JP4235311B2 - 蚊取線香 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼時に光と音とを同時にもしくは連続して発生させる蚊取線香に係り、光と音により使用時の状態を感覚で楽しむことができ、また光と音を特定の波長、周波数にすることによって蚊を誘引したり忌避したりすることもできる蚊取線香に関する。
【0002】
【従来技術】
蚊取線香は蚊などの刺咬性害虫からの被害を防ぐために、古くから人々に愛用されている。
その主たる目的は蚊の忌避、殺滅にあることから、殺虫成分の揮散率の向上や使用時間を延ばすことなどについて種々検討がされている。
【0003】
一方上記の目的とは別に、付加的な機能を持たせた蚊取線香についてもいろいろなものが考えられており、例えば、蚊取線香の残量を示すために線香上に一定間隔の印を入れたもの、煙の量を調整するために太さを変えたもの、マッチなどで着火しやすいように蚊取線香の先端部に着火剤を塗布したものなどが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記のごとく従来から検討されてきた蚊取線香は製品の外観、使用時の状態(燃焼時)に特徴をもったものはなかった。
ましてや蚊取線香の使用時の状態を楽しむという感覚はなく、またその光と音に着目したものはなく、それらについて検討したものも知られてはいない。
このような状況を踏まえて、従来の蚊取線香とは異なり、その使用時の状態を感覚で楽しむことができ、光と音を特定の波長、周波数にする場合はそれによって蚊を誘引したり忌避したりすることもできる蚊取線香を提供することを本発明の目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、下記の蚊取線香によって上記の課題を満足することをみいだし本発明に至った。
(1)硝酸カリウム、硝酸バリウム、硝酸ストロンチウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸アンモニウム、塩素酸カリウム、酸化鉄および二酸化マンガンからなる群から選択した酸素供給剤、アルミニウム、マグネシウム、マグナリウム、鉄、ケイ素、ケイ素鉄、チタンおよび赤リンからなる群から選択した火花剤ならびにパラフィンワックス、ポリエチレングリコール、ロウ、ステアリン酸、セラック、アラビヤゴム、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、マイクロクリスタリンワックス、ベントナイト、ニトロセルロース、セチルアルコール、小麦粉、カゼイン、みじん粉および合成樹脂接着剤からなる群から選択したバインダーを含み、蚊取線香の燃焼に応じて光と音とを同時もしくは連続して発生する粒状体組成物を保持させたことを特徴とする蚊取線香。
(2)粒状体の大きさが0.02〜2mmである上記(1)記載の蚊取線香。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の蚊取線香は、燃焼時に光と音とを同時にもしくは連続して発生させるもので、あたかも花火を楽しむがごとく、使用者が視覚そして聴覚にて楽しむことができ、光と音を特定の波長、周波数にする場合はそれによって蚊を誘引したり忌避したりすることもできる。
さらに詳述すれば本発明の蚊取線香は、線香花火のごとき発光と同時にもしくはその前後に連続してパチパチという心地良い発音を提供することができ、光と音の選択によってはそれらによって蚊を誘引したり忌避したりすることもできる。
【0007】
本発明において、蚊取線香の燃焼に応じて光と音とを同時にもしくは連続して発生する材料とは、蚊取線香が燃焼して熱エネルギー(火炎や高温)が該材料に接近若しくは到達したときに、光を発し、同時に又は前後に連続してパチパチなどの音を発するものであればよい。また、光と音に蚊を誘引したり忌避したりする機能を持たせる場合には、それらの機能が得られるように光と音の波長、周波数を選択すればよい。
本発明におけるこのような材料の好ましい態様を以下に示す。
本発明において蚊取線香の燃焼に応じて光と音とを同時にもしくは連続して発生する材料としては組成物が好ましく、組成物としては例えば酸素供給剤と火花剤とがバインダーによって近接若しくは接して存在しているものが示される。
上記組成物において蚊取線香に酸素供給剤だけ、火花剤だけを保持させたり、両者を離してばらばらに保持させた場合には、本発明の効果を十分に得ることはできない。
【0008】
本発明において、上記の材料の保持量は蚊取線香の全体量に対して5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%である。
また、上記の材料の形態としては、例えば、粒状体、顆粒状、球状、細粒状、微細粒状、糸状、細片状(鱗状)などがあげられ、またその表面は凹凸状、平滑状であってもよい。
【0009】
また上記の材料を線香に保持させることとは、蚊取線香に均一に保持させてもよく、蚊取線香の表面や内部にだけに保持させてもよい。表面だけに保持させるような場合には、蚊取線香を製造した後に、その表面に上記の材料を噴霧、塗布したり、糊剤などで固着などさせればよい。
【0010】
本発明の蚊取線香を得るための手段についてその1例を具体的に示すと、まず酸素供給剤、火花剤およびバインダーを一緒に混合して固化し、冷ました後に粉砕機で粉砕するなどして粒状体とする。次に線香基材(以下に示す各種配合成分)に所望の前記粒状体を加え攪拌、混合した後、溶媒を加えて練合し、プレス成型機などで成型し除湿乾燥させればよい。
この他の1例を具体的に示すと以下のとおりである。酸素供給剤、火花剤をエチルセルロース、でん粉等で例示される糊剤と混合し、溶媒に分散又は溶解させた後、蚊取線香の表面に噴霧あるいは塗布することにより、上記材料を蚊取線香の表面に保持させる。溶媒としては、水、脂肪族又は芳香族好ましくは脂肪族の炭化水素、アルコール、エステル、エーテル等があげられ、水は界面活性剤、色素、香料、乳化剤等で例示される各種の添加剤を含んでいてもよい。
【0011】
本発明において酸素供給剤としては、例えば、硝酸カリウム、硝酸バリウム、硝酸ストロンチウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸アンモニウム、塩素酸カリウム、酸化鉄、二酸化マンガンなどが挙げられ、これらの中でも硝酸カリウムが好ましい。
【0012】
また火花剤としては、例えば、アルミニウム、マグネシウム、マグナリウム、鉄、ケイ素、ケイ素鉄、チタン、赤リンなどが挙げられ、これらの中でもチタンが好ましく、その粒径が50μm以下のものがさらに好ましい。
【0013】
本発明において粒状体を得るには、例えば、酸素供給剤10〜90重量%、火花剤5〜50重量%およびバインダー5〜50重量%とを混合し、必要に応じて60〜120℃程度に加熱して溶解混合し、放冷後に0.01〜5mm程度に粉砕すればよい。
酸素供給剤、火花剤およびバインダーの混合比としては、例えば1〜18:1〜9:1〜9が挙げられ、好ましくは1〜8:1〜4:1〜4とする。
【0014】
バインダーとしては、例えば、パラフィンワックス、ポリエチレングリコール、ロウ、ステアリン酸、セラック、アラビヤゴム、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、マイクロクリスタリンワックス、ベントナイト、ニトロセルロース、セチルアルコール、小麦粉、カゼイン、みじん粉、合成樹脂接着剤などが挙げられる。
【0015】
また蚊取線香の製造時に水を加えて混合する場合には、酸素供給剤や火花剤が水溶性であると溶けだしてしまい、発光、発音が得られないことがあるので、バインダーとしては、難水溶性もしくは非水溶性のものを用いることが好ましい。それによって粒状体が難水溶性もしくは非水溶性となり、製造時に水を加えても溶けだすことなく有効量を有効な状態で蚊取線香に保持させることができる。これらの中ではパラフィンワックスが好ましいものとして挙げられる。
【0016】
また本発明において粒状体には、発煙剤や笛音剤などをいっしょに加えて使用時の楽しみを付加してもよく、例えば、赤煙であればパラレッド、スモークレッド、ローダミンなど、青煙であればメチレンブルー、フタロシアニンブルーなど、黄煙であればスモークイエロー、バターイエローなど、橙煙であればオイルオレンジなどを使用すればよい。
また笛音剤としては例えば、硝酸カリウム・ピクリン酸カリウム系、過塩素酸カリウム・サリチル酸塩系、過塩素酸カリウム・安息香酸塩系、過塩素酸カリウム・フタル酸塩系の化合物が挙げられる。
この他にも、流動パラフィン、動物油、植物油、硝化綿などの増煙剤、焔色剤(色火を出す金属化合物)などを用いてもよい。
【0017】
光、音には対象害虫を忌避したり誘引したりする作用を持たせてもよく、そのために誘引作用を有する波長及び周波数、忌避作用を有する波長及び周波数の光、音を選択して用いることができる。
蚊の場合について具体例を示すと、例えば、光の波長を300〜500nmとしたり、音の周波数を300〜500Hzとすれば蚊を誘引することができ、それによって周辺にいる蚊をある程度、蚊取線香に誘引し、殺虫成分により積極的に防除することができる。
また、光の波長を600〜700nmとしたり、音の周波数を4〜20KHzとすることで、蚊を忌避することができ、蚊取線香にある程度の忌避作用を持たせることができる。
これらの光と音とは、誘引作用を奏するもの、忌避作用を有するものを組み合わせて用いることがそれぞれの効果の点から好ましいが、光と音の一方だけをこれらの条件にあったものとしてもよい。光と音は、瞬間的に又は継続的に発生させればよく、例えば上記のものから選択して、これらに対応する色調、音色を主として含むものとすることができる。
【0018】
本発明で用いられる殺虫成分としては、公知のものであれば特に制限はないが、安全性に優れたピレスロイド系化合物を用いることが好ましい。例えば、天然ピレトリン、ピレトリン、アレスリン、プラレトリン、トランスフルスリン、レスメトリン、フラメトリン、エムペントリン、テラレスリン、フタルスリン等が挙げられる。これらの殺虫成分は蚊取線香中に通常は0.01〜1重量%含有される。
【0019】
さらに忌避成分を殺虫成分と共に、または殺虫成分に代えて用いてもよく、例えばディート、ゼラニウム油、ユーカリ油、シトロネラ油、蚊連草油などが挙げられる。
またこれらの殺虫成分は、必要により乳剤、油剤、マイクロカプセル化製剤、サイクドデキストリン包接化製剤などとして蚊取線香に保持させてもよい。
本発明の蚊取線香には、上記の他にも支燃剤、結合剤、共力剤、防黴剤、色素、香料などを含有させることができる。
【0020】
支燃剤としては、例えばビャクシン粉末、ビャクダン粉末、クスノキ粉末、モミノキ粉末、スギ粉末、ヤナギ粉末、ハリギリ粉末、ホオノキ粉末、シナノキ粉末、トウヒ粉末、イエローポプラ粉末、カツラ粉末、アカシア粉末、ヤマナラシ粉末、オオバボダイジュ粉末、オオバヤナギ粉末、サワグルミ粉末、ネズコ粉末、キリ粉末、シオジ粉末、バルサ粉末、ラワン粉末、シラカバ粉末、柑橘類木末粉、キク科植物粉末、アカネ科植物粉末、スイカズラ科植物粉末、センダン科植物粉末、ジンチョウゲ科植物粉末、シソ科植物粉末、フトモモ科植物粉末、セリ科植物粉末、イネ科植物粉末、クワ科植物粉末、モクセイ科植物粉末、除虫菊抽出粉末(カス粉)などの植物乾燥粉末などが挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して用いることができ、蚊取線香での使用量としては70〜95重量%が挙げられる。
【0021】
結合剤としては、例えばダブ粉、澱粉、澱粉加工品、トランガム、アラビアガム、グァーガム、ガンビル抽出粉末、カゼイン等の天然高分子:ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチル澱粉、ジアルデヒド澱粉、カチオン澱粉等の合成高分子などが挙げられる。
これらは単独または2種以上を混合して用いることができ、蚊取線香での使用量としては1〜10重量%が挙げられる。
【0022】
増量剤としては、例えばタルク、パーライト、ケイソウ土などが挙げられ、1〜20重量%が使用することができる。
【0023】
共力剤としては、例えばピペロニルブトキサイド、N−プロピルイゾーム、サイネピリン222(商品名)、サイネピリン500(商品名)、リーセン384(商品名)、オクタクロロジプロピルエーテル、チオシアノ酢酸イソボルニル、シネトリンなどが挙げられ、防黴剤としては、例えば安息香酸、ソルビン酸、デヒドロ酢酸、パラヒドロキシ安息香酸、オルトフェニルフェノール、これらの塩、これらの酸、これらのエステルなどが挙げられ、色素としては例えば、マラカイトグリーンなどの有機顔料、無機顔料、染料など、香料としては例えば、シトラール、シトロネラール、ゲラニオール、ユーカリプトールなどが挙げられる。これらは通常、蚊取線香に0.01〜2重量%配合される。
【0024】
本発明の蚊取線香は効果が奏される限りその形態は特に制限されず、例えば、円形渦巻型、多角形渦巻型、棒状、円筒状、管状、平板状など任意の形態とすることができる。
【0025】
さらに使用時間を調整するために、複数の蚊取線香を連結して使用できるように連結部を具備させてもよい。
またその使用場所については屋内はもちろん野外において使用してもよく、その場合には蚊取線香の着火部にパラフィンワックス、硝酸エステル、硝酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩などからなる燃焼助剤を塗布したり、蚊取線香全体の燃焼性を高めるために流動パラフィンなどを練り込むなどしてもよい。
【0026】
本発明の蚊取線香が対象とする害虫は、蚊、ブユなどの刺咬性害虫はもちろん、殺虫成分の種類、配合量を適宜調整することによってゴキブリ、ハエ、ダニなどの各種害虫にも適用することができる。そして、これらの害虫に対して殺虫、忌避、虫よけなどの作用を示す。
【0027】
【実施例】
以下に実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】
(1)蚊取線香の製造
実施例1
パラフィンワックス67g中に、硝酸カリウム200gとチタン133gを混合し、約100℃で溶解混合した後、放冷して固化させた。次にこの固化物を粉砕機にて約1mm以下に粉砕し、18.5メッシュの篩いを通して粒径が約0.1〜0.8mmの粒状体を得た。
そしてこの粒状体400gを、線香基材1600g(植物混合粉、流動パラフィン5%)に加えて混合した後、水に溶解させたアレスリン0.3%、乳化剤0.1%、マラカイトグリーン0.3%、デヒドロ酢酸ナトリウム0.3%を加え練合した。この練合物を押出し成型し、約30℃で20時間除湿乾燥して円筒状の蚊取線香を得た。
【0029】
比較例1
チタンを混合しない他は、実施例1と同様にして円筒状の蚊取線香を得た。
比較例2
硝酸カリウムを混合しない他は、実施例1と同様にして円筒状の蚊取線香を得た。
【0030】
実施例1と同様にして製造した粒状体を、表1に示す割合になるようにエチルセルロースの酢酸プロピル溶液と混ぜ、さらに色素(バリファストイエロー4120とオイルグリーン#502の4:1の混合物)、酸化チタンを加えて塗液を得た。この塗液3gを円筒状線香(外径2.5cm、長さ16cm)30gの表面に塗布し、乾燥して、光と音を発生する材料を表面に保持した蚊取線香を得た。
【0031】
【表1】
粒状体 9.4%
エチルセルロース 9.4%
色素 2.8%
酸化チタン 2.8%
酢酸プロピル 75.6%
【0032】
(2)発光、発音の試験
実施例1〜2および比較例1〜2の蚊取線香を用いて、燃焼中での発光、発音の状態を確認した。
その結果は、発光が顕著である○、発光がない、はっきりしない×、パチパチとした発音がある○、発音がない×として表2に示した。
【0033】
【表2】
【0034】
上記の観察結果を詳述すると、実施例1及び2はパチパチとした音がはっきりとしており、また、発光も大きく見た目にも十分に楽しむことができた。
比較例1〜2は、パチパチしなかったり、発光はほとんどなく目的とする効果は得られなかった。
【0035】
(3)蚊取線香の製造例
表3記載の各種形態の蚊取線香を実施例1と同様に調製した。
【0036】
【表3】
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、燃焼時に発光、発音が生じて使用時の状態を目でみて、耳で聞いて、感覚として楽しむことができ、光と音を特定の波長、周波数にする場合はそれによって蚊を誘引したり忌避したりすることもできる、新しい蚊取線香を提供することができる。
Claims (2)
- 硝酸カリウム、硝酸バリウム、硝酸ストロンチウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸アンモニウム、塩素酸カリウム、酸化鉄および二酸化マンガンからなる群から選択した酸素供給剤、アルミニウム、マグネシウム、マグナリウム、鉄、ケイ素、ケイ素鉄、チタンおよび赤リンからなる群から選択した火花剤ならびにパラフィンワックス、ポリエチレングリコール、ロウ、ステアリン酸、セラック、アラビヤゴム、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、マイクロクリスタリンワックス、ベントナイト、ニトロセルロース、セチルアルコール、小麦粉、カゼイン、みじん粉および合成樹脂接着剤からなる群から選択したバインダーを含み、蚊取線香の燃焼に応じて光と音とを同時もしくは連続して発生する粒状体組成物を保持させたことを特徴とする蚊取線香。
- 粒状体の大きさが0.02〜2mmである請求項1記載の蚊取線香。
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