JP2014060160A - 絶縁電線 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れたコイル挿入性を有すると共に、白濁などの皮膜の濁りや、皮膜の表面に発泡、粒、凹凸、へこみなどが発生する外観不良のない絶縁電線を提供する。
【解決手段】導体11上に、少なくとも滑剤が添加された潤滑層13が形成されている絶縁電線10において、前記潤滑層13は、該潤滑層13の表面を走査型プローブ顕微鏡を用いて40nNの荷重で測定したときに得られる前記表面の摩擦力が9nN以下である絶縁電線10である。
【選択図】図1
【解決手段】導体11上に、少なくとも滑剤が添加された潤滑層13が形成されている絶縁電線10において、前記潤滑層13は、該潤滑層13の表面を走査型プローブ顕微鏡を用いて40nNの荷重で測定したときに得られる前記表面の摩擦力が9nN以下である絶縁電線10である。
【選択図】図1
Description
本発明は、コイル挿入性に優れたエナメル線などの絶縁電線に関するものである。
モーターや変圧器などは、例えば、ステータスロットに、絶縁電線を巻回して形成されたコイルを複数挿入した後、挿入した複数のコイルの端末部分同士を溶接などによって接合することによって形成される。
コイルを形成する際、絶縁電線が高速に巻回されるため、このコイル形成時に発生する可能性がある絶縁電線の表面の傷を低減することを目的として、巻線性の優れたもの、すなわち、絶縁電線の表面の潤滑性を向上させたものが求められている。
絶縁電線の潤滑性を改善する方法としては、例えば、ベース樹脂に酸化ポリエチレンなどの滑剤(潤滑剤)を添加した樹脂塗料を絶縁層上に塗布、焼付けして潤滑層(絶縁被覆層)を形成する方法(例えば、特許文献1参照)が提案されている。
また、ベース樹脂に安定化されたイソシアネート化合物及び滑剤を配合した樹脂塗料を導体上に塗布、焼付けして潤滑層を形成する方法(例えば、特許文献2参照)、あるいはベース樹脂にチタン酸エステルを配合した樹脂塗料を塗布、焼付けして潤滑層を形成する方法(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
一方、近年、省エネルギーの観点から、モーターや変圧器は高効率化が要求されており、これに対応して、ステータスロットの断面積に対する絶縁電線の導体の断面積の比率(占積率)を高くするために、ステータスロット内にほとんど隙間がない状態となるようにコイルが挿入される。そのため、コイルを挿入する際に発生する可能性がある絶縁電線の表面の傷を低減することを目的として、絶縁電線には優れたコイル挿入性、すなわちステータスロット内にコイルを挿入するときの挿入力(コイル挿入力)の低減も求められている。
しかしながら、従来の絶縁電線では、コイル挿入性が不十分であり、このコイル挿入性を改善するために絶縁塗料に添加する滑剤の量を多くするなどの方法を用いることがあった。しかしながら、その場合、過剰な量の滑剤に起因して皮膜(潤滑層)が白濁するなどの皮膜の濁りや、皮膜の表面に発泡、粒、凹凸、へこみなどが発生する外観不良(形状不良)を招いてしまう問題があった。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、優れたコイル挿入性を有すると共に、皮膜の濁りや外観不良のない絶縁電線を提供することにある。
上記目的を達成するために請求項1の発明は、導体上に、少なくとも滑剤が添加された潤滑層が形成されている絶縁電線において、前記潤滑層は、該潤滑層の表面を走査型プローブ顕微鏡を用いて40nNの荷重で測定したときに得られる前記表面の摩擦力が9nN以下であることを特徴とする絶縁電線である。
本発明によれば、優れたコイル挿入性を有すると共に、皮膜の濁りや外観不良のない絶縁電線を提供できる。
以下、本発明の好適な一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
先ず、図1により本発明の絶縁電線を説明する。
本発明の絶縁電線10は、導体11上に、ポリエステルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などで絶縁層12を形成し、その絶縁層12の外周にコイル挿入性を改善する潤滑層13を形成したものである。
絶縁層12は、例えば、導体11の外周にポリエステルイミド塗料を塗布、焼付けして形成された下層絶縁層と、その下層絶縁層の外周にポリアミドイミド塗料を塗布、焼付けして形成された上層絶縁層とからなる。
潤滑層13は、ベース樹脂に、滑剤とチタンカップリング剤と架橋剤とが添加された樹脂塗料からなり、滑剤が凝集してなる5nm〜3μmの大きさを有する粒状体が表面に散在するものである。
すなわち、本発明では、走査型プローブ顕微鏡(SPM;Scanning Probe Microscope)により潤滑層の表面を形状像として観察した場合に、滑剤が凝集してなり、5nm〜3μmの大きさを持つ粒状体が、潤滑層の表面に散在してなるものである。より好ましい条件は、滑剤が潤滑層の表面における平面方向に対して50nm〜200nmの広がりを持つ粒状体として潤滑層の表面に散在することである。
滑剤が5nmより小さい大きさを持つ粒状体して潤滑層の表面に散在する場合には、滑剤が潤滑層の表面に十分にブリードしていない状態か、滑剤が塗料焼付時の熱により分解してしまったことで滑性が不十分となるため、コイル挿入性が劣ってしまう。
滑剤が3μmより大きい大きさを持つ粒状体として潤滑層の表面に散在する場合には、絶縁電線の一部において滑剤が薄膜状に形成しやすくなるため、樹脂塗料から容易に脱落してしまう。これに加えて更に、滑剤が潤滑層の表面に過度に存在することになるため、絶縁電線の外観(形状)が著しく損なわれるおそれがある。
また、前記潤滑層は、その表面を走査型プローブ顕微鏡を用いて40nNの荷重で測定しときに得られる前記表面の摩擦力が9nN以下であることが好ましい。
本発明者らは、鋭意検討するなかでコイルの潤滑性を制御するためには、潤滑層の表面を走査型プローブ顕微鏡を用いて40nNの荷重で測定したときに、その表面の摩擦力が9nN以下であることが好ましいことを見出した。なお、上記の条件で測定した潤滑層の表面の摩擦力が9nNを超える場合、コイル挿入性が低下してしまう。
本発明の樹脂塗料に用いるベース樹脂として最も適した塗料は、ポリアミドイミド樹脂である。ポリアミドイミド樹脂の製法については特に制限は無く、極性溶媒中でトリカルボン酸無水物とジイソシアネート類を直接反応させたものか、或いは極性溶媒中でトリカルボン酸無水物にジアミン類を先に反応させてイミド結合を形成し、後から架橋剤としてのジイソシアネート類を反応させてアミド結合を導入したものを用いてもよい。
本発明に用いる滑剤としては、ポリオレフィンワックスや脂肪酸エステル系ワックス等から選ばれた1種類または2種類以上混合してなるものを用いるとよい。
ポリオレフィンワックスとしては、低分子量ポリオレフィン(ポリエチレン系,ポリプロピレン系)、酸化型ポリエチレン等が適用でき、平均分子量1000〜10000のものが好ましい。その根拠は、1000より小さい場合には、潤滑性が不十分となり、コイル挿入性が劣ってしまい、10000より大きい場合には、皮膜の濁りが発生するおそれや、絶縁電線10の表面に発泡、粒、凹凸、へこみなどが発生して外観(形状)が著しく損なわれるおそれがあるためである。
この滑剤としては、例えば、ハイワックス110P(三井化学株式会社製)、ハイフラット2352(株式会社岐阜セラック製造所製)などがある。
滑剤の添加量は、上述の粒状体の大きさ、表面の摩擦力、或いは後述するチタンカップリング剤とポリイソシアネート化合物の質量比(1:10〜1:200)を逸脱するものでなければ特に制限はないが、樹脂塗料のベース樹脂100質量部当り1〜12質量部、好ましくは1〜10質量部が望ましい。
この滑剤の添加量の根拠は、1質量部より小さい場合には、滑性が不十分となり、コイル挿入性が劣ってしまい、12質量部より大きい場合には、皮膜の濁りが発生するおそれや、絶縁電線10の表面に発泡、粒、凹凸、へこみなどが発生して外観(形状)が著しく損なわれるおそれがあるためである。
本発明に用いるチタンカップリング剤としては、チタン原子に結合する親水基及び親油基を有するチタンカップリング剤であれば使用可能であり、例えばイソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリオレオイルチタネート、イソプロピルトリパルミトイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシルホスファイト)チタネートなどがあげられ、なかでもイソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネートなどが最も適している。
チタンカップリング剤の添加量は、上述の粒状体の大きさ、表面の摩擦力、或いは後述するチタンカップリング剤とポリイソシアネート化合物の質量比(1:10〜1:200)を逸脱するものでなければ特に制限はないが、樹脂塗料のベース樹脂100質量部当り、0.1〜12質量部、好ましくは0.1〜10質量部が望ましい。
このチタンカップリング剤の添加量の根拠は、チタンカップリング剤の添加量が0.1質量部より小さい場合には、滑性が不十分となり、コイル挿入性が劣ってしまい、12質量部より大きい場合には、絶縁電線の外観(形状)が著しく損なわれるおそれがあるためである。
本発明に用いる架橋剤としてのポリイソシアネート化合物としては、イソシアネート基がマスキング剤で安定化されていることの可否を問わず、末端に2箇所以上のイソシアネート基を持つポリイソシアネート化合物を用いればよい。この架橋剤として用いるポリイソシアネート化合物としては、例えば、端末に持つ2箇所以上のイソシアネート基の全てがマスキング剤でマスキングされてなる「安定化されたポリイソシアネート化合物」、端末に持つ2箇所以上のイソシアネート基の一部がマスキング剤でマスキングされていない、あるいはその全てがマスキング剤でマスキングされていないものからなる「安定化されていないポリイソシアネート化合物」などが挙げられる。好ましくは、イソシアネート基がマスキング剤で安定されていない部分を有する「安定化されていないポリイソシアネート化合物」を用いるとよい。
これは、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基がマスキング剤で完全に安定化されている場合、熱などの外的要因によりマスキング剤が外れなければ架橋効果が得られず、製造工程での焼付温度の管理が難しい。これに対して、イソシアネート基がマスキング剤で安定化されていない部分を有するポリイソシアネート化合物を使用した場合は、安定化されたポリイソシアネート化合物よりも架橋が進み易く、また、製造工程での焼付け温度の管理がし易いためである。つまり、イソシアネート基が安定化されていない部分を有するポリイソシアネート化合物を用いることで、従来よりも容易に架橋効果を得ることができるため、生産効率の向上という効果も期待できるためである。
安定化されていないポリイソシアネート化合物としては、例えば、末端に2箇所以上の水酸基をもつアルコールとジフェニルメタンジイソシアネートを反応させてポリイソシアネート化合物を作製し、末端イソシアネートをマスキング剤で安定化させない状態でベース塗料に添加するとよい。
末端に2箇所以上の水酸基をもつアルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどがあげられるがこれらに限るものではない。
安定化されていないポリイソシアネート化合物を用いる場合、経時変化によりベース塗料の増粘化が予測されるが、予めベース塗料にマスキング剤を添加しておくことで問題は解消され、かつ、安定化されたポリイソシアネート化合物と同様の効果が得られる。
また、予めベース塗料に添加しておくマスキング剤としては、メタノール、エタノール、フェノール、クレゾール、キシレノール、MEKオキシムなどがあげられるがこれらに限るものではない。
一方、安定化されたポリイソシアネート化合物として具体的には、住友バイエルウレタン社製のディスモジュールAPステーブル、ディスモジュールCTステーブル、日本ポリウレタン社製のミリオネートMS−50、コロネート2503等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物の添加量は、上述の粒状体の大きさ、表面の摩擦力、或いは後述するチタンカップリング剤とポリイソシアネート化合物の質量比(1:10〜1:200)を逸脱するものでなければ特に制限はないが、樹脂塗料のべース樹脂100質量部当り1〜220質量部、好ましくは1〜200質量部が望ましい。
このポリイソシアネート化合物の添加量の根拠は、1質量部より小さい場合には、潤滑性が不十分となり、コイル挿入性が劣ってしまい、220質量部より大きい場合には、絶縁電線の外観(形状)が著しく損なわれるおそれがあるためである。
また、前記チタンカップリング剤と前記ポリイソシアネート化合物との質量比は、1:10〜1:200であることが好ましく、その根拠は、1:10より大きい場合には、潤滑性が不十分となり、コイル挿入性が劣ってしまい、1:200より小さい場合には、絶縁電線の外観(形状)が著しく損なわれるおそれがあるためである。
本発明のエナメル線(絶縁電線)においてコイル挿入性が改善される理由は、以下のように推定される。
ポリイソシアネート化合物は、焼付硬化反応時に皮膜(潤滑層13)の硬度を低下させるため滑剤のブリードを促進し、チタンカップリング剤は滑剤同様の作用を示すため、ベース樹脂に潤滑性が付与する。
皮膜(潤滑層13)の硬度を低下させたところに無機系カップリング剤を添加することは皮膜(潤滑層13)の硬度の上昇が予想され、相反する行動に思える。しかしチタンカップリング剤はその添加比率によりポリイソシアネート化合物の特性を阻害せず、またチタンカップリング剤の親水性部分がベース樹脂と反応し結合することにより樹脂にチタンカップリング剤の親油性が付与され、より滑剤をブリードし易くしているものと推測される。
すなわち、チタンカップリング剤とポリイソシアネート化合物との質量比を1:10〜1:200とすることで、チタンカップリング剤、ポリイソシアネート化合物の併用による相乗作用で、滑剤をよりブリードし易くできるため、潤滑層13の表面の潤滑性が著しく向上し、コイル挿入性が改善されたものと考える。
また、架橋剤として、末端のイソシアネート基がマスキング剤で安定化されていないポリイソシアネート化合物を用いている。これにより、従来用いていた安定化されたポリイソシアネート化合物と比較して架橋が進み易く、容易に架橋効果を得ることが可能となるため生産効率を向上でき、また、製造工程での焼付け温度の管理がし易くなる。
上記実施形態では、樹脂塗料のベース樹脂にポリアミドイミド樹脂を用いたが、これに限られず、例えば、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルイミド樹脂を用いても同様な効果が得られる。
また、上記実施形態では、絶縁層12を下層絶縁層と上層絶縁層の2層としたが、絶縁層12をポリエステルイミド樹脂からなる1層とし、その絶縁層12の外周に潤滑層13を形成するようにしてもよい。
次に本発明の実施例及び比較例を用いて説明する。
なお、実施例及び比較例に用いる絶縁電線は以下のように製造した。
導体径0.8mmの銅導体の上に、大日精化社製ポリエステルイミド塗料EH−402−40を皮膜厚25μmとなるように塗布焼付し、さらにその上層に日立化成社製ポリアミドイミド塗料HI−406−30を皮膜厚さ5μmとなるように塗布焼付し、トータルの絶縁層の皮膜厚さが30μmとなるようにベース線を製造した。
このベース線の上層に後述する表1(実施例1〜2、比較例1〜6)に示した塗料を皮膜厚さ3μmとなるように塗布焼付してそれぞれの絶縁電線を得た。
この絶縁電線について、コイル挿入性を測定した。コイル挿入性は、フライヤー巻落とし式巻線機DTW−T2N(ヒーボエンジニアリング製)を用いて占積率70%となるように作製したコイルをコイル挿入機TZ−E(東洋ゲージ社製)でコアに挿入するときの挿入力をロードセルにて評価した。
また、各絶縁電線の潤滑層の表面について、走査型プローブ顕微鏡(SPM;Scanning Probe Microscope)により測定した。
各供試線について、走査型プローブ顕微鏡で形状像と摩擦像(摩擦力)を測定した。走査型プローブ顕微鏡は、SII社製のE−sweep Nano Naviステーションを用いて、バネ定数0.13N/m、ねじれ定数81.3N/m、共振周波数12.0kHz、レバー長さ450μm、針高さ12.5μmというカンチレバーを用いて、ロータリーポンプによる真空雰囲気下、25℃で40nN荷重を加えて評価した。
(実施例1)
ポリアミドイミド塗料HI−406−30(日立化成社製)100質量部に滑剤として、三井化学社製「ハイワックス110P」をポリアミドイミド塗料中のポリアミドイミド樹脂分に対して3質量部、チタンカップリング剤として、味の素ファインテクノ株式会社製「プレンアクトKR41B」をポリアミドイミド樹脂分に対して1質量部、及びポリイソシアネート化合物として、極性溶媒中でトリメチロールプロパンとジフェニルメタンジイソシアネートをモル比1:3で反応させた安定化されていないポリイソシアネート化合物をポリアミドイミド樹脂分に対して50質量部添加し塗料を得た。
ポリアミドイミド塗料HI−406−30(日立化成社製)100質量部に滑剤として、三井化学社製「ハイワックス110P」をポリアミドイミド塗料中のポリアミドイミド樹脂分に対して3質量部、チタンカップリング剤として、味の素ファインテクノ株式会社製「プレンアクトKR41B」をポリアミドイミド樹脂分に対して1質量部、及びポリイソシアネート化合物として、極性溶媒中でトリメチロールプロパンとジフェニルメタンジイソシアネートをモル比1:3で反応させた安定化されていないポリイソシアネート化合物をポリアミドイミド樹脂分に対して50質量部添加し塗料を得た。
次にこの塗料を先に示したベース線上に塗布焼付して絶縁電線を得た。
(実施例2)
チタンカップリング剤を10質量部、安定化されていないポリイソシアネート化合物を200質量部、滑剤を10質量部添加した以外は、実施例1と同様の配合で絶縁電線を得た。
チタンカップリング剤を10質量部、安定化されていないポリイソシアネート化合物を200質量部、滑剤を10質量部添加した以外は、実施例1と同様の配合で絶縁電線を得た。
(比較例1)
チタンカップリング剤を0.05質量部とした以外は、実施例1と同様の配合で絶縁電線を得た。
チタンカップリング剤を0.05質量部とした以外は、実施例1と同様の配合で絶縁電線を得た。
(比較例2)
安定化されていないポリイソシアネート化合物を0.5質量部とした以外は、実施例1と同様の配合で絶縁電線を得た。
安定化されていないポリイソシアネート化合物を0.5質量部とした以外は、実施例1と同様の配合で絶縁電線を得た。
(比較例3)
滑剤を0.5質量部とした以外は、実施例1と同様の配合で絶縁電線を得た。
滑剤を0.5質量部とした以外は、実施例1と同様の配合で絶縁電線を得た。
(比較例4)
チタンカップリング剤を15質量部とした以外は、実施例1と同様の配合で絶縁電線を得た。
チタンカップリング剤を15質量部とした以外は、実施例1と同様の配合で絶縁電線を得た。
(比較例5)
安定化されていないポリイソシアネート化合物を300質量部とした以外は、実施例1と同様の配合で絶縁電線を得た。
安定化されていないポリイソシアネート化合物を300質量部とした以外は、実施例1と同様の配合で絶縁電線を得た。
(比較例6)
滑剤を15質量部とした以外は、実施例1と同様の配合で絶縁電線を得た。
滑剤を15質量部とした以外は、実施例1と同様の配合で絶縁電線を得た。
表1に実施例及び比較例の組成及び特性を示す
表1からわかるように本発明で得られた実施例1、2の絶縁電線は、良好なコイル挿入性、外観(形状)を示している。
これに対し、比較例1〜3の絶縁電線は、チタンカップリング剤、ポリイソシアネート化合物、滑剤の配合量が、規定より少ないため、コイル挿入性が劣っていた。また比較例4〜6の絶縁電線は、チタンカップリング剤、ポリイソシアネート化合物、滑剤の配合量が、規定より多いため、外観(形状)が悪化した。
以上、本発明により得られる絶縁電線(自己潤滑性エナメル線)は、コイル挿入性、外観(形状)に優れている。
なお、上述の実施例では、絶縁塗料のベース樹脂にポリアミドイミド樹脂を用いたが、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルイミド樹脂を用いても同様な効果が得られる。
また、上述の実施例では絶縁層を2層としたが、ポリエステルイミド樹脂からなる絶縁層の上に本発明の潤滑層を形成してもよい。
また、上記絶縁層は、上述したベース樹脂からなる絶縁塗料に、シリカ微粒子などを含むオルガノゾルが分散されてなる耐部分放電性絶縁塗料を塗布、焼付けして形成した耐部分放電性能の高い耐部分放電性絶縁層であってもよい。
また、導体の断面形状が円形状のものとしたが、これに限定されるものではなく、平角等の矩形状の断面を有するものであってもよい。また、導体の材料としては、銅やアルミ等を用いることができ、更には低酸素銅や無酸素銅等でもよい。
10 絶縁電線
11 導体
12 絶縁層
13 潤滑層
11 導体
12 絶縁層
13 潤滑層
Claims (1)
- 導体上に、少なくとも滑剤が添加された潤滑層が形成されている絶縁電線において、前記潤滑層は、該潤滑層の表面を走査型プローブ顕微鏡を用いて40nNの荷重で測定したときに得られる前記表面の摩擦力が9nN以下であることを特徴とする絶縁電線。
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