JPH10120994A - 硬化型粘接着シート及び部材の接合方法 - Google Patents

硬化型粘接着シート及び部材の接合方法

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JPH10120994A
JPH10120994A JP8280779A JP28077996A JPH10120994A JP H10120994 A JPH10120994 A JP H10120994A JP 8280779 A JP8280779 A JP 8280779A JP 28077996 A JP28077996 A JP 28077996A JP H10120994 A JPH10120994 A JP H10120994A
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JP
Japan
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adhesive sheet
epoxy group
adhesive
curable
resin
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JP8280779A
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English (en)
Inventor
Akira Nakasuga
章 中寿賀
Koji Fukui
弘司 福井
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 常態においては優れた初期粘着力を有するの
で仮着性に優れており、接着後に接着強度を容易にかつ
確実に高め得る硬化型粘接着シートを提供する。 【解決手段】 アクリル系ポリマーなどの粘着性ポリマ
ーと、エポキシ基を有する樹脂と、エポキシ基の開環反
応を誘発する化合物とを含み、シートの厚み100μm
あたりの粘着シートとしてのヘイズ値が15%以下であ
り、常態においては、粘着シートとして用いることがで
き、活性化エネルギーを付与することによりエポキシ基
を開環させる重合反応により硬化させ得る硬化型粘接着
シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硬化型粘接着シー
ト及び部材の接合方法に関し、より詳細には、常態では
粘着性を有し、貼付前または貼付後に活性化エネルギー
を付与することにより硬化され得る硬化型粘接着シート
並びに該硬化型粘接着シートを用いた部材の接合方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル系粘着剤は、耐熱性、耐候性、
耐油性などに優れており、粘着力及び凝集力等の粘着特
性にも優れているので、粘着テープ、両面粘着テープ、
粘着シート、シーラント類などの粘着加工製品に広く使
用されている。
【0003】しかしながら、上記粘着加工製品は、感圧
性接着力すなわち粘着力を発現させるために、粘着剤層
が柔らかく設計されている。従って、接着剤のように高
い剥離抵抗を発現することはできず、車両用鋼板、住
宅、建築部材などに対する補強材の接合などのように、
高い接合強度が求められる用途に用いることはできなか
った。
【0004】そこで、上記のような用途に用い得るもの
として、粘着剤の簡便な作業性と、接着剤並みの高度な
接合強度や被膜強度を併せ持つ、いわゆる粘接着剤が提
案されている。例えば、特開平2−272076号公報
には、アクリル酸エステルモノマーとエポキシ樹脂とを
含む光重合性組成物からなる感圧熱硬化性接着剤を用い
た接着テープが開示されている。すなわち、上記光重合
性組成物に光を照射してアクリル酸エステルモノマーを
重合し、粘着性を発現させて被着体への粘着を可能と
し、粘着後に加熱によりエポキシ樹脂を硬化させて強固
な接着力を得ることを可能とする接着テープが開示され
ている。
【0005】しかしながら、特開平2−272076号
公報に記載の方法では、エポキシ樹脂を硬化させて強固
な接着力を得るのに熱を利用しているため、プラスチッ
ク等の耐熱性に劣る材料を被着体として用いることがで
きなかった。すなわち、被着体の材質が制限されるとい
う問題があった。
【0006】他方、特公表5−506465号公報に
は、アクリル酸エステルモノマーのようなラジカル光重
合成分と、エポキシ化合物のようなカチオン光重合成分
と、有機金属錯塩開始剤とを含む感圧性接着剤組成物が
開示されている。この感圧性接着剤組成物は、接着物の
強度を高めるために提案されているものではあり、感圧
接着剤を製造する工程において紫外線を照射して、上記
ラジカル光重合成分及びカチオン光重合成分の何れをも
重合させている。すなわち、重合反応は感圧性接着剤を
例えばシート状などに成形した際に完了しており、予め
十分な強度を有するように構成されている。従って、被
着体に接合する際には、感圧性接着シート自体の強度は
高いものの、それ以上の接着強度の向上はもはや見込め
ない。
【0007】他方、エポキシ樹脂系接着剤は、その接着
硬化物が、耐クリープ性、耐光性、耐水性、耐熱性、耐
薬品性などにおいて優れており、接着強度が高く、金
属、プラスチックまたはガラスなどの広範な材料を接着
することができる。従って、従来、エポキシ樹脂系接着
剤は、様々な接合用途において広く使用されている。
【0008】しかしながら、エポキシ樹脂系接着剤は、
常温においては液状であるため、接着剤塗布時に塗布ム
ラが生じたり、過剰に塗布した際に接着剤の染み出しに
より接合部分の外観が損なわれたり、一度塗布した面に
再度塗布し直すことが困難であるという問題があった。
【0009】上記のような問題を解決するために、エポ
キシ樹脂系接着剤を予めシートまたはフィルム状に成形
されたものが知られている(特開昭60−173076
号公報)。しかしながら、従来のシート状エポキシ接着
剤は、常温において固形であり、硬いため、初期粘着力
が低く、仮止め性を有しないため接合時の作業性が十分
でないという問題があった。
【0010】また、シート状エポキシ接着剤は、被着体
に対する密着性をほとんど有しないため、高温高圧プレ
スのような過酷な接着加工条件を選択しなければならな
かった。従って、このような加工条件に耐えることがで
きない被着体や接合部材に適用することができなかっ
た。
【0011】シート状エポキシ接着剤において、硬化前
の粘着力と凝集力を高めるために、常温で液状または半
液状のエポキシ化合物と粘着性ポリマーとを複合するこ
とが考えられる。しかしながら、この場合には、複合さ
れる粘着性ポリマーの特性によっては、後工程において
エポキシ接着剤成分を硬化させようとしても、硬化が十
分に進行しないという問題があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、常態
においては初期粘着力に優れており粘着シートとして簡
便に用いることができ、貼付前または貼付後に極めて簡
単にかつ確実に硬化させ得る硬化型粘接着シート及び該
硬化型粘接着シートを用いた部材の接合方法を提供する
ことにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本願発明者は、上記課題
を達成すべく鋭意検討した結果、粘着性ポリマーと、エ
ポキシ基を有する樹脂と、活性化エネルギーが付与され
た際にエポキシ基を有する樹脂のエポキシ基を開環させ
る反応を誘発する化合物とを含み、活性化エネルギーを
与えてエポキシ基を開環させて硬化させるように硬化型
粘接着シートを構成すれば、常態においては粘着シート
として用いることができ、活性化エネルギーにより硬化
させて高接着強度の接着硬化物を得ることができること
を見出した。また、上記硬化型粘接着シートにおいて、
該シートの厚み100μmあたりの粘着シートとしての
ヘイズ値を特定の値以下とすれば、初期粘着力及び、硬
化後の接着強度の双方において優れた粘接着シートを得
ることができることを見出し、本発明を成すに至った。
【0014】すなわち、請求項1に記載の発明は、粘着
性ポリマー、エポキシ基を有する樹脂及び前記エポキシ
基の開環反応を誘発する化合物を含み、活性化エネルギ
ーの付与により硬化する硬化型粘接着シートであって、
上記シートの厚み100μmあたりの粘着シートとして
のヘイズ値が15%以下であることを特徴とする硬化型
粘接着シートである。
【0015】請求項2に記載の発明においては、上記粘
着性ポリマーが、アクリル系ポリマーにより構成され
る。また、請求項3に記載の発明では、上記アクリル系
ポリマーは、アクリル系モノマーを含有する光重合性組
成物を、光ラジカル重合させることにより得られたもの
である。
【0016】また、請求項4に記載の発明に係る硬化型
粘接着シートは、請求項1〜3に記載の硬化型粘接着シ
ートにおいて、上記エポキシ基の開環反応を誘発する化
合物が、光カチオン反応重合開始剤により構成されてい
ることを特徴とする。
【0017】請求項5に記載の発明に係る部材の接合方
法では、請求項1〜4の何れかに記載の硬化型粘接着シ
ートを介して被着体に接合部材を貼り合わせる部材の接
合方法であって、被着体に接合部材を貼り合わせる前
に、または貼り合わせ後に、上記硬化型粘接着シート
に、活性化エネルギーを付与し、エポキシ基を開環させ
る重合反応により上記硬化型粘接着シートを硬化させる
工程を含むことを特徴とする。
【0018】請求項6に記載の発明では、上記部材の接
合方法において、活性化エネルギーとして、360nm
未満の波長を有し、かつ光強度が5mW/cm2 以上の
紫外線が用いられる。
【0019】以下、本発明の詳細を説明する。ヘイズ値 本発明に係る硬化型粘接着シートの特徴は、上記のよう
に、厚み100μmあたりの粘着シートとしてのヘイズ
値が15%以下とされていることにある。なお、このヘ
イズ値は、JIS K 7105に準じて測定された粘
着シートの厚み100μmあたりの測定値をいうものと
する。
【0020】本発明において、上記粘着性ポリマーは、
複合されるエポキシ基を有する樹脂との相溶性が良好で
あることが好ましく、この相溶性の指標となる硬化前の
ヘイズ値が粘着シートの厚み100μmあたり15%以
下、好ましくは10%以下とされている。ヘイズ値が1
5%を超えると、エポキシ基を有する樹脂の硬化反応に
おいて、反応が進行したとしても、粘着性ポリマーと硬
化したエポキシ樹脂とが分離した状態となってくるた
め、シート全体の硬化が十分なものとならず、いわゆる
弾性率の上昇が小さくなり、十分な接着強度を発現し得
なくなる。
【0021】すなわち、本発明は、粘着性ポリマーとエ
ポキシ基を有する樹脂とを複合化して、粘着性ポリマー
により十分な初期粘着力を発現させると共に、両者をヘ
イズ値が上記特定の値以下となるように複合化させるこ
とにより、硬化後の弾性率の上昇及び接着強度の向上を
図ったことに特徴を有する。
【0022】硬化型粘接着シートの厚み 本発明に係る硬化型粘接着シートの厚みは特に限定され
るわけではないが、通常、10〜3000μmの範囲が
好ましい。10μmより薄い場合には、光や熱などの活
性化エネルギーをわずかに与えた場合でも、硬化速度が
速くなり過ぎ、貼り合わせ前に活性化エネルギーを付与
した場合には十分な初期粘着力を得られないことがあ
る。
【0023】また、一般に、ヘイズ値が100%に達す
ると、光が透過しなくなる。他方、硬化型粘接着シート
の厚みが1500μmを超えると、実質的にヘイズ値が
100%に達する。従って、例えば、活性化エネルギー
として光を用いる場合には、硬化型粘接着シートの厚み
が厚くなり過ぎると、光が届き難い部分で硬化の進行が
十分に進まなくなる。従って、好ましくは、活性化エネ
ルギーとして光を照射する場合、硬化型粘接着シートの
両面から光を照射すればよいが、その場合であっても、
シートの厚みが3000μmを超えると、厚み方向中央
部分において硬化が十分に進行しないことがある。
【0024】粘着性ポリマー 本発明において、上記粘着性ポリマーは、硬化型粘接着
シートに初期粘着力を与え、粘着シートとして用いるこ
とを可能とするために用いられている。
【0025】粘着性ポリマーは、上記エポキシ基を有す
る樹脂及びエポキシ基の開環反応を誘発する化合物とマ
クロ相分離を起こさず、かつ粘接着シートのヘイズ値が
厚み100μmあたり15%以下である条件を満たし得
る限り、これらと相溶性を有するものであってもよく、
非相溶性のものであってもよい。ここで、マクロ相分離
とは、粘着性ポリマーが、エポキシ基を有する樹脂及び
エポキシ基の開環反応を誘発する化合物と完全に相分離
する現象をいい、粘着性ポリマー、エポキシ基を有する
樹脂またはエポキシ基の開環反応を誘発する化合物の何
れかまたは全てが透明性のある状態で分離する状態をい
い、ミクロ相分離による単に白濁しただけの状態とは異
なる状態をいうものとする。
【0026】本発明において用い得る粘着性ポリマーに
ついては、上記のようにエポキシ基を有する樹脂及びエ
ポキシ基の開環反応を誘発する化合物とマクロ相分離を
起こすものでなく、かつ粘接着シートのヘイズ値が厚み
100μmあたり15%以下である条件を満たし得る限
り、従来より粘着剤を構成するのに用いられている適宜
の高分子量ポリマーを用いることができる。このような
粘着性ポリマーの例としては、アクリル系ポリマー、ポ
リエステル類、ポリウレタン類、シリコーン類、ポリエ
ーテル類、ポリカーボネート類、ポリビニルエーテル
類、ポリ塩化ビニル類、ポリ酢酸ビニル類、ポリイソブ
チレン類などを挙げることができ、また、粘着性ポリマ
ーは、これらのポリマーの主成分としてのモノマーを含
む共重合体であってもよい。
【0027】粘着性ポリマーの分子量は大きいものが好
ましく、その重量平均分子量は10万〜500万の範囲
が好ましく、より好ましくは、20万〜300万、さら
に好ましくは60〜200万である。粘着性ポリマーの
重量平均分子量が10万未満の場合には、硬化型粘接着
シートの凝集力が不足し、貼付時に糸引きを生じて剥離
することがあり、500万を超えると、粘着性ポリマー
とエポキシ基を有する樹脂とを含む組成物の粘度が高く
なり、シート成形できなくなることがある。
【0028】上述した種々のポリマーの中でも、従来よ
り優れた初期粘着力を発揮するために粘着剤の主成分と
して慣用されており、かつ粘着物性の制御が容易である
ため、請求項2に記載のようにアクリル系ポリマーを用
いることが好ましい。
【0029】上記アクリル系ポリマーの構造については
特に限定はされず、例えば、単独重合体構造、ランダム
共重合体構造、ブロック共重合体構造、交互共重合体構
造、立体規則性構造、多分岐構造、星形構造、樹状構
造、ラダー構造、環状構造、ヘリックス構造など、任意
である。
【0030】上記アクリル系ポリマーのより好ましい例
としては、(メタ)アクリル酸エステルからなるユニッ
トをアクリル系ポリマー中に20重量%以上含む重合体
であり、アルキル基の炭素数1〜14であるアルキル
(メタ)アクリレートモノマー(a)の重合体または共
重合体が挙げられる。
【0031】また、上記共重合体としては、アルキル
(メタ)アクリレートモノマー(a)と、該アルキル
(メタ)アクリレートモノマー(a)と共重合可能な不
飽和結合を有するビニルモノマー(b)との共重合体が
挙げられる。このような共重合体の製造方法は特に限定
されず、ラジカル重合、アニオン重合、配位重合、光重
合などの公知の方法により製造され得る。
【0032】上記アルキル(メタ)アクリレートモノマ
ー(a)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチ
ル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレ
ート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シク
ロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフ
リル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アク
リレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリ
スチル(メタ)アクリレートなどを例示することができ
る。
【0033】上記ビニルモノマー(b)としては、上記
アルキル(メタ)アクリレートモノマー(a)と共重合
可能な不飽和結合を有する化合物であれば特に限定され
ないが、硬化型粘接着シートの貯蔵安定性を高めるため
には、硬化型粘接着シートに含まれているエポキシ基と
非反応性のビニルモノマーが好ましい。
【0034】上記のような観点から、アクリル酸、メタ
クリル酸のようなカルボキシル基含有ビニルモノマーや
酸無水骨格を有する無水マレイン酸などのビニルモノマ
ーを用いることは好ましくはない。
【0035】上記ビニルモノマー(b)の例としては、
(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、イ
ソボルタニル(メタ)アクリレート、N−アクリロイル
モルフォリン、ベンジル(メタ)アクリレート、グリシ
ジル(メタ)アクリレート、N−ビニルカプロラクト
ン,、N−ビニルピペリジンなどを挙げることができ
る。
【0036】より好ましくは、上記粘着性ポリマーとし
て、請求項3に記載のように、アクリル系モノマーを含
有する光重合性組成物を光ラジカル重合させて得られた
アクリル系ポリマーが用いられる。この場合には、光重
合性組成物に、光を照射することにより光ラジカル重合
でアクリル系ポリマーが得られる。従って、エポキシ基
を有する樹脂及びエポキシ基の開環反応を誘発する化合
物と共に、上記アクリル系ポリマー及び光ラジカル重合
開始剤を光重合性組成物中に含有させておけば、光を照
射することにより、容易に本発明に係る硬化型粘接着シ
ートを得ることができる。
【0037】また、後述するように、上記エポキシ基の
開環反応を誘発する化合物として光カチオン反応重合開
始剤を用いた場合には、硬化型粘接着シートの硬化につ
いても光を照射することにより行い得る。すなわち、光
を照射するという単一の手法を採用するだけで、上記光
重合性組成物から本発明に係る硬化型粘接着シートを得
ることができるだけでなく、さらに、使用に際しての硬
化型粘接着シートの硬化も果たし得る。もっとも、この
場合には、光ラジカル重合によりアクリル系ポリマーを
形成する際に照射する光と、硬化型粘接着シートを硬化
させる際に照射する光とは、波長領域の異なるものを用
いることが必要である。
【0038】また、エポキシ基を開環させる反応を誘発
するには、上記光ラジカル重合の場合よりも大きなエネ
ルギーを必要とする。従って、より好ましくは、上記光
ラジカル重合に際しては、360nm以上の波長領域の
光を照射して光ラジカル重合を行い、エポキシ基の開環
反応を誘発する場合には、360nm未満の波長の光を
用いることが望ましい。
【0039】360nm以上の波長領域の光により活性
化される上記光ラジカル重合開始剤としては、360n
m以上の波長の光により活性化されるものでなくてはな
らず、また、360nm未満の光でエポキシ基の開環反
応を誘発する化合物へのエネルギー移動を起こさない化
合物が好ましい。このような光ラジカル重合開始剤の好
ましい例としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエト
キシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケト
ン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノ
ン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2
−フェニルアセトフェノンなどのアセトフェノン誘導体
化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピ
ルエーテルなどのベンゾインエーテル系化合物;ベンジ
ルジメチルケタールなどのケタール誘導体化合物;ハロ
ゲン化ケトン;アシルフォスフィンオキシド;アシルフ
ォスフォナート;ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイ
ル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオ
キシドなどを挙げることができる。
【0040】上記光重合開始剤の例の中でも、特に、3
50nmを超える波長領域の光に対する吸光係数が高い
アシルフォスフィンオキシド、アシルフォスフォナー
ト、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,
4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシドが好
ましい。
【0041】上記光ラジカル重合において光照射に用い
るランプとしては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、
高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラック
ライトランプ、マイクロウェープ励起水銀灯、メタルハ
ライドランプなどを用いることができる。
【0042】エポキシ基を有する樹脂 本発明の硬化型粘接着シートにおいて用いられる上記エ
ポキシ基を有する樹脂は、活性化エネルギーが付与され
た場合にエポキシ基の開環反応を誘発する化合物の作用
により、開環重合し、硬化型粘接着シートを硬化させる
ために用いられている。
【0043】上記エポキシ基を有する樹脂としては、エ
ポキシ基を含有する樹脂であれば特に限定されない。例
えば、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノー
ルF系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環
式脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル系化合物等
が挙げられる。
【0044】上記エポキシ基を有する樹脂としては、2
5℃における粘度が500〜10万cps以下であるよ
うな比較的流動性の高いものが好ましい。粘度が500
cps未満の場合には、粘接着シートの硬化前の凝集力
が不足することがあり、10万cpsを超えると、粘着
性ポリマーの複合体としては硬くなり過ぎて初期粘着力
が劣化することがある。
【0045】エポキシ基の開環反応を誘発する化合物 本発明の硬化型粘接着シートでは、上記エポキシ基を有
する樹脂のエポキシ基を開環反応させて重合させること
により、硬化が進行する。このエポキシ基の開環を誘発
するために、上記のようにエポキシ基の開環反応を誘発
する化合物が配合されており、このような化合物として
は、活性化エネルギーを付与することによりエポキシ基
の開環を誘発する任意の化合物が用いられる。
【0046】なお、上記活性化エネルギーとしては、紫
外線などの光、電子線、X線、高周波電流、熱など適宜
の活性化エネルギーを利用することができ、用途、被着
体の種類などに応じて選択し得る。好ましくは、耐熱性
が低い合成樹脂などからなる被着体に適用することがで
きるため、活性化エネルギーとしては光が用いられ、特
に、360nm未満の紫外線は、そのエネルギー強度が
大きいため、エポキシ基の開環を速やかに進行させる。
【0047】光によりエポキシ基の開環反応を誘発する
化合物としては、例えば、紫外線などの光によりエポキ
シ基を開環させる反応を誘発する化合物として、オニウ
ム塩類、有機金属錯体類などを挙げることができる。上
記オニウム塩類としては、例えば、ジアゾニウム塩、ス
ルホニウム塩、ヨードニウム塩を挙げることができる。
また、有機金属錯体類としては、例えば、鉄−アレン錯
体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウ
ム錯体などを挙げることができる。より好ましくは、請
求項4に記載のように、エポキシ基を開環させる反応を
誘発する化合物として光カチオン反応重合開始剤が用い
られる。
【0048】上記光カチオン重合触媒としては、芳香族
ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホ
ニウム塩などを挙げることができる。より具体的には、
例えば、オプトマーSP−150(旭電化工業社製)、
オプトマーSP−170(旭電化工業社製)、UVE−
1014(ゼネラルエレクトロニクス社製)、CD−1
012(サートマー社製)などの市販の化合物を用いる
ことができる。
【0049】上記光照射に用いられるランプとしては、
波長360nm以下に発光分布を有するものが用いら
れ、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超
高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、
マイクロウェープ励起水銀灯、メタルハライドランプな
どを用いることができる。この場合、表層だけの硬化を
防止し、内部硬化を実現するには、320nm以下の光
をカットして照射してもよい。
【0050】本発明において、上記エポキシ基の開環反
応を誘発する化合物としては、上述した活性化エネルギ
ーの種類に応じて適宜の化合物が用いられ、例えば、活
性化エネルギーが熱の場合には、熱によりプロトンまた
は炭素カチオンを発生する化合物であれば特に限定され
ず、無機酸−塩基錯体、ルイス酸−塩基錯体などを用い
ることができる。
【0051】配合割合 本発明に係る硬化型粘接着シートにおいて、上記粘着性
ポリマーと、エポキシ基を有する樹脂との配合割合は、
上記ヘイズ値の条件を満たす限り、目的とする初期粘着
力及び硬化後の接着強度に応じて適宜定められ、特に限
定されるものではないが、好ましくは、粘着性ポリマー
100重量部に対し、エポキシ基を有する樹脂が10〜
300重量部の割合で配合される。
【0052】エポキシ基を有する樹脂の配合割合が10
重量部未満の場合には、活性化エネルギーを付与して硬
化させたとしても、十分な接着強度を得ることができな
いことがあり、300重量部を超えると、粘着性ポリマ
ーの相対的な配合割合が低下し、十分な初期粘着力を得
ることができないことがある。
【0053】また、上記エポキシ基の開環を誘発させる
化合物については、その種類によっても異なるため、配
合割合については、特に限定されるものではないが、例
えば、上記光カチオン重合触媒を用いる場合には、粘着
性ポリマー100重量部に対し、0.01〜5重量部の
範囲とすることが好ましい。光カチオン重合触媒の配合
割合が0.01重量部未満の場合には、光を照射したと
しても、エポキシ基の開環反応を十分に進行させること
ができないことがあり、接着強度の高い接着硬化物を得
ることができないことがあり、5重量部を超えて配合し
たとしても、エポキシ基を有する樹脂の硬化を進行する
作用はそれ以上高まらず、初期粘着力が低下することが
ある。
【0054】また、本発明に係る硬化型粘接着シートで
は、上記粘着性ポリマー、エポキシ基を有する樹脂及び
エポキシ基の開環を誘発する化合物の他に、本発明の目
的を阻害しない範囲で、公知の粘着付与樹脂、増量剤等
を適宜配合してもよい。
【0055】例えば、本発明の硬化型粘接着シートの粘
着性を向上させる目的で、ロジン系樹脂、変性ロジン系
樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族
変性テルペン樹脂、C5系またはC9系の石油樹脂、ク
ロマン樹脂等の粘着付与樹脂を添加してもよい。
【0056】特に、被着体がポリオレフィン類の場合に
は、強い接着力を発現させることができるという点で、
ロジン系樹脂及び石油樹脂が好ましい。また、塗工性を
向上させる目的で、アクリルゴム、エピクロルヒドリン
ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム等の増粘剤、コロイ
ダルシリカ、ポリビニルピロリドン等のチキソトロープ
剤、炭酸カルシウム、酸化チタン、クレー等の増量剤等
を添加してもよい。
【0057】さらに、粘接着シートとした場合に高強度
の剪断接着力を付与する目的で、ガラスバルーン、アル
ミナバルーン、セラミックバルーン等の無機中空体;ナ
イロンビーズ、アクリルビーズ、シリコンビーズ等の有
機球状体;塩化ビニリデンバルーン、アクリルバルーン
等の有機中空体;ガラス、ポリエステル、レーヨン、ナ
イロン、セルロース等の単繊維等を添加してもよい。
【0058】上記ガラス繊維を配合する場合、繊維状の
チップを組成物中に添加することが可能であるが、ガラ
ス織布に上記光重合性組成物などを含浸して重合するこ
とにより、非常に高強度の剪断接着力を得ることができ
る。
【0059】硬化型粘接着シートの製造 本発明に係る硬化型粘接着シートの製造方法については
特に限定されるものではなく、ホットメルト法、キャス
ティング塗工法、UV重合法などの様々な方法を用いる
ことができ、例えば、キャスティング塗工法では、上記
粘着性ポリマー、エポキシ基を有する樹脂及びエポキシ
基の開環反応を誘発する化合物を配合し、必要に応じて
粘着付与樹脂等を加えてなる樹脂組成物を適宜の方法で
シート状に成形する方法、あるいは上記UV重合法とし
ては、光ラジカル重合によりアクリル系ポリマーを得る
ためのアクリル系モノマー、光ラジカル重合開始剤、エ
ポキシ基を有する樹脂及びエポキシ開環反応を誘発する
化合物を含む光重合性組成物をシート状に成形すると共
に、成形前または成形後に光を照射してアクリル系モノ
マーを光ラジカル重合しアクリル系ポリマーとする方法
など、適宜の方法を用いることができる。
【0060】上記UV重合法は無溶剤方式であり、製造
時に爆発などの危険性がなく、かつ光の照射条件を制御
することにより分子量200万以上の超高分子量の粘着
性ポリマーをシート内に容易に形成し得る。従って、比
較的低分子量のエポキシ樹脂を複合化したとしても、凝
集力及び初期粘着力に優れた粘接着シートを提供し得る
ので、上記種々の製造方法の中でも、UV重合法が好ま
しい。
【0061】上記UV重合法により本発明に係る硬化型
粘接着シートを製造する際の好ましい例を挙げると、ア
ルキル基の炭素数が1〜14である(メタ)アクリレー
トモノマー、(メタ)アクリレートモノマーと共重合可
能な不飽和結合を有するビニルモノマーと、360nm
以上の波長領域の光により活性化される光ラジカル重合
開始剤と、エポキシ基を有する樹脂と、300nm〜3
60nmの波長の光でエポキシ基の開環反応を誘発する
化合物とを混合してなる光重合性組成物を用意し、36
0nm以上の波長領域の光を照射して光ラジカル重合に
より粘着性ポリマーをシート中に形成してなる硬化型粘
接着シートを製造する方法が挙げられる。このようにし
て得られた硬化型粘接着シートでは、エポキシ基を有す
る樹脂と、300〜360nmの波長の光でエポキシ基
の開環反応を有する化合物が未反応のまま残存すること
になる。よって、硬化型粘接着シートを貼り合わせる直
前または貼り合わせ後に、300〜360nmの波長の
光を照射することにより容易に硬化させることができ
る。例えば、300〜360nmの波長の光を照射する
前のシート中のエポキシ基含有量が0.0001〜0.
01モル/gの硬化型粘接着シートを得た場合、照射す
る光の波長及び強度によっても異なるが、照射直後にエ
ポキシ基の添加率が0〜30%の場合、25℃で7日間
養生すると、シート中のエポキシ基の転化率は50〜1
00%の範囲とすることができる。
【0062】また、本発明に係る硬化型粘接着シート
は、例えば、被着体に接合部材を貼り合わせるに際し、
その間に介在させて接着するために、そのままの形態で
両面粘着テープのように用いられるものであってもよ
く、あるいは合成樹脂フィルムや布等の適宜の基材の少
なくとも一面に粘着剤層として形成されているものであ
ってもよい。
【0063】上記基材としては、レーヨン系もしくはセ
ルロース系などの各種不織布、ポリエチレン、ポリエス
テル、セロハン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ
イミドなどの各種合成樹脂よりなるフィルムもしくはシ
ート、発泡ポリエチレン、発泡ウレタン、ネオプレン発
泡体、発泡塩化ビニルなどの各種発泡体、ポリスチレ
ン、ABS、アクリル、ポリプロピレン、ポリエチレン
などの各種合成樹脂よりなる樹脂板、鋼、ステンレス、
銅、アルミニウムなどの各種金属からなるシートもしく
は板、ガラス、木材、紙、布などを用いることができ、
特に限定されるものではない。また、基材の形状につい
ても、シート状や板状などの薄いものに限られず、角柱
状、棒状、球状、非球面表面を有する形状など任意であ
る。
【0064】部材の接合方法 請求項5に記載の発明に係る部材の接合方法では、上述
した請求項1〜4の何れかに記載の硬化型粘接着シート
を介して被着体に接合部材を貼り合わせる前に、または
貼り合わせ後に活性化エネルギーを付与して、粘接着シ
ートを硬化させることを特徴とする。この場合、好まし
くは、「貼り合わせる前」とは、貼り合わせる前であっ
て、活性化エネルギーの付与によりエポキシ基を有する
樹脂の硬化が完了する前をいうものとする。活性化エネ
ルギーの付与により、エポキシ基を有する樹脂の硬化が
完了すると、硬化型粘接着シートが硬くなりすぎ、十分
な初期粘着力を得られないことがある。
【0065】請求項5に記載の発明において、上記活性
化エネルギーについては、特に限定されず、前述したよ
うに、光や熱などの任意のエネルギーを用いることがで
きる。もっとも、耐熱性の弱い合成樹脂などからなる被
着体や接合部材を貼り合わせる場合には、光を用いるこ
とが望ましく、それによって被着体や接合部材の熱劣化
を防止することができる。あるいは、光による劣化が生
じ易い被着体や接合部材を貼り合わせる場合には、活性
化エネルギーとして、熱を用いることが好ましい。
【0066】本発明のより好ましい例では、上記活性化
エネルギーとして光が用いられ、その場合、エポキシ基
の開環反応を誘発する化合物として、前述した光カチオ
ン反応重合開始剤が用いられる。この場合、粘着性ポリ
マーとして、請求項3に記載のようにアクリル系モノマ
ーを含有する光重合性組成物を光ラジカル重合させて得
られたもので構成した場合には、上記光重合性組成物に
光を照射し、アクリル系ポリマーを得る工程、並びに硬
化型粘接着シートの使用に際して硬化を進行させる工程
の何れをも光の照射により行うことができる。
【0067】また、活性化エネルギーとして、光を用い
る場合、好ましくは、請求項6に記載のように、360
nm未満の波長を有し、かつ光強度が5mW/cm2
上の紫外線が用いられる。360nmを超える波長の光
では、エネルギー強度が十分でないため、硬化に時間を
要することがあり、5mW/cm2 未満の光強度の紫外
線を用いた場合にも、同様に、硬化に長時間を必要とす
ることがある。
【0068】なお、接合部材を被着体に接合するに先立
ち、光を照射し、硬化型粘接着シートの硬化を進行させ
た場合には、接合部材や被着体に光が照射されないた
め、接合部材や被着体の光による劣化を防止することが
できる。従って、光の照射により劣化が生じ易い被着体
や接合部材を接合する際には、上記のように予め硬化型
粘接着シートに光を照射することが望ましい。また、被
着体または接合部材の一方が光により劣化し易く、他方
は光により劣化し難い場合には、該他方の部材側に硬化
型粘接着シートを貼り合わせて光を照射して、しかる後
上記一方の部材に貼り合わせてもよい。
【0069】用途 本発明に係る硬化型粘接着シートは、種々の粘接着用途
に用い得るが、硬化処理後に接着強度が増すため、十分
な接着強度が要求される建材、家電製品用部材、自動車
用部材などの耐久性の求められる用途に好適である。
【0070】
【実施例】以下、本発明の非限定的な実施例を挙げるこ
とにより、本発明を明らかにする。
【0071】(実施例1)2Lセパラブルフラスコ内
で、2−エチルヘキシルアクリレート50g、N−ビニ
ルピロリドン25g、エポキシ樹脂(油化シェルエポキ
シ社製、商品名:エピコート828)25g、光ラジカ
ル重合開始剤としてビス(2,6−ジメトキシベンゾイ
ル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオ
キシド(チバガイギー社製、商品名:Irgcue17
00)0.1g及び光カチオン重合触媒(旭電化工業社
製、商品名:オプトマーSP−170)0.5gを均一
になるまで攪拌混合した後、窒素ガスを用いて20分間
バブリングすることによって溶存酸素を除去し、光重合
性組成物を得た。
【0072】上記光重合性組成物を表面が離型処理され
たポリエチレンテレフタレートフィルム上に厚み300
μmとなるように塗工し、さらに、塗工面を表面が離型
処理された別の透明なポリエチレンテレフタレートフィ
ルムで被覆した。このようにして得た積層体に400n
mに最大発光波長を有する蛍光灯を使用し、360nm
以下の波長領域の光を実質的に含まない近紫外線を、そ
の光強度が1mW/cm2 となるようにして、5分間照
射し、硬化型粘接着シートを得た。
【0073】上記硬化型粘接着シートの厚み100μm
当たりのヘイズ値を、JIS K7105に準じて測定
したところ、0.2(%)であった。上記硬化型粘接着
シートを25mm×25mmの寸法に切り出し、幅25
mm、長さ100mm、厚さ2mmのステンレス板(S
US304、以下、被着体Aとする。)上に載置し、3
00nm〜350nmの光強度が25mW/cm2 とな
るように光を高圧水銀灯を用いて硬化型粘接着シートに
60秒間照射し、さらに、その上に別の被着体Aを貼り
合わせ、剪断接着力測定試験片(以下、試験片Aとす
る。)を得た。
【0074】また、上記硬化型粘接着シートを、幅25
mm、長さ100mm、厚さ0.05mmのステンレス
板(SUS304、以下、被着体Bとする。)の上に載
置し、300nm〜350nm未満の光強度が25mW
/cm2 となるような光を硬化型粘接着シートに60秒
間照射し、さらにその上に、別の被着体Bを貼り合わ
せ、T型剥離力測定試験片(以下、試験片Bとする。)
を得た。
【0075】上記試験片A及び試験片Bを、貼り合わせ
直後から5分経過した後に、初期接着強度として、試験
片Aを用いて剪断接着力を、試験片Bを用いてT型剥離
力をJIS Z 0237に準じて測定した。
【0076】また、貼り合わせから25℃で7日間養生
した後に、養生後の接着強度として、試験片Aを用いて
剪断接着力を、試験片Bを用いてT型剥離力を測定し
た。結果を下記の表1に示す。
【0077】(実施例2)2Lセパラブルフラスコ内
で、グリシジルメタクリレート25g、エポキシ樹脂
(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート82
8)75g、光ラジカル重合開始剤としてビス(2,6
−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペ
ンチルフォスフィンオキシド0.10g及び光カチオン
重合触媒(旭電化工業社製、商品名:オプトマーSP−
170)0.5gを均一になるまで攪拌混合した後、窒
素ガスを用いて20分間バブリングすることによって溶
存酸素を除去し、光重合性組成物を得た。
【0078】上記光重合性組成物を用いたことを除いて
は、実施例1と同様にして、ヘイズ値0.1%の硬化型
粘接着シートを作製し、評価した。結果を下記の表1に
示す。
【0079】(実施例3)2Lセパラブルフラスコ内
で、グリシジルメタクリレート40g、エポキシ樹脂
(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート82
8)30g、エポキシ樹脂(新日本理化社製、商品名:
リカレジンBPO−60E)30g、光ラジカル重合開
始剤としてビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−
2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド
0.10g及び光カチオン重合触媒(旭電化工業社製、
商品名:オプトマーSP−170)0.5gを均一にな
るまで攪拌混合した後、窒素ガスを用いて20分間バブ
リングすることによって溶存酸素を除去し、光重合性組
成物を得た。
【0080】上記光重合性組成物を用いたことを除いて
は、実施例1と同様にして、ヘイズ値2.0%の硬化型
粘接着シートを作製し、かつ評価した。結果を下記の表
1に示す。
【0081】(比較例1)2Lセパラブルフラスコ内
で、グリシジルメタクリレート40g、エポキシ樹脂
(油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート100
4)30g、エポキシ樹脂(共栄社化学社製、商品名:
エポライト400E)30g、光ラジカル重合開始剤と
してビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,
4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド0.10
g及び光カチオン重合触媒(旭電化工業社製、商品名:
オプトマーSP−170)0.5gを均一になるまで攪
拌混合した後、窒素ガスを用いて20分間バブリングす
ることによって溶存酸素を除去し、光重合性組成物を得
た。
【0082】上記光重合性組成物を用いたことを除いて
は、実施例1と同様にして、ヘイズ値15.7%の硬化
型粘接着シートを作製し、かつ評価した。結果を下記の
表1に示す。
【0083】評価 下記の表1に、実施例1〜3及び比較例1における硬化
型粘接着シートの組成と、上記厚み100μmあたりの
ヘイズ値と接着強度とを併せて示す。
【0084】
【表1】
【0085】表1から明らかなように、比較例1では、
グリシジルメタクリレートと、エポキシ樹脂として、エ
ピコート1004及びエポライト400Eを上記のよう
に配合しているため、硬化型粘接着シートの100μm
あたりのヘイズ値が15.7%と高かったためか、光を
照射し、7日間25℃で養生したとしても、T型剥離力
及び剪断接着力の何れもがほとんど増加せず、従って十
分な接着強度を得られないことがわかる。
【0086】これに対して、実施例1〜3では、光照射
後25℃で7日間養生することにより、T型剥離力及び
剪断接着力の何れもが著しく増大していた。従って、本
発明に従って硬化型粘接着シートのヘイズ値を15%以
下とすることにより、初期粘着力に優れているだけでな
く、硬化させることにより接着強度を大幅に高め得るこ
とがわかる。
【0087】
【発明の効果】請求項1に記載の発明に係る硬化型粘接
着シートでは、粘着性ポリマー、エポキシ基を有する樹
脂及びエポキシ開環反応を誘発する化合物を含み、シー
トの厚み100μmあたりの粘着シートとしてのヘイズ
値が15%以下であるため、粘着性ポリマーの作用によ
り十分な初期粘着力が発揮されるだけでなく、活性化エ
ネルギーの付与により確実に硬化されて接着強度の高い
接着硬化物を得ることができる。
【0088】従って、請求項1に記載の発明に係る硬化
型粘接着シートを用いることにより、優れた初期粘着性
を利用することにより仮止めなどの作業を容易に行うこ
とができ、かつ貼り合わせ前または貼り合わせ後に活性
化エネルギーを付与することにより、接着強度を著しく
高め得るため、貼り合わせ部分の接合強度を効果的に高
め得る。
【0089】しかも、請求項1に記載の発明に係る硬化
型粘接着シートでは、上記のように初期粘着力が優れて
いるため、高温高圧プレスや長時間加熱といった過酷な
工程を実施せずともよいため、このような条件に耐え得
ない被着体や接合部材の使用に好適に用いることができ
る。よって、広範な被着体や接合部材を接合するのに用
いることができる。
【0090】また、請求項2に記載の発明では、上記粘
着性ポリマーとしてアクリル系ポリマーが用いられてい
るため、優れた初期粘着力を示し、かつ粘着物性の制御
も容易となる。
【0091】請求項3に記載の発明によれば、上記アク
リル系ポリマーが、アクリル系モノマーを含有する光重
合性組成物を光ラジカル重合させることにより得られて
いるので、該光重合性組成物中に上記エポキシ基を有す
る樹脂及びエポキシ開環反応を誘発する化合物を配合し
ておくことにより、本発明に係る硬化型粘接着シートを
容易に得ることができる。加えて、上記エポキシ基を開
環させる反応を誘発する化合物として、活性化エネルギ
ーとして光を用いるもの、例えば、光カチオン反応重合
開始剤を用いる場合には、光重合性組成物を用意して硬
化型粘接着シートを製造する工程から、硬化型粘接着シ
ートを用いて接着し、硬化型粘接着シートを硬化させる
工程に至るまで、光の照射という単一の手段を用いて行
うことができる。
【0092】請求項4に記載の発明に係る硬化型粘接着
シートでは、上記エポキシ基の開環反応を誘発させる化
合物として、光カチオン反応重合開始剤を用いているた
め、貼り合わせの前に、あるいは貼り合わせ後に、光を
照射するだけで、硬化型粘接着シートの硬化を進行させ
ることができる。従って、例えば、耐熱性に問題のある
合成樹脂などからなる被着体や接合部材の接合に好適に
用いることができる。
【0093】請求項5に記載の発明に係る部材の接合方
法では、本発明に係る硬化型粘接着シートを介して被着
体に接合部材を貼り合わせる前または貼り合わせ後に、
活性化エネルギーを付与して、エポキシ基を開環させる
重合反応により硬化型粘接着シートを硬化させるので、
本発明に係る硬化型粘接着シートの優れた初期粘着力を
利用して貼り合わせを容易に行うことができるので、高
温高圧プレスや長時間加熱といった過酷な接着加工条件
を要せず接合作業を行い得る。しかも、活性化エネルギ
ーの付与により、硬化型粘接着シートが速やかに硬化す
るため、接合部部分の接着強度を容易にかつ確実に高め
得る。
【0094】請求項6に記載の発明に係る部材の接合方
法では、活性化エネルギーとして、360nm未満の波
長を有し、かつ光強度が5mW/cm2 以上の紫外線を
用いるため、上記エポキシ基を開環させる重合反応を光
の照射により速やかに行うことができ、従って、硬化型
粘接着シートの硬化をより一層速やかに進行させること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08G 59/68 C08G 59/68

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘着性ポリマー、エポキシ基を有する樹
    脂及び前記エポキシ基の開環反応を誘発する化合物を含
    み、活性化エネルギーの付与により硬化し得る硬化型粘
    接着シートであって、 前記粘接着シート中の厚み100μmあたりの粘着シー
    トとしてのヘイズ値が15%以下であることを特徴とす
    る硬化型粘接着シート。
  2. 【請求項2】 前記粘着性ポリマーが、アクリル系ポリ
    マーである請求項1に記載の硬化型粘接着シート。
  3. 【請求項3】 前記アクリル系ポリマーが、アクリル系
    モノマーを含有する光重合性組成物を光ラジカル重合さ
    せて得られたものである請求項2に記載の硬化型粘接着
    シート。
  4. 【請求項4】 前記エポキシ基の開環反応を誘発する化
    合物が、エポキシ基を開環させる光カチオン反応重合開
    始剤である請求項1〜3の何れかに記載の硬化型粘接着
    シート。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れかに記載の硬化型粘
    接着シートを介して被着体に接合部材を貼り合わせる前
    に、または貼り合わせ後に、上記硬化型粘接着シートに
    活性化エネルギーを付与し、エポキシ基を開環させる重
    合反応により硬化型粘接着シートを硬化させる工程を含
    むことを特徴とする部材の接合方法。
  6. 【請求項6】 前記活性化エネルギーが、360nm未
    満の波長領域であり、光強度が5mW/cm2 以上の紫
    外線である請求項5に記載の部材の接合方法。
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