JPH10245533A - 硬化型粘接着シート - Google Patents

硬化型粘接着シート

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Publication number
JPH10245533A
JPH10245533A JP9052032A JP5203297A JPH10245533A JP H10245533 A JPH10245533 A JP H10245533A JP 9052032 A JP9052032 A JP 9052032A JP 5203297 A JP5203297 A JP 5203297A JP H10245533 A JPH10245533 A JP H10245533A
Authority
JP
Japan
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adhesive sheet
acrylate
meth
light
epoxy group
Prior art date
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Application number
JP9052032A
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English (en)
Inventor
Hirofumi Amano
裕文 天野
Nobuo Hanatani
信雄 花谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH10245533A publication Critical patent/JPH10245533A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 常態では粘着性を有し、光を照射することに
より硬化させることができ、硬化後の接着強度がより一
層高められる硬化型粘接着シートを提供する。 【解決手段】 グリシジル(メタ)アクリレートと、エ
チル(メタ)アクリレート及び/またはシクロヘキシル
(メタ)アクリレートとを少なくとも含むモノマー組成
を重合してなるアクリル系ポリマーと、エポキシ基を有
する化合物と、エポキシ基の開環重合を誘発する光カチ
オン重合開始剤とを含む組成物を成形してなる硬化型粘
接着シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、常態では粘着性を
有し、光を照射されることにより硬化される硬化型粘接
着シートに関し、より詳細には、アクリル系ポリマーを
含む粘着成分と、エポキシ系硬化成分とを含む硬化型粘
接着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル系粘着剤は、耐熱性、耐候性、
耐油性などに優れているため、粘着テープなどの各種粘
着加工製品に広く用いられている。もっとも、アクリル
系粘着剤は、接着剤のように高い剥離抵抗を発現させる
ことができなかった。
【0003】そこで、アクリル系粘着剤の簡便な作業性
と、接着剤並みの高度な接合強度や被膜強度を合わせ持
つ、硬化型粘接着剤が提案されている。例えば、特開平
2−272076号公報には、アクリル酸エステルモノ
マーとエポキシ樹脂とを含む光重合性組成物からなる感
圧熱硬化性接着剤を用いた接着テープが開示されてい
る。
【0004】上記先行技術に記載の接着テープを用いて
部材同士を接合しようとした場合、光重合性組成物に光
を照射してアクリル酸エステルモノマーを重合し、粘着
性を発現させた後に、被着体に貼付し、貼付後に加熱に
よりエポキシ樹脂を硬化させることにより、強固な接着
力を得ることができる。
【0005】しかしながら、特開平2−272076号
公報に記載の接着テープを用いた場合であっても、被着
体が木やコンクリート面などの粗面の場合には、充分な
接合強度を得ることができず、従って、より一層高い接
着強度を実現し得る硬化型粘接着テープが求められてい
る。
【0006】加えて、特開平2−272076号公報に
記載の方法では、エポキシ樹脂の硬化に熱を利用してい
るため、耐熱性に劣る材料を被着体として用いることが
できなかった。すなわち、被着体の材質が制限されると
いう問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、常態
では十分な初期粘着力を有し、光を照射することにより
容易に硬化させることができ、種々の被着体に対して高
い接着強度で接合することができ、さらに耐熱性が十分
でない部材をも確実に接合し得る硬化型粘接着シートを
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】未だ公知ではないが、本
願発明者らは、先に、(メタ)アクリル系ポリマーと、
エポキシ基を有する化合物と、光を照射されてエポキシ
基の開環反応を誘発する光カチオン重合開始剤とを含む
組成物を用いて硬化型粘接着シートを構成すれば、常態
では粘着性を示し、光を照射することにより硬化させて
被着体に対する接合強度を高め得ることを見出した(特
願平8−290249号)。ここでは、(メタ)アクリ
ル系ポリマーを構成するモノマー成分として、種々のモ
ノマー成分について記載されているが、硬化後により大
きな接着強度を与え得るのに好適なアクリル系モノマー
の組み合わせについては言及されていない。
【0009】本願発明者らは、上記硬化型粘接着シート
において、被着体に対する接着強度をより一層高めるべ
く検討した結果、アクリル系モノマーの中でも、グリシ
ジル(メタ)アクリレートを用いれば、硬化後の接着強
度をより一層高め得ることを見出し、本発明を成すに至
った。
【0010】すなわち、本発明は、グリシジル(メタ)
アクリレートと、エチル(メタ)アクリレート及び/ま
たはシクロヘキシル(メタ)アクリレートとを少なくと
も含むモノマー組成を重合して得られたアクリル系ポリ
マーと、エポキシ基を有する化合物と、光を照射されて
エポキシ基の開環反応を誘発する光カチオン重合開始剤
とを含むことを特徴とする硬化型粘接着シートである。
【0011】また、好ましくは、上記アクリル系ポリマ
ーにおいては、グリシジル(メタ)アクリレートと、エ
チル(メタ)アクリレート及び/またはシクロヘキシル
(メタ)アクリレートに加えて、これらの(メタ)アク
リレートモノマーに共重合可能な不飽和結合を有するビ
ニルモノマーを含むモノマー組成を共重合してなるアク
リル系ポリマーが用いられる。
【0012】以下、本発明の詳細を説明する。アクリル系ポリマー 本発明に係る硬化型粘接着シートでは、上記アクリル系
ポリマーは、グリシジル(メタ)アクリレートと、エチ
ル(メタ)アクリレート及び/またはシクロヘキシル
(メタ)アクリレートとを少なくとも含むモノマー組成
を重合することにより得られている。すなわち、後述の
実施例から明らかなように、モノマー組成として、グリ
シジル(メタ)アクリレートと、エチル(メタ)アクリ
レート及び/またはシクロヘキシル(メタ)アクリレー
トからなるアクリル系モノマーの組み合わせを用いるこ
とにより、より高い接着強度を発現し得る硬化型粘接着
シートを提供することができる。
【0013】上記グリシジル(メタ)アクリレートと、
エチル(メタ)アクリレート及び/またはシクロヘキシ
ル(メタ)アクリレートとの配合割合については、好ま
しくは、グリシジル(メタ)アクリレート100重量部
に対し、エチル(メタ)アクリレート及び/またはシク
ロヘキシル(メタ)アクリレート50〜2000重量部
の範囲である。この範囲外では、接着強度が十分に高め
られないことがある。
【0014】また、上記モノマー組成を重合してなるア
クリル系ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは10
万〜500万、より好ましくは80万〜300万の範囲
である。重量平均分子量が10万未満では、硬化型粘接
着シートがシートの形態を維持することができないこと
があり、500万を超えると、粗面に対する粘着性が低
下し、かつ光を照射して硬化させたとしても十分な接着
強度を得られないことがある。
【0015】また、上記アクリル系ポリマーは、グリシ
ジル(メタ)アクリレートと、エチル(メタ)アクリレ
ート及び/またはシクロヘキシル(メタ)アクリレート
とを少なくとも含むモノマー組成を用いて重合するもの
であり、これら以外のモノマーを含むモノマー組成を用
いて重合したものであってもよい。好ましくは、上記モ
ノマー以外に重合されるモノマー成分として、これらの
アクリル系モノマーに共重合可能な不飽和結合を有する
ビニルモノマーが用いられる。
【0016】上記ビニルモノマーとしては、上述したア
クリル系モノマーと共重合可能な不飽和結合を有するビ
ニルモノマーであれば特に限定されるものではない。も
っとも、硬化型粘接着シートに含まれるエポキシ基と非
反応性であるビニルモノマーが、硬化型粘接着シートの
貯蔵安定性を高める点からは好ましい。従って、アクリ
ル酸、メタクリル酸のようなカルボキシル基を含むビニ
ルモノマーや酸無水骨格を有する無水マレイン酸などの
ビニルモノマーは好ましくない。
【0017】上記ビニルモノマーとして好ましく用いら
れる例としては、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニ
ルピロリドン、N−アクリロイルモルフォリン、N−ビ
ニルカプロラクトン、N−ビニルピペリジンなどを挙げ
ることができる。
【0018】上記アクリル系ポリマーの重合方法につい
ては、特に限定されるものではないが、好ましくは、上
述したアクリル系ポリマーを構成するためのモノマー組
成の他に、後述のエポキシ基を有する化合物と、光カチ
オン重合開始剤と、360nm以上の波長領域の光によ
り活性化される光ラジカル重合開始剤とを含む光重合性
組成物に360nm以上の波長領域の光を照射すること
により、上記モノマー成分を光ラジカル重合することに
より構成され得る。
【0019】すなわち、アクリル系ポリマーを構成する
各モノマー成分の他に、硬化型粘接着シートを構成する
ための他の成分と、アクリル系ポリマーを構成するため
のモノマー組成を光ラジカル重合するための光ラジカル
重合開始剤とを含有させた光重合性組成物をシート状に
成形し、360nm以上の光を照射することにより、本
発明に係る硬化型粘接着シートを得ることができる。こ
の場合には、使用に際しての硬化が、360nm未満の
波長領域の光を照射することにより行われるため、光重
合性組成物から硬化型粘接着シートを得ることができる
だけでなく、使用に際しての硬化型粘接着シートの硬化
についても、光を照射するという単一の手法により行い
得る。
【0020】なお、光ラジカル重合によりアクリル系ポ
リマーを構成する場合、光重合性組成物に光を照射して
光ラジカル重合を起こした後に、上記組成物をシート状
に成形して、本発明に係る硬化型粘接着シートを得ても
よい。
【0021】360nm以上の波長領域の光により活性
化される上記光ラジカル重合開始剤としては、360n
m以上の波長の光により活性化されるものである限り特
に限定されない。また、360nm未満の光でエポキシ
基の開環反応を誘発する光カチオン重合開始剤へのエネ
ルギー移動を起こさない化合物が好ましい。このような
光ラジカル重合開始剤の好ましい例としては、例えば、
4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロ
キシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,
α’−ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノ
ン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン
などのアセトフェノン誘導体化合物;ベンゾインエチル
エーテル、ベンゾインプロピルエーテルなどのベンゾイ
ンエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタールなどの
ケタール誘導体化合物;ハロゲン化ケトン;アシルフォ
スフィンオキシド;アシルフォスフォナート;ビス−
(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリ
メチルペンチルフォスフィンオキシドなどを挙げること
ができる。
【0022】上記光重合開始剤の例の中でも、特に、3
60nmを超える波長領域の光に対する吸光係数が高い
アシルフォスフィンオキシド、アシルフォスフォナー
ト、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,
4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシドが好
ましい。
【0023】上記光ラジカル重合において光照射に用い
るランプとしては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、
高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラック
ライトランプ、マイクロウェープ励起水銀灯、メタルハ
ライドランプなどを用いることができる。
【0024】エポキシ基を有する化合物 本発明に係る硬化型粘接着シートにおいて用いられる上
記エポキシ基を有する化合物は、光の照射により光カチ
オン重合開始剤が活性化された際に、開環重合し、硬化
型粘接着シートを硬化させるために用いられている。
【0025】エポキシ基を有する化合物としては、エポ
キシ基(オキサ−シクロプロピル基)を含有する化合物
であれば特に限定されず、例えば、ビスフェノールA系
エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、ノボ
ラック型エポキシ樹脂、脂環式脂肪族エポキシ樹脂、グ
リシジルエステル系化合物などを挙げることができる。
【0026】光カチオン重合開始剤 光カチオン重合開始剤は、上記エポキシ基を有する化合
物のエポキシ基の開環を誘発するために用いられてお
り、このような光カチオン重合開始剤としては、光の照
射によりエポキシ基の開環を誘発し得る任意の化合物を
用いることができる。
【0027】もっとも、好ましくは、そのエネルギー強
度が大きいため、360nm未満の波長の光が用いら
れ、従って、上記光カチオン重合開始剤は、360nm
未満の波長の光により活性化されてエポキシ基の開環を
速やかに進行させるものが用いられる。
【0028】上記光カチオン重合開始剤としては、芳香
族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スル
ホニウム塩などを挙げることができる。より具体的に
は、例えば、オプトマーSP−150(旭電化工業社
製)、オプトマーSP−170(旭電化工業社製)、U
VE−1014(ゼネラルエレクトロニクス社製)、C
D−1012(サートマー社製)などの市販の化合物を
用いることができる。
【0029】上記光照射に用いられるランプとしては、
波長360nm以下に発光分布を有するものが用いら
れ、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超
高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、
マイクロウェープ励起水銀灯、メタルハライドランプな
どを用いることができる。この場合、表層だけの硬化を
防止し、内部硬化を実現するには、320nm以下の光
をカットして照射してもよい。
【0030】配合割合 本発明に係る硬化型粘接着シートでは、上記アクリル系
ポリマーと、エポキシ基を有する化合物との配合割合に
ついては、目的とする初期粘着力、硬化後の接着強度及
び粗面に対する接着力などに応じて適宜定められ、特に
限定されるものではないが、好ましくは、アクリル系ポ
リマー100重量部に対し、エポキシ基を有する化合物
は10〜300重量部の割合で配合される。
【0031】エポキシ基を有する化合物の配合割合が1
0重量部未満の場合には、光を照射して硬化させたとし
ても十分な接着強度を得ることができないことがあり、
300重量部を超えると、アクリル系ポリマーの相対的
な配合割合が低下し、粗面に対して十分な初期粘着力を
得ることができないことがある。
【0032】また、上記光カチオン重合開始剤の配合割
合についても、その種類によって異なるため、特に限定
されるものではないが、好ましくは、エポキシ基を有す
る化合物100重量部に対し、光カチオン重合開始剤は
0.01〜5重量部の範囲とされる。光カチオン重合開
始剤の配合割合が0.01重量部未満の場合には、光を
照射してもエポキシ基の開環反応を十分に進行させるこ
とができないことがあり、接着強度の高い接着硬化物を
得ることができないことがあり、5重量部を超えて配合
したとしても、硬化を進行させる作用がそれ以上高まら
ず、逆に初期粘着力が低下することがある。
【0033】他の添加物 本発明に係る硬化型粘接着シートでは、上記アクリル系
ポリマー、エポキシ基を有する化合物及び光カチオン重
合開始剤の他に、本発明の目的を阻害しない範囲で、公
知の粘着付与樹脂や増量剤などを適宜配合してもよい。
【0034】例えば、本発明の硬化型粘接着シートの粘
着性を向上させる目的で、ロジン系樹脂、変性ロジン系
樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族
変性テルペン樹脂、C5系またはC9系の石油樹脂、ク
ロマン樹脂等の粘着付与樹脂を添加してもよい。
【0035】特に、被着体がポリオレフィン類の場合に
は、強い接着力を発現させることができるという点で、
ロジン系樹脂及び石油樹脂が好ましい。また、塗工性を
向上させる目的で、アクリルゴム、エピクロルヒドリン
ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム等の増粘剤、コロイ
ダルシリカ、ポリビニルピロリドン等のチキソトロープ
剤、炭酸カルシウム、酸化チタン、クレー等の増量剤等
を添加してもよい。
【0036】さらに、粘接着シートとした場合に高強度
の剪断接着力を付与する目的で、ガラスバルーン、アル
ミナバルーン、セラミックバルーン等の無機中空体;ナ
イロンビーズ、アクリルビーズ、シリコンビーズ等の有
機球状体;塩化ビニリデンバルーン、アクリルバルーン
等の有機中空体;ガラス、ポリエステル、レーヨン、ナ
イロン、セルロース等の単繊維等を添加してもよい。
【0037】上記ガラス繊維を配合する場合、繊維状の
チップを組成物中に添加することが可能であるが、ガラ
ス織布に上記光重合性組成物などを含浸して重合するこ
とにより、非常に高強度の剪断接着力を得ることができ
る。
【0038】硬化型粘接着シートの製造 本発明に係る硬化型粘接着シートの製造方法については
特に限定されるものではなく、ホットメルト法、キャス
ティング塗工法、UV重合法などの様々な方法を用いる
ことができ、例えば、キャスティング塗工法は、上記ア
クリル系ポリマー、エポキシ基を有する樹脂及びエポキ
シ基の開環反応を誘発する化合物を配合し、必要に応じ
て粘着付与樹脂等を加えてなる樹脂組成物を適宜の方法
でシート状に成形することにより行われる。
【0039】上記UV重合法は、前述した光ラジカル重
合を用いた方法であり、アクリル系ポリマーを得るため
の上記モノマー成分、光ラジカル重合開始剤、エポキシ
基を有する樹脂及びエポキシ開環反応を誘発する化合物
を含む光重合性組成物をシート状に成形すると共に、成
形前または成形後に光を照射してアクリル系モノマーを
光ラジカル重合しアクリル系ポリマーとする方法であ
る。
【0040】硬化型粘接着シートの使用方法 本発明に係る硬化型粘接着シートを用いて部材を接合す
るにあたっては、硬化型粘接着シートを介して部材同士
を接合するに際し、硬化型粘接着シートに光を照射し、
エポキシ基を有する化合物の開環重合を進行させて硬化
させる。この場合、光の照射は、硬化型粘接着シートを
介して接合部材同士を貼り合わせる前または後の何れで
あってもよい。この場合、好ましくは、「貼り合わせる
前」とは、貼り合わせる前であって、光の照射によりエ
ポキシ基を有する樹脂の硬化が完了する前をいうものと
する。活性化エネルギーの付与により、エポキシ基を有
する樹脂の硬化が完了すると、硬化型粘接着シートが硬
くなりすぎ、十分な初期粘着力を得られないことがあ
る。
【0041】すなわち、予め硬化型粘接着シートに光
を照射して硬化反応を開始し、しかる後、硬化型粘接着
シートを介して接合部材同士を貼り合わせてもよく、
一方の接合部材に硬化型粘接着シートをその粘着性を利
用して貼付し、光を照射して硬化反応を開始させ、しか
る後、他方の接合部材を硬化型粘接着シートに貼り合わ
せてもよく、あるいは硬化型粘接着シートを介して接
合部材同士を貼付した後に、光を照射して硬化反応を開
始させてもよい。
【0042】何れにしても、本発明に係る硬化型粘接着
シートでは、光を照射した後エポキシ基を有する化合物
の開環重合により硬化反応が進行するが、硬化反応の完
了までにある程度の時間を要するため、接合部材同士の
貼り合わせ前に光を照射しても、硬化型粘接着シートの
粘着性が損なわれないため、接合部材同士の貼り合わせ
前に光を照射することができる。従って、接合後には、
光を照射し難い場所、すなわち光が遮られるような部分
においても、接合に先立って硬化型粘接着シートに光を
照射しておくことにより、本発明に係る硬化型粘接着シ
ートを適用することができる。
【0043】硬化に際して照射する光については、光カ
チオン重合開始剤を活性化し、エポキシ基を有する化合
物のエポキシ基の開環重合を促進し得る限り、特に限定
されるものではないが、好ましくは、360nm未満の
波長の光が用いられる。360nm未満の波長の光は、
エネルギー強度が高いため、エポキシ基を有する化合物
の開環重合を効果的に進行させ得る。
【0044】また、前述したように、アクリル系ポリマ
ーを、光ラジカル重合性組成物に360nm以上の光を
照射することにより構成する場合には、360nm未満
の波長の光で活性化される光カチオン重合開始剤を用い
ることが必要である。さもないと、光ラジカル重合によ
りアクリル系ポリマーを形成する工程において、光カチ
オン重合開始剤も活性化され、エポキシ基を有する化合
物の開環重合が進行してしまうことになる。
【0045】硬化に際しての光の強度についても、用い
得る光カチオン重合開始剤及びエポキシ基を有する化合
物の種類及び量によって異なるため、特に限定されるも
のではないが、好ましくは、5mW/cm2 以上の強度
の光を照射することにより、より好ましくは、360n
m未満の波長領域の光を5mW/cm2 以上の強度で照
射することにより、確実にかつ速やかに硬化反応を進行
させることができる。
【0046】硬化型粘接着シートの使用形態 また、本発明に係る硬化型粘接着シートは、例えば、被
着体に接合部材を貼り合わせるに際し、その間に介在さ
せて接着するために、そのままの形態で両面粘着テープ
のように用いられるものであってもよく、あるいは合成
樹脂フィルムや布等の適宜の基材の少なくとも一面に粘
着剤層として形成されているものであってもよい。
【0047】上記基材としては、レーヨン系もしくはセ
ルロース系などの各種不織布、ポリエチレン、ポリエス
テル、セロハン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ
イミドなどの各種合成樹脂よりなるフィルムもしくはシ
ート、発泡ポリエチレン、発泡ウレタン、ネオプレン発
泡体、発泡塩化ビニルなどの各種発泡体、ポリスチレ
ン、ABS、アクリル、ポリプロピレン、ポリエチレン
などの各種合成樹脂よりなる樹脂板、鋼、ステンレス、
銅、アルミニウムなどの各種金属からなるシートもしく
は板、ガラス、木材、紙、布などを用いることができ、
特に限定されるものではない。また、基材の形状につい
ても、シート状や板状などの薄いものに限られず、角柱
状、棒状、球状、非球面表面を有する形状など任意であ
る。
【0048】作用 本発明に係る硬化型粘接着シートでは、上記アクリル系
ポリマー及び必要に応じて添加される粘着付与樹脂によ
り、常態において十分な初期粘着力が発揮され、他方、
光が照射されると上記光カチオン重合開始剤が活性化さ
れてエポキシ基を有する化合物の開環重合が進行し、硬
化するため、強固な接着硬化物を与える。よって、常態
で初期粘着力を利用して被着体に容易に貼付することが
でき、かつ貼付前または貼付後に光を照射することによ
り被着体との間の接着強度を効果的に高めることができ
る。
【0049】この場合、硬化に際して光を用いるため、
すなわち加熱を必要としないため、耐熱性に劣る被着体
や接合部材同士の接合に本発明に係る硬化型粘接着シー
トを好適に用いることができる。
【0050】加えて、本発明に係る硬化型粘接着シート
では、上記アクリル系ポリマーが、グリシジル(メタ)
アクリレートと、エチル(メタ)アクリレート及び/ま
たはシクロヘキシル(メタ)アクリレートとを少なくと
も含むように構成されているため、十分な初期粘着力を
発現し得るだけでなく、硬化後の接着強度がより一層高
められる。これは、エポキシ基を有する化合物とアクリ
ル系ポリマーとの相溶性が向上するためと考えられる。
【0051】
【実施例】以下、本発明の非限定的な実施例を挙げるこ
とより、本発明を明らかにする。 (実施例1)グリシジルメタクリレート5gと、エチル
アクリレート60gと、エポキシ樹脂(油化シェルエポ
キシ社製、商品名:エピコート828)65gと、光ラ
ジカル重合開始剤(チバガイギー社製、商品名:イルガ
キュア1700)0.3gと、光カチオン重合開始剤
(旭電化工業社製、商品名:SP−170)1.5gと
を均一になるまで攪拌し、混合した後、窒素ガスを用い
て20分間バブリングすることにより、溶存酸素を除去
し、光重合性組成物を得た。
【0052】表面が離型処理されたポリエチレンテレフ
タレート(以下、PET)フィルム上に、上記光重合性
組成物を塗工し、さらにその上から表面が離型処理され
たPETフィルムを被せ、光重合性組成物の層の厚みが
200μmとなるように調整した。
【0053】上記のようにして得た積層物に、波長40
0nmの光を、その光強度が1mW/cm2 となるよう
にして15分間照射し、一対のPETフィルムで挟持さ
れた硬化型粘接着シートを得た。
【0054】上記のようにして得た一対のPETフィル
ムで挟持された硬化型粘接着シートを、20mm×20
mmの寸法に切断し、一方のPETフィルムを剥離し、
25mm×100mmの杉よりなる試験板に貼付した。
しかる後、上記試験板に貼付されている硬化型粘接着シ
ートに、波長365nm、光強度25mW/cm2 の光
を1分間照射し、光照射後から10分後に、他方のPE
Tフィルムを剥離した後、別途用意した上記と同様に杉
よりなる第2の試験板を貼付し、5kg/cm 2 の力で
1分間圧着し、硬化型粘接着シートを介して一対の試験
板が貼り合わせてなる試験片を用意した。
【0055】上記試験片を23℃及び相対湿度65%の
環境下で7日間放置し、養生した。しかる後、試験片の
硬化型粘接着シート部分に剪断方向に50mm/分の速
度の変位を加えて、破壊に至るまでの最大荷重を測定
し、剪断接着力とした。本実施例の硬化型粘接着シート
では、剪断接着力は30kg/cm2 であった。
【0056】(実施例2)アクリル系モノマー成分を、
グリシジルメタクリレート20gと、シクロヘキシルア
クリレート45gとに変更したことを除いては、実施例
1と同様にして硬化型粘接着シートを作製し、同様にし
て評価した。剪断接着力は29kg/cm 2 であった。
【0057】(比較例1)実施例1において、エチルア
クリレートを用いずに、グリシジルメタクリレートの使
用量を65gに変更したことを除いては、実施例1と同
様にして硬化型粘接着シートを作製し、かつ評価した。
剪断接着力は13kg/cm2 であった。
【0058】(比較例2)実施例1において、グリシジ
ルメタクリレートを使用せず、エチルアクリレートの使
用量を65gに変更したことを除いては、実施例1と同
様にして硬化型粘接着シートを作製し、かつ評価した。
剪断接着力は11kg/cm2 であった。
【0059】(比較例3)実施例2において、グリシジ
ルメタクリレートの使用量を65gに変更し、シクロヘ
キシルアクリレートを用いなかったことを除いては、実
施例2と同様にして硬化型粘接着シートを作製し、かつ
評価した。剪断接着力は13kg/cm2であった。
【0060】(比較例4)実施例2において、グリシジ
ルメタクリレートを用いずに、シクロヘキシルアクリレ
ート65gを用いたことを除いては、実施例2と同様に
して硬化型粘接着シートを作製し、かつ評価した。剪断
接着力は3kg/cm2 であった。
【0061】上記実施例1,2及び比較例1〜4の組成
及び剪断接着力の評価の結果を下記の表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】上記のように、実施例1の硬化型粘接着シ
ートは、グリシジルメタクリレートのみをアクリル系モ
ノマー成分として用いた比較例1、並びにエチルアクリ
レートのみをアクリル系モノマー成分として用いた比較
例2の硬化型粘接着シートに対し、非常に大きな剪断接
着力を示した。
【0064】同様に、実施例2の硬化型粘接着シート
は、グリシジルメタクリレートのみをアクリル系モノマ
ー成分として用いた比較例3、並びにシクロヘキシルア
クリレートのみをアクリル系モノマー成分として用いた
比較例4の硬化型粘接着シートに比べて、大きな剪断接
着力を示した。
【0065】従って、上記実施例1と比較例1,2との
比較から、並びに実施例2と比較例3,4との比較か
ら、グリシジルメタクリレートと、エチルアクリレート
またはシクロヘキシルアクリレートとをアクリル系モノ
マー成分として用いることにより、硬化後の接着強度が
飛躍的に高められることがわかる。
【0066】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る硬化型粘接
着シートでは、常態でアクリル系ポリマーの粘着性によ
り十分な初期粘着力を有するだけでなく、光を照射して
エポキシ基を有する化合物の開環重合を進行させること
により硬化し、強固な粘着硬化物を与えることができ
る。しかも、上記アクリル系ポリマーが、グリシジル
(メタ)アクリレートと、エチル(メタ)アクリレート
及び/またはシクロヘキシル(メタ)アクリレートとを
少なくとも含むため、エポキシ基を有する化合物とアク
リル系ポリマーとの相溶性が向上するので、硬化後の接
着強度がより一層高められる。
【0067】従って、本発明に係る硬化型粘接着シート
では、被着体や接合部材にその初期粘着力を使用して容
易に貼付することができ、例えば、木やコンクリートの
粗面に対しても容易にかつ確実に密着させ得るため、接
着現場における接着作業が容易となる。加えて、光を照
射して硬化させることにより、接合部材同士を高強度で
接合することができると共に、硬化に際して加熱を必要
としないため、耐熱性の劣る被着体や接合部材にも適用
することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グリシジル(メタ)アクリレートと、エ
    チル(メタ)アクリレート及び/またはシクロヘキシル
    (メタ)アクリレートとを少なくとも含むモノマー組成
    を重合して得られたアクリル系ポリマーと、エポキシ基
    を有する化合物と、光を照射されてエポキシ基の開環反
    応を誘発する光カチオン重合開始剤とを含むことを特徴
    とする硬化型粘接着シート。
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