JP2002075066A - 自己潤滑性エナメル線 - Google Patents

自己潤滑性エナメル線

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JP2002075066A JP2000262758A JP2000262758A JP2002075066A JP 2002075066 A JP2002075066 A JP 2002075066A JP 2000262758 A JP2000262758 A JP 2000262758A JP 2000262758 A JP2000262758 A JP 2000262758A JP 2002075066 A JP2002075066 A JP 2002075066A
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和則 鈴木
Kiyoshi Watanabe
清 渡辺
Tomonori Sakamoto
智則 坂本
Sadami Itonaga
貞美 糸永
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    • H01B3/42Insulators or insulating bodies characterised by the insulating materials; Selection of materials for their insulating or dielectric properties mainly consisting of organic substances plastics; resins; waxes polyesters; polyethers; polyacetals
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた潤滑性、耐摩耗性、及び処理ワニスと
の接着性を兼ね備えた自己潤滑性エナメル線を提供す
る。 【解決手段】 ポリアミドイミド樹脂100重量部に対
して潤滑剤1〜5重量部、マスキング剤で安定化された
安定化イソシアネート1〜200重量部及びシランカッ
プリング剤1〜30重量部を溶剤にを溶解或いは分散し
た塗料を導体の外周に直接あるいは他の絶縁層を介して
塗布し焼き付けることにより潤滑層を形成した自己潤滑
性エナメル線。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自己潤滑性エナメ
ル線に関し、特に、表面の潤滑性に加えて、耐磨耗性及
び処理ワニスとの接着性に優れた潤滑層を有する自己潤
滑性エナメル線に線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、モーターや変圧器などの電気(電
子)機器のコイルに用いるエナメル線には、機器の小型
化、コイルの巻線作業の高速化、及びコイルの不良率の
低減を目的として、過酷な巻線条件に耐える潤滑性及び
耐摩耗性に優れたものが要求されてきている。特に、最
近では、省エネルギーの観点から、モーターの高効率化
が要求されるようになってきており、この要求に対応し
た高占積率モータ用のエナメル線には、より優れた潤滑
性や耐摩耗性が求められるようになってきた。
【0003】エナメル線の潤滑性や耐摩耗性を改善する
方法として、次の(1)〜(3)の方法がある。 (1)エナメル線表面にパラフィンや脂肪酸エステルを
主成分とした潤滑材料を塗布し、必要に応じて焼き付け
する方法。 (2)潤滑性に優れるナイロン樹脂、或いは、このナイ
ロン樹脂に低分子量ポリエチレンなどの滑剤を添加した
塗料を導体の外周に他の絶縁皮膜を介して塗布し焼き付
けする方法。 (3)ポリエステルやポリアミドイミドなどの絶縁塗料
に、ポリエチレンワックス或いは脂肪酸エステルなどの
滑剤成分を添加した塗料を導体の外周に他の絶縁皮膜を
介して塗布し焼き付けする方法。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一方、モーターや変圧
器などに用いるコイルは、コイルの固着性や絶縁性能の
向上のため、エポキシ、不飽和ポリエステルなどのワニ
スによる処理が行われる。しかし、上記(1)〜(3)
のように潤滑処理したエナメル線は、潤滑処理をしてい
ない通常のエナメル線に比較して、処理ワニスとの接着
性に劣るという問題がある。このため、コイルの信頼性
を向上させるために、処理ワニスとの接着性に優れた自
己潤滑性エナメル線が求められている。
【0005】本発明の目的は、優れた潤滑性、耐摩耗
性、及び処理ワニスとの接着性を兼ね備えた自己潤滑性
エナメル線を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するため、ポリアミドイミド樹脂、100重量部に
対して滑剤1〜5重量部、マスキング剤で安定化された
安定化イソシアネート1〜200重量部、及びシランカ
ップリング剤1〜30重量部を溶剤に溶解或いは分散し
た塗料を導体の外周に直接あるいは他の絶縁物を介して
塗布し焼き付けた潤滑層を有することを特徴とする自己
潤滑性エナメル線を提供する。
【0007】この構成によれば、機械的強度に優れるポ
リアミドイミド樹脂、潤滑性及び耐摩耗性を付与する滑
剤と安定化イソシアネート、処理ワニスとの接着性を付
与するシランカップリング剤を溶剤に溶解或いは分散さ
せて塗料とし、これを導体外周に塗布し、焼き付けを行
うことにより潤滑層としている。したがって、これら各
種成分を所定量配合することにより潤滑性、耐摩耗性、
及び処理ワニスとの接着性に優れた自己潤滑性エナメル
線を実現することができる。
【0008】以下、本発明の実施の形態について図面を
基に説明する。図1は本発明による自己潤滑性エナメル
線を示す。導体(金属導体)1の外周には絶縁層2が設
けられている。この絶縁層2の外周には、本発明にかか
る潤滑層3が設けられている。潤滑層3は、ポリアミド
イミド樹脂100重量部に対し、滑剤が1〜5重量部、
安定化イソシアネートが1〜200重量部、シランカッ
プリング剤が1〜30重量部を溶剤に溶解或いは分散し
た塗料が用いられ、この塗料を絶縁層2上に塗布した後
焼き付けを行うことにより形成される。
【0009】上記滑剤としては、ポリオレフィンワック
ス及び脂肪酸エステルから選ばれた1種類以上が使用さ
れる。ポリオレフィンワックスは、分子量が1万以下の
低分子量ポリオレフィンであり、代表的なものに高密度
ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレンが
ある。また、これらを酸化し、分子中にカルボキシル基
を導入したもの、無水マレイン酸や無水フタル酸などの
酸無水物、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリ
ル酸エステルなどのビニル系モノマを共重合したポリエ
チレン、ポリプロピレン系ワックスもあげることができ
る。上記脂肪酸エステルは、長鎖の脂肪酸とアルコール
からなるエステルであり、カルナバロウ、蜜蝋、モンタ
ンワックスなどが代表であるが、これに限るものではな
い。滑剤の添加量は、ポリアミドイミド樹脂100重量
部当り1〜5重量部であり、1重量部未満では潤滑性、
耐摩耗性が低下し、5重量部より多いとワニス接着性が
低下する。
【0010】本発明で用いる安定化イソシアネートはマ
スキング剤で安定化されており、トリメチロールプロパ
ンとジフェニルメタンジイソシアネートを反応させ、ジ
フェニルメタンジイソシアネートの片方の末端基をフェ
ノール、ε−カプロラクタムなどのマスキング剤で安定
化させた高分子量のポリイソシアネートや、ジフェニル
メタンジイソシアネートの末端基をフェノール、ε−カ
プロラクタムなどのマスキング剤で安定化させた低分子
量のものなどが代表であるが、これに限るものではな
い。安定化イソシアネートの添加量は、ポリアミドイミ
ド樹脂100重量部当り1〜200重量部であり、1重
量部未満では耐摩耗性を高める効果が小さく、200重
量部を超えると、耐摩耗性が低下する。
【0011】シランカップリング剤は、ポリアミドイミ
ド塗料に溶解し、溶液の安定性に問題が無ければ、特に
その種類は規定しない。具体例をあげれば、γ−グリシ
ドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルメチルジエトキシシラン、β−(3、4エポキジ
シクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メル
カプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエ
トキシシランなどがある。シランカップリング剤の添加
量は、ポリアミドイミド樹脂100重量部当り1〜30
重量部であり、1重量部未満ではワニス接着性を高める
効果が小さく、30重量部を超えると耐摩耗性が低下な
る。
【0012】以上のように、本発明の自己潤滑性エナメ
ル線は、機械的強度の高いポリアミドイミド樹脂に滑剤
及び安定化イソシアネートを添加することによって、潤
滑性及び耐摩耗性を良好にし、そして、シランカップリ
ング剤を添加することにより処理ワニスとの接着性が向
上した特徴を有する。
【0013】なお、図1の構成においては、導体1の外
周には絶縁層2を設け、この絶縁層2上に潤滑層3を設
けるものとしたが、絶縁層2を設けず、導体1の外周に
潤滑層3を直接に設ける構成にしてもよい。このよう
な、構成により、同一線径の導体1であれば、外径を小
さくしながら、処理ワニスとの接着性、潤滑性、及び耐
摩耗性を保持することができる。
【0014】次に、本発明の実施例及び比較例について
説明する。 〔実施例〕実施例及び比較例に用いる供試線は、以下の
ように製造した。導体径0.8mmの銅導体の外周にポ
リエステルイミド塗料(ここでは、大日精化株式会社製
「EH−402−40」を使用)を皮膜厚25μmとな
るように塗布及び焼付けをし、さらにその上層にポリア
ミドイミド塗料(ここでは、日立化成工業株式会社製、
「HI−406−30」を使用)を皮膜厚さ5μmとな
るように塗布及び焼付けをし、トータルの絶縁層の皮膜
厚が30μmとなるようにべース線を製造した。このべ
ース線の上層に、皮膜厚が3μmとなるように各実施例
及び比較例に示す塗料を塗布及び焼き付けをし、それぞ
れの供試線を得た。この供試線について、一方向摩耗と
往復摩耗をJISC−3003及び旧JISC−300
3に準拠して測定し、傾斜法により線間の静摩擦係数を
測定した。また、処理ワニスとの接着力はNEMA法に
準拠し、供試線を径5.7mm、長さ70mmのヘリカ
ルコイルとし、処理ワニスPD−923(P.D.GE
ORGE社製)を溶剤で不揮発分濃度30%となるよう
に希釈したものに浸漬した後、150℃で硬化させた。
この処理は2回行い、その硬化時間は1回目を1時間、
2回目を3.5時間とした。次に、このヘリカルコイル
を支点間距離45mmとして座屈強度を測定し、ワニス
接着力を評価した。判定は、往復摩耗が350回以上、
一方向摩耗が13kN以上、静摩擦係数が0.06以
下、ワニス接着力が14kN以上をそれぞれ合格とし
た。
【0015】(実施例1)ポリアミドイミド塗料(日立
化成工業株式会社製「HI−406−30」)に当該塗
料中のポリアミドイミド樹脂文100重量部に対して、
(i)ガルナバロウ3重量部、(ii)γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン(東レダウコーニング株式
会社製「SH6040」)10重量部、(iii)安定化イ
ソシアネート(日本ポリウレタン株式会社製「コロネー
ト2503」)50重量部、添加して塗料を得、次に、
この塗料を上記したべース線上に塗布及び焼き付けし、
実施例1の供試線を得た。
【0016】(実施例2)実施例1におけるカルナバロ
ウに代えて低密度ポリエチレンワックス(三井化学株式
会社製「ハイワックス110P」)を用いた。これ以外
は実施例1と同様にして実施例2の供試線を得た。 (実施例3)実施例1におけるγ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシランに代えてγ−メルカプトプロピル
リメトキシシランを用いた。これ以外は実施例1と同様
にして実施例3の供試線を得た。 (実施例4)実施例1における安定化イソシアネート
(「コロネート2503」)に代えて日本ポリウレタン
製「ミリオネートMS−50」を用いた。これ以外は実
施例1と同様にして実施例4の供試線を得た。 (実施例5)実施例1におけるカルナバロウの添加量を
1重量部とした。これ以外は実施例1と同様にして実施
例5の供試線を得た。 (実施例6)実施例1におけるカルナバロウの添加量を
5重量部とした。これ以外は実施例1と同様にして実施
例6の供試線を得た。 (実施例7)実施例1におけるγ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシランの添加量を1重量部とした。これ
以外は実施例1と同様にして実施例7の供試線を得た。 (実施例8)実施例1におけるγ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシランの添加量を30重量部とした。こ
れ以外は実施例1と同様にして実施例8の供試線を得
た。 (実施例9)実施例1における安定化イソシアネート
(「コロネート2503」)の添加量を1重量部とし
た。これ以外は実施例1と同様にして実施例9の供試線
を得た。 (実施例10)実施例1における安定化イソシアネート
(「コロネート2503」)の添加量を200重量部と
した。これ以外は実施例1と同様にして実施例10の供
試線を得た。
【0017】(比較例1)実施例1におけるカルナバロ
ウの添加量を0.5重量部とした。これ以外は実施例1
と同様にして比較例1の供試線を得た。 (比較例2)実施例1におけるカルナバロウの添加量を
7重量部とした。これ以外は実施例1と同様に比較例1
の供試線を得た。 (比較例3)実施例1におけるγ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシランの添加量を0.5重量部とした。
これ以外は実施例1と同様にして比較例3の供試線を得
た。 (比較例4)実施例1におけるγ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシランの添加量を40重量部とした。こ
れ以外は実施例1と同様にして比較例4の供試線を得
た。 (比較例5)実施例1における安定化イソシアネート
(「コロネート2503」)の添加量を0.5重量部と
した。これ以外は実施例1と同様にして比較例5の供試
線を得た。 (比較例6)実施例1における安定化イソシアネート
(「コロネート2503」)の添加量を250重量部と
した。これ以外は実施例1と同様にして比較例6の供試
線を得た。
【0018】
【表1】 表1は、上記した実施例1〜実施例10及び比較例1〜
比較例6の組成及び特性を示す。次に、表1を参照して
本発明の有効性を説明する。表1から明らかなように、
実施例1〜実施例10の各供試線は、良好な耐摩耗性、
潤滑性、処理ワニスとの接着性のいずれもが良好な値を
示し、いずれも「合格」の判定が得られた。
【0019】これに対し、滑剤が前記各実施例より少な
い比較例1は、往復摩耗、一方向摩耗、及び静摩擦係数
の各特性が劣り、「不合格」の判定になった。また、滑
剤が前記各実施例より多い比較例2と、シシランカップ
リング剤が前記各実施例より少ない比較例3は共にワニ
ス接着力が劣り、「不合格」の判定になった。シシラン
カップリング剤が前記各実施例より多い比較例4は、往
復摩耗及び一方向摩耗の特性が劣り、「不合格」の判定
になった。さらに安定化イソシアネートが前記各実施例
より少ない比較例5と前記各実施例より多い比較例6
は、往復摩耗及び一方向摩耗の特性が劣り、「不合格」
となった。以上より明らかなように、本発明のエナメル
線は、耐摩耗性(往復摩耗及び一方向摩耗)、潤滑性
(静摩擦係数)、及び処理ワニスとの接着性の全てにお
いて優れていることがわかる。
【0020】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明は、ポ
リアミドイミド樹脂、滑剤、安定化イソシアネート、及
びシシランカップリング剤を溶剤に溶解或いは分散した
塗料を前記導体の表面に塗布して焼き付けた潤滑層を形
成したため、潤滑性、耐摩耗性、及び処理ワニスとの接
着性に優れた自己潤滑性エナメル線を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による自己潤滑性エナメル線の一実施形
態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 導体 2 絶縁層 3 潤滑層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 179/08 C09D 179/08 B H01B 7/00 303 H01B 7/00 303 (72)発明者 坂本 智則 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日立 電線株式会社総合技術研究所内 (72)発明者 糸永 貞美 茨城県日立市川尻町4丁目10番1号 日立 電線株式会社豊浦工場内 Fターム(参考) 4J034 BA03 DA02 DB05 DB07 DL06 HA02 HA07 HB05 HC12 HC22 HC46 HC52 HC61 HC64 HC71 HC73 HD03 HD04 JA06 JA14 JA24 MA17 QC03 QD06 RA14 4J038 BA212 CB022 DG171 DG231 DJ051 JA54 JB18 JC34 JC35 JC36 KA03 KA06 KA07 MA07 MA09 NA11 NA12 NA21 PB09 PC02 5G309 CA05 LA12 MA03 MA16 MA18

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミドイミド樹脂、100重量部に
    対して滑剤1〜5重量部、マスキング剤で安定化された
    安定化イソシアネート1〜200重量部、及びシランカ
    ップリング剤1〜30重量部を溶剤に溶解或いは分散し
    た塗料を導体の外周に直接あるいは他の絶縁物を介して
    塗布し焼き付けた潤滑層を有することを特徴とする自己
    潤滑性エナメル線。
  2. 【請求項2】 前記滑剤は、ポリオレフィンワックス及
    び脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の自己潤滑性エナメル線。
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