JP2013532131A - ポサコナゾール中間体の製造 - Google Patents

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Abstract

本発明は、式(IX)
【化1】
Figure 2013532131

(式中、Y及びYは独立してFまたはCl、好ましくはFである)
のキラル化合物またはその塩の製造方法、式(IX)の結晶性化合物そのもの、及びその抗真菌剤を製造するための使用に関する。

Description

本発明は、キラル化合物の製造、特に抗真菌剤、好ましくはポサコナゾールを製造するための中間体として使用され得るキラル化合物の製造に関する。
ポサコナゾール(CAS登録番号171228−49−2;CAS名:2,5−アンヒドロ−1,3,4−トリデオキシ−2−C−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−[[4−[4−[4−[1−[(1S,2S)−1−エチル−2−ヒドロキシプロピル]−1,5−ジヒドロ−5−オキソ−4H−1,2,4−トリアゾル−4−イル]フェニル]−1−ピペラジニル]フェノキシ]メチル]−1−(1H−1,2,4−トリアゾル−1−イル)−D−threo−ペンチトール)は、構造:
Figure 2013532131
で表されるトリアゾール抗真菌剤である。
ポサコナゾールは、例えば免疫不全患者及び/または他の抗真菌剤(例えば、アンホテリシンB、フルコナゾールまたはイトラコナゾール)に対して難治性である疾患を有している患者、及び/またはこれらの抗真菌剤に対して耐性でない患者においてカンジダ属(Candida species)、ムコール属(Mucor species)、アスペルギルス属(Aspergillus species)、フサリウム属(Fusarium species)またはコクシジオイデス属(Coccidioides species)に起因する侵襲性真菌感染を予防及び/または治療するために使用されている。
ポサコナゾールを製造するための重要な中間体の1つは、式(IX)
Figure 2013532131
(式中、基Y及びYの両方がFである)
の化合物である。従って、通常この中間体を製造するための有利な方法が常に要望されている。
公知の従来技術方法によれば、式(IX)に従うキラル化合物を製造するための共通の出発物質は、式(II)
Figure 2013532131
(式中、Lは適当な離脱基、例えばCl、Br及びスルホネートである)
に従う置換オレフィン化合物である。
しかしながら、従来技術方法は、以下Ar−C(=CH)−CH−Lと略される式(II)の化合物、特にY及びYの両方がFである化合物を製造するための比較的複雑な方法しか提供していない。
WO 94/25452は、Ar−C(=CH)−CH−LをそのアリルアルコールAr−C(=CH)−CH−OHを臭化剤またはスルホニル化剤と反応させることにより得る方法を開示している。文献には、アリルアルコールを得るための幾つかの手順が教示されている。
WO 94/25452に記載されている1つの手順はAr−C(=O)−CH−Lから出発し、これから3ステップ方法でアリルアルコールを得ている。第1ステップでは、Ar−C(=O)−CH−ClをKOAc(酢酸カリウム)と反応させてAr−C(=O)−CH−OAcを得た後、これをTHF(テトラヒドロフラン)の存在下でCHPhPBr(臭化メチルトリフェニルホスホニウム)及びNaHMDS(ナトリウムヘキサメチルジシラザン)と反応させて、Ar−C(=CH)−CH−OAcを得る。第3ステップでは、Ar−C(=CH)−CH−OAcを更にKOH(水酸化カリウム)と反応させて、最終的にAr−C(=CH)−CH−OHを得る。この手順は各ステップを別々の反応容器で実施しなければならない3つの連続ステップを使用するという事実とは別に、特に第2ステップに関する限り反応生成物を副生成物のトリフェニルホスフィンオキシドから分離することが容易でないことに注目されたい。
P.Blundellら,Synlett,1994,p.263−265に記載されている別の手順はAr−Brから出発し、第1ステップでグリニャール試薬に変換し、この試薬を(Cl−CHC=O(1,2−ジクロロアセトン)と反応させてAr−C(OH)(CHCl)を得、第2ステップで炭酸カリウムで処理してエポキシドを得る。次いで、第3ステップでこのエポキシドをAr−C(=CH)−CH−OHに変換する。アリルアルコールを製造するためのこの手順は各ステップを別々の反応容器で実施しなければならない3つのステップを含むという事実とは別に、Ar−Brから誘導されるグリニャール試薬、すなわち2,4−ジフルオロブロモベンゼンが潜在的に危険な化合物であることは知られている。
WO 95/16658 A1は、Ar−C(=O)−CHから出発するAr−C(=CH)−CH−Lを製造するための別の手順を示唆している。連続的脱離を伴うグリニャール反応でオレフィン化合物Ar−C(=CH)−CHを得、次いでラジカルハロゲン化にかけて、Ar−C(=CH)−CH−L(ここで、L=Cl、Br)を得る。上で検討した2つの手順と比較して、この手順は、3ステップを含むが、グリニャール反応及びその後の脱離を単一容器で実施するという事実のためにたった2つの反応容器で実施され得る方法を提供する。しかしながら、この手順の大きな欠点は、ラジカルハロゲン化によりハロゲン化アリル及びハロゲン化ビニルの望ましくない混合物が生ずるという事実に見られる。
国際公開第94/25452号 国際公開第95/16658号
P.Blundellら,Synlett,1994,p.263−265
従って、本発明の目的は、出発物質の式(II)の化合物を公知の従来技術方法に比して有利な新規方法により製造する、式(IX)のキラル化合物を製造するための改良方法を提供することであった。
出発物質がたった1つの反応容器において良好な収率で実施され得、2つの反応ステップのみから構成される方法により製造され得ることが知見された。驚くことに、ピーターソンオレフィン化として公知のオレフィン化概念は上記したアリルクロリドを製造するために適用され得る。“D.J.Peterson,Carbonyl olefination reaction using silyl−substituted organometallic compounds,J.Org.Chem.,(1968)33(2),p.780−784”に最初記載されたこのオレフィン化によれば、α−シリルカルバニオンをケトンまたはアルデヒドと反応させてβ−ヒドロキシシランを形成し、これを脱離させるとアルケンが形成され得る。ピーターソンオレフィン化を用いる公知例の大部分は、安全面のために工業規模での方法で使用され得ないジエチルエーテル中で実施されている。ごく稀に、テトラヒドロフランが代替溶媒として記載されている。
上で検討したように、式(IX)の化合物及びその塩は抗真菌剤を製造するための重要な中間体である。幾つかの理由のために、この中間体が結晶性化合物として存在することが有利である。しかしながら、文献の公知方法からは、式(IX)の化合物及びその塩、特にY及びYの両方がFである式(IX)の化合物は少なくとも部分的に結晶性の化合物として得られない。
従って、本発明の別の目的は、式(IX)に従う化合物及びその塩、特にY及びYの両方がFである式(IX)の化合物を少なくとも部分的に結晶性の化合物として得る方法を提供することであった。
本発明の更に別の目的は、式(IX)に従う化合物及びその塩、特にY及びYの両方がFである式(IX)の化合物を少なくとも部分的に結晶性の化合物として提供することであった。
従って、本発明は、式(IX)
Figure 2013532131
(式中、Y及びYは独立してFまたはCl、好ましくはFである)
のキラル化合物またはその塩の製造方法であって、その方法は、
(1.1)式(I)
Figure 2013532131
(式中、Lは離脱基、好ましくはハロゲン、より好ましくはClである)
の化合物を溶媒中、求核性基RSi−CH(ここで、R、R及びRは同一または異なり、場合により適当に置換されているアルキル及びアリール基からなる群から選択される)を含む求核性化合物と反応させて、中間体として式
Figure 2013532131
のβ−ヒドロキシシランを含有する反応混合物を得;
(1.2)好ましくは溶媒を交換することなく、生じた反応混合物を脱離反応を促進させる試薬で処理して、式(II)
Figure 2013532131
の化合物を含有する反応混合物を得る;
ことを含む。
特に好ましい実施形態によれば、本発明は、式(IX)
Figure 2013532131
の化合物またはその塩を式(VII)
Figure 2013532131
のシス異性体またはその塩を式(VIII)
Figure 2013532131
のトランス異性体またはその塩との混合物として得る上に規定した方法に関し、式(IX)の化合物またはその塩の分子の好ましくは80から95%、より好ましくは85から95%は式(VII)のシス異性体またはその塩として存在し、式(IX)の化合物またはその塩の分子の好ましくは20から5%、より好ましくは15から5%は式(VIII)のトランス異性体またはその塩として存在している。
更に、本発明は、化合物(IX)、よって化合物(VII)を溶媒から、場合により適当な貧溶媒を添加することにより結晶化させる方法に関し、前記溶媒は好ましくは極性の水不混和性溶媒、好ましくはエステル(例えば、酢酸エチルまたは酢酸イソプロピル)、エーテル(例えば、テトラヒドロフランまたはメチルテトラヒドロフラン)、ケトン(例えば、メチルイソブチルケトン)、ハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン)、トルエン、またはこれらの溶媒の2つ以上の混合物、より好ましくはエステルまたはエーテル、より好ましくはエーテル、一層より好ましくはメチルテトラヒドロフランであり、前記貧溶媒は好ましくは飽和または不飽和炭化水素(例えば、シクロヘキサン、ヘキサンまたはヘプタン)またはその2つ以上の混合物である。
更に、本発明は、式(IX)
Figure 2013532131
(式中、Y及びYは独立してFまたはCl、好ましくはFである)
の結晶性キラル化合物またはその塩に関し、前記結晶性化合物またはその塩の分子の80から95%、好ましくは85から95%は式(VII)
Figure 2013532131
のシス異性体またはその塩として存在し、前記結晶性化合物またはその塩の分子の20から5%、好ましくは15から5%は式(VIII)
Figure 2013532131
のトランス異性体またはその塩として存在している。
もっと更に、本発明は、抗真菌剤、好ましくはポサコナゾール
Figure 2013532131
を製造するための式(IX)の化合物またはその塩、特に式(IX)の好ましくは少なくとも部分的に結晶性の、好ましくは少なくとも結晶性の化合物またはその塩に関する。
実施例1に従って得た式(IXa)の化合物のX線粉末回折パターン(XRD)を示す。シス:トランス比、すなわち式(VIIa)の化合物:式(VIIIa)の化合物の比は9:1である。 実施例2(a)に従って得た式(IXa)の化合物のHCl塩のXRDを示す。シス:トランス比、すなわち式(VIIa)の化合物のHCl塩:式(VIIIa)の化合物のHCl塩の比は9:1である。 実施例2(b)に従って得た式(IXa)の化合物のフマル酸塩のXRDを示す。シス:トランス比を実施例2(b)に示した表に示す。 実施例2(b)に従って得た式(IXa)の化合物のシュウ酸塩のXRDを示す。シス:トランス比を実施例2(b)に示した表に示す。 実施例2(b)に従って得た式(IXa)の化合物の酒石酸塩のXRDを示す。シス:トランス比を実施例2(b)に示した表に示す。 図1から5において、カウント/秒(線形目盛)として測定した強度をy軸に示し、2θ値(°)として表示した位置をx軸に示す。
本発明によれば、式(II)の化合物、特に式(II)の化合物を含有している反応混合物は、
(1.1)式(I)
Figure 2013532131
(式中、Lは離脱基、好ましくはハロゲン、より好ましくはClである)
の化合物を溶媒中、求核性基RSi−CH(ここで、R、R及びRは同一または異なり、場合により適当に置換されているアルキル及びアリール基からなる群から選択される)を含む求核性化合物と反応させて、中間体として式
Figure 2013532131
のβ−ヒドロキシシランを含有する反応混合物を得;
(1.2)好ましくは溶媒を交換することなく、生じた反応混合物を脱離反応を促進させる試薬で処理して、式(II)
Figure 2013532131
の化合物を含有する反応混合物を得る;
ことを含む方法により得られる。
ステップ(1.1)及び(1.2)
本発明方法のステップ(1.1)において、式(I)の化合物は基Y及びYを含む。本発明によれば、Y及びYは独立してFまたはClである。よって、YはFまたはClであり得、Yの化学的性質とは独立してYはFまたはClであり得る。好ましくは、Y及びYは両方FまたはClである。より好ましくは、Y及びYは両方Fである。
本発明のステップ(1.1)に関連して使用されている用語「離脱基L」は、適当な反応条件下でヘテロリティック結合開裂で1対の電子と一緒に化合物(I)から離脱する化学部分Lを指す。この目的のために、本発明で使用される化合物(I)は適当な離脱基Lを含み得る。好ましくは、離脱した後の離脱基Lは中性またはアニオン性部分であり、より好ましくはアニオン性部分である。一層より好ましくは、Lはハロゲン、例えばCl、Br、Iである。本発明の一層より好ましい実施形態によれば、LはClである。
ステップ(1.1)において化合物(I)と反応させる求核性化合物は求核性基RSi−CHを含む。この基の化学的性質に関して、式
Figure 2013532131
のβ−ヒドロキシシラン中間体が得られるならば特別の限定はない。これに関連して使用されている用語「中間体」は、通常ステップ(1.1)で得た反応混合物中に含まれており、ステップ(1.1)の反応物質から形成され、(1.2)において更に反応させるβ−ヒドロキシシランを指す。これに関連して使用されている用語「中間体」は、(1.1)で得た反応混合物から単離され得るβ−ヒドロキシシランを除外しない。
(1.1)で使用される求核性化合物は、化合物(I)と反応させたとき直接または間接的に上で検討したβ−ヒドロキシシラン中間体を形成する求核性基RSi−CHを含む適当な化合物であり得る。求核性化合物中に含まれるR、R及びRは同一または異なり、場合により適当に置換されているアルキル及びアリール基からなる群から選択される。本発明に関連して使用されている用語「場合により適当に置換されているアリール基」は、例えば最高6個または最高12個の炭素原子を有するアリール基を指す。アリール基が置換アリール基ならば、炭素原子の数は対応する未置換アリール基の炭素原子の数を指す。本発明に関連して使用されている用語「場合により適当に置換されているアルキル基」は、例えば1から20個、好ましくは1から10個の炭素原子を有するアルキル基を指す。アルキル基が置換アルキル基ならば、炭素原子の数は対応する未置換アルキル基の炭素原子の数を指す。
本発明の好ましい実施形態によれば、求核性化合物中に含まれるR、R及びRは同一または異なり、アルキル基、より好ましくは1から6個の炭素原子、好ましくは1から4個の炭素原子を有する非置換アルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル及びtert−ブチル)、より好ましくは1または2個の炭素原子を有する非置換アルキル基(例えば、メチルまたはエチル)からなる群から選択され、R、R及びRは特にメチルである。
好ましくは、(1.1)で使用される求核性化合物はグリニャール試薬である。これに関連して使用されている用語「グリニャール試薬」は、求核性基RSi−CHを含む適当な求核性有機金属試薬を指す。好ましくは、求核性化合物はグリニャール化合物RSi−CHMgX(ここで、Xは、好ましくはCl、Br及びIからなる群から選択される適当なアニオン種である)である。より好ましくは、グリニャール化合物は化合物RSi−CHMgClである。
(1.1)で使用される溶媒として、溶媒または溶媒混合物が考えられ、グリニャール反応を実施し得る溶媒または溶媒混合物が好ましい。考えられる溶媒は、例えば一般的に知られているジエチルエーテル及び/またはテトラヒドロフラン(THF)のようなエーテル化合物である。しかしながら、驚くことに、本発明ではピーターソンオレフィン化に関連して発明の背景で検討した溶媒、すなわちジエチルエーテル及びTHFをメチル−tert−ブチルエーテル(MTBE)で置換し得ることが知見された。この溶媒は、化合物(例えば、ジエチルエーテル及びTHF)に比して過酸化物が形成されないという大きな作用効果を与える。よって、MTBEの使用は、安全面が最も重要である工業規模での方法のために特に適している。従って、特に好ましい実施形態によれば、ステップ(1.1)で使用される溶媒はMTBEである。
従って、好ましい実施形態によれば、本発明は、(1.1)において式(I)の化合物が化合物(Ia)
Figure 2013532131
であり、この化合物を溶媒としてのMTBE中、求核性化合物(HC)Si−CHMgClと反応させて、中間体として式
Figure 2013532131
のβ−ヒドロキシシランを含有する反応混合物を得る上に規定した方法に関する。
(1.1)における反応を実施する温度に関して、(1.2)において反応させる反応混合物が得られるならば特別の限定はない。(1.1)における反応は、好ましくは−50から+20℃、より好ましくは−40から+15℃、より好ましくは−30から+10℃、より好ましくは−20から+10℃、より好ましくは−15から+5℃の範囲の温度(例えば、−15から−10℃、−10から−5℃、−5から0℃、または0から+5℃の範囲の温度で)実施する。
ピーターソンオレフィン化の一般概念に関する限り、文献は、グリニャール反応を実施した後溶媒を交換する2ステップ方法を教示している。Tetrahedron Letters,32(1991),p.7545−7548を参照されたい。驚くことに、本発明のステップ(1.1)後に溶媒交換が不要であること及び(1.1)から得た中間体をかなり単純化した方法で脱離反応を促進する適当な試薬で処理し得ることを知見した。
従って、本発明によれば、(1.1)から生じた反応混合物を(1.2)において好ましくは溶媒を交換することなく、脱離反応を促進する試薬で処理して、式(II)
Figure 2013532131
の化合物を含有する反応混合物を得る。文献によればピーターソンオレフィン化の第2ステップはBF・EtO(三弗化ホウ素エーテラート)の使用を含むので、本発明の更なる主要な作用効果はこの反応段階でBFエーテラートのような潜在的に危険な化学物質の使用が完全に避けられるという事実である。上で検討したように、MTBEを(1.1)における溶媒として使用するならば、(1.1)後に溶媒交換することなく本発明方法を実施することが特に好ましい。
(1.2)における反応を実施する温度に関して、式(II)の化合物を含有する反応混合物が得られるならば特別の限定はない。好ましくは、(1.2)における処理は−20から+70℃の範囲の温度で実施する。好ましい温度範囲は、例えば−20から−10℃、−10から0℃、0から+10℃、+10から+20℃、+20から+30℃、+30から+40℃、+40から+50℃、+50から+60℃、または+60から+70℃である。
(1.2)で使用される脱離反応を促進する試薬に関して、好ましくは(1.1)後に溶媒交換することなく式(II)の化合物が得られるならば特別の限定はない。好ましくは、試薬は酸または2つ以上の酸の混合物である。より好ましくは、試薬は無機酸または2つ以上の無機酸の混合物である。硫酸を使用することが特に好ましい。硫酸を試薬として使用するならば、(1.2)を実施する温度が+40から+50℃の範囲であることが好ましい。
従って、好ましい実施形態によれば、本発明は、(1.1)から生じた反応混合物を(1.2)において溶媒を交換することなく、脱離反応を促進する硫酸で処理して、式(II)の化合物として、化合物(IIa)
Figure 2013532131
を含有している反応混合物を得る上に規定した方法に関する。
よって、更により好ましい実施形態によれば、本発明は、
(1.1)式(Ia)
Figure 2013532131
の化合物を溶媒としてのMTBE中、(HC)Si−CHMgClと反応させて、中間体として式
Figure 2013532131
のβ−ヒドロキシシランを含有する反応混合物を得;
(1.2)生じた反応混合物を溶媒MTBEを交換することなく、脱離反応を促進する硫酸で処理して、式(IIa)
Figure 2013532131
の化合物を含有する反応混合物を得る;
ことを含む上に規定した方法に関する。
更により好ましい実施形態によれば、本発明は、
(1.1)式(Ia)
Figure 2013532131
の化合物を溶媒としてのMTBE中、−15から+5℃の範囲の温度で(HC)Si−CHMgClと反応させて、中間体として式
Figure 2013532131
のβ−ヒドロキシシランを含有する反応混合物を得;
(1.2)生じた反応混合物を溶媒MTBEを交換することなく、+40から+50℃の範囲の温度で脱離反応を促進する硫酸で処理して、式(IIa)
Figure 2013532131
の化合物を含有する反応混合物を得る;
ことを含む上に規定した方法に関する。
上で検討した(1.2)で得た反応混合物中に含有されている化合物から、式(IX)の化合物を製造する。式(II)の化合物から式(IX)の化合物を得る個々の反応ステップの特定のシーケンスに関する限り、特別の限定はない。反応ステップの好ましいシーケンスによれば、上に規定した本発明の方法は、更に、
(2)式(II)の化合物をマロン酸エステルROOC−CH−COORと反応させて、式(III)
Figure 2013532131
(式中、R及びRは独立して場合により適当に置換されている1から5個の炭素原子を有するアルキル基である)
の化合物を得;
(3)式(III)の化合物を還元して、式(IV)
Figure 2013532131
の化合物を得;
(4)式(IV)の化合物を無水イソ酪酸を用いてアシル化して、式(V)
Figure 2013532131
の化合物を得;
(5)式(V)の化合物を溶媒中、塩基の存在下でCl、Br及びIからなる群から選択されるハロゲンHal、好ましくはIと反応させて、式(X)
Figure 2013532131
の化合物を得;
(6.1)式(X)の化合物を溶媒、好ましくはDMSO(ジメチルスルホキシド)中、好ましくはDMPU(1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン)の非存在下で、1,2,4−トリアゾールアルカリ金属塩、好ましくはナトリウム塩と一緒に加熱し、生じた反応混合物を塩基で処理して、式(IX)
Figure 2013532131
の化合物を得;
(6.2)(6.1)から得た反応混合物から適当な溶媒中で抽出することにより式(IX)の化合物を分離する;
ことを含む。
ステップ(2)
本発明のステップ(2)によれば、式(II)の化合物をマロン酸エステルROOC−CH−COOR(ここで、R及びRは独立して場合により適当に置換されている1から5個の炭素原子を有するアルキル基である)と反応させることが好ましい。炭素原子の数は未置換アルキル基の炭素原子の数を指す。好ましいアルキル基R及びRは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル及びtert−ブチルのように1から4個の炭素原子を有する。アルキル基R及びRがメチルまたはエチルのように1または2個の炭素原子を有することが一層より好ましく、エチルが特に好ましい。一層より好ましくは、アルキル基R及びRは未置換アルキル基である。
ステップ(2)において、マロン酸エステルROOC−CH−COORを適当な強塩基、好ましくは強アルカリ金属塩基の存在下で化合物(II)と反応させて、マロン酸エステルROOC−CH−COORから誘導されるそのアニオンCH(COOR)(COOR)と反応させることができることが更に好ましい。アルカリ金属として、ナトリウムが好ましい。適当な塩基は例えばNaHまたはNaOHであり、NaOHが好ましい。NaOHは適当な形態で使用され得る。好ましい実施形態によれば、NaOHを固体として、例えばNaOHフレークの形態で使用する。ステップ(2)を実施する溶媒は、上で検討した強塩基の具体的化学的性質に応じて選択され得る。考えられる溶媒は例えばTHF、DMSO等である。本発明によれば、DMSOが好ましい。ステップ(2)における反応を実施する温度は溶媒及び塩基に応じて選択され得る。好ましい温度は0から35℃、より好ましくは25から30℃の範囲である。
(2)における反応の生成物、すなわち式(III)
Figure 2013532131
の化合物を(2)で得た反応混合物から適当に分離することが好ましい。好ましい実施形態によれば、この分離は適当な溶媒を用いて抽出することにより化合物(III)を分離するステップを含む。本発明によれば、適当な溶媒の中でシクロヘキサンが好ましい。
抽出から得た有機層を1つ以上のステップで洗浄してもよい。洗浄剤として、水及び水性塩基性溶液、例えばアルカリ金属塩基、例えばアルカリ金属水酸化物、好ましくは水酸化ナトリウムの水溶液が挙げられる。
ステップ(3)
本発明の更に好ましい実施形態によれば、ステップ(2)から得た式(III)の化合物を適当に還元して、式(IV)
Figure 2013532131
の化合物を得る。
ステップ(3)における還元は、適当な還元剤を伴う適当な方法に従って実施され得る。本発明によれば、水素化物還元剤の使用が好ましい。水素化物還元剤は、例えばホウ水素化ナトリウム(NaBH)、ホウ水素化リチウム(LiBH)、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH)、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)またはトリエチルホウ水素化リチウム(LiEtBH)である。本発明の好ましい実施形態によれば、LiBHをステップ(3)における還元剤として使用する。
従来技術によれば、式(III)の化合物に対して少なくとも3モル当量のLiBHを使用しなければならない。WO 94/25452,p.31のセクション“Preparation 5”を参照されたい。しかしながら、驚くことに、従来技術の教示に反して、還元剤LiBHをマロン酸エステル化合物(III)に対してかなり少ない過剰量で使用し得る。本発明の改良方法は、式(III)の化合物に対して多くとも2モル当量のLiBHしか使用しない。このことは、従来技術と比較して、還元剤を少なくとも33%節約することができることを意味する。よって、特に工業規模での方法の場合、本発明は経済的及び環境的な作用効果を与える。よって、本発明は、還元剤としてLiBHを使用し、これを好ましくは化合物(III)に対して多くとも2モル当量の量で使用する上に規定した方法に関する。
ステップ(3)の反応を実施する溶媒に関して、式(IV)の化合物が得られるならば特別の限定はない。好ましい溶媒は、水、アルコール、及び水と少なくとも1つのアルコールの混合物からなる群から選択される。好ましいアルコールはメタノール、エタノール及びイソプロパノールである。従って、溶媒は、好ましくは水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及び水とこれらのアルコールの少なくとも1つの混合物からなる群から選択され、より好ましくは水、エタノール、イソプロパノール、及び水とこれらのアルコールの少なくとも1つの混合物からなる群から選択され、より好ましくは水、イソプロパノール、及び水とイソプロパノールの混合物からなる群から選択される。
驚くことに、特にステップ(3)で使用される最も好ましい還元剤LiBHの場合、水とイソプロパノールの混合物が最も有利な溶媒であることが知見された。水が水素化物還元剤を分解することが公知であるという事実に反して、本発明の方法のステップ(3)では水の存在が有利であることが知見された。理論に束縛されるつもりはないが、これはある量の水が試薬LiBH及び/またはその前駆体NaBH及びLiClの溶解度を向上させ、よって反応速度を早め、これにより還元剤の分解を過剰補償するという事実のためであり得る。従って、もっと更なる実施形態によれば、ステップ(3)で使用される溶媒は水を含み、この溶媒は好ましくは1から20容量%、より好ましくは5から15容量%の水を含んでいる。
ステップ(3)において反応を実施する温度は溶媒及び還元剤に応じて選択され得る。好ましい温度は0から40℃、より好ましくは20から35℃、より好ましくは25から30℃の範囲である。
(3)における還元の生成物、すなわち式(IV)の化合物を(3)で得た反応混合物から適当に分離することが好ましい。好ましい実施形態によれば、この分離は、化合物(IV)を適当な溶媒を用いて抽出することにより分離するステップを含む。本発明によれば、適当な溶媒の中でトルエンが好ましい。
ステップ(4)
本発明のステップ(4)によれば、式(IV)の化合物を無水イソ酪酸を用いてアシル化して、式(V)
Figure 2013532131
の化合物を得ることが好ましい。より好ましくは、(4)におけるアシル化を例えばWO 97/22710に記載されている方法と同様にして適当な溶媒、好ましくはアセトニトリルまたはトルエン、より好ましくはトルエン中、適当な酵素、好ましくはNovo SP 435酵素の存在下で実施する。溶媒としてトルエンを選択することも、追加の溶媒を必要としないので抽出後処理において有益である。溶媒としてのアセトニトリルの場合、抽出後処理のために追加の非混和性溶媒を使用しなければならない。
ステップ(4)においてアシル化を実施する温度は溶媒、アシル化剤及び酵素に応じて選択され得る。好ましい温度は−20から−5℃、より好ましくは−15から−10℃、より好ましくは25から30℃の範囲である。
得られた反応混合物を更に適当な塩基(例えば、炭酸水素ナトリウム)で処理することが好ましい。
本発明の特に好ましい実施形態によれば、式(V)の化合物を反応混合物から適当に結晶化させる。従って、本発明は、(4)の後であって(5)の前に、式(V)の化合物を少なくとも部分的に結晶化させることを含む上に規定した方法にも関する。結晶化は考えられる方法に従って実施され得る。好ましい実施形態によれば、式(V)の化合物をn−ヘプタンから結晶化させる。
ステップ(5)
本発明のステップ(5)によれば、式(V)の化合物を溶媒中、塩基の存在下でCl、Br及びIからなる群から選択されるハロゲンHal、好ましくはIと反応させて、式(VI)
Figure 2013532131
の化合物を得ることが好ましい。
通常、ステップ(5)における反応を適当な溶媒(例えば、アセトニトリル、THF、EtOAc(酢酸エチル)またはCHCl(ジクロロメタン,DCM))中、塩基(例えば、ピリジン)の存在下で−20から+30℃の範囲の温度で実施することができる。WO 94/25452 A1,p.16及び35を参照されたい。しかしながら、本発明では、反応を溶媒としての酢酸エチル中、塩基としてホウ水素化ナトリウムを用いて適当に実施されることを知見した。よって、本発明は有害な塩基ピリジンを置換できる方法を提供する。更に、反応を実施する温度は好ましくは0℃未満、より好ましくは−5℃以下、一層より好ましくは−10℃以下であることが知見された。
反応後、場合により適当にクエンチした後、有機層を場合により少なくとも1回洗浄してもよい。クエンチは、例えば亜硫酸ナトリウムの10%(w/v)水溶液を用いてなし得る。
特に好ましい実施形態によれば、本発明は、式(VI)の化合物、すなわちシス異性体をステップ(5)において式(XI)
Figure 2013532131
の化合物、すなわちそのトランス異性体と一緒に得る上に規定した方法に関する。
式(VI)及び(XI)の化合物のこの混合物は、以下において式(X)
Figure 2013532131
の化合物と称する。
本発明によれば、化合物(X)中、分子の好ましくは80から95%、より好ましくは85から95%が式(VI)のシス異性体として存在し、化合物(X)の分子の好ましくは20から5%、より好ましくは15から5%が式(XI)のトランス異性体として存在している。
従って、本発明は、更に、
(5)式(V)の化合物を溶媒中、塩基の存在下でCl、Br及びIからなる群から選択されるハロゲンHal、好ましくはIと反応させて、式(X)
Figure 2013532131
の化合物を得る
ことを含む上に規定した方法にも関し、化合物(X)の分子の好ましくは80から95%、より好ましくは85から95%が式(VI)のシス異性体として存在し、化合物(X)の分子の好ましくは20から5%、より好ましくは15から5%が式(XI)のトランス異性体として存在している。
式(X)の化合物は本明細書中に記載されている式(IX)の化合物を製造するために適している。
ステップ(6.1)
本発明のステップ(6.1)によれば、式(X)の化合物、すなわち特に式(VI)の化合物及び式(XI)の化合物を適当な溶媒中、適当な1,2,4−トリアゾール塩と一緒に適当に加熱することが好ましい。好ましい1,2,4−トリアゾール塩はアルカリ金属塩であり、ナトリウム塩が特に好ましい。好ましい溶媒は極性非プロトン性溶媒、例えばDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)及びDMSOであり、DMSOが好ましい。
ステップ(6.1)において反応混合物を加熱する温度は好ましくは+70から+100℃、好ましくは+80から+95℃、より好ましくは+85から+90℃の範囲である。
トリアゾール塩との上記反応について、WO 94/25452は、加熱を1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)の存在下で実施しなげればならないことを教示している。WO 94/25452,p.17のステップ(1)及びp.39のステップ(b)を参照されたい。驚くことに、WO 94/25452の教示に反して、ステップ(6.1)における式(X)の化合物の加熱をDPMUの非存在下で実施することができることを知見した。よって、本発明のかなり改良された方法によれば、好ましい実施形態によればDMSOのみから構成される、すなわちWO 94/25452に教示されている必須の2化合物系に反してたった1つの溶媒化合物から構成される単純化した溶媒系を提供する。
次いで、エステル部分のケン化を促進するために加熱から得た混合物を適当な塩基で処理することが好ましい。前記塩基は、例えばアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸水素塩及びアルカリ土類金属炭酸塩である。アルカリ金属塩基が好ましい。好ましくは、塩基を水性及び/またはアルコール媒体に添加する。適当なアルコーは1から6個、好ましくは1から4個、より好ましくは1から3個、最も好ましくは1から2個の炭素原子を含有するアルコールである。本発明によれば、好ましい塩基はメタノールの存在下で、好ましくは水溶液として使用される水酸化ナトリウムであることが知見された。
本発明によれば、ステップ(6.1)において式(IX)
Figure 2013532131
の化合物が得られ、分子の好ましくは80から95%、より好ましくは85から95%が式(VII)
Figure 2013532131
のシス異性体として存在し、分子の好ましくは20から5%、より好ましくは15から5%が式(VIII)
Figure 2013532131
のトランス異性体として存在している。
従来技術によれば、本発明のステップ(6.1)に相当する反応ステップ後、式(IX)、よって式(VII)の化合物をクロマトグラフィーにより分離することが必要である。WO 94/25452,p.39のステップ(b)を参照されたい。よって、従来技術は、公知方法を工業規模の適用に関してかなり不利とするコスト及び時間がかかる精製を実施しなければならないことを明白に教示している。
従来技術の教示に反して、本発明ではステップ(6.1)及び(6.2)における抽出の後に、好ましくは以下に記載するステップ(7)における結晶化及び/またはステップ(8)における塩形成の特定のシーケンスを実施するならば、クロマトグラフィーによる分離を実施しなくてすむことが知見された。よって、この改変は従来技術方法に比してかなりの改良に相当する。
ステップ(6.2)
本発明のステップ(6.2)によれば、ステップ(6.1)から得た混合物中に含まれている式(IX)
Figure 2013532131
の化合物、特に式(VII)
Figure 2013532131
の化合物及び式(VIII)
Figure 2013532131
の化合物を好ましくは適当な溶媒を用いる抽出により適当に分離する。
本発明に従う好ましい溶媒は極性の水不混和性溶媒である。より好ましくは、溶媒は、エステル(例えば、酢酸エチルまたは酢酸イソプロピル)、エーテル(例えば、テトラヒドロフランまたはメチルテトラヒドロフラン)、ケトン(例えば、メチルイソブチルケトン)、ハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン)、トルエン、またはこれらの溶媒の2つ以上の混合物、より好ましくはエステルまたはエーテル、より好ましくはエーテル、一層より好ましくはメチルテトラヒドロフランである。
抽出により分離した後、少なくとも1つの洗浄段階を実施してもよい。特に、水性塩化ナトリウム溶液を用いる洗浄が挙げられ得る。
従って、好ましい実施形態によれば、本発明は、
(1.1)式(Ia)
Figure 2013532131
の化合物を溶媒としてのMTBE中、(HC)Si−CHMgClと反応させて、中間体として式
Figure 2013532131
のβ−ヒドロキシシランを含有する反応混合物を得;
(1.2)溶媒MTBEを交換することなく、生じた反応混合物を脱離反応を促進する硫酸で処理して、式(IIa)
Figure 2013532131
の化合物を含有する反応混合物を得;
(2)式(IIa)の化合物をマロン酸エステルHCHCOOC−CH−COOCHCHと反応させて、式(IIIa)
Figure 2013532131
の化合物を得;
(3)式(IIIa)の化合物を溶媒としての水とイソプロパノールの混合物中、還元剤としてのLiBHを化合物(IIIa)に対して多くとも2モル当量の量で使用して還元して、式(IVa)
Figure 2013532131
の化合物を得;
(4)式(IVa)の化合物を溶媒としてのトルエン中、Novo SP 435酵素の存在下で無水イソ酪酸を用いてアシル化して、式(Va)
Figure 2013532131
の化合物を得;
(5)式(Va)の化合物を溶媒としての酢酸エチル中、塩基としての炭酸水素ナトリウムの存在下でIと反応させて、式(Xa)
Figure 2013532131
の化合物を得、化合物(Xa)の分子の好ましくは80から95%、より好ましくは85から95%は式(VIa)
Figure 2013532131
のシス異性体として存在し、化合物(Xa)の分子の好ましくは20から5%、より好ましくは15から5%は式(XIa)
Figure 2013532131
のトランス異性体として存在しており;
(6.1)式(Xa)の化合物を溶媒としてのDMSO中、好ましくはDMPU(1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン)の非存在下で、1,2,4−トリアゾールナトリウム塩と一緒に加熱し、生じた反応混合物を水酸化ナトリウムで処理して、式(IXa)
Figure 2013532131
の化合物を得、式(IXa)の化合物中分子の80から95%、好ましくは85から95%は式(VIIa)
Figure 2013532131
のシス異性体として存在し、分子の20から5%、好ましくは15から5%は式(VIIIa)
Figure 2013532131
のトランス異性体として存在しており;
(6.2)(6.1)から得た反応混合物からメチルテトラヒドロフランを用いる抽出により式(IXa)
Figure 2013532131
の化合物を分離する;
ことを含む上に規定した方法に関する。
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、ステップ(6.2)から得た式(IX)の化合物、よって式(VII)の化合物をステップ(7)において適当に、少なくとも部分的に結晶化させる。従って、本発明は、更に、
(7)(6.2)の後に、式(IX)の化合物、特に式(VII)の化合物及び式(VIII)の化合物を少なくとも部分的に結晶化させる
ことを含む先に記載した方法にも関する。
ステップ(7)
この結晶化に関する限り特別の限定はない。本発明の好ましい実施形態によれば、式(IX)の化合物、特に式(VII)の化合物及び式(VIII)の化合物を結晶化させる溶媒は、抽出目的で上で検討したステップ(6.2)で使用した溶媒である。従って、ステップ(7)の好ましい溶媒は極性の水不混和性溶媒である。より好ましくは、溶媒は、エステル(例えば、酢酸エチルまたは酢酸イソプロピル)、エーテル(例えば、テトラヒドロフランまたはメチルテトラヒドロフラン)、ケトン(例えば、メチルイソブチルケトン)、ハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン)、トルエン、またはこれらの溶媒の2つ以上の混合物、より好ましくはエステルまたはエーテル、より好ましくはエーテル、一層より好ましくはメチルテトラヒドロフランである。
一層より好ましくは、ステップ(6.2)後に溶媒交換を実施しない。よって、この好ましい実施形態によれば、ステップ(6.2)で使用した溶媒とは異なる追加の適当な溶媒を添加することなく、ステップ(6.2)で得た混合物から式(IX)の化合物、特に式(VII)の化合物及び式(VIII)の化合物を結晶化させる。
通常、結晶化は適当な方法に従って実施する。特に、(6.2)から得た混合物の冷却、(6.2)から得た混合物への貧溶媒の添加、適当な化学反応、(6.2)から得た混合物のpHの変化、溶媒蒸留、またはこれらの方法の2つ以上の組合せが挙げ得る。
もっと更に好ましい実施形態によれば、ステップ(7)におけるこの結晶化を適当な貧溶媒を添加することにより実施する。通常、(6.2)で使用した溶媒に応じて、貧溶媒により式(IX)の溶解している化合物、特に式(VII)の化合物及び式(VIII)の化合物の溶解度を式(IX)の化合物を少なくとも部分的に結晶化させる程度まで低下できるならば、すべての考えられる貧溶媒を使用することができる。好ましくは、貧溶媒は飽和または不飽和炭化水素(例えば、シクロヘキサン、ヘキサンまたはヘプタン)またはその2つ以上の混合物である。一層より好ましくは、ステップ(7)で使用される貧溶媒はシクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン及びその2つ以上の混合物からなる群から選択され、特にヘプタンである。
通常、ステップ(7)において結晶化を実施する温度は溶媒、好ましくは使用される貧溶媒に合わせる。本発明の好ましい実施形態によれば、貧溶媒の添加は40から70℃、好ましくは45から65℃、より好ましくは50から60℃の範囲の温度で実施する。その後、生じた混合物を予設定した温度まで連続的に冷却することが好ましく、冷却は連続的にまたは2つ以上のステップで段階的に実施し得る。本発明の実施形態によれば、混合物を最終的に冷却する予設定温度は−15から0℃、好ましくは−10から0℃、より好ましくは−5から0℃の範囲である。上記したように混合物のこの温度までの冷却は、混合物を第1ステップにおいて冷却し、この温度で保持した後、更に上で検討した最終温度まで冷却する少なくとも1つの温度範囲を含む。例えば、混合物を第1ステップにおいて冷却し得る温度範囲は20から35℃、好ましくは25から30℃である。
結晶化後、(IX)の結晶化させた化合物、特に式(VII)の結晶化させた化合物及び式(VIII)の結晶化させた化合物を母液から例えば適当な濾過により分離することが好ましく、適当な洗浄剤を用いて少なくとも1回洗浄することが好ましい。好ましい洗浄剤は結晶化のために使用した溶媒混合物及び上で検討した貧溶媒である。前記した好ましい分離の後に、式(IX)の結晶化させた化合物、特に式(VII)の結晶化させた化合物及び式(VIII)の結晶化させた化合物を適当な乾燥条件下で乾燥することが好ましい。真空中での乾燥が好ましく、温度は好ましくは20から50℃、より好ましくは30から45℃の範囲である。
上記されているように、本発明の方法によれば、式(VII)
Figure 2013532131
の結晶性キラル化合物、すなわちシス異性体は、そのジアステレオマー体の式(VIII)
Figure 2013532131
の結晶性化合物、すなわちトランス異性体との混合物として得られる。
トランス異性体に対するシス異性体のモル比は通常全方法条件に依存する。本発明の方法の好ましい方法条件によれば、ステップ(7)後に得られる式(IX)
Figure 2013532131
の結晶化させた化合物は80から95%、好ましくは85から95%のシス異性体(VII)及び20から5%、好ましくは15から5%のトランス異性体(VIII)を含有している。従って、本発明は、式(IX)
Figure 2013532131
の少なくとも部分的に結晶性のキラル化合物を得る上に規定した方法にも関し、前記結晶性化合物の分子の80から95%、好ましくは85から95%は式(VII)
Figure 2013532131
のシス異性体として存在し、前記結晶性化合物の分子の20から5%、好ましくは15から5%は式(VIII)
Figure 2013532131
のトランス異性体として存在している。
従来技術には、式(IX)の結晶性化合物、すなわち好ましくは80から95%、より好ましくは85から95%のシス異性体(VII)及び好ましくは20から5%、より好ましくは15から5%のトランス異性体(VIII)を含有している結晶性混合物の製造は教示されていない。コストが高く、時間がかかるカラムクロマトグラフィーによる精製を実施しなければならず、少なくとも部分的にでも結晶性の化合物(IX)をもたらさないことを開示しているWO 94/25452,p.39のステップ(b)を参照されたい。しかしながら、本発明に従って得られる化合物(VII)及び(VIII)の混合物は更なる反応のための重要な化合物として、特にポサコナゾールのような抗真菌剤を製造するための重要な化合物として同様に使用され得ると考えられる。
よって、本発明は、式(IX)
Figure 2013532131
(式中、Y及びYは独立してFまたはCl、好ましくはFである)
の結晶性キラル化合物またはその塩にも関し、前記結晶性化合物またはその塩の分子の80から95%、好ましくは85から95%は式(VII)
Figure 2013532131
のシス異性体またはその塩として存在し、前記結晶性化合物またはその塩の分子の20から5%、好ましくは15から5%は式(VIII)
Figure 2013532131
のトランス異性体またはその塩として存在している。
本明細書中に記載されている式(IX)(式中、Y及びYはFである)の結晶性キラル化合物が少なくとも次の反射を含むX線回折パターン
Figure 2013532131
(ここで、100%はX線回折パターン中の最大ピークの強度を示す)
を示すことが好ましい。
好ましくは80から95%、好ましくは85から95%のシス異性体(VII)及び20から5%、好ましくは15から5%のトランス異性体(VIII)を含有している式(IX)の結晶性化合物に基づいて、結晶性遊離塩基(IX)の適当な塩が製造され得る。すべての塩が考えられる。特に、これらの塩は、式(IX)の化合物、よって式(VII)の化合物を場合により少なくとも1つの適当な溶媒中、少なくとも1つの適当な無機酸及び/または少なくとも1つの適当な有機酸、好ましくは少なくとも1つの適当な無機ブレンステッド酸及び/または少なくとも1つの適当な有機ブレンステッド酸で処理することにより製造され得る。適当な有機酸にはフマル酸、シュウ酸及び酒石酸が含まれるが、これらに限定されない。適当な無機酸には塩酸が含まれるが、これに限定されない。
従って、本発明は、更に、
(8)式(IX)の化合物、特に式(VII)の化合物及び式(VIII)の化合物を適当な溶媒中、無機または有機ブレンステッド酸で処理することにより前記化合物をその塩に変換し、好ましくはその塩を少なくとも部分的に結晶化させる
ことを含む上に規定した方法にも関する。
特に、化合物(IX)のフマル酸塩、シュウ酸、酒石酸塩または塩酸塩が好ましい。塩酸塩が一層より好ましい。
本発明に従う適当な溶媒は極性溶媒である。より好ましくは、溶媒はエステル(例えば、酢酸エチルまたは酢酸イソプロピル)、エーテル(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランまたはメチルテトラヒドロフラン)、ケトン(例えば、アセトンまたはメチルイソブチルケトン)、ハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン)、トルエン、またはこれらの溶媒の2つ以上の混合物である。より好ましく、ケトンを溶媒として使用する。最も好ましくは、溶媒はアセトンである。
通常、結晶化は適当な方法に従って実施され得る。特に、冷却、貧溶媒の添加、溶媒蒸留、またはこれらの方法の2つ以上の組合せを挙げ得る。
好ましい実施形態によれば、この結晶化は、酸と一緒にまたは酸を添加した後に適当な貧溶媒を添加することにより実施される。通常、この貧溶媒により式(IX)、よって式(VII)の化合物の溶解している酸付加塩の溶解度を化合物(IX)、よって化合物(VII)の酸付加塩が少なくとも部分的に結晶化する程度に低下させることができるならば、あらゆる考えられる貧溶媒を使用することができる。好ましくは、貧溶媒はエーテル(例えば、MTBE)、または飽和または不飽和炭化水素(例えば、シクロヘキサン、ヘキサンまたはヘプタン)である。より好ましくは、貧溶媒はMTBEである。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、ステップ(6.2)から得た式(IX)、よって式(VII)の化合物を本明細書に記載されているように、すなわち塩形成及び好ましくはステップ(7)の結晶化を適用することなくステップ(8)に記載されている少なくとも部分的な結晶化を適用することにより適当な塩に直接変換する。場合により、溶媒交換を(6.2)の後であって塩形成の前に実施する。
ステップ(7)を実施しない本発明のこの実施形態でも、化合物(IX)のフマル酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩または塩酸塩が好ましい。塩酸塩が一層より好ましい。本発明に従う適当な溶媒は極性溶媒である。より好ましくは、溶媒はエステル(例えば、酢酸エチルまたは酢酸イソプロピル)、エーテル(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランまたはメチルテトラヒドロフラン)、ケトン(例えば、アセトンまたはメチルイソブチルケトン)、ハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン)、トルエン、またはこれらの溶媒の2つ以上の混合物である。より好ましくは、ケトンを溶媒として使用する。最も好ましくは、溶媒はアセトンである。通常、結晶化は適当な方法に従って実施され得る。特に、冷却、貧溶媒の添加、溶媒蒸留、またはこれらの方法の2つ以上の組合せを挙げ得る。好ましい実施形態によれば、この結晶化は、酸と一緒にまたは酸を添加した後に適当な貧溶媒を添加することにより実施される。通常、この貧溶媒により式(IX)の化合物の溶解している酸付加塩の溶解度を化合物(IX)の酸付加塩が少なくとも部分的に結晶化する程度に低下させることができるならば、あらゆる考えられる貧溶媒を使用することができる。好ましくは、貧溶媒はエーテル(例えば、MTBE)、または飽和または不飽和炭化水素(例えば、シクロヘキサン、ヘキサンまたはヘプタン)である。より好ましくは、貧溶媒はMTBEである。
よって、本発明は、式(IX)
Figure 2013532131
(式中、Y及びYは独立してFまたはCl、好ましくはFである)
のキラル化合物の結晶性塩酸塩にも関し、前記結晶性化合物またはその塩酸塩の分子の80から95%、好ましくは85から95%は式(VII)
Figure 2013532131
のシス異性体として存在し、前記結晶性化合物またはその塩酸塩の分子の20から5%、好ましくは15から5%は式(VIII)
Figure 2013532131
のトランス異性体として存在している。
本明細書中に記載されている式(IX)(式中、Y及びYはFである)のキラル化合物の結晶性塩酸塩が少なくとも次の反射を含むX線回折パターン
Figure 2013532131
(ここで、100%はX線回折パターン中の最大ピークの強度を示す)
を示すことが好ましい。
更に、本発明は、先に規定した方法により得ることができるかまたは得られる好ましくは少なくとも部分的に結晶性のキラル化合物またはその塩に関し、前記方法は好ましくはステップ(1)から(8)、一層より好ましくはステップ(1)から(6.2)の後に(8)を含む。
既に上述したように、式(IX)の化合物またはその塩を抗真菌剤を製造するための重要な化合物として使用することが好ましい。その製造のために式(IX)の化合物またはその塩、よって化合物(VII)またはその塩を使用し得る好ましい抗真菌剤はポサコナゾール、すなわち以下の式
Figure 2013532131
に従う化合物である。
よって、本発明は、式(IX)の好ましくは少なくとも部分的に結晶性の、好ましくは結晶性の化合物またはその塩、よって化合物(VII)またはその塩を出発物質として使用する抗真菌剤、好ましくはポサコナゾールを製造するための方法にも関する。
本発明の任意の実施形態によれば、式(IX)の化合物またはその塩は、抗真菌剤、好ましくはポサコナゾールを製造するために使用する前にシス異性体(VII)またはトランス異性体(VIII)、好ましくはシス異性体(VII)に関して適当に精製され得る。
本発明を以下の実施例により説明する。
実施例1:式(IX)の化合物の製造
(a)式(IIa)の化合物の製造
Mg(3.8g)をMTBE(20ml)中に懸濁した。懸濁液の温度は55℃であった。次いで、システムを乾燥させるために前のバッチからのMTBE中のグリニャール試薬(CHSi−CHMgCl(0.5g)を添加し(前記グリニャール試薬が第1バッチから入手できないならば、Sigma−Aldrichから1.0M溶液として市販されているジエチルエーテル中の(CHSi−CHMgCl(CAS登録番号:13170−43−9)を使用し得る)、その後クロロメチルトリメチルシラン(CM−TMS;CAS登録番号:2344−80−1;Sigma−Aldrichから市販されている)(1.0ml)を添加した。CM−TMS(14ml)をMTBE(43ml)中に含む溶液を55℃の温度で2時間かけてゆっくり添加した。混合物を55℃で2時間攪拌した後、−10℃の温度まで冷却した。その後、MTBE(30ml)中の式(Ia)の市販の化合物(CAS登録番号:51336−94−8;Sigma−Aldrichから市販されている)(10.0g)を添加し、温度を0から−10℃の範囲に保持した。反応混合物を塩化アンモニウムの20%(w/v)水溶液でクエンチした。得られた有機層を塩化アンモニウムの20%(w/v)水溶液で洗浄した。次いで、こうして洗浄した有機層を水で洗浄した。
有機層に濃硫酸(11.0ml)を添加し、温度を25から30℃に保持した。次いで、反応混合物を45から50℃の温度で3時間攪拌した。その後、反応混合物を20℃まで冷却し、水(25ml)を添加し、有機層を分離した。合わせた有機層を炭酸水素ナトリウムの9%(w/v)水溶液で抽出した後、水で洗浄した。洗浄した有機層の溶媒を減圧下で蒸留することにより除去し、式(IIa)の化合物を油状物として得た。収量は9.4gであり、理論値の95%に相当した。
(b)式(IIIa)の化合物の製造
式(IIa)の化合物(油状物として,(a)に従って得た)(10.0g)を攪拌しながらDMSO(20ml)中に溶解した。次いで、NaOHフレーク(3.2g)及びマロン酸ジエチル(24.0ml)を添加した。生じた懸濁液を25から30℃で5時間攪拌した。その後、水(100ml)を添加し、生じた混合物を30分間攪拌した。こうして得た溶液を25から30℃でシクロヘキサン(80ml)で抽出した。層を分離した後、水性層を25から30℃でシクロヘキサン(40ml)で抽出した。合わせた有機層をNaOHの5%(w/v)水溶液で洗浄した後、水で洗浄した。洗浄後、有機層の溶媒を減圧下で蒸留することにより除去し、式(IIIa)の化合物を油状物として得た。収量は15.0gであり、理論値の90.0%に相当した。
(c)式(IVa)の化合物の製造
式(IIIa)の化合物(油状物として,(b)に従って得た)(10.0g)を25から30℃で攪拌しながらイソプロピルアルコール(120ml)及び水(13.0ml)中に溶解した。生じた混合物を0から−5℃の温度まで冷却した。次いで、塩化リチウム(2.3g)及びホウ水素化ナトリウム(2.1g)を0から−5℃で添加した。生じた懸濁液を25から30℃で20時間攪拌した。4N 水性HClを添加することにより攪拌混合物のpHを1の値(校正pHメーターを用いて測定)に調節した。その後、NaOHの20%(w/v)水溶液を添加して、pHを10の値(校正pHメーターを用いて測定)に調節した。生じた混合物を1時間攪拌した。次いで、下の水性層を排出した。分離した有機層からイソプロピルアルコールを留去し、油状物を得た。この油状物にトルエン(100ml)及び水(100ml)を添加し、生成物をトルエン層に抽出した。生じたトルエン層の溶媒を減圧下で蒸留することにより除去し、式(IVa)の化合物を油状物として得た。収量は6.0gであり、理論値の82.0%に相当した。
(d)式(Va)の化合物の製造
式(IVa)の化合物(油状物として,(c)に従って得た)(10.0g)をトルエン(80ml)中に溶解し、−15℃まで冷却した。次いで、炭酸水素ナトリウム(7.4g)、酵素(Novo SP 435;カンジダ・アンタークティカ(Candida antarctica),Novo Nordisk製Novozym 435)(0.5g)及び無水イソ酪酸(7.9ml)を添加した。生じた混合物を−15℃で24時間攪拌した。次いで、固体を濾別し、濾液を炭酸水素ナトリウムの5%(w/v)水溶液で洗浄した後、水で洗浄した。生じた有機層の溶媒を減圧下で蒸留することにより除去して、所望の生成物を油状物として得た。この油状物を50から60℃でn−ヘプタン(40ml)中に溶解した。透明な溶液を10℃の温度まで徐々に冷却した。式(Va)の化合物が無色結晶として結晶化した。得られた固体を濾過し、湿った濾過ケーキをn−ヘプタン(20ml)で洗浄した。次いで、濾過ケーキを真空中40℃で乾燥し、式(Va)の化合物を無色結晶として得た。収量は9.2gであり、理論値の70.0%に相当した。
(e)式(Xa)の化合物の製造
(d)で得た結晶(10.0g)を酢酸エチル(80ml)中に攪拌しながら溶解した。生じた溶液を−15℃まで冷却し、ヨウ素(21.5g)及び炭酸水素ナトリウム(7.0g)を添加した。得られた懸濁液を−15℃で5時間攪拌した。反応混合物を亜硫酸ナトリウムの10%(w/v)水溶液(200ml)でクエンチした。有機層を亜硫酸ナトリウムの10%(w/v)水溶液(100ml)で洗浄した後、水で洗浄した。こうして得た洗浄した有機層の溶媒を減圧下で蒸留することにより除去して、式(Xa)の化合物を油状物として得た。収量は13.5gであり、理論値の95.0%に相当した。
(f)式(IXa)の化合物の製造
式(Xa)の化合物(油状物として、(e)に従って得た)(10.0g)を攪拌しながらDMSO(80ml)中に溶解した。次いで、1,2,4−トリアゾールのナトリウム塩(10g)を25から30℃で添加し、生じた反応混合物を85から90℃で24時間攪拌した。次いで、混合物を25から30℃まで冷却し、水酸化ナトリウムの5%(w/v)水溶液(25ml)を添加した。次いで、混合物を25から30℃で3時間攪拌した。水(100ml)を添加し、生成物をメチルテトラヒドロフラン(150ml)を用いて抽出した。こうして得た有機層を塩化ナトリウムの10%(w/v)水溶液で洗浄し、その後生じた有機層の溶媒を減圧下で蒸留することにより除去して、式(IXa)の化合物を粗な油状物として得た。収量は6.0gであり、理論値の86.0%に相当した。
粗な油状物(10.0g)を50から60℃で攪拌しながらメチルテトラヒドロフラン(100ml)中に溶解した。次いで、n−ヘプタン(300ml)を50から60℃で30分間かけて添加した。濁った溶液を25から30℃まで冷却し、更に30分間攪拌した。生じた懸濁液を0から−5℃まで冷却し、2時間攪拌した。生成物を濾過し、湿ったケーキをn−ヘプタン(20ml)で洗浄した。洗浄した生成物を真空中40℃で乾燥して、式(IXa)の結晶性化合物を無色固体として得た。収量は7.0gであり、理論値の70.0%に相当した。
式(IXa)の化合物は、シス:トランスの比が9:1のシス異性体とそのトランス異性体の混合物として得られた。
実施例2:式(IX)の化合物の塩の製造
(a)塩酸塩の製造
結晶化前に実施例1(f)で得た粗な油状物としての式(IXa)の化合物(10.0g)を30から40℃で攪拌しながらアセトン(200ml)中に溶解した。生じた溶液を25から30℃まで冷却した。次いで、MTBE中のHCl(10重量%)を25から30℃で15分間かけて添加した。混合物を15分間攪拌すると固体が結晶化した。次いで、MTBE(200ml)を30分間かけてゆっくり添加した。懸濁液を0から−5℃まで冷却し、2時間攪拌した。生成物を濾過し、湿ったケーキをMTBE(20ml)で洗浄した。真空中70℃で乾燥した後、化合物(IXa)のHCl塩を無色固体として得た。収量は9.5gであり、理論値の85.0%に相当した。
式(IXa)の化合物のHCl塩は、シス:トランスの比が9:1のシス異性体とそのトランス異性体の混合物として得られた。
(b)有機酸塩の製造
上記実施例1(f)で得た式(IXa)の結晶性化合物(シス:トランス比=9:1)(10.0g)をアセトン(20ml)中に溶解した。生じた溶液に1.1モル当量の有機酸(シュウ酸、DL−酒石酸、フマル酸)を25から30℃の周囲温度で添加した。生じた混合物を25から30℃で1時間攪拌した。次いで、MTBE(150ml)を滴下漏斗を用いて15分間かけて添加した。固体が結晶化した。攪拌を25から30℃で2時間続けた。固体を濾過により単離し、MTBE(20ml)で洗浄し、真空中45℃で乾燥した。塩を無色固体として得た。
次のシス:トランス比を得た。
Figure 2013532131
式(IXa)の化合物の純度及びシス/トランス比を測定するためのHPLC方法:
Figure 2013532131
Figure 2013532131
X線回折図を記録するための方法
サンプルをゼロバックグラウンドホルダーを用いてスピニングモードで周囲条件下で分析した。2θ値の典型的な精度は約±0.2°2θの範囲である。よって、8.6°2θに見られる回折ピークは多くのX線回折計を用いて標準条件下で8.4と8.8°2θの間に見られ得る。
計器パラメーター
XRD測定条件:
計器 X’PERT PRO PANalytical
スキャン軸 ゴニオ
開始位置[°2θ] 3.0
終了位置[°2θ] 40.0
ステップサイズ[°] 0.0170
スキャンステップ時間[s] 100
スキャンタイプ 連続
アノード材料 Cu
発電機設定 45kV,40mA
スピニング あり
入射ビーム光学
ソーラースリット 0.02ラジアン
発散スリットタイプ プログラム可能なスリット(固定0.5°)
X線除去用スリット 固定スリット(1°)
ビームマスク 10mm(MPD/MRD)
回折ビーム光学
X線除去用スリットタイプ プログラム可能なスリット(固定0.5°)
ソーラースリット 0.02ラジアン
フィルター ニッケル
検出器 エクセレレーター
モード スキャニング
活性経路長 2.122°
引用した文献リスト
− WO 94/25452 A1
− WO 95/16658 A1
− D. J. Peterson, Carbonyl olefination reaction using silyl−substituted organometallic compounds; J. Org. Chem. (1968) 33 (2) pp. 780−784
− P. Blundell et al., Synlett 1994, pp. 263−265
− Tetrahedron Letters 32 (1991), pp. 7545−7548
− WO 97/22710 A1

Claims (25)

  1. 式(IX)
    Figure 2013532131
    (式中、Y及びYは独立してFまたはCl、好ましくはFである)
    のキラル化合物またはその塩の製造方法であって、
    (1.1)式(I)
    Figure 2013532131
    (式中、Lは離脱基、好ましくはハロゲン、より好ましくはClである)
    の化合物を溶媒中、求核性基RSi−CH(ここで、R、R及びRは同一または異なり、場合により適当に置換されているアルキル及びアリール基からなる群から選択される)を含む求核性化合物と反応させて、中間体として式
    Figure 2013532131
    のβ−ヒドロキシシランを含有する反応混合物を得;
    (1.2)生じた反応混合物を好ましくは溶媒を交換することなく、脱離反応を促進させる試薬で処理して、式(II)
    Figure 2013532131
    の化合物を含有する反応混合物を得る;
    ことを含む前記方法。
  2. 求核性基RSi−CHを含む求核性化合物はグリニャール試薬、好ましくはグリニャール化合物RSi−CHMgX(ここで、XはCl、Br及びIからなる群から選択される)、より好ましくはグリニャール化合物RSi−CHMgClである請求項1の方法。
  3. 、R及びRは独立して1から6個の炭素原子、好ましくは1から4個の炭素原子、より好ましくは1または2個の炭素原子を有するアルキル基からなる群から選択され、R、R及びRは特にメチルである請求項1または2の方法。
  4. (1.1)で使用される溶媒はエーテル、好ましくはメチル−tert−ブチルエーテル(MTBE)である請求項1から3のいずれかの方法。
  5. (1.1)における反応を−50から+20℃、好ましくは−30から+10℃、より好ましくは−15から+5℃の範囲の温度で実施する請求項1から4のいずれかの方法。
  6. (1.2)における処理を−20から+70℃の範囲の温度で実施する請求項1から5のいずれかの方法。
  7. (1.2)で使用される試薬は酸、好ましくは無機酸、より好ましくは硫酸であり、硫酸を使用するならば(1.2)において処理を実施する温度は好ましくは40から50℃の範囲である請求項1から6のいずれかの方法。
  8. 更に、
    (2)式(II)の化合物をマロン酸エステルROOC−CH−COORと反応させて、式(III)
    Figure 2013532131
    (式中、R及びRは独立して場合により適当に置換されている1から5個の炭素原子を有するアルキル基である)
    の化合物を得;
    (3)式(III)の化合物を還元して、式(IV)
    Figure 2013532131
    の化合物を得;
    (4)式(IV)の化合物を無水イソ酪酸を用いてアシル化して、式(V)
    Figure 2013532131
    の化合物を得;
    (5)式(V)の化合物を溶媒中、塩基の存在下でCl、Br及びIからなる群から選択されるハロゲンHal、好ましくはIと反応させて、式(X)
    Figure 2013532131
    の化合物であって、
    化合物(X)の分子の好ましくは80から95%、より好ましくは85から95%は式(VI)
    Figure 2013532131
    のシス異性体として存在し、
    並びに化合物(X)の分子の好ましくは20から5%、より好ましくは15から5%は式(XI)
    Figure 2013532131
    のトランス異性体として存在している化合物を得;
    (6.1)式(X)の化合物を溶媒、好ましくはDMSO中、好ましくはDMPU(1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン)の非存在下で、1,2,4−トリアゾールアルカリ金属塩、好ましくはナトリウム塩と一緒に加熱し、及び生じた反応混合物を塩基で処理して、式(IX)
    Figure 2013532131
    の化合物を得;
    (6.2)(6.1)から得た反応混合物から適当な溶媒を用いて抽出することにより式(IX)の化合物を分離する;
    ことを含む請求項1から7のいずれかの方法。
  9. 式(IX)の化合物中、分子の80から95%、好ましくは85から95%は式(VII)
    Figure 2013532131
    のシス異性体として存在し、
    並びに分子の20から5%、好ましくは15から5%は式(VIII)
    Figure 2013532131
    のトランス異性体として存在している請求項8の方法。
  10. (2)において、R及びRは両方ともエチルである請求項8または9の方法。
  11. (2)の後であって(3)の前に、式(III)の化合物を適当な溶媒、好ましくはシクロヘキサンを用いて抽出することにより分離する請求項8から10のいずれかの方法。
  12. (3)において、LiBHを還元剤として使用し、好ましくは化合物(III)に対して多くとも2モル当量の量で使用する請求項8から11のいずれかの方法。
  13. (3)における還元は好ましくは水を含んでいる適当な溶媒中で実施し、前記溶媒は好ましくは水、アルコール及び水と少なくとも1つのアルコールの混合物からなる群から選択され、より好ましくは水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及び水とこれらのアルコールの少なくとも1つの混合物からなる群から選択され、より好ましくは水、エタノール、イソプロパノール、及び水とこれらのアルコールの少なくとも1つの混合物からなる群から選択され、より好ましくは水、イソプロパノール、及び水とイソプロパノールの混合物からなる群から選択され、最も好ましく溶媒は水とイソプロパノールの混合物であり、前記溶媒は好ましくは1から20容量%、より好ましくは5から15容量%の水を含んでいる請求項8から12のいずれかの方法。
  14. (4)において、アシル化を適当な溶媒、好ましくはアセトニトリルまたはトルエン、より好ましくはトルエン中、適当な酵素、好ましくはNovo SP 435酵素の存在下で実施する請求項8から13のいずれかの方法。
  15. (4)の後であって(5)の前に、式(V)の化合物を少なくとも部分的に結晶化させる請求項8から14のいずれかの方法。
  16. (6.2)において、溶媒は極性の水不混和性溶媒、好ましくはエステル酢酸エチルまたは酢酸イソプロピルなどのエステル、テトラヒドロフランまたはメチルテトラヒドロフランなどのエーテル、メチルイソブチルケトンなどのケトン、ジクロロメタンなどのハロゲン化溶媒、トルエン、またはこれらの溶媒の2つ以上の混合物、より好ましくはエステルまたはエーテル、より好ましくはエーテル、及び一層より好ましくはメチルテトラヒドロフランである請求項8から15のいずれかの方法。
  17. 更に、
    (7)(6.2)の後に、式(IX)の化合物、特に式(VII)の化合物及び式(VIII)の化合物を少なくとも部分的に結晶化させる
    ことを含む請求項8から16のいずれかの方法。
  18. 化合物(IX)、特に式(VII)の化合物及び式(VIII)の化合物を溶媒から、場合により適当な貧溶媒を添加することにより結晶化させ、前記溶媒は好ましくは(6.2)で使用した溶媒または溶媒混合物であり、並びに前記貧溶媒は好ましくはシクロヘキサン、ヘキサンまたはヘプタンなどの飽和または不飽和炭化水素、またはその2つ以上の混合物である請求項17の方法。
  19. 式(IX)
    Figure 2013532131
    の少なくとも部分的に結晶性のキラルの化合物を得、前記結晶性化合物の分子の80から95%、好ましくは85から95%は式(VII)
    Figure 2013532131
    のシス異性体として存在し、
    並びに前記結晶性化合物の分子の20から5%、好ましくは15から5%は式(VIII)
    Figure 2013532131
    のトランス異性体として存在している請求項17または18の方法。
  20. 更に、
    (8)式(IX)の化合物を適当な溶媒中、無機または有機ブレンステッド酸で処理することによりその塩に変換し、並びに好ましくはその塩を少なくとも部分的に結晶化させる
    ことを含む請求項8から16のいずれかまたは請求項17から19のいずれかの方法。
  21. 式(IX)
    Figure 2013532131
    (式中、Y及びYは独立してFまたはCl、好ましくはFである)
    の結晶性キラル化合物またはその塩であって、前記結晶性化合物またはその塩の分子の80から95%、好ましくは85から95%は式(VII)
    Figure 2013532131
    のシス異性体またはその塩として存在しており、
    並びに前記結晶性化合物またはその塩の分子の20から5%、好ましくは15から5%は式(VIII)
    Figure 2013532131
    のトランス異性体またはその塩として存在している前記結晶性キラル化合物またはその塩。
  22. 及びYはFであり、少なくとも以下の反射を含むX線回折パターン
    Figure 2013532131
    (ここで、100%はX線回折パターン中の最大ピークの強度を示す)
    を有する請求項21の結晶性キラル化合物。
  23. 及びYはFであり、少なくとも以下の反射を含むX線回折パターン
    Figure 2013532131
    (ここで、100%はX線回折パターン中の最大ピークの強度を示す)
    を有する請求項21に記載の結晶性キラル化合物のHCl塩であって、前記塩の分子の85から95%は式(VII)のシス異性体の塩として存在し、前記塩の分子の5から15%は式(VIII)のトランス異性体の塩として存在している前記塩。
  24. 請求項8から20のいずれか、好ましくは請求項20が請求項8から16に従属している限り請求項20に記載の方法により得ることができるかまたは得られる好ましくは少なくとも部分的に結晶性のキラル化合物またはその塩。
  25. 請求項21または22に記載の式(IX)の化合物またはその塩、請求項23に記載の塩、或いは請求項24に記載の化合物またはその塩の抗真菌剤、好ましくは
    Figure 2013532131
    を製造するための使用。
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