JP2014051742A - 摺動性に優れる硬質皮膜の形成方法 - Google Patents

摺動性に優れる硬質皮膜の形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐摩耗性に優れ、また焼き付きなどが生じにくく、長期間使用しても摺動性に優れる硬質皮膜を短時間で形成することができる硬質皮膜の形成方法を提供する。
【解決手段】化学式WxBaCbNcで示すことができ、0≦a≦0.12、0.5≦b≦0.8、0.01≦c<0.15、0<x−a−c、x−a−c<b≦0.9、0.2≦x<0.5、x+a+b+c=1の各式を満たすと共に、δ−WNとWC1−xの混合物を含む結晶構造を有した硬質皮膜を基材の表面に成膜する硬質皮膜の形成方法であって、成膜時に基材に印加するバイアス電圧を−50V〜−100Vの範囲内とし、硬質皮膜中のδ−WNとWC1−xの割合を調整して、硬質皮膜を基材の表面に成膜する。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば、金属成型用の金型や金属加工用の治工具等の表面に成膜される摺動性に優れた硬質皮膜の形成方法に関するものである。
従来から金属成型用の金型や金属加工用の治工具については、窒化処理による耐摩耗性の改善、耐焼き付き性の改善が進められてきた。近年ではその窒化処理に代えて、PVD等の気相コーティングによる耐摩耗性や耐焼き付き性の改善も検討されている。
例えば、特許文献1には、Cr、Ti、Al、Vの窒化物のうち少なくとも2種の金属窒化物を含む複合窒化物より成る皮膜を形成することで、摺動性を改善する技術が記載されている。また、特許文献2及び特許文献3には、Ti、V、Cr、Al、Siから選んだ1種以上の金属元素が主体の窒化物、炭化物、炭窒化物の1種以上から成る下地層と、更にその下地層の表面に、Ti、V、Cr、Al、Si、Cuを主体とする最表層、或いはTi、Crの1種以上を含み、残部がMoより構成される硫化物で成る最表層を形成することで、耐摩耗性や耐焼き付き性を改善する技術が記載されている。更には、特許文献4には、TiN、TiCN、CrN等で成る高硬度皮膜の下地層の表面に、二硫化モリブデンまたは二硫化モリブデンを主成分とする化合物で成る表面層を形成することで、耐摩耗性や耐焼き付き性を改善する技術が記載されている。
また、特許文献5は、本出願人が先に特許出願した発明である。この文献には、(X1−c)(B1−a−b)という成分組成(MはW、Vの1種以上、Xは4A族、5A族、6A族の元素およびAl、Si、Fe、Co、Niから選択される少なくとも1種であり、c、1−c、a、b、1−a-bは夫々X、M、B、C、Nの原子比を示す。)の皮膜を形成することで、耐摩耗性と耐焼き付き性を改善する技術を開示している。
特許文献1に記載された、Cr、Ti、Al、Vの窒化物のうち少なくとも2種の金属窒化物を含む複合窒化物より成る皮膜は高硬度であり耐摩耗性には優れるが、耐焼き付き性は十分ではなく、高面圧の塑性加工をする場合など、過酷な環境の使用には絶え得るものではない。また、特許文献2に記載された、Ti、V、Cr、Al、Siから選んだ1種以上の金属元素が主体の窒化物、炭化物、炭窒化物の1種以上から成る下地層と、その下地層の表面に、Ti、V、Cr、Al、Si、Cuを主体とする最表層を形成した皮膜も、特許文献1記載の皮膜と同様に高硬度であり耐摩耗性には優れるが、耐焼き付き性には劣る。また、特許文献3、特許文献4に記載された皮膜には、焼き付き性改善のために形成した硫化物で成る表面層が設けられているが、硫化物は比較的軟質であり、使用当初に摺動性が優れる点は確かであるが、使用時間と共に経年摩滅し、長期耐久性といった点で問題がある。
特開2000−144376号公報 特開2002−307129号公報 特開2002−307128号公報 特開2000−1768号公報 特開2006−124818号公報
本発明は、上記従来の問題を解消せんとしてなされたもので、耐摩耗性に優れ、また焼き付きなどが生じにくく、長期間使用しても摺動性に優れる硬質皮膜を短時間で形成することができる硬質皮膜の形成方法を提供することを課題とするものである。
請求項1記載の発明は、化学式Wで示すことができ、0≦a≦0.12、0.5≦b≦0.8、0.01≦c<0.15、0<x−a−c、x−a−c<b≦0.9、0.2≦x<0.5、x+a+b+c=1の各式を満たすと共に、δ−WNとWC1−xの混合物を含む結晶構造を有した硬質皮膜を、基材の表面に成膜する硬質皮膜の形成方法であって、WCからなるターゲットを用いて、C含有ガスと窒素を含む混合雰囲気中で、カソード放電型のアークイオンプレーティング装置により、前記ターゲットの蒸発面に略直交して前方ないし平行に進行する磁力線を形成した状態で、前記硬質皮膜を前記基材の表面に成膜するに際し、成膜時に基材に印加するバイアス電圧を−50V〜−100Vの範囲内とし、前記硬質皮膜中のδ−WNとWC1−xの割合を調整して、前記硬質皮膜を基材の表面に成膜することを特徴とする摺動性に優れる硬質皮膜の形成方法である。
但し、前記各式で、x、a、b、cは、夫々W、B、C、Nの原子比を示す。
本発明の請求項1記載の摺動性に優れる硬質皮膜の形成方法によると、Wの炭化物が形成されることで耐摩耗性が発現され、更にWと反応していない遊離C成分が生じることで、低μなどの優れた摺動特性を得ることができる。即ち、耐摩耗性に優れ、また焼き付きなどが生じにくく、長期間使用しても摺動性に優れた硬質皮膜を得ることができる。
更には、潤滑性に優れると共に高硬度であり、また、耐摩耗性に優れ、焼き付きなどが生じにくく、長期間使用しても摺動性に優れた硬質皮膜を得ることができる。また、WCからなるターゲットを用いて、C含有ガスと窒素を含む混合雰囲気中で、アークイオンプレーティング装置により成膜を行うことで、短時間で安定性良く摺動性に優れた硬質皮膜を形成することができる。
本発明の硬質皮膜の形成に用いるカソード放電型のアークイオンプレーティング装置の一例を模式的に示す概略断面図である。 同アークイオンプレーティング装置の使用蒸発源の一例を示す概略断面図である。 同アークイオンプレーティング装置の使用蒸発源の別の例を示す概略断面図である。 従来のアークイオンプレーティング装置の使用蒸発源示す概略断面図である。 金属元素MがTiであって、炭化水素ガスがメタン(CH)ガスである場合の、メタン分圧とアーク電流密度の関係を示す説明図である。
以下、本発明を実施形態に基づいて更に詳細に説明する。
まず、本発明の硬質皮膜とは、化学式Mで示すことができる硬質皮膜であって、Mは、4A族、5A族、6A族の元素、及びSi、Alから選択される少なくとも1種の金属元素であり、その成分組成が、0≦a≦0.2、0≦c≦0.2、0<x−a−c、x−a−c<b≦0.9、0.05≦x<0.5、x+a+b+c=1という各式を満たすものである。このように、硬質皮膜中のM、B、C、及びNの成分組成を限定した理由について以下に説明する。
x、a、b、cは、夫々金属元素M、B、C、Nの原子比であり、それら全ての原子比を足した数値が1(即ち100%)となる。(x+a+b+c=1)
まず、本発明の硬質皮膜の要件は、発明の効果の欄にも記載したように、金属元素Mの炭化物が形成されることで耐摩耗性が発現され、且つ金属元素Mと反応していない遊離C成分が生じることで、低μなどの優れた摺動特性を得ることができるように組成したことである。
B、C、Nの金属元素Mとの反応性を考えた場合、BやNとの反応性が、Cとの反応性より大きいことから、B、C、Nを同時に添加した場合、まず、窒化物、ホウ化物が優先的に生成され、その後、残った金属元素MとCが反応することで炭化物が生成される。従って、金属元素MとCの炭化物を生成するためには、金属元素Mの原子比xから、BとNの原子比a、cを差し引いたBとNと反応していない金属元素Mの原子比x−a−cが0より大きいことが条件となる。(0<x−a−c)
また、遊離C成分を生じさせるためには、金属元素Mの原子比xから、BとNの原子比a、cを差し引いたBとNと反応していない金属元素Mの原子比x−a−cがCの原子比bより小さいことが要件となる。(x−a−c<b)
BとNが添加されていない場合を考えると、前記した要件x−a−c<bを必ず満たすためには、Cの原子比bは0.5以上である必要がある。より好ましいCの原子比bは0.7以上である。但し、Cの原子比bが0.9を超えると、相対的に金属元素Mの原子比xが低くなり、耐摩耗性を向上させる役割の金属炭化物や、窒化物、ホウ化物の割合が相対的に少なくなることからCの原子比bは0.9以下とする必要がある。(b≦0.9)好ましくは、0.8以下である。
金属元素Mの窒化物、ホウ化物は、金属元素Mの炭化物と比較して熱的に安定であり、B、Nの添加により皮膜の耐熱性を改善することができることから、B、Nを添加することは有効であるが、0.2を超えて添加すると相対的にCの原子比bが低くなるため、B、Nの原子比a、cは共に0.2以下とする。また、Cの原子比bを高くするためには、B、Nは必ず添加する必要はなく、B、Nの原子比a、cは共に0であっても構わない。(0≦a≦0.2、0≦c≦0.2)
尚、硬質皮膜を成膜した金型や治工具の使用温度域によっても異なるが、B、Nの添加は耐摩耗性に影響を及ぼす。400℃未満の温度域ではその影響はさほど大きくないが、400℃以上の温度域では耐摩耗性の向上に確実に影響を及ぼす。従って、400℃以上の温度域で使用される金型や治工具に成膜する皮膜には、BやNを添加することが推奨される。これらB、Nのうち少なくとも一方を原子比で0.05以上添加することにより、400℃以上の高温での耐摩耗性が顕著に改善できる。
添加される金属元素Mは、4A族、5A族、6A族の元素、Si、Alから選択される少なくとも1種の金属元素であるが、高硬度の炭化物や、窒化物、ホウ化物を形成できる金属元素Mであることが望ましく、Ti、V、Zr、Nb、Cr、Siを単独で、或いはこれらを主体とした複合元素を、添加することが推奨される。これらの金属元素Mの中でも、Ti、Vは高硬度であり、低摩擦係数の炭化物を形成することから添加元素として特に推奨される。
また、金属元素Mの役割は、C、N、Bと結合して、耐摩耗性に優れる金属炭化物や、窒化物、ホウ化物を皮膜中に形成することであるから、金属元素Mの原子比xは最低でも0.05は必要であり、好ましくは0.1以上は必要である。但し、金属元素Mの原子比xが0.5以上であると、先に説明したx−a−c<bという式を満たすことができなくなるため、金属元素Mの原子比xは0.5未満とする必要がある。好ましくは0.3以下である。(0.05≦x<0.5)
次に、B、Nの原子比a、cが共に0である場合、即ち、BとNを添加しない場合の条件について説明する。
a=c=0とした場合、相対的に皮膜中のC量を増加させることとなり、特に400℃未満の低温度域で使用される金型や治工具に成膜する皮膜に影響を及ぼし、摩擦係数の低下と、摩擦量の低減をもたらす。B、Nを添加しない場合、好ましい金属元素Mの原子比は、0.1〜0.4であり、より好ましくは0.2〜0.3である。
次に、以上に説明した硬質皮膜の形成方法について説明する。
この硬質皮膜は、金属元素Mよりなる金属ターゲットとCターゲットを使用し、これらを同時に放電させることで、所望の組成の皮膜を得ることは可能であるが、この硬質皮膜の形成方法であると、成膜レートが非常に遅く時間がかかるという問題がある。そこで、本発明者が鋭意研究を進めた結果、想到したのが本発明の硬質皮膜の形成方法である。
硬質皮膜の形成方法は、例えば、図1に示すカソード放電型のアークイオンプレーティング装置1を用いることで、アーク蒸発源5を使用して、金属元素Mよりなる金属ターゲットや、金属元素MとBよりなる複合ターゲットといったターゲット2から金属元素Mを蒸発させながら、Arと共に、炭化水素ガスや、更に窒素ガスを供給し、これらをイオン化して基材3の表面に形成される皮膜中に取り込むことで、摺動性に優れた硬質皮膜を短時間で形成することができる硬質皮膜の形成方法である。
まず、このカソード放電型のアークイオンプレーティング装置1の構成について、その一例を図面に基づき簡単に説明する。図1に示すように、このアークイオンプレーティング装置1は、真空ポンプ(図示しない)に連通し真空排気を行う排気口6と、Ar、炭化水素ガス、窒素ガス等の成膜ガスを供給するガス供給口7を備えた真空容器8と、アーク放電によって陰極を構成するターゲット2(図2に示す)を蒸発させてイオン化するアーク蒸発源5と、硬質皮膜を成膜する基材3を支持する基材ステージ9と、この基材ステージ9と真空容器8との間で基材ステージ9を通して基材3に負のバイアス電圧を印加するバイアス電源10を具備している。また、バイアス電源10はアース16を備えている。
尚、図1に示す12はフィラメント型イオン源13に電圧を印加するフィラメント加熱用交流電源、14は放電用直流電源であり、基材ステージ9を取り囲むように4箇所に設けられた15はヒータである。
図2に示すように、アーク蒸発源5は、陰極を構成するターゲット2と、このターゲット2と陽極を構成する真空容器8との間に接続されたアーク電源11と、ターゲット2の蒸発面2aに略直交して前方に発散ないし平行に進行する磁力線4を形成する磁石(永久磁石)17を備えている。この磁石17はターゲット2の蒸発面2aを取り囲むようにして配置されている。尚、ターゲット2の蒸発面2aに略直交するとは、蒸発面2aの法線方向に対して約30度以下の傾く範囲までを含めることを意味する。尚、この図2に示すアーク蒸発源5を、後述の実施例では使用蒸発源Aとして説明する。
図3には図2と異なるアーク蒸発源5の事例を示す。このアーク蒸発源5では、磁石17として永久磁石ではなく電磁石を用いている。磁石の配置箇所は、図2の場合と異なり、ターゲット2の蒸発面2aの前方、即ち硬質皮膜を形成する基材3側の前方を取り囲む位置である。この箇所に磁石17を配置しても、図2に示すアーク蒸発源5を使用した場合と同様、ターゲット2の蒸発面2aに略直交して前方に発散ないし平行に進行する磁力線4を形成することができる。尚、この図2に示すアーク蒸発源5を、後述の実施例では使用蒸発源Bとして説明する。
図4に示すアーク蒸発源5は、本発明の硬質皮膜の形成方法で用いるアーク蒸発源5ではないが、従来からアークイオンプレーティング装置1に用いられているアーク蒸発源5であるため参考として説明する。このアーク蒸発源5では磁石(電磁石)17は、ターゲット2の裏側(基材3とは反対側)に配置されており、形成される磁力線4は、ターゲット2の蒸発面2aの近傍で、その蒸発面2aと略平行になり、基材3の近傍まで達しないようになっている。尚、この図4に示すアーク蒸発源5を、後述の実施例では使用蒸発源Cとして説明する。
本発明の硬質皮膜は、金属元素Mの原子比と比較してCの原子比の方が多いため、硬質皮膜を形成する際に、ガス供給口7から真空容器8中に供給したガス、その中でも炭化水素ガスを効率的に分解してC成分を得る必要があるが、そのためには、ターゲット2の蒸発面2aに略直交して前方に発散ないし平行に進行する磁力線を形成した状態とすることが好ましい。カソード放電型のアークイオンプレーティング装置1を用いた場合は、カソードから電子eが放電され、アノードに向かってそのアーク放電された電子eが飛んでいくのであるが、その時にターゲット2の蒸発面2aに略直交して前方に発散ないし平行に進行する磁力線4が存在する場合、例えば図3に示すように、アーク放電された電子eは磁力線4に巻き付くようにして螺旋運動をしながら移動する。このように、磁場をかけることで電子eの軌跡は長くなり、供給されたガスと多くの衝突を繰返し、イオン化・炭化水素ガスの分解を促進する。
また、ガス供給口7から真空容器8中に、炭化水素ガスや窒素ガスと共に、Arを供給するのは、イオン化されたArが成膜中の皮膜に衝突し、その皮膜を緻密化、高硬度化するためである。Arの割合は、供給する全てのガス中、30〜70vol%とすることが好ましい。より好ましくは40〜60vol%である。また、成膜時の真空容器8内の圧力は、0.5〜5Pa程度であることが好ましい。0.5Paより低圧力であれば放電が不安定となり、5Paより高圧力であればガスの散乱により成膜レートが低下する。また、成膜時の真空容器8内の圧力は、1〜3Paであることがより好ましい。尚、供給する炭化水素ガスとしては、メタンガス、エチレンガス、アセチレンガス、トルエンガス、ベンゼンガス等を例示することができる。
また、本発明の硬質皮膜を形成するにあたっては、金属元素Mの原子比が、Cの原子比を超えないように調整する必要があり、アークの放電電流を低く抑えることで対応することができる。つまり、硬質皮膜中のCの原子比は、アーク電流密度に応じて変動する。
後述する実施例でその詳細は説明するが、例えば、ターゲット2に用いる金属元素MをTiとし、供給する炭化水素ガスをメタン(CH)ガスとした場合、メタン分圧(Pa)とアーク電流密度(A/cm)の関係は、
メタン分圧(Pa)>0.163+1.44×アーク電流密度(A/cm
という数式で表すことができる。この数式を満たすことで、硬質皮膜中のCの原子比を、BとNが添加されていない場合のより好ましいCの原子比である0.7以上とすることができる。尚、V等、同等のアーク電流で、Tiと蒸発量が等価なターゲット2に関してもこの数式を適用することができる。
更には、添加する金属元素MをWとすることも推奨することができる。このように、添加する金属元素MをWとすると、特に潤滑性に優れたW−C結合と、高硬度のW−N結合が生成される。そのため、添加する金属元素MをWとする場合は、CおよびNは必須元素となる。
硬質皮膜に含まれるCの原子比bは少なくとも0.5以上は必要であり、0.8以下で潤滑性、低摩擦係数に優れた皮膜となる。(0.5<b≦0.8)より好ましいCの原子比bは0.55以上である。
Nについては、微量の添加であっても耐摩耗性に優れたW−N結合を生成することができるため、硬質皮膜に含まれるNの原子比cの下限は0.01とする。より好ましいNの原子比cの下限は0.02である。一方、Nを添加しすぎると、潤滑性が低下してしまい、また摩擦係数が上昇すると共に、耐摩耗性も低下する。従って、硬質皮膜に含まれるNの原子比cの上限を0.15未満とする。(0.01≦c<0.15)より好ましいNの原子比cの上限は0.1である。
Bは選択元素であるが、添加により高硬度のW−B結合を生成すると共に、潤滑性を有するB−N結合も生成することから、添加することができる。しかしながら、過度の添加により皮膜全体が非晶質化し、その硬さが低下することから、硬質皮膜に含まれるBの原子比aの上限を0.12とする。(0≦a≦0.12)より好ましいBの原子比aの上限は0.05である。摺動時の温度がそれほど高くなく常温に近い場合にはa=0が推奨される。
硬質皮膜に含まれるWの原子比xについては、前記したC、B、Nの原子比によって決定されるが、Wの原子比xが0.2未満の場合、W−C、W−N、W−B等の結合が少なくなり耐摩耗性に劣る。一方、0.5以上の場合には潤滑性がなくなってしまい耐摩耗性が低下する。従って、硬質皮膜に含まれるWの原子比xは、0.2以上、0.5未満の範囲とする。(0.2≦x<0.5)より好ましいWの原子比xの上限は0.45である。
これら元素の組成割合(原子比)によって、皮膜の結晶構造も変化する。Nを添加しない場合の皮膜の結晶構造は、立方晶の摺動性に優れるWC1−xであるが、Nを微量添加することにより耐摩耗性に優れる窒化物である六方晶のδ−WNが皮膜中に生成される。
耐摩耗性と摩擦係数は、皮膜中にWC1−xとδ−WNの両方の結晶を有している時に、共に良好となり、摺動性と耐摩耗性のバランスが良好となることから、WC1−xとδ−WNの両方の結晶を有した混合膜が、良好な皮膜であるとして推奨することができる。尚、皮膜の結晶構造は、X線回析により同定される。
次に、添加する金属元素MをWとした硬質皮膜の形成方法について説明する。
Wを含有する硬質皮膜を形成するには、スッパッタリング法のほか、前記したアークイオンプレーティング装置を用いたアークイオンプレーティング法でも形成が可能であるが、Wターゲットを用いるスッパッタリング法で硬質皮膜を形成した場合、成膜速度が非常に遅いことから実用上の問題がある。また、アークイオンプレーティング法でも、Wターゲットを用いた場合は、Wのアーク放電が安定しないことから実用上の問題がある。
そこで、本発明者が鋭意研究を進めた結果、想到したのが以下に説明する硬質皮膜の形成方法である。本発明では、Wを含有する硬質皮膜の成膜時に、ターゲットとしてWCからなるターゲットを用いることで、アークイオンプレーティング法によって、高速で、且つ安定性良くWを含有する硬質皮膜が形成できることを明らかにした。
アークイオンプレーティング法については、既に説明した通り、アークイオンプレーティング装置を用いた硬質皮膜の形成方法であるが、簡単に説明すると、図1に示すカソード放電型のアークイオンプレーティング装置1を用いて、ターゲット2の蒸発面2aに略直交して前方に発散ないし平行に進行する磁力線4を形成した状態で、皮膜を基材3の表面に成膜する方法である。
また、ターゲットとしてWCからなるターゲットを用いることで、アークイオンプレーティング法によって、高速で、且つ安定性良くWを含有する硬質皮膜が形成できると説明したが、WCからなるターゲットを用いるだけでは、形成される硬質皮膜からCが抜けるという傾向があることから、Cを補うために、メタン(CH)、アセチレン(C)等のC含有ガスと、窒素を含む混合雰囲気中で成膜を行う必要がある。
また、C含有ガスと窒素以外に、Ar、Ne、Xe等の希ガスを放電安定性のために添加しても良い。
成膜時のC含有ガスの分圧については、その分圧を高くしすぎると、WCターゲットの表面にCが堆積して放電が困難になることから、0.5Pa以下とすることが好ましい。より好ましくは0.2Pa以下である。
また、成膜時に基材に印可するバイアス電圧により皮膜の結晶構造が変化するが、バイアス電圧が低すぎる場合、δ−WN相の割合が小さくなって耐摩耗性を発揮することができない。一方、バイアス電圧が高すぎる場合、基材に入射するエネルギーが高くなりすぎて、基材の温度上昇を招くと共に、WC1−x相の割合が小さくなってしまう。従って、バイアス電圧は−50V〜−100Vの範囲内とすることが好ましい。
尚、WCターゲットに限らず、MCからなる金属酸化物ターゲットを用いて成膜を行った場合には、形成される皮膜に含まれるCの原子比bが、ターゲットに含まれるCの原子比より少なくなる傾向があることから、x−a−c<bという条件を満足する皮膜を形成することは困難である。従って、成膜時には必ずC含有ガスを用いて成膜を行う必要がある。
以下の実施例の説明では、請求項1、請求項2との記載があるが、これは原出願の出願当初の請求項を示す。
(実施例1)
金属元素Mよりなる金属ターゲット、或いは金属元素MとBよりなる複合ターゲットを用いて、図1に示すようなカソード放電型のアークイオンプレーティング装置により表1に原子比を示す各組成の皮膜を基材表面に形成した。この実施例1では、まず、皮膜の組成を確認すると共に皮膜の硬度を測定するために、基材として表面を鏡面研磨した超硬合金を使用し、その表面に表1に示す各組成の皮膜を形成した。また、摺動試験用として、SKD11基板(硬度HRC60)を基材として、その基材の表面に密着性を向上させるために3μm厚のCrN層を形成した後、その表面に表1に示す各組成の皮膜を形成した。
最初に、これらの基材を、アークイオンプレーティング装置の基材ステージにセットした後、真空ポンプで排気口から空気を排気して真空容器内の圧力を1×10−3Pa以下とし、基材を400℃に加熱後、Arイオンを用いてスパッタクリーニングを行った。次に、金属元素Mを含有するφ100のmmのターゲット(Bはターゲットを蒸発させて皮膜内に取り込むため、Bを含有する皮膜を形成する時には、金属元素Mのみよりなる金属ターゲットではなく、金属元素MとBよりなる複合ターゲットを用いる。)を用い、真空容器内にArとメタン(CH)ガスを供給して、(No.8、9、19〜23の場合は更に窒素を供給して、)メタン(CH)分圧を1.5Pa、Ar―CH(―N)の混合ガス雰囲気下で全圧を3Paとし、アーク電流を60Aとして、皮膜の成膜を行った。尚、使用したアーク蒸発源、即ち使用蒸発源は、図2に示す使用蒸発源Aと、図4に示す使用蒸発源Cである。成膜時の基材電圧は200Vである。
皮膜の組成の確認は、電子線マイクロアナライザー(EPDA)により分析を行い、皮膜の硬度は、マイクロビッカース硬度計(試験荷重:0.25N)を用いて測定した。皮膜の硬度が30GPa以上であれば高硬度で耐摩耗性に優れると判定した。また、摺動試験では、加熱を行わない25℃(常温)と400℃の条件下で、皮膜の摩擦係数と摩耗深さを調査した。摩擦係数が小さいことで焼き付きが生じにくいことが分かり、摩耗深さが小さいことで耐摩耗性に優れることが分かる。尚、摩擦係数については、下記する摺動距離中、最も安定したデータが得られる100m〜300mの平均値を用いてデータとした。摩擦係数の合格判定基準は0.35以下、摩耗深さの合格判定基準は2.0μm以下とした。
摺動試験に用いた摺動試験装置並びに試験条件は、下記に示す通りである。また、試験結果は表1に示す通りである。
試験装置:ベーンオンディスク型摺動試験装置
ベーン :SKD61鋼(HRC50)、3.5×5mm、長さ20mm、先端半径10R
ディスク:SKD11鋼(HRC60)+コーティング
摺動速度:0.2m/秒
荷重 :500N
摺動距離:500m
試験温度:25℃(加熱なし)、及び400℃
Figure 2014051742
成膜した皮膜の組成(原子比)については、表1に示す通りである。表1のNo.4〜10、12〜15、17、19〜22、24〜29は、請求項1及び請求項2に記載の条件を満たす組成の皮膜であり、皮膜の硬度は、全て30GPa以上と高い。また、皮膜の摩擦係数は、25℃(常温)の条件下でも、400℃の条件下でも、全て0.35以下と小さく、皮膜の摩耗深さも、25℃(常温)の条件下でも、400℃の条件下でも、全て2.0μm以下と小さい。即ち、これら請求項1及び請求項2に記載の条件を満たす組成の皮膜は、耐摩耗性に優れ、また焼き付きなどが生じにくく、長期間使用しても摺動性に優れることが分かる。
また、表1のNo.4〜6、10、12、24〜29は、更に請求項2に記載の条件を満たす組成の皮膜である。これらの皮膜は、皮膜中の金属元素Mが同条件の請求項1に記載の条件は満たすが、請求項2に記載の条件を満たさない皮膜と比較した場合、低温領域である25℃(常温)の条件下で、摩擦係数の低下と、摩擦量の低減が顕著である。
No.1は、皮膜をTiNとし、皮膜にCを含有させなかった比較例である。この比較例では、Cを含有させなかったため、炭化物が形成できず、皮膜の硬度は低く、皮膜の摩擦係数と摩耗深さは、25℃(常温)の条件下でも、400℃の条件下でも大きい。その結果、耐摩耗性に問題があり、併せて摺動性にも問題がある。
No.2、3は、x−a−c<bという条件と、0.05≦x<0.5という条件を満たさない皮膜である。この組成であると遊離C成分を生じさせることはできず、Cを含有させなかったNo.1と同様に、皮膜の硬度は低く、皮膜の摩擦係数と摩耗深さは、25℃(常温)の条件下でも、400℃の条件下でも大きい。即ち、低μなどの優れた摺動特性を得ることができ、耐摩耗性、摺動性ともに問題がある。
No.11、18は、b≦0.9という条件を満たさない皮膜である。Cの原子比が多くなり過ぎたため、相対的に金属元素Mの原子比が低くなり、耐摩耗性を向上させる役割の金属炭化物や、窒化物、ホウ化物の割合が相対的に少なくなった結果、皮膜の硬度は低くなり、皮膜の摩擦係数と摩耗深さも大きくなった。即ち、耐摩耗性、摺動性ともに問題がある。
No.16は、0≦a≦0.2という条件を満たさない皮膜である。Bを、原子比0.2を超えて添加したため、相対的にCの原子比が低くなった結果、皮膜の硬度は低くなり、皮膜の摩擦係数と摩耗深さも、25℃(常温)の条件下でも、400℃の条件下でも大きくなった。即ち、耐摩耗性、摺動性ともに問題がある。
No.23は、0≦c≦0.2という条件を満たさない皮膜である。Nを、原子比0.2を超えて添加したため、相対的にCの原子比が低くなった結果、皮膜の硬度は低くなり、皮膜の摩擦係数と摩耗深さも、25℃(常温)の条件下でも、400℃の条件下でも大きくなった。即ち、耐摩耗性、摺動性ともに問題がある。
表1には、25℃(常温)の条件下での摩耗深さと、400℃の条件下での摩耗深さの差も、摩耗深さ変動量(高−低)として記載している。BやNを含有する皮膜は、BやNを含有しない皮膜と比較し、添加される金属元素M並びにその原子比を同条件とした場合において、摩耗深さの差が小さく、BやNの添加により高温下での耐摩耗性が向上していることが分かる。
(実施例2)
金属元素MとしてTiを用いて金属ターゲットとし、実施例1と同様、図1に示すようなカソード放電型のアークイオンプレーティング装置により、アーク電流、メタン(CH)分圧を、表2に示すように種々変化させ、基材として表面を鏡面研磨した超硬合金を使用し、その表面に硬質皮膜を形成した。尚、使用したアーク蒸発源、即ち使用蒸発源は、図2に示す使用蒸発源A、図3に示す使用蒸発源B、図4に示す使用蒸発源Cの3種である。成膜時の基材電圧は200Vである。
尚、実施例2では真空容器内に供給したガスはArとメタン(CH)ガスのみであり、他の実験条件は実施例1の実験条件を倣って行った。皮膜の成分組成の確認は、電子線マイクロアナライザー(EPDA)により分析を行った。その分析確認結果を表2に示す。
Figure 2014051742
実施例2では、金属ターゲットに用いた金属元素Mは全てTiであり、真空容器内に供給したガスはArとメタン(CH)ガスのみであるため、基材の表面に形成される硬質皮膜の成分組成は、全てTiとなる。表2には、bとしてCの原子比のみを記載しているが、C以外は全てTiである。
表2のNo.13、27、28が、アーク電流、メタン(CH)分圧を同条件とし、使用蒸発源を夫々変えて基材の表面に形成した硬質皮膜の成分組成を分析した確認結果を示す。使用蒸発源Aを用いて形成した硬質皮膜のCの原子比は0.7、使用蒸発源Bを用いて形成した硬質皮膜のCの原子比は0.8、使用蒸発源Cを用いて形成した硬質皮膜のCの原子比は0.45である。Cの原子比が高い硬質皮膜を形成することができた使用蒸発源A、Bはともに、ターゲットの蒸発面に略直交して前方に発散ないし平行に進行する磁力線を形成するアーク蒸発源である。即ち、ターゲットの蒸発面に略直交して前方に発散ないし平行に進行する磁力線を形成すれば、皮膜中のCの原子比を好適に増加させることができることが検証された。
表2に示す試験結果より、各試験体毎のメタン分圧(Pa)とアーク電流密度(A/cm)の関係を図5にプロットした。更に、皮膜中のCの原子比毎のメタン分圧とアーク電流密度の関係を、実験のデータ点同士を結んで間の点を内挿で生成し、等高線図を描くことにより求め、図5に表示した。BとNが添加されていない場合のより好ましいCの原子比bは、前記した説明によると0.7以上であることから、推奨されるメタン分圧とアーク電流密度の関係は、
メタン分圧(Pa)=0.163+1.44×アーク電流密度(A/cm
という図5に表示した斜線よりも上の領域とすれば良いことが分かる。
従って、金属元素MがTiであって、炭化水素ガスがメタン(CH)ガスである場合、成膜時のメタン分圧とアーク電流密度の関係が、
メタン分圧(Pa)>0.163+1.44×アーク電流密度(A/cm
を満たせば、Tiと反応していない遊離C成分が必ず生じることができるように、皮膜中のC含有量を好適な原子比0.7以上とすることができる。
尚、この実施例2は、金属ターゲットに用いた金属元素Mは全てTiである場合を示したが、V等、同じアーク電流でTiと蒸発量が等価な金属ターゲットの場合にも上式を適用することが可能である。また、蒸発量が異なる場合には、適宜補正を加えることで対応可能である。
(実施例3)
金属元素MをWとし、ターゲットとしてWCからなるW0.50.5ターゲット(ホットプレス品φ100mm)を用いて、図1に示すようなカソード放電型のアークイオンプレーティング装置で、基材の表面にWを含有する硬質皮膜を形成した。
Wを含有する硬質皮膜の成膜時の条件として、アーク電流を150Aとし、メタン(CH)流量比を0〜30vol%、窒素(N)流量比を0〜30vol%の間で夫々変化させ、更に真空容器内にArを供給して全圧力を1.33Paに調整した。Bを添加するNo.15〜17の場合には、更に真空容器内にBガスを供給した。成膜温度は400℃、バイアス電圧は−100Vとした。
形成したWを含有する硬質皮膜の膜厚は10μmとし、その皮膜の結晶構造はX線回析によって同定した。X線回析の条件は、線源としてCukαを用い、40kV−40mAの条件で、θ−2θ法で10°〜100°の領域の測定を行い、観察されたピークから結晶相の同定を行った。
Wを含有する硬質皮膜の組成の確認は、電子線マイクロアナライザー(EPDA)により分析を行った。また、実施例1と同じ条件で摺動試験を実施した。この摺動試験では、加熱を行わない25℃(常温)と400℃の条件下で、皮膜の摩擦係数と摩耗深さを調査した。摩擦係数が小さいことで焼き付きが生じにくいことが分かり、摩耗深さが小さいことで耐摩耗性に優れることが分かる。尚、摩擦係数については、下記する摺動距離中、最も安定したデータが得られる100m〜300mの平均値を用いてデータとした。摩擦係数の合格判定基準は0.35以下、摩耗深さの合格判定基準は2.0μm以下とした。この試験結果を表3に示す。
Figure 2014051742
成膜した皮膜の組成(原子比)については、表3に示す通りである。表3のNo.7〜12、14〜16は、請求項3に記載の条件を満たす組成の皮膜であり、そのWC1−xとδ−WNの両方の結晶を有した混合膜であることが確認できた。また、皮膜の摩擦係数は、25℃(常温)の条件下でも、400℃の条件下でも、全て0.35以下と小さく、皮膜の摩耗深さも、25℃(常温)の条件下でも、400℃の条件下でも、全て2.0μm以下と小さい。よって、これら請求項3に記載の条件を満たす組成のWを含有する硬質皮膜は、耐摩耗性に優れ、また焼き付きなどが生じにくく、長期間使用しても摺動性に優れることが分かった。
更には、先の説明で夫々BCNの組成がより好ましい範囲であるとして示した範囲に全て該当するNo.8,11,12,14,15は、皮膜の摩擦係数が、25℃(常温)の条件下でも、400℃の条件下でも、0.25以下であり、皮膜の摩耗深さも、25℃(常温)の条件下でも、400℃の条件下でも、1.0μm以下であり、特に摩擦特性および耐摩耗性に優れていることが分かった。
また、No.1,5,6の試験結果から、C含有ガス(CHガス)を含む雰囲気中でなければ、WCからなるターゲットを用いても、皮膜中のCの原子比bが請求項3で規定する範囲に達しないことが確認できた。
(実施例4)
実施例3と同様に金属元素MをWとし、ターゲットとしてWCからなるW0.50.5ターゲット(直径は10インチ)を用いて、スパッタリング法によって、全圧力0.6Paで、メタン−窒素雰囲気中において、基材の表面にWを含有する硬質皮膜を形成した。
このスパッタリング法によって基材の表面にWを含有する硬質皮膜を形成する場合と、実施例3のアークイオンプレーティング法によって基材の表面にWを含有する硬質皮膜を形成する場合の成膜レートを比較した。その比較結果を表4に示す。
Figure 2014051742
表4によると、アークイオンプレーティング法では1時間あたり5μmの成膜ができたのに対し、スパッタリング法では1時間あたり1μmの成膜しかできず、アークイオンプレーティング法の方がより高速にWを含有する硬質皮膜を形成できることが確認できた。
(実施例5)
実施例3と同様に、W0.50.5ターゲット(ホットプレス品φ100mm)を用いて、図1に示すようなカソード放電型のアークイオンプレーティング装置で、基材の表面にWを含有する硬質皮膜を形成した。
Wを含有する硬質皮膜の成膜時の条件は、アーク電流を150Aとし、メタン(CH)および窒素(N)流量比を夫々10vol%とし、更に真空容器内にArを供給して全圧力を1.33Paに調整した。成膜温度は400℃、バイアス電圧は−30〜−200Vの範囲で変化させ、10μm厚の皮膜(原子比は全てW0.380.550.07)を形成した。
この皮膜の摺動性を確認するため、実施例1、3と同じ条件で摺動試験を実施した。この摺動試験では、加熱を行わない25℃(常温)と400℃の条件下で、皮膜の摩擦係数と摩耗深さを調査した。摩擦係数が小さいことで焼き付きが生じにくいことが分かり、摩耗深さが小さいことで耐摩耗性に優れることが分かる。尚、摩擦係数については、下記する摺動距離中、最も安定したデータが得られる100m〜300mの平均値を用いてデータとした。摩擦係数、摩耗深さの合格判定基準は、夫々0.35以下、2.0μm以下と他の実施例と同様であるが、本実施例では、摩擦係数が0.25以下、摩耗深さが1.0μm以下のものを、より好ましいと判断した。その試験結果を表5に示す。
Figure 2014051742
表5によると、皮膜の組成(原子比)は請求項3に記載の要件を満足しているため、No.1〜No.6の全てが合格判定基準を満たしている。その中でもNo.2〜No.4は、摩擦係数が、25℃(常温)の条件下でも、400℃の条件下でも、0.25以下であり、皮膜の摩耗深さも、25℃(常温)の条件下でも、400℃の条件下でも、1.0μm以下である。この結果から、バイアス電圧を−50V〜−100Vの範囲内とすることで、摩擦特性および耐摩耗性に更に向上することが分かった。
(実施例6)
0.50.5ターゲット(ホットプレス品φ100mm)或いはWターゲットを用いて、図1に示すようなカソード放電型のアークイオンプレーティング装置で、基材の表面にWを含有する硬質皮膜の形成を行う試験を実施した。
0.50.5ターゲットの場合、Wを含有する硬質皮膜の成膜時の条件として、アーク電流を150Aとし、メタン(CH)および窒素(N)流量比を夫々10vol%とし、更に真空容器内にArを供給して全圧力を1.33Paに調整した。成膜温度は400℃、バイアス電圧は−70Vとし、10μm厚の皮膜を形成することとした。(実施例5のNo.3と同一条件)
一方、Wターゲットの場合は、全圧力を2.66Paとし、Ar分圧を1.33Pa、メタン(CH)分圧を1Pa、窒素(N)分圧を0.33Paとして、成膜温度は400℃、バイアス電圧は−70Vとし、10μm厚の皮膜を形成することとした。
WCターゲットを用いた場合、基材表面への成膜はできたが、Wターゲットを用いた場合、アーク放電が持続せず、基材表面への成膜はできなかった。すなわち、Wターゲットを用いた場合はアーク放電が安定せず、安定性良くWを含有する硬質皮膜を形成することはできないが、WCターゲットを用いることで、安定性良くWを含有する硬質皮膜を形成することができる。
1…アークイオンプレーティング装置
2…ターゲット
2a…蒸発面
3…基材
4…磁力線
5…アーク蒸発源
6…排気口
7…ガス供給口
8…真空容器
9…基材ステージ
10…バイアス電源
11…アーク電源
12…フィラメント加熱用交流電源
13…フィラメント型イオン源
14…放電用直流電源
15…ヒータ
16…アース
17…磁石
e…電子

Claims (1)

  1. 化学式Wで示すことができ、
    0≦a≦0.12、
    0.5≦b≦0.8、
    0.01≦c<0.15、
    0<x−a−c、
    x−a−c<b≦0.9、
    0.2≦x<0.5、
    x+a+b+c=1
    の各式を満たすと共に、δ−WNとWC1−xの混合物を含む結晶構造を有した硬質皮膜を、基材の表面に成膜する硬質皮膜の形成方法であって、
    WCからなるターゲットを用いて、C含有ガスと窒素を含む混合雰囲気中で、カソード放電型のアークイオンプレーティング装置により、前記ターゲットの蒸発面に略直交して前方ないし平行に進行する磁力線を形成した状態で、前記硬質皮膜を前記基材の表面に成膜するに際し、
    成膜時に基材に印加するバイアス電圧を−50V〜−100Vの範囲内とし、前記硬質皮膜中のδ−WNとWC1−xの割合を調整して、前記硬質皮膜を基材の表面に成膜することを特徴とする摺動性に優れる硬質皮膜の形成方法。
    但し、前記各式で、x、a、b、cは、夫々W、B、C、Nの原子比を示す。
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