JP2014028976A - プラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】硬化性成分と重合開始剤を含み、
硬化性成分が、(A)2個以上のエポキシ基と脂環式骨格を有する化合物、及び(B)成分:(b1)1個のエチレン性不飽和基と芳香環骨格又は脂環式骨格を有する化合物及び(b2)1個のエチレン性不飽和基と水酸基を有する化合物を含む分子内に1個のエチレン性不飽和基を有する化合物を含み、かつ(メタ)アクリロイル基を有するカチオン重合性化合物を含まず、
重合開始剤が、(C)光カチオン重合開始剤及び(D)光ラジカル重合開始剤を含む、
プラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
【選択図】なし
Description
尚、本明細書においては、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表す。
又、以下において、特に明示する必要がない場合は、プラスチック製フィルム又はシートをまとめて「プラスチックフィルム等」と表し、フィルム又はシートをまとめて「フィルム等」と表す。
この方法で使用される接着剤組成物は、一般に組成物の塗布量を均一にするため溶剤を多く含むものであるが、このため乾燥時に多量の溶剤蒸気が揮散してしまい、毒性、作業安全性及び環境汚染性が問題となっている。又、当該接着剤組成物は、薄層被着体を貼り合わせた直後に、得られたラミネートフィルムを接着するためのヒートシール、溝を刻設する罫線工程等の後加工工程において、薄層被着体同士が剥離してしまうという問題を有している。
これらの問題を解決する接着剤組成物として、無溶剤系の接着剤組成物が検討されている。
2液型接着剤組成物としては、主に末端に水酸基を有するポリマーを主剤とし、末端にイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物を硬化剤とする、いわゆるポリウレタン系接着剤組成物が用いられている。しかしながら該組成物は、硬化に長時間を要するという欠点があり、このため薄層被着体の貼り合わせ直後に罫線工程等の後加工工程に入ることができない等の生産性上の問題がある。
これに対して、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物は、硬化速度が速いことから生産性に優れ、最近注目されている。
近年、当該液晶表示素子に使用される各種光学フィルム等の貼り合わせにも、活性エネルギー線硬化型接着剤が使用されてきている。
しかしながら、当該組成物は、硬化時の収縮が大きく、被着体の種類によっては界面での応力発生により十分な剥離強度を得ることが困難であった。
又、この問題を解決するため、分子量の大きなウレタン(メタ)アクリレートを含む組成物が検討されている(例えば、特許文献2等)。
しかしながら、当該組成物は、粘度が上昇してしまうため、塗工装置によっては薄膜塗工ができない等の問題を有するものであった。又、硬化時の収縮応力を、接着剤組成物の柔軟性を向上させることで緩和することも可能であるが、このような手段は接着剤の耐熱性や耐水性を低下させるため、厳しい耐久性が要求される用途においては、ハガレや発泡、クラックといった不具合が発生するという問題があった。
当該組成物は、光ラジカル重合型組成物に対して、硬化時の収縮が比較的小さいため、界面での応力発生を抑制できるという利点がある。
しかしながら、光カチオン重合は、水分や塩基性物質による重合阻害が起こることが一般的に広く知られており、湿度の高い環境や、水分を多く含む基材、表面が塩基性の基材においては十分な剥離強度を得ることが困難であった。又、多官能エポキシ樹脂を主成分として含む組成物とすることで、重合阻害による硬化性低下の影響を小さくすることが可能であるが、このような組成物は、粘度が上昇してしまい、塗工装置によっては薄膜塗工ができない等の問題を有するものであった。
以下、本発明を詳細に説明する。
硬化性成分が、(A)成分:分子内に2個以上のエポキシ基と脂環式骨格を有する化合物(硬化性成分中に10〜80重量%)、及び(B)成分:(b1)成分;1個のエチレン性不飽和基と芳香環骨格又は脂環式骨格を有する化合物及び(b2)成分;1個のエチレン性不飽和基と水酸基を有する化合物を含む分子内に1個のエチレン性不飽和基を有する化合物(硬化性成分中に20〜90重量%)を含み、かつ(メタ)アクリロイル基を有するカチオン重合性化合物を含まない。
重合開始剤が、(C)成分:光カチオン重合開始剤(硬化性成分合計量に対して0.1〜20重量%)、及び(D)成分:光ラジカル重合開始剤(硬化性成分合計量に対して0.1〜20重量%)を含む。
以下、組成物の必須成分である(A)〜(D)成分について説明する。
(A)成分は、分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物であり、分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物であれば、種々の化合物が使用可能である。
(A)成分としては、例えば、分子内に2個以上のエポキシ基と芳香環骨格を有する化合物(以下、「芳香族エポキシ化合物」という)、分子内に2個以上のエポキシ基を有し、そのうちの少なくとも1個が脂環式エポキシ基(こここで、脂環式エポキシ基とは、環を構成する隣り合う2個の炭素原子の間でエポキシドを形成する脂環式基を表す。)(以下、「脂環式エポキシ化合物」という)、分子内に2個以上のエポキシ基有し、芳香環を含まない、上記「脂環式エポキシ化合物」以外の化合物(以下、「脂肪族エポキシ化合物」という)等が挙げられる。
(A)成分は、脂環式エポキシ化合物を硬化性成分中に10〜80重量%含むものである。
又、これら以外にも、文献「エポキシ樹脂−最近の進歩−」(昭晃堂、1990年発行)2章や、文献「高分子加工」別冊9・第22巻増刊号エポキシ樹脂(高分子刊行会、昭和48年発行)の4〜6頁、9〜16頁、29〜55頁に記載されている様な化合物を挙げることができる。
ここで、エポキシ樹脂とは、分子中に平均2個以上のエポキシ基を有し、反応により硬化する化合物又はポリマーをいう。この分野での慣例に従い、本明細書では、硬化性のエポキシ基を分子内に2個以上有する化合物であれば、モノマーであってもエポキシ樹脂と称することがある。
又、これら以外にも、文献「エポキシ樹脂−最近の進歩−」(昭晃堂、1990年発行)2章や、文献「高分子加工」別冊9・第22巻増刊号エポキシ樹脂(高分子刊行会、昭和48年発行)の7頁、18〜20頁に記載されている様な化合物を挙げることができる。
これら以外にも、前記文献「高分子加工」別冊エポキシ樹脂の3〜6頁に記載されている化合物を挙げることができる。
又、(A)成分としては、組成物が低粘度で硬化性に優れるものとなり、硬化物が接着性に優れる点から、脂環式エポキシ化合物を使用する。具体的には、リモネンジオキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4-エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレートが挙げられる。
(B)成分は、分子内に1個のエチレン性不飽和基を有する化合物であり、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、ビニル系化合物及びアリル化合物等が挙げられる。
アリル化合物としては、アリル基を1個有する化合物が挙げられる。具体的には、アリルアルコール等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミドとしては、(メタ)アクリルアミド基を1個有する化合物が挙げられる。具体的には、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート、
フェニル(メタ)アクリレート、フェノール誘導体の(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノールのアルキレンオキサイド変性物の(メタ)アクリレート、クレゾールのアルキレンオキサイド変性物の(メタ)アクリレート、p−クミルフェノールのアルキレンオキサイド変性物の(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのアルキレンオキサイド変性物の(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールのアルキレンオキサイド変性物の(メタ)アクリレート、p−フェニルフェノールのアルキレンオキサイド変性物の(メタ)アクリレート、トリブロモフェノールのアルキレンオキサイド変性物の(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリル酸安息香酸エステルの芳香族(メタ)アクリレートの芳香族(メタ)アクリレート;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール−ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ω−カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート等のカルボン酸含有(メタ)アクリレート;
N−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、2−(1,2−シクロヘキサ−1−エンジカルボキシイミド)エチル(メタ)アクリレート、ファンクリルFA−502A(日立化成工業製)等のイミド(メタ)アクリレート;
2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート等のリン酸(メタ)アクリレート;
が挙げられる。
(B)成分は、前記した化合物の1種のみを使用することも、2種以上を併用することもできる。
(b1)成分としては、前記した脂環式(メタ)アクリレート及び芳香族(メタ)アクリレートが好ましく、これらの中でも耐熱性及び接着性を高くできるという理由で、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノールのアルキレンオキサイド変性物の(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、2−(1,2−シクロヘキサ−1−エンジカルボキシイミド)エチル(メタ)アクリレート等が好ましい。
(b2)成分としては、水酸基を1個有する(メタ)アクリレートが好ましく、具体的な化合物は前述の通りであるが、それらの中でも、組成物が低粘度となるうえ、接着性に優れるものとなるため、分子量が200未満の化合物が好ましい。当該分子量を満たす化合物としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(b1)成分と(b2)成分の重量比としては、80:20〜10:90が好ましく、より好ましくは30:70〜70:30である。
(C)成分は、光カチオン重合開始剤である。即ち、活性エネルギー線の照射によって、カチオン又はルイス酸を発生し、光カチオン重合性化合物である(A)成分の重合を開始する化合物である。
(C)成分の具体例としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩及びジアゾニウム塩等が挙げられる。
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
4,4’−ビス〔ジフェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、
4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、
4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、
7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン ヘキサフルオロアンチモネート、
7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
4−フェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロホスフェート、
4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロアンチモネート、
4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジ(p−トルイル)スルホニオ−ジフェニルスルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のトリアリールスルホニウム塩が挙げられる。
ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
ジ(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ジ(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
トリルクミルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−ヘキサフロオロホスフェート、
ジ(4−ノニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ(4−アルキルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
等のジアリールヨードニウム塩が挙げられる。
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート
等が挙げられる。
これらの中でも、活性エネルギー線硬化性に優れ、硬化膜が耐水性に優れ着色がない等の理由で、トリアリールスルホニウム塩及びジアリールヨードニウム塩が好ましく、特に硬化性に優れる点で、ジアリールヨードニウム塩が好ましい。
トリアリールスルホニウム塩としては、前記したものの中でも、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート及びジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェートが好ましい。ジアリールヨードニウム塩としては、前記したものの中でもトリルクミルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(フォトイニシエーター2074;ローディア・ジャパン(株)製)、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−ヘキサフロオロホスフェート(イルガキュア250;BASF・ジャパン(株)製)、ジ(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート及びWPI−113(和光純薬工業(株)製)が好ましい。
(C)成分の割合は、硬化性成分合計量に対して0.1〜20重量%であり、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは2〜7重量%である。(C)成分の割合が0.1重量%以上にすることにより、組成物の活性エネルギー線硬化性を十分なものとし接着性に優れるものとすることができ、一方、20重量%以下にすることにより、接着層の内部硬化性を良好なものとし、接着性に優れるものとすることができる。
増感剤としては、アントラセン化合物、4−メトキシ−1−ナフトール、フルオレン、ピレン及びスチルベン等が挙げられる。
アントラセン化合物としては、例えばアントラセン、9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、4’−ニトロベンジル−9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、4’−ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート及び4’−ニトロベンジル−9,10−ジプロポキシアントラセン−2−スルホネート等が挙げられる。
これらの中でも、組成物への溶解性に優れ、(C)成分の増感作用が高い点から、9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン及び9,10−ジプロポキシアントラセンが好ましい。
これら増感剤の市販品としては、アントラキュアUVS−1331、1221、1101、ET−2111〔川崎化成工業(株)製〕が挙げられる。
(C)成分としてスルホニウム塩を使用する場合は、アントラセン化合物を増感剤として併用することが好ましい。
(D)成分は、光ラジカル重合開始剤である。即ち、活性エネルギー線の照射によってラジカルを発生し、エチレン性不飽和基を有する化合物である(B)成分の重合を開始する化合物である。又、(D)成分の種類によっては、(C)成分の光カチオン硬化性を高めるための増感剤としても機能するものもある。
ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−(メチルフェニルチオ)フェニルフェニルメタン、メチル−2−ベンゾフェノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフォニル)プロパン−1−オン、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4‘−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン及び4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物;
チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントン、3−[3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イル]オキシ]−2−ヒドロキシプロピル−N,N,N―トリメチルアンモニウムクロライド及びフロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;
アクリドン及び10−ブチル−2−クロロアクリドン等のアクリドン系化合物;
1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル類、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体及び2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;並びに
9−フェニルアクリジン及び1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体等が挙げられる。
本発明の組成物は、上記(A)〜(D)成分を必須成分とするものであるが、さらに目的に応じて種々の成分を配合することができる。
耐熱性、耐水性及び接着性等をより向上させるため、分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物〔以下(E)成分という〕及び/又はシランカップリング剤〔以下(F)成分という〕を配合することができる。以下、具体的に説明する。
(E)成分は、分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物であり、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、ビニル系化合物及びアリル化合物が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−ノナンジオールジアクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等のポリオールポリ(メタ)アクリレート;
ネオペンチルグリコールアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールルアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、グリセリンのアルキレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンアルキレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールアルキレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート等のポリオールのアルキレンオキサイド付加物のポリ(メタ)アクリレート;
ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等のグリコール変性ポリオールポリ(メタ)アクリレート;
カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性ポリオールポリ(メタ)アクリレート;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート及びプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及びテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;
トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート及びジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート等の脂環式ジオールのジ(メタ)アクリレート;
ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート及びビスフェノールSアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート等のビスフェノール系化合物アルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート;
水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート及び水添ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート等の水添ビスフェノール系化合物のジ(メタ)アクリレート;
イソシアヌル酸アルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレートイソシアヌル酸カプロラクトン付加物のトリ(メタ)アクリレート等のイソシアヌル酸のポリ(メタ)アクリレート;
ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸ジ(メタ)アクリレート及びヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のエステルジオールのジ(メタ)アクリレート;
カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸ジ(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変成エステルジオールのジ(メタ)アクリレート;
ポリオールと(メタ)アクリル酸及び炭素数2〜4の脂肪酸とを反応させて得られる、脂肪酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及び脂肪酸変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;
トリアクリルホルマール;並びに
トリメチロールプロパン(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、オグソールEA−0200、0500、1000(フルオレン系アクリレート、大阪ガスケミカル製)等の芳香族多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
尚、前記したアルキレンオキサイド付加物としては、エチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトール等の低分子量ポリオール、並びにこれらのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
カルボン酸又はその無水物としては、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸及びトリメリット酸等の二塩基酸又はその無水物等が挙げられる。
これら以外のポリエステルポリ(メタ)アクリレートとしては、前記文献「UV・EB硬化材料」の74〜76頁に記載されているような化合物等が挙げられる。
芳香族エポキシ樹脂としては、具体的には、レゾルシノールジグリシジルエーテル;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールフルオレン又はそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル;フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;グリシジルフタルイミド;o−フタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
これら以外にも、文献「エポキシ樹脂−最近の進歩−」(昭晃堂、1990年発行)2章や、文献「高分子加工」別冊9・第22巻増刊号 エポキシ樹脂[高分子刊行会、昭和48年発行]の4〜6頁、9〜16頁に記載されている様な化合物を挙げることができる。
これら以外にも、前記文献「高分子加工」別冊エポキシ樹脂の3〜6頁に記載されている化合物を挙げることができる。
上記において、アルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が好ましい。
この様な問題を防止する場合には、活性エネルギー線照射直後から接着層の弾性率が高くなる(E)成分の配合が極めて効果的である。又、架橋密度が高くなることで耐熱性も向上する。
(E)成分としては、前記した化合物の中でも、暗反応による不具合の防止や耐熱性を向上させるという点で、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド変性物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのアルキレンオキサイド変性物ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸のアルキレンオキサイド変性物トリアクリレートが好ましく、かつ親水性プラスチックとの接着力を維持できるという点で、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
(E)成分の割合を1重量%以上にすることで、暗反応による不具合の防止や耐熱性を向上させることができ、20重量%以下にすることで、組成物の硬化収縮を抑制して、接着力に優れるものとすることができる。
(F)成分は、接着剤層と親水性プラスチックとの界面接着強度を改善できるシランカップリング剤である。本発明に用いられるシランカップリング剤としては、基材との接着性向上に寄与できるものであれば特に限定されるものではない。
組成物中に(F)成分を含む場合、(F)成分の割合は、組成物中に0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは1〜10重量%である。(F)成分の割合が0.1重量%以上にすることで、組成物の接着力を向上させる効果を十分なものとし、20重量%以下にすることで、組成物の貯蔵安定性に優れるものとすることができる。
本発明の組成物には、前記以外にも、接着剤組成物で通常使用されるその他の成分を配合することができる。
これらは、組成物中に20重量%以下の量で配合することが好ましい。
組成物の製造方法としては、前記(A)〜(D)成分を、必要に応じてさらにその他成分を、常法に従い攪拌及び混合することにより製造することができる。この場合、必要に応じて加熱することもできる。加熱温度としては、使用する組成物、基材及び目的等に応じて適宜設定すれば良いが、30〜80℃が好ましい。
又、本発明の組成物は、硬化性成分として、特許文献7に開示された(メタ)アクリロイル基を有するカチオン重合性化合物を実質的に含まない組成物である。これにより、硬化時の収縮応力を小さくして接着力を向上できる。
ここで、「硬化性成分が、(メタ)アクリロイル基を有するカチオン重合性化合物を実質的に含まない」とは、硬化性成分中における(メタ)アクリロイル基を有するカチオン重合性化合物の含有量が15重量%未満を意味し、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、特に好ましくは1重量%以下、最も好ましくは0重量%を意味する。
その他基材としては、紙及び金属等が挙げられる。
使用方法としては、常法に従えば良く、基材に塗布した後、もう一方の基材と貼り合せ、活性エネルギー線を照射する方法等が挙げられる。
紙としては、模造紙、上質紙、クラフト紙、アートコート紙、キャスターコート紙、純白ロール紙、パーチメント紙、耐水紙、グラシン紙及び段ボール紙等が挙げられる。
金属箔としては、例えばアルミニウム箔等が挙げられる。
又、本発明の組成物の塗布厚さは、使用する基材及び用途に応じて選択すればよいが、好ましくは0.1〜100μmであり、より好ましくは1〜25μmである。
紫外線により硬化させる場合の光源としては、様々のものを使用することができ、例えば加圧或いは高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、無電極放電ランプ、カーボンアーク灯及びLED等が挙げられる。
電子線により硬化させる場合には、使用できるEB照射装置としては種々の装置が使用でき、例えばコックロフトワルトシン型、バンデグラフ型及び共振変圧器型の装置等が挙げられ、電子線としては50〜1000eVのエネルギーを持つものが好ましく、より好ましくは100〜300eVである。
例えば、組成物を第1の薄層被着体に塗工し、必要に応じて乾燥させた後、これに第2の薄層被着体を貼り合わせ、活性エネルギー線の照射を行う方法等が挙げられる。
プラスチックフィルム等は、活性エネルギー線を透過できるものである必要があり、膜厚としては使用する薄層被着体及び用途に応じて選択すればよいが、好ましくは厚さが0.2mm以下である。
又、本発明の組成物の塗布厚さは、使用する薄層被着体及び用途に応じて選択すればよいが、前記と同様の塗布厚さが好ましい。
別の方法としては、基材を平面状態で本発明の組成物を塗工し、もう一方の基材を貼り合わせ、凹状態又は凸状態に折り曲げ、活性エネルギー線を照射して接着する方法が挙げられる。
この場合、平面状態で組成物を塗工する方法としては、前記した方法に従えば良い。曲面状態で組成物を塗工する方法としては、スプレー、デップ、カーテンフローコーター、スクリーン印刷及びスロットダイコーター等を使用する方法が挙げられる。
本発明の組成物から得られたラミネートフィルム等の積層体は、高温及び高湿条件下における接着力に優れているため、液晶表示装置等に用いる偏光板及び保護フィルム、位相差フィルム等の光学フィルムに好適に使用できる。
本発明の組成物は、特に偏光板及び位相差フィルム付偏光板の製造に好ましく使用することができる。以下、偏光板の製造方法について説明する。
前記した通り、本発明の組成物は、親水性プラスチックの接着に好ましく使用でき、偏光板の製造においては、偏光子として使用するポリビニルアルコール、偏光子の保護フィルムとして使用するトリアセチルセルロースが親水性プラスチックに相当する。
偏光子の具体例としては、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着、配向させたヨウ素系偏光子、ポリビニルアルコール系フィルムに二色性の染料を吸着、配向させた染料系偏光子、(リオトロピック)液晶状態の色素をコーティングし、配向、固定化した塗布型偏光子等が挙げられる。
これら、ヨウ素系偏光子、染料系偏光子、塗布型偏光子は、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過し、他の一方向の直線偏光を吸収する機能を有するもので、吸収型偏光子と呼ばれている。
この場合、偏光板としては、その片面又は両面に保護層を有するものを使用することができる。この場合、保護層としては、前記保護フィルムを貼合したものでも、コーティングによって形成された保護膜であっても良い。片面にのみ保護層を設けた偏光板は、位相差フィルムと接着する面が、保護層のある面であっても、保護層のない面であっても良い。
前記した環状ポリオレフィンは、ノルボルネン、テトラシクロドデセンや、それらの誘導体等の環状オレフィンから得られる樹脂の一般的な総称であり、たとえば、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報等に記載されているものが挙げられる。
具体的には環状オレフィンの開環重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレン等のα−オレフィンとのランダム共重合体、又これらを不飽和カルボン酸やその誘導体等で変性したグラフト変性体等が例示できる。さらには、これらの水素化物があげられる。商品としては、日本ゼオン(株)製のゼオネックス、ゼオノア、JSR(株)製のアートン、TICONA社製のトーパス等が挙げられる。
当該製造方法としては、下記工程[1]〜[3]を含む方法が挙げられる。
[1]本発明の組成物を、被着体となる偏光子、偏光板、保護フィルム、保護膜、位相差フィルム、及び位相差膜から選ばれる被着体(基材)に塗工する工程、
[2]前記組成物を塗工した被着体(基材)に、偏光子、偏光板、保護フィルム、保護膜、位相差フィルム、及び位相差膜から選ばれるもう一方の被着体を貼り合わせる工程、並びに
[3]貼り合わせた被着体(積層体)に活性エネルギー線を照射する工程、特に貼り合わせた被着体(積層体)越しに前記組成物に活性エネルギー線を照射する工程。
保護フィルム又は位相差フィルムを片側だけに貼合する場合は、上記手順により偏光板又は位相差フィルム付偏光板を製造可能であるが、両側に貼合する場合は、工程[1]及び[2]を2回繰り返した後に工程[3]を実施しても良いし、工程[1]、[2]及び[3]を2回繰り返しても良い。
又、上記の製造方法を用いて、前記した様に、曲面状態で接着することもできる。
具体的には、偏光フィルムに対して、各波長に対して1/2波長を有する位相差フィルムを貼り合せ、さらに各波長に対して1/4波長を有する位相差フィルムを貼り合せる方法がある。この場合は、工程[1]及び[2]を3回繰り返した後に工程[3]を実施しても良いし、工程[1]、[2]及び[3]を3回繰り返しても良い。
なお、本明細書で引用した文献は、参考として引用される。
下記表1に示す(A)〜(F)成分を、60℃で1時間加熱撹拌して溶解させ、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を製造した。表1における括弧内の数字は、重量部を意味する。
(A)成分
・jER:ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名jER−828
・CEL:3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、ダイセル化学工業(株)製、商品名セロキサイド2021P:
(B)成分
・BzA:ベンジルアクリレート、大阪有機化学(株)製ビスコート♯160
・IBXA:イソボルニルアクリレート、共栄社化学(株)製ライトアクリレートIB−XA
・ACMO:アクリロイルモルホリン、(株)興人製
・PEA:フェノキシエチルアクリレート、共栄社化学(株)製ライトアクリレートPO−A
・M−145:2−(1,2−シクロヘキサ−1−エンジカルボキシイミド)エチルアクリレート、東亞合成(株)製アロニックスM−145
・HPA:2−ヒドロキシプロピルアクリレート、共栄社化学(株)製ライトエステルHOP−A
・HBA:2−ヒドロキシブチルアクリレート、共栄社化学(株)製ライトアクリレートHOB−A
・HEM:2−ヒドロキシエチルメタクリレート、共栄社化学(株)製ライトエステルHOP
(C)成分
・Irg:イルガキュア250:ヨードニウム塩系光カチオン開始剤(BASF・ジャパン製)
・CPI:CPI−100P:スルホニウム塩系光カチオン開始剤の50重量%プロピレンカーボネート溶液(サンアプロ製)
(D)成分
・DETX:2,4−ジエチルチオキサントン、日本化薬(株)製DETX−S
・TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF・ジャパン製ダロキュアTPO
(E)成分
・M203S:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、東亞合成(株)製アロニックスM−203S
・M211B:ビスフェノールA(EO変性≒2)ジアクリレート、東亞合成(株)製アロニックスM−211B
・M315:イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、東亞合成(株)製アロニックスM−315
・M325:εーカプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチルイソシアヌレート、東亞合成(株)製アロニックスM−325
・M−270:ポリプロピレングリコール(n≒12)ジアクリレート、東亞合成(株)製アロニックスM−270
(F)成分
・KBM:2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製KBM−303
その他成分
・OX211:3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、東亞合成(株)製アロンオキセタンOXT−211
・SM100:3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート、サイクロマーM−100:(ダイセル化学工業製)
・M1310:ウレタンアクリレート、東亞合成(株)製アロニックスM−1310
・M1200:ウレタンアクリレート、東亞合成(株)製アロニックスM−1200
・M1600:ウレタンアクリレート、東亞合成(株)製アロニックスM−1600
・DBA:アントラキュアUVS−1331:9,10−ジブトキシアントラセン(川崎化成製)
得られた組成物を、下記の試験方法に従い評価した。それらの結果を表2に示す。
E型粘度計を用いて、25℃における活性エネルギー線硬化型接着剤組成物の粘度を測定した。コーターでの薄膜塗工の際には、25℃粘度が低いほど好ましいため、下記の基準で判定した。
○:100mPa・s未満
△:100〜200mPa・s
×:200mPa・sを超過
偏光板製造のため、親水性プラスチックである偏光子及び保護層を接着することを想定し、接着試験の基材として親水性プラスチックであるトリアセチルセルロースを用いて、以下のモデル実験を行った。
厚さ80μmのUV吸収剤入りトリアセチルセルロースフィルム〔商品名フジタック、富士フィルム(株)製、以下「FTAC」という〕上に、易接着処理としてコロナ処理(ナビタス製ポリダイン1、出力0.1kW、処理速度1秒/cm)を実施した。
その後、フィルム上に前記で得られた組成物をバーコーターにより5μmの厚みに塗布した。これに、同じコロナ処理を実施したFTACをラミネートした後、160W/cm集光型のメタルハライドランプ(焦点距離から30cm)を用いて、コンベアスピ−ド5m/minで硬化させ、試験体であるラミネートフィルムを製造した。紫外線強度は150mW/cm2、積算光量は400mJ/cm2であった(いずれも365nmでの値)。
・試験片:25mm×100mm
・試験方法:T字剥離
・剥離速度:200mm/min
次に得られた試験体を、下記条件で高温試験及び高湿試験を行った後、上記と同様の方法及び条件で剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
・高温試験後:85℃で96時間
・高湿試験後:60℃、90%RHで96時間
剥離強度の値が1N/25mm以上を良好と評価し、剥離せず試験体が材料破壊(表2では「材破」と記載)した場合がより優れていると評価した。
T剥離強度の試験と同様にフィルム積層からUV硬化まで実施した。フィルムを幅50mm×長さ100mmに裁断し、3インチの紙管にセロテープ(登録商標)を用いて貼り付けた。その後、室温で24時間放置した後でフィルムを外し、水平な机の上に置いてフィルム外観を観察した。暗反応が進行しやすいと、紙管に巻き取った際の形状が残ってしまうため、フィルム端部の反り高さが大きくなる。フィルム4隅の端部の反り高さを定規により測定し、その平均値(mm)を暗反応抑制性の指標とした。小さいほど良好である。
以上の結果を表2に示す。
これに対して、本願発明の(B)及び(D)成分を含まない光カチオン重合型組成物(比較例1)、ハイブリッド型組成物ではあるが、本願発明の(A)成分を含まない組成物(比較例2)、本願発明の(A)及び(C)成分を含まない光ラジカル型組成物(比較例2)は、初期剥離強度、高湿試験後の剥離強度のいずれも不十分なものであった。
Claims (12)
- 硬化性成分及び重合開始剤を含む組成物であって、
硬化性成分が、(A)成分:分子内に2個以上のエポキシ基と脂環式骨格を有する化合物(硬化性成分中に10〜80重量%)、及び(B)成分:(b1)成分;1個のエチレン性不飽和基と芳香環骨格又は脂環式骨格を有する化合物及び(b2)成分;1個のエチレン性不飽和基と水酸基を有する化合物を含む分子内に1個のエチレン性不飽和基を有する化合物(硬化性成分中に20〜90重量%)を含み、かつ(メタ)アクリロイル基を有するカチオン重合性化合物を含まず、
重合開始剤が、(C)成分:光カチオン重合開始剤(硬化性成分合計量に対して0.1〜20重量%)、及び(D)成分:光ラジカル重合開始剤(硬化性成分合計量に対して0.1〜20重量%)を含む、
プラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。 - (B)成分が、(b1)成分;1個のエチレン性不飽和基と芳香環骨格又は脂環式骨格を有する化合物及び(b2)成分;1個のエチレン性不飽和基と水酸基を有する化合物を重量比で80:20〜10:90の割合で含む請求項1に記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
- さらに、硬化性成分として(E)分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を含有し、硬化性成分中に(A)、(B)及び(E)成分を下記に示す割合で含有する請求項1又は請求項2項に記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物;
(A)成分:硬化性成分中に10〜80重量%、
(B)成分:硬化性成分中に20〜89重量%、
(E)成分:硬化性成分中に1〜20重量%、
但し、(A)、(B)及び(E)成分の割合は、その合計量が100重量%となる割合を意味する。 - (E)成分が、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートを含む請求項3に記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
- さらに、組成物中に(F)シランカップリング剤を0.1〜20重量%の割合で含有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
- プラスチック製フィルム又はシートのいずれか一方又は両方が親水性プラスチックである請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
- プラスチック製フィルム又はシートがポリビニルアルコール系偏光フィルムである請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の偏光板製造用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
- プラスチック製フィルム若しくはシート、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の組成物の硬化物、及びその他基材又はプラスチック製フィルム若しくはシートから構成される積層体。
- プラスチック製フィルム若しくはシート、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の組成物の硬化物、及びその他基材又はプラスチック製フィルム若しくはシートから構成される偏光板。
- プラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物の製造方法であって、
(A)成分:分子内に2個以上のエポキシ基と脂環式骨格を有する化合物(硬化性成分中に10〜80重量%)、及び(B)成分:(b1)成分;1個のエチレン性不飽和基と芳香環骨格又は脂環式骨格を有する化合物及び(b2)成分;1個のエチレン性不飽和基と水酸基を有する化合物を含む分子内に1個のエチレン性不飽和基を有する化合物(硬化性成分中に20〜90重量%)を含み、かつ(メタ)アクリロイル基を有するカチオン重合性化合物を含まない硬化性成分、及び
(C)成分:光カチオン重合開始剤(硬化性成分合計量に対して0.1〜20重量%)、及び(D)成分:光ラジカル重合開始剤(硬化性成分合計量に対して0.1〜20重量%)を含む重合開始剤、
を混合することを特徴とする製造方法。 - 少なくとも一方がプラスチック製フィルム又はシートである2つの基材を、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の組成物を用いて貼着し、これに活性エネルギー線を照射することを特徴とする接着方法。
- 少なくとも一方がプラスチック製フィルム又はシートである2つの基材を、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の組成物を用いて貼着し、これに活性エネルギー線を照射することを特徴とする積層体の製造方法。
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