JP2014018501A - パン生地製造機及びその生地を用いた自動製パン器 - Google Patents

パン生地製造機及びその生地を用いた自動製パン器 Download PDF

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【課題】切削混練手段によって米粒から米ペーストを作製する際の磨り潰しの効率を向上させ、より短い時間で滑らかな米ペーストを作製し、静音化や低振動化および溶液の飛び跳ねを防止し、かつパン生地の捏ね性能が優れ、簡単に生米を使ったおいしいパンができるようにすること。
【解決手段】切削混練手段27が容器の略中央部から略遠心方向に向かって全高が略L字型に低下する形状とした混練部28と、前記、容器23の底面に略平行の切削部29とから構成され、生米より柔らかくなった米を切削するため、米ペーストを作製する際の静音化や低振動化が図れ、パン生地の捏ねから焼成までの種々の工程を自動製パン器で一貫して行うことで、できあがりが安定した生米を用いた製パンができるようになる。
【選択図】図1

Description

本発明は、主として一般家庭で手軽にパンを焼くことができるパン生地の自動製造機および自動製パン器に関して、生米を加熱しつつ米の糊化度を調整し、米パン生地を自動的に生成する機器および自動製パン器に関するものである。
従来、古くから食パンや菓子パン等のパン作りは、温度管理が難しいイースト菌を必要とすること、捏ねを十分に行わなければ出来映えの良いものが得られず業務用の製パン器に頼っていた。
例えば、パン作りの一連の工程は、先ず、水を始めとして小麦粉、塩、砂糖、スキムミルク、ショートニングのミックス粉と、ドライイーストを水に触れないようにしてパンケース内に投入した後、それぞれの材料を十分に混合する捏ね工程と、その後捏ね上った生地を休めて25〜32度程度に加温して発酵させて膨らませる一次発酵工程と、その後、生地を僅かの時間捏ねて生地中の余分なガス(気泡)を抜くガス抜き工程と、その後生地内に残ったガスをつぶさないようにして成形する生地丸め工程と、さらにその後、生地を1時間程度休ませて発酵させる二次発酵工程と、その後160〜180度で焼く焼成工程とから構成されており、これらの工程を順序よく進めなければならない。
そこで、パン材料の捏ねから焼成までの種々の工程をマイクロコンピュータのプログラムに基づいて自動的に実行し、一般家庭で手軽にパンを焼くことができる自動製パン器が世の中に普及してきている(例えば、特許文献1参照)。
図12は特許文献1に記載された従来の自動製パン器のレーズン入り食パンの調理工程図である。図12に示すように、従来の自動製パン器はパン材料の捏ねから焼成までの種々の工程をマイクロコンピュータのプログラムに基づいて、自動的に実行するようになっていて、一般家庭で手軽にパンを焼くことができるようになっている。
また、低コストで取り扱いが簡単な製パン器能付き炊飯器も考えられた(例えば、特許文献2参照)。
図13は特許文献2に記載された製パン器能付き炊飯器の炊飯時の状態を示す断面図である。
図13に示すように、製パン器能付き炊飯器によれば、容器1は加熱室2内に着脱自在に設けられ、容器1の開口部は内蓋3によって選択的に塞ぐことが可能となり、練り羽根4はモータと制御部とによって選択的に回転される。そのため、内蓋3を付すことで容器1を密封して炊飯を行うことができ、内蓋3を取り外した状態で練り羽根4を回転させて製パンを行うことができる。従って、容器1を共通にして炊飯と製パンを行うことができるので、コスト的に有利である。また、容器1を加熱室2から取り外して洗浄作業、洗米を入れる作業などを行うことができるとともに、容器1を加熱室2に入れるだけで係合部を介して練り羽根4とモータとの連結が行われるので、取り扱いが簡単である。
さらに、近年、食生活の欧米化、消費者の嗜好の変化等により米の消費量が低迷してきていることから、この低迷に歯止めをかけ、より米の消費量の増大を図る取り組みが推進されている。その推進策として、米を主原料としたこれまでの加工食品、例えば餅、煎餅、団子等以外にも広げるべく、米を主原料にした製パン技術が開発され、米粉パンが市販
されている。この米粉パンは、小麦粉パンに比べて、多糖類の含有量が多く、しっとりした良好な感触と自然な甘味が得られ、また餅のように喉に詰まる恐れが少なく、更に少量を食するだけで満腹感が得られることから、消費者間で人気を博しており、更にまた、小麦粉を混入しない米粉パンは小麦アレルギーを持つ消費者にとって待望された食材となってきている。
そこで、より簡易に米粉パンができるように、米粉を入手しなくても、自動製パン器で、家庭にある米をそのまま粉砕してパンにする装置が考えられた(例えば、特許文献3参照)。
図14は特許文献3に記載された従来の生地製造器の断面図、図15は加熱調理食品生地製造工程の全体フローチャートである。
図15に示すように、加熱調理食品生地製造方法は、所定量の穀物粒と所定量の液体の混合物の中で粉砕ブレードを回転させて、穀物粒を粉砕する粉砕工程#20と、粉砕穀物粒と液体の混合物からなる生地原料を練りブレードで生地に練り上げる練り工程#30からなる。
そして、穀物粒からパン用の生地を製造するときは、図14に示すように生地製造器11を次のように用いる。蓋12を外し、容器13の中に所定量の穀物粒と所定量の液体を入れた後、再び蓋12を嵌め込んで、粉砕前含浸工程#10を実行する。粉砕前含浸工程#10の間、加熱手段14で容器を加熱し、液体(この場合は水)の温度を上げると含浸が進む。粉砕前含浸工程の最初でブレード15を回転させ、その後も時々ブレード15を回転させて穀物粒の表面に傷をつけると、穀物粒の吸液が促され、含浸を早く完了させることができる。
粉砕工程#20に入ったらブレード15を高速回転させ、穀物粒を粉砕する。これにより、粉砕穀物粒と液体の混合物からなる生地原料が形成される。練り工程#30ではブレード15を低速回転させ、生地原料を捏ねて一つにつながった生地を練り上げる。
練り工程#30の冒頭で蓋12を開け、所定量のグルテンと、必要に応じ所定量の調味材料を生地原料に投入する。蓋12を閉じ、ブレード15を低速回転させて、生地原料及びそれに投入されたグルテンや調味材料を混練する。この過程で生地の温度が上昇するので、後に投入される発泡誘起材料がドライイーストである場合には、適当なタイミングで冷却手段16により容器13を冷却し、中の生地を冷やす。なお冷却の場合も加熱の場合も、容器13の温度を温度センサ17で監視し、正確な温度が得られるようにする。
発泡誘起材料を投入する時機になったら、蓋12を開けて生地に所定量の発泡誘起材料を投入する。蓋12を閉め、ブレード15を低速回転させて生地と発泡誘起材料を混練し、生地を完成させる。
その後、生地を容器13から取り出して、あるいは生地を容器13に入れたままで、生地の発泡が進むのを待つ。所望の発泡を得られたら生地をパン焼き装置に入れ、パンを焼く。
このように、同一の容器13内で粉砕前含浸工程#10から練り工程#30まで進行させることにより、ある工程から他の工程に移行する際に内容物を別の容器に移し替える必要がなく、時間を短縮できる。また、穀物粒や生地原料の一部が前の工程で使用した容器の内面に残り、少しずつ目減りするという問題もなくなる。
特開2002−360441号公報 特開2008−18122号公報 特開2010−35475号公報
しかしながら、特許文献1で用いられるパンの材料は、小麦粉を主原料とするものを主としており、特に、米を材料として改善されたものではなく、また、特許文献2では炊飯機能は有するものの、特許文献1と同様に、製パンに関しては米を材料として改善されたものではない。
さらに、特許文献3では、米粉を入手しなくても、より簡易に米粉パンができるように、製粉工程を経ることなく穀物粒(具体的には米粒)から加熱調理食品生地を製造する方法として、所定量の穀物粒と所定量の液体の混合物の中でブレード15を回転させて穀物粒を粉砕する粉砕工程を有するようになっているが、所定量の穀物粒を粉砕するようになっているため、どうしても、粉砕に関する課題を生じてしまっていた。
そして、粉砕に関する課題としては、液体の混合物の中でブレード15を回転させて穀物粒を粉砕して微細粒とするためには、非常に多くの時間を要してしまうとともに、ブレード15を回転させて穀物粒を粉砕するときには大きな音や振動を伴うため、夜間に穀物粒を粉砕することがためらわれるという心配もあった。
さらに、ブレード15を回転させて穀物粒を粉砕することによって、粒度分布のばらつきが大きくなったり、平均粒子径が大きくなったり、澱粉損傷の割合が増加するといった製パン性能に悪影響を及ぼす因子が多く存在するという課題を有している。また、製パン終了後はブレード15に生地がまとわり付いた状態で焼き上がるために、パンの取り出しが非常に困難となって使い勝手を悪化させていた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、生米を加熱しつつ米の糊化度を調整し米パンを自動で作製する機器において、切削混練手段によって米粒から米ペーストを作製する際の磨り潰しの効率を向上させ、より短い時間で滑らかな米ペーストを作製することが可能となる。さらに、静音化や低振動化および溶液の飛び跳ねを防止し、かつパン生地の捏ね性能が優れ、簡単に生米を使ったおいしいパンができる自動製パン器を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明のパン生地製造機は、被調理材を収容する容器と、前記容器の周囲に配設し前記容器を加熱する加熱手段と、前記容器内の被調理材を切削および混練する切削混練手段を有し、前記容器に前記被調理材の一部に少なくとも生米と水を投入して加熱し米澱粉を糊化させて米ペーストを作製するようにし、前記切削混練手段を動作させることによって、前記米ペーストが前記容器の略中央部から略遠心方向に向かい、前記容器の壁面に到達した後、略中央部に向かうように流れるようにしたパン生地製造機とした。
上記の構成により、切削混練手段が回転することで、生米より柔らかくなった米を切削しながら磨り潰す。つまり、混練部は米を押し退けながら切削部と容器底面との隙間に押し込み、切削部は米を容器底面に押付けながら切削する。米にせん断力を作用させることで、米粒が徐々に小さく磨り潰されていく。この過程において、米を効率よく磨り潰すた
めには米ペーストが中央部から遠心方向に向かい容器の壁面に到達した後、中央部に向かうように流れる流れを作り出すことが重要であり、これによって全米粒が万遍無く切削部に導かれるようになり効率よく米粒が磨り潰される。
また、生米と水を加熱し米を糊化させて切削混練手段で米ペーストを作製し、その米ペーストを用いてパンを作製するようにしてあるので、米を被調理材としたパンにおいて、生米を米粉に粉砕する必要がないため、静音化や低振動化が図れるようになる。また、米の粉砕により粒度分布のばらつきが大きくなったり、平均粒子径が大きくなったり、澱粉損傷の割合が増加するといった製パン性能に悪影響を及ぼす心配もなく、簡単に米を使ったおいしいパンができるようになる。
米を加熱することで出来上がったパンはマルトース含有量が多くなるために、しっとりした良好な感触と自然な甘味が得られ、砂糖の使用量を減らしたりそのまま食べても非常に美味しく食することが出来、日持ちの良いパンとなる。
特に、米ペーストを用いて作製するパンは、小麦粉を主とした従来のパンと共通するようなパンのメニュー例えば食パンやレーズンなどの具入りパンが出来るので、工程選択手段で米の糊化度を調整した米ペーストを用いて作製するパンかあるいは小麦粉を主とした従来のパンかを選択してパンのメニューを選ぶことが出来、使用者にとって判りやすく、操作性のよい機器を提供できるようになる。
また、前記従来の課題を解決するために、本発明の自動製パン器は、被調理材を収容する容器と、前記容器の周囲に配設し前記容器を加熱する加熱手段と、前記容器内の被調理材を切削および混練する切削混練手段と、前記被調理材の温度を直接的或いは間接的に検出する温度検知手段と、操作条件を設定する操作部と、前記操作部で設定された条件と、前記温度検知手段で検出された前記被調理材の温度に基づき、前記加熱手段および切削混練手段を駆動制御し前記被調理材の切削から焼成までを自動的に行う制御手段とを備え、前記容器に前記被調理材の一部に少なくとも生米と水を投入して加熱し米澱粉を糊化させて米ペーストを作製するようにし、前記切削混練手段を動作させることによって、前記米ペーストが前記容器の略中央部から略遠心方向に向かい、前記容器の壁面に到達した後、略中央部に向かうように流れるようにし、前記米ペーストを用いてパンを作製する米パン工程を有したものである。
これによって、生米と水を加熱し米を糊化させて切削混練手段で米ペーストを作製し、その米ペーストを用いてパンを作製するようにしてあるので、米を被調理材としたパンにおいて、生米を米粉に粉砕する必要がないため、静音化や低振動化が図れるようになる。また、米の粉砕により粒度分布のばらつきが大きくなったり、平均粒子径が大きくなったり、澱粉損傷の割合が増加するといった製パン性能に悪影響を及ぼす心配もなく、簡単に米を使ったおいしいパンができるようになる。
米を加熱することで出来上がったパンはマルトース含有量が多くなるために、しっとりした良好な感触と自然な甘味が得られ、砂糖の使用量を減らしたり、そのまま食べても非常に美味しく食することが出来、日持ちの良いパンとなる。
特に、米ペーストを用いて作製するパンは、小麦粉を主とした従来のパンと共通するようなパンのメニュー例えば食パンやレーズンなどの具入りパンが出来るので、工程選択手段で米の糊化度を調整した米ペーストを用いて作製するパンかあるいは小麦粉を主とした従来のパンかを選択してパンのメニューを選ぶことが出来、使用者にとって判りやすく、操作性のよい機器を提供できるようになる。
本発明の自動製パン器は、切削混練手段が回転することで、生米より柔らかくなった米を効率よく切削するため、高回転で生米を米粉に粉砕する必要がないため、製パンする際の静音化や低振動化が図れ、パン材料の捏ねから焼成までの種々の工程を自動製パン器で一貫して行うことで、できあがりが安定した米を用いた製パンができるようになる。
さらに、米を加熱することで出来上がったパンはマルトース含有量が多くなるために、しっとりした良好な感触と自然な甘味が得られ、砂糖の使用量を減らしたり、そのまま食べても非常に美味しく食することが出来る。
本発明の第1の実施の形態における自動製パン器の要部断面図 本発明の第1の実施の形態における自動製パン器の容器と切削混練手段の要部断面図 本発明の第1の実施の形態における自動製パン器の容器と切削混練手段の要部断面図 本発明の第1の実施の形態における自動製パン器の容器と切削混練手段の要部拡大図 本発明の第1の実施の形態における自動製パン器の容器と切削混練手段の要部拡大断面図 本発明の第1の実施の形態における自動製パン器のパン生地の捏ね状態を示した模式図 本発明の第1の実施の形態における自動製パン器の制御ブロック図 本発明の第1の実施の形態における自動製パン器の操作部の表示例図 本発明の第1の実施の形態における自動製パン器の小麦粉を主としたパンの工程図 本発明の第1の実施の形態における自動製パン器の生米から作製した米ペーストを用いて作製するパンの工程図 本発明の第1の実施の形態における自動製パン器の生米から作製した米ペーストを用いて作製するパンの工程のフロー図 特許文献1に記載された従来例における自動製パン器のレーズン入り食パンの調理工程図 特許文献2に記載された従来例における製パン器能付き炊飯器の炊飯時の状態を示す断面図 特許文献3に記載された従来例における生地製造器の断面図 特許文献3に記載された従来例における加熱調理食品生地製造工程の全体フローチャート
第1の発明は、被調理材を収容する容器と、前記容器の周囲に配設し前記容器を加熱する加熱手段と、前記容器内の被調理材を切削および混練する切削混練手段を有し、前記容器に前記被調理材の一部に少なくとも生米と水を投入して加熱し米澱粉を糊化させて米ペーストを作製するようにし、前記切削混練手段を動作させることによって、前記米ペーストが前記容器の略中央部から略遠心方向に向かい、前記容器の壁面に到達した後、略中央部に向かうように流れるようにしたパン生地製造機を提供する。
上記の構成により、切削混練手段が回転することで、生米より柔らかくなった米を切削しながら磨り潰す。つまり、混練部は米を押し退けながら切削部と容器底面との隙間に押し込み、切削部は米を容器底面に押付けながら切削する。米にせん断力を作用させることで、米粒が徐々に小さく磨り潰されていく。この過程において、米を効率よく磨り潰すた
めには米ペーストが中央部から遠心方向に向かい容器の壁面に到達した後、中央部に向かうように流れる流れを作り出すことが重要であり、これによって全米粒が万遍無く切削部に導かれるようになり効率よく米粒が磨り潰される。
第2の発明は、被調理材を収容する容器と、前記容器の周囲に配設し前記容器を加熱する加熱手段と、前記容器内の被調理材を切削および混練する切削混練手段と、前記被調理材の温度を直接的或いは間接的に検出する温度検知手段と、操作条件を設定する操作部と、前記操作部で設定された条件と、前記温度検知手段で検出された前記被調理材の温度に基づき、前記加熱手段および切削混練手段を駆動制御し前記被調理材の切削から焼成までを自動的に行う制御手段とを備え、前記容器に前記被調理材の一部に少なくとも生米と水を投入して加熱し米澱粉を糊化させて米ペーストを作製するようにし、前記切削混練手段を動作させることによって、前記米ペーストが前記容器の略中央部から略遠心方向に向かい、前記容器の壁面に到達した後、略中央部に向かうように流れるようにし、前記米ペーストを用いてパンを作製する米パン工程を有した自動製パン器を提供する。
生米と水を加熱し米を糊化させて切削混練手段で米ペーストを作製し、その米ペーストを用いてパンを作製するようにしてあるので、米を被調理材としたパンにおいて、生米を米粉に粉砕する必要がないため、静音化や低振動化が図れるようになる。また、米の粉砕により粒度分布のばらつきが大きくなったり、平均粒子径が大きくなったり、澱粉損傷の割合が増加するといった製パン性能に悪影響を及ぼす心配もなく、簡単に米を使ったおいしいパンができるようになる。
米を加熱することで出来上がったパンはマルトース含有量が多くなるために、しっとりした良好な感触と自然な甘味が得られ、砂糖の使用量を減らしたり、そのまま食べても非常に美味しく食することが出来、日持ちの良いパンとなる。
特に、米ペーストを用いて作製するパンは、小麦粉を主とした従来のパンと共通するようなパンのメニュー例えば食パンやレーズンなどの具入りパンが出来るので、工程選択手段で米の糊化度を調整した米ペーストを用いて作製するパンかあるいは小麦粉を主とした従来のパンかを選択してパンのメニューを選ぶことが出来、使用者にとって判りやすく、操作性のよい機器を提供できるようになる。
第3の発明は、特に第2の発明の切削混練手段は、混練部と、中央部から遠心方向に向かって前記容器の底面との隙間が小さくなるようにした切削部とから構成することにより、米ペーストが容器の中央部から遠心方向に向かい、容器の壁面に到達した後、中央部に向かうような流れを作ることができるとともに、中央部から遠心方向に向かって米粒が徐々に小さく磨り潰される。
米粒が中央部付近から切削部と容器底面との隙間に入り込み、遠心方向に向かって米粒が徐々に磨り潰されながら小さくなり、遠心方向に向かって隙間が小さくなっている切削部と容器の底面との隙間に沿って米ペーストが流動し、容器の壁面に到達した後、中央部に向かうような流れを作り出すことができる。この流れの中で、米粒は効率的に切削されて徐々に小さくなっていく。
また、混練部によって磨り潰された米ペーストに小麦を混ぜ合わせて捏ねることでグルテンを形成させ、パンの膨らみや食感を良化させる。一般的に、食パンはふっくらとしてキメが細かいものが好まれるため、むら無く生地を引き伸ばしながら丁寧に混ぜ合わせていく必要がある。よって、丸くまとまった生地を混練部で位置を規制しつつ回転させながら引き伸ばして、米を含む良質のグルテンネットワークを効率よく生成させる。米を含む良質のグルテンネットワークとは、米がグルテンネットワークの中に均一に存在し、それ
が網目状に生地全体に張り巡らされている様を指し、糊化した米をパン生地に用いる際の重要な点である。
第4の発明は、特に第3の発明の切削部には、略遠心方向に向かって前記米ペーストの流れを規制する凹凸部を設けたことで、米ペーストが容器の中央部から遠心方向に向かい、容器の壁面に到達した後、中央部に向かうような流れを確実に作り出すことができるとともに、凹凸部で米粒が徐々に小さく磨り潰される。
米粒が中央部付近から切削部と容器底面との隙間に入り込み、遠心方向に向かって凹凸部で米粒が徐々に磨り潰されながら小さくなり、遠心方向に凹凸部沿って米ペーストが流動し、容器の壁面に到達した後、中央部に向かうような流れを作り出すことができる。この流れの中で、米粒は効率的に切削されて徐々に小さくなっていく。
第5の発明は、特に第3または第4の発明の混練部は、前記容器の略中央部から略遠心方向に向かって全高が略L字型に低下する形状とすることで、混練部は米を押し退けながら切削部と容器底面との隙間に押し込み、切削部は米を容器底面に押付けながら効率よく切削することができる。また、溶液が激しく波打ったり飛び散ったりすることを防ぐことができる。
生米と水を加熱し米を糊化させながら切削混練手段で磨り潰す際の初期段階は溶液の粘度が低く、この場合には傾斜部の回転周速が最も速くなる側面部側では、溶液と傾斜部が衝突するエネルギーが最も大きくなるため、溶液が激しく波打ったり飛び散ったりする可能性がある。そこで、傾斜部の回転周速が最も速くなる側面部側の全高を凸部側より低くすることで、見かけ上の表面積が低下し衝突エネルギーが小さくなることで溶液が激しく波打ったり飛び散ったりすることを防ぐことができる。
第6の発明は、特に第2〜5のいずれか1つの発明において、被調理材と容器近傍を冷却する冷却手段を配設した自動製パン器とすることにより、米ペーストの温度がイースト菌の死滅する温度以下になるまで冷却するようにした構成としている。
米ペーストを作製するときから、焼成してパンに作り上げるときまで、適宜冷却手段を作動することで、加熱して米の糊化度を調整するときにその熱でイースト菌が死滅しないようにしたり、米ペーストを冷ます時間の短縮を図ることが出来るようになる。つまり、米ペーストから製パンするときの温度調節をすることが出来、より米ペーストから作製する米パンの製パン性能を向上させることができるようになる。
特に、パンをふくらませる働きをするイースト菌は、4℃以下になると活動が停止し60℃以上で死滅し、27℃〜30℃が活発に働く温度として、一次発酵に丁度よい温度で、再発酵(仕上げ発酵)させる時は35℃〜38℃とやや高めで発酵させるようになっており、温度管理が必要で、ペースト作製直後のごはんは温度が高いため、イースト菌を投入することが出来ない。
ここで、冷却手段は、米ペーストを作製してから、イースト菌を投入するまでの間に作動させ、米ペーストの温度がイースト菌の死滅する温度以下になるまで冷却するようにした構成としてあるので、米ペーストの温度を適正な温度に素早く下げることが出来、製パン性の向上と製パンにかかる時間の短縮を図ることが出来るようになる。
第7の発明は、特に第2〜6のいずれか1つの発明の操作部に、米パン工程を選択する工程選択手段を配設した自動製パン器とすることで、吸水した米を糊化させて米ペーストを作製しその米ペーストを用いてパンを作製する米パン工程を選択する工程選択手段を有
するので、小麦粉を主とした従来のパンの作製と簡単に切り替えられ、使用者の好みにあったパンを手軽に製パン出来るようになる。
特に、米を糊化させて磨り潰した米ペーストを用いて作製するパンは、小麦粉を主とした従来のパンと共通するようなパンのメニュー例えば食パンやレーズンなどの具入りパンが出来るので、工程選択手段で米の糊化度を調整した米ペーストを用いて作製するパンかあるいは小麦粉を主とした従来のパンかを選択してパンのメニューを選ぶことが出来、使用者にとって判りやすく、操作性のよい機器を提供できるようになる。
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における自動製パン器の要部断面図、図2と図3は本発明の第1の実施の形態における自動製パン器の容器と切削混練手段の要部断面図、図4は本発明の第1の実施の形態における米ペーストの流れイメージと容器と切削混練手段の要部拡大図、図5は本発明の第1の実施の形態における容器と切削混練手段の要部拡大断面図、図6は本発明の第1の実施の形態におけるパン生地の捏ね状態を示した模式図、図7は本発明の第1の実施の形態における自動製パン器の制御ブロック図、図8は本発明の第1の実施の形態における自動製パン器の操作部の表示例図、図9は本発明の第1の実施の形態における小麦粉を主とした従来のパンの工程図、図10は本発明の第1の実施の形態における生米から作製した米ペーストを用いて作製するパンの工程図、図11は本発明の第1の実施の形態における生米から作製した米ペーストを用いて作製するパンの工程のフロー図である。
図1〜5に示すように、本実施の形態における自動製パン器は、機器本体21内部に設けた焼成室22と、焼成室22内に着脱自在に収納され被調理材を収容する有底の容器23が配設してある。
この容器23には、Dカット部を形成した回転軸24が底面を貫通して配置され、回転軸24は動力伝達手段25を介してモータ26と連結している。容器23内で回転し被調理材を切削および混練する切削混練手段27が配されている。
切削混練手段27は混練部28と切削部29とボス30が一体に構成され、ボス30は回転軸24に嵌合しており、回転方向Nに回転可能となっている。
混練部28は、一辺を遠心方向に配置し垂直に倒立した平板形状であり、容器23の中央部から遠心方向に向かって全高がL字型に低下する形状とし、凸部31と傾斜部32と側面部33から成り、容器23の中央部から遠心方向に向かって凸部31、傾斜部32、側面部33の順に位置し、凸部31は容器23の中央部に位置し、切削混練手段27の回転軸24上方向に突出した形状を有する。
傾斜部32は、凸部31と接続される部分から遠心方向に向かって全高が低下するように形成され、側面部33は、容器23側面の最近傍に位置し、傾斜部32と接続される部分から回転方向Nと逆方向Mに壁面が形成され容器23の側周面に平行に設けられている。
図4に示すように切削部29は中央部から遠心方向に向かって放射状に凹凸部29aが設けられている。さらに図5に示すように切削部29は中央部から遠心方向に向かって、容器23の底面との隙間が小さくなるように構成されている。
切削部29と容器23の底面との最小間隙および側面部33と容器23の側周面との隙間は、約0.5mm以上に設定されている。
容器23の横方向断面は略楕円形状となっており、側面部33と容器23の側周面とが最も近接する状態を図3に示し、側面部33と容器23の側周面とが最も離間する状態を図2に示している。
また、機器本体21の上部には開口部を覆う開閉自在な外蓋34が設けてあり、焼成室22内の下方の容器23の外周に位置して外周部より容器23を加熱する加熱手段35が設けてある。
そして、容器23の温度を検知して被調理材の温度を間接的に検出する温度検知手段36が容器23に当接して設けてあり、温度検知手段36で検出された被調理材の温度に基づき、機器本体21上部に配設した操作部37で設定された設定内容に対応する所定のシーケンスで、制御部38によって加熱手段35および切削混練手段27(モータ26)を駆動制御し、被調理材の加熱および切削あるいは混練から焼成までを自動的に行うようになっている。
なお、機器本体21の上部の外蓋34の内部には、イースト菌を自動投入するイースト菌自動投入器40と、小麦粉などの粉を投入する粉自動投入器41と、具材を投入する具材自動投入器42が配設してあり、さらに、容器23の上部に位置し焼成室22に配設した吸い込み口43から吸引して該機器本体21外へ排出する冷却手段である送風ファン44が設けてあり、加熱して米の糊化度を調整した米ペーストを作製するときから、焼成してパンに作り上げるときまで、所定のシーケンスで適宜、送風ファン44を作動するようにしてある。
また、粉自動投入器41には、粉が固まって落ちにくいので、粉自動投入器41に接して振動を与えて粉を落としやすいようにバイブレーター45が設けてあり、この粉自動投入器41は米ペーストを用いてパンを作製する米パン工程の米の糊化度を調整する加熱時に、一緒に加熱することのできない小麦粉や上新粉あるいは餅粉などの被調理材を後から投入する必要性があるものを、適切な投入時期に自動的に投入するものである。
さらに、該機器の雰囲気温度などの影響により温度検知手段36で検出された被調理材の温度が所定の温度より低いときは、加熱手段35で加熱するとともに、温度検知手段36で検出された被調理材の温度が所定の温度より高いときは、被調理材の発酵時間を短縮するなど、温度検知手段36で検出する温度によって調整するようにしてある。
そしてまた、図7に示すように、操作部37には、小麦粉を主とした従来のパンの工程と、米ペーストを作製しその米ペーストを用いてパンを作製する米パン工程を選択する工程選択手段50と表示部51が設けてあり、表示部51に工程毎の設定内容を表示し、例えば食パンやレーズンなどの具入りパンなどのそれぞれの工程に共通のメニューと、上記工程の単独メニューを表示してメニュー選択手段52で選べるようになっている。
さらに、操作部37には、米ペーストを用いてパンを作製する米パン工程のときに、該機器で使用する米量を設定する米量設定手段53と、できあがりのパンにおける米の含有割合を変化させる割合選択手段54が設けてあり、米量設定手段53で設定された米の量と割合選択手段54で選択された含有割合に基づき、米以外の使用する前記被調理材の量を表示部51に表示するようになっている。
また、操作部37には、パン工程を開始させるスタートボタン55が配設してあり、上述の設定した条件で、パン工程を開始させるようになっている。
以上のように構成された自動製パン器について、それぞれの工程のパンの作製について説明する。
まず、小麦粉を主とした従来のパンの工程についてすると、図9に示すように、はじめに操作部37で小麦粉を主とした従来のパンの工程を選択して(ステップ101)、表示部51に、例えば食パンやレーズンなどの具入りパンなどの共通のメニューあるいは小麦粉を主とした従来のパンの個別のメニューを表示して(ステップ102)、メニュー選択手段52で選択する(ステップ103)。
つぎに、選択された内容に基づき表示部51に必要な具材の量を表示して(ステップ104)、使用者が確認して小麦粉や、イースト菌などの具材を該機器にセットし(ステップ105)、準備が完了したら、スタートボタン55を押して、該機器の製パンを開始させる(ステップ106)。
該機器は、操作部37で設定された設定内容に対応する所定のシーケンスで、温度検知手段36で検出された前記被調理材の温度に基づき、加熱手段35および切削混練手段27を駆動制御し、ねり、ねかせ、発酵、焼き上げを組み合わせて、小麦粉を主とした従来のパンを作製する(ステップ107)。ここでは、ねり、ねかせ、発酵、焼き上げのシーケンスについては詳細な説明は省略する。
次に、吸水した米が加熱手段35および切削混練手段27を駆動制御することにより加熱制御されることによって米の糊化度を調整した米ペーストを作製するようにし、その米ペーストを用いてパンを作製する代表的な米パン工程について説明する。
図10に示すように、はじめに操作部37で吸水した米の糊化度を調整した米ペーストを作製しその米ペーストを用いてパンを作製する米パン工程を選択して(ステップ201)、
つぎに、米量設定手段53で該機器での米の糊化度を調整する米量を設定する(ステップ202)とともに、割合選択手段54でできあがりのパンの米の含有割合を選択する(ステップ203)。
つぎに、表示部51に、例えば食パンやレーズンなどの具入りパンなどの共通のメニューあるいは米ペーストを作製しその米ペーストを用いてパンを作製する米パンの個別のメニュー(出来上がりの米パンの食味:甘い、しっとり感など)および米種を表示して(ステップ204)、メニュー選択手段52で選択する(ステップ205)。
つぎに、選択された内容に基づき表示部51に必要な具材の量を表示して(ステップ206)、使用者が確認して容器23に水と米を所定量投入するとともに、イースト菌自動投入器40にイースト菌を、粉自動投入器41にグルテン、小麦粉等の粉品を、そして、具材自動投入器42に具材を所定量セットし(ステップ207)、準備が完了したら、スタートボタン55を押して、該機器の製パンを開始させる(ステップ208)。
該機器は、操作部37で設定された設定内容に対応する所定のシーケンスで、温度検知手段36で検出された前記被調理材の温度に基づき、加熱手段35および切削混練手段27を駆動制御し、米の糊化度調整、磨り潰し、ねり、ねかせ、発酵、焼き上げを組み合わせて、米の糊化度を調整した米ペーストを作製しその米ペーストを用いてパンを作製する(ステップ209)。
ここで、米の糊化度調整、磨り潰し、ねり、ねかせ、発酵、焼き上げの米の糊化度調整と製パンのフローは、図11に示すように、ステップ211で米の糊化度を調整する。ス
テップ211では、制御部38が間欠的に駆動し、動力伝達手段25を介して減速して回転軸24を回転させるので、切削混練手段27が米と水を攪拌しながら回転する。
同時に、制御部38が温度検知手段36で検出する温度によって加熱手段35への通電を制御して、糊化度調整のための加熱温度を生米のでんぷんの糊化が始まるデンプン糊化温度付近(例えばこしひかりなどの米種を選択した場合には60〜65℃、選択した米種に合わせて自動で50℃〜80℃の範囲で加熱温度設定される)に維持する。
この時、容器23内の水は米が十分に溶けた状態ではないため粘度が低く、切削混練手段27の回転動作によって、水面が波打ったり、飛沫が飛び跳ねたりする。切削混練手段の傾斜部が傾斜していない長方形の場合には、傾斜部32の回転周速が最も速くなる側面部33側では、溶液と傾斜部32が衝突するエネルギーが最も大きくなるため、溶液が激しく波打ったり飛び散ったりする。
しかしながら、傾斜部32の回転周速が最も速くなる側面部33側の全高を凸部31側より低くすることで、見かけ上の表面積が低下し衝突エネルギーが小さくなることで、溶液が激しく波打ったり飛び散ったりすることを防ぐことができる。
そして、所定時間が経過すると、生米が水分を含み加熱されることで柔らかくやや粉砕された状態でステップ211を終了する。
なお、切削混練手段27が生米と湯の状態で攪拌することで、生米の吸水を素早く均一にすることができ、また、湯の温度分布を均一にすることができる。
また、容器23に生米と水を投入し加熱して糊化度を調整するときに、一般的な炊飯温度(100℃)より低い澱粉糊化温度で加熱するようにしてあるので、炊飯時の加熱量を小さくでき、該機器の機体温度の上昇を抑えることが出来るようになる。
また、この米の糊化度調整中には、送風ファン44を作動させて、容器23の上部の焼成室22内の蒸気を含む温度の高い空気を該機器本体21外へ排出する様になっている。
次にステップ212が開始され、ステップ211と同様に制御部38がモータ26を駆動して切削混練手段27を撹拌しながら回転させる。そして、澱粉糊化温度で加熱された米は生米に比べて柔らかいので回転する切削混練手段27により磨り潰される。
図4に示すように、混練部28は米を押し退けながら混練部28と切削部29との曲面に沿って(矢印S方向)、米を切削部29と容器23の底面との間隙に押し込む。また、同時に側面部33と容器23の側面との隙間にも米が押し込められる。
そして、切削部29が米をボス30の直径より長い距離を移動させ、容器23の底面に押付けながら十分に磨り潰す。また、切削混練手段27が図3に示す位置近傍に回転してきたとき、側面部33と容器23の側面との間隙に入った米は、側面部33が容器23の側面に押付けながら磨り潰す。
この過程において、米を効率よく磨り潰すためには図4の矢印S方向で示すように、米ペーストが中央部から遠心方向に向かい容器23の壁面に到達した後、中央部に向かうように流れる流れ(図4の矢印E方向)を作り出すことが重要であり、これによって全米粒が万遍無く切削部に導かれるようになり効率よく米粒が磨り潰される。
回転する混練部28によって強制的に外力を与えられた米粒には、回転方向に向かおう
とする回転力と遠心方向へ向かおうとする遠心力が働き、米粒に働く回転力を凹凸部29aによって規制して遠心力を増すことで、容器23と切削部29の間の米粒は遠心方向に向かうことになる。また、米粒に働く回転力を凹凸部29aによって規制して遠心力に変換する過程において、せん断応力と圧縮応力が米粒に働き米粒が小さく粉砕される。
また、図5に示すように、切削部29は中央部から遠心方向に向かって、容器23の底面との隙間が小さくなるように構成されているため、前記小さく砕かれた米粒が遠心方向に流れながら狭隙間に進むことでさらに小さく粉砕される。小さく粉砕されてペースト状になった米は容器23の壁面に到達した後、どんどん容器23の底壁面から押し出されてくる米ペーストによって中央部に向かうように流れる流れが作り出される。この流れの中で全米粒が万遍無く切削部29に導かれるようになり効率よく米粒が磨り潰される。
生米を加熱して柔らかくしながら磨り潰すため、生米を微小化する際に伴う切削音は著しく小さいという利点がある。
ステップ213で、イースト菌自動投入器40がイースト菌を、粉自動投入器41がグルテン、塩、砂糖を容器23に投入する。
ステップ214で、制御部38は、切削混練手段27が被調理材をゆっくりと撹拌するようにモータ26を駆動する。糊化度が調整された米ペースト、イースト菌、グルテン、塩、砂糖が混合してパン生地が捏ねられる。
図6に示すように、凸部31を容器23の略中央部に位置し、切削混練手段27の回転軸24上方向に突出した形状を有するようにしたことで、パン生地Bを最適に捏ねることができる。磨り潰された米ペーストにグルテン(小麦たんぱく質)を混ぜ合わせて捏ねることでグルテンネットワークが形成されるが、この時のパン生地の捏ね方でパンの膨らみや食感が変わってくる。
一般的に、食パンはふっくらとしてキメが細かいものが好まれるため、むら無くパン生地を引き伸ばしながら丁寧に混ぜ合わせていく必要がある。よって、丸くまとまったパン生地Bを凸部31で位置を規制しつつ回転させながら引き伸ばして、米を含む良質のグルテンネットワークを効率よく生成させる。
米を含む良質のグルテンネットワークとは、米がグルテンネットワークの中に均一に存在し、それが網目状に生地全体に張り巡らされている様を指し、糊化した米をパン生地に用いる際の重要な点である。
また、磨り潰された米ペーストにグルテンを混ぜ合わせて丸くまとまったパン生地Bは高粘度であるため、側面部33と容器側面の隙間に容易に入り込み難くしないと生地がカットされて分裂したり回転動作が阻害されたりするが、本構成ではそれらを防ぐことができる。
ステップ214で、所定のねかし期間が経過するとパン生地が完成する(ステップ216)。使用者は完成したパン生地を取り出して、他の調理に使用してもよい(ステップ217)。
ステップ212およびステップ214の間で、送風ファン44を作動させて、容器23の上部の焼成室22内の蒸気を含む温度の高い空気を該機器本体21外へ排出して、米ペーストをイースト菌の最も活性化する温度に冷却していくようになっている。尚、ステップ213の小麦粉等の粉品を投入時には、送風ファン44の作動は停止して、送風ファン
44の吸い込み口43に小麦粉等の粉品が入らないようにしてある。
つぎに、ステップ215で、イースト菌をイースト菌自動投入器40で自動投入するとともに、ステップ216で、具材自動投入器42でレーズン等の具材を投入したのち、ステップ217で、捏ねを行い、ステップ218ではねかしを行い、ステップ219で焼き上げる。さらにこのとき、ステップ217およびステップ218の間で、送風ファン44を作動させて、容器23の上部の焼成室22内のパン生地の水分を含む温度の高い空気を該機器本体21外へ排出して、焼成中のパン生地の水分の微調整を行うようになっている。尚、ステップ215のイースト菌およびステップ216のレーズン等の具材を投入時には、送風ファン44を作動は停止して、送風ファン44の吸い込み口43にイースト菌およびレーズン等の具材が入らないようにしてある。
ステップ220で焼き上がったら完成となり、容器23から取り出して完了する。
米の糊化度を調整した米ペーストを作製しその米ペーストを用いて作製した上述のパンは、添加する小麦粉やグルテン等の添加する割合にもよるが、実験によれば、米と例えば小麦粉の割合が50%程度まであれば、小麦粉を主とした従来のパンの工程で作製したものとほぼ同等の膨らみが得られ、しっとりとした触感で、甘みが感じられよりおいしく感じられた。
また、容器23に被調理材の一部に生米と水を投入し吸水した米が加熱によって糊化度が調整された米ペーストを作製するときに、生米のでんぷんの糊化が始まるデンプン糊化温度(糊化温度近傍、例えばこしひかりなどの米種を選択した場合には60℃〜65℃、選択した米種に合わせて自動で50℃〜80℃の範囲で加熱温度設定される)で加熱するようにしてあるので、米の糊化度調整時の加熱量を小さくでき、該機器の機体温度の上昇を抑えることが出来るようになる。そして、冷却は必要となるが、製パン時に用いるイースト菌を該機器の機体内に保管することが容易にできるようになるとともに、米の糊化度調整時から製パンに至るときに必要な冷却期間を短縮することができる。ここで、製パン時に用いるイースト菌は、温度が27〜36℃でイーストが最も活動的になり、60℃以上で死滅するため、製パン時はパンを焼成する前までつまり、イースト菌の保管、捏ね、発酵期間は少なくとも常温に近い温度にしておかねばならず、米の糊化度調整時の加熱量を小さくすることで、イースト菌を冷却保管を容易にして、イースト菌の冷却手段を簡易とすることができ、イースト菌の温度管理が容易となり、できあがりが安定したパンができるようになる。
ここで、送風ファン44は、容器23に前記被調理材の一部の少なくとも生米と水を投入し米の糊化度を調整した米ペーストを作製してから、イースト菌を投入するまでの間に作動させ、米の糊化度を調整した米ペーストの温度がイースト菌の死滅する温度以下になるまで冷却するようにした構成としてあるので、米の糊化度を調整した米ペーストの温度を適正な温度に素早く下げることが出来、製パン性の向上と製パンにかかる時間の短縮を図ることが出来るようになる。
なお、本実施の形態においては、米の糊化度調整中には、送風ファン44を作動させて、容器23の上部の焼成室22内の蒸気を含む温度の高い空気を該機器本体21外へ排出する様にしたが、これは、送風ファン44は加熱手段で容器23を加熱の開始当初の温度の低い期間は作動しないようにしてもよく、また、被調理材や容器23あるいはイースト菌の温度に対応して、送風ファン44のON・OFFや能力などの作動状態を調整するようにしてもよい。
以上のように、本発明の自動製パン器は、上記実施の形態に示した構成に限定されず種々の形態のものに適用できるものであり、米の糊化度を調整した米ペーストを作製し、その米ペーストを被調理材として用いて製パンする装置や、小麦粉を主とした従来のパンも作製でき、本発明の技術範囲において種々の形態を包含するものである。
1、13、23 容器
44 送風ファン
24 回転軸
27 切削混練手段
28 混練部
29 切削部
14、35 加熱手段
36 温度検知手段
37 操作部
38 制御部(制御手段)
50 工程選択手段

Claims (7)

  1. 被調理材を収容する容器と、
    前記容器の周囲に配設し前記容器を加熱する加熱手段と、
    前記容器内の被調理材を切削および混練する切削混練手段を有し、
    前記容器に前記被調理材の一部に少なくとも生米と水を投入して加熱し米澱粉を糊化させて米ペーストを作製するようにし、前記切削混練手段を動作させることによって、前記米ペーストが前記容器の略中央部から略遠心方向に向かい、前記容器の壁面に到達した後、略中央部に向かうように流れるようにしたパン生地製造機。
  2. 被調理材を収容する容器と、
    前記容器の周囲に配設し前記容器を加熱する加熱手段と、
    前記容器内の被調理材を切削および混練する切削混練手段と、
    前記被調理材の温度を直接的或いは間接的に検出する温度検知手段と、
    操作条件を設定する操作部と、
    前記操作部で設定された条件と、前記温度検知手段で検出された前記被調理材の温度に基づき、前記加熱手段および切削混練手段を駆動制御し前記被調理材の切削から焼成までを自動的に行う制御手段とを備え、
    前記容器に前記被調理材の一部に少なくとも生米と水を投入して加熱し米澱粉を糊化させて米ペーストを作製するようにし、前記切削混練手段を動作させることによって、前記米ペーストが前記容器の略中央部から略遠心方向に向かい、前記容器の壁面に到達した後、略中央部に向かうように流れるようにし、前記米ペーストを用いてパンを作製する米パン工程を有した自動製パン器。
  3. 前記切削混練手段は、混練部と、中央部から遠心方向に向かって前記容器の底面との隙間が小さくなるようにした切削部とから構成した請求項2に記載の自動製パン器。
  4. 前記切削部には、略遠心方向に向かって前記米ペーストの流れを規制する凹凸部を設けた請求項3に記載の自動製パン器。
  5. 前記混練部は、前記容器の略中央部から略遠心方向に向かって全高が略L字型に低下する形状とした請求項3または4に記載の自動製パン器。
  6. 前記被調理材と前記容器近傍を冷却する冷却手段を配設した請求項2〜5のいずれか1項に記載の自動製パン器。
  7. 前記操作部に、前記米パン工程を選択する工程選択手段を配設した請求項2〜6のいずれか1項に記載の自動製パン器。
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