JP2014051514A - 渦巻線香 - Google Patents

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Abstract

【課題】マラカイトグリーンに替わる安全性の高い着色剤を用い、長年親しまれてきた緑色に着色するとともに線香中の着色安定性に優れた渦巻線香の提供。
【課題の解決手段】ピレスロイド系殺虫成分、粘結剤、線香用基材、着色剤を含有する渦巻線香において、着色剤として食用青色1号と共に、食用黄色4号及び/又は食用黄色5号を使用し、緑色に着色した渦巻線香。着色安定剤として、デヒドロ酢酸塩及び/又はソルビン酸塩の配合が好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、渦巻線香の改良に関するものである。
蚊取線香に代表される渦巻線香は、主に蚊の成虫駆除を目的とし、古くから一般家庭で夏に欠かすことができないものとして親しまれている。蚊取線香が考案されたのは1890年で、この当時のものは長さが30cm位の棒状で燃焼時間は約1時間であったが、その後、蚊取線香の形態は棒状から渦巻状となり、一本の燃焼時間も人間の就寝時間に合わせて7〜8時間位となった。渦巻線香は、マッチ一本でどこでも手軽に使える便利さを有し、燃え尽きるまで一定の殺虫効果を保持するとともに有効成分の拡散力にも優れるので、科学の進歩した今日からみても非常に合理的な殺虫形態といえる。
渦巻線香は、有効成分、粘結剤、植物粉等の線香用基材等を含む混合粉に、着色剤を含む水溶液を加えて混練後、押出機にかけて板状シートとし、打抜機によって渦巻型に打抜き、水分率7〜10%程度まで乾燥して製するのが一般的である。そして、着色剤としてはマラカイトグリーンを用い、涼感を醸し出す緑色渦巻線香が主流となっている。
マラカイトグリーンは、染料用途だけでなく抗菌剤としても有用であるが、長期間にわたり体内摂取させた動物実験で発ガン性が示唆されたとの報告があり、最近食用水産動物への使用が禁止された。線香の着色には、マラカイトグリーンをマラカイトグリーン塩として配合しているので、加熱によって揮散せず、燃焼しても吸入によって体内に摂取されることもない。従って、安全性は確保されているのであるが、より安全性を求める消費者のニーズに応えるべく、マラカイトグリーンの代替品の探索が検討されてきた。しかるに、線香という特殊な剤型を反映して汎用的な染料の転用は問題が多く、例えば、食品添加物レベルの緑色色素を渦巻線香に適用した場合、色目が異なるうえ、線香中で褪色しやすく、着色安定剤の添加によっても実用化は困難であった。このように、未だ有効な方策は見出されていないのが現状である。
特公昭52−35735号公報
本発明は、マラカイトグリーンに替わる安全性の高い着色剤を用い、長年親しまれてきた緑色に着色するとともに線香中の着色安定性に優れた渦巻線香を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。
(1)ピレスロイド系殺虫成分、粘結剤、線香用基材、着色剤を含有する渦巻線香において、着色剤として、食用青色1号と共に、食用黄色4号及び/又は食用黄色5号を使用し、
前記着色剤が、食用青色1号を着色剤全体量に対して72〜88重量%と、食用黄色4号及び/又は食用黄色5号を2〜28重量%含有するとともに、
渦巻線香全体量に対して前記着色剤を0.2〜0.4重量%配合し、緑色に着色し
しかも着色安定剤として、デヒドロ酢酸塩を含有することを特徴とする渦巻線香。
(2)前記着色剤が、食用青色1号を着色剤全体量に対して72〜88重量%と、食用黄色4号を2〜14重量%と、食用赤色106号を2〜14重量%含有する混合物である(1)に記載の渦巻線香。
本発明の渦巻線香は、マラカイトグリーンに替わる、安全性の高い着色剤を用い、長年親しまれてきた、涼感漂う緑色を呈するので実用性は極めて高い。そして、更に特定の着色安定剤を配合したものは、着色安定性がより向上し一層有用である。
本発明の緑色に着色した渦巻線香は、一般的な蚊取線香のほか、ハエ用線香、不快害虫用線香であってもよい。
有効成分としては、殺虫効力と安全性の点からピレスロイド系殺虫成分が使用され、天然除虫菊粉末、アレスリン、フラメトリン、プラレトリン、エムペントリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラートなどがあげられる。合成ピレスロイド類については、化学構造中の不斉炭素や二重結合に基づく光学異性体あるいは幾何異性体が存在する場合、それぞれの単独ならびに任意の混合物を包含することはもちろんである。有効成分の含有量としては、渦巻線香の全体量に対して、0.005〜0.5重量%が適当である。なお、殺虫効力の増強のために、N−(2−エチルヘキシル)−ビシクロ[2,2,1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド(以降、効力増強剤Aと称する)、ピペロニルブトキサイド等の共力剤を添加することもできる。
粘結剤としては、澱粉、タブ粉、カルボキシメチルセルロース等があげられ、また線香用基材としては、除虫菊抽出粕粉、モミ、トガ、ヒノキ、チャ、カンキツ等の植物粉、ケイソウ土、クレー、カオリン、タルク等の鉱物粉、あるいは素灰等があげられる。
本発明は、渦巻線香の緑色着色剤として、マラカイトグリーンに替えて、食用青色1号と共に、食用黄色4号及び/又は食用黄色5号を使用したことに特徴を有する。いずれも食品添加物に該当し、広く食品に使用されているので、その安全性は高く評価されているものである。
各着色剤の配合比率は、目的とする色目によって適宜選択することが可能であるが、渦巻線香に適用する場合、食用青色1号を着色剤全体量に対して72〜88重量%と、食用黄色4号及び/又は食用黄色5号を2〜28重量%含む混合物とするのがよい。一般的に、食用青色1号の配合比率を増やすと濃い緑色となる。
本発明では、更に他の赤色、黄色やだいだい色の法定タール色素を混合して色目を調整することもできる。食品添加物レベルの法定タール色素には、赤色106号、赤色104号(1)、赤色215号、黄色202号(1)、だいだい色207号などがあり、本発明の趣旨に合致する限りいずれの色素も選択可能である。
なかでも、食用赤色106号の添加は好ましく、本発明の着色剤として、食用青色1号を着色剤全体量に対して72〜88重量%と、食用黄色4号を2〜14重量%と、食用赤色106号を2〜14重量%含有するように調整すれば、マラカイトグリーンに近い緑色に着色を呈し、他の粘結剤や線香用基材と混合しても何ら支障を生じない。
また、着色剤混合物の渦巻線香全体量に対する配合量は、0.2〜0.4重量%程度が適当であり、コスト等を考慮すると、0.4重量%を超えて配合してもそれ程のメリットはない。
マラカイトグリーン線香の場合、特に着色安定剤の配合は必要としないのであるが、本発明で用いる着色剤は、マラカイトグリーンに較べると耐色性が若干劣るので、着色安定剤の配合が好ましく、特にデヒドロ酢酸塩及び/又はソルビン酸塩が好適であることが認められた。即ち、デヒドロ酢酸塩及びソルビン酸塩は従来から防黴剤として汎用されているが、本発明で用いる着色剤との組み合わせでは、BHTのような酸化防止剤よりも耐色性の向上に寄与し得ることを新たに見出したものである。
デヒドロ酢酸塩及び/又はソルビン酸塩の配合量は、着色剤に対して0.2〜2.0倍程度が適当である。
本発明の渦巻線香は、前記原料と水を含む混合物を捏ね、渦巻状に打抜き、水分率7〜10%程度まで乾燥して製する。前記着色剤や着色安定剤は、水溶性で取り扱いやすく、従来の製造工程を何ら変更する必要がない。
こうして得られた渦巻線香は、従来の渦巻線香の殺虫効力や品質を保持し、長年親しまれてきた、涼感漂う緑色を呈するとともに、蚊、ハエや他の害虫に対して高い駆除効果を奏する。そして、マラカイトグリーンよりも安全性の高い着色剤を用いているので、社会的ニーズに合致し、更に特定の着色安定剤を配合したものは、着色安定性がより向上し一層実用的である。
つぎに具体的実施例に基づいて、本発明の渦巻線香を更に詳細に説明する。
dl,d−T80−アレスリンを0.3部、効力増強剤Aを0.7部、α−澱粉とタブ粉からなる粘結剤を18部と木粉80.5部を含む混合粉に、着色剤(食用青色1号:85%、食用黄色4号:10%、食用赤色106号:5%、)を0.35部と着色安定剤としてのソルビン酸カリウムを0.15部及び水100部を加えて混練後、押出機にかけて板状シートとし、打抜機によって渦巻型に打抜き、水分率7〜10%程度まで乾燥して緑色の渦巻線香を製造した。
こうして得られた本発明の渦巻線香は、3年間保存後においても製造時の緑色を保持し、6畳の部屋で就寝中使用したところ、その間蚊に悩まされることがなかった。
実施例1に準じて各種の渦巻線香(dl,d−T80−アレスリン、効力増強剤A、粘結剤の配合量は同じで、木粉量で調整)を作製し、以下の項目について性能を評価した。その結果を表1に示す。
(1)製造時の色彩:マラカイトグリーン0.2%線香の緑色をレベル3とし、より濃い緑色を〜5、薄い緑色を〜1として段階表示した。
(2)着色安定性:供試線香を35℃、湿度70%で1年間保存し、緑色の褪色状況から、◎、○、△、× で評価した。
Figure 2014051514
試験の結果、本発明の渦巻線香は、緑色の色彩や着色安定性に優れ、極めて実用性の高いことが認められた。なかでも、着色剤として、食用青色1号を着色剤全体量に対して72〜88重量%と、食用黄色4号及び/又は食用黄色5号を2〜28重量%含有し、加えて更に食用赤色106号を含有する混合物が好ましかった。また、着色安定剤としてデヒドロ酢酸塩やソルビン酸塩を配合したものは着色安定性が一層向上し、特に好適であった。
これに対し、マラカイトグリーンを配合した従来の渦巻線香(比較例1)は、性能的には問題ないものの前述のとおり安全性の点で懸念が残り、代替品として検討した食用緑色3号(比較例2)や緑色顔料(比較例3)は不適であった。
本発明の渦巻線香は、殺虫剤として実用性の高いものであり、これ以外の例えば仏壇線香などにも応用が可能である。

Claims (2)

  1. ピレスロイド系殺虫成分、粘結剤、線香用基材、着色剤を含有する渦巻線香において、着色剤として、食用青色1号と共に、食用黄色4号及び/又は食用黄色5号を使用し、
    前記着色剤が、食用青色1号を着色剤全体量に対して72〜88重量%と、食用黄色4号及び/又は食用黄色5号を2〜28重量%含有するとともに、
    渦巻線香全体量に対して前記着色剤を0.2〜0.4重量%配合し、緑色に着色し
    しかも着色安定剤として、デヒドロ酢酸塩を含有することを特徴とする渦巻線香。
  2. 前記着色剤が、食用青色1号を着色剤全体量に対して72〜88重量%と、食用黄色4号を2〜14重量%と、食用赤色106号を2〜14重量%含有する混合物であることを特徴とする請求項1に記載の渦巻線香。
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