JPH10120995A - 硬化型粘接着シート、部材の接合方法及び粘接着部材 - Google Patents

硬化型粘接着シート、部材の接合方法及び粘接着部材

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JPH10120995A
JPH10120995A JP28078096A JP28078096A JPH10120995A JP H10120995 A JPH10120995 A JP H10120995A JP 28078096 A JP28078096 A JP 28078096A JP 28078096 A JP28078096 A JP 28078096A JP H10120995 A JPH10120995 A JP H10120995A
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JP
Japan
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adhesive sheet
epoxy group
curable
adhesive
ring
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JP28078096A
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Inventor
Koji Fukui
弘司 福井
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 常態においては優れた初期粘着力を有するの
で仮着性に優れており、接着後に接着強度を容易に高め
得る硬化型粘接着シートを提供する。 【解決手段】 アクリル系ポリマーなどの粘着性ポリマ
ーと、エポキシ基を有する樹脂と、エポキシ基の開環反
応を誘発する化合物とを含み、周波数10Hz、0〜5
0℃の条件での動的剪断貯蔵弾性率が103 〜106
a、−25〜+25℃の間に、動的剪断損失弾性率を動
的剪断貯蔵弾性率で除算した値(tanδ)の極大値が
存在し、エポキシ基の開環反応を誘発する化合物を活性
化することにより、25℃で7日間養生した後に、周波
数0.1Hz、25℃における動的剪断貯蔵弾性率が1
6 〜108 Paの範囲にあり、常態においては、粘着
シートとして用いることができ、活性化エネルギーを付
与することによりエポキシ基を開環させる重合反応によ
り硬化させ得る硬化型粘接着シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硬化型粘接着シー
ト及び部材の接合方法に関し、より詳細には、常態では
粘着性を有し、貼付前または貼付後に活性化エネルギー
を付与することにより硬化され得る硬化型粘接着シート
並びに該硬化型粘接着シートを用いた部材の接合方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル系粘着剤は、耐熱性、耐候性、
耐油性などに優れており、粘着力及び凝集力等の粘着特
性にも優れているので、粘着テープ、両面粘着テープ、
粘着シート、シーラント類などの粘着加工製品に広く使
用されている。
【0003】しかしながら、上記粘着加工製品は、感圧
性接着力すなわち粘着力を発現させるために、粘着剤層
が柔らかく設計されている。従って、接着剤のように高
い剥離抵抗を発現することはできず、車両用鋼板、住
宅、建築部材などに対する補強材の接合などのように、
高い接合強度が求められる用途に用いることはできなか
った。
【0004】そこで、上記のような用途に用い得るもの
として、粘着剤の簡便な作業性と、接着剤並みの高度な
接合強度や被膜強度を併せ持つ、いわゆる粘接着剤が提
案されている。例えば、特開平2−272076号公報
には、アクリル酸エステルモノマーとエポキシ樹脂とを
含む光重合性組成物からなる感圧熱硬化性接着剤を用い
た接着テープが開示されている。すなわち、上記光重合
性組成物に光を照射してアクリル酸エステルモノマーを
重合し、粘着性を発現させて被着体への粘着を可能と
し、粘着後に加熱によりエポキシ樹脂を硬化させて強固
な接着力を得ることを可能とする接着テープが開示され
ている。
【0005】しかしながら、特開平2−272076号
公報に記載の方法では、エポキシ樹脂を硬化させて強固
な接着力を得るのに熱を利用しているため、プラスチッ
ク等の耐熱性に劣る材料を被着体として用いることがで
きなかった。すなわち、被着体の材質が制限されるとい
う問題があった。
【0006】他方、特公表5−506465号公報に
は、アクリル酸エステルモノマーのようなラジカル光重
合成分と、エポキシ化合物のようなカチオン光重合成分
と、有機金属錯塩開始剤とを含む感圧性接着剤組成物が
開示されている。この感圧性接着剤組成物は、接着物の
強度を高めるために提案されているものではあり、感圧
接着剤を製造する工程において紫外線を照射して、上記
ラジカル光重合成分及びカチオン光重合成分の何れをも
重合させている。すなわち、重合反応は感圧性接着剤を
例えばシート状などに成形した際に完了しており、予め
十分な強度を有するように構成されている。従って、被
着体に接合する際には、感圧性接着シート自体の強度は
高いものの、それ以上の接着強度の向上はもはや見込め
ない。
【0007】他方、エポキシ樹脂系接着剤は、その接着
硬化物が、耐クリープ性、耐光性、耐水性、耐熱性、耐
薬品性などにおいて優れており、接着強度が高く、金
属、プラスチックまたはガラスなどの広範な材料を接着
することができる。従って、従来、エポキシ樹脂系接着
剤は、様々な接合用途において広く使用されている。
【0008】しかしながら、エポキシ樹脂系接着剤は、
常温においては液状であるため、接着剤塗布時に塗布ム
ラが生じたり、過剰に塗布した際に接着剤の染み出しに
より接合部分の外観が損なわれたり、一度塗布した面に
再度塗布し直すことが困難であるという問題があった。
【0009】上記のような問題を解決するために、エポ
キシ樹脂系接着剤を予めシートまたはフィルム状に成形
されたものが知られている(特開昭60−173076
号公報)。しかしながら、従来のシート状エポキシ接着
剤は、常温において固形であり、硬いため、初期粘着力
が低く、仮止め性を有しないため接合時の作業性が十分
でないという問題があった。
【0010】また、シート状エポキシ接着剤は、被着体
に対する密着性をほとんど有しないため、高温高圧プレ
スのような過酷な接着加工条件を選択しなければならな
かった。従って、このような加工条件に耐えることがで
きない被着体や接合部材に適用することができなかっ
た。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、常態
においては初期粘着力に優れており粘着シートとして簡
便に用いることができ、貼付前または貼付後に極めて簡
単に硬化させ得る硬化型粘接着シート及び該硬化型粘接
着シートを用いた部材の接合方法を提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願発明者は、上記課題
を達成すべく鋭意検討した結果、粘着性ポリマーと、エ
ポキシ基を有する樹脂と、活性化エネルギーにより活性
化されるとエポキシ基を有する樹脂のエポキシ基を開環
させる反応を誘発する化合物とを含み、活性化エネルギ
ーを与えてエポキシ基を開環させて硬化させるように硬
化型粘接着シートを構成すれば、常態においては粘着シ
ートとして用いることができ、活性化エネルギーにより
硬化させて高接着強度の接着硬化物を得ることができる
ことを見出した。また、上記硬化型粘接着シートにおい
て、シートの動的剪断貯蔵弾性率及びtanδを特定の
値に設定すれば、初期粘着力及び、硬化後の接着強度の
双方において優れた粘接着シートを得ることができるこ
とを見出し、本発明を成すに至った。
【0013】すなわち、請求項1に記載の発明は、粘着
性ポリマー、エポキシ基を有する樹脂及び前記エポキシ
基の開環反応を誘発する化合物を含み、活性化エネルギ
ーの付与により硬化する硬化型粘接着シートであって、
周波数10Hz、0〜50℃の条件における動的剪断貯
蔵弾性率が103 〜106 Paであり、−25〜+25
℃の間に動的剪断損失弾性率を動的剪断貯蔵弾性率で除
算した値(tanδ)の極大値が存在し、かつ活性化エ
ネルギーの付与によりエポキシ基の開環反応を誘発する
化合物を活性化した場合、25℃で7日間養生すると周
波数0.1Hz、25℃での動的剪断貯蔵弾性率が10
6 〜108 Paとなることを特徴とする硬化型粘接着シ
ートである。
【0014】請求項2に記載の発明においては、上記粘
着性ポリマーが、アクリル系ポリマーにより構成され
る。また、請求項3に記載の発明では、上記アクリル系
ポリマーは、アクリル系モノマーを含有する光重合性組
成物を、光ラジカル重合させることにより得られたもの
である。
【0015】また、請求項4に記載の発明に係る硬化型
粘接着シートは、請求項1〜3に記載の硬化型粘接着シ
ートにおいて、上記エポキシ基の開環反応を誘発する化
合物が、光カチオン反応重合開始剤により構成されてい
ることを特徴とする。
【0016】請求項5に記載の発明に係る部材の接合方
法では、請求項1〜4の何れかに記載の硬化型粘接着シ
ートを介して被着体に接合部材を貼り合わせる部材の接
合方法であって、被着体に接合部材を貼り合わせる前
に、または貼り合わせ後に、上記硬化型粘接着シート
に、活性化エネルギーを付与し、エポキシ基を開環させ
る重合反応により上記硬化型粘接着シートを硬化させる
工程を含むことを特徴とする。
【0017】請求項6に記載の発明では、上記部材の接
合方法において、活性化エネルギーとして、360nm
未満の波長を有し、かつ光強度が5mW/cm2 以上の
紫外線が用いられる。
【0018】請求項7に記載の発明は、基材の一面に、
請求項1〜4の何れかに記載の硬化型粘接着シートを積
層してなる粘接着部材である。以下、本発明の詳細を説
明する。
【0019】動的剪断貯蔵弾性率 本発明に係る硬化型粘接着シートは、0〜50℃の温度
範囲における周波数10Hz下における動的剪断貯蔵弾
性率が103 〜106 Paの範囲にあり、好ましくは、
103 〜105 Paの範囲である。この動的剪断貯蔵弾
性率が103 Paより小さいと、凝集力が低下し、例え
ば離型シート上に本発明の硬化型粘接着シートを貼り合
わせた場合、離型シートからの剥離が困難となる。ま
た、動的剪断貯蔵弾性率が106 Paより大きいと、初
期粘着力がさらに低くなり、あるいは初期粘着力が喪失
し、貼り合わせが困難となる。
【0020】また、本発明に係る硬化型粘接着シート
は、粘弾性的性質を有するものであり、このような物質
における力学的性質は、一般に、加える変形の速さ及び
温度によっても変化することは周知である(例えば、
「講座・レオロジー」、日本レオロジー学会編、高分子
刊行会、1992年初版)。
【0021】これまで集積された知見から動的剪断貯蔵
弾性率には、経験的に時間−温度換算則が成立すること
がわかっており、WLFの式として与えられている。こ
のような経験則から、請求項1における測定条件とは異
なる条件での動的剪断貯蔵弾性率の測定値は、時間−温
度換算則を用いて、請求項に記載の測定条件における動
的剪断貯蔵弾性率に換算することができる。従って、上
記換算値が、請求項1に記載の数値範囲に含まれる限
り、上記のように異なる条件で測定された動的剪断貯蔵
弾性率を有する硬化型粘接着シートも、請求項1の数値
範囲を満たすものである。
【0022】本発明に係る硬化型粘接着シートでは、−
25〜+25℃の間、好ましくは−15〜+15℃の間
に動的剪断損失弾性率を動的剪断貯蔵弾性率で除算した
値(tanδ)の極大値が存在する。tanδの極大値
が−25℃より低い温度にある場合には、凝集力が低下
し、離型シートから硬化型粘接着シートを剥離すること
が困難となる。また、tanδの極大値が25℃よりも
高い温度にあると、初期粘着力がわずかになったり、あ
るいは喪失したりし、貼り合わせが困難となる。
【0023】本発明に係る硬化型粘接着シートでは、上
記エポキシ基の開環反応を誘発する化合物を活性化し、
25℃で7日間養生した場合、周波数0.1Hz、25
℃における動的剪断貯蔵弾性率が106 〜108 Pa、
好ましくは5×106 〜5×107 Paの範囲となるこ
とが必要である。この養生後の動的剪断貯蔵弾性率が1
6 Paより小さいと、柔軟性が高くなり過ぎ、接着力
が低下することになり、108 Paより大きいと、硬く
なり、やはり接着力が低下する。
【0024】粘着性ポリマー 本発明において、上記粘着性ポリマーは、硬化型粘接着
シートに初期粘着力を与え、粘着シートとして用いるこ
とを可能とするために用いられている。
【0025】粘着性ポリマーは、上記エポキシ基を有す
る樹脂及びエポキシ基の開環反応を誘発する化合物とマ
クロ相分離を起こさない限り、これらと相溶性を有する
ものであってもよく、非相溶性のものであってもよい。
ここで、マクロ相分離とは、粘着性ポリマーが、エポキ
シ基を有する樹脂及びエポキシ基の開環反応を誘発する
化合物と完全に相分離する現象をいい、粘着性ポリマ
ー、エポキシ基を有する樹脂またはエポキシ基の開環反
応を誘発する化合物の何れかまたは全てが透明性のある
状態で分離する状態をいい、ミクロ相分離による単に白
濁しただけの状態とは異なる状態をいうものとする。
【0026】本発明において用い得る粘着性ポリマーに
ついては、上記のようにエポキシ基を有する樹脂及びエ
ポキシ基の開環反応を誘発する化合物とマクロ相分離を
起こすものでない限り、従来より粘着剤を構成するのに
用いられている適宜の高分子量ポリマーを用いることが
できる。このような粘着性ポリマーの例としては、アク
リル系ポリマー、ポリエステル類、ポリウレタン類、シ
リコーン類、ポリエーテル類、ポリカーボネート類、ポ
リビニルエーテル類、ポリ塩化ビニル類、ポリ酢酸ビニ
ル類、ポリイソブチレン類などを挙げることができ、ま
た、粘着性ポリマーは、これらのポリマーの主成分とし
てのモノマーを含む共重合体であってもよい。
【0027】粘着性ポリマーの分子量は大きいものが好
ましく、その重量平均分子量は10万〜500万の範囲
が好ましく、より好ましくは、20万〜300万、さら
に好ましくは60〜200万である。粘着性ポリマーの
重量平均分子量が10万未満の場合には、硬化型粘接着
シートの凝集力が不足し、貼付時に糸引きを生じて剥離
することがあり、500万を超えると、粘着性ポリマー
とエポキシ基を有する樹脂とを含む組成物の粘度が高く
なり、シート成形できなくなることがある。
【0028】上述した種々のポリマーの中でも、従来よ
り優れた初期粘着力を発揮するために粘着剤の主成分と
して慣用されており、かつ粘着物性の制御が容易である
ため、請求項2に記載のようにアクリル系ポリマーを用
いることが好ましい。
【0029】上記アクリル系ポリマーの構造については
特に限定はされず、例えば、単独重合体構造、ランダム
共重合体構造、ブロック共重合体構造、交互共重合体構
造、立体規則性構造、多分岐構造、星形構造、樹状構
造、ラダー構造、環状構造、ヘリックス構造など、任意
である。
【0030】上記アクリル系ポリマーのより好ましい例
としては、(メタ)アクリル酸エステルからなるユニッ
トをアクリル系ポリマー中に20重量%以上含む重合体
であり、アルキル基の炭素数1〜14であるアルキル
(メタ)アクリレートモノマー(a)の重合体または共
重合体が挙げられる。
【0031】また、上記共重合体としては、アルキル
(メタ)アクリレートモノマー(a)と、該アルキル
(メタ)アクリレートモノマー(a)と共重合可能な不
飽和結合を有するビニルモノマー(b)との共重合体が
挙げられる。このような共重合体の製造方法は特に限定
されず、ラジカル重合、アニオン重合、配位重合、光重
合などの公知の方法により製造され得る。
【0032】上記アルキル(メタ)アクリレートモノマ
ー(a)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチ
ル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレ
ート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シク
ロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メ
タ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、
シクロペンチルアクリレート、イソミリスチル(メタ)
アクリレートなどを例示することができる。
【0033】上記ビニルモノマー(b)としては、上記
アルキル(メタ)アクリレートモノマー(a)と共重合
可能な不飽和結合を有する化合物であれば特に限定され
ないが、硬化型粘接着シートの貯蔵安定性を高めるため
には、硬化型粘接着シートに含まれているエポキシ基と
非反応性のビニルモノマーが好ましい。
【0034】上記のような観点から、アクリル酸、メタ
クリル酸のようなカルボキシル基含有ビニルモノマーや
酸無水骨格を有する無水マレイン酸などのビニルモノマ
ーを用いることは好ましくはない。
【0035】上記ビニルモノマー(b)の例としては、
(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、イ
ソボルタニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフル
フリル(メタ)アクリレート、N−アクリロイルモルフ
ォリン、ベンジル(メタ)アクリレート、グリシジル
(メタ)アクリレート、N−ビニルカプロラクトン,、
N−ビニルピペリジンなどを挙げることができる。
【0036】より好ましくは、上記粘着性ポリマーとし
て、請求項3に記載のように、アクリル系モノマーを含
有する光重合性組成物を光ラジカル重合させて得られた
アクリル系ポリマーが用いられる。この場合には、光重
合性組成物に、光を照射することにより光ラジカル重合
でアクリル系ポリマーが得られる。従って、エポキシ基
を有する樹脂及びエポキシ基の開環反応を誘発する化合
物と共に、上記アクリル系ポリマー及び光ラジカル重合
開始剤を光重合性組成物中に含有させておけば、光を照
射することにより、容易に本発明に係る硬化型粘接着シ
ートを得ることができる。
【0037】また、後述するように、上記エポキシ基の
開環反応を誘発する化合物として光カチオン反応重合開
始剤を用いた場合には、硬化型粘接着シートの硬化につ
いても光を照射することにより行い得る。すなわち、光
を照射するという単一の手法を採用するだけで、上記光
重合性組成物から本発明に係る硬化型粘接着シートを得
ることができるだけでなく、さらに、使用に際しての硬
化型粘接着シートの硬化も果たし得る。もっとも、この
場合には、光ラジカル重合によりアクリル系ポリマーを
形成する際に照射する光と、硬化型粘接着シートを硬化
させる際に照射する光とは、波長領域の異なるものを用
いることが必要である。
【0038】また、エポキシ基を開環させる反応を誘発
するには、上記光ラジカル重合の場合よりも大きなエネ
ルギーを必要とする。従って、より好ましくは、上記光
ラジカル重合に際しては、360nm以上の波長領域の
光を照射して光ラジカル重合を行い、エポキシ基の開環
反応を誘発する場合には、360nm未満の波長の光を
用いることが望ましい。
【0039】360nm以上の波長領域の光により活性
化される上記光ラジカル重合開始剤としては、360n
m以上の波長の光により活性化されるものでなくてはな
らず、また、360nm未満の光でエポキシ基の開環反
応を誘発する化合物へのエネルギー移動を起こさない化
合物が好ましい。このような光ラジカル重合開始剤の好
ましい例としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエト
キシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケト
ン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノ
ン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2
−フェニルアセトフェノンなどのアセトフェノン誘導体
化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピ
ルエーテルなどのベンゾインエーテル系化合物;ベンジ
ルジメチルケタールなどのケタール誘導体化合物;ハロ
ゲン化ケトン;アシルフォスフィンオキシド;アシルフ
ォスフォナート;ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイ
ル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオ
キシドなどを挙げることができる。
【0040】上記光重合開始剤の例の中でも、特に、3
60nmを超える波長領域の光に対する吸光係数が高い
アシルフォスフィンオキシド、アシルフォスフォナー
ト、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,
4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシドが好
ましい。
【0041】上記光ラジカル重合において光照射に用い
るランプとしては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、
高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラック
ライトランプ、マイクロウェープ励起水銀灯、メタルハ
ライドランプなどを用いることができる。
【0042】エポキシ基を有する樹脂 本発明の硬化型粘接着シートにおいて用いられる上記エ
ポキシ基を有する樹脂は、活性化エネルギーが付与され
た場合にエポキシ基の開環反応を誘発する化合物の作用
により、開環重合し、硬化型粘接着シートを硬化させる
ために用いられている。
【0043】上記エポキシ基を有する樹脂としては、エ
ポキシ基を含有する樹脂であれば特に限定されない。例
えば、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノー
ルF系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環
式脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル系化合物等
が挙げられる。
【0044】エポキシ基の開環反応を誘発する化合物 本発明の硬化型粘接着シートでは、上記エポキシ基を有
する樹脂のエポキシ基を開環反応させて重合させること
により、硬化が進行する。このエポキシ基の開環を誘発
するために、上記のようにエポキシ基の開環反応を誘発
する化合物が配合されており、このような化合物として
は、活性化エネルギーを付与することによりエポキシ基
の開環を誘発する任意の化合物が用いられる。
【0045】なお、上記活性化エネルギーとしては、紫
外線などの光、電子線、X線、高周波電流、熱など適宜
の活性化エネルギーを利用することができ、用途、被着
体の種類などに応じて選択し得る。好ましくは、耐熱性
が低い合成樹脂などからなる被着体に適用することがで
きるため、活性化エネルギーとしては光が用いられ、特
に、360nm未満の紫外線は、そのエネルギー強度が
大きいため、エポキシ基の開環を速やかに進行させる。
【0046】光によりエポキシ基の開環反応を誘発する
化合物としては、例えば、紫外線などの光によりエポキ
シ基を開環させる反応を誘発する化合物として、オニウ
ム塩類、有機金属錯体類などを挙げることができる。上
記オニウム塩類としては、例えば、ジアゾニウム塩、ス
ルホニウム塩、ヨードニウム塩を挙げることができる。
また、有機金属錯体類としては、例えば、鉄−アレン錯
体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウ
ム錯体などを挙げることができる。より好ましくは、請
求項4に記載のように、エポキシ基を開環させる反応を
誘発する化合物として光カチオン反応重合開始剤が用い
られる。
【0047】上記光カチオン重合触媒としては、芳香族
ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホ
ニウム塩などを挙げることができる。より具体的には、
例えば、オプトマーSP−150(旭電化工業社製)、
オプトマーSP−170(旭電化工業社製)、UVE−
1014(ゼネラルエレクトロニクス社製)、CD−1
012(サートマー社製)などの市販の化合物を用いる
ことができる。
【0048】上記光照射に用いられるランプとしては、
波長360nm以下に発光分布を有するものが用いら
れ、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超
高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、
マイクロウェープ励起水銀灯、メタルハライドランプな
どを用いることができる。この場合、表層だけの硬化を
防止し、内部硬化を実現するには、320nm以下の光
をカットして照射してもよい。
【0049】本発明において、上記エポキシ基の開環反
応を誘発する化合物としては、上述した活性化エネルギ
ーの種類に応じて適宜の化合物が用いられ、例えば、活
性化エネルギーが熱の場合には、熱によりプロトンまた
は炭素カチオンを発生する化合物であれば特に限定され
ず、無機酸−塩基錯体、ルイス酸−塩基錯体などを用い
ることができる。
【0050】配合割合 本発明に係る硬化型粘接着シートにおいて、上記粘着性
ポリマーと、エポキシ基を有する樹脂との配合割合は、
上記動的貯蔵弾性率についての条件を満たす限り、目的
とする初期粘着力及び硬化後の接着強度に応じて適宜定
められ、特に限定されるものではないが、好ましくは、
粘着性ポリマー100重量部に対し、エポキシ基を有す
る樹脂が10〜300重量部の割合で配合される。
【0051】エポキシ基を有する樹脂の配合割合が10
重量部未満の場合には、活性化エネルギーを付与して硬
化させたとしても、十分な接着強度を得ることができな
いことがあり、300重量部を超えると、粘着性ポリマ
ーの相対的な配合割合が低下し、十分な初期粘着力を得
ることができないことがある。
【0052】また、上記エポキシ基の開環を誘発させる
化合物については、その種類によっても異なるため、配
合割合については、特に限定されるものではないが、例
えば、上記光カチオン重合触媒を用いる場合には、粘着
性ポリマー100重量部に対し、0.01〜5重量部の
範囲とすることが好ましい。光カチオン重合触媒の配合
割合が0.01重量部未満の場合には、光を照射したと
しても、エポキシ基の開環反応を十分に進行させること
ができないことがあり、接着強度の高い接着硬化物を得
ることができないことがあり、5重量部を超えて配合し
たとしても、エポキシ基を有する樹脂の硬化を進行する
作用はそれ以上高まらず、初期粘着力が低下することが
ある。
【0053】また、本発明に係る硬化型粘接着シートで
は、上記粘着性ポリマー、エポキシ基を有する樹脂及び
エポキシ基の開環を誘発する化合物の他に、本発明の目
的を阻害しない範囲で、公知の粘着付与樹脂、増量剤等
を適宜配合してもよい。
【0054】例えば、本発明の硬化型粘接着シートの粘
着性を向上させる目的で、ロジン系樹脂、変性ロジン系
樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族
変性テルペン樹脂、C5系またはC9系の石油樹脂、ク
ロマン樹脂等の粘着付与樹脂を添加してもよい。
【0055】特に、被着体がポリオレフィン類の場合に
は、強い接着力を発現させることができるという点で、
ロジン系樹脂及び石油樹脂が好ましい。また、塗工性を
向上させる目的で、アクリルゴム、エピクロルヒドリン
ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム等の増粘剤、コロイ
ダルシリカ、ポリビニルピロリドン等のチキソトロープ
剤、炭酸カルシウム、酸化チタン、クレー等の増量剤等
を添加してもよい。
【0056】さらに、粘接着シートとした場合に高強度
の剪断接着力を付与する目的で、ガラスバルーン、アル
ミナバルーン、セラミックバルーン等の無機中空体;ナ
イロンビーズ、アクリルビーズ、シリコンビーズ等の有
機球状体;塩化ビニリデンバルーン、アクリルバルーン
等の有機中空体;ガラス、ポリエステル、レーヨン、ナ
イロン、セルロース等の単繊維等を添加してもよい。
【0057】上記ガラス繊維を配合する場合、繊維状の
チップを組成物中に添加することが可能であるが、ガラ
ス織布に上記光重合性組成物などを含浸して重合するこ
とにより、非常に高強度の剪断接着力を得ることができ
る。
【0058】硬化型粘接着シートの製造 本発明に係る硬化型粘接着シートの製造方法については
特に限定されるものではなく、ホットメルト法、キャス
ティング塗工法、UV重合法などの様々な方法を用いる
ことができ、例えば、キャスティング塗工法では、上記
粘着性ポリマー、エポキシ基を有する樹脂及びエポキシ
基の開環反応を誘発する化合物を配合し、必要に応じて
粘着付与樹脂等を加えてなる樹脂組成物を適宜の方法で
シート状に成形する方法、あるいは上記UV重合法とし
ては、光ラジカル重合によりアクリル系ポリマーを得る
ためのアクリル系モノマー、光ラジカル重合開始剤、エ
ポキシ基を有する樹脂及びエポキシ開環反応を誘発する
化合物を含む光重合性組成物をシート状に成形すると共
に、成形前または成形後に光を照射してアクリル系モノ
マーを光ラジカル重合しアクリル系ポリマーとする方法
など、適宜の方法を用いることができる。
【0059】上記UV重合法は無溶剤方式であり、製造
時に爆発などの危険性がなく、かつ光の照射条件を制御
することにより分子量200万以上の超高分子量の粘着
性ポリマーをシート内に容易に形成し得る。従って、比
較的低分子量のエポキシ樹脂を複合化したとしても、凝
集力及び初期粘着力に優れた粘接着シートを提供し得る
ので、上記種々の製造方法の中でも、UV重合法が好ま
しい。
【0060】上記UV重合法により本発明に係る硬化型
粘接着シートを製造する際の好ましい例を挙げると、ア
ルキル基の炭素数が1〜14である(メタ)アクリレー
トモノマー、(メタ)アクリレートモノマーと共重合可
能な不飽和結合を有するビニルモノマーと、360nm
以上の波長領域の光により活性化される光ラジカル重合
開始剤と、エポキシ基を有する樹脂と、300nm〜3
60nmの波長の光でエポキシ基の開環反応を誘発する
化合物とを混合してなる光重合性組成物を用意し、36
0nmを超える波長領域の光を照射して光ラジカル重合
により粘着性ポリマーをシート中に形成してなる硬化型
粘接着シートを製造する方法が挙げられる。このように
して得られた硬化型粘接着シートでは、エポキシ基を有
する樹脂と、300〜360nmの波長の光でエポキシ
基の開環反応を有する化合物が未反応のまま残存するこ
とになる。よって、硬化型粘接着シートを貼り合わせる
直前または貼り合わせ後に、300〜360nmの波長
の光を照射することにより容易に硬化させることができ
る。例えば、300〜360nmの波長の光を照射する
前のシート中のエポキシ基含有量が0.0001〜0.
01モル/gの硬化型粘接着シートを得た場合、照射す
る光の波長及び強度によっても異なるが、照射直後にエ
ポキシ基の添加率が0〜30%の場合、25℃で7日間
養生すると、シート中のエポキシ基の転化率は50〜1
00%の範囲とすることができる。
【0061】また、本発明に係る硬化型粘接着シート
は、例えば、被着体に接合部材を貼り合わせるに際し、
その間に介在させて接着するために、そのままの形態で
両面粘着テープのように用いられるものであってもよ
く、あるいは請求項7に記載のように、基材の少なくと
も一面に粘着剤層として形成されて基材つきの粘接着部
材として構成されているものであってもよい。
【0062】上記基材としては、レーヨン系もしくはセ
ルロース系などの各種不織布、ポリエチレン、ポリエス
テル、セロハン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ
イミドなどの各種合成樹脂よりなるフィルムもしくはシ
ート、発泡ポリエチレン、発泡ウレタン、ネオプレン発
泡体、発泡塩化ビニルなどの各種発泡体、ポリスチレ
ン、ABS、アクリル、ポリプロピレン、ポリエチレン
などの各種合成樹脂よりなる樹脂板、鋼、ステンレス、
銅、アルミニウムなどの各種金属からなるシートもしく
は板、ガラス、木材、紙、布などを用いることができ、
特に限定されるものではない。また、基材の形状につい
ても、シート状や板状などの薄いものに限られず、角柱
状、棒状、球状、非球面表面を有する形状など任意であ
る。
【0063】部材の接合方法 請求項5に記載の発明に係る部材の接合方法では、上述
した請求項1〜4の何れかに記載の硬化型粘接着シート
を介して被着体に接合部材を貼り合わせる前に、または
貼り合わせ後に活性化エネルギーを付与して、粘接着シ
ートを硬化させることを特徴とする。この場合、好まし
くは、「貼り合わせる前」とは、貼り合わせる前であっ
て、活性化エネルギーの付与によりエポキシ基を有する
樹脂の硬化が完了する前をいうものとする。活性化エネ
ルギーの付与により、エポキシ基を有する樹脂の硬化が
完了すると、硬化型粘接着シートが硬くなりすぎ、十分
な初期粘着力を得られないことがある。
【0064】請求項5に記載の発明において、上記活性
化エネルギーについては、特に限定されず、前述したよ
うに、光や熱などの任意のエネルギーを用いることがで
きる。もっとも、耐熱性の弱い合成樹脂などからなる被
着体や接合部材を貼り合わせる場合には、光を用いるこ
とが望ましく、それによって被着体や接合部材の熱劣化
を防止することができる。あるいは、光による劣化が生
じ易い被着体や接合部材を貼り合わせる場合には、活性
化エネルギーとして、熱を用いることが好ましい。
【0065】本発明のより好ましい例では、上記活性化
エネルギーとして光が用いられ、その場合、エポキシ基
の開環反応を誘発する化合物として、前述した光カチオ
ン反応重合開始剤が用いられる。この場合、粘着性ポリ
マーとして、請求項3に記載のようにアクリル系モノマ
ーを含有する光重合性組成物を光ラジカル重合させて得
られたもので構成した場合には、上記光重合性組成物に
光を照射し、アクリル系ポリマーを得る工程、並びに硬
化型粘接着シートの使用に際して硬化を進行させる工程
の何れをも光の照射により行うことができる。
【0066】また、活性化エネルギーとして、光を用い
る場合、好ましくは、請求項6に記載のように、360
nm未満の波長を有し、かつ光強度が5mW/cm2
上の紫外線が用いられる。360nmを超える波長の光
では、エネルギー強度が十分でないため、硬化に時間を
要することがあり、5mW/cm2 未満の光強度の紫外
線を用いた場合にも、同様に、硬化に長時間を必要とす
ることがある。
【0067】なお、接合部材を被着体に接合するに先立
ち、光を照射し、硬化型粘接着シートの硬化を進行させ
た場合には、接合部材や被着体に光が照射されないた
め、接合部材や被着体の光による劣化を防止することが
できる。従って、光の照射により劣化が生じ易い被着体
や接合部材を接合する際には、上記のように予め硬化型
粘接着シートに光を照射することが望ましい。また、被
着体または接合部材の一方が光により劣化し易く、他方
は光により劣化し難い場合には、該他方の部材側に硬化
型粘接着シートを貼り合わせて光を照射して、しかる後
上記一方の部材に貼り合わせてもよい。
【0068】用途 本発明に係る硬化型粘接着シートは、種々の粘接着用途
に用い得るが、硬化処理後に接着強度が増すため、十分
な接着強度が要求される建材、家電製品用部材、自動車
用部材などの耐久性の求められる用途に好適である。
【0069】作用 請求項1に記載の発明に係る硬化型粘接着シートは、上
記条件下において測定された動的剪断貯蔵弾性率が10
3 〜106 Paの範囲にあり、上記tanδの極大値が
−25〜+25℃の間にあるため、優れた初期粘着力を
有し、通常のアクリル系粘着テープのように容易に被着
体などに粘着させることができ、かつ凝集力も十分であ
るので剥離シートから容易に剥離することができる。ま
た、25℃で7日間養生した場合に、上記条件下におけ
る動的剪断貯蔵弾性率が106 〜108 Paの範囲にあ
るため、接着力も十分な大きさとされる。
【0070】すなわち、本発明に係る硬化型粘接着シー
トは、本願発明者により実験的に見出されたものであ
り、上記動的剪断貯蔵弾性率及びtanδに着目し、こ
れらを特定の値となるように制御することにより、凝集
力と初期粘着力とのバランスを良好としたこと、及び硬
化後の接着強度を高めることを可能としたことに特徴を
有する。
【0071】
【実施例】以下、本発明の非限定的な実施例を挙げるこ
とにより、本発明を明らかにする。
【0072】(実施例1)2Lセパラブルフラスコ内
で、グリシジルメタクリレート25g、エポキシ樹脂
(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート82
8)75g、光ラジカル重合開始剤としてビス(2,6
−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペ
ンチルフォスフィンオキシド0.10g及び光カチオン
重合触媒(旭電化工業社製、商品名:オプトマーSP−
170)0.5gを均一になるまで攪拌混合した後、窒
素ガスを用いて20分間バブリングすることによって溶
存酸素を除去し、光重合性組成物を得た。
【0073】上記光重合性組成物を、表面が離型処理さ
れたポリエチレンテレフタレートフィルムに厚み300
μmとなるように塗工し、さらに塗工膜に対して離型処
理したポリエチレンテレフタレートフィルムを被覆し
た。このように積層させたものに400nmに最大発光
波長を有する蛍光灯を使用し、360nm以下の波長領
域の光を実質的に含まない紫外線を、その光強度が1m
W/cm2 となるようにして、5分間照射し、硬化型粘
接着シートを得た。
【0074】光重合性組成物の組成及び硬化型粘接着シ
ートの性状を下記の表1に示す。上記硬化型粘接着シー
トを25mm×25mmの寸法に切り出し、幅25m
m、長さ100mm、厚さ2mmのステンレス板(SU
S304、以下、被着体Aとする。)上に載置し、30
0nm〜360nmの光強度が25mW/cm2 となる
ように光を高圧水銀灯を用いて硬化型粘接着シートに6
0秒間照射し、さらに、その上に別の被着体Aを貼り合
わせ、剪断接着力測定試験片(以下、試験片Aとす
る。)を得た。
【0075】貼り合わせ直後から5分経過した後に、初
期接着強度として、試験片Aを用いて剪断接着力をJI
S Z 0237に準じて測定した。また、貼り合わせ
から25℃で7日間養生した後に、養生後の接着強度と
して、試験片Aを用いて剪断接着力を測定した。結果を
下記の表1に示す。
【0076】(実施例2)実施例1において、エポキシ
樹脂(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート8
28)の代わりに、エポキシ樹脂(新日本理化社製、商
品名:リカレジンBEO−60E)を光重合性組成物に
加えた以外は、実施例1と同様にして、硬化型粘接着シ
ートを得た。光重合性組成物の組成、硬化型粘接着シー
トの性状及び接着性評価についての結果を表1に示す。
【0077】(実施例3)実施例1において、エポキシ
樹脂(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート8
28)75重量部の代わりに、エポキシ樹脂(油化シェ
ルエポキシ社製、商品名:エピコート828)45重量
部と、エポキシ樹脂(新日本理化社製、商品名:リカレ
ジンBEO−60E)30重量部を用いたこと以外は、
実施例1と同様にして、硬化型粘接着シートを得た。光
重合性組成物の組成、硬化型粘接着シートの性状及び接
着性評価についての結果を表1に示す。
【0078】(実施例4)2Lセパラブルフラスコ内
で、2−エチルヘキシルアクリレート45g、N−ビニ
ルピロリドン30g、エポキシ樹脂(油化シェルエポキ
シ社製、商品名:エピコート828)25g、光ラジカ
ル重合開始剤としてビス(2,6−ジメトキシベンゾイ
ル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオ
キシド0.10g及び光カチオン重合触媒(旭電化工業
社製、商品名:オプトマーSP−170)0.5gを均
一になるまで攪拌混合した後、窒素ガスを用いて20分
間バブリングすることによって溶存酸素を除去し、光重
合性組成物を得た。
【0079】この光重合性組成物を用いたことを除いて
は、実施例1と同様にして、硬化型粘接着シートを作製
した。光重合性組成物の組成、硬化型粘接着シートの性
状及び接着性評価についての結果を表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】上記のように、実施例1〜4では、本発明
に従って、粘着性ポリマーとして上記(メタ)アクリル
モノマーを光ラジカル重合してなるものと、エポキシ樹
脂と、光カチオン重合触媒とを含む硬化型粘接着シート
において、動的剪断貯蔵弾性率及びtanδが上記特定
の範囲とされており、かつ光照射後7日間経過後の動的
剪断貯蔵弾性率が特定の範囲とされているため、光を照
射して硬化する前の剪断接着力に比べて、光を照射して
25℃で7日間養生した後の剪断接着力が大幅に高めら
れている。
【0082】従って、動的貯蔵弾性率が上記範囲とされ
ているため、初期粘着力及び凝集力に優れており、従来
のアクリル系粘着テープと同様に被着体に容易に粘着し
得るだけでなく、光の照射により接着強度の高い接着硬
化物を与えることがわかる。
【0083】
【発明の効果】請求項1に記載の発明に係る硬化型粘接
着シートでは、粘着性ポリマー、エポキシ基を有する樹
脂及びエポキシ開環反応を誘発する化合物を含み、周波
数10Hz、0〜50℃の温度範囲において動的剪断貯
蔵弾性率が103 〜106 Pa、−25〜+25℃の間
に上記tanδの極大値が存在するため、十分な初期粘
着力を有し、かつ離型シートからの剥離も容易に行い得
る。従って、エポキシ基を有する樹脂により初期粘着力
が妨げられることがないため、粘着性ポリマーの作用に
より被着体などに容易に粘着することができる。よっ
て、高温高圧プレスや長時間加熱といった過酷な工程を
実施せずともよいため、このような条件に耐え得ない被
着体や接合部材の使用に好適に用いることができ、広範
な被着体や接合部材を接合するのに用いることができ
る。
【0084】また、上記特定のエポキシ基を有する樹脂
を用いており、かつ25℃で7日間養生した後の周波数
0.1Hz、25℃における動的剪断貯蔵弾性率が10
6 〜08 Paの範囲であるため、柔軟性に富み接着性に
優れており、活性化エネルギーの付与により速やかに硬
化され、接着強度の高い接着硬化物を与え得る。従っ
て、請求項1に記載の発明に係る硬化型粘接着シートを
用いることにより、仮止めなどの作業を容易に行うこと
ができ、かつ貼り合わせ前または貼り合わせ後に活性化
エネルギーを付与することにより、接着強度を著しく高
め得るため、貼り合わせ部分の接合強度を効果的に高め
得る。
【0085】また、請求項2に記載の発明では、上記粘
着性ポリマーとしてアクリル系ポリマーが用いられてい
るため、優れた初期粘着力を示し、かつ粘着物性の制御
も容易となる。
【0086】請求項3に記載の発明によれば、上記アク
リル系ポリマーが、アクリル系モノマーを含有する光重
合性組成物を光ラジカル重合させることにより得られて
いるので、該光重合性組成物中に上記エポキシ基を有す
る樹脂及びエポキシ開環反応を誘発する化合物を配合し
ておくことにより、本発明に係る硬化型粘接着シートを
容易に得ることができる。加えて、上記エポキシ基を開
環させる反応を誘発する化合物として、活性化エネルギ
ーとして光を用いるもの、例えば、光カチオン反応重合
開始剤を用いる場合には、光重合性組成物を用意して硬
化型粘接着シートを製造する工程から、硬化型粘接着シ
ートを用いて接着し、硬化型粘接着シートを硬化させる
工程に至るまで、光の照射という単一の手段を用いて行
うことができる。
【0087】請求項4に記載の発明に係る硬化型粘接着
シートでは、上記エポキシ基の開環反応を誘発させる化
合物として、光カチオン反応重合開始剤を用いているた
め、貼り合わせの前に、あるいは貼り合わせ後に、光を
照射するだけで、硬化型粘接着シートの硬化を進行させ
ることができる。従って、例えば、耐熱性に問題のある
合成樹脂などからなる被着体や接合部材の接合に好適に
用いることができる。
【0088】請求項5に記載の発明に係る部材の接合方
法では、本発明に係る硬化型粘接着シートを介して被着
体に接合部材を貼り合わせる前または貼り合わせ後に、
活性化エネルギーを付与して、エポキシ基を開環させる
重合反応により硬化型粘接着シートを硬化させるので、
本発明に係る硬化型粘接着シートの優れた初期粘着力を
利用して貼り合わせを容易に行うことができるので、高
温高圧プレスや長時間加熱といった過酷な接着加工条件
を要せず接合作業を行い得る。しかも、活性化エネルギ
ーの付与により、硬化型粘接着シートが速やかに硬化す
るため、接合部部分の接着強度を容易にかつ確実に高め
得る。
【0089】請求項6に記載の発明に係る部材の接合方
法では、活性化エネルギーとして、360nm未満の波
長を有し、かつ光強度が5mW/cm2 以上の紫外線を
用いるため、上記エポキシ基を開環させる重合反応を光
の照射により速やかに行うことができ、従って、硬化型
粘接着シートの硬化をより一層速やかに進行させること
ができる。
【0090】請求項7に記載の発明によれば、基材の一
面に請求項1〜4に記載の発明に係る粘接着シートが積
層されているので、従来の基材つき粘着部材と同様に、
基材つきの粘接着部材として提供でき、被着体への貼付
を容易に行い得る。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘着性ポリマー、エポキシ基を有する樹
    脂及び前記エポキシ基の開環反応を誘発する化合物を含
    み、活性化エネルギーの付与により硬化し得る硬化型粘
    接着シートであって、 周波数10Hz、0〜50℃の条件下における動的剪断
    貯蔵弾性率が103 〜106 Paであり、−25〜+2
    5℃の間に動的剪断損失弾性率を動的剪断貯蔵弾性率で
    除算した値(tanδ)の極大値が存在し、かつ活性化
    エネルギーを付与することによりエポキシ基の開環反応
    を誘発する化合物を活性化し、25℃で7日間の養生し
    た場合に、周波数0.1Hz、25℃での動的剪断貯蔵
    弾性率が106 〜108 Paとなることを特徴とする硬
    化型粘接着シート。
  2. 【請求項2】 前記粘着性ポリマーが、アクリル系ポリ
    マーである請求項1に記載の硬化型粘接着シート。
  3. 【請求項3】 前記アクリル系ポリマーが、アクリル系
    モノマーを含有する光重合性組成物を光ラジカル重合さ
    せて得られたものである請求項2に記載の硬化型粘接着
    シート。
  4. 【請求項4】 前記エポキシ基の開環反応を誘発する化
    合物が、エポキシ基を開環させる光カチオン反応重合開
    始剤である請求項1〜3の何れかに記載の硬化型粘接着
    シート。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れかに記載の硬化型粘
    接着シートを介して被着体に接合部材を貼り合わせる前
    に、または貼り合わせ後に、上記硬化型粘接着シートに
    活性化エネルギーを付与し、エポキシ基を開環させる重
    合反応により硬化型粘接着シートを硬化させる工程を含
    むことを特徴とする部材の接合方法。
  6. 【請求項6】 前記活性化エネルギーが、360nm未
    満の波長領域であり、光強度が5mW/cm2 以上の紫
    外線である請求項5に記載の部材の接合方法。
  7. 【請求項7】 基材の一面に、請求項1〜4の何れかに
    記載の硬化型粘接着シートを積層してなる粘接着部材。
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