JP2016034810A - 車両制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】より一層の安全性が得られるように、車両を制御することが可能な車両制御装置を提供すること。
【解決手段】処理装置18は、車両の進行方向と運転者の視線方向とのずれ角や、運転者の眠気度合などに基づいて、運転者の運転操作への集中度を推定する。この推定した集中度が、所定レベルよりも低い場合、車両をより安全に走行させるために、処理装置18は、減速制御装置26に車両を減速させるよう指示する。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両が安全に走行できるように、車両を制御する車両制御装置に関する。
従来から、車両を安全に走行させるために、運転者に対して運転支援を行う各種の装置が提案されている。例えば、特許文献1には、衝突可能性判定手段により衝突する可能性があると判定された対象物を運転者が認識したか否かを判定する認識判定手段を備えた装置が開示されている。この装置は、運転者が、衝突する可能性がある対象物を認識していないと判定すると警報を出力するが、認識したと判定すると、警報を出力しないように制御する。これにより、運転者が、不要な警報を受けることがないようにしている。また、衝突の可能性が高まった場合などに、いわゆるブレーキアシスト制御や自動ブレーキ制御を実行して、衝突の回避や衝突時の衝撃の軽減を図る装置も広く知られている。
特開2011−113244号公報
上述した特許文献1の装置は、運転者の顔の向きや視線方向を検出するドライバーモニターを備えている。このドライバーモニターにより、運転者が自車両と衝突する可能性がある対象物を見ていることが検出され、かつ所定のスイッチ操作や音声操作がなされた場合に、その対象物を運転者が認識したと判断するようにしている。
ここで、一般的には、自車両と衝突する可能性がある対象物を検出するために、カメラやレーダーなどのセンシング手段が用いられる。しかしながら、このようなセンシング手段を用いた場合、対象物の検出が遅れて、早期に有効な警告を行い得ないことも考えられる。例えば、車両などが、死角となっている領域から自車両の前方に飛び出してきた場合、センシング手段を用いた検出では、その対象物の大部分が死角領域から検出可能領域に移動するまで、対象物の検出が遅れてしまう虞がある。また、ある対象物に関して、ある時点まで衝突可能性がないと判定していたにも係わらず、その対象物が進行方向を急に変えたことによって衝突の可能性が生じた場合も、その検出が遅れる虞がある。従って、対象物との衝突可能性が生じたときに警報を行うだけでは、車両を安全に走行させるための運転支援としては十分ではない場合もありえる。
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、より一層の安全性が得られるように、車両を制御する車両制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明による車両制御装置(1)は、
車両の走行時に、運転者の運転操作への集中度を推定する集中度推定手段(S110)と、
集中度推定手段によって推定された集中度が、所定レベルよりも低い場合に、車両を減速させる減速制御手段(S170〜S190)と、を備えることを特徴とする。
対象物が死角から飛び出してきたり、進行方向を急に変えたりする状況が発生した場合であっても、運転者の運転操作への集中度が高く、運転者が起こりえる状況を種々想定しながら注意深く運転している場合には、予め速度を落としたり、咄嗟のブレーキ操作やステアリング操作を行ったりすることにより衝突を避けられる可能性も十分にある。
逆に、例えば、車両の走行時に運転者がわき見をしているなど、運転者の運転操作への集中度が低い場合には、危険な状況が生じたときに、運転者自らが効果的に対処することはなんら期待できない。
そこで、本発明による車両制御装置は、運転者の運転操作への集中度が所定レベルよりも低いとみなされる場合には、減速制御手段により、車両を減速させることとした。このように車両を減速させることで、車両の走行速度が低下すると、危険な状況が発生した場合であっても、安全性を確保しやすくなる。さらに、減速度を運転者が十分に気づく大きさとすれば、運転者に運転操作へ集中するよう促すことができ、わき見運転など、集中度が低下した状態での運転操作を止める動機付けを与えることができる。
上記括弧内の参照番号は、本発明の理解を容易にすべく、後述する実施形態における具体的な構成との対応関係の一例を示すものにすぎず、なんら本発明の範囲を制限することを意図したものではない。
また、上述した特徴以外の、特許請求の範囲の各請求項に記載した技術的特徴に関しては、後述する実施形態の説明及び添付図面から明らかになる。
実施形態による車両制御装置の構成の一例を示す構成図である。 図1の車両制御装置において、車両の走行時に、安全性を向上するために実行される一連の制御処理を示すフローチャートである。 車両の進行方向と運転者の視線方向とのずれ角に基づく集中度の算出について説明するための説明図である。 衝突予測時間TTCと集中度Cとの乗算値TTC×Cと、算出される減速度Gとの関係を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による車両制御装置1の構成の一例を示す構成図である。
図1に示すように、車両制御装置1は、車外カメラ10を備えている。車外カメラ10は、例えば、車両の前方を撮影すべく、フロントウインドシールドの内側上部に固定される。そして、車外カメラ10は、定期的に撮影を行うとともに、撮影した画像を障害物検知部12に出力する。なお、車外カメラ10は、単眼カメラであっても、ステレオカメラであっても良い。また、車外カメラ10に代えて、もしくは車外カメラ10とともに、レーザー光やミリ波などを用いて前方障害物を検出するレーダー装置を用いても良い。
障害物検知部12は、車外カメラ10から入力された画像に、パターンマッチング等の画像処理を施すことにより、車両の前方に存在する前方障害物を検出する。なお、検出された前方障害物の内、以前の検出結果を参照して、静止しているものは静止物体、移動しているものは移動物体と認識される。障害物検知部12は、前方障害物の検出結果を処理装置18に出力する。その前方障害物の検出結果には、少なくとも、自車両に対する前方障害物の方位、前方障害物との距離が含まれる。さらに、好ましくは、前方障害物の種類を示す情報が含まれる。
車両制御装置1は、運転席カメラ14を備えている。この運転席カメラ14は、車室内の運転席を撮像できる位置(例えば、運転席正面のダッシュボード内)に設置されている。運転席カメラ14は、運転席に座っている運転者を定期的に撮影する。撮影された画像は、視線検知部16に出力される。
視線検知部16は、運転席カメラ14によって撮影された画像において、運転者の頭部(顔)の向きや眼球の向きを画像解析し、その解析結果に基づき、運転者の視線方向を検出する。なお、視線検知部16は、簡易的に、運転者の顔の向きを、視線方向として検出しても良い。さらに、視線方向は、水平方向(左右方向)の動きとして2次元的に求めても良いし、水平方向及び上下方向の動きとして3次元的に求めても良い。
また、視線検知部16は、運転者の瞼の開度や動きに基づき、運転者の眠気度合を推定する。例えば、視線検知部16は、運転者の瞼の開度、瞼が閉じている継続時間及び時間割合、瞬きの回数などから、運転者の眠気度合を推定することができる。視線検知部16によって検出、推定された運転者の視線方向、及び運転者の眠気度合は、処理装置18に出力される。
処理装置18には、上述した障害物検知部12による検出結果、及び視線検知部16による運転者の視線方向及び眠気度合に加え、車両情報取得部20、地図情報記憶部22、及び現在位置センサ24から各種の情報が入力される。
車両情報取得部20は、例えば、他の制御装置と通信を行う通信インターフェースからなる。この車両情報取得部20は、処理装置18が必要とする車両情報(車速や操舵角など)を保有している他の制御装置と通信を行い、その車両情報を取得する。また、車両情報取得部20は、必要な車両情報を検出する各種のセンサ(車速センサ、操舵角センサなど)であっても良い。
地図情報記憶部22は、道路地図データを記憶している。この道路地図データは、道路形状に加え、高速道路、一般道路などの道路種別や、道路幅のデータを含んでいる。現在位置センサ24は、例えば、衛星からの電波に基づいて自装置の位置を検出するGNSS(Global Navigation Satellite System)で用いられるGNSS受信機を備えている。現在位置センサ24は、GNSS受信機が受信した信号に基づいて、現在位置を検出する。なお、車両が、ナビゲーション装置を備えている場合には、処理装置18は、ナビゲーション装置から、地図情報及び現在位置情報を取得しても良い。
処理装置18は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータからなり、CPUが、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに記憶されているプログラムを実行することで、車両の走行時に、安全性を向上するための処理を実行する。例えば、処理装置18は、入力された各種の情報に基づいて、運転者の運転操作への集中度を推定する。この推定した集中度が、所定レベルよりも低い場合、車両をより安全に走行させるために、減速制御装置26に車両を減速させるよう指示する。
つまり、運転者の運転操作への集中度が低い場合には、車両前方への飛び出しなど危険な状況が生じたときに、運転者自らが効果的に対処することは期待できないので、減速制御装置26により車両を減速させる。このように車両を減速させることで、車両の走行速度が低下すると、危険な状況が発生した場合であっても、安全性を確保しやすくなる。さらに、減速度を運転者が十分に気づく大きさとすれば、運転者に運転操作へ集中するよう促すことができ、集中度が低下した状態での運転操作を止める動機付けを与えることができる。
減速制御装置26は、処理装置18から減速指示を受けたときに、車両を減速させるものである。処理装置18の減速指示には、目標とする減速度が含まれている。減速制御装置26は、車両の実際の減速度が目標減速度に一致するように、車両を減速させる。減速制御装置26は、例えば、リンクレススロットルバルブの開度や、燃料噴射量や点火時期を制御することにより、たとえ運転者がアクセルペダルを踏み続けていたとしても、車両のエンジン出力を低下させたり、各車輪に設けられたブレーキ装置を作動させることによって制動力を発生させたりすることにより、車両の実際の減速度を目標とする減速度に一致させる。
次に、処理装置18において実行される処理について、図2のフローチャートを参照して詳しく説明する。図2のフローチャートに示す処理は、車両が走行しているときに繰り返し実行されるものである。つまり、処理装置18は、車両情報の1つとして車速を取得し、この車速が所定速度以上であり、車両が走行しているとみなせる場合に、図2のフローチャートに示す処理を実行する。
まず、ステップS100において、処理装置18は、視線検知部16から、運転者の視線方向を取得する。次いで、ステップS110において、車両の進行方向と運転者の視線方向とのずれ角θから、運転者の運転操作への集中度Cを算出する。なお、車両の進行方向は、車両情報取得部20により取得される車速と操舵角とに基づいて算出される。この車両の進行方向と運転者の視線方向とのずれ角θに基づく集中度Cの算出に関して、図3を参照して説明する。
図3(a)は、車両が直進している場合を示している。ここで、車両を安全に走行させるためには、運転者は、その進行方向の状況に常に注意を払う必要がある。そのため、運転者の視線方向が、車両の進行方向を向いている場合には運転操作への集中度Cが高く、逆に、進行方向からずれている場合には運転操作への集中度Cが低いと考えることができる。
そこで、本実施形態では、まず、車速と操舵角とに基づき、車両の進行方向を算出する。例えば、操舵角が略ゼロである場合には、図3(a)に示すように、車両の進行方向は直進方向であると算出される。そして、ステップS100にて取得された運転者の視線方向と、車両の進行方向とのずれ角θが算出される。このとき、運転者の視線方向が、車両の進行方向からずれている場合、集中度Cは、そのずれ角θの余弦値(つまり、cosθ)として算出される。従って、集中度Cは、ずれ角θが大きくなるほど、小さな値として算出される。なお、ずれ角θが90°以上である場合(例えば、車両の直進時に、運転者が車両の真横から後方を向いている場合)、余弦値はマイナスの値となるが、集中度Cはゼロとして算出される。
図3(b)は、車両が旋回している場合を示している。車両が旋回している場合の車両の進行方向は、例えば、次のようにして算出することができる。すなわち、車速と操舵角とに基づいて、所定時間後(例えば3秒後)の自車両の位置を算出する。そして、現在の自車両の位置から所定時間後の自車両の位置へ向かう方向を、車両の進行方向として算出する。その後は、図3(a)の場合と同様に、車両の進行方向を基準として、運転者の視線方向とのずれ角θを求め、そのずれ角θの余弦値から集中度Cを算出する。
なお、図2のステップS110には、運転者の視線方向と車両の進行方向とのずれ角θに基づいて集中度Cを算出することしか示していないが、同時に、視線検知部16から入力された眠気度合に基づく集中度C1を算出しても良い。眠気度合に基づく集中度C1は、例えば、眠気度合と反比例する関係に従い、すなわち、眠気度合の逆数として算出することができる。
そして、この眠気度合に基づく集中度C1も加味して、最終的な運転者の集中度を算出しても良い。運転者の視線方向が車両の進行方向を向いていたとしても、運転者の眠気度合が高い場合、運転者の運転操作への集中度は高いとはいえないためである。眠気度合に基づく集中度C1を加味する手法としては、例えば、ずれ角θに基づく集中度Cと眠気度合に基づく集中度C1とのいずれか小さい方を選択しても良いし、それぞれの集中度C、C1を加算したり、乗算したりしても良い。このようにすれば、眠気度合に基づく集中度C1が低い場合、最終的に算出される運転者の集中度も相対的に低くなる。
なお、上述した例では、運転者の瞼の開度や動きに基づき、運転者の眠気度合を推定したが、眠気度合を推定するときに、運転者の瞼の開度や動きに加えて、他のパラメータを考慮しても良いし、運転者の瞼の開度や動き以外の他のパラメータから推定しても良い。
例えば、運転者の心拍数を検出する心拍センサを設け、心拍数及び心拍ゆらぎの高周波成分を考慮して、運転者の瞼の開度や動きに基づいて推定した眠気度合を補正しても良いし、心拍数及び心拍ゆらぎの高周波成分のみから眠気度合を推定しても良い。なお、眠気の兆候が現れると、交感神経活動が亢進状態から抑制状態に変化するため、心拍数が低下し、さらに眠気が強くなると、交感神経活動は抑制状態のまま、副交感神経活動が亢進状態に変化するため、心拍ゆらぎの高周波成分が上昇することが知られている。このように、心拍数、及び心拍ゆらぎの高周波成分から運転者の眠気度合を推定することができる。
あるいは、運転席に荷重センサを設け、その荷重センサによって検出される運転者席の座面における重心移動を、運転者の眠気度合を推定するために用いても良い。運転者に眠気が生じる場合、通常、運転者は、座席に深くもたれかかり、かつ運転者の座面における重心移動が小さくなる傾向があるためである。
続くステップS120では、算出した集中度Cと閾値Tとを比較し、集中度Cが閾値Tよりも大きいか否かを判定する。閾値Tは、運転者が、周囲の環境や、状況の変化に対して迅速かつ適格な運転操作を行いえる集中度Cを保持しているか否かを判定するためのものであり、実験的に定められる値である。ステップS120において、集中度Cが閾値Tよりも大きいと判定された場合、運転者は、十分な注意力を持って運転操作を行いえるとみなすことができるので、車両を減速させることなく、ステップS100の処理に戻る。一方、集中度Cが閾値T以下であると判定された場合、ステップS130の処理に進む。
なお、ステップS120において、単に集中度Cと閾値Tとの大小関係を判定するのではなく、時間的な要素を加味して、運転者が十分な集中度Cを保持しているか否かを判定しても良い。具体的には、図2のフローチャートに示す処理が繰り返し実行される中で、集中度Cが閾値T以下である状態が、所定時間(例えば、1秒)継続した場合に、ステップS120において否定判定が行われるようにしても良い。
運転者が相当な集中度を持って運転操作を行う場合、運転者は、周囲の状況を確認するため、短時間ではあるが、バックミラーやサイドミラーに視線を移したり、直接、進行方向以外の方向に視線を移したりすることがある。このような場合に、単に集中度Cと閾値Tcとの大小関係を判定するだけであると、周囲確認のための視線移動により集中度が低下したと判定されかねない。そのため、本実施形態のように、運転者の視線方向に基づいて、運転操作への集中度Cを求める場合、時間的な要素を加味して、運転者が十分な集中度Cを保持しているか否かを判定することが好ましい。
ステップS130では、障害物検知部12による検出結果における前方障害物の方位から、自車両の進路上に存在する前方障害物を特定し、その特定した前方障害物との距離Dを取得する。さらに、ステップS140では、特定した前方障害物との距離Dの時間的変化から、自車両と前方障害物との相対速度Vを算出する。そして、ステップS150において、前方障害物との距離D及び前方障害物との相対速度Vを用いて、その前方障害物と衝突することが予測されるまでの残り時間である衝突予測時間TTC(Time To Collision)を計算する。なお、自車両の前方に障害物が存在しない場合、衝突予測時間TTCは、所定の上限値として算出される。
続くステップS160では、計算した衝突予測時間TTCが、所定の閾値TTTCよりも大きいか否かを判定する。このステップS160において、衝突予測時間TTCが所定の閾値TTTC以下であると判定された場合、ステップS170の処理に進み、衝突予測時間TTCが所定の閾値TTTCよりも大きいと判定された場合、ステップS180の処理に進む。なお、ステップS160での判定は、前方障害物との衝突予測時間TTCではなく、単なる前方障害物との距離Dに基づいて行われても良い。
ステップS170に処理が進んだ場合、前方障害物との衝突予測時間TTCが閾値TTTC以下であり、衝突する可能性がある障害物が自車両から相対的に近い範囲に存在している状況である。そのため、ステップS170では、自車両を相対的に高い減速度で減速させるべく、目標とする減速度Gを以下の数式1により算出する。
(数1)
G=b/(TTC×C) (TTC×C>閾値GTb)
G=Gb (TTC×C≦閾値GTb)
つまり、図4に示すように、衝突予測時間TTCと集中度Cとの乗算値TTC×Cと、減速度Gとが反比例するように、衝突予測時間と集中度Cとに基づき、減速度Gを算出する。これにより、衝突予測時間TTCが相対的に長い、あるいは、集中度Cが相対的に高い場合には、減速度Gが相対的に低い値となる。逆に、衝突予測時間TTCが相対的に短い、あるいは、集中度Cが相対的に低い場合には、減速度Gが相対的に高い値となる。これにより、前方障害物との衝突予測時間TTC及び運転者の集中度Cに対して、適切な減速度Gを定めることができる。
ただし、本実施形態では、減速度Gが過度に高い値に設定されることを避けるため、減速度Gに対して上限減速度Gbを設定している。そして、衝突予測時間TTCと集中度Cとの乗算値TTC×Cに基づいて算出される減速度Gが、その上限減速度Gbとなるポイントを閾値GTbとし、乗算値TTC×Cが閾値GTb以下である場合には、減速度Gを上限減速度Gbに設定する。
ステップS180に処理が進んだ場合も、基本的にはステップS170の場合と同様の考え方で、目標とする減速度Gを算出する。すなわち、ステップS180では、減速度Gを以下の数式2により算出する。
(数2)
G=a/(TTC×C) (TTC×C>閾値GTa)
G=Ga (TTC×C≦閾値GTa)
上記のように、減速度Gを求める数式の形は、数式1と数式2とで同様である。但し、ステップS180に進んだ場合、前方障害物は自車両から相対的に遠い範囲に存在しているか、もしくは、存在していないので、数式2の定数aは、数式1の定数bよりも小さい値に設定される(a<b)。また、上限減速度に関しても、数式2の上限減速度Gaは、数式1の上限減速度Gbよりも小さい値に設定される(Ga<Gb)。
このため、同じ乗算値TTC×Cに対して算出される減速度Gの大きさは、数式2の場合よりも数式1の場合の方が大きくなる。これにより、ステップS160において、前方障害物との衝突予測時間TTCが閾値TTTC以下と判定された場合には、衝突予測時間TTCが閾値TTTCより大きいと判定された場合に比較して、より大きな減速度を設定することができるようになる。この結果、運転者は、その設定した減速度で車両を減速させた場合、その減速に即座に気付くので、運転者に運転操作へ集中するよう促すことができる。
逆に、前方障害物との衝突予測時間TTCが閾値TTTCより大きいと判定された場合には、衝突予測時間TTCが閾値TTTC以下であると判定された場合に比較して、より小さな減速度を設定することができる。このため、運転者に違和感などを生じさせることを抑えつつ、車両を減速することができ、その結果、安全性の向上を図ることができる。
最後に、ステップS190では、減速制御装置26に対して、算出した減速度Gを与えつつ、減速の実行を指示する。これにより、減速制御装置26は、車両の実際の減速度が、与えられた減速度Gに一致するように、車両を減速制御する。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
例えば、上述した実施形態では、車両の進行方向と運転者の視線方向とのずれ角や、運転者眠気度合から、運転者の運転操作への集中度を算出する例について説明した。しかしながら、運転者の運転操作への集中度を推定する手法は、上述した手法に限られるものではない。
例えば、運転者が、車両に搭載された各種の車載装置(ナビゲーション装置、オーディオ装置、エアコン装置など)を操作している場合、仮に視線方向は車両の進行方向を向いていたとしても、注意力は分散しており、運転操作への集中度は低下している状況といえる。そのため、処理装置18は、他の車載装置から、それら他の車載装置に対して運転者が操作を行っていることを示す操作中情報を取得するように構成し、操作中情報の取得時には、運転者の運転操作への集中度を低い値として算出するようにしても良い。
また、運転者の運転操作への集中度が低下すると、結果的に、運転操作が不適切になりやすく、そのため、車両の左右方向へのふらつきや、加減速が繰り返されるなどの現象が現れることがある。そのため、車両の左右及び前後方向への動きを加速度センサなどによって検出したり、運転者のステアリング操作の速度や頻度、アクセルペダル開度の変化率の推移などを各センサによって検出したりして、その検出結果から、運転者の運転操作への集中度を算出するようにしても良い。
さらに、運転者の運転操作への集中度は、視線方向、眠気度合、車載機器の操作中情報、車両挙動、運転者の運転操作状態などの複数のパラメータから総合的に求めても良いし、少なくとも1つのパラメータから求めても良い。
また、上述した実施形態では、車両の進行方向を車速と操舵角とに基づいて算出する例について説明したが、車両の進行方向は、他の手法によって求めることも可能である。例えば、地図情報記憶部22により提供される道路地図情報と、現在位置センサ24によって検出される車両の現在位置とに基づき、現在位置から車両の進行方向に伸びる道路形状から、車両の進行方向を定めても良い。
また、上述した実施形態では、衝突予測時間TTCと集中度Cとの乗算値TTC×Cから目標とする減速度Gを算出する例について説明したが、減速度Gは、車両が走行する道路種別(例えば、高速道路と一般道路)を考慮して設定しても良い。例えば、高速道路において大きな減速度で車両を減速させると、後続車両が追突する虞が生じる。そのため、車両が高速道路を走行中である場合には、最大でも追突が生じる虞のない減速度以下の減速度となるように、目標とする減速度Gを設定するようにすることが好ましい。
さらに、衝突予測時間TTCと集中度Cとに基づいて、目標とする減速度を算出する場合に、上述した数式1、2に代えて、以下の数式3を採用しても良い。
(数3)
G=a1×{a2(1/TTC)+(1−a2)(1/C)}
G=b1×{b2(1/TTC)+(1−b2)(1/C)}
なお、減速度の上限値を定め、減速度がその上限値以上となった場合、上限値に制限する点は、数式1、2の場合と同様である。
数式3のように、減速度の大きさを定める係数a1、b1に加えて、衝突予測時間TTCの項と集中度Cの項のそれぞれの重み付けを定める係数a2、b2を導入することにより、減速度Gを求める上で、衝突予測時間TTCの項と集中度Cの項とのバランスを調整することが可能となる。この係数a2,b2は固定値であっても、可変値であっても良い。固定値の場合、減速度Gの算出において、適用する車両の特性などに応じた調整の自由度を高めることができる。変動値の場合、例えば衝突予測時間TTCが小さくなるほど、係数a2、b2の値を大きく可変するようにすれば、自車両が置かれた状況に応じて適切な減速度Gを定めやすくなる。
さらに、図2のフローチャートのステップS120において、運転者の運転操作への集中度Cが閾値T以下であることが判定された場合、ブレーキフルードの圧力を、摩擦により制動力を発生させるための可動部の遊び分だけ、当該可動部を移動させるべく、所定圧力まで高めておくようにしても良い。例えば、ブレーキ装置としてディスクブレーキを採用した場合には、ブレーキパッドがブレーキディスクに接触する程度の圧力(3〜5bar)まで、事前にブレーキフルードの圧力を高めておく。
例えば、運転者がわき見をしていて、運転操作への集中度が低下し、その後、運転者が前方に視線を移した時に、即座にブレーキをかける状況であることを認識したとする。この場合、事前にブレーキフルード圧力を高めておくことにより、ブレーキ装置による制動力発生までの時間を短縮することが可能となり、より安全性の向上に寄与することができる。
10 車外カメラ
12 障害物検知部
14 運転席カメラ
16 視線検知部
18 処理装置
20 車両情報取得部
22 地図情報記憶部
24 現在位置センサ
26 減速制御装置

Claims (10)

  1. 車両の走行時に、運転者の運転操作への集中度を推定する集中度推定手段(S110)と、
    前記集中度推定手段によって推定された集中度が、所定レベルよりも低い場合に、前記車両を減速させる減速制御手段(S170〜S190)と、を備えることを特徴とする車両制御装置。
  2. 前記減速制御手段は、所定減速度に従って前記車両を減速させるものであり、前記集中度推定手段によって推定された前記集中度の高さに応じて、前記所定減速度を変化させることを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
  3. 前記減速制御手段は、前記集中度が低い場合、それよりも前記集中度が高い場合に比較して、前記所定減速度を大きく設定することを特徴とする請求項2に記載の車両制御装置。
  4. 前記車両の進行方向前方の障害物を検出する障害物検出手段(10、12)と、
    前記障害物検出手段の検出結果に基づいて、前記障害物との衝突可能性の高さを判定する衝突可能性判定手段(S160)と、を備え、
    前記減速制御手段は、所定減速度に従って前記車両を減速させるものであり、前記衝突可能性が高い場合、それよりも前記衝突可能性が低い場合に比較して、前記所定減速度を大きく設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両制御装置。
  5. 前記車両が走行する道路の種別を判定する道路種別判定手段(18)を備え、
    前記減速制御手段は、所定減速度に従って前記車両を減速させるものであり、前記道路種別判定手段によって判定された道路種別に基づいて、前記所定減速度を変化させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両制御装置。
  6. 前記集中度推定手段は、前記車両の進行方向と、前記運転者の視線方向とのずれの大きさに基づいて、前記運転者の運転操作への集中度を推定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両制御装置。
  7. 前記集中度推定手段は、前記運転者の眠気度合を推定する眠気度合推定手段(16)を有し、前記眠気度合推定手段によって推定される眠気度合から、前記運転者の運転操作への集中度を推定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車両制御装置。
  8. 前記集中度推定手段は、前記運転者が、前記車両に搭載された車載機器の操作中であるかどうかに基づいて、前記運転者の運転操作への集中度を推定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の車両制御装置。
  9. 前記集中度推定手段は、前記運転者の運転操作による前記車両の挙動に基づいて、前記運転者の運転操作への集中度を推定することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の車両制御装置。
  10. 前記集中度推定手段によって推定された集中度が、所定レベルよりも低い場合に、ブレーキフルードの圧力を、摩擦により制動力を発生させるための可動部の遊び分だけ、当該可動部を移動させるべく、所定圧力まで高めておくブレーキ圧力制御手段を備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の車両制御装置。
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