JP2011057939A - 後硬化テープ及び接合部材の接合方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高周波誘導加熱により発熱する発熱シートの少なくとも一方の面に、粘着剤層を有する後硬化テープであって、前記粘着剤層は、(メタ)アクリル系ポリマーと、エポキシ樹脂と、エポキシ熱潜在性硬化剤とを含有する後硬化テープ。
【選択図】なし
Description
エポキシ−アクリル系樹脂組成物は、例えば、主成分として、エポキシ化合物、硬化剤、活性エネルギー線照射により重合することのできるアクリレート化合物及び光重合開始剤を含有する組成物であり、基材上に塗工された後、活性エネルギー線照射により、粘着性を有するフィルムに成形される。エポキシ−アクリル系樹脂組成物からなるフィルム状接着剤は、粘着性を有するフィルムに、エポキシ化合物や硬化剤等の硬化性成分が取り込まれた構造をしており、その粘着性を利用して接合部材表面に仮止めした後、加熱によって硬化性成分を硬化させることにより、強固な接着力を発揮することができる。
しかしながら、特許文献1に記載のフィルム状接着剤は150℃のオーブンに30分間放置することで加熱硬化しており、硬化に長時間を要することから生産性の観点からは未だ不充分である。
以下、本発明を詳述する。
なお、本明細書中、誘導加熱とは、磁界によって発生する渦電流に基づく加熱をいう。更に、本明細書中、「高周波誘導加熱により発熱する」とは、コイルに高周波数の交流を流すことにより交流磁界を発生させ、交流磁界中に置いた導電性物質中を通る磁束線により導電性物質中に渦電流を発生させて、発生した渦電流に基づくジュール熱により、導電性物質が発熱することをいう。
上記導電性を有する金属シートは特に限定されず、例えば、アルミ、鉄、ステンレス鋼、銅、真鍮等からなるシート等が挙げられる。なかでも、取り扱いやすいことから、アルミ、ステンレス鋼からなるシートが好ましい。
上記複数の細孔の占める面積が発熱シート全体の面積の30%未満であると、得られる後硬化テープにおいては、細孔にて両面の粘着剤が一体化して接着凝集力が向上する効果が低下し、後硬化テープの接着力が低下することがある。上記複数の細孔の占める面積が発熱シート全体の面積の70%を超えると、上記発熱シートの発熱量が低下することがあり、得られる後硬化テープは硬化不足となって強度が低下することがある。
上記発熱シートは、発熱シート全体の面積の40〜60%を占める複数の細孔を有することがより好ましい。
上記粘着剤層は、(メタ)アクリル系ポリマーと、エポキシ樹脂と、エポキシ熱潜在性硬化剤とを含有する。このような粘着剤層は、接合部材へ貼り合わせられた後、誘導加熱によって硬化することができる。なお、本明細書中、粘着性を有し、かつ、エポキシ樹脂等の硬化性成分が取り込まれた構造を有する粘着剤層等が、その粘着性を利用して接合部材へ貼り合わせられた後、加熱によって硬化性成分が硬化して強固な接着力を発現することを「後硬化」という。
上記重合させる方法は特に限定されず、例えば、バルク重合、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合等が挙げられる。上記重合させる方法における重合反応は特に限定されず、例えば、フリーラジカル重合反応、リビングラジカル重合反応、リビングアニオン重合反応等が挙げられる。上記重合反応は、例えば、熱、紫外線、電子線等のエネルギーを与えることにより開始させることができる。また、上記重合反応においては、重合させる際に反応開始剤を用いてもよい。
上記エポキシ熱潜在性硬化剤の市販品として、例えば、アミキュアPN−23、PN−31、PN−H、PN−40、PN−50、MY−24、VDH、UDH、AH−123、AH−203(以上、いずれも味の素ファインテクノ社製)、フジキュアーFXR−1020、FXR−103、FXR−1081、FXR−1121、7000(以上、いずれも富士化成工業社製)、キュアゾール2E4MZ−CN、2PZ−CN、2MZ−A、C11Z−A、2E4MZ−A、2MA−OK、2PZ−OK、2PHZ−PW(以上、いずれも四国化成工業社製)等が挙げられる。
上記マイクロカプセル化潜在性硬化剤の市販品として、例えば、ノバキュアHX−3721、HX−3722、HX−3748、HX−3741、HX−3742、HX−3088、HX−3613(以上、いずれも旭化成イーマテリアルズ社製)等が挙げられる。
本明細書中、ケトプロフェン系塩基発生剤とは、α−(2−ベンゾイル)フェニルプロピオン酸と下記式(1)で表されるアミンとの塩をいう。
H2N−[(CH2)n−N−]m−(CH2)n−NH2 (1)
式(1)中、mは0又は1を表し、nは4〜8の整数を表す。
発生した上記式(1)で表されるアミンは、上記エポキシ樹脂に対して硬化剤として働く。そのため、後硬化テープを接合部材に貼り合わせた後、誘導加熱により上記式(1)で表されるアミンを発生させることにより、発生した上記式(1)で表されるアミンと上記エポキシ樹脂とが反応して硬化し、強固な接着を行うことができる。
また、上記式(1)中、nが4未満であると、ケトプロフェン系塩基発生剤の上記粘着剤層における分散性が低下し、得られる硬化テープの硬化性が低下することがある。上記式(1)中、nが8を超えると、得られる後硬化テープは、硬化が遅くなったり、ブリードしたりすることがある。
上記フィラーは特に限定されず、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリスチレン等の有機物、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等の無機物等が挙げられる。
このようなフィラーを含有することにより、得られる後硬化テープの接合部に応力が加わった場合に、フィラーの周りにボイドが発生して応力を分散吸収し、接合界面への応力集中を低減させて、接着力を向上させることができる。上記フィラーの平均粒子径が5μm未満であると、後硬化テープの接着力を向上させる効果が得られないことがある。上記フィラーの平均粒子径の上限は特に限定されないが、上記粘着剤層の厚みより平均粒子径が大きい場合には上記フィラーが上記粘着剤層から露出して密着性が低下することから、上記粘着剤層の厚みより小さいことが好ましい。
特に、得られる後硬化テープを貼り合わせる接合部材がポリオレフィンからなる場合には、硬化物の接着力を高められることから、上記粘着剤層がロジン系樹脂又は石油系樹脂を含有することが好ましい。
上記シランカップリング剤を含有することにより、得られる後硬化テープの硬化物の界面接着力を向上させることができる。
上記接合部材を接合する方法は特に限定されないが、本発明の後硬化テープと接合部材とを貼り合わせて集成体を得た後、得られた集成体を、3〜60秒間、高周波誘導加熱装置により誘導加熱する方法が好ましい。上記誘導加熱する時間が3秒未満であると、後硬化テープの硬化が不充分となり、接着力が不充分となることがある。上記誘導加熱する時間が60秒を超えると、上記集成体が加熱されすぎて、上記接合部材及び/又は粘着剤の劣化により接着力が低下することがある。なお、高周波誘導加熱装置として、例えば、EASY WELDER KIT1000、EASY WELDER KIT2000(いずれもサイヒット社製)等が用いられる。
本発明の後硬化テープを用いた接合部材の接合方法であって、本発明の後硬化テープと前記接合部材とを貼り合わせて集成体を得る工程と、前記集成体を、高周波誘導加熱により3〜60秒間加熱する工程とを有する接合部材の接合方法もまた、本発明の1つである。
(1,4−ジアミノブタン二α−(2−ベンゾイル)フェニルプロピオン酸塩の合成)
α−(2−ベンゾイル)フェニルプロピオン酸80gと、1,4−ジアミノブタン12.6gとを、エタノール中で混合し、室温で24時間攪拌して反応させた。その後、エバポレータを用いてエタノールを除去した後、得られた粗生成物をエタノール/ヘキサンを用いて再沈殿させ、1,4−ジアミノブタン二α−(2−ベンゾイル)フェニルプロピオン酸塩を得た。
(1,6−ジアミノヘキサン二α−(2−ベンゾイル)フェニルプロピオン酸塩の合成)
α−(2−ベンゾイル)フェニルプロピオン酸80gと、1,6−ジアミノヘキサン16.6gとを用いた以外は合成例1と同様にして、1,6−ジアミノヘキサン二α−(2−ベンゾイル)フェニルプロピオン酸塩を得た。
(ビス(6−アミノヘキシル)アミン三α−(2−ベンゾイル)フェニルプロピオン酸塩の合成)
α−(2−ベンゾイル)フェニルプロピオン酸80gと、ビス(6−アミノヘキシル)アミン20.5gとを用いた以外は合成例1と同様にして、ビス(6−アミノヘキシル)アミン三α−(2−ベンゾイル)フェニルプロピオン酸塩を得た。
(エチレンジアミン二α−(2−ベンゾイル)フェニルプロピオン酸塩の合成)
α−(2−ベンゾイル)フェニルプロピオン酸80gと、エチレンジアミン8.6gとを用いた以外は合成例1と同様にして、エチレンジアミン二α−(2−ベンゾイル)フェニルプロピオン酸塩を得た。
(後硬化テープの作製)
表1、2、3の配合に従って、光重合により(メタ)アクリル系ポリマーとなるアクリルモノマー、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製「JER828」)、エポキシ熱潜在性硬化剤、光ラジカル重合開始剤(チバガイギー社製「イルガキュア819」)、及び、その他の配合成分を均一に混合して塗液を得た。得られた塗液に窒素を吹き込んで酸素を追い出した後、厚みが0.2mmとなるように、38μmのシリコン離型処理PETフィルム2枚に各々の離型処理面が塗液に接するように塗液を挟んで、主波長420nmの蛍光ランプで2mWの紫外線を3分間照射してアクリルモノマーを重合し、厚さ0.2mmの基材を有さない粘着剤テープを得た。
なお、発熱シートの両面には予めプライマー(日本触媒社製、ポリメントNK−380)を塗布しておいた。
表4に従って配合を変更し、また、表4に示す平均細孔径(mm)を有する円形状の細孔をほぼ均一に分布し、かつ、表4に示す細孔数(個/cm2)及び発熱シート全体に占める細孔面積率(%)を有する発熱シートを用いたこと以外は実施例1〜28及び比較例1〜6と同様にして、後硬化テープを得た。
実施例、比較例で得られた後硬化テープについて、下記のように評価した。結果を表1、2、3、4に示す。
後硬化テープを20mm×20mmの平面形状を有するようにカットした。表面の埃や油脂をアルコール洗浄により除去したガラス板(20mm×50mm×7mm)上に、カットした後硬化テープのシリコン離型処理PETフィルムを剥がし、露出した粘着剤層面がガラス板に対向するようにして後硬化テープを貼り合わせ、更に反対面にも同様にしてガラス板を貼り合わせ、試験片を得た。得られた試験片を23℃で20分間養生した後、引張り試験機を用いて、23℃及びクロスヘッドスピード50mm/分の条件で、せん断引っ張り試験を行った。最大破壊強度をせん断接着力として評価した。
上記(1)と同様にして試験片を作製し、EASY WELDER KIT2000(サイヒット社製)により表1、2、3、4に示す時間誘導加熱した後、更に、23℃にて1日養生してから、上記(1)と同様にしてせん断接着力を評価した。なお、比較例4〜6では、誘導加熱の代わりに、表3に示す時間150℃オーブン中で加熱した。
Claims (4)
- 高周波誘導加熱により発熱する発熱シートの少なくとも一方の面に、粘着剤層を有する後硬化テープであって、
前記粘着剤層は、(メタ)アクリル系ポリマーと、エポキシ樹脂と、エポキシ熱潜在性硬化剤とを含有する
ことを特徴とする後硬化テープ。 - 高周波誘導加熱により発熱する発熱シートの両面に粘着剤層を有し、
前記高周波誘導加熱により発熱する発熱シートは、発熱シート全体の面積の30〜70%を占める複数の細孔を有し、
前記細孔は、平均細孔径が0.1〜3mmである
ことを特徴とする請求項1記載の後硬化テープ。 - エポキシ熱潜在性硬化剤は、ケトプロフェン系塩基発生剤であることを特徴とする請求項1又は2記載の後硬化テープ。
- 請求項1、2又は3記載の後硬化テープを用いた接合部材の接合方法であって、
前記後硬化テープと前記接合部材とを貼り合わせて集成体を得る工程と、
前記集成体を、高周波誘導加熱により3〜60秒間加熱する工程とを有する
ことを特徴とする接合部材の接合方法。
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