JP2014024368A - 緊急退避支援装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 車両を強制停止させた後に、ドライバの救助を安全かつスムーズに行うことができる緊急退避支援装置を提供する。
【解決手段】 車両が緊急停止した場合に、車両における操作の一部を無効化する。ここでの車両における操作の一部として、ドアの開閉操作やシフト変更操作がある。停止中の車両の周囲に人が検出された場合には、ドアロックを解除し、ドアの開閉操作の無効化を解除する。また、救助者が車両を移動させようとしてシフトレバーを操作した場合には、シフト変更操作の無効化を解除する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、緊急退避支援装置に関する。
車両の運転支援を行う運転支援装置として、従来、ドライバの意識が低下した際に、ドライバの車両操作とは無関係に走行中の車両を停止させる停止制御を行う車両停止装置がある(たとえば、特許文献1参照)。この車両停止装置は、車両の走行する道路の前方周辺状況を検出し、その検出結果に基づいて車両の停止場所を決定し、決定した停止場所に車両を緊急退避させて強制停止させるというものである。
この車両停止装置では、車両を停止させる際に停止場所決定手段が車両の周辺状況に応じた停止場所を決定して、その決定した停止場所に車両を強制停止させている。このため、車両を他車両の通行の妨げとならない安全な場所に停止させることができるというものである。
特開2007−331652号公報
ところで、上記特許文献1に開示された車両停止装置が搭載された車両においては、車両を停止させた後、ドライバが意図せずにドアやウィンドウが開放すると、ドライバが車室の外に放出されるおそれがある。このようなドライバの車室の外への放出を防止するため、車両を強制停止させた後は、ドライバの操作を無効化し、ドアやウィンドウがドライバの意図に反して開放することを防止する技術もある。
しかし、車両を強制停止させた後にドライバの操作を一律的に無効化すると、ドライバの意識が失われている状態などでは、車両の外側からのドアやウィンドウの開放が難しくなることがある。この場合、閉鎖されたドアやウィンドウが障害となって、ドライバを救助する際の障害となり、ドライバの安全かつスムーズな救助が困難となることがあるという問題があった。
そこで、本発明の課題は、車両を強制停止させた後に、ドライバの救助を安全かつスムーズに行うことができる緊急退避支援装置を提供することにある。
上記課題を解決した本発明に係る緊急退避支援装置は、車両の走行を中断し、車両を所定の退避位置に退避させて停止させる緊急退避支援を行う緊急退避支援装置であって、停止している車両における操作の一部を無効化する無効化制御手段と、車両に関連する車両関連情報に基づく所定の解除条件が成立した場合に、無効化制御手段によって無効化された操作の無効化を解除するための無効化解除情報をガイドするガイド手段と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る緊急退避支援装置においては、緊急停止しており、一部の操作が無効化された車両において車両関連情報に基づく所定の解除条件が成立した場合に、無効化制御手段によって無効化された操作の無効化を解除するための無効化解除情報をガイドする。このため、たとえばドライバの意識が低下している場合でも、車両の周囲における救助者が無効化解除情報を取得し、無効化制御を解除することができる。したがって、たとえばドアの開放が無効化されている場合に、その無効化を解除し、ドアの開放などを行うことができるようになるので、ドライバの救助を安全かつスムーズに行うことができる。
ここで、車両の周囲における人を検出する人検出手段を備え、ガイド手段は、人検出手段が人を検出した際に、無効化解除情報をガイドするようにすることができる。
このように、車両の周囲における人が検出された際に無効化解除情報をガイドすることにより、車両の周囲に無効化解除情報を確実に伝達することができる。したがって、車両の周囲の人による救助をスムーズに促すことができる。
また、無効化された操作として、車両のドアの開閉操作が含まれており、ガイド手段は、車両の外側からドアの開放要求動作が行われたことを解除条件とし、無効化解除情報として、ドアのロック解除方法をガイドするようにすることができる。
このように、車両の外側からドアの開放要求動作が行われたことを解除条件とし、無効化解除情報として、ドアのロック解除方法をガイドすることにより、車両の周囲における救助者が容易にドアのロック解除方法を認識することができる。したがって、ドライバなどの救助をよりスムーズに行うことができる。
さらに、無効化された操作として、車両のシフト変更操作が含まれており、ガイド手段は、車両のシフト操作が行われたことを解除条件とし、無効化解除情報として、シフト変更操作の無効化解除方法をガイドするようにすることができる。
車両が緊急停止する際、シフト変更動作を無効とすることにより、車両の不意な動き出しを防止することができる。その一方、車両が交通の障害となる場合などには、車両を早期に動かすことが求められる。このため、ドライバなどの救助が済んだ後は、車両を早期に移動させることが求められるが、シフト変更操作が無効化されていると、車両を動かすことができない。この点、シフト操作を解除条件とすることにより、車両を動かそうとした救助者がシフト操作を行うことで、シフト変更操作の無効化が解除される。したがって、救助が終了した後に車両を素早く移動させることができる。本発明における「ガイド」は、音声案内(アナウンス)と表示案内の両方を含み、音声案内および表示案内の一方または両方を行うことができる。音声案内および表示案内については、状況に応じて適切な案内を選択して行うことができる。
また、無効化された操作として、車両の発進操作が含まれており、ガイド手段は、車両の制動操作が行われたことを解除条件とし、無効化解除情報として、発進操作の無効化解除をガイドするようにすることができる。
このように、車両の発進操作によって発進操作の無効化解除をガイドすることによって、救助者などが慌てて車両を移動させることができないという事態を防止することができる。
さらに、車両のドライバの危険状態を判定するドライバ危険状態判定手段をさらに備え、ドライバ危険状態判定手段によって車両のドライバが危険状態であると判定されたことを解除条件とするようにすることができる。
このように、車両のドライバが危険状態であると判定されたことを解除条件とすることにより、危険状態にあるドライバをいち早く車両から外に出することができる。したがって、その分素早くドライバの救助を行うことができる。
あるいは、車両はエンジンを搭載しており、車両の停止状態を保持する車両停止保持装置と、車両停止保持装置の故障を検出する故障検出手段と、故障検出手段によって、車両停止保持装置の故障が検出された場合に、車両のエンジンを停止させる停止制御手段と、をさらに備えるようにすることができる。
このように、車両停止保持装置の故障が検出された場合に、車両のエンジンを停止させることにより、緊急停止している車両の不意の動き出しを防止することができる。
さらに、車両のエンジンが停止したことを解除条件とし、無効化解除情報として、車両の停止維持方法および車両の発進方法のうちの少なくとも一方をガイドするようにすることができる。
このように、車両のエンジンが停止したことを解除条件とし、無効化解除情報として、車両の停止維持方法や車両の発進方法をガイドすることにより、車両の不意な動きだしを防止した状態で車両の操作を行うことができる。
また、解除条件が成立した場合に、車両におけるシート位置およびステアリング位置の少なくとも一方を、ドライバが乗降しやすい位置に移動させるようにすることができる。
このように、解除条件が成立した場合に、シート位置やステアリング位置を、ドライバが乗降しやすい位置に移動させることにより、ドライバの救助にかかる負担を軽減することができる。
さらに、解除条件が成立した場合に、車両のウィンドウを開放するようにすることができる。
このように、解除条件が成立した場合に、車両のウィンドウを開放することによっても、ドライバの救助にかかる負担を軽減することができる。
また、解除条件が成立した場合に、車両の室内灯を点灯させるようにすることができる。
このように、解除条件が成立した場合に、車両の室内灯を点灯させることによっても、ドライバの救助にかかる負担を軽減することができる。
本発明に係る緊急退避支援装置によれば、車両を強制停止させた後に、ドライバの救助を安全かつスムーズに行うことができる。
緊急退避支援装置の態様を示すブロック構成図である。 ドライバの意識低下状態と緊急退避支援装置の作動概要を示すタイムチャートである。 緊急退避支援装置の動作手順を示すフローチャートである。 救助支援の手順を示すフローチャートである。 図4に続く救助支援の手順を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
図1は、本発明の実施形態に係る緊急退避支援装置の機能構成を示すブロック図である。緊急退避支援装置Mは、車両の走行を緊急的に中断し、車両を所定の退避位置に退避させて停止させる装置である。緊急退避支援装置Mは、車両に搭載されており、図1に示すように、環境情報検出部1、車両情報検出部2、ドライバ状態認識装置3、および判定処理ECU(Electronic Control Unit)4を備えている。また、緊急退避支援装置Mは、運転支援HMI(Human Machine Interface)5、各種運転支援システム6、および各種走行制御装置7を備えている。
緊急退避支援装置Mにおける環境情報検出部1は、GPS(Global Positioning System)11、車載通信機12、および前方センサ・後側方センサ13を備えている。さらに、環境情報検出部1は、ナビゲーションシステム14、および白線認識カメラ15を備えている。
GPS11は、複数のGPS衛星からの信号をGPS受信機で受信し、各受信信号の相違から車両の位置を測位する。また、GPS11は、測位した車両の位置に関する車両位置情報を判定処理ECU4に送信する。車載通信機12は、他車両との車車間通信や、光ビーコン等の路側インフラストラクチャとの路車間通信を行う通信機である。車載通信機12は、他車両や路側インフラストラクチャとの間の通信で得られた通信情報を判定処理ECU4に送信する。
前方センサ・後側方センサ13は、車両の周辺における歩行者、自転車、二輪車、車両などの移動体の位置や速度および走行路の路側などに設けられる店舗等の施設の位置を検出している。前方センサ・後側方センサ13は、たとえばミリ波レーダ、超音波ソナーによって構成されており、検出した移動体の位置や速度および施設の位置に関する周辺情報を判定処理ECU4に送信する。
さらに、前方センサ・後方センサ13は、車両が緊急停止した際に、車両の周囲にいる人を検出する。前方センサ・後方センサ13は、車両の周囲にいる人を検出した場合に、人検出情報を判定処理ECU4に送信する。前方センサ・後方センサ13は、本発明の人検出手段を構成する。また、人の検出にあたっては、車両の周辺をカメラで撮像した差異の画像を画像処理することによって人の検出を行うこともできるし、マイクで集音された音声に基づいて人の検出を行うこともできる。人の検出手段としては、これらの手段および適宜他の手段を用いることができる。
ナビゲーションシステム14は、GPS11により取得された車両の位置情報と、所定の記憶部に記憶された地図情報とを用いて、車両の経路案内を行う手段である。ナビゲーションシステム14は、経路案内に関するナビゲーション情報を判定処理ECU4に送信する。
白線認識カメラ15は、車両に搭載された撮像手段によって撮像した車両の周囲の画像から、車両が走行する車線の白線を認識する。白線認識カメラ15は、認識した白線に関する白線情報を判定処理ECU4に送信する。なお、環境情報検出部1から判定処理ECU4に送信される車両位置情報、通信情報、周辺情報、ナビゲーション情報、および白線情報を総称して環境情報ということがある。
車両情報検出部2は、車両の走行状態を検出する各種センサとして、舵角センサ21、車速センサ22、および加速度センサ23を備えている。舵角センサ21は、車両のステアリング角を検出している。舵角センサ21は、検出した車両のステアリング角に関するステアリング角情報を判定処理ECU4に送信する。
また、車速センサ22は、車軸の回転速度を検出することによって、車両の車速を検出している。車速センサ22は、検出した車両の車速に関する車速情報を判定処理ECU4に送信する。さらに、加速度センサ23は、車両の加速度を検出しており、検出した加速度に関する加速度情報を判定処理ECU4に送信する。なお、ステアリング角情報、車速情報、および加速度情報を総称して車両情報ということがある。
ドライバ状態認識装置3は、車両のドライバの状態を認識する装置であり、たとえば車両のドライバが居眠りや発作等による意識低下状態であるか否かを認識している。生理計測装置31、視線・顔向き計測装置32、着座センサ33、およびドライバ状態認識部34を備えている。
生理計測装置31は、車両のドライバの心拍数、脈拍数、呼吸リズム等を計測しており、これらの計測結果に基づいてドライバの生理状態を検出している。生理計測装置31は、検出したドライバの生理状態に関するドライバ生理状態情報をドライバ状態認識部34に出力する。
視線・顔向き計測装置32は、ドライバの頭部をカメラで撮像し、撮像した画像から、眼球、顔の動き等を検出し、その検出結果に基づいてドライバの視線および顔向きを検出している。視線・顔向き計測装置32は、検出したドライバの視線および顔向きに関するドライバ視線情報をドライバ状態認識部34に出力する。
着座センサ33は、ドライバが着座するシートに設けられており、ドライバがシートに着座しているか否かといった情報や、着座している場合の着座位置などのドライバの着座状態を検出している。着座センサ33は、検出したドライバの着座状態情報をドライバ状態認識部34に出力する。
ドライバ状態認識部34は、生理計測装置31から出力された生理状態情報、視線・顔向き計測装置32から出力されたドライバ視線情報、および着座センサ33から出力された着座状態情報に基づいて、ドライバ状態を認識する。ここでのドライバ状態は、ドライバが正常に運転操作を行うことができるか否かの状態である。たとえば、生理状態における心拍数や脈拍数が所定のしきい値以上となったり、ドライバ視線情報から得られるドライバの視線移動の回数が所定のしきい値以上となったりした場合に、ドライバが意識低下状態となったと認識する。ドライバ状態認識部34は、認識したドライバ状態に関するドライバ状態情報を判定処理ECU4に送信する。ドライバ状態認識装置3は、本発明のドライバ危険状態判定手段を構成する。
判定処理ECU4は、緊急退避支援装置Mを統括して制御し、緊急退避支援を実行する。判定処理ECU4は、ドライバ状態認識部34から送信されたドライバ状態情報に基づいて、ドライバ状態が意識低下状態であるか否かを判断する。その結果、ドライバ状態が意識低下状態であると判断した場合には、車両の緊急退避制御を行うとともに、ドライバの運転操作の一部を無効化する。ここで無効化される操作としては、シフト変更操作、発進操作などが含まれる。また、緊急退避制御によって車両が停止した後は、車両の停止状態を保持する停止保持制御を行う。
判定処理ECU4は、緊急退避制御を行うにあたり、緊急退避を行う態様に関する緊急退避制御情報を運転支援HMI5および各種運転支援システム6に送信する。また、判定処理ECU4は、運転操作の一部を無効化するにあたり、無効化情報を運転支援HMI5および各種運転支援システム6に送信する。判定処理ECU4は停止している車両における操作の一部を無効化する無効化制御手段を構成する。
また、判定処理ECU4は、車両が停止保持制御されているときにドライバが不意に車両の外に放り出されないように、ドアロックされてドアの開閉操作を抑制するとともに、ウィンドウを閉鎖する制御を行う。さらに、ドアやウィンドウを開放させる操作が無効化され、ドライバが不意にこれらの操作を行ってしまった場合でも、ドアやウィンドウが閉じた状態を維持している。
また、判定処理ECU4は、前方センサ・後方センサ13から人検出情報が送信された場合に、周囲の人に対して、ドアロックを無効化する方法をガイドする。さらに、停止保持制御が行われている間に車外の救助者等がドアの開放要求操作を行った場合、たとえば開放要求操作としてドアノブを引く動作を行った場合、無効化されたドアを開放させる操作の無効化を解除する。ドアノブを引くことにより、本発明の車両に関連する車両関連情報に基づく解除条件が成立し、ドアロックを解除する。判定処理ECU4では、無効化解除を行った際には、解除を行った態様に応じた無効化解除情報を運転支援HMI5に送信する。
また、停止保持制御が行われている車両からドライバを救出した後、車両を通行の妨げとならないような場所に移動させることがある。このため、救助者などが車両に乗り込み、シフト操作を行うことにより、シフト変更操作の解除条件が成立し、無効化されていた車両の運転操作のうちのシフト変更操作の無効化を解除する。また、ブレーキペダルを操作する制動操作を行うことにより、発進操作の解除条件が成立し、無効化されていた車両の発進操作の無効化を解除する。さらには、判定処理ECU4は、解除を行った無効化の種類に応じた無効化解除情報を運転支援HMI5および各種運転支援システム6に送信する。
運転支援HMI5は、ディスプレイ51、スピーカ52、灯火・表示類53、システム起動/解除スイッチ54、かくしスイッチ55、およびドア開放スイッチ56を備えている。運転支援HMI5は、判定処理ECU4から送信された緊急退避制御情報に基づいて、ディスプレイ51、スピーカ52、および灯火・表示類53の各インターフェイスを作動させる。
ディスプレイ51は、たとえば車両における車室内に設けられており、緊急退避制御情報および無効化情報の内容に応じた各種情報を表示してガイドする。スピーカ52は、たとえば車両における車室内に設けられており、緊急退避制御情報および無効化情報の内容に応じた各種情報を音声でアナウンスしてガイドする。各種灯火・表示類53としては、左右ウィンカやハザードランプ等が備えられており、緊急退避制御情報に応じて点灯・点滅状態が制御される。運転支援HMI5は、無効化された操作の無効化を解除するための無効化解除情報をガイドするガイド手段を構成する。
システム起動/解除スイッチ54は、ドライバの手が届く位置に設けられたスイッチであり、緊急退避支援装置Mによる緊急退避制御を開始するためのスイッチである。システム起動/解除スイッチ54は、解除状態のときに、主にドライバの操作によって押下されて起動状態となり、起動状態のときに、主にドライバの操作によって押下されて解除状態となる。システム起動/解除スイッチ54がON状態となると、システム起動/解除スイッチ54は緊急退避制御の開始を示す緊急退避開始信号を判定処理ECU4に送信する。一方、システム起動/解除スイッチ54がOFF状態となると、システム起動/解除スイッチ54は緊急退避制御の解除を示す緊急退避解除信号を判定処理ECU4に送信する。
かくしスイッチ55は、通常時にはドライバの操作が行われないような位置に設けられている。かくしスイッチ55が設けられる位置は、たとえばエアバッグが展開する前はエアバッグに隠れて車室の表面に露出しておらず、エアバッグの展開によって初めてドライバの手が届く位置とされている。特に、エアバッグ展開前はカバー等に覆われて隠されており、エアバッグが展開することによりカバーが外れて露出するものとされる。
かくしスイッチ55が操作されてON状態となると、判定処理ECU4に対してかくしスイッチ信号が送信される。判定処理ECU4では、停止保持制御が行われている最中にかくしスイッチ信号が送信されたときに、停止保持制御を無効化するとともに、停止保持制御が無効化されたことがアナウンスによってガイドされる。
ドア開放スイッチ56は、ドアを開放させる操作が無効化されているときに、その無効化を解除するスイッチである。ドア開放スイッチ56は、たとえば車両におけるドアノブの近傍位置に設けられており、車両の外側にいる救助者が操作可能となる位置に設けられている。ドア開放スイッチ56が操作されることにより、ドア開放情報が判定処理ECU4に送信され、ドアロックが解除される。
車両には、各種運転支援システム6として、ACC(Adaptive Cruise Control)61、PCS(Pre-Crash Safety system)62、LKA(Lane Keeping Assist)63、およびVSC(Vehicle Stability Control)64が設けられている。各種運転支援システム6は、判定処理ECU4から送信された緊急退避制御情報および無効化情報に基づいて、車両の走行を終了させて極力安全に車両を停止させるとともに、ドライバの救助を極力容易に行うことができるように車両の制御態様を決定する。また、無効化解除情報が送信された場合には、無効化された運転操作の無効化を解除する。各種運転支援システム6は、車両の制御態様が決定したら、決定した制御態様に応じた車両制御情報を各種走行制御装置7に送信する。
車両には、各種走行制御装置7として、ブレーキ制御部71、アクセル制御部72、ステアリング制御部73、およびパーキングブレーキ制御部74が設けられており、各種運転支援システム6から送信される車両制御情報に基づいて、車両の走行制御を行う。ここでの車両の走行制御としては、インテリジェントパーキングシステム(IPA:intelligent parking assist)による制御が行われる。
その他には、電子制御ブレーキシステム(ECB:Electric Control Brakingsystem)や電動パーキングブレーキ制御装置(EPB:Electronic Parking Brake)による制御が行われる。これらの各種走行制御装置7は、本発明車両の停止状態を保持する車両停止保持装置を構成し、車両が緊急停止した場合には、車両の停止保持制御を行う。
また、車両には、停止保持装置の作動状態を監視し、これらのシステムの故障を検出する故障検出手段が設けられている。故障検出手段は、停止保持装置の故障を検出した場合に、故障情報を判定処理ECU4に送信する。判定処理ECU4は、故障検出手段から故障情報を受信した場合に、車両のエンジンを停止させる停止制御を行う。判定処理ECU4は、本発明の停止制御手段を構成する。
本実施形態に係る緊急退避支援装置Mでは、車両を運転するドライバの意識低下が生じた場合に、車両を緊急停止させる支援を行う。たとえば、図2に示すように、ドライバの意識が徐々に低下している場合、ドライバの意識が所定のしきい値を下回った場合に、緊急退避支援を行う。
緊急退避支援を行う際には、最初に事前説明を行った後、ドライバに主権委譲の判断について、ドライバの同意確認を行う。この時点で、ドライバの運転操作の一部が無効化される。たとえば、ドライバがアクセルペダルを踏んだ場合でも、車両が所定の速度以上とならないように制御される。
主権委譲についての同意を確認できた場合には、ドライバの運転操作を全面的に受け付けず、車両を停止させるための減速制御を行う。このとき、ドライバに対して、減速制御を行っている旨の状況説明を行う。一方、緊急退避支援が開始された以後は、適宜車両の周囲に対して適宜報知、通報が行われる。
その後、車両が停止したときに停止状態を保持する停止保持制御が行われる。停止保持が行われている間、ドライバに対して事後説明を行う。また、本実施形態では、停止保持が行われている間に、車両の停止状態を判断し、車両の停止状態が不適切状態である場合には、車両の停止状態を修正する。
次に、本発明の実施形態に係る緊急退避支援装置の動作について説明する。図3は、本実施形態に係る緊急退避支援装置の動作手順を示すフローチャートである。図3に示すように、本実施形態に係る緊急退避支援装置Mにおいては、環境情報検出部1において検出した環境情報および車両情報検出部2で検出した車両情報を取得する(S11)。
次に、ドライバ状態認識装置3において、車両を運転するドライバのドライバ状態を取得する(S12)。ドライバ状態認識装置3は、認識したドライバ状態を判定処理ECU4に送信する。続いて、判定処理ECU4において、ドライバ状態認識装置3から送信されたドライバ状態に基づいて、ドライバが意識低下状態にあるか否かを判断する(S13)。
その結果、ドライバが意識低下状態にないと判断した場合には、システム起動/解除スイッチ54がONとされているか否かを判断する(S14)。その結果、システム起動/解除スイッチ54がONとされていないと判断した場合には、ドライバに運転を継続する意思があり、通常通り車両の運転を行うことができると判断できるため、緊急退避支援装置における処理を終了する。
一方、ステップS13においてドライバが意識低下状態にあると判断した場合や、ステップS14においてシステム起動/解除スイッチ54をONとされていると判断した場合には、このままドライバによる運転が継続されると、車両に障害物が接触したり、車両が車両走行車線から外れて走行したりする可能性が大きくなってくる。このため、緊急退避支援装置においては、車両を強制停止させる(S15)。車両を強制停止させた後は、車両の停止状態を維持する停止保持制御を行う(S16)。
このとき、車両の走行に関する操作が無効化される。車両の走行に関する操作としては、ステアリング、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバーの操作が挙げられる。また、ドアを開放するためのドア開放動作やウィンドウを開放するためのウィンドウ開放動作も無効化される。
その後、車両の停止保持を継続することができるか否かを判断する(S17)。たとえば、道路が坂道であったり、道路にカントがつけられていたりする場合、前後Gおよび横Gが徐々に大きくなり、車両の停止保持が可能となる勾配のしきい値を超えていることとなる。
また、停止保持制御を行う電子制御ブレーキシステム(ECB)や電動パーキングブレーキ制御(EPB)の故障を故障検出手段が検出し、これらの停止保持制御を行うシステムの故障フラグが成立することがある。このように、車両が停止している道路の勾配が所定のしきい値を超えたり、停止保持制御を行うシステムに故障フラグが成立していたりすると、自車両が停止保持を継続することが難しくなる。
そこで、車両の停止保持を継続することができるか否かを判断において、車両が停止している道路の勾配が所定の勾配しきい値を超えている場合、または停止保持制御を行うシステムの故障フラグが成立している場合には、停止保持を継続することができなくなると判断する。この場合には、エンジンを停止させる(S18)。一方、車両が停止している道路の勾配が所定の勾配しきい値を超えておらず、停止保持制御を行うシステムの故障フラグが成立していない場合には、停止保持制御を継続することができる。したがって、エンジンを停止させることなく、停止保持制御を継続する。
続いて、車室内におけるドライバや他の乗員の救助支援を行い(S19)、緊急退避支援を終了する。次に、救助支援の内容について説明する。図4は、救助支援の手順を示すフローチャートである。図4に示すように、救助支援を行うにあたっては、スピーカ52を通じて、車両を停止保持していることをアナウンスする(S21)とともに、後方に向けたランプ点灯を行う。
アナウンスの内容は、原則的に、車両の停止維持方法を救助者に報知する。具体的には、たとえば、停止維持方法の内容としては、「運転支援システム搭載車両です。停止を継続します。ご注意ください。」などとする。こうして、車両に対して救助者が近づきやすいようにする。
ここでのアナウンス内容は、次のようにして決定することができる。たとえば、壁などの工作物の近くに車両が停止している場合、救助者は、車両がクリープなどで発進すると、車両と工作物との間に挟まれるかもしれないと考えることがある。同様に、車両が対向車線に進入しそうな場合や路外に進入して転覆しそうな場合、対向車両が接近してくる場合などもある。
このため、車両と工作物との間の距離が、接近のしきい値より近い場合には、救助者に与える不安感を解消させるため、アナウンス内容を変更する。同様に、対向車線に進入しそうな場合、路外に進入して転覆しそうな場合、対向車両が接近してくる場合もアナウンス内容を変更する。たとえば、車両の停止位置が対向車線に近い場合には、「この車両は対向車線には進入しませんので、ご安心ください。」といったアナウンス内容を追加する。アナウンス内容の追加は、エアバッグが展開する大きな衝突のほか、エアバッグが展開しないような小さな衝突でも行うようにする。
こうして、自車両の周囲に車両状態をアナウンスしたら、自車両の周囲における人の検出を行う(S22)。それから、人が検出されたか否かを判断し(S23)、人が検出されない場合は、人の検出を継続する。一方、人が検出された場合には、「人が倒れています。ドアを明けて救助してください。」などの救助者に対して救助を促すアナウンスを行う。それから、ドライバが危険状態であるか否かを判断する(S24)。
ドライバが危険状態であるか否かの判断は、ドライバの状態によって判断し、ドライバが負傷していたり、昏睡状態にあったりする場合にはドライバが危険状態にあると判断する。その結果、ドライバが危険状態にあると判断した場合には、いち早く車両のドアを開放できるように、ドア開放の無効化を解除する(S25)。また、ドライバが危険状態にないと判断した場合には、そのまま次のステップに進む。
続いて、ドライバの救助を行いやすいように、ドライバが着座するシート位置やステアリング位置をドライバが乗降しやすい位置に移動させる調整を行う(S26)。シート位置やステアリング位置の調整にあたって、具体的には、ドライバが着座するシートのシートポジションを下げるとともに、ステアリングのチルトを挙げ、テレスコを下げるようにする。こうして、ドライバを移動させるためのスペースを確保することができる。
シート等の位置の調整を行ったら、ドア開放操作の無効化解除方法をアナウンスする(S27)。ドア開放操作の無効化解除方法が、たとえばドアノブの近傍に設けられたスイッチの押下である場合には、「ドアノブのそばにあるスイッチを押してください。」といったアナウンスを行い、ドア開放スイッチ56の操作を促す。
それから、ドア開放スイッチ56が操作され、ドアが開放されたか否かを判断する(S28)。ドアは、救助者が所定の開放動作を行うことにより開放される。その結果、ドアが開放されていないと判断した場合には、ドアが開放されるまで無効化解除情報のアナウンスを継続する。一方、ドアが開放されたと判断した場合には、ウィンドウを開放し(S29)、続いて室内灯を点灯させる(S30)。ウィンドウを開放するとともに室内灯を点灯させることにより、ドライバの救助がしやすくなるようにすることができる。この状態で、必要に応じてドライバの救助を行う。
それから、図5に示すフローに進み、エアバッグが展開しているか否かを判断する(S31)。その結果、エアバッグが展開している場合には、かくしスイッチ55が露出した状態となっている。このため、救助者がかくしスイッチ55を操作できるように、かくしスイッチの位置および機能をアナウンスする(S32)。
続いて、かくしスイッチ55がONされたか否かを判断する(S33)。その結果、かくしスイッチ55がONされたと判断した場合には、シフト操作および発進操作の無効化を解除し(S34)、続いてシフト操作および発進操作の無効化を解除した旨をディスプレイ51に表示するとともに、スピーカ52から出力する(S35)。こうして、救助支援の処理が終了する。
一方、かくしスイッチ55がONされていないと判断した場合は、シフトレバーが操作されたか否かを判断する(S36)。ここで、シフトレバーが操作されていない場合には、ステップS33に戻り、シフト変更操作および発進操作の無効化を維持し、かくしスイッチ55の操作またはシフトレバーの操作があるまで処理を繰り返す。
また、たとえば救助者がシフトレバーを操作することにより、シフトレバーが操作されたと判断した場合には、解除条件が成立したと判断し、シフトレバー操作の無効化を解除するとともに、シフト変更操作の無効化が解除された旨をアナウンスする(S37)。救助者または意識があるドライバは、車両の停止保持が適切な位置で行われていない場合に、車両の移動を試みる。車両を移動させる際には、シフトレバーをローレンジまたはDレンジ等の走行が可能となる位置にシフトさせる。ここで、シフトレバー操作を行った時点で、シフト変更操作が無効化された状態であると、シフトレバーを操作しても所望の動きとならず、シフトレバーを操作した救助者またはドライバがパニックとなることが考えられる。
この点、シフト変更操作の無効化を解除した後、シフト変更操作の無効化を解除した旨をアナウンスし、解除後は通常時と同等の動作で車両を運転することができる旨を説明することにより、救助者またはドライバのパニックを防止することができる。具体的なアナウンス内容は、たとえば「シフト変更が可能な状態です。発進が可能におりました。移動する場合は、普段のようにシフトとパーキングブレーキを解除してください。」とすることができる。
続いて、救助者等によるブレーキペダルの操作があったか否かを判断する(S38)。その結果、ブレーキペダルの操作がないと判断した場合には、ブレーキペダルの操作の判断を継続する。一方、ブレーキペダルの操作があったと判断した場合には、発進操作の無効化の解除方法をアナウンスする(S39)。発進操作の無効化を解除することにより、車両を移動させることができるようになる。発進方法の無効化としては、たとえばシフトレバー操作の無効化が解除された後、ブレーキを踏んだままシフトレバーをシフトさせることとすることができる。この場合、「ブレーキを踏んで、シフトを変えてください。」とアナウンスすることができる。
こうして、救助支援が終了する。救助支援が終了した後、車両を移動させる際には、シフトレバー操作の無効化および発進操作の無効化が解除されているので、救助者等が通常の運転操作によって車両を移動させることができる。そして、通行の妨げとならないような場所に車両を移動させることができる。
このように、本実施形態に係る緊急退避支援装置においては、緊急停止しており、ドアの開放操作などが無効化された車両において所定の解除条件が成立した場合に、無効化解除情報をガイドしている。このため、たとえばドライバの意識が低下している場合でも、車両の周囲における救助者が無効化制御を解除することができる。したがって、たとえばドアロックされてドアの開放が無効化されている場合に、ドアロックの無効化を解除し、ドアの開放などを行うことができるようになるので、ドライバの救助を安全かつスムーズに行うことができる。
また、救助者が車両に乗って通行の妨げとならない場所などに車両を移動させようとする際、通常はまずシフトレバーを操作する。シフトレバーの操作によってシフト変更操作や発進操作などの無効化が解除されるので、救助が終了した後に車両を素早く移動させることができる。
さらに、ドライバが危険状態にあるときは、車両の周囲の救助者を検出した後、ドライバの危険状態を解除条件としてドアロックの解除を行っている。このため、ドライバの安全を確保しながら、素早くドライバを車外に出して救出することができる。このとき、シートポジションやステアリングポジションをドライバの搬出の妨げとなりにくい位置に移動させているので、ドライバの救出をさらにスムーズに行うことができる。
また、車両を停止保持制御している間、停止保持制御を行う電子制御ブレーキシステム(ECB)や電動パーキングブレーキ制御(EPB)が故障していたり、車両が停止している道路の勾配が所定のしきい値を超えていたりした場合に、車両のエンジンを停止している。このため、停止状態にある車両が不意に動き出すことを防止することができる。
1…環境情報検出部、2…車両情報検出部、3…ドライバ状態認識装置、4…判定処理ECU、5…運転支援HMI、6…各種運転支援システム、7…各種走行制御装置、54…システム起動/解除スイッチ、55…かくしスイッチ、56…ドア開放スイッチ、M…緊急退避支援装置。

Claims (11)

  1. 車両の走行を中断し、前記車両を所定の退避位置に退避させて停止させる緊急退避支援を行う緊急退避支援装置であって、
    停止している前記車両における操作の一部を無効化する無効化制御手段と、
    前記車両に関連する車両関連情報に基づく所定の解除条件が成立した場合に、前記無効化制御手段によって無効化された操作の無効化を解除するための無効化解除情報をガイドするガイド手段と、
    を備えることを特徴とする緊急退避支援装置。
  2. 前記車両の周囲における人を検出する人検出手段を備え、
    前記ガイド手段は、前記人検出手段が人を検出した際に、前記無効化解除情報をガイドする請求項1に記載の緊急退避支援装置。
  3. 前記無効化された操作として、前記車両のドアの開閉操作が含まれており、
    前記ガイド手段は、前記車両の外側から前記ドアの開放要求が行われたことを前記解除条件とし、前記無効化解除情報として、前記ドアの開閉操作の無効化解除方法をガイドする請求項1または請求項2に記載の緊急退避支援装置。
  4. 前記無効化された操作として、前記車両のシフト変更操作が含まれており、
    前記ガイド手段は、前記車両のシフト操作が行われたことを前記解除条件とし、前記無効化解除情報として、前記シフト変更操作の無効化解除をガイドする請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載の緊急退避支援装置。
  5. 前記無効化された操作として、前記車両の発進操作が含まれており、
    前記ガイド手段は、前記車両の制動操作が行われたことを前記解除条件とし、前記無効化解除情報として、前記発進操作の無効化解除をガイドする請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載の緊急退避支援装置。
  6. 前記車両のドライバの危険状態を判定するドライバ危険状態判定手段をさらに備え、
    前記ドライバ危険状態判定手段によって前記車両のドライバが危険状態であると判定されたことを前記解除条件とする請求項1〜請求項5のうちのいずれか1項に記載の緊急退避支援装置。
  7. 前記車両はエンジンを搭載しており、
    前記車両の停止状態を保持する車両停止保持装置と、
    前記車両停止保持装置の故障を検出する故障検出手段と、
    前記故障検出手段によって、前記車両停止保持装置の故障が検出された場合に、前記車両のエンジンを停止させる停止制御手段と、
    をさらに備える請求項1〜請求項6のうちのいずれか1項に記載の緊急退避支援装置。
  8. 前記車両のエンジンが停止したことを前記解除条件とし、前記無効化解除情報として、前記車両の停止維持方法および前記車両の発進方法のうちの少なくとも一方をガイドする請求項1〜請求項7のうちのいずれか1項に記載の緊急退避支援装置。
  9. 前記解除条件が成立した場合に、前記車両におけるシート位置およびステアリング位置の少なくとも一方を、ドライバが乗降しやすい位置に移動させる請求項1〜請求項8のうちのいずれか1項に記載の緊急退避支援装置。
  10. 前記解除条件が成立した場合に、前記車両のウィンドウを開放する請求項1〜請求項9のうちのいずれか1項に記載の緊急退避支援装置。
  11. 前記解除条件が成立した場合に、前記車両の室内灯を点灯させる請求項1〜請求項10のうちのいずれか1項に記載の緊急退避支援装置。
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