JP2014026332A - 緊急退避支援装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 緊急退避支援を行うにあたり、ドライバの安全性を高めるための調整時間を十分に確保し、緊急退避支援を行う際のドライバの安全性を高めることができる緊急退避支援装置を提供する。
【解決手段】 ドライバが危険状態となったときに車両における緊急退避支援を行うにあたり、ステアリングのチルト角およびシートポジションを調整して、エアバッグの正常を確実に発揮できる位置に調整する。このとき、ドライバの同意が得られたことや衝突可能性が超えたことを条件として、これらの調整を開始する。
【選択図】 図1
【解決手段】 ドライバが危険状態となったときに車両における緊急退避支援を行うにあたり、ステアリングのチルト角およびシートポジションを調整して、エアバッグの正常を確実に発揮できる位置に調整する。このとき、ドライバの同意が得られたことや衝突可能性が超えたことを条件として、これらの調整を開始する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、緊急退避支援装置に関する。
車両の運転支援を行う運転支援装置として、従来、運転者の意識が低下した際に、運転者の車両操作とは無関係に走行中の車両を停止させる停止制御を行う車両停止装置がある(たとえば、特許文献1参照)。この車両停止装置は、車両の走行する道路の前方周辺状況を検出し、その検出結果に基づいて車両の停止場所を決定し、決定した停止場所に車両を停止させるというものである。
この車両停止装置では、車両を停止させる際に停止場所決定手段が車両の周辺状況に応じた停止場所を決定して、その決定した停止場所に車両を停止させている。このため、車両を他の車両の通行の妨げとならない安全な場所に停止させることができるというものである。
その一方、車両を緊急退避させる過程で車両が他車両などの障害物と衝突するという予測をした場合、ステアリング位置が調整されて、ステアリングに設けられたエアバッグを適切な角度で展開させる技術がある。この技術を用いることにより、車両を緊急停止させるにあたり、他車両などが衝突しそうになった場合でも、エアバッグを適切に展開させることにより、ドライバを保護することができる。
しかし、他車両等との衝突が予測された場合、その予測から衝突までの時間が短いような場合に、その状況に合わせてステアリングの位置の調整をより速い速度で行うと、ステアリングが動いてステアリング位置が急に変化することによってドライバに違和感を与える可能性があった。また、エアバッグを展開させる際には、エアバッグが装着されたステアリングの角度を調整することが考えられる。その一方で、ステアリングの角度以外でも、たとえばドライバが着座する着座シートのシート位置を調整して、エアバッグの効果を高いものとすることも考えられる。
そこで、本発明の課題は、緊急退避支援を行うにあたり、ドライバの安全性を高めるための調整時間を十分に確保し、ステアリングや座席シートの位置が急に変化することによってドライバに与える違和感を小さくしながら、ドライバの安全性を高めることができる緊急退避支援装置を提供することにある。
上記課題を解決した本発明に係る緊急退避支援装置は、車両のドライバの運転操作によらず車両を安全な位置に停止させる緊急退避支援装置であって、車両のドライバに対して緊急退避支援の開始の意思を確認する意思確認手段と、車両に搭載された座席シートおよびステアリングの位置のうちの少なくとも一方の位置を調整する位置調整手段と、を備え、位置調整手段は、意思確認手段によって、ドライバの意思が確認された場合に、座席シートおよびステアリングのうちの少なくとも一方の位置を、あらかじめ設定された位置に調整することを特徴とする。なお、本発明のステアリングの位置とは、車室内におけるステアリングの相対的な位置を意味し、ステアリングの位置を調整する際には、チルト角(上下左右位置)やテレスコピックの突出量(前後位置)を調整することができる。
本発明に係る緊急退避支援装置においては、意思確認手段によって、ドライバの意思が確認された場合に、座席シートおよびステアリングのうちの少なくとも一方の位置を、あらかじめ設定された位置に調整する。このため、たとえば他車両と衝突する可能性が高い場合に、他車両との衝突可能性が高いと判断する前にステアリングや座席シートの位置を調整するにあたり、ドライバの意思が確認されたことが条件となる。したがって、緊急退避支援が行われることをドライバが認識した上で、ステアリング位置や座席シートの調整が行われるので、緊急退避支援を行うにあたり、ドライバの安全性を高めるための調整時間を十分に確保し、ステアリングや座席シートの位置が急に変化することによってドライバに与える違和感を小さくしながら、ドライバの安全性を高めることができる。
ここで、あらかじめ設定された位置は、車両と車両の周囲の障害物との衝突時におけるドライバの安全性を高めるように設定された位置であるようにすることができる。
このように、あらかじめ設定された位置は、車両と車両の周囲の障害物との衝突時におけるドライバの安全性を高めるように設定された位置であることにより、車両が障害物と衝突する場合などに、ドライバの安全性を高めることができる。
また、車両における車両の周囲の障害物との衝突可能性を判断する衝突可能性判定手段をさらに備え、位置調整手段は、意思確認手段によって、ドライバの意思が確認され、かつ衝突可能性判定手段によって判定された衝突可能性が所定のしきい値を超えたときに、座席シートおよびステアリングのうちの少なくとも一方の位置を、あらかじめ設定された位置に調整することができる。
このように、意思確認手段によって、ドライバの意思が確認され、かつ衝突可能性判定手段によって判定された衝突可能性が所定のしきい値を超えたときに、座席シートおよびステアリングのうちの少なくとも一方の位置を、あらかじめ設定された位置に調整することにより、衝突可能性に応じて早期にステアリングや座席シートの位置調整を開始することができる。
さらに、ドライバの危険状態を判定するドライバ危険状態判定手段をさらに備え、位置調整手段は、ドライバ危険状態判定手段によって、ドライバが危険状態であると判定された場合に、位置の調整を中止することができる。
ドライバが体調不良などの危険状態にある場合、ステアリングや座席シートの位置調整を行うと、位置調整による位置の変更でドライバの危険状態に悪影響を与えるおそれがある。このため、ドライバが危険状態であると判定された場合に、位置の調整を中止することにより、ドライバに悪影響を与えないようにすることができる。
また、ドライバの危険状態を判定するドライバ危険状態判定手段をさらに備え、位置調整手段は、衝突可能性判定手段によって判定された衝突可能性が所定のしきい値以下であると判定されるとともに、ドライバ危険状態判定手段によって、ドライバが危険状態であると判定された場合に、位置の調整を中止することができる。
このように、衝突可能性が所定のしきい値以下であり、かつドライバが危険状態のとき位置調整を中止することにより、衝突可能性が高く、位置調整をドライバの体調よりも優先させる場合に、位置調整を行うことができる。
さらに、ドライバの危険状態を判定するドライバ危険状態判定手段をさらに備え、位置調整手段は、ドライバ危険状態判定手段によって、ドライバが危険状態であると判定された場合に、座席シートおよびステアリングのうちの少なくとも一方の位置を、ドライバの体勢的負担が軽減される負担軽減位置に調整することができる。
このように、ドライバが危険状態にあると判定された場合には、ドライバの体勢的負担が軽減される負担軽減位置の座席シートやステアリングを調整することにより、ドライバに掛かる負担を小さくすることができる。ここで、負担軽減位置としては、たとえば座席シートのリクライニングを少し倒し、リクライニングを倒すことに伴い、ステアリングが持ちにくくならないようにステアリングをドライバ側に移動させる位置とすることができる。
また、ドライバの危険状態を判定するドライバ危険状態判定手段をさらに備え、位置調整手段は、衝突可能性判定手段によって判定された衝突可能性が所定のしきい値以下であると判定されるとともに、ドライバ危険状態判定手段によって、ドライバが危険状態であると判定された場合に、座席シートおよびステアリングのうちの少なくとも一方の位置を、ドライバの体勢的負担が軽減される負担軽減位置に調整することができる。
このように、衝突可能性が所定のしきい値以下であり、かつドライバが危険状態のとき位置調整を中止することにより、衝突可能性が高く、位置調整をドライバの体調よりも優先させる場合に、位置調整を行うことができる。また、ドライバが危険状態にあると判定された場合には、ドライバの体勢的負担が軽減される負担軽減位置の座席シートやステアリングを調整することにより、ドライバに掛かる負担を小さくすることができる。
さらに、座席シートおよびステアリングのうちの少なくとも一方の位置の調整を開始した後、座席シートの位置調整およびステアリングの位置調整のドライバによる調整操作を無効化することができる。
このように、座席シートおよびステアリングのうちの少なくとも一方の位置の調整を開始した後、座席シートの位置調整およびステアリングの位置調整の調整操作を無効化することにより、ドライバが不適切な方向に調整した際の調整操作を無効化することができる。したがって、エアバッグの性能を確実に発揮できる位置にステアリングや座席シートを調整することができる。
そして、位置調整手段は、座席シートおよびステアリングのうちの少なくとも一方の位置の調整を開始した後、車両のドアの開放操作、シートベルトの解除操作、およびウィンドウの開放操作の各操作のうち、少なくとも1つの操作を無効化することができる。
このように、車両のドアの開放操作、シートベルトの解除操作、およびウィンドウの開放操作の各操作のうち、少なくとも1つの操作を無効化することにより、ドライバが不意の車外に出てしまうことを防止できる。
本発明に係る緊急退避制御装置によれば、緊急退避支援を行うにあたり、ドライバの安全性を高めるための調整時間を十分に確保し、ステアリングや座席シートの位置が急に変化することによってドライバに与える違和感を小さくしながら、ドライバの安全性を高めることができる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の実施形態に係る緊急退避支援装置の機能構成を示すブロック図である。本実施形態のほか、以下の各実施形態では、本実施形態と同様の緊急退避支援装置Mによる制御が行われる。緊急退避支援装置Mは、自車両のドライバの意識低下を検出するとともに、意識低下を検出した場合に、他の車両の妨げにならないようにドライバの運転操作によらず同自車両を自動走行させて安全な位置に停止させる緊急退避制御を行う。なお、安全な位置とは、走行路中における他の車両の衝突等のおそれがない場所を示し、例えば車道脇の停車帯が挙げられる。
図1は、本発明の実施形態に係る緊急退避支援装置の機能構成を示すブロック図である。本実施形態のほか、以下の各実施形態では、本実施形態と同様の緊急退避支援装置Mによる制御が行われる。緊急退避支援装置Mは、自車両のドライバの意識低下を検出するとともに、意識低下を検出した場合に、他の車両の妨げにならないようにドライバの運転操作によらず同自車両を自動走行させて安全な位置に停止させる緊急退避制御を行う。なお、安全な位置とは、走行路中における他の車両の衝突等のおそれがない場所を示し、例えば車道脇の停車帯が挙げられる。
車両に搭載されており、図1に示すように、環境情報検出部1、車両情報検出部2、ドライバ状態認識装置3、および判定処理ECU(Electronic Control Unit)4を備えている。また、緊急退避支援装置Mは、運転支援HMI(Human Machine Interface)5、各種運転支援システム6、各種走行制御装置7、およびアクチュエータ類8を備えている。
緊急退避支援装置Mにおける環境情報検出部1は、GPS(Global Positioning System)11、車載通信機12、および前方センサ・後側方センサ13を備えている。さらに、環境情報検出部1は、ナビゲーションシステム14、および白線認識カメラ15を備えている。
GPS11は、複数のGPS衛星からの信号をGPS受信機で受信し、各受信信号の相違から自車両の位置を測位する。また、GPS11は、測位した自車両の位置に関する自車両位置情報を判定処理ECU4に送信する。車載通信機12は、他車両との車車間通信や、光ビーコン等の路側インフラストラクチャとの路車間通信を行う通信機である。車載通信機12は、他車両や路側インフラストラクチャとの間の通信で得られた通信情報を判定処理ECU4に送信する。
前方センサ・後側方センサ13は、車両の周辺における歩行者、自転車、二輪車、車両などの移動体の位置や速度および走行路の路側などに設けられる店舗等の施設の位置を検出している。前方センサ・後側方センサ13は、たとえばミリ波レーダ、超音波ソナーによって構成されており、検出した移動体の位置や速度および施設の位置に関する周辺情報を判定処理ECU4に送信する。
ナビゲーションシステム14は、GPS11により取得された自車両の位置情報と、所定の記憶部に記憶された地図情報とを用いて、車両の経路案内を行う手段である。ナビゲーションシステム14は、経路案内に関するナビゲーション情報を判定処理ECU4に送信する。
白線認識カメラ15は、自車両に搭載された撮像手段によって撮像した自車両の周囲の画像から、自車両が走行する車線の白線を認識する。白線認識カメラ15は、認識した白線に関する白線情報を判定処理ECU4に送信する。なお、環境情報検出部1から判定処理ECU4に送信される自車両位置情報、通信情報、周辺情報、ナビゲーション情報、および白線情報を総称して環境情報ということがある。
車両情報検出部2は、自車両の走行状態を検出する各種センサとして、舵角センサ21、車速センサ22、および加速度センサ23を備えている。また車両情報検出部2は、チルト角センサ24およびシートポジションセンサ25を備えている。舵角センサ21は、自車両のステアリング角を検出している。舵角センサ21は、検出した自車両のステアリング角に関するステアリング角情報を判定処理ECU4に送信する。
また、車速センサ22は、車軸の回転速度を検出することによって、自車両の車速を検出している。車速センサ22は、検出した自車両の車速に関する車速情報を判定処理ECU4に送信する。さらに、加速度センサ23は、自車両の加速度を検出しており、検出した加速度に関する加速度情報を判定処理ECU4に送信する。
さらに、チルト角センサ24は、ステアリングのチルト角を検出している。チルト角センサ24は、検出したチルト角に関するチルト角情報を判定処理ECU4に送信する。シートポジションセンサ25は、ドライバが着座する座席シートである着座シートの前後位置および背もたれの角度を検出している。シートポジションセンサ25は、検出した着座シートの前後位置および背もたれの角度に関するシートポジション情報を判定処理ECU4に送信する。なお、ステアリング角情報、車速情報、加速度情報、チルト角情報、およびシートポジション情報を総称して車両情報ということがある。
ドライバ状態認識装置3は、自車両のドライバの状態を認識する装置であり、たとえば自車両のドライバが居眠りや発作等による意識低下状態であるか否かを認識している。生理計測装置31、視線・顔向き計測装置32、システム起動/解除スイッチ33、着座センサ34、およびドライバ状態認識部35を備えている。
生理計測装置31は、自車両のドライバの心拍数、脈拍数、呼吸リズム等を計測しており、これらの計測結果に基づいてドライバの生理状態を検出している。生理計測装置31は、検出したドライバの生理状態に関するドライバ生理状態情報をドライバ状態認識部35に出力する。
視線・顔向き計測装置32は、ドライバの頭部をカメラで撮像し、撮像した画像から、眼球、顔の動き等を検出し、その検出結果に基づいてドライバの視線および顔向きを検出している。視線・顔向き計測装置32は、検出したドライバの視線および顔向きに関するドライバ視線情報をドライバ状態認識部35に出力する。
システム起動/解除スイッチ33は、ドライバの手が届く位置に設けられたスイッチであり、緊急退避支援装置Mによる緊急退避制御を開始するためのスイッチである。システム起動/解除スイッチ33は、解除状態のときに、主にドライバの操作によって押下されて起動状態となり、起動状態のときに、主にドライバの操作によって押下されて解除状態となる。システム起動/解除スイッチ33がON状態となると、システム起動/解除スイッチ33は緊急制御処理の開始を示す緊急退避開始信号を判定処理ECU4に出力する。
着座センサ34は、ドライバが着座するシートに設けられており、ドライバがシートに着座しているか否かといった情報や、着座している場合の着座位置などのドライバの着座状態を検出している。着座センサ34は、検出したドライバの着座状態情報をドライバ状態認識部35に出力する。
ドライバ状態認識部35は、生理計測装置31から出力された生理状態情報、視線・顔向き計測装置32から出力されたドライバ視線情報、および着座センサ34から出力された着座状態情報に基づいて、ドライバ状態を認識する。ここでのドライバ状態は、ドライバが正常に運転操作を行うことができるか否かの状態を含む。たとえば、生理状態における心拍数や脈拍数が所定のしきい値以上となったり、ドライバ視線情報から得られるドライバの視線移動の回数が所定のしきい値以上となったりした場合に、ドライバが意識低下状態となったと認識する。ドライバ状態認識部35は、認識したドライバ状態に関するドライバ状態情報を判定処理ECU4に送信する。
判定処理ECU4は、緊急退避支援装置Mを統括して制御し、緊急退避支援を実行する。判定処理ECU4は、ドライバ状態認識部35から送信されたドライバ状態情報に基づいて、ドライバ状態が意識低下状態であるか否かを判断する。その結果、ドライバ状態が意識低下状態であると判断した場合には、自車両の緊急退避制御を行う。判定処理ECU4は、緊急退避制御を行うにあたり、緊急退避を行う態様に関する緊急退避制御情報を運転支援HMI5および各種運転支援システム6に送信する。
また、判定処理ECU4は、環境情報検出部1から送信された環境情報および車両情報検出部2から送信された車両情報に基づいて、車両が他車両や歩行者などの障害物と衝突する可能性を判定する。判定処理ECU4は、本発明の衝突可能性判定手段を構成する。ドライバ状態認識部35から送信されたドライバ状態に基づいて、ドライバの危険状態を検出する。判定処理ECU4は、本発明のドライバ危険状態判定手段を構成する。
運転支援HMI5は、ディスプレイ51、スピーカ52、ランプ類53、およびシート・ステアリング位置入力スイッチ54を備えている。運転支援HMI5は、判定処理ECU4から送信された緊急退避制御情報に基づいて、ディスプレイ51、スピーカ52、およびランプ類53の各インターフェイスを作動させる。
ディスプレイ51は、たとえば自車両における車室内に設けられており、緊急退避制御情報の内容に応じた各種情報を表示する。スピーカ52は、たとえば自車両における車室内に設けられており、緊急退避制御情報の内容に応じた各種情報を音声で出力する。ランプ類53としては、左右ウィンカやハザードランプ等が備えられており、緊急退避制御情報に応じて点灯・点滅状態が制御される。
シート・ステアリング位置入力スイッチ54は、ステアリングのチルト角およびシートポジションをドライバの嗜好に応じた位置に調整するスイッチである。ドライバは、シート・ステアリング位置入力スイッチ54を操作することにより、シートポジションおよびステアリングのチルト角を好みの位置に調整することができる。
また、自車両には、各種運転支援システム6として、ACC(Adaptive CruiseControl)61、PCS(Pre-Crash Safety system)62、LKA(Lane Keeping Assist)63、およびVSC(VehicleStability Control)64が設けられている。各種運転支援システム6は、判定処理ECU4から送信された緊急退避制御情報に基づいて、自車両の走行を終了させて極力安全に自車両を停止させるとともに、ドライバの救助を極力容易に行うことができるように自車両の制御態様を決定する。各種運転支援システム6は、自車両の制御態様が決定したら、決定した制御態様に応じた自車両制御情報を各種走行制御装置7に送信する。
自車両には、各種走行制御装置7として、ブレーキ制御部71、アクセル制御部72、ステアリング制御部73、およびパーキングブレーキ制御部74が設けられており、各種運転支援システム6から送信される自車両制御情報に基づいて、自車両の走行制御を行う。ここでの自車両の走行制御としては、インテリジェントパーキングシステム(IPA:intelligent parking assist)による制御が行われる。あるいは、その他には、電子制御ブレーキシステム(ECB:Electric Control Braking system)や電動パーキングブレーキ制御(EPB:Electronic Parking Brake)による制御が行われる。
アクチュエータ類8としては、チルト角アクチュエータ81、シートポジションアクチュエータ82、シートベルトアクチュエータ83、およびドアアクチュエータ84が設けられている。このうち、チルト角アクチュエータ81は、車両のステアリング部分に設けられており、ステアリングのチルト角を調整する機能を有している。判定処理ECU4から位置調整信号が送信された場合に、ステアリングのチルト角を大きくして、障害物との衝突時におけるドライバの安全性を高めるようにあらかじめ設定された位置に調整する機能を有している。チルト角アクチュエータ81は、本発明の位置調整手段を構成する。
シートポジションアクチュエータ82は、ドライバが着座する着座シートに設けられており、着座シートにおける座面の前後位置および背もたれの角度を調整する機能を有している。シートポジションアクチュエータ82は、判定処理ECU4から位置調整信号が送信された場合に、シート座面を後退させ、背もたれの角度を大きくして、障害物との衝突時におけるドライバの安全性を高めるようにあらかじめ設定された位置に調整する。シートポジションアクチュエータ82は、本発明の位置調整手段を構成する。
シートベルトアクチュエータ83は、シートベルトのタングを保持するバックルに設けられている。バックルには、タングをバックルに固定する固定構造が設けられている。シートベルトアクチュエータ83は、バックルによるタングの固定状態を維持し、または解除する機能を有している。
ドアアクチュエータ84は、車両における運転席の側方に設けられたドアにおけるドアロックを施錠し、または解除させる機能を有している。また、ドアアクチュエータ84は、運転席の側方に設けられたドアにおけるウィンドウを開放し、または閉鎖する機能を有している。
本実施形態に係る緊急退避支援装置Mでは、自車両を運転するドライバの意識低下が生じた場合に、自車両を緊急停止させる支援を行う。たとえば、図2に示すように、ドライバの意識が徐々に低下している場合、ドライバの意識が所定のしきい値を下回った場合に、緊急退避支援を行う。この場合、ドライバの意識が所定のしきい値を下回ることが車両における緊急退避支援を開始するための開始条件の成立となる。
緊急退避支援を行う際には、最初に事前説明を行った後、ドライバに主権委譲の判断について、ドライバの同意確認を行う。この時点で、ドライバの運転操作について一部の制限がかけられる。たとえば、ドライバがアクセルペダルを踏んだ場合でも、自車両が所定の速度以上とならないように制御される。このドライバの同意確認がドライバの意思の確認となる。判定処理ECU4は、車両のドライバに対して前記緊急退避支援の開始の意思を確認する意思確認手段を構成する。
主権委譲についての同意を確認できた場合には、ドライバの運転操作を全面的に受け付けず、自車両を停止させるための減速制御を行う。このとき、ドライバに対して、減速制御を行っている旨の状況説明を行う。一方、緊急退避支援が開始された以後は、適宜自車両の周囲に対して適宜報知、通報が行われる。さらには、ドライバの同意確認が行われた時点で、ドライバによるチルト角やシートポジションの調整操作を無効化し、車両が走行中の場合には、チルト角やシートポジションの調整を開始する。このためドライバが不適切な方向に調整した際の調整操作を無効化することができるので、エアバッグの性能を確実に発揮できる位置にチルト角やシートポジションを調整することができる。
その後、自車両が停止したときに停止状態を保持する停止保持を行う。停止保持が行われている間、ドライバに対して事後説明を行う。また、本実施形態では、停止保持が行われている間に、自車両の停止状態を判断し、自車両の停止状態が不適切状態である場合には、自車両の停止状態を修正する。
次に、本発明の実施形態に係る緊急退避制御装置の動作について説明する。図3は、本実施形態に係る緊急退避制御装置の動作手順を示すフローチャートである。本実施形態に係る緊急退避支援装置Mでは、ドライバが意識低下状態などの運転不適状態となったときに、ドライバが車外に放出されることを防止している。
図3に示すように、緊急退避支援装置Mでは、まず、ドライバが運転不適状態となっているか否かを判断する(S1)。ここでは、判定処理ECU4は、ドライバ状態認識部35から送信されるドライバ状態情報に基づいてドライバが意識低下状態であるか否かを判断し、意識低下状態であるときにドライバが運転不適状態であると判断する。また、ドライバがシステム起動/解除スイッチ33をONにした場合にドライバが運転不適状態であると判断することもできる。さらいには、車両情報検出部2から取得した車両情報に基づいてドライバの運転不適状態を判断することもできる。
その結果、ドライバが運転不適状態でないと判断した場合には、ドライバは正常な状態であるので、そのまま緊急退避支援を終了する。一方、ドライバが運転不適状態であると判断した場合には、主権委譲処理を行う(S2)。主権委譲処理を行うことにより、車両の運転の主権をドライバから緊急退避支援装置Mに委譲する。このとき、ドライバの同意確認が行われる。
主権委譲処理が済んだ後は、車両を緊急停止させる処理を行うが、この段階で、車両が走行中であるか否かを判断する(S3)。その結果、車両が走行中でない場合は、車両が停止していることとなるので、車両停止後の制御に移行する(S12)。一方、車両が走行中である場合には、ドアロック等の処理を行う(S4)。
ドアロック等の処理は、図4に示すフローに沿って行われる。緊急退避支援装置Mでは、図4に示すように、シートベルトアクチュエータ83を作動させ、シートベルトの解除を禁止とする(S16)。こうして、ドライバのシートベルトによる拘束状態を維持する。シートベルト解除を禁止するために、シートベルトを解除する操作を無効化する。
続いて、ドアアクチュエータ84により、ドアロックを施錠し(S17)、続いてドアロックの解除操作を無効化し、ドアロックの解除を禁止とする(S18)。ドアロックの施錠およびドアロックの解除の禁止を行うことにより、ドアの開放を禁止する。こうして、ドアが開放することによって、ドライバが車外に放出されることを防止する。
それから、車両のウィンドウが開放されている場合にはドアアクチュエータ84を作動させてウィンドウを閉鎖し、ウィンドウが閉鎖されている場合にはそのままの状態とする。その後、ウィンドウの開放操作を無効化してウィンドウの開放を禁止する(S19)。ウィンドウの開放操作を禁止することにより、開放したウィンドウを介してドライバが車外に放出される事態を防止する。こうして、ドアロック等の処理を終了する。なお、これらの無効化した各操作のうち、一部の操作を無効化するようにすることもできる。
図3に示すフローに戻り、ドアロック等の処理が済んだら、ステアリングのチルト角およびドライバが着座するシートのシートポジションの目標範囲を決定する処理を行う(S5)。チルト角およびシートポジションの目標範囲決定処理は、図5に示すフローに沿って行われる。図5は、チルト角およびシートポジションの目標範囲決定処理の手順を示すフローチャートである。
図5に示すように、チルト角およびシートポジションの目標範囲決定処理では、最初に環境情報検出部1において検出した環境情報および車両情報検出部2で検出した車両情報を取得する(S21)。次に、環境情報検出部1において検出した環境情報および車両情報検出部2で検出した車両情報に基づいてチルト角およびシートポジションの目標範囲を決定する(S22)。ここでの目標範囲としては、ドライバが安全な状態を維持することができる範囲のチルト角およびシートポジションとする。こうして、チルト角およびシートポジションの目標範囲決定処理が終了する。
図3に示すフローに戻り、チルト角センサ24で検出したチルト角情報およびシートポジションセンサ25で検出したシートポジション情報に基づいて、チルト角およびシートポジションの現在位置を取得する(S6)。続いて、チルト角およびシートポジションの現在位置が目標の範囲内にあるか否かを判断する(S7)。
その結果、チルト角およびシートポジションの現在位置が目標の範囲内にない場合には、チルト角アクチュエータ81およびシートポジションアクチュエータ82によって、それぞれチルト角およびシートポジションを目標範囲内の所定の目標値に調整する(S11)。
一方、チルト角およびシートポジションの現在位置が目標の範囲内にある場合には、シート・ステアリング位置入力スイッチ54により入力されたドライバ入力値を確認する(S8)。続いて、ドライバの入力値が目標の範囲内にあるか否かを判断する(S9)。その結果、ドライバの入力値が目標の範囲内にある場合には、チルト角アクチュエータ81およびシートポジションアクチュエータ82によって、それぞれチルト角およびシートポジションをドライバの入力値に調整する(S10)。
一方、ドライバの入力値が目標の範囲内にない場合には、チルト角アクチュエータ81およびシートポジションアクチュエータ82によって、それぞれチルト角およびシートポジションを目標範囲内の所定の目標値に調整する(S11)。こうして、緊急退避支援装置Mによる処理を終了する。
このように、本実施形態に係る緊急退避支援装置Mにおいては、ドライバの意識低下によって緊急退避支援を開始するにあたり、ドライバの同意確認が得られたときにチルト角およびシートポジションの調整を開始する。このため、たとえば他車両と衝突する可能性が高い場合に、他車両との衝突可能性が高いと判断する前にステアリングや座席シートの位置を調整することができる。したがって、緊急退避支援を行うにあたり、ドライバの安全性を高めるための調整時間を十分に確保し、ステアリングや座席シートの位置が急に変化することによってドライバに与える違和感を小さくしながら、ドライバの安全性を高めることができる。
また、ドライバの同意確認を行った後にチルト角やシートポジションの調整が行われる。したがって、緊急退避支援が行われることをドライバが認識した上で、ステアリング位置や座席シートの調整が行われるので、ドライバに違和感を与えないようにすることができる。
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、上記第1の実施形態と比較して、チルト角およびシートポジションの目標範囲決定処理が主に異なっている。以下、上記第2の実施形態との相違点を中心として、本発明について説明する。図6は、本実施形態に係るチルト角およびシートポジションの目標範囲決定処理の手順を示すフローチャートである。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、上記第1の実施形態と比較して、チルト角およびシートポジションの目標範囲決定処理が主に異なっている。以下、上記第2の実施形態との相違点を中心として、本発明について説明する。図6は、本実施形態に係るチルト角およびシートポジションの目標範囲決定処理の手順を示すフローチャートである。
図6に示すように、本実施形態では、上記第1の実施形態と同様、最初に環境情報検出部1において検出した環境情報および車両情報検出部2で検出した車両情報を取得する(S31)。次に、車両を運転するドライバのドライバ状態情報を取得し(S32)、取得したドライバ状態に基づいてドライバの危険状態を推定する(S33)。ここでのドライバの危険状態とは、たとえばドライバが病気やけがをしている状態である。
続いて、チルト角およびシートポジションの目標範囲を決定する(S34)。チルト角およびシートポジションの目標範囲は、環境情報検出部1において検出した環境情報および車両情報検出部2で検出した車両情報を用いるとともに、ドライバの危険状態に応じて算出する。具体的には、環境情報および車両情報に基づいてチルト角およびシートポジションを算出した後、病気またはけがをしているドライバにかかる体勢的負担を軽減する位置である負担軽減位置にチルト角およびシートポジションを修正することができる。
このように、本実施形態に係る緊急退避支援装置Mにおいては、上記第1の実施形態と同様に、他車両との衝突可能性が高いと判断する前にステアリングや座席シートの位置を調整することができるので、ドライバの安全性を高めるための調整時間を十分に確保し、ステアリングや座席シートの位置が急に変化することによってドライバに与える違和感を小さくしながら、ドライバの安全性を高めることができる。
さらに、本実施形態に係る緊急退避支援装置Mにおいては、ドライバが危険状態にある場合には、ドライバの体勢的負担が軽減する位置にチルト角およびシートポジションを修正する。このため、ドライバの体調がすぐれない場合には、ドライバの体調の悪化を防止することができる。
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態は、上記第1の実施形態と比較して、チルト角やシートポジションの調整を行うか否かの判定を行う点等において主に異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。図7は、本実施形態に係る緊急退避支援装置の処理の手順を示すフローチャートである。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態は、上記第1の実施形態と比較して、チルト角やシートポジションの調整を行うか否かの判定を行う点等において主に異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。図7は、本実施形態に係る緊急退避支援装置の処理の手順を示すフローチャートである。
図7に示すように、本実施形態に係る緊急退避支援装置Mにおいては、上記第1の実施形態と同様、まず、ドライバが運転不適状態となっているか否かを判断する(S41)。その結果、ドライバが運転不適状態でないと判断した場合には、ドライバは正常な状態であるので、そのまま緊急退避支援を終了する。一方、ドライバが運転不適状態であると判断した場合には、主権委譲処理を行う(S42)。主権委譲処理を行うことにより、車両の運転の主権をドライバから緊急退避支援装置Mに委譲する。
主権委譲処理が済んだ後は、車両を緊急停止させる処理を行うが、この段階で、車両が走行中であるか否かを判断する(S43)。その結果、車両が走行中でない場合は、車両が停止していることとなるので、車両停止後の制御に移行する(S51)。一方、車両が走行中である場合には、ドアロック等の処理を行う(S44)。ここまでは、上記第1の実施形態とほぼ同様の処理が行われる。
続いて、チルト角およびシートポジションの調整を実施するか否かの判定を行う(S45)。この判定は、図8に示す処理によって行われる。この判定では、まず、ドライバが緊急退避支援を行うことについて確認しているか否かを判断する(S61)。ドライバが確認しているか否かについては、ドライバがシステム起動/解除スイッチ33を操作していれば、ドライバが緊急退避支援を行うことを確認していると判断する。
その結果、ドライバが緊急退避支援を行うことを確認していると判断した場合には、チルト角およびシートポジションの調整を実施すると判定して(S62)、調整実施判定処理を終了する。一方、ドライバが緊急退避支援を行うことを確認していないと判断した場合には、車両が他車両や歩行者などの障害物と衝突する衝突可能性である衝突危険度を算出する(S63)。
衝突危険度の算出の例を図9に示す。図9は、交差点における歩行者等との衝突危険度を算出する手順を示すフローチャートである。ここでは、図10に示すように、交差点Cにおける自車両M1と歩行者Hとの衝突危険度の算出を行う。衝突危険度の算出を行う際には、まず、環境情報検出部1で検出される環境情報に基づいて、自車両M1が交差点Cの手前に位置しているか否かを判断する(S71)。ここでの交差点Cの手前とは、たとえば交差点までの距離が30m以内となっている位置とすることができる。
ここで、自車両M1が交差点Cの手前に位置していないと判断した場合には、交差点Cにおける衝突が生じることはないと判断できるので、衝突危険度を0として(S74)、衝突危険度算出処理を終了する。一方、自車両M1が交差点Cの手前に位置していると判断した場合には、自車両M1が交差点Cの手前で停止可能か否かを判断する(S72)。
このとき、自車両M1が交差点Cの手前で停止することができれば、交差点Cにおける衝突が生じることはないと判断することができる。したがって、自車両M1が交差点Cの手前で停止可能であると判断した場合には、衝突危険度を0として(S74)、衝突危険度算出処理を終了する。
また、自車両M1が交差点Cの手前で停止することができないと判断した場合に、歩行者Hとの衝突危険度を算出する(S73)。衝突危険度を算出するにあたっては、自車両M1および歩行者Hが交差地点に到達するまでの時間を予測し、その予測時間を比較することで衝突危険度を算出する。
ここでは、自車両M1が交差点Cに到達するまでの時間であるTTC(Time To Collision、第1時間)を算出する。TTCは、自車両M1が現在の状態で進行方向に走行した場合に何秒後に歩行者Hに衝突するかを示す値である。また、環境情報に含まれる周辺情報に基づいて、歩行者Hの速度ベクトルなどを求め、歩行者Hが交差点Cに到達するまでの時間である(Time To Vehicle、第2時間)を算出する。TTVは、歩行者Hが現在の状態で自車両M1の進行方向に交差する方向(自車両M1の横方向)に移動した場合に何秒後に自車両に衝突するかを示す値である。
TTCおよびTTVは、たとえば下記(1)式および(2)式を用いて算出することができる。
TTC=x/(V−vx) …(1)
TTV=y/vy …(2)
ここで、V:自車両の速度
x,y:歩行者等の相対位置
vx,vy:歩行者等の速度
TTC=x/(V−vx) …(1)
TTV=y/vy …(2)
ここで、V:自車両の速度
x,y:歩行者等の相対位置
vx,vy:歩行者等の速度
また、判定処理ECU4には、図11に示す判定マップを記憶している。判定処理ECU4では、算出したTTCおよびTTVを図11に示す判定マップに参照して、自車両M1と歩行者Hとの衝突危険度を算出する。図11に示す判定マップは、破線で示す第1基準マップと実線で示す第2基準マップとを備えている。ここでの判定では、破線で示す第1基準マップが用いられている。
また、衝突危険度を算出するにあたり、交差点ではなく、自車両が車線を逸脱しそうな場合の衝突危険度を算出することがある、この場合、操舵によって自車両を車線の内側に戻すことが考えられる。このような状況で歩行者が現れた場合には、進行方向の走行速度だけでは到達時間にズレが発生してしまう。そこで、車線上の走行速度だけではく、車線内での移動経路も考慮に入れることができる。この場合、たとえば図11に実線で示す第2基準マップを用いて衝突危険度を算出することもできる。
図8に示すフローに戻り、衝突危険度を算出したら、ドライバ状態を取得する(S64)。ドライバ状態の取得は、図6に示すステップS33と同様にして行われる。続いて、車両における衝突危険度が高いか否かを判断する(S65)。衝突危険度が高いか否かの判断は、所定の危険度しきい値を用いて行われ、危険度が危険度しきい値を超えるときに衝突危険度が高いと判断する。その結果、衝突危険度が高いと判断された場合には、チルト角およびシートポジションの調整を実施すると判定して(S62)、調整実施判定処理を終了する。
一方、衝突危険度が高くないと判断された場合には、ドライバ状態が危険であるか否かを判断する(S66)。判定処理ECU4では、ドライバが病気であったりけがをしていたりする場合などの体調不良の状態のときに、ドライバ状態が危険であると判断する。その結果、ドライバ状態が危険であると判断した場合には、チルト角およびシートポジションの調整を中止すると判定して(S67)、調整実施判定処理を終了する。また、ドライバ状態が危険でないと判断した場合には、チルト角およびシートポジションの調整を実施すると判定して(S66)、調整実施判定処理を終了する。
ドライバが病気やけがなどの体調不良の状態にある場合に、ドライバが無理な体勢で座り続けると、体調をさらに悪化させてしまうことが考えられる。したがって、ドライバが体調不良の危険状態にあるときには、シートポジションの調整を中止することにより、ドライバの体調悪化を防止することができる。
こうして、チルト角およびシートポジションの調整実施判定を行ったら、図7に示すフローに戻り、チルト角およびシートポジションの調整実施を行うか否かを判断する(S46)。ここで、チルト角およびシートポジションの調整実施を行わないと判断した場合には、緊急退避支援処理を終了する。
一方、チルト角およびシートポジションの調整実施を行うと判断した場合には、衝突危険度が高いか否かを判断する(S47)。この判断は、図8のステップS65と同様にして行われる。その結果、衝突危険度が高いと判断した場合には、衝突に対するドライバの保護を優先させることが好適となる。
したがって、この場合には、チルト角およびシートポジションの位置を通常の位置に調整する(S50)。通常の位置への調整としては、たとえば第1の実施形態に係るステップS5〜S11の処理を行うことができる。一方、衝突危険度が高くないと判断した場合には、ドライバ状態が危険であるか否かを判断する(S48)。ドライバ状態が危険であるか否かの判断は、図8のステップS66と同様にして行われる。
その結果、ドライバ状態が危険であると判断した場合は、チルト角およびシートポジションの位置を、ドライバの負担が小さくなる負担軽減位置に調整する(S49)。一方、ドライバ状態が危険でないと判断した場合には、チルト角およびシートポジションの位置を通常の位置に調整する(S50)。こうして、緊急退避支援装置Mの処理を終了する。
このように、本実施形態に係る緊急退避支援装置Mにおいては、上記第1の実施形態と同様に、他車両との衝突可能性が高いと判断する前にチルト角や座席シートの位置を調整することができるので、ドライバの安全性を高めるための調整時間を十分に確保し、ステアリングや座席シートの位置が急に変化することによってドライバに与える違和感を小さくしながら、ドライバの安全性を高めることができる。
また、ドライバが体調不良などの危険状態にある場合、チルト角やシートポジションの位置調整を行うと、位置調整による位置の変更でドライバの危険状態に悪影響を与えるおそれがある。この点、本実施形態に係る緊急退避支援装置Mにおいては、衝突危険度が高い場合には、ドライバ危険度が高い場合でもチルト角やシートポジションの調整を実施する。その一方で、衝突危険度が低くドライバ危険度が高い場合に、チルト角やシートポジションの調整を中止するようにしている。このため、衝突危険性が高い場合には、エアバッグの性能を十分に発揮できるチルト角やシートポジションとなる調整を行うことができる一方、衝突の可能性が低い場合に、ドライバの体調の悪化を好適に防止することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記実施形態では、ステアリングの調整としてチルト角の調整を行っているが、ステアリングがテレスコピックステアリングである場合におけるステアリングの前後位置の調整を行うこともできる。
また、上記第3の実施形態では、ドライバが緊急退避支援を行うことについて確認しているか否かを判断しているが、この判断工程を省略し、衝突危険度算出工程から始めることもできる。さらに、上記第3の実施形態では、衝突危険度が低い場合にドライバ危険度が高いか否か判断を行っているが、衝突危険度の判断を行うことなく、そのままドライバ危険度が高いか否かの判断を行うこともできる。
1…環境情報検出部、2…車両情報検出部、3…ドライバ状態認識装置、4…判定処理ECU4、5…運転支援HMI、6…各種運転支援システム、7…各種走行制御装置、8…アクチュエータ類、C…交差点、H…歩行者、M…緊急退避支援装置。
Claims (9)
- 車両のドライバの運転操作によらず前記車両を安全な位置に停止させる緊急退避支援装置であって、
前記車両のドライバに対して前記緊急退避支援の開始の意思を確認する意思確認手段と、
前記車両に搭載された座席シートおよびステアリングの位置のうちの少なくとも一方の位置を調整する位置調整手段と、を備え、
前記位置調整手段は、前記意思確認手段によって、ドライバの意思が確認された場合に、前記座席シートおよび前記ステアリングのうちの少なくとも一方の位置を、あらかじめ設定された位置に調整することを特徴とする緊急退避支援装置。 - 前記あらかじめ設定された位置は、前記車両と前記車両の周囲の障害物との衝突時におけるドライバの安全性を高めるように設定された位置である請求項1に記載の緊急退避支援装置。
- 前記車両における前記車両の周囲の障害物との衝突可能性を判断する衝突可能性判定手段をさらに備え、
前記位置調整手段は、前記意思確認手段によって、ドライバの意思が確認され、かつ前記衝突可能性判定手段によって判定された衝突可能性が所定のしきい値を超えたときに、前記座席シートおよび前記ステアリングのうちの少なくとも一方の位置を、あらかじめ設定された位置に調整する請求項1または請求項2に記載の緊急退避支援装置。 - ドライバの危険状態を判定するドライバ危険状態判定手段をさらに備え、
前記位置調整手段は、前記ドライバ危険状態判定手段によって、前記ドライバが危険状態であると判定された場合に、前記位置の調整を中止する請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載の緊急退避支援装置。 - ドライバの危険状態を判定するドライバ危険状態判定手段をさらに備え、
前記位置調整手段は、前記衝突可能性判定手段によって判定された衝突可能性が所定のしきい値以下であると判定されるとともに、前記ドライバ危険状態判定手段によって、前記ドライバが危険状態であると判定された場合に、前記位置の調整を中止する請求項3に記載の緊急退避支援装置。 - ドライバの危険状態を判定するドライバ危険状態判定手段をさらに備え、
前記位置調整手段は、前記ドライバ危険状態判定手段によって、前記ドライバが危険状態であると判定された場合に、前記座席シートおよび前記ステアリングのうちの少なくとも一方の位置を、前記ドライバの体勢的負担が軽減される負担軽減位置に調整する請求項4または請求項5に記載の緊急退避支援装置。 - ドライバの危険状態を判定するドライバ危険状態判定手段をさらに備え、
前記位置調整手段は、前記衝突可能性判定手段によって判定された衝突可能性が所定のしきい値以下であると判定されるとともに、前記ドライバ危険状態判定手段によって、前記ドライバが危険状態であると判定された場合に、前記座席シートおよび前記ステアリングのうちの少なくとも一方の位置を、前記ドライバの体勢的負担が軽減される負担軽減位置に調整する請求項3に記載の緊急退避支援装置。 - 前記位置調整手段は、前記座席シートおよび前記ステアリングのうちの少なくとも一方の位置の調整を開始した後、前記座席シートの位置調整およびステアリングの位置調整のドライバによる調整操作を無効化する請求項1〜請求項7のうちのいずれか1項に記載の緊急退避支援装置。
- 前記位置調整手段は、前記座席シートおよび前記ステアリングのうちの少なくとも一方の位置の調整を開始した後、前記車両のドアの開放操作、シートベルトの解除操作、およびウィンドウの開放操作の各操作のうち、少なくとも1つの操作を無効化する請求項1〜請求項8のうちのいずれか1項に記載の緊急退避支援装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012164005A JP2014026332A (ja) | 2012-07-24 | 2012-07-24 | 緊急退避支援装置 |
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-
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- 2012-07-24 JP JP2012164005A patent/JP2014026332A/ja active Pending
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