JP2014028747A - 多結晶シリコンロッド - Google Patents

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Abstract

【課題】多結晶シリコンロッドをFZ法により単結晶化したときに、転位が発生せずかつ単結晶化時の制御を安定して行うことができる。
【解決手段】多結晶シリコンロッド11は、多結晶シリコンからなる種棒11aと、この種棒11aの外周面にCVD法により析出された多結晶シリコン析出体11bとを有する。この多結晶シリコンロッド11の直径は77mm以下であって、多結晶シリコンロッド11を種棒11aの軸線に対して直交する断面を光学顕微鏡で観察したとき、長さが288μm以下である針状結晶が、多結晶シリコン析出体11b中に種棒11aを中心に放射状に均一に分布するように構成される。また上記針状結晶の上記断面における占有面積割合が78%以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、FZ法(フローティングゾーン(Floating Zone)法)によりシリコン単結晶を製造するための原料として用いられる多結晶シリコンのロッドに関するものである。
従来、高温下でケイ素含有ガスが熱分解又は水素により還元され、フィラメントロッド上で高純度のシリコンを析出させることによって得られる多結晶シリコンロッドが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この多結晶シリコンロッドは、ロッドの放射断面において、異なる微細構造を有する少なくとも4つの異なる領域を有する。また、この多結晶シリコンロッドでは、最も内側の多結晶ロッド中央の領域Aにおいて、多結晶の細いロッドが存在し、この細いロッドの周りの析出された多結晶シリコンの領域Bにおいて、針状結晶が存在しないか又は非常に僅かしか存在しないように構成される。具体的には、領域Aの細いロッドは5〜10mmの辺の長さを有する断面正方形状に形成され、領域Bの直径は30mmより大きく形成される。また領域Bにおける針状結晶の面積割合は1%未満であり、針状結晶の長さは5mm以下であり、幅は1mm以下である。また多結晶シリコンロッドの外側の領域Dにおいて、針状結晶の面積割合が7%未満であり、針状結晶の長さが15mm未満であり、かつ針状結晶の幅が2mm未満であり、かつマトリックスの微結晶の長さが0.2mmを超過しないように構成される。更に領域Bと領域Dとの間に、結晶組織が領域Bにおける組織から領域Dにおける組織へと滑らかに移行する混合領域Cが存在するように構成される。
このように構成された多結晶シリコンロッドでは、領域Bにおける小さい寸法の僅かな針状結晶が後のFZ法における加熱で完全に溶融されるため、未溶融の針状結晶又はその残部が溶融帯域を通過した後にシリコン単結晶中に欠陥を引起こすという不具合を排除できる。また外側の領域Dにおいては、析出工程の間に、多結晶シリコンロッドにおいて最も高い熱応力が発生する。但し、微結晶性マトリックスによって、強度は、電極に接したロッド基部以外のロッド領域とブリッジ領域とにおいて破損及び亀裂が生じない程度に高められる。更に内側の領域Bと外側の領域Dとの間に生ずる混合領域Cは、領域Bにおける組織から領域Dにおける組織へと滑らかに移行する結晶組織を有し、この混合領域Cは、30mm〜120mmの直径領域において存在する。
特開2008−285403号公報(請求項1、段落[0019]〜[0023]、図1)
しかし、上記従来の特許文献1に示された多結晶シリコンロッドでは、この多結晶シリコンロッド中の針状結晶の長さが1mmを越えるような比較的長い粗大粒が存在すると、FZ法によるシリコン単結晶製造の過程で加熱された際に、粗大粒の針状結晶が溶融し難いため、多結晶シリコンロッドが完全に溶融されない場合がある。この溶融されない状態のシリコンの粗大粒がシリコン単結晶中に欠陥を引き起こし転位となる不具合があった。
本発明の目的は、多結晶シリコンロッドをFZ法により単結晶化したときに、転位が発生せずかつ単結晶化時の制御を安定して行うことができる、多結晶シリコンロッドを提供することにある。
本発明の第1の観点は、多結晶シリコンからなる種棒と、この種棒の外周面にCVD法(化学気相成長(Chemical Vapor Deposition)法)により析出された多結晶シリコン析出体とを有する多結晶シリコンロッドにおいて、多結晶シリコンロッドの直径が77mm以下であって、多結晶シリコンロッドを種棒の軸線に対して直交する断面を光学顕微鏡で観察したとき、長さが288μm以下である針状結晶が、多結晶シリコン析出体中に種棒を中心に放射状に均一に分布し、上記針状結晶の上記断面における占有面積割合が78%以上であることを特徴とする。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に多結晶シリコンロッドを種棒の軸線に対して直交する断面で観察したとき、種棒の軸線を中心とする同一円周上であって種棒の外周面から半径方向外側に5mm離れた位置における針状結晶の長さ及び幅がそれぞれ115μm以下及び23μm以下となるように分布することを特徴とする。
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点に基づく発明であって、更に多結晶シリコンロッドを種棒の軸線に対して直交する断面で観察したとき、種棒の軸線を中心とする同一円周上であって種棒の外周面から半径方向外側に10mm離れた位置における針状結晶の長さ及び幅がそれぞれ225μm以下及び55μm以下となるように分布することを特徴とする。
本発明の第4の観点は、第1ないし第3の観点のいずれかに基づく発明であって、更に多結晶シリコンロッドを種棒の軸線に対して直交する断面で観察したとき、種棒の軸線を中心とする同一円周上であって種棒の外周面から半径方向外側に25mm離れた位置における針状結晶の長さ及び幅がそれぞれ288μm以下及び48μm以下となるように分布することを特徴とする。
本発明の第5の観点は、第1ないし第4の観点のいずれかに基づく発明であって、更に多結晶シリコンロッドを種棒の軸線に対して直交する断面で観察したとき、種棒中の針状結晶の長さ及び幅がそれぞれ135μm以下及び45μm以下となるように分布することを特徴とする。
本発明の第6の観点は、多結晶シリコンからなる種棒と、この種棒の外周面にCVD法により析出された多結晶シリコン析出体とを有する多結晶シリコンロッドにおいて、多結晶シリコンロッドの直径が77mmを越え、多結晶シリコンロッドを種棒の軸線に対して直交する断面を光学顕微鏡で観察したとき、直径130mm以内の領域では、長さが291μm以下である針状結晶が、多結晶シリコン析出体中に種棒を中心に放射状に均一に分布し、上記針状結晶の上記断面における占有面積割合が15%以上35%以下であることを特徴とする。
本発明の第7の観点は、第6の観点に基づく発明であって、更に多結晶シリコンロッドの直径が153mm以下であることを特徴とする。
本発明の第1の観点の多結晶シリコンロッドでは、直径77mm以下の多結晶シリコン析出体中の針状結晶の長さが288μmを越えないように形成しており、加えて針状結晶の占有面積割合を78%以上とすることで、多結晶シリコンロッドをFZ法による単結晶化のために加熱溶融した際、シリコン単結晶中に欠陥を引き起こすような溶融されない針状結晶が残り難く、転位を引き起こす可能性が極めて低い。また、多結晶シリコン析出体中の針状結晶の長さが288μmを越えないように微細な結晶を形成することで、結晶析出過程で生じる鬆(す)の形成を抑制することができるため、均一な結晶構造とすることができる。
本発明の第5の観点の多結晶シリコンロッドでは、種棒中の針状結晶の長さが288μmを越えないように形成することで、FZ法によるシリコン単結晶製造過程における種棒部(種棒とこの種棒から析出した部分とを含む。)の溶融時に、溶融されない針状結晶が生じ難くなり、転位の発生を低減できる。
本発明の第6の観点の多結晶シリコンロッドでは、直径が77mmを越える多結晶シリコン析出体であって、直径130mm以内の領域では、針状結晶の長さが291μmを越えないように形成しており、加えて針状結晶の占有面積割合を15%以上35%以下とすることで、多結晶シリコンロッドをFZ法による単結晶化のために加熱溶融した際、シリコン単結晶中に欠陥を引き起こすような溶融されない針状結晶が残り難く、転位を引き起こす可能性が極めて低い。また、多結晶シリコン析出体中の針状結晶の長さが291μmを越えないように微細な結晶を形成することで、結晶析出過程で生じる鬆(す)の形成を抑制することができるため、均一な結晶構造とすることができる。
本発明実施形態の多結晶シリコンからなる種棒外周面に多結晶シリコン析出体を析出させるための多結晶シリコン析出装置の縦断面構成図である。 (a)は実施例1の多結晶シリコンロッドを種棒の軸線に対して直交する断面を光学顕微鏡で観察したときの写真図であり、(b−1)〜(b−4)は(a)の写真図中のA部とB部とC部とD部をそれぞれ拡大した写真図である。 (a)は比較例1の多結晶シリコンロッドを種棒の軸線に対して直交する断面を光学顕微鏡で観察したときの写真図であり、(b−1)〜(b−4)は(a)の写真図中のA部とB部とC部とD部をそれぞれ拡大した写真図である。 図2(b−1)を更に拡大した写真図である。 図2(b−2)を更に拡大した写真図である。 図2(b−3)を更に拡大した写真図である。 図2(b−4)を更に拡大した写真図である。 図3(b−1)を更に拡大した写真図である。 図3(b−2)を更に拡大した写真図である。 図3(b−3)を更に拡大した写真図である。 図3(b−4)を更に拡大した写真図である。 (a)は実施例2の多結晶シリコンロッドを種棒の軸線に対して直交する断面を光学顕微鏡で観察したときの写真図であり、(b−1)〜(b−5)は(a)の写真図中のA部とB部とC部とD部とE部をそれぞれ拡大した写真図である。 図12(b−1)を更に拡大した写真図である。 図12(b−2)を更に拡大した写真図である。 図12(b−3)を更に拡大した写真図である。 図12(b−4)を更に拡大した写真図である。 図12(b−5)を更に拡大した写真図である。 実施例2の写真図に見られる代表的な針状結晶の模式図である。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、多結晶シリコンロッド11は、多結晶シリコンからなる種棒11aと、この種棒11aの外周面にCVD法により析出された多結晶シリコン析出体11bとを有する。多結晶シリコンロッド11を種棒11aの軸線に対して直交する断面で観察したとき、針状結晶が多結晶シリコン析出体11b中に種棒11aを中心に放射状に均一に分布するように構成される。多結晶シリコンロッド11の直径が77mm以下であるとき、この針状結晶の長さは288μm以下に形成され、かつ針状結晶の上記断面における占有面積割合は78%以上に形成される。ここで、針状結晶の長さを288μm以下に限定したのは、288μmを越える粗大な針状結晶(過大針状結晶)が多結晶シリコンロッド11中に存在すると多結晶シリコンロッド11をFZ法により単結晶化する際に溶融し難いことからこの針状結晶が転位の発生要因になる可能性が高くなるためである。また、針状結晶の占有面積割合を78%以上に限定したのは、78%未満では多結晶シリコンロッド11をFZ法により単結晶化したときに多結晶シリコン析出体11b中に潜在的に存在している過大針状結晶が相当数残っている状態であるので、これらが転位に発展する可能性が高くなるからである。一方、多結晶シリコンロッド11の直径が約3インチ(77mm)を越え約6インチ(153mm)以下、好ましくは約3インチ(77mm)を越え約5インチ強(130mm)以下であるとき、直径130mm以内の領域では、この針状結晶の長さは291μm以下に形成され、かつ針状結晶の上記断面における占有面積割合は15%以上35%以下に形成される。ここで、針状結晶の長さを291μm以下に限定したのは、291μmを越える粗大な針状結晶(過大針状結晶)が多結晶シリコンロッド11中に存在すると多結晶シリコンロッド11をFZ法により単結晶化する際に溶融し難いことからこの針状結晶が転位の発生要因になる可能性が高くなるためである。また、針状結晶の占有面積割合を15%以上35%以下の範囲内に限定したのは、15%未満では多結晶シリコンロッドの生産性が低くなり、35%を越えると多結晶シリコンロッドが溶融し難くなるため、多結晶シリコンロッドを同条件(溶融時間等)でFZ法により単結晶化した場合に転位が生じ易くなるからである。なお、観測限界の5μm未満の結晶は微細結晶で有り、マトリックスとなっている。
(1)直径が約3インチ(77mm)以下である多結晶シリコンロッド11を作製する場合
多結晶シリコンロッド11を種棒11aの軸線に対して直交する断面で観察したとき、種棒11aの軸線を中心とする同一円周上であって種棒11aの外周面から半径方向外側に5mm、10mm及び25mm離れた位置における針状結晶の長さ及び幅は、それぞれ次のように形成される。上記5mm離れた位置における針状結晶の長さは、好ましくは115μm以下となるように分布し、上記5mm離れた位置における針状結晶の幅は、好ましくは23μm以下になるように分布する。ここで、上記5mm離れた位置における針状結晶の長さ及び幅がそれぞれ115μm及び23μmを越えるようなサイズの針状結晶では、FZ法によるシリコン単結晶製造時における加熱コイルの構造から、多結晶シリコンロッド11の中心部ほど完全に針状結晶を溶融し難くなるという傾向がある。このため、種棒11a周辺の領域においては、針状結晶のサイズを長さ115μm、幅23μmを越えないような構成としている。
また、上記10mm離れた位置における針状結晶の長さは、好ましくは225μm以下の範囲内になるように分布し、上記10mm離れた位置における針状結晶の幅は、好ましくは55μm以下になるように分布する。ここで、上記10mm離れた位置における針状結晶の長さを225μmを越えないようにし、また針状結晶の幅を55μmを越えないようにしたことで、FZ法による単結晶化の際に、針状結晶の溶融を確実に行うことができ、転位の発生の可能性を低減し、かつ全周にわたって針状結晶の割合を制限することで安定して単結晶化の制御を行うことができる。
更に、上記25mm離れた位置における針状結晶の長さは、好ましくは288μm以下になるように分布し、上記25mm離れた位置における針状結晶の幅は、好ましくは48μm以下になるように分布する。ここで、上記25mm離れた位置における針状結晶の長さを288μmを越えないようにし、また針状結晶の幅を48μmを越えないようにサイズ及び割合を制御したことで、直径約3インチ(77mm)以下のFZ用の多結晶シリコンロッド11でも、外周近傍部での結晶の溶融を安定して行うことができ、転位の発生の可能性を低減し、単結晶化の制御を容易に行うことができる。
なお、直径が約3インチ(77mm)以下である多結晶シリコンロッドを作製する場合であって、種棒11aを多結晶シリコンロッド11とともに種棒11aの軸線に対して直交する断面で観察したとき、種棒11a中の針状結晶の長さは、好ましくは135μm以下になるように分布し、種棒11a中の針状結晶の幅は、好ましくは45μm以下になるように分布する。ここで、種棒11a中の針状結晶の長さ及び幅がそれぞれ135μm及び45μmを越えるようなサイズの針状結晶では、FZ法によるシリコン単結晶製造時の加熱コイルの構造から、多結晶シリコンロッド11の中心部ほど完全に針状結晶を溶融し難くなるという不具合がある。このため、安定的に種棒11aを溶融するためには針状結晶の長さや幅を制御する必要がある。更に好ましくは種棒11a周辺(多結晶シリコン析出体11b中の種棒11aに近い部分)の針状結晶の長さや幅と同等以下とすることで、安定的に連続して溶融することができ、転位の発生を大幅に低減することができる。
(2)直径が約3インチ(77mm)を越え約6インチ(153mm)以下、好ましくは約3インチ(77mm)を越え約5インチ強(130mm)以下である多結晶シリコンロッド11を作製する場合
多結晶シリコンロッド11を種棒11aの軸線に対して直交する断面で観察したとき、種棒11aの軸線を中心とする同一円周上であって種棒11aの外周面から半径方向外側に5mm、10mm、25mm及び45mm離れた位置における針状結晶の長さ及び幅は、それぞれ次のように形成される。上記5mm離れた位置における針状結晶の長さは、好ましくは226μm以下となるように分布し、上記5mm離れた位置における針状結晶の幅は、好ましくは30μm以下になるように分布する。ここで、上記5mm離れた位置における針状結晶の長さ及び幅がそれぞれ226μm及び30μmを越えるようなサイズの針状結晶では、FZ法によるシリコン単結晶製造時における加熱コイルの構造から、多結晶シリコンロッド11の中心部ほど完全に針状結晶を溶融し難くなるという不具合がある。このため、種棒11a周辺の領域においては、針状結晶のサイズを長さ226μm、幅30μmを越えないような構成としている。
また、上記10mm離れた位置における針状結晶の長さは、好ましくは241μm以下の範囲内になるように分布し、上記10mm離れた位置における針状結晶の幅は、好ましくは34μm以下になるように分布する。ここで、上記10mm離れた位置における針状結晶の長さを241μmを越えないようにし、また針状結晶の幅を34μmを越えないようにしたことで、FZ法による単結晶化の際に、針状結晶の溶融を確実に行うことができ、転位の発生の可能性を低減し、かつ全周にわたって針状結晶の割合を制限することで安定して単結晶化の制御を行うことができる。
また、上記25mm離れた位置における針状結晶の長さは、好ましくは271μm以下になるように分布し、上記25mm離れた位置における針状結晶の幅は、好ましくは45μm以下になるように分布する。ここで、上記25mm離れた位置における針状結晶の長さを271μmを越えないようにし、また針状結晶の幅を45μmを越えないようにサイズ及び割合を制御したことで、FZ法による単結晶化の際に、針状結晶の溶融を確実に行うことができ、転位の発生の可能性を低減し、かつ全周にわたって針状結晶の割合を制限することで安定して単結晶化の制御を行うことができる。
更に、上記45mm離れた位置における針状結晶の長さは、好ましくは291μm以下になるように分布し、上記45mm離れた位置における針状結晶の幅は、好ましくは44μm以下になるように分布する。ここで、上記45mm離れた位置における針状結晶の長さを291μmを越えないようにし、また針状結晶の幅を44μmを越えないようにサイズ及び割合を制御したことで、直径が約3インチ(77mm)を越え約6インチ(153mm)以下であるFZ用の多結晶シリコンロッド11でも、外周近傍部での結晶の溶融を安定して行うことができ、転位の発生の可能性を低減し、単結晶化の制御を容易に行うことができる。
なお、直径が約3インチ(77mm)を越え約6インチ(153mm)以下である多結晶シリコンロッドを作製する場合であって、種棒11aを多結晶シリコンロッド11とともに種棒11aの軸線に対して直交する断面で観察したとき、種棒11a中の針状結晶の長さは、好ましくは264μm以下になるように分布し、種棒11a中の針状結晶の幅は、好ましくは31μm以下になるように分布する。ここで、種棒11a中の針状結晶の長さ及び幅がそれぞれ264μm及び31μmを越えるようなサイズの針状結晶では、FZ法によるシリコン単結晶製造時の加熱コイルの構造から、多結晶シリコンロッド11の中心部ほど完全に針状結晶を溶融し難くなるという不具合がある。このため、安定的に種棒部(種棒とこの種棒から析出した部分とを含む。)を溶融するためには針状結晶の長さや幅を制御する必要がある。更に好ましくは種棒11a周辺(多結晶シリコン析出体11b中の種棒11aに近い部分)の針状結晶の長さや幅と同等以下とすることで、安定的に連続して溶融することができ、転位の発生を大幅に低減することができる。
このように構成された多結晶シリコン析出体11bは多結晶シリコン析出装置10により析出される。この多結晶シリコン析出装置10は、反応炉12と、この反応炉12に貫通して取付けられた供給管14及び排出管16とを備える。反応炉12は、底部を構成する基板12aと、上側がドーム状に閉止された円筒体からなるベルジャ12bとにより構成される。基板12aには逆U字状の種棒11aの下端を保持する一対の電極体12c,12cが貫通して設けられる。種棒11aはこれらの電極体12c,12cに保持されることにより反応炉12内部に固定される。一対の電極体12c,12cには給電装置13の出力端子が電気的に接続され、種棒11aは給電装置13からの電力により加熱可能に構成される。供給管14及び排出管16は例えばステンレス鋼によりそれぞれ作製され、基板12aを貫通して取付けられる。供給管14からは、例えばトリクロロシラン(TCS:SiHCl3 )と水素の混合ガスが原料ガスとして反応炉12内に導入されるように構成される。なお、図1中の符号17は電極体12c,12cを基板12aから電気的に絶縁する絶縁体である。
このように構成された析出装置10を用いて多結晶シリコン析出体11bを析出する方法を説明する。予め多結晶シリコンからなる種棒11aを作製しておく。種棒11aは、多結晶シリコンからなるロッドを角棒状に削り出すか切り出して逆U字状に組立てることにより作製するか、或いは多結晶シリコンからなる角材棒を複数本接続したものを逆U字状に組立てることにより作製する。なお、種棒11aは、使用前に酸の薬液(例えば、硝酸及びフッ酸の混合液等)で表面処理することが好ましい。これにより、種棒11aの表面に付着した不純物や酸化膜などを除去できるため、汚染の少ない高純度の多結晶シリコン析出体11bが得られるとともに、多結晶シリコン析出体11bの析出初期段階で発生し易い鬆(す)などの空隙や欠陥の発生要因を低減できるため、均一な結晶構造の多結晶シリコン析出体11bを種棒11aの表面に形成できる。先ず、種棒11aを反応炉12に配置する。この種棒11aの配置は、基板12aに設けられた電極体12c,12cに種棒11aの下端を保持させることにより行われる。そして炉内ヒータなどで種棒11aを予熱した後、給電装置13により電極体12c,12cを介して通電して種棒11aを加熱する。加熱温度は約1000〜1300℃の範囲内の所定の温度(例えば、約1100℃)である。種棒11aの加熱に合わせて、トリクロロシラン(TCS:SiHCl3)と水素との混合ガスを供給管14から原料ガスとして反応炉12内に導入する。この導入されたガスは、加熱された高温の種棒11aにより加熱されている反応炉12の内部を上昇し、ガスが対流している間に、次の式(1)及び(2)に示すように、トリクロロシラン(TCS:SiHCl3)が熱分解し又は水素により還元され、種棒11aの表面に多結晶シリコン析出体11bが析出する。
4SiHCl3 → Si + 3SiCl4+ 2H2 ……(1)
SiHCl3 + H2 → Si + 3HCl ……(2)
ここで、上記析出反応の初期段階においては、種棒11aに流す電流値を一時的に低く抑え(例えば、直径が約3インチ(77mm)以下である多結晶シリコン析出体11bの場合、反応プロセスでの最大設定電流値の1/25程度であり、直径が約3インチ(77mm)を越え約6インチ(153mm)以下である多結晶シリコン析出体11bの場合、反応プロセスでの最大設定電流値の1/30程度)、その後、多結晶シリコン析出体11bの直径の増大に合せて徐々に電流値を上昇させていくことが好ましい。これにより、多結晶シリコン析出体11bの初期析出過程において、粗大な針状結晶の形成が抑制され、種棒11aと同等或いは種棒11aより小さい針状結晶の形成が可能となる。また、種棒11a表面における鬆(す)と呼ばれる空隙の形成を抑制できる。また、上記析出反応において、多結晶シリコン析出体11bの直径の増大に合せて、水素とトリクロロシランのモル比を4/1程度から次第に大きくしていき、最大で8/1程度にすることが好ましい。これにより、多結晶シリコン析出体11b中の粗大な針状結晶の形成を安定的に抑制することができる。また、粉末状のシリコンの生成が抑制されるとともに、粉末シリコンなどが原因となって発生すると考えられる多結晶シリコン析出体11b上のピンプル(突起状物)などの発生も抑制され、均一で表面が滑らかな多結晶シリコン析出体11bが得られる。更に、原料ガスの流量は、析出反応の初期段階において一定の流量に維持し、その後、次第に流量を上昇させ、最大流量を初期流量の3〜6倍にすることが好ましい。これにより、多結晶シリコン析出体11bの析出量を確保でき、多結晶シリコンロッド11の直径を全長にわたって一定にすることができる。なお、上記一連の反応過程では、熱分解又は還元反応により、テトラクロロシランや塩化水素などの副生物や未反応のトリクロロシランや水素なども反応炉の排出ガスとして排出され、系外の処理系で処理された後、回収等が行われる。
上記析出反応の終了後、多結晶シリコンロッド11に流す電流を段階的に低下させていき、種棒11aの温度を徐々に低下させる。これは、多結晶シリコンロッド11に流す電流を急激に低下させると、多結晶シリコンロッド11内の熱歪みが増大するため、多結晶シリコンロッド11の回収時(反応炉12からの取出し時)に割れが発生したり、またFZ法による単結晶化時に多結晶シリコンロッド11が破損し易くなるためである。なお、上記のように作製された多結晶シリコンロッド11を用いて種棒11aを作製してもよい。これにより種棒11a中に粗大な針状結晶を含まない種棒11aを得ることができる。
(1)直径約3インチ(77mm)以下の多結晶シリコンロッド11の場合
このように種棒11aの外周面に多結晶シリコン析出体11bが析出された多結晶シリコンロッド11では、多結晶シリコン析出体11b中の針状結晶の長さが288μmを越えないように形成しており、加えて針状結晶の占有面積割合を78%以上とすることで、多結晶シリコンロッド11をFZ法による単結晶化のために加熱溶融した際、シリコン単結晶中に欠陥を引き起こすような溶融されない針状結晶が残り難く、転位を引き起こす可能性が極めて低い。また、多結晶シリコン析出体11b中の針状結晶の長さが288μmを越えないように微細な結晶を形成することで、結晶析出過程で生じる鬆(す)の形成を抑制することができるため、均一な結晶構造とすることができる。更に種棒11a中の針状結晶の長さが288μmを越えないように形成することで、FZ法によるシリコン単結晶製造過程における種棒11aの溶融時に、溶融されない針状結晶が生じ難くなり、転位の発生を低減できる。このように多結晶シリコンロッド11をFZ法により単結晶化したときに、転位が発生せずかつ単結晶化時の制御を安定して行うことができる。ここで、直径が約3インチ(77mm)以下である小径の多結晶シリコンロッド11の場合、針状結晶の寸法のばらつきが小さいことから、適切なサイズまで小さくした寸法の針状結晶を、より多く発生させるような制御をした方が、結果として過大針状結晶が残らないものと考えられる。
(2)直径が約3インチ(77mm)を越え約6インチ(153mm)以下である多結晶シリコンロッド11の場合
このように種棒11aの外周面に多結晶シリコン析出体11bが析出された多結晶シリコンロッド11では、多結晶シリコン析出体11b中の針状結晶の長さが291μmを越えないように形成しており、加えて針状結晶の占有面積割合を15%以上35%以下とすることで、多結晶シリコンロッド11をFZ法による単結晶化のために加熱溶融した際、シリコン単結晶中に欠陥を引き起こすような溶融されない針状結晶が残り難く、転位を引き起こす可能性が極めて低い。また、多結晶シリコン析出体11b中の針状結晶の長さが291μmを越えないように微細な結晶を形成することで、結晶析出過程で生じる鬆(す)の形成を抑制することができるため、均一な結晶構造とすることができる。更に種棒11a中の針状結晶の長さが291μmを越えないように形成することで、FZ法によるシリコン単結晶製造過程における種棒11aの溶融時に、溶融されない針状結晶が生じ難くなり、転位の発生を低減できる。このように多結晶シリコンロッド11をFZ法により単結晶化したときに、転位が発生せずかつ単結晶化時の制御を安定して行うことができる。ここで、直径が約3インチ(77mm)を越える大径の多結晶シリコンロッド11の場合、それぞれの針状結晶の寸法のばらつきが大きくなってくるため、適切なサイズまで小さくした針状結晶の発生割合を15〜35%に抑えることで、同時に過大針状結晶の発生も抑えられるものと考えられる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
図1に示す多結晶シリコン析出装置10を用いて種棒11aの外周面に多結晶シリコン析出体11bを析出させた。予め種棒11aは、多結晶シリコンからなる角材棒を3本組み合わせたものを逆U字状に組立てることにより作製した。また種棒11aの横断面は一辺約8mmの四角形であり、逆U字状の種棒11aの全長は約2000mmとした。更に種棒11aは、硝酸及びフッ酸の混合液で表面処理したものを使用した。
先ず、種棒11aを反応炉12に配置し、炉内ヒータなどで種棒11aを予熱した後、給電装置13により電極体12c,12cを介して通電して種棒11aを加熱し、種棒の温度が1100℃になったときに、トリクロロシラン(TCS:SiHCl3)と水素との混合ガスを供給管14から反応炉12内に導入して、種棒11aの表面に多結晶シリコン析出体11bを析出させた。ここで、上記析出反応の初期段階において、種棒11aに流す電流値を一時的に低く抑え(例えば、80A(最大電流値約1000Aの1/17.5))、その後、多結晶シリコン析出体11bの直径の増大に合せて徐々に電流値を上昇させて、最大1000Aまで流し、反応時間(約70時間)の間その電流値を維持した。また、上記析出反応において、多結晶シリコン析出体11bの直径の増大に合せて、水素とトリクロロシランのモル比を約4/1から次第に大きくしていき、最大で約7/1にした。更に、原料ガスの流量は、析出反応の初期段階において一定の流量(10000リットル/分)に維持し、その後、次第に流量を上昇させ、最大流量を初期流量の3.5倍の35000リットル/分にした。このようにして直径約3インチ(77mm)の多結晶シリコンロッド11を得た。
この多結晶シリコンロッド11を種棒11aの軸線に対して直交する断面を光学顕微鏡で観察したとき、種棒11aの軸線を中心とする同一円周上であって種棒11aの外周面から半径方向外側に5mm、10mm及び25mm離れた位置における針状結晶の長さ及び幅をそれぞれ図2及び図4〜図7の観察した写真図に基づいてそれぞれ測定した。その結果、上記5mm離れた位置(B部)における針状結晶の長さ及び幅はそれぞれ115μm及び23μmであり、上記10mm離れた位置(C部)における針状結晶の長さ及び幅はそれぞれ225μm及び55μmであり、上記25mm離れた位置(D部)における針状結晶の長さ及び幅はそれぞれ288μm及び48μmであった。また上記B部断面、C部断面及びD部断における多結晶シリコン析出体中の針状結晶の占有面積割合は78%であった。更に上記A部断面における種棒中の針状結晶の長さ及び幅はそれぞれ135μm及び45μmであり、上記A部断面における種棒中の針状結晶の占有面積割合は82%であった。なお、写真図に見られた針状結晶のうち幅に対する長さの比(アスペクト比)が5以上であったものを針状結晶とした。そして針状結晶の長さ及び幅の測定ポイントは所定の寸法箇所における5〜10点とし、針状結晶の長さ及び幅の測定値はこれらの点における平均値とした。また針状結晶の占有面積割合は針状結晶の総面積を写真図の総面積で割って求めた。更に使用した光学顕微鏡は、NIKON ECLIPSE LV150(接眼レンズ:×10倍、対物レンズ:×5倍)であり、測定値限界は5μmである。
<比較例1>
実施例1に記載の種棒(横断面が一辺約8mmの四角形であり、全長が約2000mmの種棒)と同等の種棒を使用し、水素とトリクロロシランのモル比を約5程度として析出反応を開始し、初期段階からトリクロロシランと水素との混合ガスの量を徐々に増加させるとともに、上記モル比を徐々に増加させた。そして多結晶シリコンロッドの径が増大して上記モル比が7〜8になったとき、その後の多結晶シリコンロッドの径の増大に拘らず、上記モル比を7〜8に維持した。また上記析出反応の初期段階において、種棒に流す電流値を85〜90Aとし、その後、多結晶シリコン析出体の直径の増大に合せて徐々に電流値を上昇させて、約70時間で1300A程度まで上昇させた。更に、原料ガスの流量は、析出反応の初期段階において一定の流量(8000リットル/分)に維持し、その後、次第に流量を上昇させ、最大流量を初期流量の6.5倍の52000リットル/分にした。これにより直径約3インチ(77mm)の多結晶シリコンロッドを作製した。この多結晶シリコンロッドを種棒の軸線に対して直交する断面を光学顕微鏡で観察したとき、種棒の軸線を中心とする同一円周上であって種棒の外周面から半径方向外側に5mm、10mm及び25mm離れた位置における針状結晶の長さ及び幅をそれぞれ図3及び図8〜図11の写真図に基づいてそれぞれ測定した。その結果、上記5mm離れた位置(B部)における針状結晶の長さ及び幅はそれぞれ600μm及び200μmであり、上記10mm離れた位置(C部)における針状結晶の長さ及び幅はそれぞれ250μm及び100μmであり、上記25mm離れた位置(D部)における針状結晶の長さ及び幅はそれぞれ900μm及び150μmであった。また上記B部断面、C部断面及びD部断面における多結晶シリコン析出体中の針状結晶の占有面積割合は58%であった。更に上記A部断面における種棒中の針状結晶の長さ及び幅はそれぞれ300μm及び180μmであり、上記A部断面における種棒中の針状結晶の占有面積割合は53%であった。
<比較試験1及び評価>
実施例1及び比較例1の多結晶シリコンロッドをFZ法により単結晶化してシリコン単結晶を作製した。これらのシリコン単結晶中に転位が発生した否かを観察した。その結果を表1に示す。なお、表1には、実施例1及び比較例1の多結晶シリコンロッドから得られたシリコン単結晶中の転位の有無とともに、実施例1及び比較例1の多結晶シリコンロッド中の針状結晶のサイズも記載した。また、シリコン単結晶中に転位が発生したか否かは、目視により観察した。
表1から明らかなように、多結晶シリコン析出体中の針状結晶の長さが900μmの部分があった比較例1では、単結晶化後のシリコン単結晶中に転位が発生したのに対し、多結晶シリコン析出体中の針状結晶の長さが288μm以下である実施例1では、単結晶化後のシリコン単結晶中に転位が発生しなかった。
<実施例2>
実施例1と同様に、多結晶シリコン析出装置10を用いて種棒11aの外周面に多結晶シリコン析出体11bを析出させた。予め種棒11aは、多結晶シリコンからなる角材棒を3本組み合わせたものを逆U字状に組立てることにより作製した。また種棒11aの横断面は一辺約8mmの四角形であり、逆U字状の種棒11aの全長は約2000mmとした。更に種棒11aは、硝酸及びフッ酸の混合液で表面処理したものを使用した。
先ず、種棒11aを反応炉12に配置し、炉内ヒータなどで種棒11aを予熱した後、給電装置13により電極体12c,12cを介して通電して種棒11aを加熱し、種棒の温度が900℃以上になったときに、トリクロロシラン(TCS:SiHCl3)と水素との混合ガスを供給管14から反応炉12内に導入して、種棒11aの表面に多結晶シリコン析出体11bを析出させた。析出反応の初期段階では、60〜70Aの電流値で多結晶シリコン析出体11bの析出を行い、その後、反応開始から20時間程度までは、電流値を150A程度まで徐々に上昇させて多結晶シリコン析出体11bの析出を行った。このとき多結晶シリコン析出体11bの表面は、平均1.5℃/時間の割合で昇温し、980℃以下の温度であった。次いで反応開始より20時間経過したときから50時間経過するまでは、電流値を400A程度まで徐々に上昇させて多結晶シリコン析出体11bの析出を行った。このとき多結晶シリコン析出体11bの表面は、平均1.0℃/時間の割合で昇温し、1010℃以下の温度であった。次に反応開始より50時間経過したときから100時間経過するまでは、電流値を1100A程度まで徐々に上昇させて多結晶シリコン析出体11bの析出を行った。このとき多結晶シリコン析出体11bの表面は、平均0.8℃/時間の割合で昇温し、1050℃以下の温度であった。更に反応開始より100時間経過したときから130時間経過するまでは、多結晶シリコン析出体11bの表面温度が1050℃を越えないように、電流上昇率を徐々に下降させながら電流値を1500A程度まで徐々に上昇させ、その後、多結晶シリコン析出体11bの表面温度を1050℃以下に維持した状態で、反応終了まで電流値を約1800Aまで上昇させながら多結晶シリコン析出体11bの析出を行った。なお、上記析出反応において、多結晶シリコン析出体11bの直径の増大に合せて、水素とトリクロロシランのモル比を約4/1から次第に大きくしていき、最大で約8/1にした。更に、原料ガスの流量は、析出反応の初期段階において一定の流量(12000リットル/分)に維持し、その後、次第に流量を上昇させ、最大流量を初期流量の5倍の60000リットル/分にした。このようにして直径約5インチ強(130mm)の多結晶シリコンロッド11を得た。
実施例2で作製した多結晶シリコンロッド11を種棒11aの軸線に対して直交する断面を光学顕微鏡で観察したとき、種棒11aの軸線を中心とする同一円周上であって種棒11aの外周面から半径方向外側に5mm、10mm、25mm及び45mm離れた位置における針状結晶の長さ及び幅をそれぞれ図12〜図17の観察した写真図に基づいてそれぞれ測定した。その結果、上記5mm離れた位置(B部)における針状結晶の長さ及び幅はそれぞれ226μm及び30μmであり、上記10mm離れた位置(C部)における針状結晶の長さ及び幅はそれぞれ241μm及び34μmであり、上記25mm離れた位置(D部)における針状結晶の長さ及び幅はそれぞれ271μm及び45μmであり、上記45mm離れた位置(E部)における針状結晶の長さ及び幅はそれぞれ291μm及び44μmであった。また上記B部〜E部断面における多結晶シリコン析出体中の針状結晶の占有面積割合は、それぞれ22%、26%、30%及び17%であった。更に上記A部断面における種棒中の針状結晶の長さ及び幅はそれぞれ264μm及び31μmであり、上記A部断面における種棒中の針状結晶の占有面積割合は34%であった。なお、写真図に現れた針状結晶のうち幅Yに対する長さXの比(アスペクト比)が5以上であったものを針状結晶とした(図18)。この針状結晶は、例えば図18の針状結晶の模式図に示すように、2本の直線部S(結晶粒界)と、その周囲の二点鎖線で囲まれた略三角形状の白い部分W(再結晶化した部分)とからなる。そして略三角形状の白い部分Wの高さを針状結晶の長さXとした。また略三角形状の白い部分Wのうち、底辺Tから頂点P0の方向にX/3だけ平行移動した直線が略三角形状の白い部分Wの一対の側片U,Vと交わった点をそれぞれP1及びP2とするとき、P1及びP2の距離を針状結晶の幅Yとした。また針状結晶の面積は上記針状結晶の長さX及び幅Yから算出し、針状結晶の占有面積割合は針状結晶の総面積を写真図の総面積で割って求めた。更に使用した光学顕微鏡は、NIKON ECLIPSE LV150(接眼レンズ:×10倍、対物レンズ:×5倍)であり、測定値限界は5μmである。
<比較試験2及び評価>
実施例2の多結晶シリコンロッドを、比較試験1と同様に、FZ法により単結晶化してシリコン単結晶を作製した。このシリコン単結晶中に転位が発生した否かを観察した。その結果を表2に示す。なお、表2には、実施例2の多結晶シリコンロッドから得られたシリコン単結晶中の転位の有無とともに、実施例2の多結晶シリコンロッド中の針状結晶のサイズも記載した。また、シリコン単結晶中に転位が発生したか否かは、目視により観察した。
表2から明らかなように、多結晶シリコン析出体中の針状結晶の長さが291μm以下である実施例2では、単結晶化後のシリコン単結晶中に転位が発生しなかった。
11 多結晶シリコンロッド
11a 種棒
11b 多結晶シリコン析出体

Claims (7)

  1. 多結晶シリコンからなる種棒と、この種棒の外周面にCVD法により析出された多結晶シリコン析出体とを有する多結晶シリコンロッドにおいて、
    前記多結晶シリコンロッドの直径が77mm以下であって、
    前記多結晶シリコンロッドを前記種棒の軸線に対して直交する断面を光学顕微鏡で観察したとき、長さが288μm以下である針状結晶が、前記多結晶シリコン析出体中に前記種棒を中心に放射状に均一に分布し、
    前記針状結晶の前記断面における占有面積割合が78%以上である
    ことを特徴とする多結晶シリコンロッド。
  2. 前記多結晶シリコンロッドを前記種棒の軸線に対して直交する断面で観察したとき、前記種棒の軸線を中心とする同一円周上であって前記種棒の外周面から半径方向外側に5mm離れた位置における前記針状結晶の長さ及び幅がそれぞれ115μm以下及び23μm以下となるように分布する請求項1記載の多結晶シリコンロッド。
  3. 前記多結晶シリコンロッドを前記種棒の軸線に対して直交する断面で観察したとき、前記種棒の軸線を中心とする同一円周上であって前記種棒の外周面から半径方向外側に10mm離れた位置における前記針状結晶の長さ及び幅がそれぞれ225μm以下及び55μm以下となるように分布する請求項1又は2記載の多結晶シリコンロッド。
  4. 前記多結晶シリコンロッドを前記種棒の軸線に対して直交する断面で観察したとき、前記種棒の軸線を中心とする同一円周上であって前記種棒の外周面から半径方向外側に25mm離れた位置における前記針状結晶の長さ及び幅がそれぞれ288μm以下及び48μm以下となるように分布する請求項1ないし3いずれか1項に記載の多結晶シリコンロッド。
  5. 前記多結晶シリコンロッドを前記種棒の軸線に対して直交する断面で観察したとき、前記種棒中の針状結晶の長さ及び幅がそれぞれ135μm以下及び45μm以下となるように分布する請求項1ないし4いずれか1項に記載の多結晶シリコンロッド。
  6. 多結晶シリコンからなる種棒と、この種棒の外周面にCVD法により析出された多結晶シリコン析出体とを有する多結晶シリコンロッドにおいて、
    前記多結晶シリコンロッドの直径が77mmを越え、
    前記多結晶シリコンロッドを前記種棒の軸線に対して直交する断面を光学顕微鏡で観察したとき、直径130mm以内の領域では、長さが291μm以下である針状結晶が、前記多結晶シリコン析出体中に前記種棒を中心に放射状に均一に分布し、
    前記針状結晶の前記断面における占有面積割合が15%以上35%以下である
    ことを特徴とする多結晶シリコンロッド。
  7. 前記多結晶シリコンロッドの直径が153mm以下である請求項6記載の多結晶シリコンロッド。
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