JP5965824B2 - 後硬化テープ及び接合部材の接合方法 - Google Patents
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Description
エポキシ−アクリル系樹脂組成物は、例えば、主成分として、エポキシ樹脂、硬化剤、活性エネルギー線照射により重合することのできるアクリレート化合物及び光重合開始剤を含有する組成物であり、基材上に塗工された後、活性エネルギー線照射により、粘着性を有するフィルムに成形される。エポキシ−アクリル系樹脂組成物からなるフィルム状接着剤は、その粘着性を利用して接合部材表面に仮止めした後、加熱によって硬化性成分を硬化させることにより、強固な接着力を発揮することができる。
しかしながら、特許文献1に記載のフィルム状接着剤は150℃のオーブンに30分間放置することで加熱硬化しており、硬化に長時間を要することから生産性の観点からは未だ不充分である。
特に、近年、高周波誘導加熱装置を用いて高周波印加することにより加熱する「誘導加熱」が注目されているが、誘導加熱のような短時間に多量の熱量が加わる加熱において短時間で硬化し、高い接着力を発揮するフィルム状接着剤は未だ見出せていない。
以下に本発明を詳述する。
なお、本明細書中、粘着性を有し、かつ、エポキシ樹脂等の硬化性成分が取り込まれた構造を有する粘着剤層が、その粘着性を利用して接合部材へ貼り合わせた後、加熱によって硬化性成分を硬化させることにより強固な接着力を発現することを「後硬化」という。
上記粘着剤層が上記イミダゾール基を有する(メタ)アクリル系ポリマーを含有することにより、本発明の後硬化テープは硬化反応が速くなり、特に誘導加熱のような短時間に多量の熱量が加わる加熱において、比較的低温かつ短時間で硬化して強固な接着力を発揮することができる。一方、上記イミダゾール基を有する(メタ)アクリル系ポリマーの代わりに、イミダゾール基を有さない(メタ)アクリル系ポリマーを単独で又は従来公知のイミダゾール化合物とともに用いた場合には、後硬化テープの硬化時間が長くなり、短時間の加熱では硬化物の充分な接着力が得られなくなる。
なかでも、製造時の副反応が少なく、より効率的にイミダゾール基を導入できることから、(メタ)アクリル酸エステルと、該(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な不飽和二重結合とイミダゾール基とを1分子中に有する化合物とを共重合することにより得られたポリマーが好ましい。
上記共重合する方法は特に限定されず、例えば、バルク重合、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合等が挙げられる。上記共重合する方法における重合反応は特に限定されず、例えば、フリーラジカル重合反応、リビングラジカル重合反応、リビングアニオン重合反応等が挙げられる。上記共重合反応は、例えば、熱、紫外線、電子線等のエネルギーを与えることにより開始させることができる。また、共重合させる際に反応開始剤を用いてもよい。
上記ビニル化合物は特に限定されず、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド化合物、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルアセトアミド、N−アクリロイルモルフォリン、アクリロニトリル等が挙げられる。これらのビニル化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルアセトアミドが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な不飽和二重結合とカルボキシル基、イソシアナート基等の官能基とを1分子中に有する化合物は特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書中、イミダゾール基量とは、イミダゾール基を有する(メタ)アクリル系ポリマーにおけるイミダゾール基を有する構成単位の占める比率をいう。
具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸エステルと、該(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な不飽和二重結合とイミダゾール基とを1分子中に有する化合物とを共重合することにより得られたポリマーにおいては、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な不飽和二重結合とイミダゾール基とを1分子中に有する化合物の共重合比率をいい、カルボキシル基、イソシアナート基等の官能基を有する(メタ)アクリル系ポリマーに対して該官能基と反応可能な官能基を有するイミダゾール化合物を反応させることにより得られたポリマーにおいては、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な不飽和二重結合とカルボキシル基、イソシアナート基等の官能基とを1分子中に有する化合物の共重合比率をいう。
上記エポキシ樹脂として、例えば、ビスフェノールF型、ビスフェノールA型等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、シクロヘキセンオキシド型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも、接着強度、耐久性、耐衝撃性、耐熱性等の性能とコストとのバランスに優れることから、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。
上記エポキシ熱潜在性硬化剤は特に限定されず、例えば、アミン化合物とエポキシ樹脂とのアダクト変性物である変性アミン化合物、イミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト変性物である変性イミダゾール化合物、有機酸ヒドラジド化合物、ジシアンジアミド化合物等が挙げられる。なかでも、後硬化テープの硬化物の接着力が向上することから、変性アミン化合物、ジシアンジアミド化合物が好ましい。
上記フィラーは特に限定されず、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリスチレン等の有機物、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等の無機物等が挙げられる。
上記粘着剤層がこのようなフィラーを含有することで、後硬化テープの接合部に応力が加わった場合に、フィラーの周りにボイドが発生して応力を分散吸収し、接合界面への応力集中を低減させて、硬化物の接着力を向上させることができる。上記フィラーの平均粒子径が5μm未満であると、後硬化テープの硬化物の接着力を向上させる効果が得られないことがある。上記フィラーの平均粒子径の上限は特に限定されないが、上記粘着剤層の厚みより平均粒子径が大きい場合には上記フィラーが上記粘着剤層から露出して密着性が低下することから、上記粘着剤層の厚みより小さいことが好ましい。
特に、ポリオレフィンからなる接合部材を接合する場合には、硬化物の接着力を向上させることができることから、上記粘着剤層がロジン系樹脂又は石油系樹脂を含有することが好ましい。
上記粘着剤層が上記シランカップリング剤を含有することで、後硬化テープの硬化物の界面接着力を向上させることができる。
上記基材は特に限定されず、従来公知の基材を用いることができるが、高周波誘導加熱により発熱する発熱シート(以下、単に「発熱シート」ともいう)であることが好ましい。上記基材として発熱シートを用いることにより、後硬化テープは高周波誘導加熱装置によって容易に誘導加熱され、短時間で硬化して強固な接着力を発揮することができる。
なお、本明細書中、誘導加熱とは、磁界によって発生する渦電流に基づく加熱をいう。更に、本明細書中、「高周波誘導加熱により発熱する」とは、コイルに高周波数の交流を流すことにより交流磁界を発生させ、交流磁界中に置いた導電性物質中を通る磁束線により導電性物質中に渦電流を発生させて、発生した渦電流に基づくジュール熱により、導電性物質が発熱することをいう。
上記導電性を有する金属シートは特に限定されず、例えば、アルミ、鉄、ステンレス鋼、銅、真鍮等からなるシート等が挙げられる。なかでも、比較的柔軟で取り扱いやすく、高価でないことから、アルミからなるシートが好ましい。
上記プライマー処理に用いられるプライマーは特に限定されず、例えば、ポリメントNK−350、ポリメントNK−380(以上、いずれも日本触媒社製)等が挙げられる。
また、本発明の後硬化テープを製造する方法として、例えば、上記イミダゾール基を有する(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー(例えば、上述したような(メタ)アクリル酸エステル、該(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な不飽和二重結合とイミダゾール基とを1分子中に有する化合物等)、上記エポキシ樹脂、上記エポキシ熱潜在性硬化剤、及び、必要に応じて光ラジカル重合開始剤等の他の成分を、溶剤を用いることなく混合した後、シート状にキャストし、紫外線を照射することにより上記モノマーを共重合させて、上記基材上に積層する方法も挙げられる。この方法によれば、溶剤を用いる必要がないため乾燥等の加熱を伴う工程において硬化反応が進行してしまう可能性が低く、また、厚膜の後硬化テープを製造することができる。
本発明の後硬化テープを硬化させる方法は特に限定されず、例えば、オーブン加熱、高周波誘導加熱等の加熱方法により行われる。なかでも、高周波誘導加熱が好ましい。高周波誘導加熱によれば、本発明の後硬化テープをより短時間で硬化させることができ、生産性が向上する。
従って、本発明の後硬化テープを用いて接合部材を接合する場合には、本発明の後硬化テープと接合部材とを貼り合わせて集成体を得た後、高周波誘導加熱装置を用いて高周波印加することにより、得られた集成体を加熱する方法が好ましい。
なお、高周波誘導加熱装置としては、例えば、EASY WELDER SEW−2110(SMART CORPORATION社製)、MU−1700(SKメディカル電子社製)等が用いられる。
表1〜3の配合に従って、光重合によりイミダゾール基を有する(メタ)アクリル系ポリマーとなるモノマー、エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学社製「jER828」)、エポキシ熱潜在性硬化剤、光ラジカル重合開始剤(チバガイギー社製「イルガキュア651」)、及び、その他の配合成分を均一に混合して塗液を得た。得られた塗液に窒素を吹き込んで酸素を追い出した後、厚さ38μmのシリコン離型処理PETフィルム2枚を用意して、各々の離型処理面が塗液に接し、かつ、塗液の厚みが0.25mmとなるように2枚のシリコン離型処理PETフィルムの間に塗液を挟み、主波長365nmの蛍光ランプで2mWの紫外線を5分間照射してモノマーを重合し、厚さ0.25mmの粘着剤テープを得た。
実施例1〜39、比較例1〜8で得られた試験片について、下記のように評価した。結果を表1〜3に示した。
得られた試験片を23℃で20分間養生した後、引張り試験機を用いて、23℃及びクロスヘッドスピード50mm/分の条件で、せん断引張り試験を行った。最大破壊強度をせん断接着力として評価した。
得られた試験片をオーブン加熱又は高周波誘導加熱により加熱して粘着剤層を硬化させた。加熱方式と加熱温度と加熱時間とを表1〜3に示した。得られた試験片を、更に、室温で1日養生した後、上記(1)と同様にしてせん断接着力を評価した。
なお、高周波誘導加熱においては、MU−1700(SKメディカル電子社製)を用いて高周波印加することにより、試験片を加熱して粘着剤層を硬化させた。硬化に際しては、アルミ板に熱電対を貼り付け、温度を測定しながらフィードバック制御を行い、所定の温度になるように制御した。
表2〜3の配合に従って、光重合によりイミダゾール基を有する(メタ)アクリル系ポリマーとなるモノマー、エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学社製「jER828」)、エポキシ熱潜在性硬化剤、光ラジカル重合開始剤(チバガイギー社製「イルガキュア651」)、及び、その他の配合成分を均一に混合して塗液を得た。得られた塗液に窒素を吹き込んで酸素を追い出した後、厚さ38μmのシリコン離型処理PETフィルム2枚を用意して、各々の離型処理面が塗液に接し、かつ、塗液の厚みが0.2mmとなるように2枚のシリコン離型処理PETフィルムの間に塗液を挟み、主波長365nmの蛍光ランプで2mWの紫外線を5分間照射してモノマーを重合し、厚さ0.2mmの粘着剤テープを得た。
実施例40〜49、比較例9〜11で得られた試験片について、下記のように評価した。結果を表2〜3に示した。
得られた試験片を23℃で20分間養生した後、引張り試験機を用いて、23℃及びクロスヘッドスピード50mm/分の条件で、せん断引っ張り試験を行った。最大破壊強度をせん断接着力として評価した。
得られた試験片をオーブン加熱又は高周波誘導加熱により加熱して粘着剤層を硬化させた。加熱方式と加熱温度と加熱時間とを表2〜3に示した。得られた試験片を、更に、23℃にて1日養生した後、上記(1)と同様にしてせん断接着力を評価した。
なお、高周波誘導加熱においては、EASY WELDER SEW−2110(SMART CORPORATIO社製)を用いて高周波印加することにより、試験片を加熱して粘着剤層を硬化させた。硬化に際しては、後硬化テープとガラス板との間に熱電対を挟み、加熱温度を測定しながら行った。また、EASY WELDER SEW−2110の高周波印加スイッチをON−OFFすることで、所定の温度になるように制御した。
Claims (4)
- イミダゾール基を有する(メタ)アクリル系ポリマーと、エポキシ樹脂と、エポキシ熱潜在性硬化剤とを含有する粘着剤層を有することを特徴とする後硬化テープ。
- イミダゾール基を有する(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステルと、該(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な不飽和二重結合とイミダゾール基とを1分子中に有する化合物とを共重合することにより得られたポリマーであることを特徴とする請求項1記載の後硬化テープ。
- (メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な不飽和二重結合とイミダゾール基とを1分子中に有する化合物は、1−ビニルイミダゾールであることを特徴とする請求項2記載の後硬化テープ。
- 請求項1、2又は3記載の後硬化テープを用いた接合部材の接合方法であって、
前記後硬化テープと前記接合部材とを貼り合わせて集成体を得る工程と、
高周波誘導加熱装置を用いて高周波印加することにより、前記集成体を加熱する工程とを有する
ことを特徴とする接合部材の接合方法。
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