以下、図面を参照しながら、実施の形態について説明する。以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。また、以下に参照する各図では、理解容易のため、各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。また、各図では、同様な構成および機能を有する部分に同じ符号が付され、下記説明では重複説明が省略される。上下方向は鉛直方向であり、スピンチャックに対して基板側が上である。
<1.基板処理装置100>
基板処理装置100の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、実施形態に係る基板処理装置100を模式的に示す概略平面図である。
基板処理装置100は、半導体ウェハ等の基板Wを処理するシステムである。基板Wの表面形状は略円形である。基板Wの半径は、例えば、150mmである。基板処理装置100は、複数の基板処理ユニット1を備えている。基板処理装置100は、各基板処理ユニット1において、基板Wを、一枚ずつ、連続して処理することができるとともに、複数の基板処理ユニット1によって、複数の基板Wを並行して処理することもできる。
基板処理装置100は、並設された複数のセル(処理ブロック)(具体的には、インデクサセル110および処理セル120)と、当該複数のセル110,120が備える各動作機構等を統括して制御する主制御部(「基板処理制御部」、「処理制御部」とも称される)130と、当該複数のセル110,120が備える基板搬送装置200を制御する搬送制御部160と、を備える。主制御部130は、各種のコマンドを送信することなどによって搬送制御部160も制御する。
<インデクサセル110>
インデクサセル110は、装置外から受け取った未処理の基板Wを処理セル120に渡すとともに、処理セル120から受け取った処理済みの基板Wを装置外に搬出するためのセルである。インデクサセル110は、複数のキャリアCを載置するキャリアステージ111と、各キャリアCに対する基板Wの搬出入を行う移載ロボットIRと、を備える。
キャリアステージ111に対しては、複数の未処理の基板Wを収納したキャリアCが、装置外部から、OHT(Overhead Hoist Transfer)等によって搬入されて載置される。未処理の基板Wは、キャリアCから1枚ずつ取り出されて装置内で処理され、装置内での処理が終了した処理済みの基板Wは、再びキャリアCに収納される。処理済みの基板Wを収納したキャリアCは、OHT等によって装置外部に搬出される。このように、キャリアステージ111は、未処理の基板Wおよび処理済みの基板Wを集積する基板集積部として機能する。なお、キャリアCの形態としては、基板Wを密閉空間に収納するFOUP(Front Opening Unified Pod)であってもよいし、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッドや、収納された基板Wを外気に曝すOC(Open Cassette)であってもよい。
移載ロボットIRは、基板Wを下方から支持することによって、基板Wを水平姿勢(基板Wの主面が水平な姿勢)で支持するハンド156、157と、ハンド156、157を移動する2つのアーム154、155等を備える。移載ロボットIRは、キャリアステージ111に載置されたキャリアCから未処理の基板Wを取り出して、当該取り出した基板Wを、基板受渡位置Pにおいて搬送ロボットCR(後述する)に渡す。また、移載ロボットIRは、基板受渡位置Pにおいて搬送ロボットCRから処理済みの基板Wを受け取って、当該受け取った基板Wを、キャリアステージ111上に載置されたキャリアCに収納する。
<処理セル120>
処理セル120は、基板Wに処理を行うためのセルである。処理セル120は、複数の基板処理ユニット1と、当該複数の基板処理ユニット1に対する基板Wの搬出入を行う搬送ロボットCRと、を備える。搬送ロボットCRと移載ロボットIRとは、基板搬送装置200である。ここでは、複数個(例えば、3個)の基板処理ユニット1が鉛直方向に積層されて、1個の基板処理装置群10を構成している。そして、複数個(図示の例では、4個)の基板処理装置群10が、搬送ロボットCRを取り囲むようにクラスタ状(房状)に設置される。従って、複数の基板処理ユニット1は、搬送ロボットCRの周囲にそれぞれ配置される。
図3は、基板処理装置100が備える基板処理ユニットの一例として基板処理ユニット1を示す概略斜視図である。複数の基板処理ユニット1の各々は、内部に処理空間を形成する筐体(「チャンバー」)121を備える。筐体121には、搬送ロボットCRが筐体121の内部にハンド156、157を挿入するための搬出入口122が形成されている。搬出入口122には、主制御部130の制御に基づいて開閉可能なシャッター123が設けられている。シャッター123は、基板Wの筐体121内への搬出入時に開かれ、基板Wの処理中は閉じられる。シャッター123は、基板処理ユニット1は、搬送ロボットCRが配置されている空間に、この搬出入口122を対向させるようにして配置される。基板処理ユニット1の具体的な構成については、後に説明する。
搬送ロボットCRは、基板Wを片持ち支持しながら搬送するロボットである。搬送ロボットCRは、指定された基板処理ユニット1から処理済みの基板Wを取り出して、当該取り出した基板Wを、基板受渡位置Pにおいて移載ロボットIRに渡す。また、搬送ロボットCRは、基板受渡位置Pにおいて移載ロボットIRから未処理の基板Wを受け取って、当該受け取った基板Wを、指定された基板処理ユニット1に搬送する。
図2は、搬送ロボットCRの側面図である。図2においては、搬送ロボットCRがアーム154を屈折させているとともに、アーム155を伸展させている状態、つまり搬送ロボットCRが複数の基板処理ユニット1のうち何れかの処理ユニットの筐体121の内部にアクセスしている状態が示されている。
搬送ロボットCRは、本体150と、本体150の上部から突出し、昇降が可能な胴部151と、胴部151から鉛直方向に延びて昇降動作を行う支持部152、153と、支持部152、153から延びて水平面内で屈伸動作を行うアーム154、155と、アーム154、155の先端に装着され、基板Wを支持可能なハンド156、157とを備えている。搬送ロボットCRは、例えば、上側のハンド156によって基板処理ユニット1のスピンチャック21から処理済みの基板Wを受け取って、すなわち、取り外して基板処理ユニット1から搬出し、その直後に、下側のハンド157によって未処理の基板Wをスピンチャック21に載置することによって基板Wの交換処理を行う。本体150は、複数の基板処理装置群10に取り囲まれる空間の中央に配置される。
胴部151は、本体150内に収容されている図示しない回転機構によって、矢印AR2の方向、すなわち、鉛直な回転軸a2を中心とする円周方向に回転される。当該回転機構は、例えば、サーボモーターの出力軸に連結されたギア機構などを備えて構成される。胴部151が回転することによって、アーム154、155が回転軸a2を中心に水平面内で旋回し、ハンド156、157が回転軸a2を中心とする円周方向に移動する。これにより、ハンド156、157は、各基板処理ユニット1の筐体121に設けられた搬出入口122に正対可能となっている。
支持部152、153は、本体150内に収容されている図示しない昇降機構によって鉛直方向(矢印AR3の方向)に個別に昇降される。当該昇降機構は、例えば、サーボモーターの出力軸に連結されたボールねじ機構などを備えて構成される。支持部152、153が昇降することによってハンド156、157が多段に積層された各基板処理ユニット1の高さ位置に昇降する。
アーム154、155は、それぞれ多関節型の屈伸式アームである。搬送ロボットCRは、アーム154、155内に収容されている図示しない進退駆動機構により、アーム154、155を個別に伸縮させることができる。したがって、当該アーム154、155に対応するハンド156、157を別々に水平に進退させることができる。
当該進退駆動機構は、アーム154、155の基端部、各関節部に、サーボモーターを備えて設けられた各回転機構により構成される。進退移動の方向は、矢印AR4の方向、すなわち、例えば、回転軸a2を中心とする円の径方向である。各アームに代えて、例えば、水平面内でリニアレールに沿って直動するリニアスライダー、若しくは、水平面内で屈伸する屈伸リンクなどが採用されてもよい。
ハンド156、157は、アーム154、155の先端で回転可能に支持されている。ハンド156、157は、アーム154、155の先端から水平に延びる延設部と、延設部の先端に形成され、基板Wを支持可能な基板支持部とを備える。基板支持部は、上面視において、U字形状をなす薄肉部材である。基板支持部の中央部分は、延設部の先端に接続し、両端部分は、互いに隙間を隔てて延設部の延在方向に沿って延在している。当該両端部分の間隔は、基板Wの径よりも短く、基板処理ユニット1のスピンチャック21の径よりも長い。基板支持部の上面は水平面であり、基板Wは、当該上面の所定位置に安定して支持される。基板Wが基板支持部に載置されているか否かを検出可能なセンサーが基板支持部に設けられてもよい。
アーム154、155の先端が進退動作を行うことにより、ハンド156、157は、回転軸a2に対して進退移動し、回転軸a2に対するハンド156、157の距離が変動する。アーム154、155が伸展(屈折)したときには、ハンド156、157は進出位置(退避位置)に配置される。ハンド156、157の向きは、サーボモーターを備えてアーム154、155の先端に設けられた各回転機構によって変更される。
ハンド156、157の退避位置は、進出位置よりも回転軸a2側の位置である。ハンド156、157が退避位置に位置するときには、アーム154、155は、ハンド156、157が進出位置に位置するときよりも屈折している。換言すれば、ハンド156、157が進出位置に位置するときには、アーム154、155は、ハンド156、157が退避位置に位置するときよりも伸展している。
搬送ロボットCRは、ハンド156、157を基板処理ユニット1の処理位置PSに正対させた状態でスピンチャック21に載せられている基板Wの交換処理を行う。搬送ロボットCRは、例えば、基板Wを保持していない上側のハンド156を進出位置に移動させて、ハンド156を基板Wの下方に配置した後、ハンド156を上昇させる。搬送ロボットCRは、ハンド156を上昇させる過程で処理位置PSにおいて処理済みの基板Wを受け取る。ハンド156の上昇が終了すると、搬送ロボットCRは、ハンド156を退避位置に移動させるとともに、未処理の基板Wを保持している下側のハンド157を進出位置に移動させてスピンチャック21の上方に配置した後、ハンド157を降下させる。搬送ロボットCRは、ハンド157を降下させる過程で、処理位置PSにおいて基板Wをスピンチャック21に載せる。ハンド157の降下が終了すると、搬送ロボットCRは、ハンド157を退避位置に移動させる。基板処理ユニット1との間で基板Wの受渡しをする際には、搬送ロボットCRは支持部152、153を昇降させて、上記のようにハンド156、157を上下動させる。スピンチャック21の昇降を高速で行える場合には、基板処理ユニット1との間で基板Wの受渡しをする際に、ハンド156、157に対してスピンチャック21を上下動させてもよい。
搬送ロボットCRの各駆動機構の動作は、搬送制御部160によって制御される。搬送制御部160は、ハンド156、157の昇降移動の各目標位置、アーム154、155の目標の回転位置、およびハンド156、157の進退移動の目標位置等に応じた各指令値(「指令値群」)を、本体150内に設けられた図示省略のドライバーに供給する。当該ドライバーは、制御部と、パワー回路部とを備える。当該各指令値は、例えば、各目標位置にハンド156、157を移動するために必要な各サーボモーターの回転数等の指標値である。
ドライバーの制御部は、搬送制御部160から供給される各指令値に応じた各制御信号をパワー回路部に供給する。パワー回路部は、各制御信号に応じた駆動電流を各サーボモーターに供給する。各サーボモーターは、各駆動電流に応じた方向に、各駆動電流に応じた回転速度で回転し、胴部151を回転させ、支持部152、153を昇降させ、アーム154、155を屈折若しくは伸展させる。各サーボモーターは、その回転位置に応じた回転位置信号を発生するエンコーダーを備え、回転位置信号をドライバーの制御部にフィードバックする。
ドライバーの制御部は、各回転位置信号に基づいて各サーボモーターの回転数等を取得する演算処理を行い、取得した各回転数等が各指令値と等しくなるようにパワー回路部に各制御信号を供給する。これにより、ハンド156、157は、昇降移動、回転移動、進退移動のそれぞれにおいて各指令値に応じた目標位置へと移動される。各指令値は、具体的には、例えば、各サーボモーターの回転数を、各サーボモーターの回転に応じて各エンコーダーが発生するパルス信号のパルス数で表した各数値である。一の指令値群に対して、ハンド156、157の一の停止位置が決まる。
また、ドライバーの制御部は、取得した各サーボモーターの各回転数等を搬送制御部160に供給する。搬送制御部160は、当該各回転数等に基づいてハンド156、157の位置を逐次に検出することができる。
<主制御部130>
主制御部130は、一群の基板処理ユニット1の各々の動作を制御する。主制御部130のハードウエアとしての構成は、例えば、一般的なコンピュータと同様のものを採用できる。すなわち、主制御部130は、例えば、各種演算処理を行うCPU11、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM(不図示)、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM(不図示)およびプログラムPG1やデータなどを記憶しておく磁気ディスク12をバスライン(不図示)に接続して構成されている。磁気ディスク12には、基板Wの処理内容および処理手順を規定するレシピK1も記憶されている。磁気ディスク12には、各基板処理装置における基板Wの処理手順を既述した処理スケジュールも記憶される。
主制御部130において、プログラムPG1に記述された手順に従って制御部としてのCPU11が演算処理を行うことにより、基板処理装置100の各部を制御する各種の機能部が実現される。主制御部130は、制御コマンド等によって搬送制御部160に対する指示も行う。主制御部130において実現される一部あるいは全部の機能部は、専用の論理回路などでハードウエア的に実現されてもよい。
<搬送制御部160>
搬送制御部160は、移載ロボットIR、搬送ロボットCRを制御する。搬送制御部160のハードウエアとしての構成は、主制御部130と同様に、例えば、一般的なコンピュータと同様のものを採用できる。すなわち、搬送制御部160は、例えば、各種演算処理を行うCPU15、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM(不図示)、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM(不図示)およびプログラムPG2やデータなどを記憶しておく磁気ディスク16をバスライン(不図示)に接続して構成されている。搬送制御部160と主制御部130とは、例えば、Hi-speed Link System(HLS(登録商標))、若しくはEthernet(登録商標)などの高速の通信方式によって互いに通信を行うことができる。
磁気ディスク16には、キャリアCに収容された各基板Wについて、処理を行う各基板処理装置への搬送手順を既述した搬送スケジュールも記憶される。搬送制御部160は、搬送スケジュールに従って、移載ロボットIRおよび搬送ロボットCRによる基板Wの搬送を制御する。搬送スケジュールは、例えば、複数の基板Wのそれぞれについて、複数の基板処理ユニット1のうち処理を行う各装置への基板の搬入時刻、および搬出時刻等を規定するタイムテーブルである。各基板処理ユニット1の稼働率を向上させるために、複数の基板Wを複数の基板処理ユニット1で並行して処理するための搬送スケジュールおよび処理スケジュールが用いられ得る。
搬送制御部160は、搬送ロボットCRを制御して、ハンド156(157)を、各目標位置に移動させる。一の目標位置には、胴部151の回転動作、支持部152(153)の昇降動作、およびアーム154(155)の屈伸動作の3つ動作に関する一の指令値群が対応する。各指令値群は、対応する目標位置を搬送ロボットCRに教示することによって、予め、取得される。取得された各指令値群は、各目標位置に対応づけられて磁気ディスク16に記憶されている。
また、搬送制御部160は、搬送ロボットCRを制御して搬送ロボットCRに基板Wの交換をさせる際に、後述するスピンチャック21の吸引口26内を減圧する減圧動作を、後述の減圧機構7に開始させる。
<2.基板処理ユニット1の構成>
図3は、基板処理装置100が備える基板処理ユニット1の一例を示す概略斜視図である。基板処理ユニット1は、斜め上方からみた概略斜視図によって表示されている。図4は、基板処理ユニット1が備える減圧機構7を模式的に示すブロック図である。図4において、スピンチャック21と、スピンチャック21に保持された基板W等は、側面模式図によって表示されている。基板処理ユニット1の構成について、図3、図4を参照しながら以下に説明する。
図3は、ノズルヘッド49、50、スプラッシュガード31がそれぞれの処理位置に配置された状態で、基板Wが、スピンチャック21によって回転軸a1を中心に、所定の回転方向に回転している状態を示している。基板Wの基板処理ユニット1への搬入搬出は、ノズルヘッド49、50、スプラッシュガード31が待避位置に配置された状態で、搬送ロボットCRにより行われる。基板処理ユニット1に搬入された基板Wは、スピンチャック21により着脱自在に保持される。
なお、以下の説明において、「処理液」には、薬液処理に用いられる「薬液」と、薬液をすすぎ流すリンス処理に用いられる「リンス液(「洗浄液」とも称される)」と、が含まれる。
基板処理ユニット1は、回転保持機構2、飛散防止部3、表面保護部4、処理部5、ノズル移動機構6、および減圧機構7を備える。これら各部2〜7は、主制御部130と電気的に接続されており、主制御部130からの指示に応じて動作する。主制御部130は、プログラムPG1に記述された手順に従って制御部としてのCPU11が演算処理を行うことにより、基板処理ユニット1の各部を制御する。主制御部130は、プログラムPG1に記述された手順に従って制御部としてのCPU11が演算処理を行うことにより、基板処理ユニット1の各部を制御する。また、減圧機構7は、主制御部130の他に搬送制御部160にも電気的に接続されており、搬送制御部160からの指示にも応じて動作する。
<回転保持機構2>
回転保持機構2は、基板Wを、その一方の主面を上方に向けた状態で、略水平姿勢に保持しつつ回転可能な機構である。回転保持機構2は、基板Wを、主面の中心c1を通る鉛直な回転軸a1を中心に回転させる。
回転保持機構2は、基板Wより小さい円板状の部材であるスピンチャック(「保持部材」)21を備える。スピンチャック21は、その上面が略水平となり、その中心軸が回転軸a1に一致するように設けられている。スピンチャック21の下面には、円筒状の回転軸部22が連結されている。回転軸部22は、その軸線を鉛直方向に沿わすような姿勢で配置される。回転軸部22の軸線は、回転軸a1と一致する。また、回転軸部22には、回転駆動部(例えば、モータ)23が接続される。回転駆動部23は、回転軸部22をその軸線を中心に回転駆動する。従って、スピンチャック21は、回転軸部22とともに回転軸a1を中心に回転可能である。回転駆動部23と回転軸部22とは、スピンチャック21を、回転軸a1を中心に回転させる回転機構231である。回転軸部22および回転駆動部23は、筒状のケーシング24内に収容されている。
スピンチャック21には、基板Wの吸引を行うための多数の吸引口(「吸引孔」)26が設けられている。各吸引口26は、スピンチャック21の上面(「表面」)に開口している。スピンチャック21には、内部空間(「流路」)27も形成されている。内部空間27は、スピンチャック21の下面に開口するとともに、分岐して各吸引口26と連通している。スピンチャック21の下面に開口する内部空間27の開口部には、後述する減圧機構7の配管711の一端が接続されており、配管711は、内部空間27に連通している。従って、配管711は、吸引口26に連通している。配管711は、回転軸部22の内部空間において、回転軸部22の軸線に沿って配設されている。
減圧機構7は、配管711を介して吸引口26内を減圧する減圧動作を行うことができる。また、減圧機構7は、減圧した吸引口26内の圧力(気圧)を回復させる復圧動作を行うこともできる。
基板Wがスピンチャック21の上面に略水平姿勢で置かれた状態で、減圧機構7が吸引口26内を減圧すると、スピンチャック21は、基板Wを下方から吸引して保持する。すなわち、吸引口26内が減圧されることによって、スピンチャック21は、その上面に載せられた基板Wを吸引して保持することができる。また、減圧機構7が吸引口26内の圧力を回復させると、基板Wは、スピンチャック21の上面から取り外し可能となる。
この構成において、スピンチャック21が基板Wを吸引して保持した状態で、回転駆動部23が回転軸部22を回転すると、スピンチャック21が鉛直方向に沿った軸線周りで回転される。これによって、スピンチャック21上に保持された基板Wが、その面内の中心c1を通る鉛直な回転軸a1を中心に矢印AR1方向に回転される。
<飛散防止部3>
飛散防止部3は、スピンチャック21とともに回転される基板Wから飛散する処理液等を受け止める。飛散防止部3は、スプラッシュガード31と、スプラッシュガード31を昇降させる昇降機構(図示省略)とを備える。
スプラッシュガード31は、上端が開放された筒形状の部材であり、スピンチャック21およびその回転機構231を取り囲むように設けられる。基板Wが処理される際は、スプラッシュガード31は、その上端がスピンチャック21に保持された基板Wよりも上方の処理位置するように配置され、基板Wの周縁から排出される処理液を受け止めて底部に回収し、底部の空間と連通する廃液溝(図示省略)を経て工場の排液ラインに排出する。基板Wがスピンチャック21に搬入される際は、スプラッシュガード31は、その上端がスピンチャック21の下方に位置する退避配置される。スプラッシュガード31の昇降機構は、主制御部130と電気的に接続されており、主制御部130の制御下で動作する。つまり、スプラッシュガード31の位置は、主制御部130によって制御される。
<表面保護部4>
表面保護部4は、スピンチャック21上に保持されて回転している基板Wの上面の中央付近に対して不活性ガスのガス流を吐出する。表面保護部4は、ノズルヘッド49と、ノズルヘッド49に形成されたノズル43に不活性ガスを供給するガス供給源(不図示)とを備える。ノズルヘッド49は、後述するノズル移動機構6が備える長尺のアーム62の先端に取り付けられている。
ノズルヘッド49は、アーム62の先端部の下面に取り付けられた円柱部材と、当該円柱部材の下面に取り付けられた円板状の遮断板を備えている。ノズルヘッド49は、その内部に円筒状のノズル43を備えている。ノズル43の吐出口は、遮断板の下面に開口する。ノズル移動機構6がノズルヘッド49をその処理位置に配置すると、ノズル43の吐出口は、基板Wの上面の中心付近に対向する。この状態において、ノズル43は、ガス供給源から不活性ガスを供給される。ノズル43は、供給された不活性ガスを基板Wの上面の中心付近に向けて不活性ガスのガス流として吐出する。当該ガス流は、基板Wの中央部分の上方から基板Wの周縁に向かって放射状に広がる。すなわち、表面保護部4は、基板Wの上面の中央部分の上方から不活性ガスを吐出して、当該中央部分の上方から基板Wの周縁に向かって広がるガス流を生成させる。
<処理部5>
処理部5は、スピンチャック21上に保持された基板Wに対して定められた処理を行う。具体的には、処理部5は、例えば、スピンチャック21上に保持された基板Wの上面周縁部に処理液を供給し、上面周縁部の処理を行う。
処理部5は、ノズルヘッド50を備える。ノズルヘッド50は、ノズル移動機構6が備える長尺のアーム63の先端に取り付けられている。アーム63は、水平面に沿って延在する。ノズル移動機構6は、アーム63を移動させることによって、ノズルヘッド50をその処理位置と退避位置との間で移動させる。
ノズルヘッド50は、複数のノズルと、これらを保持する保持部材とを備える。保持部材は、アーム63の先端に取り付けられている。複数のノズルは、アーム63の延在方向に沿って一列に並んで配置されている。各ノズルの先端部(下端部)は、当該保持部材の下面から下方に突出しており先端に吐出口を備える。
各ノズルには、これらに処理液を供給する配管系である処理液供給部(不図示)が接続されている。各ノズルは、処理液供給部から処理液をそれぞれ供給され、当該処理液を先端の吐出口からそれぞれ吐出する。処理部5は、主制御部130に選択される1つのノズルから、主制御部130の制御に従って処理液の液流L1を吐出する。
処理液供給部は、各ノズルに対して、複数の処理液(例えば、SC−1、DHF、SC−2、およびリンス液)のうち対応する一の処理液を供給する。リンス液としては、純水、温水、オゾン水、磁気水、還元水(水素水)、各種の有機溶剤(イオン水、IPA(イソプロピルアルコール)、機能水(CO2水など)、などが採用される。処理液供給部から処理液を供給されたノズルは、回転している基板Wの上面周縁部に当たるように、当該処理液の液流L1を吐出する。処理液供給部は、各ノズルに対応して設けられた複数の開閉弁(図示省略)を備える。これらの開閉弁は、主制御部130と電気的に接続されている図示省略のバルブ開閉機構によって、主制御部130の制御下で開閉される。つまり、ノズルヘッド50のノズルからの処理液の吐出態様(具体的には、吐出される処理液の種類、吐出開始タイミング、吐出終了タイミング、吐出流量、等)は、主制御部130によって制御される。
<ノズル移動機構6>
ノズル移動機構6は、表面保護部4および処理部5のノズルヘッド49、50をそれぞれの処理位置と退避位置との間で移動させる機構である。
ノズル移動機構6は、水平に延在するアーム62、63、ノズル基台65、66、および図示省略の駆動部を備える。ノズルヘッド49、50は、アーム62、63の先端部分に取り付けられている。
アーム62、63の各基端部は、ノズル基台65、66の上端部分に連結されている。ノズル基台65、66は、その軸線を鉛直方向に沿わすような姿勢でスプラッシュガード31の周りに配置されている。ノズル基台65(66)は、その軸線を中心に回転可能な回転軸を備えている。回転軸の上端には、ノズル基台65(66)の上端部分が取り付けられている。回転軸が回転することにより、ノズル基台65(66)の上端部分はノズル基台65(66)の軸線を中心に回転する。ノズル基台65(66)には、その回転軸を軸線周りに回転させる図示省略の各駆動部が設けられている。
当該各駆動部は、ノズル基台65(66)の回転軸を介してノズル基台65(66)の上端部分を回転させる。上端部分の回転に伴って、ノズルヘッド49(50)もノズル基台65(66)の軸線周りに回転する。これにより、各駆動部は、ノズルヘッド49(50)をその処理位置と、退避位置との間で水平に移動させる。
ノズルヘッド49が処理位置に配置されると、ノズル43は、基板Wの中心c1の上方に位置し、ノズル43の軸線は、スピンチャック21の回転軸a1に一致する。ノズル43の吐出口(下側の開口)は、基板Wの中心部に対向する。また、ノズルヘッド49の遮断板の下面は、基板Wの上面と平行に対向する。遮断板は、基板Wの上面と非接触状態で近接する。
ノズルヘッド50が処理位置に配置されると、ノズルヘッド50が備える複数のノズルが処理位置に配置される。より厳密には、例えば、複数のノズルがアーム63の延在方向に沿って1列に配置されている場合には、各ノズルと、基板Wの周縁との各距離は、通常、相互に僅かに異なる。このため、ノズル基台66の駆動部は、複数のノズルのうち処理液を吐出するノズルに応じて、ノズルヘッド50の処理位置を主制御部130の制御下で調節する。
ノズルヘッド49、50の各待避位置は、これらが基板Wの搬送経路と干渉せず、かつ、これらが相互に干渉しないように設定されている。各退避位置は、例えば、スプラッシュガード31の外側、かつ、上方の位置である。
ノズル基台65、66の各駆動部は、主制御部130と電気的に接続されており、主制御部130の制御下で動作する。主制御部130は、処理スケジュール等に従って、ノズルヘッド49、50の配置をノズル移動機構6に行わせる。つまり、ノズルヘッド49、50の位置は、主制御部130によって制御される。
<減圧機構7>
減圧機構(「圧力変更機構」)7は、配管711を備え、配管711を介してスピンチャック21の吸引口26に連通する。減圧機構7は、配管711を介して吸引口26内、すなわち吸引口26の壁面に囲まれた空間を減圧する減圧動作を行うことができるとともに、減圧した吸引口26内の圧力(気圧)を回復させる復圧動作を行うこともできる。減圧機構7は、主制御部130および搬送制御部160のうち少なくとも一方の制御に従って、減圧動作と、復圧動作とを選択的に行うことができる。
減圧機構7は、スピンチャック21の内部空間27を介して吸引口26に連通する配管711と、配管711の他端に接続し、配管711を介して吸引口26内を減圧可能な減圧装置(「真空発生装置」)70と、一端が配管711の経路の途中部分に接続されている配管712とを備えている。配管712の他端は、基板処理ユニット1の外部に繋がって大気に曝されている。減圧機構7は、配管712の他端から配管712、711、およびスピンチャック21の内部空間27を介して吸引口26内に大気を導入すること、すなわち吸引口26内を大気に開放することによって、減圧した吸引口26内の圧力(気圧)を回復させることができる。すなわち、減圧機構7は、吸引口26内を復圧させることもできる。
配管711の経路の途中には、開閉弁(「吸引弁」)71と、圧力計74とが設けられている。配管712の経路の途中には、開閉弁(「開放弁」)72が設けられている。開閉弁71、72は、例えば、エア駆動の開閉弁(「エアバルブ」とも称する)であり、全開と全閉の2態様のみを採り得る。開閉弁71、72に設けられる電磁弁の開閉により駆動用のエアの流れが制御され、開閉弁71、72が開閉される。開閉弁71と開閉弁72とは、選択的に開かれる。開閉弁71、72としてエアバルブに代えて電磁弁が採用されたとしても本発明の有用性は損なわれない。
減圧装置70は、例えば、一端がドレイン(「排気管」)734に繋がり、他端が、圧縮空気を貯留するエアタンク733に繋がった配管713と、配管713の途中にそれぞれ設けられたイジェクター(ejector)式の真空発生器76、流量計75、および開閉弁(「真空発生弁」)73を備えている。開閉弁73としては、例えば、全開と全閉の2態様のみを採り得る電磁弁が採用される。
真空発生器76としては、例えば、コンバム(登録商標)などが採用される。流量計75は、真空発生器76に流入する圧縮空気の流量が正常範囲内であるか否かを検出するために設けられている。流量計75の出力は、主制御部130に供給され、主制御部130が圧縮空気の流量を監視する。流量計75の近傍には、配管713に流れる圧縮空気の流量を調整するために流量調整器(図示省略)が設けられている。当該流量調整器としては、例えば、ニードルバルブなどが採用される。真空発生器76内には、配管713の一部をなす流路が形成され、当該流路にはオリフィス(図示省略)が設けられている。配管711の他端は、当該オリフィスの下流側で当該流路に接続している。
図5は、減圧機構7の開閉弁71〜73の状態と、吸引口26に連通する配管711内の圧力との時間的な変動の一例をグラフ形式で模式的に示す図である。図5において、配管711内の圧力の変動は、直線的に示されているが、実際には、例えば、後述の図7に示されるように、配管711内の圧力は、曲線的に変動する。
時刻ta前は、開閉弁71、73が閉じられるとともに、開閉弁72が開かれおり、吸引口26内(配管711内)は、大気に開放されて大気圧となっている。スピンチャック21には基板Wが載置されており、吸引口26の開口は、基板Wによって閉塞されている。この状態から、時刻taにおいて、開閉弁71、73が開かれるとともに、開閉弁72が閉じられると、エアタンク733から圧縮空気が配管713を経て真空発生器76内の流路に流入する。当該圧縮空気が真空発生器76内のオリフィスを通過するときに気流の速度が増大して気圧が低下する。このため、当該流路に接続された配管711を介して吸引口26内の空気が吸い込まれて、圧縮空気と共に配管713を経てドレイン734に排出される。これにより、吸引口26内が徐々に減圧される。吸引口26内の圧力は、やがて略一定の圧力に落ち着く。
この状態から時刻tbにおいて、開閉弁71、73が閉じられ、開閉弁72が開かれると、減圧装置70による吸引口26内の減圧が停止されるとともに、配管712を介して大気が配管711に流れ込んで、吸引口26内が大気に開放される。これにより、吸引口26内の気圧が徐々に大気圧に回復し、やがて大気圧に落ち着く。基板Wは、スピンチャック21から取り外すことができる。
配管711に設けられた圧力計74は、配管711内、すなわち吸引口26内の減圧が十分にできているか否か、および吸引口26内の大気への解放が十分にできているか否かを確認するためのものである。圧力計74の出力は、主制御部130に供給され、主制御部130が配管711内の圧力、すなわち吸引口26内の圧力を監視する。圧力計74の出力に対して減圧確認用の閾値Th1と、復圧(大気への開放)確認用の閾値Th2(それぞれ図5参照)が設定されている。圧力計74が測定する圧力が閾値Th1以下(図5の網点が附された領域)である場合には、主制御部130は、スピンチャック21が回転しても基板Wがスピンチャック21から外れない程度まで吸引口26内の減圧が十分にされており、スピンチャック21を回転させることができると判断する。圧力計74が測定する圧力が閾値Th2以上(図5の斜線が附された領域)である場合には、主制御部130は、吸引口26内の復圧が十分にされ、スピンチャック21から基板Wの取り外しが可能であると判断する。
減圧機構7は、バルブ制御回路77を更に備えている。バルブ制御回路77は、開閉弁71、73の開閉を制御する制御信号SG3を開閉弁71、73に供給するとともに、開閉弁72の開閉を制御する制御信号SG4を開閉弁72に供給する。開閉弁71〜73は、それぞれに入力される制御信号が”0”(Lowレベル)であれば閉じられ、制御信号が”1”(Highレベル)であれば開かれる。
搬送制御部160(主制御部130)は、吸引口26内の減圧と復圧とを減圧機構7に選択的に行わせるための制御信号SG1(SG2)をバルブ制御回路77に供給する。バルブ制御回路77は、例えば、論理和ゲート(図示省略)を備える。制御信号SG1、SG2は、論理和ゲートに入力する。論理和ゲートは、開閉弁71、73と電気的に接続されており、制御信号SG1、SG2の論理和信号を制御信号SG3として開閉弁71、73に供給する。制御信号SG3は、バルブ制御回路77に設けられたインバータ(図示省略)にも入力される。インバータは、開閉弁72と電気的に接続されており、制御信号SG3を反転させた制御信号SG4を開閉弁72に供給する。
従って、搬送制御部160が出力する制御信号SG1と、主制御部130が出力する制御信号SG2とのうち少なくとも一方の信号が”1”(Highレベル)であれば、制御信号SG3、SG4は、それぞれ”1”、”0”(Lowレベル)になり、開閉弁71、73が開かれるとともに、開閉弁72が閉じられて、減圧機構7は、吸引口26内を減圧する減圧動作を行う。制御信号SG1、SG2の双方が”0”であれば、制御信号SG3、SG4は、それぞれ”0”、”1”になり、開閉弁71、73が閉じられるとともに、開閉弁72が開かれて、減圧機構7は、吸引口26内を復圧させる復圧動作を行う。
開閉弁73が設けられず、常時、エアタンク733の圧縮空気が消費されるとしても本発明の有用性を損なうものではない。また、例えば、減圧装置70が吸引口26から吸引する大気の量が、配管712から吸引口26に流れ込む大気の量よりも十分に多い(例えば、5倍〜10倍程度多い)場合には、常時、開閉弁72を開いて吸引口26内を大気に開放しておき、開閉弁71、73の開閉によって、吸引口26内の減圧と復圧とを行ってもよい。また、開閉弁71、72の開閉が完全に同期して行われないとしても本発明の有用性は損なわれない。
また、減圧装置70として、例えば、モータでロータを回転させることなどによって排気を行う一般的な真空ポンプ、エアシリンダー、又は基板処理ユニット1が設置される工場の真空設備等が採用されてもよい。また、減圧装置70の真空発生器76として、例えば、水などの液体を用いるアスピレーターを採用するとともに、アスピレーターに液流を供給することによって、減圧装置70が吸引口26内を減圧する構成が採用されてもよい。
<3.基板処理装置100の動作について>
図6は、搬送制御部160と主制御部130とが出力する制御信号SG1、SG2と、スピンチャック21の吸引動作との関係をグラフ形式で示す図である。図7は、搬送制御部160と主制御部130とが出力する制御信号SG1、SG2と、吸引口26に連通する配管711内の圧力との関係をグラフ形式で示す図である。図7には、搬送ロボットCRが行う基板Wの交換処理を構成する各動作に関する開始時刻、期間等も示されている。図7に記載の圧力のグラフは、実測に基づいて記載されている。図7は、図6の期間の少し前から図6の中程までの期間に対応している。図8〜図10は、基板処理装置100が複数の基板処理ユニット1のうち指定した基板処理ユニット1を対象として基板Wの交換処理を行う際の基板処理装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
以下に、図6、図7を適宜参照しつつ、図8〜図10のフローチャートに基づいて基板処理装置100の動作について説明する。
図8〜図10に記載の動作の開始に先立って、処理部5がスピンチャック21に保持されている基板Wに対して行う処理が終了し、主制御部130は、処理部5に処理を停止させるとともに、回転機構231にスピンチャック21の回転を停止させている。また、表面保護部4、処理部5のノズルヘッド49、50はそれらの退避位置に移動され、スプラッシュガード31もその退避位置に移動されている。また、搬送ロボットCRは、上側のハンド156と下側のハンド157とをそれぞれの退避位置に配置し、基板Wの交換処理の対象である基板処理ユニット1の処理位置PSに正対させている。ハンド156は、処理済みの基板Wを受け取るために、空であり、ハンド157は、移載ロボットIRから受け取った交換用の未処理の基板Wを支持している。
また、搬送制御部160が制御信号SG1として”0”を出力しているとともに、主制御部130が制御信号SG2として”1”を出力していることによって、バルブ制御回路77から制御信号SG3、SG4として”1”、”0”が出力されている。これにより、減圧機構7による吸引口26の減圧処理が継続して行われている。すなわち、開閉弁71、73は開かれ、開閉弁72は閉じられている。また、吸引口26(配管711)内の圧力は、閾値Th1以下となって安定している。この状況で、図8の動作フローの動作が開始される。
先ず、主制御部130は、制御信号SG2として”0”を出力することによってバルブ制御回路77から制御信号SG3、SG4として”0”、”1”を出力させる。これにより、主制御部130は、減圧機構7に開閉弁71を閉じさせるとともに、開閉弁72を開かせる。減圧機構7は、吸引口26内を大気に開放することにより吸引口26内の復圧を開始する(図8のステップS10)。図7の例では、減圧機構7は、時刻t1に吸引口26内の復圧を開始している。減圧機構7による復圧の開始に応じて、吸引口26内(配管711内)の圧力が上昇し始める。
主制御部130は、図示省略の開閉機構に基板処理ユニット1のシャッター123を開放させる。主制御部130は、スピンチャック21に保持されている基板Wの下方の待機位置に搬送ロボットCRの上側のハンド156を移動させるべき旨の指示を搬送制御部160に送る。当該指示を受けた搬送制御部160は、空の上側のハンド156を基板Wの下方の待機位置に移動(「進出」)させる(図8のステップS20)。具体的には、搬送制御部160は、搬送ロボットCRを駆動してハンド156のアーム154を伸展させて、ハンド156をその退避位置から進出位置に水平移動させた後、上下方向に沿って若干の必要量の移動をハンド156に行わせる。これにより、ハンド156は、基板Wの下方の待機位置に配置される。
搬送ロボットCRは、ハンド156をその退避位置から基板Wの下方の待機位置まで移動させる処理を期間T1(図7)に行う。ハンド156の退避位置から進出位置までの水平移動の距離は、例えば、560mmであり、上下方向の移動距離は、例えば、3mm〜4mmである。ハンド156の当該水平移動速度は、例えば、1500mm/秒〜1600mm/秒に設定され、当該上下方向の移動速度は、例えば、20mm/秒〜30mm/秒に設定される。この場合、期間T1は、例えば、600ミリ秒〜700ミリ秒となる。なお、ハンド157についてもハンド156と同様に移動速度、移動距離が設定される。
主制御部130は、搬送制御部160に対してハンド156を待機位置に移動させるべき指示を行った後、圧力計74の出力をモニタして配管711内の圧力が、閾値Th2まで回復することを待つ(図8のステップS30)。閾値Th2は、スピンチャック21から基板Wを取り外すことができる圧力値である。図7の例では、時刻t2に配管711内の圧力が閾値Th2まで回復している。
主制御部130は、時刻t2に、搬送制御部160に対して、スピンチャック21に保持されている基板Wの交換処理の実行を指示する(図8のステップS40)。
搬送制御部160は、主制御部130がステップS40で送った指示を受信すると、搬送ロボットCRに上側目標位置へのハンド156の上昇を開始させる(図8のステップS50)。上側目標位置は、ハンド156を支持するアーム154を、スピンチャック21に接触することなく屈折させることができる位置である。上側目標位置までのハンド156の上昇距離は、例えば、35mm程度に設定される。このときのハンド156の上昇速度は、例えば、70mm/秒〜80mm/秒に設定される。この上昇に要する期間T2(図7)は、例えば、400ミリ秒〜500ミリ秒となる。
ハンド156は、上昇を開始した後、当該上昇の途中で、基板処理ユニット1の処理位置PSにおいてスピンチャック21から処理済みの基板Wを受け取る(図8のステップS60)。
搬送制御部160は、ハンド156がさらに上昇して所定の高さに到達することを待つ(図9のステップS70)。当該所定の高さは、例えば、吸引口26内の減圧が開始されたとしても、基板Wを保持するハンド156がスピンチャック21側に引き戻される等の影響を受けない高さに設定される。当該所定の高さは、予め、実験等によって求められて搬送制御部の記憶装置に記憶されている。搬送制御部160は、具体的には、搬送ロボットCRのドライバーの制御部から逐次に供給される各サーボモーターの回転数等に基づいて、ハンド156が当該所定の高さに到達したか否かを判定し、到達していなければ到達するまで待つ。図6、図7の例では、搬送制御部160は、ハンド156が当該所定の高さに到達したことを時刻t3に検出している。
搬送制御部160は、ハンド156が当該所定の高さに到達したことを検出すると、減圧機構7に吸引口26内の減圧を開始させる。具体的には、搬送制御部160は、制御信号SG1を”0”(Lowレベル)から”1”(Highレベル)に切り替える。これにより、バルブ制御回路77が出力する制御信号SG3、SG4は、”1”、”0”になり、開閉弁71、73が開かれるとともに、開閉弁72が閉じられる。これにより、減圧機構7が吸引口26内の減圧動作を開始する(図9のステップS80)。
搬送ロボットCRのハンド156、157が、基板Wが載置されているか否かを検出できるセンサーを備えている場合には、搬送制御部160は、ハンド156の当該センサーの出力に基づいて、スピンチャック21から処理済みの基板Wが取り外されたことを検出して、その直後に吸引口26内の減圧動作を開始してもよい。
基板処理装置100では、搬送制御部160が減圧機構7に吸引口26内の減圧を開始させているが、仮に、搬送制御部160が減圧機構7を制御せずに主制御部130が減圧機構7に吸引口26内の減圧を開始させるとすると、基板Wがハンド156とともに所定の高さに到達したことを搬送制御部160が主制御部130に通知し、主制御部130が制御信号SG2を”0”から”1”に切り替えて減圧機構7に減圧動作を行わせる必要が有る。この場合において、基板処理装置100が、例えば、12個の基板処理ユニット1を備える場合には、主制御部130は、他の11個の基板処理ユニット1の処理も並行して制御する必要が有る。このため、搬送制御部160と主制御部130との通信に時間がかかり、時刻t3、すなわち基板Wが所定の高さに到達してから350ミリ秒〜500ミリ秒程度経過した後でなければ、主制御部130は、制御信号SG2を”1”に切り替えることができない。これに対して、実際の基板処理装置100では、時刻t3の直後に搬送制御部160が減圧動作を開始させる制御信号SG2を減圧機構7に出力するので、吸引口26内の減圧をより早く開始できる。
搬送制御部160は、ハンド156が上側目標位置まで上昇するまで待つ(図9のステップS90)。ハンド156が上側目標位置に到達すると、搬送制御部160は、ハンド156を進出位置から退避位置に移動(「後退」、「退避」)させるとともに、並行して、ハンド157を退避位置から進出位置に移動(「進出」)させる(図9のステップS100)。すなわち、搬送制御部160は、水平移動によってハンド156、157の位置を交替させる。具体的には、搬送制御部160は、アーム154を屈折させてハンド156を筐体121内から退出させる動作と、アーム155を伸展させてハンド157をスピンチャック21の上方の進出位置に配置する動作とを並行して搬送ロボットCRに行わせる。これにより、スピンチャック21から取り外された処理済みの基板Wはハンド156によって基板処理ユニット1から搬出され、ハンド157に保持された未処理の基板Wは、スピンチャック21の上方に配置される。ハンド156、157の位置の交替に要する期間T3(図7)は、例えば、300ミリ秒〜400ミリ秒となる。
搬送制御部160は、進出位置に到達したハンド157の降下を搬送ロボットCRに開始させる(図9のステップS110)。ハンド157は、例えば、35mm程度降下する。
ハンド157は、当該降下の途中で処理位置PSにおいて基板Wをスピンチャック21に載置する(図9のステップS120)。図7の例では、時刻t4に基板Wがスピンチャック21に載置されている。基板Wが載置されたことにより、吸引口26の開口部が閉塞されて時刻t4以降の吸引口26内の減圧が加速されている。ハンド157の降下の開始から時刻t4まで、すなわち基板Wがスピンチャック21に載置されるまでの期間T4(図7)は、例えば、400ミリ秒〜500ミリ秒となる。
搬送制御部160が、図8のステップS50において、処理済みの基板Wをスピンチャック21から取り外すために、搬送ロボットCRにハンド156の上昇を開始させてから、ハンド157が降下して未処理の基板Wをスピンチャック21に載置するまでの期間T6(図7)は、例えば、1100ミリ秒〜1400ミリ秒となる。
搬送制御部160は、スピンチャック21に載置された基板Wの下方に位置する下側目標位置にハンド157が到達するまで、搬送ロボットCRにハンド157をさらに若干降下させる(図10のステップS130)。これにより基板Wの下面とハンド157との間に隙間ができ、ハンド157を支持するアーム155を屈折させることが可能となる。
その後、搬送制御部160は、搬送ロボットCRにアーム155を屈折させて、ハンド157を、その進出位置から筐体121外部の退避位置に移動させる(図10のステップS140)。これにより、搬送ロボットCRによる基板Wの交換処理が終了する。搬送制御部160は、基板Wの交換処理が終了したことを主制御部130に通知する。ステップS130〜S140に要する期間、すなわちハンド157が基板Wをスピンチャック21に載置してからその退避位置に移動するまでの期間T5(図7)は、例えば、450ミリ秒〜550ミリ秒である。
主制御部130は、搬送制御部160が減圧機構7に減圧動作を開始させたことを検出する。この検出は、例えば、搬送制御部160から主制御部130に伝送される制御信号SG1a(図6)を主制御部130がモニタすることなどによって行われる。制御信号SG1は、搬送制御部160から減圧機構7に出力されるとともに、制御信号SG1aとして主制御部130に伝送される。制御信号SG1aは、伝送遅れによって、制御信号SG1に対して遅れた信号として主制御部130に伝送される。また、例えば、搬送制御部160が基板Wの交換処理が終了した旨を主制御部130に通知し、この通知に基づいて主制御部130が当該検出を行ってもよい。また、搬送制御部160は、圧力計74の出力に基づいて配管711内の圧力が降下し始めたことを検出することなどによって、減圧機構7による減圧動作の開始を検出してもよい。主制御部130は、図8のステップS40において基板Wの交換処理の開始を搬送制御部160に指示した後、制御信号SG1aの”1”への変化、若しくは基板Wの交換処理が終了した旨の通知等を待っている。搬送制御部160が基板Wの交換処理の終了を主制御部130に通知する場合には、制御信号SG1は、制御信号SG1aとして主制御部130に伝送されなくてもよい。
主制御部130は、搬送制御部160が減圧機構7に減圧動作を開始させたことを検出すると、減圧機構7に出力する制御信号SG2を”0”(Lowレベル)から”1”(Highレベル)に切り替える。これにより、主制御部130は、減圧機構7が行う減圧動作の制御を開始する(図10のステップS150)。図6、図7の例では、主制御部130は、減圧機構7が減圧動作を開始したことを時刻t5に検出し、制御信号SG2を”1”に切り替えている。この動作によって、以降に、搬送制御部160が制御信号SG1を”1”から"0"に切り替えたとしても、減圧機構7による減圧動作が継続される。また、主制御部130は、基板Wの交換処理が終了した旨の通知を受け取ると、シャッター123の開閉機構にシャッター123を閉鎖させる。
主制御部130は、減圧機構7による減圧動作の制御を開始したことを搬送制御部160に通知する。搬送制御部160は、当該通知を受け取って、減圧機構7による減圧動作の制御を主制御部130が開始したことを検出する。搬送制御部160は、制御信号SG2の変化を検出することによって、主制御部130が減圧動作の制御を開始したことを検出してもよい。
搬送制御部160は、減圧動作の制御を主制御部130が開始したことを検出すると、減圧機構7に供給している制御信号SG1を”1”(Highレベル)から”0”(Lowレベル)に切り替えて、減圧動作の制御を終了する(図10のステップS160)。図6、図7の例では、搬送制御部160は、減圧動作の制御を主制御部130が開始したことを時刻t6に検出し、制御信号SG1を”0”に切り替えている。搬送制御部160が、減圧機構7による減圧動作の制御を終了した後は、主制御部130が出力する制御信号SG2によって、減圧機構7が吸引口26内を減圧するか、大気に開放するか(復圧させるか)が決定される。主制御部130は、減圧機構7が吸引口26内の減圧動作を継続して行うように制御信号SG2を”1”に維持して、搬送制御部160に代って減圧機構7による減圧動作を制御する。従って、時刻t6以降は、主制御部130が搬送制御部160に代って単独で減圧機構7による吸引口26内の減圧動作の制御を行うことになる。
主制御部130は、圧力計74の出力をモニタして配管711内の圧力が閾値Th2以下になるまで、すなわち吸引口26内の減圧が完了するまで待つ(図10のステップS170)。図7の例では、主制御部130は、時刻t7に当該圧力が閾値Th2以下になったことを検出している。
配管711内の圧力が閾値Th2になると、スピンチャック21によって基板Wが確実に保持される。そこで、主制御部130は、回転機構231にスピンチャック21の回転を開始させるとともに、ノズルヘッド49、50、およびスプラッシュガード31等をそれらの処理位置に配置する制御を行い、交換された基板Wに対する定められた処理を処理部5に行わせる(図10のステップS180)。主制御部130は、配管711内の圧力をモニタして圧力が閾値Th2以下に維持されていることを確認しつつ、処理部5に所定の期間、基板Wの処理を行わせる。
処理部5による基板Wの処理が完了すると、主制御部130が、スピンチャック21の回転を停止させる。主制御部130は、ノズルヘッド49、50、およびスプラッシュガード31等をそれらの退避位置に配置させる。その後、処理は図8のステップS10に戻されて、主制御部130は、再び吸引口26内の復圧を開始する。具体的には、主制御部130は、制御信号SG2を”1”(Highレベル)から”0”(Lowレベル)に切り替える。図6の例では、主制御部130は、時刻t8に、制御信号SG2を”0”に切り替えている。これにより、バルブ制御回路77が出力する制御信号SG3が”1”から”0”に変化し、制御信号SG4が”0”から”1”に変化する。そして、開閉弁71、開閉弁73が閉じられて減圧機構7による吸引口26内の減圧動作が終了するとともに、開閉弁72が開かれて吸引口26内が大気に開放され、吸引口26内の復圧動作が開始される。その後、ステップS10の残りの処理と、ステップS20以下の処理が繰り返される。
図6、図7に示されるように、時刻t3〜時刻t6まで期間Tc(図6、図7)においては、搬送制御部160は、制御信号SG1を”1”に維持して減圧機構7が吸引口26内の減圧動作を行うように減圧機構7を制御している。時刻t5〜時刻t8までの期間Tdにおいては、主制御部130が制御信号SG2を”1”に維持して減圧機構7が吸引口26内の減圧動作を行うように減圧機構7を制御している。従って、時刻t3において搬送制御部160が制御信号SG1を”1”に設定してから、時刻t8において主制御部130が制御信号SG2を”0”に設定するまでの期間Ta(図6)では、減圧機構7に吸引口26内の減圧動作をさせる制御が主制御部130と搬送制御部160との少なくとも一方によって行われている。
時刻t3〜時刻t5の期間Te(図6、図7)においては、搬送制御部160が単独で、減圧機構7による吸引口26内の減圧動作を制御している。時刻t5〜時刻t6までの期間Tf(図6、図7)では、搬送制御部160と主制御部130の双方が、当該減圧動作を制御している。時刻t6〜時刻t8までの期間は、主制御部130が単独で、減圧機構7による吸引口26内の減圧動作を制御している。
また、時刻t1において主制御部130が制御信号SG2を”0”に設定してから、時刻t3において搬送制御部160が制御信号SG1を”1”に設定するまでの期間Tb(図7)では、減圧機構7に吸引口26内の復圧動作をさせる制御が行われている。
基板Wの交換処理に要する期間T6(例えば、1300ミリ秒)は、通常、基板Wの処理時間(例えば、10秒)に比べて十分に短いので、減圧機構7による吸引口26の減圧動作の制御を搬送制御部160が行う期間Tcは、当該制御を主制御部130が行う期間Tdに比べて短くなる。
なお、搬送ロボットCRによる基板Wの交換処理が終了し、基板処理ユニット1が基板Wの処理を行っているときには、通常、基板Wを保持しているスピンチャック21が回転している。仮に、基板Wの処理中に吸引口26内の圧力が上昇してスピンチャック21の吸引力が低下すると、基板Wが破損したり、スピンチャック21から外れたりする場合がある。このため、主制御部130は、基板Wの処理中も配管711内の圧力を監視する。主制御部130は、当該圧力の異常を検出すると、スピンチャック21の吸引動作を停止したり、再開したりする必要が有る。このため、基板Wの交換処理以外の期間においては、主制御部130が、減圧機構7を制御する。
<4.基板処理装置100Aの構成について>
図1は、他の実施形態に係る基板処理装置100Aを模式的に示す概略平面図である。図3は、基板処理装置100Aが備える基板処理ユニットの一例として基板処理ユニット1Aを示す概略斜視図である。図4は、基板処理ユニット1Aが備える減圧機構7Aを模式的に示すブロック図である。図11は、搬送制御部160と主制御部130とが出力する制御信号SG1A、SG2Aと、スピンチャックの吸引動作との関係をグラフ形式で示す図である。図11は、基板処理ユニット1に係る図6に対応する図である。
基板処理装置100Aと基板処理装置100との違いは、基板処理装置100の基板処理ユニット1に代えて基板処理装置100Aが基板処理ユニット1Aを備えるとともに、基板処理ユニット1の搬送制御部160、主制御部130が制御信号SG1、SG2を出力することに対して、基板処理ユニット1Aの搬送制御部160、主制御部130が制御信号SG1A、制御信号SG2Aを出力することである。
基板処理ユニット1Aと基板処理ユニット1との違いは、基板処理ユニット1の減圧機構7に代えて、基板処理ユニット1Aが減圧機構7Aを備えることである。減圧機構7Aと減圧機構7との違いは、減圧機構7のバルブ制御回路77に代えて、減圧機構7Aがバルブ制御回路77Aを備えることである。
以下では、基板処理装置100と基板処理装置100Aとの異なる要素について説明する。すなわち、以下では、バルブ制御回路77Aと、搬送制御部160、主制御部130がそれぞれ出力する制御信号SG1A、SG2Aを中心に説明する。
基板処理ユニット1のバルブ制御回路77が、例えば、論理和ゲート(図示省略)とインバータ(図示省略)を備えて構成されていたことに対して、基板処理ユニット1Aのバルブ制御回路77Aは、例えば、ラッチ回路(図示省略)を備えて構成される。当該ラッチ回路としては、例えば、セット端子とリセット端子を備えるRSラッチなどが採用される。
当該ラッチ回路のセット端子には、搬送制御部160が出力する制御信号SG1A(図4)が入力され、リセット端子には主制御部130が出力する制御信号SG2A(図4)が入力される。制御信号SG1A、SG2Aがともに”0”(Lowレベル)である状態から、制御信号SG1Aが”1”(Highレベル)に立ち上がると、当該ラッチ回路は、その非反転出力端子から”1”を出力し、制御信号SG1Aが"0"に立ち下がった後も非反転出力端子は”1”を出力する。この状態で、制御信号SG2Aが”0”から”1”に立ち上がると、非反転出力端子からは、”0”が出力され、制御信号SG2Aが"0"に立ち下がった後も非反転出力端子は”0”を出力する。また、当該ラッチ回路は、反転出力端子を備え、当該反転出力端子からは、非反転出力端子の出力を反転させた信号を出力する。
非反転出力端子の出力する信号は、制御信号SG3としてバルブ制御回路77Aから開閉弁71、73に供給され、反転出力端子の出力する信号は、制御信号SG4としてバルブ制御回路77Aから開閉弁72に供給される。
図11に示される時刻t3以前においては、搬送制御部160、主制御部130がそれぞれ出力する制御信号SG1A、SG2Aがともに”0”(Lowレベル)である。このため、制御信号SG3は、”0”であり、制御信号SG4は、”1”である。従って、開閉弁71、73が閉じられているとともに、開閉弁72が開かれている。減圧機構7は、吸引口26内を大気に開放して、復圧動作を行っている。主制御部130は、圧力計74の出力に基づいて吸引口26内の圧力が閾値Th2以上となったときに、主制御部130に対して基板処理ユニット1Aのスピンチャック21に保持された処理済みの基板Wの交換処理を行うべき旨の指示を出している。主制御部130は、搬送制御部160の指示を受けて搬送ロボットCRを制御して基板Wの交換処理を開始している。
時刻t3は、既述したように、主制御部130の指示に従って搬送制御部160が搬送ロボットCRによって基板Wの交換処理を開始して、ハンド156がスピンチャック21から基板Wを受け取って所定の高さまで持ち上げたタイミングである。
搬送制御部160は、時刻t3において、制御信号SG1Aをパルス状に変化させる。すなわち、搬送制御部160は、制御信号SG1Aを”1”に立ち上げて、直ぐに"0"に立ち下げる。
このように、制御信号SG1Aが変化すると、制御信号SG1Aの立ち上がりのタイミング(時刻t3)に制御信号SG3が”1”に変化して維持されるとともに、制御信号SG4が”0”に変化して維持される。これにより、減圧機構7は、時刻t3において、搬送制御部160の制御下で吸引口26内の減圧動作を開始し、その後、減圧動作を続行する。搬送制御部160は、制御信号SG1Aをパルス状に変化させて、減圧機構7に減圧動作を開始させた後は、減圧機構7による減圧動作の制御を行わない。
搬送制御部160は、制御信号SG1Aを立ち下げた後は、搬送ロボットCRを制御して基板Wの交換処理を続行し、交換処理を完了させる。搬送制御部160は、再び、主制御部130の指示によって、基板Wの交換処理を行うまで制御信号SG1Aを”0”に維持する。
このように、搬送制御部160は、搬送ロボットCRを制御して搬送ロボットCRに基板Wの交換処理をさせる際に、スピンチャック21の吸引口26内を減圧する減圧動作を減圧機構7Aに開始させる。また、搬送制御部160は、搬送ロボットCRがスピンチャック21から処理済みの基板Wを取り外した後、未処理の基板Wをスピンチャック21に載せる前に、減圧機構7Aに減圧動作を開始させる。
主制御部130は、搬送制御部160から基板の交換処理が完了した旨の通知を受けると、回転機構231にスピンチャック21の回転を開始させて、処理部5に基板Wに対する処理を行わせる。
制御信号SG1Aは、主制御部130にも制御信号SG1Aaとして伝送されている。伝送遅れによって、制御信号SG1Aaは、制御信号SG1Aに対して遅れた信号として主制御部130に伝送されている。主制御部130は、制御信号SG1Aaの上記のパルス状の変化を時刻t5に検出すると、減圧機構7が吸引口26内を減圧する減圧動作を継続して行うように、制御信号SG2Aを”0”に維持する。すなわち、主制御部130は、時刻t5以降においては、減圧機構7に減圧動作を開始させて直後に制御を終了した搬送制御部160に代って、減圧機構7による吸引口26内の減圧動作を制御(管理)する。
従って、主制御部130が、減圧機構7Aにスピンチャック21の吸引口26内を減圧させる制御には、予め、搬送制御部160が開始させた減圧機構による吸引口26内の減圧動作が維持されるように、主制御部130が、処理部5による基板Wの処理の進捗をモニタしつつ、減圧機構7Aを制御することも含まれる。基板Wの交換処理が終了したことを搬送制御部160が主制御部130に通知し、当該通知に基づいて主制御部130が制御信号SG2Aを”0”に維持する制御を行ってもよい。この場合には、制御信号SG1Aは、制御信号SG1Aaとして主制御部130に伝送されなくてもよい。
交換された未処理の基板Wの処理が終了すると、主制御部130は、回転機構231にスピンチャック21の回転を停止させて、制御信号SG2Aをパルス状に変化させる。すなわち、主制御部130は、制御信号SG2Aを”1”に立ち上げて、直ぐに"0"に立ち下げる。
このように、制御信号SG2Aが変化すると、制御信号SG2Aの立ち上がりのタイミング(時刻t8)に制御信号SG3が”0”に変化して維持されるとともに、制御信号SG4が”1”に変化して維持される。これにより、減圧機構7は、時刻t8において、主制御部130の制御下で吸引口26内の減圧動作を終了して復圧動作を開始し、その後、復圧動作を続行する。主制御部130は、制御信号SG2Aをパルス状に変化させて、減圧機構7に復圧動作を開始させた後は、制御信号SG2Aを”0”に維持する。主制御部130は、吸引口26内が大気圧近くまで十分に復圧されれば、再び、搬送制御部160に基板Wの交換処理を指示する。
なお、減圧機構7Aが減圧動作を行うように搬送制御部160が減圧機構7Aを制御する期間は、減圧機構7Aが減圧動作を行うように主制御部130が減圧機構7Aを制御する期間よりも短い。このことは、基板処理装置100の減圧機構7と同様である。
また、基板処理ユニット1(1A)は、基板Wを回転させつつ、基板Wに処理を行う装置に限定されない。例えば、基板処理ユニット1(1A)は、スピンチャック21を回転させる回転機構231を備えておらず、ノズルヘッド50を基板Wに対して移動させて基板Wに処理を行う装置であってもよい。また、処理部5は、処理液を用いて処理を行うものに限られず、例えば、回転するブラシや、洗浄液によって基板Wの周縁部の洗浄を行うもの等でもよい。
上記のように構成された本実施形態に係る基板処理装置によれば、搬送制御部160は、搬送ロボットCRに基板Wの交換をさせる際に、スピンチャック21の吸引口26内を減圧する減圧動作を減圧機構7(7A)に開始させる。これにより、搬送制御部160は、自ら検知した基板Wの交換のタイミングに基づいて減圧機構7(7A)に減圧動作を開始させることができる。従って、減圧機構7(7A)が減圧動作を開始する際の待ち時間を短縮できるので、基板交換の所要時間を短縮できる。
また、上記のように構成された本実施形態に係る基板処理装置によれば、搬送制御部160が減圧機構7(7A)に減圧動作を開始させた後に、主制御部130が、搬送制御部160に代って減圧機構7(7A)の減圧動作を制御する。従って、減圧機構7(7A)の制御に関する搬送制御部160の負担を軽減できる。
また、上記のように構成された本実施形態に係る基板処理装置によれば、減圧機構7が減圧動作を行うように搬送制御部160が減圧機構7を制御する期間の一部と、減圧機構7が減圧動作を行うように主制御部130が減圧機構7を制御する期間の一部とが互いに重なっているので、搬送制御部160による制御から主制御部130による制御に切り替わる過程で、減圧機構7が途切れることなく継続して減圧動作を行うことが容易になる。
また、上記のように構成された本実施形態に係る基板処理装置によれば、減圧機構7(7A)が減圧動作を行うように搬送制御部160が減圧機構7(7A)を制御する期間は、減圧機構7(7A)が減圧動作を行うように主制御部130が減圧機構7(7A)を制御する期間よりも短い。従って、搬送制御部160が減圧機構7(7A)を制御する期間を短縮できるので減圧機構7(7A)の制御に関する搬送制御部160の負担をさらに軽減できる。
また、上記のように構成された本実施形態に係る基板処理装置によれば、搬送ロボットCRがスピンチャック21から処理済みの基板Wを取り外してスピンチャック21の表面から定められた高さまで処理済みの基板Wを移動した直後に、搬送制御部160が減圧機構7(7A)に減圧動作を開始させる。従って、搬送ロボットCRによる基板Wの交換処理の動作速度にかかわらず、取り外された処理済みの基板Wが定められた高さに到達した直後に減圧機構7(7A)が減圧動作を開始することができる。
また、上記のように構成された本実施形態に係る基板処理装置によれば、搬送ロボットCRがスピンチャック21から処理済みの基板Wを取り外した後、未処理の基板Wをスピンチャック21に載せる前に、搬送制御部160が減圧機構7(7A)に減圧動作を開始させるので、スピンチャック21が未処理の基板Wを安定して保持することができる。
本発明は詳細に示され記述されたが、上記の記述は全ての態様において例示であって限定的ではない。したがって、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。