JP4611463B2 - 硬化型粘接着シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬化型粘接着シートに関し、より詳細には、初期状態では粘着性を有し、接合に際し光を照射されることによりエポキシ基の開環重合により硬化すると共にシートが変色する光硬化型の粘接着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリル系粘着剤は、耐熱性、耐候性、耐油性などに優れているため、粘着テープなどの各種粘着加工製品に広く用いられている。もっとも、アクリル系粘着剤では、感圧性接着力を発現させるために、その物理的特性として弾性率を低く抑えるように設計されている。従って、接着剤のような高い接着強度を発現させることが困難であり、車両用鋼板、住宅・建築用構造部材、筐体部材の接合などのように、高い接合強度が求められる用途に用いることはできなかった。
【0003】
そこで、簡便な作業性と、接着剤なみの高度な接合強度や被膜強度を併せ持ち、かつ揮発分を含有していないため安全性に優れている粘接着剤が提案されている。例えば、特開平2−272076号公報には、アクリレートモノマーとエポキシ樹脂とを含む光重合性組成物からなる感圧熱硬化性接着剤を用いた接着テープが開示されている。ここでは、光重合性組成物の内、アクリレートモノマーのみが重合されて粘着テープとされ、貼付後に加熱することによりエポキシ樹脂が硬化され、接着強度が高められるとされている。
【0004】
しかしながら、特開平2−272076号公報に記載の方法では、エポキシ樹脂の硬化に熱を利用しているため、耐熱性に劣る材料を被着体として用いることができず、被着体の材質が制限されるという問題があった。
【0005】
他方、特開平5−506465号公報には、アクリレートモノマーのような光ラジカル重合成分と、エポキシ化合物のような光カチオン重合成分と、有機金属錯塩重合開始剤を含む組成よりなる感圧性接着剤が開示されている。この感圧性接着剤は、粘着力を高めるために提案されているものであり、該感圧性接着剤の製造段階において、光ラジカル重合及び光カチオン重合の何れもが進行し、これらの重合反応は感圧性接着剤をシート状などに成形した際に完了している。すなわち、得られた感圧性接着シートは、予め十分な強度を有するように構成されている。従って、被着体に接合するに際し、十分な粘着力は期待し得るものの、熱や光などの外部刺激を加えたとしても、もはや、それ以上接着強度の向上は望めなかった。
【0006】
また、エポキシ樹脂系接着剤は、耐クリープ性、耐光性、耐水性、耐熱性、耐薬品性などに優れていること、接着強度が高いこと、並びに金属、プラスチック、ガラスなどの広範な材料を接着し得ることにより、様々な接合部材の貼付に広く用いられている。
【0007】
しかしながら、エポキシ樹脂系接着剤は、一般に液状の形態で用いられるため、塗布時に塗布ムラが生じたり、過剰塗布によるシミ出しにより接合端面の美観を損なったり、一度塗布した面に再度塗布し直すことができなかったりするという問題があった。また、エポキシ樹脂系接着剤は、主として2液型の接着剤として構成されており、主剤と硬化剤との混合比が限定されるため、使用に際して混合割合に注意を払わねばならず、混合割合の誤りにより目的とする接着強度を発現させることができないこともあった。
【0008】
そこで、エポキシ樹脂系接着剤をシート状またはフィルム状に成形してなるシート状エポキシ接着剤が提案されている(特開昭60−173076号公報)。しかしながら、シート状エポキシ接着剤は、常態において弾性率が高く、初期粘着力が低い。従って、シート状エポキシ接着剤は仮止め性を有せず、接合時の作業性が十分でないという問題があった。また、被着体に対する密着性が十分でないため、被着体に貼付するに際し、高温や高圧プレスのような過酷な条件で接着しなければならず、このような加工条件に耐性を有しない被着体に適用することができなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、常態では十分な初期粘着力及び凝集力を有し、接合に際し光を照射することにより比較的短時間で硬化させることができ、耐熱性が十分でない部材の接着に好適に用いることができると共に、過酷な硬化条件を必要としない硬化型粘接着シートを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
未だ公知ではないが、本願発明者は、上記課題を達成し得る硬化型粘接着剤として、アクリル系ポリマー、エポキシ基含有化合物及び光カチオン重合開始剤を含む硬化型粘接着シートを先に提案した。この硬化型粘接着シートでは、初期状態では、アクリル系ポリマーの粘着力及び初期凝集力により十分な粘着性を示し、光が照射されると光カチオン重合開始剤が活性化され、エポキシ基含有化合物の開環重合により硬化し、十分な接着力を有する。この硬化型粘接着剤を用いた硬化型粘接着シートでは、被着体に貼付する前または貼付後に光を照射するだけで被着体に強固に接合することができ、被着体の耐熱性も問題とはならない。
【0011】
しかしながら、上記硬化型粘接着シートに光を照射すると接着硬化が進行するものの、外観上変化が見られず、光の照射が正確に行われたか否か、すなわち硬化が開始しているか否かを判断することができなかった。
【0012】
そこで、本願発明者は、上記課題を達成すると共に、さらに、光の照射により硬化が確実に進行しているか否かを目視により容易に確認し得る硬化型粘接着シートを得るべく種々検討した結果、本発明を成すに至った。
【0013】
請求項1に記載の発明は、(A)重量平均分子量が20万〜500万の範囲であるアクリル系ポリマーと、(B)エポキシ基含有化合物と、(C)エポキシ基含有化合物のエポキシ基の開環重合を誘発する光カチオン重合開始剤と、下記の化学式で示される化合物(D)及び化合物(E)とを含み、光の照射によりエポキシ基含有化合物(B)が重合硬化すると共に、400〜800nmの波長領域のうち少なくとも1つの波長の光に対して5%以上光透過率が変化することを特徴とする硬化型粘接着シートである。
【0015】
【化4】
Figure 0004611463
【0016】
【化5】
Figure 0004611463
【0017】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明に係る硬化型粘接着シートの好ましい態様であり、(B)エポキシ基含有化合物100重量部に対し、(A)アクリル系ポリマー1〜10000重量部、(C)光カチオン重合開始剤0.01〜1000重量部、化合物(D)0.001〜1000重量部及び化合物(E)0.001〜1000重量部を含むことを特徴とする。
【0018】
また、請求項に記載の発明は、(A)重量平均分子量が20万〜500万の範囲であるアクリル系ポリマーと、(B)エポキシ基含有化合物と、(C)エポキシ基含有化合物のエポキシ基の開環重合を誘発する光カチオン重合開始剤と、下記の化学式で示される化合物(F)とを含み、光の照射によりエポキシ基含有化合物(B)の重合硬化により硬化すると共に、400〜800nmの波長領域のうち少なくとも1つの波長の光に対して5%以上光透過率が変化することを特徴とする硬化型粘接着シートである
【0019】
【化6】
Figure 0004611463
【0020】
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明に係る硬化型粘接着シートの好ましい態様であり、(B)エポキシ基含有化合物100重量部に対し、(A)アクリル系ポリマー1〜10000重量部、(C)光カチオン重合開始剤0.01〜1000重量部及びチオキサンソン系化合物(F)0.0001〜1000重量部を含むことを特徴とする。
【0021】
更に、請求項に記載の発明は、請求項1〜の何れかに記載の硬化型粘接着シートであって、前記アクリル系ポリマーが、1分子中に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基と少なくとも1つの水酸基とを有する化合物(A1)と、化合物(A1)と共重合可能な不飽和結合を有する化合物(A2)とを共重合して得られる共重合体であることを特徴とする。
【0022】
【0023】
以下、本発明の詳細を説明する。
(A)アクリル系ポリマー
本発明において、上記アクリル系ポリマーは、硬化型粘接着シートに初期粘着力及び凝集力を与えるために用いられている。このアクリル系ポリマーについては、特に限定されず、(メタ)アクリレートの単独重合体及び共重合体を用いることができる。なお、(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルは、それぞれ、アクリレート及びメタクリレートあるいはアクリル及びメタクリルを総称する表現として用いることとする。
【0024】
上記アクリル系ポリマーの重合方法についても特に限定されず、ラジカル重合、アニオン重合、配位重合、光重合などの適宜の重合方法を用いることができる。また、アクリル系ポリマーの構造についても特に限定されず、単独重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、立体規則性構造、多分岐構造、星形構造、樹状構造、ラダー構造、環状構造、ヘリックス構造などを挙げることができる。
【0025】
好ましくは、上記アクリル系ポリマーとして、分子内に少なくとも1種以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートと、これに共重合可能な共重合性モノマーとの共重合体が、十分な初期粘着力及び凝集力を発揮するため用いられる。
【0026】
上記(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートを挙げることができる。
【0027】
上記(メタ)アクリレートと共重合可能な共重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレートと共重合可能な不飽和結合を有する化合物であれば特に限定されるわけではないが、硬化型粘接着シートに含まれるエポキシ基とは非反応性であるビニルモノマーが、硬化型粘接着シートの貯蔵安定性を高める上で好ましい。従って、アクリル酸、メタクリル酸のようなカルボキシル基含有ビニルモノマーや酸無水骨格を有する無水マレイン酸などのビニルモノマーは好ましくない。
【0028】
上記ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルモルフォリン、N−ビニルカプロラクトン、N−ビニルピペリジン、スチレン、インデン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、珪皮酸ビニルなどを挙げることができ、これらは単独で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。
【0029】
また、上記アクリル系ポリマーは、本発明の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて、耐熱性や高温での凝集力等を向上させるために、架橋性モノマーにより架橋されていてもよい。
【0030】
上記架橋性モノマーについては特に限定されるわけではないが、上述した(メタ)アクリレートのうち、多官能アクリル系モノマーや、上記ビニルモノマーのうち多官能ビニル系モノマーを挙げることができる。
【0031】
架橋性モノマーの例を挙げると、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0032】
上記アクリル系ポリマーについては、その重量平均分子量は、特に限定されるわけではないが、20万〜500万の範囲であることが好ましい。重量平均分子量が20万未満の場合には、硬化型粘接着シートの凝集力が不足し、貼付時に糸引きを生じ、剥離することがある。重量平均分子量が500万を超えると、アクリル系ポリマーとエポキシ基含有化合物を含む組成物の粘度が高くなりすぎ、シート成形できないことがある。
【0033】
より好ましくは、上記アクリル系ポリマーとしては、請求項に記載のように、1分子中に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基と少なくとも1つの水酸基を有する化合物(A1)と、化合物(A1)と共重合可能な不飽和結合を有する化合物(A2)とを共重合して得られる共重合体が用いられる。
【0034】
上記化合物(A1)としては、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基及び少なくとも1つの水酸基を1分子中に有する限り、特に限定されるわけではない。この化合物(A1)の例を挙げると、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチル−2−ヒドロキシプロピルフタル酸、
【0035】
【化7】
Figure 0004611463
【0036】
【化8】
Figure 0004611463
【0037】
【化9】
Figure 0004611463
【0038】
【化10】
Figure 0004611463
【0039】
【化11】
Figure 0004611463
【0040】
【化12】
Figure 0004611463
【0041】
【化13】
Figure 0004611463
【0042】
【化14】
Figure 0004611463
【0043】
【化15】
Figure 0004611463
【0044】
【化16】
Figure 0004611463
【0045】
【化17】
Figure 0004611463
【0046】
【化18】
Figure 0004611463
【0047】
これらは単独で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。
また、上記共重合可能な不飽和結合を有する化合物(A2)についても特に限定されるわけではないが、前述した(メタ)アクリレートと共重合可能なビニルモノマーの他、
【0048】
【化19】
Figure 0004611463
【0049】
【化20】
Figure 0004611463
【0050】
【化21】
Figure 0004611463
【0051】
【化22】
Figure 0004611463
【0052】
【化23】
Figure 0004611463
【0053】
【化24】
Figure 0004611463
【0054】
の1種または2種以上挙げることができる。
【0055】
(B)エポキシ基含有化合物
本発明に係る硬化型粘接着シートでは、エポキシ基含有化合物(B)が、光照射により硬化する成分として用いられている。この化合物(B)については、エポキシ基を有する限り、特に限定されるものではなく、例えば、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族環式エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、ゴム変成エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、グリシジルエステル系化合物等が挙げられる。また、上記エポキシ基を有する化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。
【0056】
(C)光カチオン重合開始剤
本発明に係る硬化型粘接着シートでは、上記エポキシ基含有化合物(B)のエポキシ基の開環重合を誘発するために、光を照射することにより活性化される光カチオン重合開始剤(C)が配合されている。
【0057】
光カチオン重合開始剤(C)については、20〜100℃付近では熱触媒活性が低い化合物が貯蔵安定性を高める点から好ましい。このような好ましい光カチオン重合開始剤としては、例えば、鉄−アレン錯体化合物、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、ピリジニウム塩などが挙げられる。
【0058】
より具体的には、例えば、オプトマーSP−150(旭電化工業社製)、オプトマーSP−151(旭電化工業社製)、オプトマーSP171(旭電化工業社製)、オプトマーSP−170(旭電化工業社製)、UVE−1014(ゼネラルエレクトロニクス社製)、CD−1012(サートマー社製)、サンエイドSI−60L(三新化学工業社製)、サンエイドSL−80L(三新化学工業社製)、サンエイドSI−100L(三新化学工業社製)、CI−2064(日本曹達社製)、CI−2639(日本曹達社製)、CI−2624(日本曹達社製)、CI−2481(日本曹達社製)などの市販の化合物を用いることができる。
【0059】
上記光カチオン重合開始剤を活性化させる光の波長領域は特に限定されないが、好ましくは、300〜800nm以下の波長領域の光である。300〜800nmの波長領域の光を用いることにより、均一な光硬化及び十分な硬化速度を得ることができ、好ましい。また、300〜400nmがより好ましく、後述のように、硬化と共に、硬化の進行を目視により確認することができる。
【0060】
上記光照射に用いられる光源としては、300〜800nmの波長に発光分布を有する適宜の光源を用いることができ、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ太陽光などを用いることができる。この場合、表層だけの硬化を防止し、内部まで十分に硬化させるには、300nm以下の光をカットして照射することが望ましい。
【0061】
(変色)
請求項1に記載の発明に係る硬化型粘接着シートでは、光の照射により400〜800nmの波長領域のうち少なくとも1つの波長の光に対して5%以上光透過率が変化するように構成されている。なお、光透過率の変化とは、硬化型粘接着シートに対して光を照射した場合の照射前後における光透過率の変化を意味するものとする。従って、300〜800nmの波長領域の光を照射することによりエポキシ基含有化合物の重合硬化により硬化させ得るだけでなく、変色するため目視により光が正しく照射されたかどうかを、すなわち、硬化が開始しているかどうかを確認することもできる。
【0062】
なお、400nm未満あるいは800nmを超える波長領域の光に対して光透過率が5%以上変化したとしても、人間の視覚により確認することが困難である。すなわち、400〜800nmの可視光に対する光透過率が上記のように5%以上変化することが必要である。
【0063】
また、光透過率の変化割合が5%未満の場合には、人間の視覚により変化を確認することが困難となる。好ましくは、上記光透過率の変化割合は10%以上であり、それによってより一層容易に硬化の進行を目視により確認することができる。なお、上記変色度合の上限、すなわち光透過率の変化割合の上限については、特に限定されるものではない。
また、上記光透過率の変化については、光透過率が増大する方向、あるいは減少する方向の何れであってもよい。
【0064】
化合物(D)及び化合物(E)
請求項に記載のように、本発明に係る硬化型粘接着シートでは、好ましくは、上記化合物(D)及び(E)がさらに含有される。これらの化合物(D)及び(E)は、何れも、硬化型粘接着シートにおいて、上記のように光カチオン重合開始剤(C)の感光波長領域、特に300〜400nmの波長領域の光を照射した際に、硬化型粘接着シートの光透過率を5%以上変化させるのに好適であるため用いられている。もっとも、化合物(D)及び(E)を必ずしも使用する必要はなく、上記のように300〜800nmの波長領域の光を照射した際、400〜800nmの波長領域の少なくとも1つの波長に対しての光透過率が5%以上変化し得る限り、化合物(D)及び(E)を用いずともよく、あるいは他の化合物を含有させてもよい。
【0065】
(配合割合)
本発明に係る硬化型粘接着シートにおいては、上記アクリル系ポリマー(A)、エポキシ基含有化合物(B)、光カチオン重合開始剤(C)の配合割合については、特に限定されるわけではないが、好ましくは、エポキシ基含有化合物(B)100重量部に対し、アクリル系ポリマー(A)は、1〜10000重量部の範囲で用いられ、それによって十分な初期凝集力及び粘着力を有し、かつ重合硬化により優れた接着力を発揮し得る硬化型粘接着シートを得ることができる。
【0066】
また、上記光カチオン重合開始剤については、エポキシ基含有化合物100重量部に対し、0.01〜1000重量部の範囲で用いることが好ましい。光カチオン重合開始剤の配合割合が0.01重量部未満の場合には、エポキシ基含有化合物の開環重合が十分に進行しないことがあり、1000重量部を超えても、具体的に硬化成分の割合が低下し、十分な硬化後接着力を得ることができないことがある。
【0067】
好ましくは、請求項に記載のように、エポキシ基含有化合物100重量部に対し、アクリル系ポリマー(A)1〜10000重量部、光カチオン重合開始剤(C)0.01〜1000重量部、化合物(D)0.001〜1000重量部、好ましくは0.05〜500重量部及び化合物(E)0.001〜1000重量部、好ましくは0.05〜500重量部の割合で配合される。この割合で各成分を配合することにより、十分な初期粘着力及び凝集力を有し、光の照射により確実に硬化が進行し、十分な接着力を有する接着硬化物を与えることができ、かつ300〜800nmの波長領域の光を照射した際の光透過率の変化を目視により確実に確認し得る光硬化型粘接着シートを得ることができる。
【0068】
化合物(D)及び(E)の配合割合が、それぞれ0.001重量部未満の場合には、300〜800nmの光を照射して重合硬化させた際に、硬化型粘接着シートが十分に変色せず、目視により変色を確認することができないことがあり、1000重量部を超えると、変色を確認し得るものの、硬化成分の配合割合が相対的に低くなり、十分な接着力を得られないことがある。
【0069】
チオキサンソン系化合物(F)
請求項に記載のものにおいては、硬化型粘接着シートに、上記チオキサンソン系化合物(F)がさらに含有される。該化合物(F)は光カチオン開始剤(C)の活性効率を上げると同時に、300〜800nmの波長領域の光を照射した際、400〜800nmの波長領域の少なくとも一つの波長に対する光透過率を5%以上変化させ得る。
【0070】
チオキサンソン系化合物(F)としてはチオキサンソン骨格を含む化合物であれば特に限定されず、例えば、下記の化学式で表される化合物を挙げることができる。
【0071】
【化25】
Figure 0004611463
【0072】
(チオキサンソン系化合物(F)の配合割合)
(B)エポキシ基含有化合物100重量部に対して、化合物(F)が0.0001重量部未満の場合には、300〜800nmの波長領域の光を照射して重合硬化させた際、硬化型粘接着シートが充分に変色せず、目視で変色を確認することが困難となる。また、1000重量部を超えると、変色を確認し得るものの硬化成分の配合割合が相対的に低くなり、充分な接着力が得られないことがある。更に、光カチオン開始剤(C)の活性効率が高くなりすぎ、表面が硬化して粘着力がなくなり、接合部材を貼り合わせることが困難となる。
【0073】
(他の成分)
本発明に係る硬化型粘接着シートでは、上記各成分の他に、本発明の目的を阻害しない範囲で、公知の粘着付与樹脂や増量剤などを適宜配合してもよい。
【0074】
例えば、本発明の硬化型粘接着シートの粘着性を向上させる目的で、ロジン系樹脂、変性ロジン系樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、C5系またはC9系の石油樹脂、クマロン樹脂等の粘着付与樹脂を添加してもよい。
特に、被着体がポリオレフィン類の場合には、強い接着力を発現させることができるという点で、ロジン系樹脂及び石油樹脂が好ましい。
【0075】
また、塗工性を向上させる目的で、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム等の増粘剤、コロイダルシリカ、ポリビニルピロリドン等のチキソトロープ剤、炭酸カルシウム、酸化チタン、クレー等の増量剤等を添加してもよい。
【0076】
さらに、粘接着シートとした場合に高強度の剪断接着力を付与する目的で、ガラスバルーン、アルミナバルーン、セラミックバルーン等の無機中空体;ナイロンビーズ、アクリルビーズ、シリコンビーズ等の有機球状体;塩化ビニリデンバルーン、アクリルバルーン等の有機中空体;ガラス、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、セルロース等の単繊維等を添加してもよい。
【0077】
上記ガラス繊維を配合する場合、繊維状のチップを組成物中に添加することが可能であるが、ガラス織布に上記光重合性組成物などを含浸して重合することにより、非常に高強度の剪断接着力を得ることができる。
【0078】
(粘接着部材)
本発明に係る硬化型粘接着シートは、被着体に接合部材を貼り合わせるに際し、その間に介在させるために、そのままの形態で両面粘着テープのように用いられるものであってもよく、あるいは基材の少なくとも一面に粘着剤層として形成されて基材付きの粘接着部材として構成されているものであってもよい。
【0079】
上記基材としては、レーヨン系もしくはセルロース系などの各種不織布、ポリエチレン、ポリエステル、セロハン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミドなどの各種合成樹脂よりなるフィルムもしくはシート、発泡ポリエチレン、発泡ウレタン、ネオプレン発泡体、発泡塩化ビニル、発泡ポリスチレンなどの各種発泡体、ポリスチレン、ABS、アクリル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの各種合成樹脂よりなる樹脂板、鋼、ステンレス、銅、アルミニウムなどの各種金属からなるシートもしくは板、ガラス、木材、紙、布、タイル、石膏ボード、硅カル板などを用いることができ、特に限定されるものではない。
また、基材の形状についても、シート状や板状などの薄いものに限られず、角柱状、棒状、球状、非球面表面を有する形状など任意である。
【0080】
(製造方法)
本発明に係る硬化型粘接着シートの製造方法については、特に限定されず、溶剤キャスト法、押出塗工法、カレンダー法、UV重合法などの公知の方法により製造することができる。
【0081】
例えば、溶剤にエポキシ基を含有する化合物及び光開環カチオン反応触媒を溶解させ、必要に応じて高分子量アクリル系ポリマーを溶解させ、得られた溶液のキャスト法による製造方法、エポキシ基を含有する化合物及び光開環カチオン反応触媒、発色剤、必要に応じて高分子量アクリル系ポリマーを加熱混合し、ホットメルト塗工による製造方法等が挙げられるが、該シートの製造方法は特に限定されない。
【0082】
また、好ましい製造方法としては、UV重合法を用いた方法が挙げられる。すなわち、エポキシ基を含有する化合物、光カチオン重合開始剤、(メタ)アクリレートモノマー、光カチオン重合開始剤が感光しない波長領域の光で感光する光ラジカル重合開始剤、及び光カチオン開始剤を感光することができる光を含む光源から照射される光で感光する発色剤からなる光重合性組成物が用いられる。この光重合性組成物を、適当なシート基材に塗布し、光ラジカル重合開始剤のみを感光させ、ラジカル重合のみを起こさせてシートにおいて高分子量ポリマーとしてのアクリル系ポリマーを形成し、光硬化型粘着シートを得ることができる。
【0083】
上記光重合性組成物を用いた製造方法では、光の照射により高分子量ポリマーとしてのアクリル系ポリマーを生成し得る。
上記好ましい実施態様では、光カチオン重合開始剤が感光しない波長領域の光で感光する光ラジカル重合開始剤が使用されるが、特に、光カチオン重合開始剤へのエネルギー移動を起こさないものが好ましい。このような光ラジカル重合開始剤の好ましい例として、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α´−ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール誘導体化合物;ハロゲン化ケトン;アシルフォスフィンオキシド;アシルフォスフォナート;ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられる。
【0084】
上記光ラジカル重合において光照射に用いられるランプとしては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプレーザー等が用いられる。この場合において、光カチオン重合開始剤に感光する波長領域の光が含まれる場合は、適宜フィルター等によって、その光をカットして照射することもできる。
【0085】
(接着方法)
本発明に係る硬化型粘接着シートは、被着体同士を貼付する際に用い得るが、この場合、光の照射は被着体に貼付する前に行ってもよく、被着体に貼付した後に行ってもよい。また、少なくとも一方の被着体が光透過性の場合には、被着体同士を硬化型粘接着シートで貼り合わせた後に、光を照射してもよい。
【0086】
上記光の照射は、300〜800nmの波長の光を照射することにより行われる。使用し得る光源としては、前述した各種光源を用いることができ、かつ光の強度については、特に限定されるわけではないが、1mW/cm2 以上とすることが望ましい。1mW/cm2 未満の場合には、光カチオン重合開始剤が十分に活性化されず、硬化速度が非常に遅くなることがある。
【0087】
また、光の強度が100mW/cm2 を超えると、輻射熱が無視できなくなり、熱による硬化反応が促進され、光照射直後に被着体を貼り合わせないと、表面硬化がすぐに生じる。すなわち、硬化型粘接着シートの被着体に対する密着性がほとんど見られなくなることがある。従って、光の強度は1〜100mW/cm2 の範囲とすることが望ましい。
【0088】
(作用)
請求項1に記載の発明に係る硬化型粘接着シートでは、上記アクリル系ポリマーが含有されているため、十分な初期粘着力及び凝集力を有し、被着体に対し容易に貼付することができる。しかも、貼付前または貼付後に光を照射することにより光カチオン重合開始剤が活性化し、エポキシ基含有化合物の開環重合が進行し、硬化が進行する。この場合、硬化の進行は直ちには行われないので、光を照射してから貼り合わせまで十分な可使時間を得ることができる。
【0089】
しかも、光の照射を停止しても硬化が進行するため、シャドーゾーンにおける接着にも容易に用いることができ、硬化完了後に十分な接着力を発揮する。
加えて、300〜800nmの波長領域の光を照射することにより上記のように硬化が進行するが、硬化型粘接着シートの光透過率が5%以上変化するため、硬化の進行を目視により確実に確認することができる。
【0090】
請求項に記載の発明では、上記化合物(D)及び(E)がさらに含有されているため、400〜800nmの波長の光の照射により、硬化型粘接着シートの硬化が進行すると共に、確実にその光透過率が5%以上変化し、従って目視により硬化の進行を確実に把握することができる。
【0091】
請求項に記載の発明によれば、上記エポキシ基含有化合物(B)に対し、アクリル系ポリマー(A)、光カチオン重合開始剤(C)及び化合物(D),(E)が上記特定の割合で配合されているので、十分な初期粘着力及び凝集力を有しており、被着体に容易に貼付することができ、かつ光の照射後には確実に硬化が進行すると共に硬化の進行を硬化型粘接着シートの変色により確実に確認することができる。
【0092】
請求項に記載の発明では、上記化合物(F)がさらに含有されているため、400〜800nmの波長領域の少なくとも一つの波長の光に対する光透過率を5%以上変化させ、目視で硬化の進行を確実に把握することができる。
【0093】
請求項に記載の発明では、上記エポキシ基含有化合物(B)に対し、アクリル系ポリマー(A)、光カチオン重合開始剤(C)及び化合物(F)が前記特定の割合で配合されているので、目視で硬化の進行を確実に把握できるとともに、接合部材を十分な接着力で接合することができる。
【0094】
請求項に記載の発明では、アクリル系ポリマーが、分子中に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基と少なくとも1つの水酸基とを有する化合物(A1)と、これに共重合可能な不飽和結合を有する化合物(A2)との共重合体よりなるため、光ラジカル重合開始剤を用い、光の照射によるラジカル重合により容易にアクリル系ポリマーとしての上記共重合体を得ることができる。従って、アクリル系ポリマーの生成から硬化型粘接着シートの硬化までを光を照射するという単一手段で行うことができる。
【0095】
【実施例】
以下、本発明の非限定的な実施例を挙げることにより、本発明を説明する。
(実施例1)
2Lセパラブルフラスコ内で、プラクセルFM−2D(化合物3、n−2、ダイセル化学社製)150g、テトラヒドロフルフリルアクリレート(共栄化学社製)350g、エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート828)350g、エポキシ樹脂(新日本理化社製、商品名:リカレジンBEO−60E)150g、光ラジカル重合開始剤としてビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド(チバガイギー社製、商品名:イルガキュアー1700)1.0g、光カチオン開始剤(旭電化工業社製、商品名:オプトマーSP−170)10g、発色剤としてロイコクリスタルバイオレット(化合物D、R1=R2=N,N−ジメチルアミノ基;R3=R4=メチル基)0.3g及び2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ジイミダゾール(化合物E、R5=R6=塩素)0.3gを均一になるまで攪拌した後、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることによって溶存酸素を除去し、光重合性組成物を得た。
【0096】
表面が離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムに、上記光重合性組成物を厚み0.3mmになるように塗工し、さらに、塗工面に対して表面が離型処理された別のポリエチレンテレフタレートフィルムを被覆した。このようにして得た積層体に400nmに最大発光波長を有する蛍光灯を使用し、370nm以下の波長領域の光を実質的に含まない近紫外線を、10分間、光強度が1mW/cm2 となるようにして照射し、アクリルモノマーのみを重合し、アクリル系ポリマー(A)、エポキシ基含有化合物(B)及び光カチオン重合開始剤(C)を含有してなる硬化型粘接着シートを得た。
【0097】
上記で得られた硬化型粘接着シートに、300nm以上、370nm未満の光強度が20mW/cm2 以上、照射時間30秒以上となるように照射した。照射後の硬化型粘接着シートの光の透過率は、波長600nmの光において300〜370nmの波長の光の照射前に比べて17%低下した。なお、光透過率の変化は後述の方法により測定した。従って、目視により着色変化を容易に確認することが可能であった。同時に、光カチオン重合開始剤(C)が活性化され、シートの硬化が進行した。
【0098】
上記硬化型粘接着シートの剪断接着力を下記に示す方法により評価したところ、光照射前の剪断接着力は、3.5kgf/cm2 、光照射後に25℃で7日養生した後の剪断接着力は98kgf/cm2 であった。
【0099】
(実施例2〜12及び比較例1〜6)
下記の表1及び2に示すように組成を変更したことを除いては、実施例1と同様にして硬化型粘接着シートをそれぞれ作製し、評価した。
【0100】
(実施例13)
アクリル系ポリマー(A)250g:
(エチルアクリレート(EA)とグリシジルメタクリレート(GMA,重量平均分子量70万),重量比EA/GMA=8/2)
エポキシ樹脂(B):
エポキシ樹脂エピコート828(油化シェルエポキシ社製)150gと、エポキシ樹脂リカレジンBEO−60E(新日本理化社製)100g
光カチオン重合開始剤(C):2.5g(みどり化学社製)
チオキサンソン系化合物(F):1.0g(2,4−ジイソプロピルチオキサンソン(R7=R9=R11=R12=R13=R14=水素,R8=R10=イソプロピル基,(日本火薬社製,カヤキュアーDITX))
以上の配合物を2リットルのセパラブルフラスコ内で酢酸エチル500gに溶解して流延塗工用の組成物を作製した。
上記組成物を離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルムに乾燥後の厚みが200μmとなるように塗工し、本発明の光硬化型粘接着シートを得た。
【0101】
上記光硬化型粘接着シートに、300〜370nmの波長の光を、光強度が20mW/cm2 以上、照射時間30秒以上で照射した。照射後、光硬化型粘接着シートの光の透過率が、波長600nmの光において21%変化し、目視により着色変化が明確に確認できた。同時にエポキシの光開環カチオン反応触媒が活性化され、該シートの硬化が進行した。
【0102】
上記硬化型粘接着シートの剪断接着力を下記に示す方法により評価したところ、光照射前の剪断接着力は、2.4kgf/cm2 、光照射後に25℃で7日養生した後の剪断接着力は63kgf/cm2 であった。
【0103】
(実施例14〜16及び比較例7)
表3に示す配合の組成物としたこと以外は実施例13と同様にして硬化型粘接着シートを作製した。
【0104】
以上の実施例1〜20及び比較例1〜7で得た硬化型粘接着シートにつき、下記の方法で評価した。
【0105】
(光の透過率変化の評価)
光の透過率変化は下記の要領で評価した。
分光光度計を用いて、400〜800nmの波長領域で硬化型粘接着シートの光透過率を測定した。硬化前の透過率をT(0)とし、光照射直後の光透過率をT(1)とする。光透過率の変化量ΔTは、
ΔT(%)=|T(1)−T(0)| (%)
で表される。
【0106】
なお、透過率Tは、Lambert-Beerの法則により吸光度より求めてもよいし、透過率の変化量ΔTを吸光度の変化量に換算してもよい(参考文献:280 頁、SPECTROMETRIC IDENTIFICATION OF ORGANIC COMPUNDS、R.M.Silverstein ら、第4版、John Wiley & Sons,Inc.)。
【0107】
(剪断接着力評価)
予め耐水研磨紙♯280で研磨し、酢酸エチルで表面が脱脂乾燥された幅30mm、長さ150mm、厚さ2mmのステンレス板(SUS−304、被着体Aと略す)上に、上記のようにして得た硬化型粘接着シートの積層体を25mm×25mmの大きさに切断し、一方のPETフィルムを剥離し、貼り付けた(サンプルAと略す)。
【0108】
光照射前の剪断接着力は、JIS Z0237に準じてサンプルAに光を照射せずに、他方のPETフィルムを剥離し、第2の被着体B(被着体Aと同じ材料及び寸法を有する)を重ね貼り合わせ、25℃で20分養生した後、引張り速度10mm/分にて引張り評価した。
【0109】
光照射後の剪断接着力は、サンプルAの粘着シート面に300nm以上370nm未満の波長を有する光を、光強度が20mW/cm2 、照射時間60秒間で照射した。光照射後、直ちに粘着シート層に被覆されている他方のPETフィルムを剥がし、JIS Z0237に準じてサンプルAに第2の被着体B(被着体Aと同一物)を重ねて貼り合わせ、25℃7日養生した後、JIS K6850を参考にして引張り速度10mm/分にて引張り評価した。
【0110】
【表1】
Figure 0004611463
【0111】
【表2】
Figure 0004611463
【0112】
【表3】
Figure 0004611463
【0113】
表1及び表2から明らかなように、比較例1では、光照射により実施例1と同様に十分な接着強度を示しているが、光透過率の変化度が0.2%と低く、目視により着色度合いを判断することが困難であった。これは、比較例1では、化合物(D)及び(E)を添加していなかったため、透過率の変化度が小さいためと思われる。同様に、比較例2〜6においても、化合物(D)及び化合物(E)の配合割合が少ないためか、透過率変化度が小さく、目視により変色を確認することが困難であった。
【0114】
これに対して、実施例1〜12では、化合物(D)及び(E)の添加割合を除いては、比較例1と同様に構成されているものの、発色剤としての化合物(D)及び(E)が何れも0.03重量部以上配合されているためか、硬化の進行を透過率の変化により目視により容易に確認することが可能であった。
【0115】
また、表3により、比較例7ではチオキサンソン系化合物(F)が配合されていないため着色変化の識別が困難であった。これに対して実施例13〜20では透過率変化が著しく大きいので着色変化を明瞭に識別することができた。さらに、光照射7日後においては比較例7と同等の剪断接着力が得られた。
【0116】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、アクリル系ポリマー、エポキシ基含有化合物及び光カチオン重合開始剤を含み、初期状態ではアクリル系ポリマーにより十分な粘着性を有するため被着体に容易に貼付することができ、300〜800nm以上の波長の光を照射することによりエポキシ基含有化合物が重合硬化することにより十分な接着強度を与え、さらに該波長領域の光を照射した場合に400〜800nmの少なくとも1つの波長の光透過率が5%以上変化するため、硬化の進行を目視により確実に確認し得る硬化型粘接着シートを提供することが可能となる。
【0117】
また、上記硬化型粘接着シートは、光の照射により硬化するものであるため、被着体として耐熱性の劣る材料も用いることができ、かつ光の照射を停止した後も硬化反応が進行するため、様々な被着体や接着現場において容易に適用することができ、取扱性も良好である。
【0118】
請求項に記載の発明によれば、発色剤として上記化合物(D)及び(E)がさらに含有されているため、光の照射により硬化が進行すると共に、硬化型粘接着シートの可視領域における光の透過率が5%以上さらに確実に変化するため、目視により硬化の進行をより一層確実に把握することができる。
【0119】
請求項に記載の発明によれば、チオキサンソン系化合物(F)が配合されているので、400〜800nmの波長領域の少なくとも一つの波長の光に対する光透過率を5%以上変化させ、目視で硬化の進行を確実に把握することができるとともに、接合部材を十分な接着力で接合することができる。

Claims (5)

  1. (A)重量平均分子量が20万〜500万の範囲であるアクリル系ポリマーと、
    (B)エポキシ基含有化合物と、
    (C)エポキシ基含有化合物のエポキシ基の開環重合を誘発する光カチオン重合開始剤と
    下記の化学式で示される化合物(D)及び化合物(E)とを含み、
    光の照射によりエポキシ基含有化合物(B)の重合硬化により硬化すると共に、400〜800nmの波長領域のうち少なくとも1つの波長の光に対して5%以上光透過率が変化することを特徴とする硬化型粘接着シート。
    Figure 0004611463
    Figure 0004611463
  2. (B)エポキシ基含有化合物100重量部に対し、
    (A)アクリル系ポリマー1〜10000重量部、
    (C)光カチオン重合開始剤0.01〜1000重量部、
    化合物(D)0.001〜1000重量部及び化合物(E)0.001〜1000重量部を含むことを特徴とする請求項に記載の硬化型粘接着シート。
  3. (A)重量平均分子量が20万〜500万の範囲であるアクリル系ポリマーと、
    (B)エポキシ基含有化合物と、
    (C)エポキシ基含有化合物のエポキシ基の開環重合を誘発する光カチオン重合開始剤と、
    下記の化学式で示されるチオキサンソン系化合物(F)とを含み、
    光の照射によりエポキシ基含有化合物(B)の重合硬化により硬化すると共に、400〜800nmの波長領域のうち少なくとも1つの波長の光に対して5%以上光透過率が変化することを特徴とする硬化型粘接着シート。
    Figure 0004611463
  4. (B)エポキシ基含有化合物100重量部に対し、
    (A)アクリル系ポリマー1〜10000重量部、
    (C)光カチオン重合開始剤0.01〜1000重量部、
    及び(F)チオキサンソン系化合物0.0001〜1000重量部を含むことを特徴とする請求項に記載の硬化型粘接着シート。
  5. 前記アクリル系ポリマーが、1分子中に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基と少なくとも1つの水酸基とを有する化合物(A1)と、化合物(A1)と共重合可能な不飽和結合を有する化合物(A2)とを共重合して得られる共重合体であること
    を特徴とする請求項1〜の何れかに記載の硬化型粘接着シート。
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