1の実施の形態に係るハンド24と相違し、その他の点においては、ハンド24と同様である。ハンド24aの構成について、図6を参照しながら具体的に説明する。図6は、ハンド24aを模式的に示す平面図である。なお、以下の説明においては、第1の実施の形態と同じ構成については、その説明を省略するとともに、同じ符号で示す。
ハンド24aは、第1の実施の形態に係るハンド24と同様、基部71と、一端において基部71に片持ち状態で支持されて、水平に延在する、一対の水平支持部72とを備える。また、各水平支持部72の上面720には、間隔をあけて、2個の当接部材73が設けられる。各当接部材73は、基板Wの下面に当接する下方当接部材731と、基板Wの側面に当接する側方当接部材732とを含んで構成される。
各水平支持部72には、その上面720に開口した吐出口74が形成される。吐出口74は、配管75を介して気体供給源76と接続されており、配管75には、開閉弁77が介挿されている。したがって、この構成において、開閉弁77が開放されると、気体供給源76から、配管75を介して、吐出口74に気体が供給され、水平支持部72の上面720に開口した吐出口74から、水平支持部72の上方に支持されている基板Wの下面に向けて、気体が吐出されることになる。つまり、ここでも、吐出口74、および、これに気体を供給する気体供給部(具体的には、配管75、気体供給源76、および、開閉弁77)が、水平支持部72の上方に支持されている基板Wの下面に向けて気体を吐出する気体吐出部700として機能する。
ハンド24aは、距離センサ78に代えて、加速度センサ80aを備える。加速度センサ80aは、ハンド24aの鉛直方向の加速度(以下、単に、加速度という)を検出する。ただし、ここでは、加速度センサ80aは、鉛直上方向を正として、加速度の値を出力するとする。加速度センサ80aは、ハンド24aのどの位置に設けられてもよく、図示の例では、一方の水平支持部72の固定端付近に設けられている。また、加速度センサ80aとして、光学式、機械式、半導体式などのいずれの方式の加速度センサを用いてもよい。
ここで、ハンド24aの昇降動作と、加速度センサ80aからの出力値の遷移例について、図7、図8を参照しながら説明する。図7は、昇降されるハンド24aとこれに保持される基板Wの様子を模式的に示す説明図である。図8は、昇降されるハンド24aの速度と加速度の遷移の一例を示す図である。図8において、速度の遷移は点線で、加速度の遷移は実線で示されている。
ハンド24aは、制御部30の制御下で昇降移動される。制御部30は、ハンド24aを上昇させる場合、例えば、まず、ハンド24aを一定の加速度で加速させ(加速状態)(図7の下段)、ハンド24aの上昇速度が所定値に到達した後は加速度をゼロとして一定の速度でハンド24aを上昇させる(等速状態)(図7の中段)。さらに、制御部30は、ハンド24aが、目標の高さ位置から所定距離だけ下方の位置に到達すると、ハンド24aを、一定の加速度で減速させ(ブレーキ状態)(図7の上段)、ハンド24aの上昇速度がゼロとなった時点で、ハンド24aが目標の高さ位置に到達するように制御する。ハンド24aが上記の制御態様で上昇される場合、図8に示されるように、ハンド24aが加速状態にある時間帯Δt1は、加速度センサ80aからは、一定の正の値が出力されることになる。また、ハンド24aが等速状態にある時間帯Δt2は、加速度センサ80aからは、ゼロが出力されることになる。また、ハンド24aがブレーキ状態にある時間帯Δt3は、加速度センサ80aからは、一定の負の値が出力されることになる。
一方、制御部30は、ハンド24aを下降させる場合、例えば、まず、ハンド24aを一定の加速度で加速させ(加速状態)(図7の上段)、ハンド24aの下降速度が所定値に到達した後は加速度をゼロとして一定の速度でハンド24aを下降させる(等速状態)(図7の中段)。さらに、制御部30は、ハンド24aが、目標の高さ位置から所定距離だけ上方の位置に到達すると、ハンド24aを、一定の加速度で減速させ(ブレーキ状態)(図7の下段)、ハンド24aの下降速度がゼロとなった時点で、ハンド24aが目標の高さ位置に到達するように制御する。ハンド24aが上記の制御態様で下降される場合、図8に示されるように、ハンド24aが加速状態にある時間帯Δt4は、加速度センサ80aからは、一定の負の値が出力されることになる。また、ハンド24aが等速状態にある時間帯Δt5は、加速度センサ80aからは、ゼロが出力されることになる。また、ハンド24aがブレーキ状態にある時間帯Δt6は、加速度センサ80aからは、一定の正の値が出力されることになる。
なお、加速状態、および、ブレーキ状態におけるハンド24aの加速度は、必ずしも一定である必要はない。当該加速度は、例えば、階段状に変化されてもよいし、定められた変化率で変化されてもよい。また、等速状態は必ずしも存在しなくともよい。
再び図6を参照する。加速度センサ80aと開閉弁77とは、開閉制御部79aを介して電気的に接続されており、開閉制御部79aは、加速度センサ80aからの出力情報に基づいて、開閉弁77を開閉制御する。すなわち、開閉制御部79aは、加速度センサ80aからの出力情報に基づいて、気体吐出部700からの気体の吐出の開始および停止を制御する。具体的には、開閉制御部79aは、加速度センサ80aから出力されたハンド24aの加速度(すなわち、鉛直上向きを正とした加速度)が、予め定められた閾値(第1加速度閾値)より大きくなった場合に、開閉弁77を開放する。また、当該加速度が、予め定められた閾値(第2加速度閾値)以下となった場合に、開閉弁77を閉鎖する。この実施の形態においては、第1加速度閾値および第2加速度閾値はともに、ゼロであるとする。もっとも、第1加速度閾値として、ゼロより大きい任意の値を設定してもよい。また、第2加速度閾値として、第1加速度閾値以下の任意の値を設定してもよい。
ここで、開閉弁77の開閉制御の態様について、図9を参照しながら具体的に説明する。図9は、開閉弁77の開閉制御の流れを示す図である。以下の動作は、開閉制御部79aの制御下で実行される。
ハンド24aに基板Wが保持されると(ステップS21でYES)、加速度センサ80aが、ハンド24aの加速度の検出を開始する。
加速度センサ80aからの出力値が、ゼロよりも大きくなった場合(ステップS22でYES)、開閉弁77が開放され、吐出口74からの気体の吐出が開始される(ステップS23)。つまり、上記に例示した態様でハンド24aが昇降駆動される場合、ハンド24aが、加速状態で上昇開始されると、吐出口74からの気体の吐出が開始されることになる。また、下降されるハンド24aが等速状態からブレーキ状態に遷移すると、吐出口74からの気体の吐出が開始されることになる。
吐出口74から気体が吐出開始された後、加速度センサ80aからの出力値が、ゼロ以下となった場合(ステップS24でYES)、開閉弁77が閉鎖され、吐出口74からの気体の吐出が停止される(ステップS25)。つまり、上記に例示した態様でハンド24aが昇降駆動される場合、上昇されるハンド24aが加速状態から等速状態に遷移すると、吐出口74から気体の吐出が停止されることになる。また、下降されるハンド24aが停止されると、吐出口74から気体の吐出が停止されることになる。
基板Wを支持したハンド24aに鉛直上向きの加速度が付加されると、ハンド24aに保持されている基板Wが凹形状に撓む可能性が高まり、その撓みの度合いは、当該加速度が大きくなるほど、大きくなる。基板Wが凹形状に変形すると、上述したとおり、基板Wの下面が水平支持部72の上面720と接触する可能性が高まり、基板Wの汚染、損傷などが生じる虞がでてくる。ここでは、ハンド24aの鉛直上向きの加速度が、第1加速度閾値より大きくなると、吐出口74からの気体の吐出が開始される。すると、水平支持部72の上方に支持されている基板Wの下面に向けて気体が吐出され、その風の力で、基板Wの下面における、吐出口74と対向する部分が押し上げられ、最小離間距離が大きくなる。これによって、ハンド24aに鉛直上向きの加速度が付加された状態であっても、基板Wの下面が水平支持部72の上面720と接触することが抑制され、基板Wの汚染、損傷などが生じにくくなっている。また、ハンド24aの鉛直上向きを正とした加速度が大きくなればなるほど、基板Wが凹状に撓む度合いが大きくなり、基板Wの下面が水平支持部72の上面720と接触する危険が高くなるところ、ここでは、ハンド24aの鉛直上向きの加速度が、第2加速度閾値以下となると、吐出口74からの気体の吐出が停止される。つまり、基板Wの下面が水平支持部72の上面720と接触する危険が高い状況においてのみ気体を吐出し、危険が低くなると気体の吐出を停止する。この構成によると、基板Wの下面が水平支持部72と接触することを抑制しつつ、気体の消費量を抑えることができる。
特に、この実施の形態においては、第1加速度閾値および第2加速度閾値はともに、ゼロであり、ハンド24aの鉛直上向きを正とした加速度がゼロより大きくなった場合に気体の吐出が開始され、当該加速度がゼロ以下となった場合に気体の吐出が停止される。つまり、上昇されるハンド24aが加速状態にある時間Δt1、および、下降されるハンド24aがブレーキ状態にある時間Δt6以外では、吐出口74からの気体の吐出が行われない。鉛直上向きを正とした加速度がゼロの時間帯(すなわち、ハンド24aが等速状態にある時間Δt2,Δt5)では、基板Wには昇降動作に伴う変形は比較的生じにくくいため、基板Wの下面が水平支持部72の上面720と接触する可能性は比較的低い。また、鉛直上向きを正とした加速度が負の時間帯(すなわち、上昇されるハンド24aがブレーキ状態にある時間Δt3、および、下降されるハンド24aが加速状態にある時間Δt4)では、基板Wは、凸形状に変形する可能性があるものの、凹形状には変形しにくいので、やはり、基板Wの下面が水平支持部72の上面720と接触する可能性は低い。このように、基板Wの下面が水平支持部72の上面720と接触する危険が低くなると気体の吐出を停止することによって、気体の消費量を効果的に抑えることができる。つまり、基板Wの下面が水平支持部72と接触することを十分に抑制しつつ、気体の消費量を効果的に抑えることができる。
<III.第3の実施の形態>
第3の実施の形態に係る基板処理装置は、搬送ロボットCRが備えるハンド24b、および、移載ロボットIRが備えるハンド12bの構成において、第1の実施の形態に係る基板処理装置100と相違し、それ以外の点においては相違しない。なお、以下においては、搬送ロボットCRが備えるハンド24bについて説明するが、移載ロボットIRが備えるハンド12bも、ハンド24bと同様の構成を備えている。
この実施の形態に係るハンド24bは、各水平支持部上に吐出口を複数個設ける点において、第1の実施の形態に係るハンド24と相違し、その他の点においては、ハンド24と同様である。ハンド24bの構成について、図10を参照しながら具体的に説明する。図10は、ハンド24bを模式的に示す平面図である。なお、以下の説明においては、第1の実施の形態と同じ構成については、その説明を省略するとともに、同じ符号で示す。
ハンド24bは、第1の実施の形態に係るハンド24と同様、基部71と、一端において基部71に片持ち状態で支持されて、水平に延在する、一対の水平支持部72とを備える。また、各水平支持部72の上面720には、間隔をあけて、2個の当接部材73が設けられる。各当接部材73は、基板Wの下面に当接する下方当接部材731と、基板Wの側面に当接する側方当接部材732とを含んで構成される。さらに、2個の水平支持部72のうち、少なくとも一方の水平支持部72には、距離センサ78が設けられる。
各水平支持部72には、その上面720に開口した吐出口74bが、複数個(図示の例では、2個)、設けられる。当該複数の吐出口74bは、水平支持部72に設けられている2個の当接部材73の配設位置を結ぶ仮想的な線分L上に、配列される。また、各吐出口74bは、例えば、当該線分L上であって、当該線分Lを等分割する位置に配置される。この場合、図10において例示されるように、各水平支持部72に設けられる2個の吐出口74bのうちの一方の吐出口74bは、一方の当接部材73と中央位置Qとの間に形成され、他方の吐出口74bは、他方の当接部材73と中央位置Qとの間に形成されることになる。もっとも、各水平支持部72に設けられる吐出口74bの個数は、3個以上であってもよい。各水平支持部72に奇数個の吐出口74bが設けられる場合、1個の吐出口74bは、中央位置Qに配置されることも好ましい。
複数の吐出口74bのそれぞれは、配管75を介して気体供給源76と接続されている。また、配管75には、例えば電磁弁によって構成される開閉弁77が、介挿されている。この構成において、開閉弁77が開放されると、気体供給源76から、配管75を介して、複数の吐出口74bのそれぞれに気体が供給され、各吐出口74から、水平支持部72に支持されている基板Wの下面に向けて、気体が吐出されることになる。つまり、ここでは、複数の吐出口74b、および、これらに気体を供給する気体供給部(具体的には、配管75、気体供給源76、および、開閉弁77)が、水平支持部72の上方に支持されている基板Wの下面に向けて気体を吐出する気体吐出部700bとして機能する。
この実施の形態においても、第1の実施の形態と同様、距離センサ78と開閉弁77とは、開閉制御部79bを介して電気的に接続されており、開閉制御部79bは、距離センサ78からの出力値に基づいて、開閉弁77を開閉制御する。すなわち、開閉制御部79bは、距離センサ78からの出力情報に基づいて、気体吐出部700bからの気体の吐出の開始および停止を制御する。具体的には、開閉制御部79bは、距離センサ78からの出力値に基づいて特定される、基板Wの下面と水平支持部72の上面720との最小離間距離が、予め定められた閾値(第1離間閾値)よりも小さくなった場合に、開閉弁77を開放する。また、当該最小離間距離が、予め定められた閾値(第2離間閾値)よりも大きくなった場合に、開閉弁77を閉鎖する(図9参照)。
したがって、最小離間距離が第1離間閾値よりも小さくなると、開閉弁77が開放され、複数の吐出口74bのそれぞれから気体が吐出される。すると、水平支持部72の上方に支持されている基板Wの下面の複数の位置に向けて気体が吐出され、その風の力で、基板Wの下面における、各吐出口74bと対向する各部分が押し上げられ、最小離間距離が大きくなる。ここでは、水平支持部72の延在方向に沿う複数の位置から、基板Wの下面に向かう風が形成されるので、基板Wが十分に押し上げられる。これによって、基板Wの下面が水平支持部72と特に接触しにくくなる。一方、最小離間距離が第2離間閾値よりも大きくなると、開閉弁77が閉鎖され、各吐出口74bからの気体の吐出が停止される。したがって、気体の消費量を抑えることができる。
<IV.第4の実施の形態>
第4の実施の形態に係る基板処理装置は、搬送ロボットCRが備えるハンド24c、および、移載ロボットIRが備えるハンド12cの構成において、第1の実施の形態に係る基板処理装置100と相違し、それ以外の点においては相違しない。なお、以下においては、搬送ロボットCRが備えるハンド24cについて説明するが、移載ロボットIRが備えるハンド12cも、ハンド24cと同様の構成を備えている。
この実施の形態に係るハンド24cは、ハンド24cは、吐出口が水平支持部と別体の部材に設けられる点において、第1の実施の形態に係るハンド24と相違し、その他の点においては、ハンド24と同様である。ハンド24cの構成について、図11を参照しながら具体的に説明する。図11は、ハンド24cを模式的に示す平面図である。なお、以下の説明においては、第1の実施の形態と同じ構成については、その説明を省略するとともに、同じ符号で示す。
ハンド24cは、第1の実施の形態に係るハンド24と同様、基部71と、一端において基部71に片持ち状態で支持されて、水平に延在する、一対の水平支持部72とを備える。また、各水平支持部72の上面720には、間隔をあけて、2個の当接部材73が設けられる。各当接部材73は、基板Wの下面に当接する下方当接部材731と、基板Wの側面に当接する側方当接部材732とを含んで構成される。さらに、2個の水平支持部72のうち、少なくとも一方の水平支持部72には、距離センサ78が設けられる。
ハンド24cは、さらに、水平支持部72と別体に形成された吐出口支持部81cを備える。吐出口支持部81cは、長尺の部材であり、一端において基部71に片持ち状態で支持されて、水平に延在する。吐出口支持部81cは、基部71に支持された側の端部において、基部71に対して回動(鉛直軸R周りの回動)が可能なように支持されている。ただし、吐出口支持部81cは、水平支持部72が配置される水平面よりも下側の水平面内に配置されており、水平支持部72と干渉することなく、鉛直軸Rを中心とした回動を行えるようになっている。
吐出口支持部81cの他方の端部には、上側に開口した吐出口74cが設けられる。つまり、吐出口74cは、水平支持部72の上方に支持される基板Wの下面と対向するように開口する。吐出口74cは、例えば、吐出口支持部81cの延在方向に沿って、吐出口支持部81c内に貫通して配設された配管75cを介して、気体供給源76と接続されている。また、配管75cには、例えば電磁弁によって構成される開閉弁77が、介挿されている。この構成において、開閉弁77が開放されると、気体供給源76から、配管75cを介して、吐出口74cに気体が供給され、吐出口74cから、水平支持部72の上方に支持されている基板Wの下面に向けて、気体が吐出されることになる。つまり、ここでは、吐出口74c、および、これに気体を供給する気体供給部(具体的には、配管75c、気体供給源76、および、開閉弁77)が、水平支持部72の上方に支持されている基板Wの下面に向けて気体を吐出する気体吐出部700cとして機能する。この構成によると、吐出口74cが、水平支持部72と別体に形成された吐出口支持部81cに設けられるので、水平支持部72の構成を複雑化することなく気体吐出部を構成することができる。
ハンド24cは、さらに、吐出口支持部81cを、鉛直方向に沿った回転軸R周りに回動させる回転駆動部82cを備える。回転駆動部82cは、例えば、モータ等を含んで構成される。回転駆動部82cは、吐出口支持部81cを回動させることによって、吐出口74cを、吐出位置R1と待避位置R2との間で移動させる。ここで、「吐出位置R1」は、例えば、吐出口74cが、水平支持部72の上方に支持された基板Wの下面の中心部分と対向する位置である(図11の実線位置)。また、「待避位置R2」は、例えば、Z軸に沿って見た平面視において、吐出口74cが、当該基板Wの下面と対向しない位置(すなわち、Z軸に沿って見た平面視において、当該基板Wの外側にあるような位置)である(図11の二点鎖線位置)。
回転駆動部82cは、開閉制御部79cと電気的に接続されており、開閉制御部79cの制御に応じて、吐出口74cを移動させる。回転駆動部82cは、具体的には、ハンド24cの下方に基板Wが存在し得る状態(例えば、ハンド24cがキャリアCとの間で基板Wの授受を行う間)においては、吐出口74cを待避位置R2に配置させ、ハンド24cの下方に基板Wが存在し得ない状態(例えば、ハンド24cがキャリアCに対向する位置と、基板受渡位置Pとの間で移動される間)においては、吐出口74cを吐出位置R1に配置させる。
距離センサ78と開閉弁77とは、開閉制御部79cを介して電気的に接続されている。開閉制御部79cは、距離センサ78からの出力値に基づいて、開閉弁77を開閉制御する。具体的には、開閉制御部79cは、距離センサ78からの出力値に基づいて特定される、基板Wの下面と水平支持部72の上面720との最小離間距離が、予め定められた閾値(第1離間閾値)よりも小さくなった場合に、開閉弁77を開放する。また、当該最小離間距離が、予め定められた閾値(第2離間閾値)よりも大きくなった場合に、開閉弁77を閉鎖する。
したがって、最小離間距離が第1離間閾値よりも小さくなると、開閉弁77が開放され、吐出位置R1に配置された吐出口74cから気体が吐出される。すると、水平支持部72の上方に支持されている基板Wの下面に向けて気体が吐出され、その風の力で、基板Wの下面における、吐出口74cと対向する部分が押し上げられ、最小離間距離が大きくなる。特に、ここでは、吐出位置R1が、吐出口74cが基板Wの下面の中心部分と対向する位置であるので、基板Wの下面の中心部分に向けて気体を吐出することができる。すると、基板Wの下面における中心部分が押し上げられるので、凹形状に変形している基板Wが、効果的に平坦化され、一対の水平支持部72それぞれの最小離間距離が、効果的に大きくなる。これによって、基板Wの下面が水平支持部72との接触を効果的に抑制することができる。一方、最小離間距離が第2離間閾値よりも大きくなると、開閉弁77が閉鎖され、各吐出口74cからの気体の吐出が停止されるとともに、吐出口74cが待避位置R2に退避される。したがって、気体の消費量を抑えることができる。また、吐出口74cおよび吐出口支持部81cが、基板Wの搬送動作の邪魔になることもない。
<V.第5の実施の形態>
第5の実施の形態に係る基板処理装置は、搬送ロボットCRが備えるハンド24d、および、移載ロボットIRが備えるハンド12dの構成において、第1の実施の形態に係る基板処理装置100と相違し、それ以外の点においては相違しない。なお、以下においては、搬送ロボットCRが備えるハンド24dについて説明するが、移載ロボットIRが備えるハンド12dも、ハンド24dと同様の構成を備えている。
この実施の形態に係るハンド24dは、水平支持部の形状において、第1の実施の形態に係るハンド24と相違し、その他の点においては、ハンド24と同様である。ハンド24dの構成について、図12を参照しながら具体的に説明する。図12は、ハンド24dを模式的に示す平面図である。なお、以下の説明においては、第1の実施の形態と同じ構成については、その説明を省略するとともに、同じ符号で示す。
ハンド24dは、基部71と、水平支持部72dを備える。水平支持部72dは、平面視矩形状の薄板の一つの辺に、平面視矩形状の切り欠きGが形成された部材である。水平支持部72dは、切り欠きGが形成された辺と対向する辺において、基部71に片持ち状態で支持されて、水平に(水平支持部72dの上面720dが水平面に対して平行な姿勢で)延在する。
水平支持部72dの上面720dには、間隔をあけて、4個の当接部材73dが設けられる。4個の当接部材73dは、水平支持部72d上に規定される仮想的な矩形の頂点にそれぞれ配置されており、これら4個の当接部材73dの配置位置を通る仮想円の直径は、ハンド24dが保持対象とする基板Wの直径と略同一となっている。各当接部材73dは、第1の実施の形態に係るハンド24が備える当接部材73と同様、基板Wの下面に当接する下方当接部材731と、基板Wの側面に当接する側方当接部材732とを含んで構成される。
ここで、上述したとおり、水平支持部72dの上方に支持される基板Wが平坦形状である場合、基板Wの下面と水平支持部72dの上面720dとの離間距離は、水平支持部72の上面720d内の各位置において、下方当接部材731の高さ寸法Dとほぼ一致することになる。
ところが、水平支持部72dの上方に支持される基板Wが例えば凹形状に変形している場合においては、基板Wの下面と水平支持部72dの上面720dとの離間距離は、当接部材73dから離れるほど小さくなり、水平支持部72d上に配設された4個の当接部材73dの中央の位置(すなわち、対角に配置されている当接部材73d同士を結ぶ対角線L1,L2の交差位置であり、以下において「中央位置」ともいう)Kにおいて、最小となる。
水平支持部72dには、水平支持部72d上の定められた位置(特に好ましくは、中央位置K)に設けられ、水平支持部72dの上面720dに開口した、吐出口74dが形成される。吐出口74dが中央位置Kに設けられた場合、吐出口74dは、水平支持部72dの上方に支持された基板Wの下面における中心部分に、対向することになる。なお、この場合、吐出口74dは、対角に配置されている2個の当接部材73dの配設位置の中央の位置に開口することになる。
吐出口74dは、配管75dを介して、気体供給源76と接続されている。また、配管75dには、例えば電磁弁によって構成される開閉弁77が、介挿されている。配管75dは、例えば、水平支持部72d内に貫通して配設される。
この構成において、開閉弁77が開放されると、気体供給源76から、配管75dを介して、吐出口74dに気体が供給され、吐出口74dから気体が吐出されることになる。つまり、ここでは、吐出口74d、および、これに気体を供給する気体供給部(具体的には、配管75d、気体供給源76、および、開閉弁77)が、水平支持部72dの上面720dから水平支持部72dの上方に支持されている基板Wの下面に向けて気体を吐出する気体吐出部700dとして機能する。
水平支持部72dには、例えば中央位置Kの付近に、距離センサ78dが設けられる。距離センサ78dは、水平支持部72dの上面720dと、水平支持部72dの上方に支持される基板Wの下面との離間距離を、検出する。上述したとおり、水平支持部72dの上方に支持される基板Wが凹形状に変形している場合、当該基板Wの下面と水平支持部72dの上面720dとの離間距離は、中央位置Kにおいて最小となる。したがって、距離センサ78が中央位置Kに設けられている場合、当該距離センサ78からの出力値を、最小離間距離とみなすことができる。
もっとも、距離センサ78dは、必ずしも中央位置Kに設ける必要はなく、中央位置Kから離間した位置に設けられてもよい。この場合、距離センサ78dからの出力値と、距離センサ78dと中央位置Kとの離間距離とに基づいて、中央位置Kにおける、水平支持部72dの上面720dと基板Wの下面との離間距離を算出して、当該算出された値を最小離間距離として取得することができる。
距離センサ78dと開閉弁77とは、開閉制御部79dを介して電気的に接続されており、開閉制御部79dは、距離センサ78dからの出力値に基づいて、開閉弁77を開閉制御する。すなわち、開閉制御部79dは、距離センサ78からの出力情報に基づいて、気体吐出部700dからの気体の吐出の開始および停止を制御する。具体的には、開閉制御部79dは、距離センサ78dからの出力値に基づいて特定される、基板Wの下面と水平支持部72dの上面720dとの最小離間距離が、予め定められた閾値(第1離間閾値)よりも小さくなった場合に、開閉弁77を開放する。また、当該最小離間距離が、予め定められた閾値(第2離間閾値)よりも大きくなった場合に、開閉弁77を閉鎖する(図9参照)。
したがって、最小離間距離が、第1離間閾値よりも小さくなると、開閉弁77が開放され、吐出口74dから気体が吐出される。すると、水平支持部72dの上方に支持されている基板Wの下面に向けて気体が吐出され、その風の力で、基板Wの下面における、吐出口74dと対向する部分が押し上げられ、最小離間距離が大きくなる。特に、吐出口74dが中央位置Kに設けられている場合、基板Wの下面における中心部分が押し上げられるので、凹形状に変形している基板Wが、効果的に平坦化され、最小離間距離が効果的に大きくなる。これによって、基板Wの下面が水平支持部72dと特に接触しにくくなる。また、吐出口74dからの気体の吐出が開始された後、最小離間距離が第2離間閾値よりも大きくなると、開閉弁77が閉鎖され、吐出口74dからの気体の吐出が停止される。したがって、気体の消費量を抑えることができる。
<VI.その他の実施の形態>
以上、この発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。
例えば、第2の実施の形態においては、開閉制御部79aが、加速度センサ80aからの出力値がゼロとなった時刻で(例えば、上昇されるハンド24aが加速状態から等速状態となった時点で、また、下降されるハンド24aがブレーキ状態から停止状態となった時点で)、開閉弁77を閉鎖する構成としていたが、加速度センサ80aからの出力値がゼロとなった時刻から所定時間が経過した時刻で、開閉弁77を閉鎖する構成としてもよい。上昇されるハンド24aが加速状態から等速状態となった直後からある一定の時間、また、下降されるハンド24aがブレーキ状態から停止状態となった直後からある一定の時間は、基板Wが上下に振動して、最小離間距離が一時的に小さくなる可能性があるところ、上記の態様によると、このような時間帯に、基板Wの下面が水平支持部72と接触する危険を回避できるという利点がある。
また例えば、第3〜5の各実施の形態において、距離センサ78,78dに代えて加速度センサ80aを設けてもよい。
また例えば、第1〜5の各実施の形態において、距離センサ78,78d、加速度センサ80aのいずれも設けない構成としてもよい。この場合、例えば、制御部30が、搬送ロボットCRへ与える動作信号(例えば、サーボモータの位置決め完了信号等)に応じて、制御部30が、吐出口74,74b,74c,74dからの気体の吐出の開始および停止を制御する構成としてもよい。具体的には、制御部30が、例えば、ハンド24aを加速状態で上昇開始させるタイミングで、吐出口74,74b,74c,74dからの気体の吐出を開始させるとともに、上昇されるハンド24aを等速状態とするタイミングで、吐出口74,74b,74c,74dから気体の吐出を停止させるとしてもよい。また、制御部30が、例えば、下降されるハンド24aをブレーキ状態とするタイミングで、吐出口74,74b,74c,74dからの気体の吐出を開始させるとともに、下降されるハンド24aが停止したタイミングで、吐出口74,74b,74c,74dから気体の吐出を停止させるとしてもよい。
また例えば、第1〜5の各実施の形態において、距離センサ78,78d、加速度センサ80aのいずれも設けない構成とする場合、吐出口74,74b,74c,74dから常に気体を吐出し続ける構成としてもよい。
また例えば、第1〜5の各実施の形態において、距離センサ78,78d、加速度センサ80aのいずれも設けない構成とする場合、制御部30を介してオペレータからの指示を受け付けて、当該指示に応じて、吐出口74,74b,74c,74dからの気体の吐出の開始および停止を制御する構成としてもよい。
また、例えば、第1〜5の各実施の形態において、吐出口74,74b,74c,74dは、多孔質パッドにより構成されてもよい。吐出口74,74b,74c,74dを多孔質パッドにより構成した場合、気体が噴出される領域を比較的大きくすることができるので、基板Wを十分に押し上げることができる。その結果、基板Wの下面が水平支持部72,72dと接触する危険が十分に回避される。
また、第1〜5の各実施の形態においては、移載ロボットIRのハンド12と搬送ロボットCRのハンド24との両方が、気体吐出部700,700a,700b,700c,700dを備える構成であったが、移載ロボットIRのハンド12と搬送ロボットCRのハンド24のうちのどちらか一方のみが、気体吐出部700,700a,700b,700c,700dを備える構成としてもよい。
また、上記の実施の形態においては、基板受渡位置Pにおいて、移載ロボットIRと搬送ロボットCRとが、直接に、基板Wを受け渡しを行う構成であったが、移載ロボットIRと搬送ロボットCRとの間の基板Wの受け渡しの態様は、これに限らない。例えば、基板受渡位置Pに基板Wを載置する載置台を設置しておき、一方のロボットが当該載置台に載置した基板Wを他方のロボットが受け取る構成としてもよい。
また、上記の実施の形態において、処理セル20における処理部21の個数およびレイアウトは、上述したものに限定されない。
また、処理セル20に設けられる処理部21は、基板を洗浄処理するものに限定されるものでなく、例えば、露光、乾燥、プラズマエッチングなどの各処理のいずれかを実行するものであってもよい。また、処理セル20は、異なる処理を行う複数種類の処理部を含んで構成されてもよい。
また、基板Wは、半導体ウエハに限定されるものではなく、その他の基板(プリント基板、カラーフィルタ用基板、液晶表示装置やプラズマ表示装置に具備されるフラットパネルディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板、太陽電池用パネル)であってもよい。このとき、基板の種別に応じて、基板処理装置100を変形してもよい。また、基板処理装置100は、洗浄処理を行うものに限定されるものではなく、露光処理、現像処理、プラズマエッチング処理、乾燥処理などの処理を行う装置に変形してもよい。
また、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。