JP6369201B2 - プラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物 - Google Patents
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Description
尚、本明細書においては、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表す。
又、以下において、特に明示する必要がない場合は、プラスチック製フィルム又はシートをまとめて「プラスチックフィルム等」と表し、フィルム又はシートをまとめて「フィルム等」と表す。
この方法で使用される接着剤組成物は、一般に組成物の塗布量を均一にするため溶剤を多く含むものであるが、このため乾燥時に多量の溶剤蒸気が揮散してしまい、毒性、作業安全性及び環境汚染性が問題となっている。
これらの問題を解決する接着剤組成物として、無溶剤系の接着剤組成物が検討されている。
2液型接着剤組成物としては、主に末端に水酸基を有するポリマーを主剤とし、末端にイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物を硬化剤とする、いわゆるポリウレタン系接着剤組成物が用いられている。しかしながら該組成物は、硬化に長時間を要するという欠点がある。
これに対して、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物は、硬化速度が速いことから生産性に優れるため、近年使用される場面が増えてきている。
さらに、特許文献1に開示されている組成物は、ポリメチルメタクリレート及びアルキル(メタ)アクリレートポリマー等の(メタ)アクリル樹脂への接着力が不十分であるという問題があった。
しかも、接着剤を塗工・硬化する際の雰囲気の湿度が高いと、接着力が大きく低下するという問題があった。
(A)成分:(a1)エポキシ基及びエチレン性不飽和基を有する化合物〔以下、「単量体(a1)」という〕及び(a2)エチレン性不飽和基を有する化合物であって、単量体(a1)以外の化合物〔以下、「単量体(a2)」という〕を重合して得られた重合体であって、ガラス転移温度が20℃以上であり、重量平均分子量が1,000〜30,000である重合体
(B)成分:炭素数2〜10個を有するポリオールのポリグリシジルエーテル
(C)成分:脂環式エポキシ基を有する分子量500以下の化合物
(D)成分:光カチオン重合開始剤
又、(A)成分としては、全構成単量体単位中に、
単量体(a1)を10〜80重量%含み、
単量体(a2)として、炭素数1〜10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを10〜80重量%及び芳香族ビニル化合物を10〜80重量%含み、
重量平均分子量が3,000〜20,000である重合体が好ましい。
さらに、(A)成分としては、単量体(a1)としてグリシジルメタクリレートを含み、
単量体(a2)としてメチルメタクリレート及びスチレンを含む重合体が好ましい。
(A)成分としては、単量体(a1)及び単量体(a2)を高温重合して得られた重合体が好ましく、より好ましくは160℃以上の温度で高温重合して得られた重合体である。
(C)成分としては、後記式(1)に示すエポキシ化合物が好ましい。
(D)成分としては、スルホニウム塩系光カチオン重合開始剤が好ましい。
組成物には、さらに、(F)成分として、光ラジカル重合開始剤を0.1〜10重量%を含むものが好ましい。
(A)成分:単量体(a1)及び単量体(a2)を重合して得られた重合体であって、ガラス転移温度が20℃以上であり、重量平均分子量が1,000〜30,000である重合体
(B)成分:炭素数2〜10個を有するポリオールのポリグリシジルエーテル
(C)成分:脂環式エポキシ基を有する分子量500以下の化合物
(D)成分:光カチオン重合開始剤
以下、(A)〜(D)成分、その他の成分、及び本発明の組成物の好ましい使用方法について、詳細に説明する。
(A)成分は、単量体(a1)及び単量体(a2)を重合して得られた重合体であって、ガラス転移温度(以下、「Tg」という)が20℃以上であり、重量平均分子量(以下、「Mw」という)が1,000〜30,000である重合体である。
(A)成分は、エポキシ基を有する重合体であり、カチオン硬化性化合物である(B)及び(C)成分と共重合することができる。
Tgが20℃に満たない重合体では接着力が不十分となってしまう。
尚、本発明においてTgとは、示差走査熱量計(DSC)を用いて、10℃/分の昇温速度で測定した値を意味する。
尚、本発明において、Mwとは、GPCにより測定した分子量をポリスチレン換算したものを意味する。
単量体(a1)は、エポキシ基及びエチレン性不飽和基を有する化合物である。
単量体(a1)におけるエチレン性不飽和基としては、ビニル基及び(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
単量体(a1)の具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート及び3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
単量体(a2)におけるエチレン性不飽和基としては、ビニル基及び(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
単量体(a2)は、得られる重合体が前記Tgを満たすように種々の化合物を適宜選択することができる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン及びα−メチルスチレン等が挙げられる。
芳香族ビニル化合物は、アルキル(メタ)アクリレートと併用して使用することが好ましい。
具体的には、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有単量体;アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸及びスチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有単量体;リン酸基含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有単量体、ビニルエステル;酸無水物基含有単量体;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有単量体;アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド及び(メタ)アクリロイルモルホリン等のアミド基含有単量体;N−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、N−(メタ)アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタルイミド等のイミド基含有単量体;並びにビニルエーテル等が挙げられる。
(A)成分としては、高温重合で得られた重合体が好ましい。
(A)成分はMwが低い重合体であり、このようなMwが低い重合体を通常の重合方法で製造する場合には、連鎖移動剤や重合開始剤を多くして製造する。連鎖移動剤を多量に使用した重合体を使用すると、組成物のカチオン硬化性や接着力が低下し易くなったり、又、重合開始剤を多量に使用した重合体を使用すると、組成物の保存安定性が低下し易くなる場合があるため、多量の連鎖移動剤や重合開始剤を必要としない高温重合により製造された重合体が好ましい。
高温連続重合は、公知の方法で実施することができる(例えば、特表昭57−502171号公報、特開昭59−6207号公報及び特開昭60−215007号公報等)。
具体的には、加圧可能な反応器を溶媒で満たし、加圧下で所定温度に設定した後、単量体、又は必要に応じて重合溶媒、重合開始剤とからなる単量体混合物を一定の供給速度で反応器へ供給し、単量体混合物の供給量に見合う量の反応液を抜き出す方法が挙げられる。
(A)成分の含有割合は、組成物全体中に1〜60重量%が好ましい。この割合とすることで、塗工性を良好にすることができ、また塗工・硬化時の雰囲気湿度が高くても接着力を良好にすることができる。
(A)成分のより好ましい含有割合は、組成物全体中に5〜55重量%であり、さらに好ましくは10〜50重量%である。
(B)成分は、炭素数2〜10個を有するポリオールのポリグリシジルエーテルである。
尚、炭素数2〜10個を有するポリオールにおける「炭素数」とは、ポリオールから水酸基を除いた部位を構成する炭素の数を意味する。
(B)成分としては、アルカンポリオールのポリグリシジルエーテル及び芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル等が挙げられ、アルカンジオールのジグリシジルエーテル及び芳香族ジオールのジグリシジルエーテルが好ましい。
(B)成分の含有割合は、組成物全体中に1〜60重量%が好ましい。この割合とすることで、塗工・硬化時の雰囲気湿度が高くても、接着力を良好にすることができる。
(B)成分のより好ましい含有割合は、組成物全体中に5〜55重量%であり、さらに好ましくは10〜50重量%である。
(C)成分は、脂環式エポキシ基を有する分子量500以下の化合物である。(C)成分としては、分子量200〜500の化合物が好ましい。
(C)成分の含有割合は、組成物全体中に1〜60重量%が好ましい。この割合とすることで、塗工・硬化時の雰囲気湿度が高くても、接着力を良好にすることができる。
(C)成分のより好ましい含有割合は、組成物全体中に5〜55重量%であり、さらに好ましくは10〜50重量%である。
(D)成分は、光カチオン重合開始剤である。即ち、紫外線や電子線等の活性エネルギー線の照射によって、カチオン又はルイス酸を発生し、エポキシ化合物やオキセタン化合物等のカチオン硬化性成分の重合を開始させる化合物である。
(D)成分の具体例としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩及びジアゾニウム塩等が挙げられる。
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
4,4’−ビス〔ジフェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、
4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、
4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、
7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン ヘキサフルオロアンチモネート、
7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
4−フェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロホスフェート、
4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロアンチモネート、
4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジ(p−トルイル)スルホニオ−ジフェニルスルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のトリアリールスルホニウム塩が挙げられる。
ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
ジ(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ジ(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
トリルクミルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−ヘキサフロオロホスフェート、
ジ(4−ノニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ(4−アルキルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
等のジアリールヨードニウム塩が挙げられる。
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート
等が挙げられる。
本発明の組成物は、前記(A)〜(D)成分を必須とするものであるが、目的に応じて種々の成分(「その他の成分」という)を配合することができる。
その他の成分の好ましい例としては、ラジカル重合性化合物〔以下、「(E)成分」という〕及び光ラジカル重合開始剤〔以下、「(F)成分」等が挙げられる。
以下、(E)及び(F)成分について説明する。
(E)成分は、ラジカル硬化性化合物である。
(E)成分の割合としては組成物全体中で60重量%以下であることが好ましく、10〜50重量%であることがより好ましい。
(E)成分としては、(メタ)アクリロイル基含有化合物やビニル基含有化合物が挙げられるが、(メタ)アクリロイル基含有化合物が好ましい。
これら化合物の分子量としては、種々のものが選択でき、モノマー、オリゴマー、及びポリマーのいずれであってもよい。
(E1)成分の含有割合は、組成物全体に対して、0〜60重量%であることが好ましく、5〜55重量%であることがより好ましく、10〜50重量%であることがさらに好ましい。
(F)成分は、光ラジカル重合開始剤である。即ち、紫外線や電子線等の活性エネルギー線の照射によってラジカルを発生し、(E)成分等のラジカル硬化性成分の重合を開始させ、硬化させる化合物である。
4′−フェノキシ−2,2−ジクロロアセトフェノン、4′−tert−ブチル−2,2−ジクロロアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、α,α−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オンの如き、アセトフェノン系光重合開始剤;
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、及びベンゾインイソブチルエーテルの如き、ベンゾインエーテル系光重合開始剤;
ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、及び2,4,6−トリメチルベンゾフェノンの如き、ベンゾフェノン系光重合開始剤;
2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、及び1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンの如き、チオキサントン系光重合開始剤;
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドの如き、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤;
1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオフェニル)〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)の如き、オキシム・エステル系光重合開始剤;
カンファーキノン等。
本発明の組成物には、前記した(E)及び(F)成分以外にも種々の化合物を配合することができる。
本発明の組成物は、上述した(B)成分及び(C)成分以外のエポキシ基含有化合物(以下、「その他エポキシ化合物」という)及びビニルエーテル基含有化合物を含有しても良い。
その他エポキシ基含有化合物又は/及びビニルエーテル基含有化合物は、これら化合物と(B)成分及び(C)成分の合計量100重量%中に、40重量%以下含むことが好ましく、20重量%以下含むことがより好ましい。
ポリエチレングリコール(繰返し数6以上)ジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール(繰返し数4以上)ジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコール(繰返し数3以上)ジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、両末端水酸基のポリブタジエンジグリシジルエーテル等の炭素数11以上のジオールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。
これら以外にも、エポキシ化植物油、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ポリブタジエンの内部エポキシ化物、スチレン−ブタジエン共重合体の二重結合が一部エポキシ化された化合物〔例えば、ダイセル化学工業(株)製の“エポフレンド”〕、及びエチレン−ブチレン共重合体とポリイソプレンのブロックコポリマーのイソプレン単位が一部エポキシ化された化合物(例えば、KRATON社製の“L−207”)等が挙げられる。
本発明は、前記(A)〜(D)成分を必須成分として含むプラスチック製又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物に関する。
プラスチックフィルム等を使用した積層体の製造工程で使用可能な塗布性、即ち薄膜でも平滑性に優れた塗布面を得るために、25℃に於ける粘度が3,000mPa・s以下であることが好ましく、10〜1,500mPa・sであることがより好ましい。さらに好ましくは、50〜1,000mPa・sである。
尚、本発明において、上記組成物の25℃における粘度は、E型粘度計により測定される値である。
本発明の組成物は、これらプラスチックフィルム等の中でも、シクロオレフィンポリマー及び(メタ)アクリル樹脂に好ましく適用できるものである。
本発明の組成物の使用方法としては、常法に従えば良く、基材に組成物を塗工した後、もう一方の基材と貼り合せ、活性エネルギー線を照射する方法等が挙げられる。
本発明の組成物は、基材として薄層被着体を接着する場合に好適である。薄層被着体を接着する場合の使用方法は、ラミネートの製造において通常行われている方法に従えばよい。例えば、組成物を第1の薄層被着体に塗工し、これに第2の薄層被着体を貼り合わせ、活性エネルギー線の照射を行う方法等が挙げられる。
本発明の組成物は、積層体の製造に好ましく使用することができる。
具体的には、基材に前記した組成物を塗工し、当該塗工面に他の基材を貼合し、前記基材のいずれかの側から活性エネルギー線を照射する方法等が挙げられる。
この場合、両方の基材、又は少なくとも一方の基材として、プラスチックフィルム等を使用する。基材の具体例及び好ましい例は前記した通りである。
組成物の塗工方法、組成物の膜厚、活性エネルギー線の種類の照射条件等も前記した通りである。
尚、以下において「部」とは重量部を意味し、表中の配合割合を示す数値は、重量%を意味する。
・ポリマーX:後述する製造例1で得られる重合体。
・HD−DGE:1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(蒸留精製品)、四日市合成(株)製の"エポゴーセーHD(D)"
・CEL−2021:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(分子量:252)、ダイセル化学工業(株)製の"セロキサイド2021P"
・CPI−110P:トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート(有効成分100%)、サンアプロ(株)製の"CPI−110P"。
・#230:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、大阪有機化学工業(株)製の"ビスコート#230"。
・Irg−184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、BASF社製の“イルガキュア184”。
・ポリマーY:後述する製造例2で得られる重合体。
1)製造例1
オイルジャケットを備えた容量1000mLの加圧式攪拌槽型反応器のジャケット温度を190℃に保った。次いで、反応器の圧力を一定に保ちながら、グリシジルメタクリレート(30部)、メチルメタクリレート(45部)、スチレン(25部)、重合溶媒として、メチルエチルケトン(18部)、重合開始剤としてジt−ブチルパーオキサイド(0.25部)からなる単量体混合物を、一定の供給速度(48g/分、滞留時間:12分)で原料タンクから反応器に連続供給を開始し、単量体混合物の供給量に相当する反応液を出口から連続的に抜き出した。反応開始直後に、一旦反応温度が低下した後、重合熱による温度上昇が認められたが、オイルジャケット温度を制御することにより、反応器の内温を192〜194℃に保持した。
反応器内温が安定してから36分後の時点を、反応液の採取開始点とし、これから25分間反応を継続した結果、1.2kgの単量体混合液を供給し、1.2kgの反応液を回収した。
その後反応液を薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー等の揮発成分を分離して、未反応モノマー等の揮発成分を除去し、重合体「ポリマーX」を得た。GPCを測定した結果、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が3,500、重量平均分子量(Mw)が9,900であり、Tg(DSC測定、昇温速度10℃/分)は65℃であった。
オイルジャケットを備えた容量1000mLの加圧式攪拌槽型反応器のジャケット温度を187℃に保った。次いで、反応器の圧力を一定に保ちながら、グリシジルメタクリレート(50部)、ブチルアクリレート(50部)、重合溶媒として、メチルエチルケトン(18部)、重合開始剤としてジt−ブチルパーオキサイド(0.25部)からなる単量体混合物を、一定の供給速度(48g/分、滞留時間:12分)で原料タンクから反応器に連続供給を開始し、単量体混合物の供給量に相当する反応液を出口から連続的に抜き出した。反応開始直後に、一旦反応温度が低下した後、重合熱による温度上昇が認められたが、オイルジャケット温度を制御することにより、反応器の内温を189〜191℃に保持した。
反応器内温が安定してから36分後の時点を、反応液の採取開始点とし、これから25分間反応を継続した結果、1.2kgの単量体混合液を供給し、1.2kgの反応液を回収した。
その後反応液を薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー等の揮発成分を分離して、未反応モノマー等の揮発成分を除去し、重合体「ポリマーY」を得た。GPCを測定した結果、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が3,460、重量平均分子量(Mw)が9,700であり、Tg(DSC測定、昇温速度10℃/分)は−10℃であり、粘度は80℃において12,200mPa・sであった。
1)組成物の製造
表1に示す各成分をそれぞれの割合で配合し、常法に従って攪拌混合して、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を調製した。
得られた組成物の25℃に於ける粘度は、東機産業(株)製のE型粘度計により測定した。
厚さ100μmのシクロオレフィンポリマー〔商品名ゼオノアZF−14、日本ゼオン(株)製、以下「ゼオノア」という〕、及び厚さ75μmのUV吸収剤入りアクリル樹脂〔商品名HI50−75KT−UV、(株)クラレ製、以下「アクリル樹脂」という〕上に、易接着処理としてコロナ処理を実施した。
次いで、アクリル樹脂のコロナ処理面に、得られた組成物を、バーコータで3μm厚に塗工した後、ゼオノアをラミネートした。このとき、ゼオノアのコロナ処理面が塗工面に接するよう配置した。
最後に、アイグラフィックス(株)製のベルトコンベア付き紫外線照射装置(メタルハライドランプ使用)により、ゼオノアの表面から、積算光量600mJ/cm2(UV−A)で紫外線を照射し、接着剤組成物を硬化させた。
この実験を、23℃、相対湿度80%の条件下で実施した。
又、得られた積層体は、23℃、相対湿度50%の条件下で1日放置した後、下記方法に従い、無色透明性及び接着力を評価した。それらの結果を表1に示す。
1)無色透明性の評価
得られた積層体を5枚重ねて目視観察し、以下の基準で判定した。
○:濁りや黄変が全く感じられない
△:濁りや黄変が僅かに感じられた
×:濁りや黄変が明らかに感じられた
得られた積層体を、幅1インチ、長さ10cmに切り出し、T字剥離試験、剥離速度200mm/分で剥離接着力を評価した。
これに対して、(A)成分を含まない比較例1および比較例2は、接着力が低かった。
比較例2は、連続重合で製造され、構成単量体及びMwは(A)成分に該当するがTgが(A)成分の上限20℃に満たない重合体であるポリマーYに変更した組成物の結果であるが、接着力がかなり低かった。
Claims (14)
- 下記(A)〜(D)成分を必須成分として含むプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
(A)成分:(a1)エポキシ基及びエチレン性不飽和基を有する化合物〔以下、「単量体(a1)」という〕及び(a2)エチレン性不飽和基を有する化合物であって、単量体(a1)以外の化合物〔以下、「単量体(a2)」という〕を重合して得られた重合体であって、ガラス転移温度が20℃以上であり、重量平均分子量が1,000〜30,000である重合体
(B)成分:炭素数2〜10個を有するポリオールのポリグリシジルエーテル
(C)成分:脂環式エポキシ基を有する分子量500以下の化合物
(D)成分:光カチオン重合開始剤 - (A)成分において、単量体(a2)が、炭素数1〜10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート及び/又は芳香族ビニル化合物を含む請求項1記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
- (A)成分が、全構成単量体単位中に、
単量体(a1)を10〜80重量%含み、
単量体(a2)として、炭素数1〜10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを10〜80重量%及び芳香族ビニル化合物を10〜80重量%含み、
重量平均分子量が3,000〜20,000の重合体である
請求項1又は請求項2に記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。 - (A)成分が、単量体(a1)としてグリシジルメタクリレートを含み、単量体(a2)としてメチルメタクリレート及びスチレンを含む重合体である
請求項2又は請求項3記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。 - (A)成分が単量体(a1)及び単量体(a2)を160℃以上の温度で高温重合して得られた重合体である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
- (B)成分が、炭素数4〜6個を有するアルカンジオールのジグリシジルエーテルである請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
- (D)成分が、スルホニウム塩系光カチオン重合開始剤である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
- 組成物全体中に、(A)成分を1〜60重量%、(B)成分を1〜60重量%、(C)成分を1〜60重量%及び(D)成分を0.5〜10重量%含有する請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
- さらに、(E)成分として、ラジカル重合性化合物を組成物全体中に1〜60重量%含む請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
- (E)成分が、炭素数2〜10個を有するジオールのジ(メタ)アクリレートである請求項10に記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
- さらに、(F)成分として、光ラジカル重合開始剤を0.1〜10重量%含有する請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
- プラスチック製フィルム又はシートの少なくとも一方が、シクロオレフィンポリマー又は(メタ)アクリル樹脂である請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
- 基材に、請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の組成物を塗工し、前記塗工面に他の基材を貼合し、前記基材のいずれかの側から活性エネルギー線を照射する積層体の製造方法であって、前記基材の両方又は一方がプラスチック製フィルム又はシートである積層体の製造方法。
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